JP2019216074A - 熱測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定サンプルについて充放電をしたときの吸発熱の測定を、効率的かつ精度良く行うことを可能にする。【解決手段】コイン型の電池を測定サンプル2として支持する熱測定ユニット10と、測定サンプル2の充放電を行う充放電ユニット20と、充放電の際の測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果を記録する記録ユニット30と、を備えて熱測定装置1を構成する。熱測定ユニット10は、第一測定モジュール11aと第二測定モジュール11bとで測定サンプル2を挟むように構成する。第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bは、それぞれ、測定サンプル2からの熱移動を誘発する熱溜部12と、熱移動により生じる熱の流れに対応する電気信号を出力する熱流センサ13と、伝熱性および導電性を持つ板状部材からなり熱流センサ13の測定サンプル2側の面を覆うように配されて測定サンプル2の充放電の際の電気接点として用いられる受熱板14と、を有して構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、測定サンプルの吸発熱を定量的に測定する熱測定装置に関する。
ハイブリッド自動車や電気自動車等の主要部品の一つである車載用リチウムイオン電池については、その特性を評価するために、充放電をしたときの吸発熱を定量的に測定することがある(例えば、特許文献1参照)。吸発熱の測定は、例えば、熱流センサを利用した熱測定装置を用いて行うことが考えられる(例えば、特許文献2参照)。
特開2014−149280号公報 特許第5466333号明細書
ところで、車載用リチウムイオン電池の開発にあたっては、最初に試験評価用として例えば直径20mm、厚さ3.2mmの2032タイプのようなコイン型(ボタン型)の電池を制作し、そのコイン型の電池を用いて特性評価を行うことがある。
試験評価用のコイン型の電池は、車載用リチウムイオン電池の最終製品版に比べると、容量が1/10,000程度であり非常に小さい。そのため、熱流センサを利用して吸発熱を測定する場合も、コイン型の電池について得られる電気信号は、最終製品版に比べて1/10,000程度の大きさとなる。このように容量が小さいコイン型の電池について、吸発熱の測定結果に基づく特性評価を適切に行うためには、電池からの熱をロス無く効率的に熱流センサの電気信号に変換する必要がある。
また、コイン型の電池は、二つの主面のうち、一方の主面が正極(プラス)の電極面として機能し、他方の主面が負極(マイナス)の電極面として機能するように構成されている。そのため、コイン型の電池について、充放電をしたときの吸発熱を測定するためには、その電池の主面を吸放熱面として機能させつつ電極面としても機能させる必要がある。つまり、二つの機能を同時に担わせなければ、充放電をしたときの吸発熱の測定を精度良く行うことができない。
そこで、本発明は、コイン型の電池が測定サンプルとなる場合であっても、その測定サンプルについて充放電をしたときの吸発熱の測定を、効率的かつ精度良く行うことを可能にする熱測定装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために案出されたもので、その一態様は、
二つの主面がそれぞれ異なる極性の電極面として機能するコイン型の電池を測定サンプルとして支持する熱測定ユニットと、
前記熱測定ユニットが支持する前記測定サンプルの充電または放電の少なくとも一方を行う充放電ユニットと、
前記充放電ユニットが充電または放電の少なくとも一方を行う際の前記測定サンプルの吸発熱に関する測定結果を記録する記録ユニットと、を備え、
前記熱測定ユニットは、
前記測定サンプルの一方の電極面に接する第一測定モジュールと、
前記測定サンプルの他方の電極面に接する第二測定モジュールと、を有し、
前記第一測定モジュールと前記第二測定モジュールとで前記測定サンプルを挟むように構成されており、
前記第一測定モジュールおよび前記第二測定モジュールは、それぞれ、
前記測定サンプルからの熱移動を誘発する熱溜部と、
前記熱移動により生じる熱の流れに対応する電気信号を前記記録ユニットに出力する熱流センサと、
伝熱性および導電性を持つ板状部材からなり、前記熱流センサにおける前記測定サンプルの側の面を覆うように配されて前記測定サンプルの電極面に接するとともに、前記充放電ユニットに電気的に接続されて、前記充放電ユニットが前記測定サンプルの充電または放電の少なくとも一方を行う際の電気接点として用いられる受熱板と、を有する
ことを特徴とする熱測定装置である。
本発明によれば、コイン型の電池が測定サンプルとなる場合であっても、その測定サンプルについて充放電をしたときの吸発熱に関する定量的な測定を、効率的かつ精度良く行うことができる。
本発明の一実施形態に係る熱測定装置の概略構成例を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る熱測定装置におけるユニット対の構成例を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る熱測定装置における恒温槽内の構成例を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る熱測定装置を用いて行う熱測定方法の基本的な手順の一例をフロー図である。 本発明の一実施形態に係る熱測定装置にて行う補正処理の一例の概要を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<測定サンプル>
