JP2019214526A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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弓子 山本
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弓子 山本
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Abstract

【課題】高温での保存安定性が良好で、かつべたつき感が低減し、優れた使用感を有する水中油型乳化組成物及びその製造法の提供。【解決手段】(A)(A1)スフィンゴシン類、(A2)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、(A3)セラミド類、及び(A4)炭素数8以上の脂肪酸を含有するベシクル、(B)アニオン性界面活性剤、(C)アルキル変性ポリアクリル酸系ポリマー、アルキル変性多糖類系ポリマー、オキサゾリン変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上の両親媒性高分子、(D)油剤、(E)チューベロース多糖体、並びに(F)水を含有する水中油型乳化組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化組成物及びその製造法に関する。
セラミドは角質細胞間脂質の約50%を占め、角質層機能の改善成分として有用であり、肌荒れ防止、肌乾燥防止、肌の老化防止等の作用を有することが知られている。また、セラミド類としてセラミドだけでなく、セラミド誘導体、擬似セラミドも知られている。しかしながら、これらのセラミド類は、結晶性が強く、融点も高いため、製剤中での安定化が難しいという問題点がある。
セラミド類を配合した保存安定性に優れた組成物としては、セラミド類、スフィンゴシン類、酸性化合物及び炭素数8以上の脂肪酸を含有する皮膚外用剤が知られている(特許文献1)。
一方、乳化粒子径が小さく、さっぱり感が良好な水中油型乳化化粧料の製造法としては、アニオン性界面活性剤と両親媒性高分子と油剤と水とを用いて高pHの乳化物を得た後、乳化物のpHを低減させる方法が知られている(特許文献2)。
特開2005−2018号公報 特開2017−210408号公報
特許文献1記載の皮膚外用剤は、セラミド類の保存安定性には優れているものの皮膚に塗布した際にべたつき感を有し、その使用感においては未だ十分満足できるものではなかった。
従って、本発明の課題は、セラミド類を安定に含有し、かつべたつき感が抑えられ使用感の良好な組成物を提供することにある。
そこで、本発明者は、特許文献1記載の皮膚外用剤の使用感を改善すべく、特許文献1記載の皮膚外用剤に特許文献2の技術を採用することを検討した。しかし、特許文献1記載の成分と特許文献2記載の成分とを用いて水中油型乳化組成物を製造したところ、得られた水中油型乳化組成物は保存安定性、特に高温での保存安定性が十分でなく、また依然としてべたつき感に問題があることが判明した。そこで、本発明者は、さらに検討した結果、特許文献1記載の成分及び特許文献2の成分に加えて、チューベロース多糖体を含有させたところ、高温での保存安定性が良好で、かつべたつき感が低減し、優れた使用感を有する水中油型乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)次の(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)
(A1)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類、
Figure 2019214526
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(A2)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
(A3)一般式(2)で表わされるセラミド類、及び
Figure 2019214526
(式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のとき、R11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(A4)炭素数8以上の脂肪酸
を含有するベシクル、
(B)アニオン性界面活性剤、
(C)アルキル変性ポリアクリル酸系ポリマー、アルキル変性多糖類系ポリマー、オキサゾリン変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上の両親媒性高分子、
(D)油剤、
(E)チューベロース多糖体、並びに
(F)水
を含有する水中油型乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(1)、工程(2)、工程(3)及び工程(4)を有する前記水中油型乳化組成物の製造法を提供するものである。
工程(1):成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)、成分(A4)及び水を含有する成分を混合して乳化物1を得る工程、
工程(2):成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(F)を含有する成分を混合してpH7.5以上の乳化物2を得る工程、
工程(3):乳化物1と乳化物2を混合してpH7.5未満の乳化物を得る工程、
工程(4):工程(1)、工程(2)及び工程(3)から選ばれる1又は2以上の工程において(E)チューベロース多糖体を混合する工程。
本発明の水中油型乳化組成物は、べたつき感が抑えられた優れた使用感を有し、かつ保存安定性、特に高温での保存安定性に優れている。
本発明の水中油型乳化組成物は、前記(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)を含有するベクシル(成分(A))を含む。このうち成分(A1)は、前記一般式(1)で表されるスフィンゴシン類である。
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Y側末端にヒドロキシル基を持つ炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、分岐鎖アルキル基の場合は分岐鎖がメチル分岐のもの等が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソステアリル基が好ましい。
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。特に、X1、X2、及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、特にR3は水素原子であることが好ましい。
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。またアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜6個が置換した総炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられる。
