本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
長手方向と幅方向とを有し、前記長手方向の中央部において、端部よりも幅の狭い幅狭部を有する吸収性コアを備え、前記長手方向における前記吸収性コアの中央の幅は、15mm以上45mm以下であり、包装状態において、前記幅方向に沿う折り線により二つ折りされる低体重児用の使い捨ておむつであって、二つ折りされている前記使い捨ておむつを、前記長手方向に展開かつ伸長した状態で、肌側面を下にして台の上面に押しつけた後に、前記使い捨ておむつの上に、前記使い捨ておむつの全面を覆う大きさの板を載せ、前記板の上に1kgのおもりを載せて2分間放置した後に、前記おもり及び前記板を取り外し、前記上面の上で自然状態にしたとき、前記吸収性コアは、前記上面に沿う第1領域と、前記上面から上方に離間している第2領域とを有し、前記第1領域と前記第2領域との境界となる別の折り線が形成されていること、を特徴とする低体重児用の使い捨ておむつである。
このような低体重児用の使い捨ておむつによれば、吸収性コアの幅狭部により低体重児が脚を動かしやすくなる。また、吸収性コアが長手方向の異なる複数の位置で折れるため、丸みのある臀部に沿って湾曲しやすい。よって、低体重児への吸収性コアのフィット性を向上させることができる。
かかる低体重児用の使い捨ておむつであって、前記長手方向において、前記折り線の両側に前記別の折り線が形成されていること、を特徴とする低体重児用の使い捨ておむつである。
このような低体重児用の使い捨ておむつによれば、吸収性コアの折れ起点が多く、吸収性コアが臀部にさらに沿いやすくなる。
かかる低体重児用の使い捨ておむつであって、前記折り線を含む領域における吸収性コア2の前記幅方向の剛性は、1.1N以下であること、を特徴とする低体重児用の使い捨ておむつである。
このような低体重児用の使い捨ておむつによれば、低体重児の脚を閉じた時に、吸収性コアで低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。また、包装時の折り線以外の別の折り線が形成されやすい。
かかる使い捨ておむつであって、前記吸収性コアの密度は0.0155g/cm3未満であること。
このような使い捨ておむつによれば、吸収性コアが軟らかく、包装時の折り線以外の別の折り線が形成されやすい。
かかる使い捨ておむつであって、前記使い捨ておむつを、前記長手方向に展開かつ伸長した後に、肌側面を下にして台の上面に載せた自然状態において、前記上面に垂直な方向における前記使い捨ておむつの高さは70mm未満であること。
このような使い捨ておむつによれば、包装時の折り線でおむつが二つに折れにくく、低体重児の股間部や臀部に吸収性コアを沿わせつつ、おむつを装着しやすい。よって、低体重児への吸収性コアのフィット性を向上させることができる。
かかる使い捨ておむつであって、二つ折りされている前記使い捨ておむつを、前記長手方向に展開かつ伸長した状態で、肌側面を下にして台の上面に押しつけた後に、前記使い捨ておむつの上に、前記使い捨ておむつの全面を覆う大きさの板を載せ、前記板の上に1kgのおもりを載せて2分間放置した後に、前記おもり及び前記板を取り外し、前記上面の上で自然状態にしたとき、前記上面に垂直な方向における前記使い捨ておむつの高さは60mm以下であること。
このような使い捨ておむつによれば、装着前におむつを揉む等の対策を行う看護師等にも、低体重児への吸収性コアのフィット性の良さを認識させることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記長手方向おいて前記吸収性コアの中央から前記幅狭部の一端までの長さは、前記吸収性コアの前記長手方向の長さの22%以上の長さであること。
このような使い捨ておむつによれば、長手方向に延びた幅狭部によって、低体重児の脚を引き上げやすくなる。
かかる使い捨ておむつであって、前記長手方向おいて前記吸収性コアの中央から前記幅狭部の他端までの長さは、前記吸収性コアの前記長手方向の長さの22%以上の長さであること。
このような使い捨ておむつによれば、おむつを通常装着する場合にも、前後逆装着する場合にも、長手方向に延びた幅狭部によって、低体重児の脚を引き上げやすくなる。
かかる使い捨ておむつであって、前記幅狭部の前記幅方向の両側端は、前記長手方向に沿う直線部を有すること。
このような使い捨ておむつによれば、長手方向のより広い範囲において、吸収性コアの幅を狭くでき、低体重児の脚を引き上げやすくなる。