まず、本実施形態に係る熱測定装置の説明に先立ち、その熱測定装置が測定対象とする測定サンプルについて簡単に説明する。
既述のように、例えば、車載用リチウムイオン電池の開発にあたっては、最初に試験評価用としてコイン型の電池を制作する。コイン型の電池は、扁平丸型の外装容器を有して構成されたものであり、その外装容器における二つの主面である表面および裏面がそれぞれ異なる極性の電極面として機能するようになっている。つまり、コイン型の電池は、一方の主面が正極(プラス)の電極面として機能し、他方の主面が負極(マイナス)の電極面として機能するように構成されている。なお、コイン型の電池のサイズについては、例えば直径20mm、厚さ3.2mmの2032タイプとすることが考えられるが、これに限定されることはなく、適宜設定されたものであれば構わない。したがって、扁平丸型に形成されたものであれば、例えばボタン型と呼ばれるものであっても、ここでいうコイン型の電池に含まれるものとする。
本実施形態においては、このようなコイン型の電池を測定サンプルとし、その測定サンプルについて充電または放電の少なくとも一方(以下、単に「充放電」ともいう。)を行う際に、測定サンプルにおいて生じる吸発熱の状態を定量的に測定する。ここでいう「吸発熱」は、吸熱もしくは発熱のいずれか一方が生じる場合、または、吸熱と発熱の両方が生じる場合、の全て場合を含む。ただし、測定サンプルが電池である場合には、主として、充放電を行うと電池が発熱することが一般的である。また、「定量的」とは、吸発熱の状態を数値によって特定することを意味し、具体的には例えば吸発熱速度(単位:μW)によって特定することが考えられる。ただし、これに限定されることはなく、例えばその時間積分である吸発熱の熱量(単位:μJ)によって特定することも可能である。
コイン型の電池を測定サンプルとする場合には、吸発熱に関する測定結果である電気信号が車載用リチウムイオン電池の最終製品版に比べて1/10,000程度の大きさとなるため、測定サンプルからの熱をロス無く効率的に電気信号に変換する必要がある。そのためには、コイン型の電池からの放熱が主に二つの主面のそれぞれで行われることから、二つの主面のそれぞれに対応して熱流センサを配置することが考えられる。
しかしながら、コイン型の電池は二つの主面がそれぞれ異なる極性の電極面として機能することから、それぞれに対応して熱流センサを配置すると、測定サンプルに対する充放電が行えなくなってしまうおそれがある。つまり、コイン型の電池について充放電をしたときの吸発熱測定する場合には、その電池の主面を吸放熱面として機能させつつ電極面としても機能させるといったように、各主面に二つの機能を同時に担わせなければ、その測定を精度良く行うことができない。
本実施形態で説明する熱測定装置は、上述した相反する事項の両立を実現可能にするものである。つまり、本実施形態で説明する熱測定装置は、コイン型の電池が測定サンプルとなる場合であっても、その測定サンプルについて充放電をしたときの吸発熱に関する定量的な吸発熱に関する測定結果を記録する測定を、効率的かつ精度良く行うことを可能にするものである。
<熱測定装置の構成>
次に、本実施形態に係る熱測定装置の構成について説明する。
(基本構成)
図1は、本実施形態に係る熱測定装置の基本構成例を模式的に示す説明図である。
熱測定装置1は、以下のような基本単位となる構成(以下、単に「基本構成」という。)を備えている。すなわち、熱測定装置1は、基本構成として、コイン型の電池を測定サンプル2として支持する熱測定ユニット10と、その熱測定ユニット10が支持する測定サンプル2の充放電を行う充放電ユニット20と、その充放電ユニット20が充放電を行う際の測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果を記録する記録ユニット30と、を備えて構成されている。
(熱測定ユニット)
熱測定ユニット10は、測定サンプル2の一方の電極面に接する第一測定モジュール11aと、その測定サンプル2の他方の電極面に接する第二測定モジュール11bと、を有している。そして、熱測定ユニット10は、第一測定モジュール11aと記第二測定モジュール11bとで測定サンプル2を挟むように構成されている。つまり、熱測定ユニット10は、測定サンプル2を表裏両面から挟み込むサンドイッチ構造を有しており、そのサンドイッチ構造によって測定サンプル2を支持するように構成されている。
測定サンプル2を挟み込む第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bは、いずれも、熱流方式により測定サンプル2からの熱の流れを測定するもので、伝熱型熱量計とも呼ばれるものである。さらに詳しくは、測定サンプル2からの熱測定のために、第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bは、それぞれ、熱溜部12と、熱流センサ13と、受熱板14と、を有して構成されている。
熱溜部12は、例えば蓄熱容量の大きいアルミニウムブロック部材によって形成されたヒートシンクからなるもので、測定サンプル2からの熱移動を誘発するものである。