特に水素原子、又はメチル基、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類としては、次の一般式(3)で表わされる天然又は天然型スフィンゴシン類、及びその誘導体(以下、天然型スフィンゴシンと記載する。)、又は一般式(4)で表わされるスフィンゴシン構造を有する擬似型スフィンゴシン類(以下、擬似型スフィンゴシンと記載する。)が好ましい。
(I)一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシン。
Figure 2019214526
(式中、R12はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X8、X9及びX10は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X11は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X8とX9のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X11がオキソ基を形成するとき、X10は存在しない。);R13はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す)
ここでR12としては、炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、特に炭素数13〜15の直鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましい。
一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)等が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(−)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。
特に、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
Figure 2019214526
これらは、天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、D−Sphingosine(4−Sphingenine)(SIGMA−ALDRICH社)、DS−phytosphingosine(DOOSAN社)、Phytosphingosine(Evonik社)が挙げられる。
(II)一般式(4)で表わされる擬似型スフィンゴシン。
Figure 2019214526
(式中、R17はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;a個のR2は各々独立して水素原子又はアミジノ基を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、aは2又は3の数を示す)
ここでR17としては、炭素数14〜20のイソ分岐アルキル基が好ましく、特にイソステアリル基が好ましい。イソステアリル基は、動植物油由来の脂肪酸を用いたダイマー酸製造時の副生成物由来のイソステアルアルコールを原料油として得られるイソステアリル基がもっとも好ましい。
また、aが2のときR2はR18及びR19を示し、aが3のときR2はR18、R19及びR20である。
18、R19及びR20は、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ及びアルコキシから選ばれる置換基を有する総炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
特に、R18及びR19のいずれか1つが水素原子で、他方が2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルである2級アミンが好ましい。
擬似型スフィンゴシンとしては、R17がイソステアリル基、X4は水素原子で、R18が水素原子、R19が2−ヒドロキシエチル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル基、又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換したアルキル基であるものが好ましい。
擬似型スフィンゴシンの具体例としては、次の擬似型スフィンゴシン(i)〜(iv)が挙げられる。
Figure 2019214526
成分(A1)は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の水中油型乳化組成物中の成分(A1)の含有量は、セラミド類を安定に含有させる観点から、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.005質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
本発明で用いる成分(A2)の無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物は、成分(A1)のスフィンゴシン類のアミン基と、酸−塩基の中和反応により塩を形成することにより、スフィンゴシン類がカチオン化されて活性剤的な働きをするようになると考えられる。そして、後述のセラミド類の結晶化を抑制すると考えられる。スフィンゴシン類の塩は、通常化合物の構造を特定するために用いられる、赤外吸収分光法やプロトン核磁気共鳴分光法等を用いて確認することができる。
成分(A2)は、25℃における0.1mol/L水溶液のpHが1以上7未満、特にpH1〜6.5であるものが好ましい。
成分(A2)のうち、無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、炭酸等が挙げられ、特にリン酸、塩酸が好ましい。
炭素数5以下の有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸等が挙げられる。
これらのうち、リン酸、塩酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましく、特にリン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましい。
成分(A2)は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の水中油型乳化組成物中の成分(A2)の含有量は、セラミド類を安定に含有させる観点から、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.005質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
また、成分(A2)は、スフィンゴシン類をカチオン化するために、成分(A1)1モルに対して0.3モル以上、好ましくは0.3〜5モル、更に好ましくは0.5〜3モル含有するのが好ましい。例えば、成分(A)と等モル混合した水溶液のpHが、25℃で2〜6になるのが好ましい(フタル酸塩標準液で補正後、HORIBA pH METER F−22で測定)。
本発明で用いる成分(A3)のセラミド類は、前記一般式(2)で表わされるものである。
式中、R7は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
