JP2019214610A - 低血圧治療のための単独または併用使用されるアンギオテンシンii - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、ここにその全体が参照により組み込まれる。2014年12月18日に作成された上記ASCIIコピーの名称は123585_375383_SL.txtであり、サイズは2,166バイトである。
本発明は特定の実施形態において、例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
高心拍出量性ショックを有し、ノルエピネフリンの約5mcg/分を超える量に相当する用量でカテコールアミンによる治療を受けている被験対象に、前記被験対象の血圧を約80mmHgより高い平均動脈圧(MAP)に上げるのに効果的であり、約80mmHgより高いMAPを維持するために必要な前記カテコールアミンの前記用量を、約5mcg/分未満のノルエピネフリンに相当する前記用量に減らすのに効果的なアンギオテンシンIIの用量を投与する段階を備える
方法。
(項目2)
高心拍出量性ショックを有し、ノルエピネフリンの約10mcg/分を超える量に相当する用量でカテコールアミンによる治療を受けている被験対象に、前記被験対象の血圧を約80mmHgより高い平均動脈圧(MAP)に上げるのに効果的であり、約80mmHgより高いMAPを維持するために必要な前記カテコールアミンの前記用量を、約10mcg/分またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らすのに効果的なアンギオテンシンIIの用量を投与する段階を備える
方法。
(項目3)
前記アンギオテンシンIIの前記用量は、約80mmHgより高いMAPを維持するために必要な前記カテコールアミンの前記用量を約5mcg/分、またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らすのに効果的である、
項目2に記載の方法。
(項目4)
低血圧を患う患者において65mmHgまたはそれより高い平均動脈圧(MAP)を維持する方法であって、ノルエピネフリンの少なくとも約0.2mcg/kg/分に相当する用量でカテコールアミンを投与されている患者に、前記患者のMAPを約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持するのに効果的なアンギオテンシンIIの用量を投与する段階を含む
方法。
(項目5)
カテコールアミンの前記用量を約0.05mg/kg/分以上約0.2mg/kg/分以下のノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目4に記載の方法。
(項目6)
カテコールアミンの前記用量を約0.05mg/kg/分、またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目4に記載の方法。
(項目7)
ショックを患う患者において65mmHgまたはそれより高い平均動脈圧(MAP)を維持する方法であって、ノルエピネフリンの少なくとも約0.2mcg/kg/分に相当する用量でカテコールアミンを投与されている患者に、前記患者のMAPを約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持するのに効果的なアンギオテンシンIIの用量を投与する段階を備える
方法。
(項目8)
約0.05mg/kg/分以上約0.2mg/kg/分以下のノルエピネフリンに相当する前記用量にカテコールアミンの前記用量を減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目7に記載の方法。
(項目9)
カテコールアミンの前記用量を約0.05mg/kg/分またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目7に記載の方法。
(項目10)
前記ショックは高心拍出量性ショックである、
項目7から9の何れか一項に記載の方法。
(項目11)
カテコールアミンの前記用量を約0.05mg/kg/分以上約0.2mg/kg/分以下のノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目10に記載の方法。
(項目12)
カテコールアミンの前記用量を約0.05mg/kg/分またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階をさらに備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目10に記載の方法。
(項目13)
前記カテコールアミンの前記用量を減らす段階を備え、前記患者の前記MAPは約65mmHgまたはそれより高い血圧に維持される、
項目4から12の何れか一項に記載の方法。
(項目14)
前記カテコールアミンの前記用量を約0.05mcg/kg/分またはそれより少ないノルエピネフリンに相当する前記用量に減らす段階を備える
項目13に記載の方法。
(項目15)
前記被験対象はカテコールアミン耐性がある、
項目1から3の何れか一項に記載の方法。
(項目16)
前記カテコールアミンはノルエピネフリンである、または、
前記カテコールアミンはエピネフリンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する前記用量は0.1mcg/kg/分である、または、
前記カテコールアミンはドーパミンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する前記用量は15mcg/kg/分である、または、
前記カテコールアミンはフェニレフリンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する前記用量は、1.0mcg/kg/分である、
項目1から15の何れか一項に記載の方法。
(項目17)
アンギオテンシンIIの前記用量は約0.25ng/kg/分から約10ng/kg/分である、
項目1から16の何れか一項に記載の方法。
(項目18)
アンギオテンシンIIの前記用量は、約0.25ng/kg/分から約5ng/kg/分である、
項目1から16の何れか一項に記載の方法。
(項目19)
アンギオテンシンIIの前記用量は約1ng/kg/分である、
項目18に記載の方法。
(項目20)
アンギオテンシンIIの前記用量は、約2ng/kg/分である、
項目18に記載の方法。
(項目21)
アンギオテンシンIIの前記用量は、約3ng/kg/分である
項目18に記載の方法。
(項目22)
アンギオテンシンIIの前記用量は、約2.5ng/kg/分から約35ng/kg/分である、
項目1から16の何れか一項に記載の方法。
(項目23)
前記アンギオテンシンIIおよび前記カテコールアミンは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、または吸入によって投与される、
項目1から22の何れか一項に記載の方法。
(項目24)
前記アンギオテンシンIIおよび前記カテコールアミンは静脈内に投与される、
項目23に記載の方法。
(項目25)
前記被験対象はヒトである、
項目1から3の何れか一項に記載の方法。
本明細書において使用されるとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上例外が明記されていない限り、複数の指示対象を含む。例えば、上記において使用されたような「1つの」カテコールアミンでの治療は、1または複数のタイプのカテコールアミンでの治療を含む。
本明細書において使用される「約」という用語は、示された値の約10%内、好ましくは、示された値のプラスマイナス5%であることを意味する。
アンギオテンシンIIは、身体で自然に作られるペプチドホルモンであり、血管収縮およびナトリウム再吸収によって血圧を調整する。アンギオテンシンII投与の血行力学的効果は多数の臨床研究のテーマであり、全身血流および腎血流に対する有意な効果を証明した(Harrison−Bernard、L.M.、The renal renin−angiotensin system。Adv Physiol Educ、(2009)33(4)):p.270−74)。アンギオテンシンIIは、レニンアンギオテンシンアルドステロン系(RAAS)で作られるホルモンであり、血管の平滑筋の緊張および細胞外液恒常性を調整することによって血圧を調節する。アンギオテンシンIIは、血管収縮およびナトリウム保持を誘発することにより血管系へのその作用を仲介する。その全身性の作用に加え、アンギオテンシンIIは腎臓の輸出細動脈への顕著な作用を有し、血流量が減少したときに糸球体ろ過を維持する。アンギオテンシンIIはまた、近位尿細管内でNa+/H+交換体を刺激すること、並びに、アルドステロンおよびバソプレシンの分泌を誘発することによって腎臓でのナトリウム再吸収を調整する(Harrison−Bernard、L.M.、The renal renin−angiotensin system。Adv Physiol Educ、(2009)33(4)):p.270−4)。
本発明の方法は、例えば、高心拍出量性ショック、敗血症性ショック、または心停止若しくは心原性ショックによるショックなどの様々なタイプのショックを示す被験対象を治療するのに使用可能である。示される低用量のアンギオテンシンIIによって治療可能な他の疾患には、急性腎臓損傷(AKI)、肝腎症候群(HRS)、および静脈瘤出血が挙げられる。
一般的に、アンギオテンシンIIは血圧を上昇させ、低血圧状態の患者は、正常な患者において観察されるものと同様の血圧上昇反応を示すためには、より大量の投与を必要とするかもしれない。アンギオテンシン治療(例えば、アンギオテンシンII)を含む組成物は、目標の血圧に達するのに十分な速度で投与可能である。例えば、患者は、MAPの連続的な、定期的な、または不定期な測定を提供するモニタに繋がれてよい。
薬剤を投与するための好適な複数の製剤(複数の医薬組成物)は、投与の様式に依存するであろう。例えば、非経口投与に適合された製剤は、好ましくは受容者の血液で等張化された滅菌水性製剤を含んでよい。この水性製剤は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して既知の方法に従って処方されてよい。そのような従来の方式で生成された製剤の実例は、水性製剤Remestyp(テルリプレシン)である。当該製剤はまた、例えば、典型的な許容できる希釈剤である1,3−ブタンジオール溶剤、水、リンゲル液、および等張化された塩化ナトリウム溶液などの希釈剤または溶媒における無菌で注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。溶媒または懸濁媒として無菌固定油が使用されてよい。合成モノまたはジグリセリド、および、オレイン酸などの脂肪酸を含む無菌固定油もまた使用されてよい。本明細書において説明される薬剤のほとんどは、市販されており、商業的供給源から容易に入手可能である。