熱流センサ13は、例えばぺルチェ素子のゼーベック効果を利用したサーモパイルによって構成されたもので、測定サンプル2から熱溜部12への熱移動に伴って起電力を発生させることで、その熱移動により生じる熱の流れを定量的に測定するものである。すなわち、熱流センサ13は、測定サンプル2から熱溜部12に移動する熱の流れの測定結果として、所定の分解能に応じた各時点での熱の流れの時間微分値(すなわち、吸発熱速度)に対応する電気信号を出力するものである。なお、熱流センサ13は、測定結果である電気信号を記録ユニット30に対して出力するようになっている。
なお、熱流センサ13は、複数のサーモパイルによって構成されたものであってもよい。例えば、直径20mmの電池に対応すべく、22mm×22mmの面積に284個のサーモパイルが配されて、熱流センサ13が構成されていてもよい。その場合に、測定サンプル2と熱溜部12との間に0.0001℃の温度差が生じると、熱流センサ13の熱起電力は、284×0.04μV=11.36μVとなる。つまり、このような構成により、熱流センサ13は、マイクロワット(μW)レベルの吸発熱についても高感度に測定し得るようになる。
受熱板14は、熱流センサ13に付随して設けられたもので、その熱流センサ13における測定サンプル2の側の面を覆うように配された板状部材からなるものである。このように、測定サンプル2の側に配されることで、受熱板14は、その測定サンプル2の電極面に接することになり、これにより測定サンプル2の汚れ等が熱流センサ13に付着するのを未然に防止し得るようになる。また、測定サンプル2の側を覆うことで、受熱板14は、熱溜部12に対する熱流センサ13の相対位置を固定するための押さえ部材としても機能し得るようになる。このことは、特に熱流センサ13が複数のサーモパイルによって構成されている場合に、これらを一枚の板状部材で固定し得ることから、非常に有用なものとなる。
受熱板14を構成する板状部材としては、例えば銅、銅合金(真鍮等)、アルミニウム、銀等の伝熱性および導電性を持つ金属材料によって薄厚(例えば1mm厚未満)に形成されたものが挙げられる。
受熱板14が伝熱性を有し、しかも薄厚に形成されていることで、測定サンプル2と熱流センサ13との間に受熱板14が介在していても、受熱板14が測定サンプル2からの熱移動を阻害してしまうことはない。さらには、受熱板14が熱を面内に拡散させるので、特に熱流センサ13が複数のサーモパイルによって構成されている場合に、各サーモパイルに対する均熱化が図れるようになる。
また、受熱板14が導電性を有することで、測定サンプル2に接する受熱板14を電気接点として利用し得る。そのため、受熱板14は、充放電ユニット20に電気的に接続されており、その充放電ユニット20が測定サンプル2の充放電を行う際の電気接点として用いられるようになっている。
このように、受熱板14は、測定サンプル2からの熱を熱流センサ13に伝える伝熱押さえ部材としての機能と、測定サンプル2に対する電気接点としての機能と、を兼ね備えている。
なお、受熱板14の固定態様は、特に限定されるものではないが、例えば、熱溜部12に対してネジ等の締結具を利用して固定するといったものが考えられる。このような固定態様によれば、受熱板14と熱溜部12とで挟持する熱流センサ13の交換等が必要になっても、非常に容易に対応することができるようになる。
(充放電ユニット)
充放電ユニット20は、第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bのそれぞれにおける受熱板14を電気接点として用いつつ、第一測定モジュール11aと第二測定モジュール11bとによって挟持された測定サンプル2に対する充放電を行うものである。具体的には、充放電ユニット20は、例えば、充電用の直流電源と放電用の電子負荷の両方を備えて電力の出力と消費を可能とした充放電装置によって構成することが考えられる。また、充放電ユニット20としては、複数の測定サンプル2に対して同時に充放電を行い得る多チャンネルの充放電装置を用いることが好ましい。なお、充放電の原理等については、公知であることから、ここではその詳細な説明を省略する。
(記録ユニット)
記録ユニット30は、第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bのそれぞれにおける熱流センサ13から出力される電気信号に基づき、その電気信号に対応する数値データ(例えば、吸発熱速度値)の収集および保存を行うものである。つまり、記録ユニット30は、熱流センサ13からの電気信号によって特定されるデータを、測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果として記録するものである。このような記録ユニット30としては、例えば、電気信号を所定データに変換するデジタル回路計と、多チャンネルのデータ保存に対応するデータロガーと、を組み合わせて構成されたものを用いることが考えられる。ただし、これに限定されることはなく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、データ入出力インタフェース等に代表されるコンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えて構成され、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、そのプログラム(ソフトウエア)とハードウエア資源とが協働して、測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果を記録するように構成されたものを用いることも可能である。なお、記録ユニット30が行う処理の具体的な内容については、詳細を後述する。