5、X6及びX7は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。特にX5、X6、及びX7のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
8及びR9は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR9は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR9は水素原子である。
10は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
11は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基である。また、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である。このうち水素原子あるいは、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
一般式(2)で表わされるセラミド類としては、特に次の一般式(5)又は(6)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(5)で表わされる天然又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
Figure 2019214526
(式中、R21はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X12、X13、及びX14は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X15は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X12とX13のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X15がオキソ基を形成するとき、X14は存在しない。);R22はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R23は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R24はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
好ましくは、R21が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;R24がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X15は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R24としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J.Lipid Res.,24:759(1983)の図2、及びJ.Lipid.Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にCERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
Figure 2019214526
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC−001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS−Ceramide VI、DS−CLA−Phytoceramide、C6−Phytoceramide、DS−ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
Figure 2019214526
(II)一般式(6)で表わされる擬似型セラミド。
Figure 2019214526
(式中、R25は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X16は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R26はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R27は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す。)
26としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
27は、R25が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R25がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すものが好ましい。
27のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
一般式(6)としては、R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がノニル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;又はR25がヘキサデシル基、X16がグリセリル基、R26がトリデシル基、R27が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(6)のR25がヘキサデシル基、X4が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。
成分(A3)は1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の水中油型乳化組成物中の成分(A3)の含有量は、セラミド類を安定に含有し、かつべたつき感を低減させる観点から、0.001質量%以上10質量以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
このうち、成分(A3)のセラミド類は、特に成分(A1)が一般式(3)であれば成分(A3)は一般式(5)を、成分(A1)が一般式(4)であれば成分(A3)は一般式(6)を組み合わせるのが好ましい。特に、成分(A3)一般式(2)の窒素に結合したCOR10をHに置換したものを、成分(A1)の一般式(1)として用いるのが、安定性及び効果の点で好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物において、成分(A1)、(A2)及び(A3)の含有重量比率((A1)+(A2))/(A3)は、0.001〜10、特に0.01〜6であるのが、経時的な安定性の点で好ましい。
成分(A4)の脂肪酸は、特にセラミド類を含む乳化物中に存在することにより、乳化安定性を向上させる成分であると考えられる。
成分(A4)の脂肪酸は、総炭素数8以上であれば、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖のいずれでも良い。総炭素数8〜30、特に総炭素数8〜22、更に総炭素数12〜18の脂肪酸が好ましい。
成分(A4)としては、具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リチノレン酸、エイコサン酸、ドコサジエン酸、ドコサン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