かかる使い捨ておむつであって、前記長手方向の一方側の胴回り部から幅方向の両外側に延出する一対のファスニングテープを有し、前記使い捨ておむつが前記長手方向に展開かつ伸長した状態において、前記使い捨ておむつの前記長手方向の前記他方側の端から、前記幅狭部の前記長手方向の前記他方側の端までの前記長手方向の長さは、前記使い捨ておむつの前記長手方向の前記一方側の端から、前記ファスニングテープの前記長手方向の他方側の端までの前記長手方向の長さ以上であること。
このような使い捨ておむつによれば、ファスニングテープのおおよその係止位置を越えて、つまり、低体重児の脚の引き上げ位置を越えて幅狭部が設けられていないため、幅狭部が不要に長くなく、吸収性コアの吸収能力を確保できる。
かかる使い捨ておむつであって、前記幅狭部には、前記吸収性コアが前記幅方向に沿って折れ曲がるように誘導する第1折り誘導部、第2折り誘導部、及び、第3折り誘導部が、前記長手方向に並んで配置されていること。
このような使い捨ておむつによれば、おむつを通常装着する場合にも、前後逆装着する場合にも、胎内にいた時の姿勢を取る低体重児にフィットするように、おむつが立体的に変形する。
かかる使い捨ておむつであって、前記第1折り誘導部は、前記第2折り誘導部よりも前記長手方向の一方側に配置され、前記第3折り誘導部は、前記第2折り誘導部よりも前記長手方向の他方側に配置され、前記第1折り誘導部、及び、前記第3折り誘導部の少なくとも一方は、前記幅狭部において、前記吸収性コアの幅が狭くなり始める部位に配置されていること。
このような使い捨ておむつによれば、低体重児の引き上げた脚の腹側の脚の付け根にて、おむつを折ることができ、低体重児の身体にフィットする。また、長手方向のより広い範囲において、吸収性コアの幅を狭くでき、低体重児の脚を引き上げやすくなる。
かかる使い捨ておむつであって、前記吸収性コアは前記長手方向に対称形状であること。
このような使い捨ておむつによれば、おむつを通常装着することも、前後逆装着することもできる。
かかる使い捨ておむつであって、前記使い捨ておむつの前記幅方向の両側部に、一対の立体ギャザー部が配置されており、前記立体ギャザー部は、前記長手方向に伸縮する立体ギャザー部用弾性部材によって、肌側に起立可能であり、前記使い捨ておむつが前記長手方向に展開かつ伸長した状態における前記立体ギャザー部用弾性部材の伸縮部の長さよりも、前記幅狭部の前記長手方向の長さの方が長いこと。
このような使い捨ておむつによれば、立体ギャザー部用弾性部材を幅狭部に配置でき、立体ギャザー部の起立高さを確保できる。
===実施形態===
低体重児用の使い捨ておむつとは、3000グラム以下(特に2500グラム未満)の乳児を対象としたおむつである。以下、低体重児用の使い捨ておむつとして、ファスニングテープで低体重児に装着するテープ型使い捨ておむつを例に挙げて実施形態を説明する。ただし、低体重児用の使い捨ておむつは、テープ型に限定されず、例えば、ファスニングテープを備えないパッドタイプの使い捨ておむつであってもよい。
<<テープ型使い捨ておむつ1の構成>>
図1は、長手方向に展開かつ伸長した低体重児用のテープ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」という)を肌側から見た平面図である。図2Aは、第1胴回り部1Aの概略断面図であり、図2Bは、股下部1Bの概略断面図である。
おむつ1は長手方向と幅方向とを有する。また、おむつ1は、第1胴回り部1Aと、股下部1Bと、第2胴回り部1Cとを長手方向に並んで有する。図2Aに示すように、おむつ1を構成する各部材が積層された方向を厚さ方向という。厚さ方向において、着用者に接する側を肌側といい、その反対側を非肌側という。
おむつ1は、排泄液を吸収する吸収性コア2と、吸収性コア2よりも肌側に配置された液透過性のトップシート3と、吸収性コア2よりも非肌側に配置された液不透過性の防漏シート4と、防漏シート4よりも非肌側に配置され、おむつ1の外形形状を成す外装シート5と、トップシート3の幅方向の両側部から幅方向の外側に延出する一対のサイドシート6とを有している。
吸収性コア2として、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー(所謂SAP)を含有させたものを所定の形状に成形したものや、親水性のシートにSAP層を付着させたSAPシートや、液体吸収性繊維をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシート等を例示できる。吸収性コア2は、液透過性のティッシュペーパーや不織布等のコアラップシート2Aで被覆されていてもよい。