(ユニット対)
ところで、本実施形態に係る熱測定装置1は、上述した基本構成となる各ユニット10,20,30のうち、少なくとも熱測定ユニット10を複数備えている。ここでいう複数の熱測定ユニット10は、後述するユニット対15を構成するものである。
図2は、本実施形態に係る熱測定装置におけるユニット対の構成例を模式的に示す説明図である。
ユニット対15を構成する複数(例えば二つ)の熱測定ユニット10は、そのうちの少なくとも一つについて測定サンプル2を支持するサンプルユニット10aとするとともに、他の少なくとも一つについて充電および放電のいずれも行われない測定サンプル2をダミーサンプルとして支持するリファレンスユニット10bとする。つまり、サンプルユニット10aとリファレンスユニット10bとの組合せによって、ユニット対15が構成されることになる。
ユニット対15を構成するサンプルユニット10aとリファレンスユニット10bとは、断熱槽16によって形成される収容空間内に並べて配置されている。したがって、サンプルユニット10aが支持する測定サンプル2と、リファレンスユニット10bが支持するダミーサンプルとは、それぞれが略同様の温度環境下に置かれることになる。
このようなサンプルユニット10aおよびリファレンスユニット10bに対して、それぞれにおける熱流センサ13からの電気信号を受け取る記録ユニット30は、リファレンスユニット10bの熱流センサ13からの電気信号を第一基準信号とする。そして、その第一基準信号を用いて、サンプルユニット10aの熱流センサ13からの電気信号を補正する第一の補正処理を行うように構成されている。なお、記録ユニット30が行う第一の補正処理の具体的な内容については、詳細を後述する。
(恒温槽)
また、本実施形態に係る熱測定装置1は、上述した構成のユニット対15を複数備えている。なお、充放電ユニット20および記録ユニット30については、複数のユニット対15のそれぞれに個別に対応して備えている必要はなく、各ユニット対15で共用しても構わない。
図3は、本実施形態に係る熱測定装置における恒温槽内の構成例を模式的に示す説明図である。
熱測定装置1では、複数(例えば三つ)のユニット対15が同一の恒温槽17内に配置されている。恒温槽17は、槽内の温度環境を例えば−20℃〜60℃の範囲内の一定温度に維持するためのものである。したがって、恒温槽17内の各ユニット対15は、それぞれが略同様の温度環境下に置かれることになる。
恒温槽17内における複数のユニット対15は、そのうちの少なくとも一つを基準ユニット対15aとする。
基準ユニット対15aは、当該基準ユニット対15aにおけるリファレンスユニット10bが支持するダミーサンプルに加えて、当該基準ユニット対15aにおけるサンプルユニット10aが支持する測定サンプル2についても、充放電ユニット20による充電および放電のいずれも行わないように構成されている。
また、恒温槽17内には、基準ユニット対15a以外のユニット対(以下、基準ユニット対15aとの識別のために「試料ユニット対」ともいう。)15bが複数配置されている。図例では、一つの基準ユニット対15aの他に二つの試料ユニット対15bが恒温槽17内に配置されている場合を示しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。つまり、試料ユニット対15bの配置数は、特に限定されるものではなく、適宜設定されていればよい。ただし、吸発熱測定の処理効率という観点では、試料ユニット対15bの配置数が多いほうが好ましい。
このような恒温槽17内の基準ユニット対15aおよび試料ユニット対15bに対して、それぞれにおける熱流センサ13からの電気信号を受け取る記録ユニット30は、基準ユニット対15aの熱流センサ13からの電気信号を第二基準信号とする。そして、その第二基準信号を用いて、試料ユニット対15bの熱流センサ13からの電気信号を補正する第二の補正処理を行うように構成されている。なお、記録ユニット30が行う第二の補正処理の具体的な内容については、詳細を後述する。
<熱測定方法の手順>
次に、上述した構成の熱測定装置1を用いて行う熱測定方法(すなわち、本実施形態に係る熱測定方法)の手順について説明する。
(基本的な手順)
まず、本実施形態に係る熱測定方法の基本的な手順を説明する。
図4は、本実施形態に係る熱測定方法の基本的な手順の一例をフロー図である。
基本的な手順としては、まず、熱測定ユニット10への測定サンプル2のセットを行う(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)。さらに詳しくは、測定サンプル2の表裏両面を熱測定ユニット10の第一測定モジュール11aと記第二測定モジュール11bとで挟み込み、これにより熱測定ユニット10に測定サンプル2を支持させる。
このとき、熱測定ユニット10が支持する測定サンプル2は、その熱測定ユニット10が試料ユニット対15bにおけるサンプルユニット10aであれば、充放電に伴う吸発熱の測定対象となる。また、その熱測定ユニット10が試料ユニット対15bにおけるリファレンスユニット10bであれば、充電および放電のいずれも行われないダミーサンプルとなる。さらには、基準ユニット対15aにおける測定サンプル2についても同様に、充電および放電のいずれも行われない。