成分(A4)は1種以上を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の水中油型乳化組成物中の成分(A4)の含有量は、セラミド類を安定に含有し、かつべたつき感を低減させる観点から、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.005質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明においては、成分(A4)は乳化時にセラミド類と一緒に配合することが、セラミド類の再結晶化を抑制し、安定な状態にあるラメラ構造が形成されるので好ましい。
成分(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)は、これらを含有するベシクルの形態で、本発明の水中油型乳化組成物中に含有される。当該ベシクルの形態で含有することにより、セラミド類がベシクル中に安定に保持され、保存安定性が確保される。ここでベシクルは球殻状に閉じた膜構造を有する小胞であり、内部に液層を有するものであり、ユニラメラ構造だけでなく、マルチラメラ構造のものも含まれる。
成分(B)は、アニオン性界面活性剤である。成分(B)のアニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤が好ましく、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアスパラギン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルサルコシン塩等のN−アシルアミノ酸塩又は炭素数12〜24の脂肪酸塩がより好ましく、さらに好ましくは、炭素数12〜24の脂肪酸塩である。
また、成分(B)のうち、炭素数12〜24の脂肪酸塩は、直鎖の脂肪酸塩または分岐の脂肪酸塩でもよく、飽和の脂肪酸塩または不飽和の脂肪酸塩でも良い。炭素数12〜24の脂肪酸塩において、炭素数は、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、14〜22が好ましく、16〜20がより好ましく、18〜20がさらに好ましい。
成分(B)の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム(NH4 +)塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アンモニウム塩;アルギニン塩、リシン塩、ヒスチジン塩等の塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。これらの中で、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、アルカリ金属塩、有機アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、アルカリ金属塩、塩基性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。
成分(B)は、成分(B)を構成する酸を、酸として配合し、塩基によって中和して塩として含有させることもできる。この場合の成分(B)を中和する塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニウム(NH4 +);モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アンモニウム;アルギニン、リシン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸などが挙げられる。
これらのうち、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、アルカリ金属の水酸化物、有機アンモニウム、塩基性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、アルカリ金属の水酸化物、塩基性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、べたつき感を低減させ、乳化粒子径を小さくする観点から、その含有量は、水中油型乳化組成物中に酸として、0.03質量%以上6質量%以下であるのが好ましく、0.08質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上2.8質量%以下がさらに好ましい。
成分(C)は、アルキル変性ポリアクリル酸系ビニルポリマー、アルキル変性多糖類系ポリマー、オキサゾリン変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上の両親媒性高分子である。
アルキル変性ポリアクリル酸系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、多糖誘導体等が挙げられる。
より具体的には、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー等が好ましい。
市販品としては、例えば、アクリル酸アルキル重合体として、アキュリン33(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体として、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポールETD2020(以上、Lubrizol Advanced Materials, Inc.)等が挙げられる。また、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体としては、アキュリン22(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)等が挙げられる。
アルキル変性多糖類系ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラウレス−13PGヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸塩等が挙げられる。
これらのうち、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラウレス−13PGヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸塩を共に含有することがさらに好ましい。
市販品としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、メトローズ60SH−4000(信越化学工業社製)等が挙げられ;ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、サンジェロース60M(大同化成工業社製)等が挙げられ;ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸塩として、ポイズ310(花王社製)等が挙げられる。