おむつ1の幅方向の両側部には、一対の立体ギャザー部8、及び、着用者の脚回りに沿うように長手方向に伸縮する一対の脚回り弾性部材10が配置されている。立体ギャザー部8は、長手方向に伸縮する立体ギャザー部用弾性部材9によって、サイドシート6の一部が肌側に起立する。立体ギャザー部8によって、排泄物が堰き止められる。
脚回り弾性部材10は、幅方向における立体ギャザー部8の起立起点(サイドシート6をトップシート3に接着する接着剤(不図示)の幅方向内側端)よりも幅方向の外側に配置されている。脚回り弾性部材10によって、おむつ1は着用者の脚回りにフィットし、排泄物の漏れが抑制される。
立体ギャザー部用弾性部材9、及び、脚回り弾性部材10として、糸ゴム等の糸状弾性部材を例示できる。但しこれに限らず、伸縮性フィルム等のシート状弾性部材であってもよい。
また、立体ギャザー部用弾性部材9、及び、脚回り弾性部材10は、それぞれ、長手方向に伸縮性が発現される伸縮部(有効長部分)を有する。立体ギャザー部用弾性部材9、及び、脚回り弾性部材10のうち、長手方向に伸長した状態でシートに固定された部位が伸縮部となる。図面には伸縮部のみを示す。
また、おむつ1は、第1胴回り部1A(長手方向の一方側の胴回り部)から幅方向の両外側に延出する一対のファスニングテープ7を有する。ファスニングテープ7は、テープ基材7Aと、フック材7Bとを有する。テープ基材7Aは幅方向に長い略長方形状を成す。フック材7Bは例えば面ファスナーの雄部材であり、テープ基材7Aの肌側面に設けられている。
おむつ1の装着時、展開状態のおむつ1は着用者にあてがわれつつ長手方向の略中央で2つ折りされる。次に、第1胴回り部1Aの幅方向の両側部が内側に折り返される。最後に、ファスニングテープ7のフック材7Bが、第2胴回り部1Cの非肌側面に係止される。
また、おむつ1は低体重児用である。そのため、おむつ1を長手方向に展開かつ伸長した状態における、おむつ1の長手方向の長さ(製品長L1)は175mm〜330mm程度にするとよい。詳しくは、体重2500g未満用の製品長L1を310mm、体重1500g未満用の製品長L1を270mm、体重1000g未満用の製品長L1を230mm程度にするとよい。
また、おむつ1のウェスト寸法は160〜295mm程度にするとよい。詳しくは、体重2500g未満用のウェスト寸法を273.5mm、体重1500g未満用のウェスト寸法を220mm程度にするとよい。ウェスト寸法は、一方のファスニングテープ7の幅方向の先端を、他方のファスニングテープ7が有するフック材7Bの幅方向の根本側の端に合わせた状態で、製品を幅方向に皺なく伸長させた状態での寸法である。
<<おむつ1の前後逆装着>>
図3Aから図3Cは、おむつ1の装着状態の説明図である。低体重児の中でも特に2500グラム未満で出産された低体重児は、胎内にいた時の姿勢で、うつぶせで過ごすことが望ましいとする考え方がある。胎内にいた時の姿勢とは、図3Aに示すようにC字状に背中が丸まるとともに、図3Cに示すように脚がM字に開脚しつつ、両膝が腹部に付く位に引き付けられた状態である。以下、このような姿勢を「屈曲したうつぶせ姿勢」ともいう。
また、低体重児の身体に極力触れないことが望ましいとするミニマルハンドリングの考え方がある。
よって、おむつ1の交換時に、低体重児を仰向けにせずに、うつぶせの低体重児の脚の間におむつ1を通し、うつぶせのままの低体重児におむつ1を交換することがある。そのため、図3Aに示すように、ファスニングテープ7が設けられた第1胴回り部1Aが背側を覆うように装着される通常の装着だけでなく、図3Bに示すように、第1胴回り部1Aが腹側を覆うように装着される前後逆装着が行われることがある。前後逆装着の場合、うつぶせの低体重児の腹部の下に手を入れて、ファスニングテープ7の係止や取り外しを行う必要がなくなる。
また、ファスニングテープ7が固定されている第1胴回り部1Aの一部を切り取るための切り取り線11がおむつ1に設けられているとよい。そうすることで、低体重児からのおむつ1の取り外しが容易となる。
<<低体重児用のおむつ1の特徴>>
図4A及び図4Bは、おむつ1の包装方法の説明図である。図4Cは、比較例のおむつ1’の装着状態の説明図である。図5は、吸収性コア2の平面図である。図6A及び図6Bは、製品長L1の説明図である。図7A及び図7Bは、見かけ製品長L2及び見かけ高さH2の説明図である。図6A及び図7Aは測定時のおむつ1の概略斜視図であり、図6B及び図7Bは測定時のおむつ1の概略断面図である。
おむつ1は、包装状態において、幅方向に沿う折り線FLにより二つ折りされている。具体的には、図4Aに示すように、おむつ1の幅方向の両側部が幅方向の内側に折られた後に、図4Bに示すように、おむつ1の長手方向中央の折り線FLにより2つ折りされた状態で包装されている。