基準ユニット対15aおよび試料ユニット対15bの各熱測定ユニット10に測定サンプル2をセットした後は、試料ユニット対15bのサンプルユニット10aにおける測定サンプル2に対して、充放電ユニット20による充放電サイクルを開始する(S102)。充放電ユニット20は、測定サンプル2を挟み込む第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bのそれぞれにおける受熱板14を電気接点として用いつつ、予め設定されている充放電サイクルのスケジュールに従って、その測定サンプル2に対する充放電を行う。この充放電ユニット20による充放電サイクルのスケジュールは、そのスケジュール完了までに、例えば、数時間から数十時間の期間を要し、設定内容によっては数日の期間を要することもある。
充放電ユニット20が充放電サイクルを開始すると、測定サンプル2には吸発熱が生じる。このとき、測定サンプル2には、受熱板14および熱流センサ13を介して熱溜部12が接している。そのため、測定サンプル2で発生した熱は、熱溜部12の側へ移動することとなり、その過程で熱流センサ13によって熱の流れが定量的に測定されることになる。つまり、充放電ユニット20が充放電サイクルを行っている間は、測定サンプル2で生じる熱について、例えば吸発熱速度として熱流センサ13によって測定されて、その測定結果に対応する電気信号が熱流センサ13から記録ユニット30に出力される(S103)。
熱の流れの測定に必要となる熱流センサ13および熱溜部12は、測定サンプル2を挟み込むサンドイッチ構造の第一測定モジュール11aおよび第二測定モジュール11bのそれぞれに設けられている。測定サンプル2がコイン型の電池である場合、その測定サンプル2からの放熱が主に二つの主面(電極面)のそれぞれで行われ、側面(円周面)の放熱への寄与は小さい。したがって、サンドイッチ構造によれば、測定サンプル2からの熱の流れを、ロス無く効率的に電気信号に変換することが可能となる。
また、熱流センサ13に付随して設けられた受熱板14は、伝熱性を有し、しかも薄厚に形成されている。したがって、充放電のための電気接点として用いられる受熱板14が測定サンプル2と熱流センサ13との間に介在していても、その受熱板14が測定サンプル2からの熱移動を阻害してしまうことはない。
しかも、熱量を測定する熱流センサ13が、例えば複数のサーモパイルによって構成されていれば、マイクロワット(μW)レベルの吸発熱についても高感度に測定し得るようになる。その場合には、受熱板14が熱を面内に拡散させるので、各サーモパイルに対する均熱化が図れる。
これらの点によって、測定サンプル2からの熱の流れは、それが微小な量であっても、精度良く電気信号に変換されることになる。
つまり、充放電サイクルの間は、測定サンプル2がサンドイッチ構造によって支持されていても、受熱板14を介在させることで、測定サンプル2の各主面に吸放熱面としての機能と電極面としての機能とを同時に担わせることができ、測定サンプル2からの熱の流れを効率的かつ精度良く電気信号に変換することができる。
熱流センサ13が電気信号を出力すると、その電気信号を受け取る記録ユニット30は、受け取った電気信号によって特定されるデータを、測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果として記録する(S104)。具体的には、記録ユニット30は、熱流センサ13からの電気信号を、その電気信号に対応する数値データ(例えば、吸発熱速度値)に変換した上で、その数値データの収集および保存を行う。
以上のような一連の処理を、熱測定装置1では、充放電ユニット20による充放電サイクルのスケジュールが終了するまで、継続的に行う(S105)。
充放電ユニット20による充放電サイクルが完了したら、その後、記録ユニット30は、測定サンプル2の吸発熱に関する記録データを、データ入出力インタフェースを通じて、図示せぬ外部装置に出力する(S106)。外部装置としては、例えば、コンピュータ装置としての機能を有して所定の情報処理を行い得るように構成されたものが挙げられる。このような外部装置であれば、記録ユニット30からの記録データを受け取って解析することで、充放電サイクル中に生じた測定サンプル2の温度変化を抽出することができる。つまり、記録ユニット30からの出力結果を活用する熱測定装置1の利用者は、充放電に伴う測定サンプル2の温度変化の状態を把握することができ、その結果として、測定サンプル2の温度変化の検出結果を、その測定サンプル2の特性評価に供することが実現可能となる。
(第一の補正処理)
次に、記録ユニット30が行う第一の補正処理について説明する。ここで説明する第一の補正処理は、上述した基本的な手順において、記録ユニット30が熱流センサ13からの電気信号を記録する際に、その記録処理と合わせて行う処理(すなわち、記録処理の一部を構成するもの)である。
熱流センサ13による測定結果は、測定サンプル2からの熱流の他に、環境温度の変動の影響を受け得る。このことは、サンプルユニット10aが断熱槽16内に置かれていても、完全に防ぎ得るとは限らない。そのため、熱流センサ13による熱流の測定結果については、環境温度の変動の影響による電気信号のドリフトを排除するための補正(キャリブレーション)処理を行うことが、測定結果の高精度化を図る上では好ましい。