本発明の複数の医薬組成物はまた、希釈剤、増量剤、塩類、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、および当技術分野において周知の他の複数の材料を含有してよい。「医薬的に許容できる担体」という用語は、本発明の(アンギオテンシンIIなどの)治療効果のある物質と共に患者に投与され得る非毒性の担体を指し、これは治療効果のある物質の薬理学的活性を損なわない。「医薬的に許容できる」という用語は、有効成分の生物活性の有効性を妨げない非毒性材料を意味する。担体の特性は投与経路に依存するであろう。「賦形剤」という用語は、医薬的に有効な成分ではない、製剤または組成物への添加剤を指す。
いくつかの態様において、溶解補助剤を本発明の複数の組成物に含むことが有益であり得る。複数の溶解補助剤は、治療効果のある物質(例えば、アンギオテンシンII)または賦形剤を含む、製剤または組成物の複数の成分の何れかの溶解性を増大させるために有用であり得る。本明細書において説明される複数の溶解補助剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数の溶解補助剤として提供される。特定の複数の態様において、溶解補助剤は、エチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびそれらの任意の医薬的に許容できる塩類および/または組み合わせを含むがそれらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明の複数の組成物にpH調整剤を含むことにより、複数の組成物のpHを調節することが有益であり得る。製剤または組成物のpHの変更は、例えば、治療効果のある物質の安定性または溶解性に対して有益な効果を有し得る、または、非経口投与に適した製剤または組成物を製造する上で有用であり得る。複数のpH調整剤が当技術分野において周知である。従って、本明細書において説明される複数のpH調整剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数のpH調整剤として提供される。複数のpH調整剤は、例えば、酸または塩基を含んでよい。いくつかの態様において、pH調整剤は、酢酸、塩酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
いくつかの態様において、複数の組成物中に1または複数の緩衝剤を含むことでpHを中和することが有益であり得る。特定の複数の態様においては、緩衝剤は、例えば、約5.5、約6.0、または約6.5のpKaを有し得る。当業者ならば、適切な緩衝剤が、そのpKaおよび他の性質に基づいて、本発明の複数の組成物に含まれるべく選択され得ることを理解するであろう。当技術分野において、複数の緩衝剤が周知である。従って、本明細書において説明される複数の緩衝剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数の緩衝剤として提供される。特定の複数の態様において、緩衝剤は、次に挙げるもののうちの1または複数を含んでよい:トリス、トリス塩酸、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ナトリウムとリン酸カリウムとの複数の組み合わせ、トリス/トリス塩酸、重炭酸ナトリウム、アルギニンリン酸、塩酸アルギニン、ヒスチジン塩酸塩、カコジル酸塩、コハク酸エステル、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、マレイン酸エステル、ビス−トリス、リン酸塩、炭酸塩、およびそれらの医薬的に許容できる任意の塩類および/または複数の組み合わせ。
いくつかの態様において、本発明の複数の組成物に界面活性剤を含むことが有益であり得る。界面活性剤は、一般的に、液体組成物の表面張力を減少させる。このことは、ろ過の容易さを向上させるなどの有益な性質を提供し得る。界面活性剤はまた、乳化剤および/または溶解補助剤として作用する。当技術分野において複数の界面活性剤が周知である。従って、本明細書において説明される複数の界面活性剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数の界面活性剤として提供される。含まれてよい複数の界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80)などのソルビタンエステル、リポ多糖体、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400およびPEG3000)、ポロキサマー(すなわち、プルロニック)、エチレンオキシドおよびポリエチレンオキシド(例えば、トリトンX−100)、サポニン、リン脂質(例えば、レシチン)、ならびにそれらの複数の組み合わせを含むがそれらに限定されない。