ここで、おむつ1の「製品長L1」、「見かけ製品長L2」、「見かけ高さH2」を定義する。
「製品長L1」とは、二つ折りされているおむつ1を、長手方向に展開かつ伸長した状態における、おむつ1の長手方向の長さL1である(図1、図6A、図6B参照)。
「見かけ製品長L2」とは、おむつ1を、長手方向に展開かつ伸長した後に、おむつ1の肌側面を下にして台の上面に載せた自然状態における、おむつ1の長手方向の長さL2である(図7A、図7B参照)。
「見かけ高さH2」とは、上記の自然状態(図7A、図7B)において、台の上面に垂直な方向における、おむつ1の高さである。
おむつ1が長手方向に展開した状態とは、包装時の二つ折りが開いた状態である。おむつ1が長手方向に伸長した状態とは、おむつ1に生じていた皺が実質的に視認されなくなる程におむつ1が長手方向に伸長した状態である。詳しくは、おむつ1を構成する各部材(例えばサイドシート6等)の長手方向の寸法が、その部材単体の長手方向の寸法と一致又はそれに近い長さになるまでおむつ1が伸長した状態である。
製品長L1、見かけ製品長L2、見かけ高さH2の測定方法として、以下の方法を例示できる。まず、パッケージから二つ折りされているおむつ1を取り出す。そして、おむつ1の長手方向の両端1a,1bの幅方向の中心にそれぞれ印M1,M2を付ける。
次に、おむつ1を長手方向に展開かつ伸長した状態で、試験台30の上面30a(水平面)に固定する(図6A参照)。この時、おむつ1の非肌側面1cを上にし、おむつ1の肌側面1dを下にする(試験台30に対向させる)。また、おむつ1の長手方向を試験台30の上面30aのX方向に合わせる。この状態で、おむつ1の長手方向の一端1a(印M1)から他端1b(印M2)までのX方向の長さ(おむつ1の長手方向の長さ)を測定する。測定した長さを「製品長L1」とする。
次に、上記の状態から長手方向の伸長状態を解放し、おむつ1を自然状態にする(図7A参照)。おむつ1は立体ギャザー部用弾性部材9及び脚回り弾性部材10を有する。また、おむつ1は包装時の折り線FLを有する。そのため、おむつ1の自然状態において、両弾性部材9,10が収縮し、おむつ1の長手方向の中央部が山のように盛り上がる。この状態で、おむつ1の長手方向の一端1a(印M1)から他端1b(印M2)までのX方向の長さ(おむつ1の長手方向の長さ)を測定する。測定した長さを「見かけ製品長L2」とする。また、試験台30の上面30aに垂直な方向において、上面30aからおむつ1の頂点1eまでの長さを「見かけ高さH2」とする。
製品長L1に比べて見かけ製品長L2が小さく、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)が小さくなるということは、おむつ1の長手方向の中央部の山の高さ(見かけ高さH2)が高くなるということである。つまり、おむつ1が自然状態において、二つに折れやすいということである。
逆に、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)が大きくなるということは、おむつ1の長手方向の中央部の山の高さ(見かけ高さH2)が低くなり、おむつ1が長手方向に展開した状態が維持されやすいということである。
ここで、本実施形態のおむつ1の吸収性コア2の形状について説明する。図5に示すように、吸収性コア2は、長手方向の中央部において、端部よりも幅の狭い幅狭部2Aを有する。さらに、長手方向における吸収性コア2の中央CL(吸収性コア2を長手方向に2等分する中央CL)の幅W1は15mm以上45mm以下とする。
なお、本実施形態の吸収性コア2の場合、長手方向の中央CLに一対の切欠き部22b(詳細は後述)が配置されている。よって、一対の切欠き部22bの頂点間の幅方向の長さW1が15mm以上45mm以下となっている。さらに、切欠き部22b近傍の吸収性コア2の幅W2も15mm以上45mm以下となっている。
吸収性コア2の長手方向の中央CLの幅W1(W2)を15mm以上にすることで、吸収性コア2の吸収能力を確保でき、尿漏れを防止できる。一方、吸収性コア2に幅狭部2Aを設け、吸収性コア2の長手方向の中央CLの幅W1(W2)を45mm以下にすることで、低体重児の股間部に当てられる吸収性コア2の幅が狭くなる。よって、低体重児が脚を動かしやすくなる。また、低体重児が脚を閉じた時、剛性の高い吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。