オキサゾリン変性シリコーンとしては、N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントと、オルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマーであり、N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントに対するオルガノポリシロキサンセグメントの質量比(オルガノポリシロキサンセグメントa/N−アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントb)は、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、45/55〜75/25の範囲が好ましく、47/53〜74/26がより好ましく、48/52〜73/27がさらに好ましく、49/51〜72/28がよりさらに好ましく、50/50〜70/30がことさら好ましい。
なお、本発明において、上記質量比は、本発明で用いるオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%で溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基またはフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
オキサゾリン変性シリコーンにおいて、オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量は、乳化粒子径を小さく、高温での保存安定性を向上させる観点から、たとえば1×104以上であり、好ましくは2×104以上、さらに好ましくは3.5×104以上であり、また、たとえば3×105以下であり、好ましくは2×105以下、さらに好ましくは1.5×105以下である。
なお、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は変性オルガノポリシロキサンの平均分子量と略同一である。
ここで、変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)により下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000 + Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量:0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV検出器
サンプル:50μL
また、オキサゾリン変性シリコーンにおいて、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、たとえば5×102以上であり、好ましくは7×102以上、さらに好ましくは8×102以上であり、また、たとえば4×103以下であり、好ましくは3.5×103以下、さらに好ましくは3×103以下である。
なお、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法または上記GPC測定法により測定することが可能であるが、本実施形態においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいう。
オキサゾリン変性シリコーンの具体例として、下記一般式(8)で示すものが挙げられる。
Figure 2019214526
(式中、nは1〜5の数を示し、R34は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、mはモノマーの重合度であって、1〜1000の数を示し、rは平均で10〜2000、pは平均で0〜20、qは平均で1〜20の数を示し、X-は四級アンモニウムイオンの対イオンを示し、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン又は過塩素酸イオンを示す。なお、N−アシルアルキレンイミンの繰り返し単位のN末端には、重合開始剤残基が結合する。)
重合開始剤としては、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、塩酸、ヨウ化水素、硫酸、p−トルエンスルホン酸、過塩素酸等が用いられ、これらの残基が重合後のN−末端に結合する。
オキサゾリン変性シリコーンとして、N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(POLYSILICONE−9)が好ましい。POLYSILICONE−9として、例えば特開2016−6029号公報に記載のものを用いることができる。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば次の一般式(9)で表されるものが挙げられる。
Figure 2019214526
[式中、R36〜R38及びR40〜R41は、それぞれメチル基又はフェニル基を示し、R35、R39及びR42は、それぞれメチル基、フェニル基、又は基R33(OC36f(OC24gO(CH2h−(R43は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、f及びgは平均値で、それぞれ0〜35の数を示し、hは1〜5の数を示す)を示す。ただし、R35、R39及びR42のうち少なくとも1つは基R43(OC36f(OC24gO(CH2h−を示す。d及びeは平均値で、dは1〜200の数を示し、eは0〜50の数を示す]
ポリエーテル変性シリコーンとしては、一般式(9)で示されるポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
市販品としては、例えば、信越化学工業社から販売されている「KF−6015」(PEG−3ジメチコン)、「KF−6019」(PEG−9ジメチコン)、東レ・ダウコーニング・シリコーン社から販売されている「SH−3775M」(PEG−12ジメチコン)、「SH−3771M」(PEG−12ジメチコン)、「SS−2804」(PEG−12ジメチコン)等が挙げられる。
成分(C)としては、高温での保存安定性を向上させ、乳化粒子径を小さくする観点から、アルキル変性多糖類系ポリマー、オキサゾリン変性シリコーンから選らばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、アルキル変性多糖類系ポリマーがより好ましい。
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、べたつき感を低減させ、乳化粒子径を小さくする観点から、含有量は、水中油型乳化組成物中に0.006質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、0.008質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましく、0.01質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.04質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましい。
成分(D)の油剤としては、例えば、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、炭素数10〜24の高級アルコール等が挙げられる。