いくつかの態様において、本発明の複数の組成物に等張化剤を含むことが有益であり得る。液体組成物の浸透圧は、例えば非経口投与で患者に組成物を投与するときに重視すべきことである。したがって等張化剤は、投与に適した製剤または組成物の生成を助けるべく使用されてよい。当技術分野において複数の等張化剤が周知である。従って、本明細書において説明される複数の等張化剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数の等張化剤として提供される。等張化剤は、イオンまたは非イオンであってよく、限定されないが、無機塩類、アミノ酸、炭水化物、糖類、糖アルコール、および炭水化物を含む。典型的な無機塩類は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムを含んでよい。典型的なアミノ酸はグリシンである。典型的な糖は、グリセロール、プロピレングリコール、グルコース、スクロース、ラクトース、およびマンニトールなどの糖アルコールを含んでよい。
いくつかの態様において、本発明の複数の組成物に分解防止剤を含むことが有益であり得る。分解防止剤は、本発明の複数の組成物中の治療効果のある物質の安定性を高めるのに役立つ。このことは、例えば、治療効果のある物質の分解を低減する、または治療効果のある物質の凝集を防止することにより起こり得る。理論に縛られることを望むものではないが、安定性を高めるための機序は、治療効果のある物質の溶媒からの隔離、またはアントラサイクリン化合物のフリーラジカルによる酸化の抑制を含んでよい。当技術分野において複数の分解防止剤が周知である。従って、本明細書において説明される複数の分解防止剤は、完全なリストを構成するようには意図されないが、本発明の複数の組成物に使用されてよい、単なる例示的な複数の分解防止剤として提供される。分解防止剤は、限定されないが、乳化剤および界面活性剤を含んでよい。
アンギオテンシンIIまたはカテコールアミンの投与は、任意の簡便な経路、例えば、(急速静注または一定注入による、の何れかを使用する)静脈内、筋肉内、皮下、または吸入によるものであり得る。アンギオテンシンIIおよびカテコールアミンは一緒に、または単独で投与されてよい。
本発明の一態様は、高心拍出量性ショック(例えば、カテコールアミン耐性高心拍出量性ショック)を有し、ノルエピネフリンの少なくとも約0.2mcg/kg/分に相当する用量でのカテコールアミンによる治療を受けている被験対象に、被験対象の血圧を約65mmHgまたはそれより高い平均動脈圧(MAP)に上げるのに効果的であり、約65mmHgのMAPを維持するために必要なカテコールアミンの用量を約0.05以上0.2mcg/kg/分以下のノルエピネフリンに相当する用量に減らすのに効果的なアンギオテンシンIIの用量を投与する段階を備える方法である。
a.カテコールアミンはノルエピネフリンである、または、
b.カテコールアミンはエピネフリンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する用量は、0.1mcg/kg/分である、または、
c.カテコールアミンはドーパミンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する用量は、15mcg/kg/分である、または、
d.カテコールアミンはフェニレフリンであり、ノルエピネフリンの0.1mcg/kg/分に相当する用量は、1.0mcg/kg/分である。
ノルエピネフリンの固定用量に関してアンギオテンシンの用量を調節することにより、約0.25ng/kg/分から約5ng/kg/分のアンギオテンシンIIの用量が、約65mmHgまたはそれより高い平均動脈圧(MAP)を維持するために必要なノルエピネフリンの量を、約0.05mcg/kg/分またはそれより少ないエピネフリンに減らすのに効果的である程アンギオテンシンIIに対して十分反応する一部の被験対象に属するとして被験対象を特定(被験対象を選択)する段階と、
先述のように決定された用量で被験対象にアンギオテンシンIIの投与を続ける段階と、
をさらに含む。
実施例−高心拍出量性ショック治療のための静注アンギオテンシンII
A.方法
対象患者
患者らは21歳を超える年齢であり、高心拍出量性ショックを有するとみなされた。高心拍出量性ショックは心血管連続臓器機能評価(SOFA)スコアが4、および心係数が2.4リットル/分/BSA1.73m2より大きいとして定義される[10]。患者らはまた、標準的な治療の一部として、留置動脈ライン(indwelling arterial line)および導尿カテーテルを有していた。加えて、各被験者は、十分な量の輸液による蘇生がなされて、輸液反応性なし(すなわち、輸液を急速静注しても心係数が15%まで増加することはない)と臨床的に評価された。標準治療は、初期蘇生として20−30cc/kgのクリスタロイドで蘇生するものであった。除外基準には、急性冠動脈症候群の患者、血管攣縮またはぜんそくの既知の既往歴、現在気管支けいれんを患っているあらゆる患者、または、4単位より多くの赤血球濃厚液、7g/dLより少ないヘモグロビンの輸血が必要であると予期される活動性出血の患者、若しくは連続血液サンプルを抜き取ることに禁忌を示すであろう任意の他の疾患を有する患者を含んだ。