しかし、吸収性コア2に幅狭部2Aを設けると、図1に示すように、幅方向における吸収性コア2の側端からおむつ1の側端までの脚回りのシート部分(バックシート5やサイドシート6等)の長さW3が長くなる。脚回りのシート部分の長さW3が長いことで、立体ギャザー部8の高さを確保できる。しかし、脚回りのシート部分が低体重児の脚に接触する程度におむつ1がゆったり装着されてしまうと、脚回りのシート部分が低体重児の脚で挟まれた時に、低体重児の股間部や臀部から吸収性コア2が浮いてしまうおそれがある。
そのため、前述の見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)を大きくするとよい。仮に、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)を小さくし、包装時の折り線FLでおむつ1が二つに折れやすいと、低体重児から吸収性コア2が浮いた状態でおむつが装着されやすくなるからである。
なぜなら、低体重児におむつを装着する看護士等が、低体重児の下におむつを敷くか、うつぶせの低体重児の脚の間におむつを通して、手を離した後に、おむつがパタンと二つに折れてしまうからである。そうすると、低体重児の股間部や臀部に吸収性コア2を沿わせにくく、図4Cのように包装時の折り線FLでおむつ1’が二つに折れた状態で装着されてしまう。つまり、低体重児から吸収性コア2が浮いた状態で装着されてしまう。
表1は、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)を変化させて、低体重児への吸収性コア2のフィット性を評価した結果である。
5種類のサンプル1〜5を試作した。各サンプル1〜5の製品長L1及び見かけ製品長L2を測定し、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)を算出した。また、被験者が、低体重児を模した人形に対して、各サンプル1〜5を実際に装着し、フィット性の評価を行った。
サンプル1〜5の仕様は次の通りである。立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率は、サンプル1が1.99倍、サンプル2が1.85倍、サンプル3が1.55倍、サンプル4が1.46倍であり、サンプル5が立体ギャザー部用弾性部材9を有さないものとした。なお、伸長倍率とは、弾性部材の自然長を1としたときの伸び度合いであり、弾性部材の伸縮の強さを表す。また、長手方向における吸収性コアの剛性は、サンプル1〜3が高く(硬く)、サンプル4〜5が低い(軟らかい)ものとした。また、サンプル1〜4は脚回り弾性部材10を有し、サンプル5は脚回り弾性部材10を有さないものとした。製品長L1は、サンプル1〜3が240mm、サンプル4〜5が230mmとした。
フィット性の評価は、各サンプル1〜5を装着した人形を、被験者が、目視により観察したり、サンプルの上から人形の臀部を触れたりして行った。被験者は、「人形からの吸収性コア2の浮きが小さく、フィット性が良い」と感じたサンプルを「○」と評価し、「人形からの吸収性コア2の浮きが大きく、フィット性が良くない」と感じたサンプルを「×」と評価した。
表1の結果から、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値が0.52及び0.69であるサンプル1〜2では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良くないことが分かった。一方、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値が0.72、0.79及び1であるサンプル3〜5では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良いことが分かった。
そこで、低体重児用の本実施形態のおむつ1では、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値を0.7以上1以下とする(0.7≦L2/L1≦1)。
そうすることで、包装時の折り線FLでおむつ1が二つに折れにくく、おむつ1が長手方向に展開した状態が維持されやすい。よって、おむつ1の装着時に、看護師等が、低体重児の下におむつ1を敷くか、うつぶせの低体重児の脚の間におむつ1を通して、手を離した後も、おむつ1が長手方向に展開した状態となりやすい。そのため、低体重児の股間部や臀部に吸収性コア2を沿わせつつ、おむつ1を装着しやすくなる。よって、脚回りのシート部分の長さW3(図1参照)が長くとも、低体重児の股間部や臀部から吸収性コア2の浮きを抑制でき、低体重児への吸収性コア2のフィット性を向上させることができる。
このように吸収性コア2の浮きを抑制することで、排泄尿が低体重児の肌を伝うことなく吸収性コア2に吸収される。よって、排泄尿により低体重児の肌を刺激してしまうことを抑制できる。