このことから、本実施形態においては、サンプルユニット10aとリファレンスユニット10bによってユニット対15が構成されており、これらが断熱槽16の収容空間内に並べて配置されている。サンプルユニット10aには測定対象となる測定サンプル2がセットされる一方で、リファレンスユニット10bにはダミーサンプルがセットされる。ダミーサンプルは、充電および放電のいずれも行われないことを除けば、測定サンプル2と同一構成のものである。そして、記録ユニット30は、リファレンスユニット10bの熱流センサ13からの第一基準信号を用いつつ、サンプルユニット10aの熱流センサ13からの電気信号について、以下に述べるような補正処理を「第一の補正処理」として行うようになっている。
図5は、本実施形態にて行う補正処理の一例の概要を模式的に示す説明図である。
例えば、サンプルユニット10aの測定サンプル2に対して充放電サイクルを行っているときに、そのサンプルユニット10aの熱流センサ13から図5(a)に示すような波形の電気信号が記録ユニット30へ出力される場合を考える。
このとき、記録ユニット30には、同じユニット対15を構成するリファレンスユニット10bの熱流センサ13からも電気信号が出力されている。具体的には、例えば、図5(b)に示すような波形の電気信号が出力される。この電気信号は、リファレンスユニット10bのダミーサンプルには充電および放電のいずれも行われないことから、ユニット対15が配された断熱槽16内の環境温度の変動の測定結果に相当することになる。
記録ユニット30は、これらの電気信号を受け取ると、リファレンスユニット10bの熱流センサ13からの電気信号を第一基準信号とする。そして、サンプルユニット10aの熱流センサ13からの電気信号と第一基準信号との差分を抽出することで、例えば、図5(c)に示すような波形の電気信号を得る。このようにして得た電気信号は、断熱槽16内の環境温度の変動の影響を排除して、測定サンプル2への充放電によって生じた当該測定サンプル2の吸発熱の状態を顕在化させたものに相当する。
つまり、記録ユニット30は、リファレンスユニット10bの熱流センサ13からの第一基準信号を用いて、サンプルユニット10aの熱流センサ13からの電気信号についての補正(キャリブレーション)を行う。これにより、測定サンプル2に対して示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter、以下「DSC」と略す。)が行われることになり、その測定サンプル2の吸発熱に関する測定結果である熱流(Heat Flow、以下「HF」と略す。)信号が、環境温度の変動の影響が排除された高精度なものとなる。具体的には、DSCによる第一の補正処理を行うことで、当該第一の補正処理を行わない場合に比べると、HF信号の変動の大きさを1/4〜1/5程度に削減することができる。
しかも、第一の補正処理に必要となる第一基準信号の出力元であるリファレンスユニット10bは、サンプルユニット10aと同じ断熱槽16内に並べて配置されている。したがって、測定サンプル2についての電気信号と合わせて第一基準信号を得られるので、その測定サンプル2に対する測定プロセスの中で第一の補正処理を行うことが可能となる。つまり、測定プロセスに先立って第一基準信号を用意したり第一の補正処理を行ったりする必要がないため、第一の補正処理によるHF信号の高精度化を図る場合であっても、効率的で迅速な処理の実現が可能となる。
(第二の補正処理)
次に、記録ユニット30が行う第二の補正処理について説明する。ここで説明する第二の補正処理は、上述した基本的な手順において、記録ユニット30が熱流センサ13からの電気信号を記録する際に、その記録処理と合わせて行う処理(すなわち、記録処理の一部を構成するもの)である。
測定サンプル2に対する充放電サイクルは、例えば、測定サンプル2が40時間率、4mAhのセルであり、充放電電流が100μAである場合、1サイクルの完了までに90時間程度を要し、長時間の等温安定性が要求される。このことから、本実施形態においては、ある一定温度に等温制御される恒温槽17を利用している。
しかしながら、恒温槽17を利用した場合であっても、90時間程度といった長期間の充放電サイクルが完了するまでには、例えば昼夜の温度差や気象条件による影響等で、槽内の温度が数℃(例えば1℃〜2℃)程度変動してしまうことがあり得る。このような恒温槽17の温度変動は、熱流センサ13からのHF信号のドリフト(漂移)を招き得る。
このことから、本実施形態においては、恒温槽17内に複数のユニット対15を配置し、そのうちの少なくとも一つを基準ユニット対15aとする。基準ユニット対15aに対しては、ダミーサンプルのみならず測定サンプル2についても、充電および放電のいずれも行わない。そして、記録ユニット30は、基準ユニット対15aの熱流センサ13からの第二基準信号を用いつつ、基準ユニット対15a以外の試料ユニット対15bの熱流センサ13からの電気信号について、以下に述べるような補正処理を「第二の補正処理」として行うようになっている。
例えば、図3に示すように、恒温槽17内に一つの基準ユニット対15aと二つの試料ユニット対15bとが配置されている場合を考える。ここでは、基準ユニット対15aをチャンネル1とし、一方の試料ユニット対15bをチャンネル2とし、他方の試料ユニット対15bをチャンネル3とする。
そして、チャンネル1には、充放電サイクル中であっても充放電電流を流さずに、ブランク測定とし、これによりHF信号を得る。このようにして得たHF信号は、基準ユニット対15aに対して充電および放電のいずれも行われないことから、恒温槽17内の環境温度の変動の測定結果に相当することになる。
一方、チャンネル2には、充放電電流を流し、これによりHF信号を得る。また、チャンネル3についても同様に、充放電電流を流し、これによりHF信号を得る。これらのHF信号は、ドリフト成分が含まれたものとなる。