より具体的には、炭化水素油としては、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン等が挙げられる。これらの炭化水素油のうち、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、流動パラフィン、流動イソパラフィン及びスクワランから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、流動イソパラフィン及びスクワランから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油及びテトラエステル油が挙げられる。
モノエステル油としては、炭素数2〜24の脂肪族又は芳香族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のモノエステルが挙げられ、具体例としては、2−エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−ヘキシルデシルステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、イソデシルベンゾエート、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、安息香酸アルキル(C12〜C15)等が挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル及びメトキシケイヒ酸オクチルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、イソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸イソトリデシルから選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。
ジエステル油としては、炭素数3〜18のジカルボン酸のジエステル、多価アルコールのジ脂肪酸エステル等が挙げられ、具体例としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール及びジイソステアリン酸プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ジカプリル酸プロピレングリコール及びジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。
トリエステル油としては、3価以上の多価アルコールのトリ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、トリミリスチン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、オリーブ油、ホホバ油等が挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンがより好ましい。
テトラエステル油としては、4価以上の多価アルコールのテトラ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットが挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット及びテトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリットがより好ましい。また、テトラエステル油は、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリットを含むことがさらに好ましい。
エーテル油としては、ジアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ジヘキシルエーテル、ジカプリリルエーテル、セチル−1,3−ジメチルブチルエーテル等が挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、ジカプリリルエーテル及びセチル−1,3−ジメチルブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、セチル−1,3−ジメチルブチルエーテルがより好ましい。
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、網状型メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。これらの中では、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン及び網状型メチルポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、メチルポリシロキサンがより好ましい。また、シリコーン油は、メチルポリシロキサンを含むことがさらに好ましい。
炭素数10〜24の高級アルコールとしては、乳化粒子径を小さくし、さっぱり感をより向上させる観点から、炭素数12〜22の高級アルコールが好ましく、炭素数16〜22の高級アルコールがより好ましく、炭素数18〜22の高級アルコールがさらに好ましく、炭素数18と22の高級アルコールを含有するのがよりさらに好ましい。
成分(D)の油剤としては、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、炭素数10〜24の高級アルコールから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、エステル油の中ではジエステル油が好ましく、さらに炭化水素油、シリコーン油、炭素数10〜24の高級アルコールから選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましい。また、乳化粒子径を小さくし、さっぱり感を向上させ、肌に塗布時の液垂れを抑制する観点から、炭素数10〜24の高級アルコールを含有することがさらに好ましい。
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、乳化粒子径を小さく、高温での保存安定性を向上させる観点から、含有量は、水中油型乳化組成物中に3質量%以上35質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましく、10質量%以上28質量%以下がさらに好ましい。
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の酸としての質量割合[〔(B)の酸としての質量〕/(D)]は、乳化粒子径を小さくし、さっぱり感を向上させる観点から、0.002〜0.35が好ましく、0.020〜0.30がより好ましく、0.030〜0.25がさらに好ましい。
成分(E)は、チューベロース多糖体である。ここで、チューベロース多糖体は、グルクロン酸、マンノース、アラビノース、ガラクトース、キシロースを構成成分として含有し、分子量が1.0×104〜2×107である酸性ヘテロ多糖類である。詳細な構造は、特開昭64−10997号公報に記載された通りであり、製造方法としては、例えば、特開昭64−10997号公報の実施例1に記載されているように、チューベロースPolianthes tuberosa Linne(')のカルスを培養することから得られの方法などが挙げられる。
チューベロース多糖体としては、ソフケアTP−S(有効分1質量%、花王社製)等の市販品を用いることができる。