研究への参加にあたって、患者らは以下のランダム化手順(コンピュータで発生させた乱数)でランダムに割り当てられ、アンギオテンシンII酢酸塩注入(クリナルファ(Clinalfa)、Bachem AG、ハウプトシュトラッセ144、4416ブーベンドルフ、スイス)またはプラシーボ注入(以下ではそれぞれ治験薬およびプラシーボと呼ばれる)の何れかを投与される。研究者、臨床試験を支えるスタッフ、患者、およびその家族は研究期間の間治療の割り当てについて知らないままであった。
参加した患者らはランダムに選ばれ、20ng/kg/分の初期濃度に相当する滴下速度で落ちるよう計算された、生理食塩水での治験薬の注入に加え、高心拍出量性ショックのための標準治療を受けた。治験薬は不透明なセロファンのバッグで準備され、その内容物は、研究者、看護師、または、患者への直接的な看護にあたる他の何れの者にも分からなかった。治験薬は合計6時間にわたって投与され、投与量(および対応する滴下速度)の調節は1時間毎に行われた。治験薬の投与量調節は、65mmHgまたはそれよい高い平均動脈圧(MAP)を維持するために必要であり、われわれの機関では標準的な医療行為である標準治療法(いずれの場合も、ノルエピネフリン注入に加えて、バソプレシン、エピネフリン、および/またはフェニレフリンの注入)の付随要件に基づいて、事前に特定されたプロトコルによって決定された。治験薬用量設定プロトコルは、前述の標準的なMAPの目標である65mmHgを達成するために(5−10mcg/分の間のノルエピネフリン投与量と併せて)必要とされたATIIの用量を明らかにするように考案された。図1に、用量設定プロトコルが示されている。ATIIの用量設定の最大許容投与量は40ng/kg/分であり、最小量は5ng/kg/分であった。6時間後、治験薬注入の投与量が5ng/kg/分を下回るまで10分毎に半減されることにより治験薬注入は漸減され、その後中断された。
主要評価項目は、65mmHgのMAPを維持するために必要とされた、ノルエピネフリンの現行用量に対するATII注入の効果であった。二次的な評価項目は、尿排出量、血清乳酸、心拍出量、および30日死亡率に対するATII注入の効果を含んだ。
この種に類似した研究に倣って、患者の小コホートが解析された。本明細書において概説された用量でATIIがノルエピネフリンの用量に影響を及ぼすかどうかを判断するための根拠を引き出すべく、20人の患者の集団であって、各群に10人の患者が決定された。独立したデータ安全性評価委員会(DSM)が任命され、全ての有害事象が検討された。
この研究への患者のフローは図2に報告されている。20人の患者がランダム化を経て、20人の患者全てが研究に参加し、研究を終えた(図1)。2つのグループの基本特性が表1に示されている。研究の被験者全員の平均年齢は62.9±15.8歳であった。患者中、75%が男性、45%が白人、および40%がアフリカ系アメリカ人であった。基準のSOFAスコアおよびAPACHE IIスコアはそれぞれ、15.9±3.0および30.6±8.9であった。20人の患者中19人が、0.02−0.08U/分の用量でバソプレシンを同時投与されていた。バソプレシンの投与量は治験期間の間に調整されることはなかった。
アンギオテンシンII+バソプレシン
アンギオテンシンII+バソプレシン+ノルエピネフリン
アンギオテンシンII+バソプレシン+任意のカテコールアミン
メチレンブルー(MB)+アンギオテンシンII
MB+アンギオテンシンII+バソプレシン
MB+アンギオテンシンII+バソプレシン+ノルエピネフリン
MB+アンギオテンシンII+バソプレシン+任意のカテコールアミン
アンギオテンシンII+テルリプレシン
アンギオテンシンII+テルリプレシン+ノルエピネフリン
アンギオテンシンII+テルリプレシン+任意のカテコールアミン
メチレンブルー(MB)+アンギオテンシンII
MB+アンギオテンシンII+テルリプレシン
MB+アンギオテンシンII+テルリプレシン+ノルエピネフリン
MB+アンギオテンシンII+テルリプレシン+任意のカテコールアミン
炎症/敗血症の患者は、糸球体内低血圧およびGFR減少を引き起こす糸球体輸出細動脈の血管拡張に部分的に起因する急性腎臓損傷(AKI)を発症する場合がある。アンギオテンシンIIおよびバソプレシンなどの複数の薬剤の非経口使用は、輸出細動脈の血管収縮を引き起こし、これによりこの作用を軽減する。
HRSは、腸間膜血管拡張が非常に大きく、血液が優先的に消化管に流れ、腎臓から出て行く病気である。HRSは、典型的に肝硬変の患者に発生する。単独で、またはバソプレシンおよび/またはカテコールアミンとの併用でのアンギオテンシンIIは、血管収縮、およびその結果としての腎機能の改善をもたらす。加えて、肝硬変の患者らはしばしば一酸化窒素レベルの増加に起因する血管拡張を有するため、アンギオテンシンII、およびバソプレシン(例えば、テルリプレシン)および/またはカテコールアミンとの併用でのメチレンブルーにより治療され得る。
通常肝硬変に起因する門脈圧亢進症の患者は、食道静脈瘤から出血する傾向がある。門脈圧を下げる薬剤の使用が望ましい。本発明の組成物による治療は、出血の減少をもたらすので、輸血、または出血を止めるための医療行為の必要性がより低くなり、この疾患による死亡が低減される。
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