記録ユニット30は、チャンネル1からのHF信号を受け取ると、これを第二基準信号とする。また、記録ユニット30は、チャンネル2からのHF信号を受け取ると、これと第二基準信号との差分を抽出する。さらに、記録ユニット30は、チャンネル3からのHF信号を受け取ると、これと第二基準信号との差分を抽出する。このようにして得た差分抽出後のHF信号は、いずれも、ドリフト成分を排除したものとなる。
つまり、記録ユニット30は、チャンネル1(すなわち基準ユニット対15a)からの第二基準信号を用いて、チャンネル2,3(すなわち試料ユニット対15b)のそれぞれからのHF信号についてのドリフト補正を行う。これにより、ここでもDSCが行われることになり、各試料ユニット対15bにおける測定サンプル2の吸発熱について測定結果であるHF信号は、恒温槽17の温度変動の影響によるドリフト(漂移)量が抑制された高精度なものとなる。具体的には、HF信号に対する第二の補正処理を行うことで、当該第二の補正処理を行わない場合に比べると、HF信号のドリフト量を1/10〜1/20程度に削減することができる。
また、第二の補正処理は、恒温槽17内における複数のユニット対15のうちの少なくとも一つを基準ユニット対15aとしていることから、測定サンプル2についての電気信号と合わせて第二基準信号を得られ、その測定サンプル2に対する測定プロセスの中で第二の補正処理を行うことが可能である。つまり、第二の補正処理によるHF信号の高精度化を図る場合であっても、効率的で迅速な処理の実現が可能となる。
しかも、第二の補正処理は、恒温槽17内における複数の試料ユニット対15bからのHF信号のそれぞれに対して行われる。つまり、一つの充放電サイクルの中で各HF信号に対する第二の補正処理が行われるので、効率的で迅速な第二の補正処理を実現する上で非常に有効なものとなる。このことは、恒温槽17内における試料ユニット対15bの配置数が多いほど、顕著なものとなる。したがって、処理効率という観点では、試料ユニット対15bの配置数が、恒温槽17内のスペースが許す範囲で多いほうが好ましい。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、第一測定モジュール11aと記第二測定モジュール11bとで測定サンプル2を挟むサンドイッチ構造を有しているので、コイン型の電池が測定サンプル2となる場合であっても、その測定サンプル2からの熱量をロス無く効率的に電気信号に変換することができる。しかも、サンドイッチ構造で測定サンプル2を支持しても、受熱板14を介在させることで、測定サンプル2の各主面に吸放熱面としての機能と電極面としての機能とを同時に担わせることができるので、測定サンプル2に対して充放電をしたときの吸発熱に関する測定を精度良く行うことができる。
つまり、本実施形態によれば、コイン型の電池が測定サンプル2となる場合であっても、その測定サンプル2について充放電をしたときの吸発熱に関する定量的な測定を、効率的かつ精度良く行うことができる。
(b)本実施形態においては、サンプルユニット10aとリファレンスユニット10bによってユニット対15が構成されており、リファレンスユニット10bの熱流センサ13からの電気信号を第一基準信号とする。そして、その第一基準信号を用いて、サンプルユニット10aの熱流センサ13からの電気信号についての第一の補正処理を行う。したがって、測定サンプル2の吸発熱について測定結果であるHF信号は、環境温度の変動の影響が排除された高精度なものとなり、例えば、第一の補正処理を行わない場合に比べるとHF信号の変動の大きさを1/4〜1/5程度に削減することができる。つまり、測定サンプル2について充放電をしたときの吸発熱に関する測定の高精度化を図る上で非常に有用なものとなる。
(c)本実施形態においては、サンプルユニット10aとリファレンスユニット10bとが並べて配置されている。そのため、測定サンプル2についての電気信号と合わせて第一基準信号を得られ、その測定サンプル2に対する測定プロセスの中で第一の補正処理を行うことが可能となる。つまり、測定プロセスに先立って第一基準信号を用意したり第一の補正処理を行ったりする必要がないため、第一の補正処理によるHF信号の高精度化を図る場合であっても、効率的で迅速な処理の実現が可能となる。
(d)本実施形態においては、恒温槽17内に複数のユニット対15を配置し、そのうちの少なくとも一つを基準ユニット対15aとし、それ以外を試料ユニット対15bとする。そして、基準ユニット対15aのHF信号を第二基準信号とし、その第二基準信号を用いて、試料ユニット対15bからのHF信号について第二の補正処理を行う。したがって、試料ユニット対15bにおける測定サンプル2の吸発熱について測定結果であるHF信号は、恒温槽17の温度変動の影響によるドリフト(漂移)量が抑制された高精度なものとなり、例えば、第二の補正処理を行わない場合に比べるとHF信号のドリフト量を1/10〜1/20程度に削減することができる。つまり、第一の補正処理に加えて第二の補正処理を行うという二重の補正処理を実施することで、測定サンプル2について充放電をしたときの吸発熱に関する測定の高精度化を図る上で非常に有用なものとなる。
(e)本実施形態においては、基準ユニット対15aおよび試料ユニット対15bが同一の恒温槽17内に配置されている。そのため、測定サンプル2についての電気信号と合わせて第二基準信号を得られ、その測定サンプル2に対する測定プロセスの中で第二の補正処理を行うことが可能である。つまり、第二の補正処理によるHF信号の高精度化を図る場合であっても、効率的で迅速な処理の実現が可能となる。