成分(E)の水中油型乳化組成物中の含有量は、高温での保存安定性、べたつき感を低減させる観点から、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましく、6質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
成分(F)水の含有量は、水中油型乳化組成物中に、保存安定性、べたつき感を低減させる観点から、25質量%以上95質量%以下が好ましく、35質量%以上92.5質量%以下がより好ましく、40質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物中には、上記成分以外に、通常の化粧料で使用される成分、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等の多価アルコール;グリシンベタイン、尿素、アミノ酸等の保湿剤;アラントイン、酢酸トコフェロール等の薬効剤;セルロースパウダー、ナイロンパウダー、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素等を含有させることができる。
本発明の水中油型乳化組成物においては、成分(A)がベシクル形態で存在する他、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含む成分も乳化粒子として存在するのが好ましい。なお、成分(E)は、ベシクルとイオン間相互作用によりネットワークを強固にすることでベシクル及び乳化粒子のクリーミングを抑制し安定化していると考えられる。
このような形態の本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、次の工程(1)、工程(2)、工程(3)及び工程(4)を含む方法により製造できる。
工程(1):成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)、成分(A4)及び水を含有する成分を混合して乳化物1を得る工程、
工程(2):成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(F)を含有する成分を混合してpH7.5以上の乳化物2を得る工程、
工程(3):乳化物1と乳化物2を混合してpH7.5未満の乳化物を得る工程、
工程(4):工程(1)、工程(2)及び工程(3)から選ばれる1又は2以上の工程において(E)チューベロース多糖体を混合する工程。
工程(1)において、成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)及び水を乳化する際に、成分(A4)をセラミド類と一緒に添加して混合するのが好ましい。この乳化物1は、透明、半透明又は白濁した状態に製造される。ここで透明、半透明とは積分球光電散乱光度計により測定した濁度(カオリン標準:精製カオリン1mg/1リットル水の濁りを濁度1ppmとする。)が1〜1500ppmのものをいう。成分(A1)、(A2)及び(A3)の含有重量比率((A1)+(A2))/(A3)が0.2以上で透明、半透明の乳化物が得られ、0.2未満では白濁した乳液状となる。また、乳化物1の油滴の平均粒子径は、3nm〜200μmの範囲で外観、用途に応じて適宜製造されるが、乳化物1の外観の安定性の点で5nm〜50μm、特に5nm〜10μmであるのが好ましい。平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、HORIBA LB−500)又はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA LA−920)で測定される。
工程(2)においては、前記成分(B)、(C)、(D)及び(F)を含む成分を混合して、乳化物2を得る。
これら成分の混合方法は特に制限されず、通常の方法により行うことができる。例えば、成分(B)、(C)、(D)を含む油相を調製し、成分(F)を含む水相を調製し、前記水相に油相を加え、混合することにより乳化物2を得ることができる。
工程(2)で得られる乳化物2は、乳化粒子径を小さくする観点から、pH7.5以上であるのが好ましく、pH8.0以上がより好ましく、pH8.3以上がさらに好ましく、pH8.8以上がよりさらに好ましい。また、乳化粒子径を小さくする観点から、pH12.5以下が好ましく、pH12.0以下がより好ましく、pH11.6以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、pHは、pHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用い、25℃で測定する。
工程(3)は、工程(1)で得られた乳化物1と工程(2)で得られた乳化物2を混合し、pH7.5未満の乳化物を得る工程である。
工程(2)において、乳化粒子径が小さい乳化物2を得た後、pHを7.5未満に下げることにより、成分(B)の含有量を低減することができ、乳化粒子径が小さいまま維持され、高温での保存安定性に優れた水中油型乳化化粧料を得ることができると考えられる。
工程(3)において、工程(1)で得られた乳化物1と工程(2)で得られた乳化物2を混合し、pH7.5未満の乳化物を得るには、工程(2)で得られた乳化物2に、直接pHを下げる成分(G)を添加しながら、工程(1)で得られた乳化物1を混合して得ることもできるが、成分(A2)により工程(1)で得られる乳化物1をpH7.5未満に調製しておき、工程(1)で得られた乳化物1を混合することにより、乳化物2のpHを下げることが好ましい。
pHを下げる成分(G)としては、無機酸、炭素数8以下の有機酸から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
無機酸としては、塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸が挙げられ、乳化粒子径を小さくする観点から、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、リン酸、ホスホン酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましく、リン酸がさらに好ましい。
炭素数8以下の有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸が挙げられ、乳化粒子径を小さくする観点から、モノカルボン酸、ジカルボン酸、酸性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ジカルボン酸、酸性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上がより好ましく、酸性アミノ酸がさらに好ましい。
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、含有量は、乳化化粧料中に0.01〜2質量%であるのが好ましく、0.015〜1.5質量%がより好ましく、0.02〜1.2質量%がさらに好ましい。
工程(3)で得られる乳化物は、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、pH7.5未満であるのが好ましく、pH7.4以下がより好ましく、pH7.3以下がさらに好ましい。また、pH2.6以上が好ましく、pH2.7以上がより好ましく、pH2.8以上がさらに好ましい。
なお、pHは、工程(2)の乳化物2のpHの測定と同様の方法で測定される。
工程(2)で得られる乳化物2のpHと、工程(3)で得られる乳化物2のpHの差の変化率、[〔(工程(2)の乳化物2のpH)−(工程(3)の乳化物のpH)〕/(工程(2)の乳化物2のpH)]は、乳化粒子径を小さくし、高温での保存安定性を向上させる観点から、0.18〜0.80であるのが好ましく、0.22〜0.77がより好ましく、0.25〜0.74がさらに好ましい。
工程(4)は、工程(1)、(2)及び(3)から選ばれる1又2以上の工程において成分(E)を混合する工程である。成分(E)は、水とともに混合するのが好ましく、工程(1)、(2)及び(3)のいずれの工程に添加してもよいが、工程(2)の成分(F)を含む水相に添加することが好ましい。
このようにして得られる水中油型乳化組成物は、乳化粒子径(D50)が1〜10μmであるのが好ましく、1〜9μmであるのがより好ましい。
なお、本発明において、乳化粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(Partica LA-950V2、HORIBA社製)にて測定される体積粒径である。また、乳化粒子径(D50)は、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、同様に、乳化粒子径(D90)は、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して90%になる粒径である。
また、本発明により得られる水中油型乳化組成物は、塗布時の伸ばしやすさを向上させる観点から、25℃における粘度が、900〜150000mPa・sであるのが好ましく、4000〜100000mPa・sがより好ましく、8000〜80000mPa・sがさらに好ましい。
なお、本発明において、粘度は、25℃にてB型粘度計(東機産業社製)を用いて測定する。
本発明の水中油型乳化組成物は、セラミド類を安定に含有しているため、特に皮膚化粧料として使用するのが好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜3及び比較例1
(製造方法)
(製造工程1 乳化物1)
成分(1)、(3)〜(7)を90℃に加熱溶解する。別途、成分(2)、(8)を90℃に加熱溶解しておいたものをプロペラで攪拌しながら加え、20分間保持した。その後、ホモミキサー(7000rpm)で攪拌後、プロペラで攪拌しながら25℃まで冷却して、pH3.5の乳化物1を得る。
(製造工程2 乳化物2)
80℃にて、(9)〜(11)及び(13)〜(15)をディスパー3000rpm/5分で混合し、油相を調製した。その後、(12)、(16)を混合して水相を調製した。その後、前記油相に水相を加え、ディスパー7000rpm/10分で混合し、さらに、ホモミキサー3000rpm/10分で混合した。その後、プロペラ撹拌機300rpmで混合しながら、1℃/1分の速さで25℃まで冷却して、pH7.5の乳化物2を得た。
(製造工程3)
製造工程2で得られたpH7.5の乳化物2に、製造工程1で得られたpH3.5の乳化物1を撹拌機300rpm/5分で混合して、pH5.0の水中油型乳化化粧料を得た。
なお、製造工程2において、成分(9)は、組成物中では、L−アルギニンと塩を形成し、成分(B)であるステアリン酸アルギニン塩として存在する。
(評価方法)
保存安定性:
各水中油型乳化化粧料をガラス瓶(広口規格瓶、PS−NO.6、50g、東京硝子社製)に40g充填し、密閉し、50℃で2週間の保存加速試験に供した。2週間後、各化粧料組成物を取り出し、外観を目視観察しガラス瓶の上層又は下層に透明に分離した液の割合(mm)を、目視で評価した。
使用感:
専門パネラー3名により、各水中油型乳化化粧料0.2gを手の甲に塗布した。その後、直径6cmの円を描くように1秒間に1回の速さで20秒間マッサージし、マッサージ終了後の皮膚を、手で触り、使用感を評価した。評価は、非常にべたつかないと感じた場合を5、べたつくと感じた場合を1とした5段階で評価し、その平均点を算出した。
Figure 2019214526
実施例4〜6
Figure 2019214526

Claims (5)

  1. (A)次の(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)
    (A1)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類、
    Figure 2019214526
    (式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
    (A2)無機酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる酸性化合物、
    (A3)一般式(2)で表わされるセラミド類、及び
    Figure 2019214526
    (式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のとき、R11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
    (A4)炭素数8以上の脂肪酸
    を含有するベシクル、
    (B)アニオン性界面活性剤、
    (C)アルキル変性ポリアクリル酸系ポリマー、アルキル変性多糖類系ポリマー、オキサゾリン変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上の両親媒性高分子、
    (D)油剤、
    (E)チューベロース多糖体、並びに
    (F)水
    を含有する水中油型乳化組成物。
  2. 成分(B)が、炭素数12〜24の脂肪酸塩から選ばれる1種以上である請求項1記載の水中油型乳化組成物。
  3. 成分(A4)が、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リチノレン酸、エイコサン酸、ドコサジエン酸、ドコサン酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
  4. 成分(D)が、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、及び炭素数10〜24の高級アルコールから選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の水中油型乳化組成物。
  5. 次の工程(1)、工程(2)、工程(3)及び工程(4)を有する請求項1記載の水中油型乳化組成物の製造法。
    工程(1):成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)、成分(A4)及び水を含有する成分を混合して乳化物1を得る工程、
    工程(2):成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(F)を含有する成分を混合してpH7.5以上の乳化物2を得る工程、
    工程(3):乳化物1と乳化物2を混合してpH7.5未満の乳化物を得る工程、
    工程(4):工程(1)、工程(2)及び工程(3)から選ばれる1又は2以上の工程において(E)チューベロース多糖体を混合する工程。
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