(f)本実施形態においては、恒温槽17内に試料ユニット対15bが複数配置されており、各試料ユニット対15bからのHF信号のそれぞれに対して第二の補正処理が行われる。そのため、一つの充放電サイクルの中で各HF信号に対する第二の補正処理が行われることになり、効率的で迅速な第二の補正処理を実現する上で非常に有効なものとなる。このことは、恒温槽17内における試料ユニット対15bの配置数が多いほど、顕著なものとなる。
<変形例等>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
例えば、上述の実施形態では、熱測定ユニット10としてサンプルユニット10aとリファレンスユニット10bとを備えている場合を例に挙げている。また、サンプルユニット10aとリファレンスユニット10bとによって構成されるユニット対15についても、基準ユニット対15aおよび試料ユニット対15bを含むといったように、複数備えている場合を例に挙げている。しかしながら、本発明は、上述した実施形態で挙げた例に限定されず、少なくとも基本構成となる各ユニット10,20,30を備えたものであればよい。基本構成を備えていれば、測定サンプル2の吸発熱に関する測定を効率的かつ精度良く行えるという効果を奏する。
1…熱測定装置、2…測定サンプル、10…熱測定ユニット、10a…サンプルユニット、10b…、11a…第一測定モジュール、11b…第二測定モジュール、12…熱溜部、13…熱流センサ、14…受熱板、15…ユニット対、15a…基準ユニット対、15b…試料ユニット対、16…断熱槽、17…恒温槽、20…充放電ユニット、30…記録ユニット

Claims (6)

  1. 二つの主面がそれぞれ異なる極性の電極面として機能するコイン型の電池を測定サンプルとして支持する熱測定ユニットと、
    前記熱測定ユニットが支持する前記測定サンプルの充電または放電の少なくとも一方を行う充放電ユニットと、
    前記充放電ユニットが充電または放電の少なくとも一方を行う際の前記測定サンプルの吸発熱に関する測定結果を記録する記録ユニットと、を備え、
    前記熱測定ユニットは、
    前記測定サンプルの一方の電極面に接する第一測定モジュールと、
    前記測定サンプルの他方の電極面に接する第二測定モジュールと、を有し、
    前記第一測定モジュールと前記第二測定モジュールとで前記測定サンプルを挟むように構成されており、
    前記第一測定モジュールおよび前記第二測定モジュールは、それぞれ、
    前記測定サンプルからの熱移動を誘発する熱溜部と、
    前記熱移動により生じる熱の流れに対応する電気信号を前記記録ユニットに出力する熱流センサと、
    伝熱性および導電性を持つ板状部材からなり、前記熱流センサにおける前記測定サンプルの側の面を覆うように配されて前記測定サンプルの電極面に接するとともに、前記充放電ユニットに電気的に接続されて、前記充放電ユニットが前記測定サンプルの充電または放電の少なくとも一方を行う際の電気接点として用いられる受熱板と、を有する
    ことを特徴とする熱測定装置。
  2. 前記熱測定ユニットを複数備え、そのうちの少なくとも一つについて前記測定サンプルを支持するサンプルユニットとするとともに、他の少なくとも一つについて充電および放電のいずれも行われない前記測定サンプルをダミーサンプルとして支持するリファレンスユニットとし、
    前記記録ユニットは、前記リファレンスユニットの前記熱流センサからの電気信号を第一基準信号とし、前記第一基準信号を用いて前記サンプルユニットの前記熱流センサからの電気信号を補正する第一の補正処理を行うように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱測定装置。
  3. 前記サンプルユニットと前記リファレンスユニットとが並べて配置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の熱測定装置。
  4. 前記サンプルユニットと前記リファレンスユニットとのユニット対を複数備え、そのうちの少なくとも一つを基準ユニット対とし、
    前記基準ユニット対は、当該基準ユニット対における前記リファレンスユニットが支持する前記ダミーサンプルに加えて、当該基準ユニット対における前記サンプルユニットが支持する前記測定サンプルについても、前記充放電ユニットによる充電および放電のいずれも行わないように構成されており、
    前記記録ユニットは、前記基準ユニット対の前記熱流センサからの電気信号を第二基準信号とし、前記第二基準信号を用いて前記基準ユニット対以外の前記ユニット対の前記熱流センサからの電気信号を補正する第二の補正処理を行うように構成されている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の熱測定装置。
  5. 前記ユニット対および前記基準ユニット対が同一の恒温槽内に配置されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の熱測定装置。
  6. 前記恒温槽内には、前記基準ユニット対以外の前記ユニット対が複数配置されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の熱測定装置。
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