また、低体重児特有の屈曲したうつぶせ姿勢は、おむつ1の外から推測される低体重児の臀部の位置に、低体重児の脚のかかとの位置が合わされる。そのため、図4Cに示すように、低体重児の臀部から吸収性コア2が浮いていると、低体重児の脚の引き上げが不十分となる。ゆえに、吸収性コア2の浮きを抑制することで、適切な位置まで低体重児の脚を引き上ることができる。
また、おむつ1が長手方向に展開した状態が維持されやすいということで、おむつ1の装着時に、うつぶせの低体重児の脚の間にも、スムーズにおむつ1を通すことができ、装着性がよい。また、看護師等が、低体重児の下におむつ1を敷くか、うつぶせの低体重児の脚の間におむつ1を通して、手を離した後に、おむつ1がパタンと二つに折れにくい。よって、二つに折れるおむつ1で低体重児の肌を刺激してしまうことを防止できる。
表2は、見かけ高さH2を変化させて、低体重児への吸収性コア2のフィット性を評価した結果である。4種類のサンプル6〜9を試作し、見かけ高さH2を測定した。そして、被験者が、低体重児を模した人形に対して、各サンプル6〜9を実際に装着し、フィット性の評価を行った。
サンプル6〜9の仕様は次の通りである。立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率は、サンプル6が1.99倍、サンプル7が2.17倍、サンプル8が2.10倍、サンプル9が1.46倍とした。また、長手方向における吸収性コア2の剛性は、サンプル6〜7が高く(硬く)、サンプル8〜9が低い(軟らかい)ものとした。製品長L1は、サンプル6,8が240mm、サンプル7が175mmm、サンプル9が230mmとした。また、全サンプル6〜9が脚回り弾性部材10を有するものとした。
フィット性の評価は表1の評価方法と同じである。すなわち、各サンプル6〜9を装着した人形を、被験者が、目視により観察したり、サンプルの上から人形の臀部を触れたりして、二段階で評価した。
表2の結果から、見かけ高さH2が81.7mm及び70mmであるサンプル6〜7では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良くないことが分かった。一方、見かけ高さH2が51mm及び45mmであるサンプル8〜9では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良いことが分かった。
そこで、低体重児用のおむつ1では、見かけ高さH2を70mm未満とするとよい(H2<70mm)。見かけ高さH2が低いということは、包装時の折り線FLでおむつ1が二つに折れにくく、おむつ1の装着時に、低体重児の股間部や臀部に吸収性コア2を沿わせつつ、おむつ1を装着しやすくなる。よって、低体重児への吸収性コア2のフィット性を向上させることができる。
また、低体重児用のおむつ1では、立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率を、脚回り弾性部材10の伸長倍率よりも小さくするとよい。
おむつ1は自然状態において、両弾性部材9,10の収縮により、肌側面を内側にして湾曲する。脚回り弾性部材10に比べて、幅方向の内側に位置する立体ギャザー部用弾性部材9の方が、おむつ1が湾曲する変形への影響が大きい。そのため、上記の伸長倍率にすることで、おむつ1の湾曲を抑えられ、包装時の折り線FLでおむつ1が二つに折れにくくなる。
また、吸収性コア2の長手方向の剛性が高く、立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率が高いと、図7Aの状態にしたときに、おむつ1が包装時の折れ線FLで鋭角に折れて立ち上がる程に、見かけ高さH2が高くなってしまう。そのため、表1及び表2の結果にも示すように、吸収性コア2の長手方向の剛性を低くして、吸収性コア2を軟らかくしつつ、立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率を低くするとよい。そうすることで、見かけ製品長L2を製品長L1で除した値(L2/L1)を大きくし、見かけ高さH2を小さくでき、おむつ1が二つに折れにくくなる。
具体的には、立体ギャザー部用弾性部材9の伸長倍率を1.3倍以上2.1倍以下に設定するとよい。伸長倍率を2.1倍以下と低くすることで、おむつ1が二つに折れにくくなる。一方、伸長倍率を1.3倍以上にすることで、立体ギャザー部8を起立させることができ、排泄物の漏れを抑制できる。
また、伸長倍率を2.1倍以下にすることで、立体ギャザー部8の起立を適度に抑えられる。そうすることで、立体ギャザー部8が低体重児に接触する程にゆったりとおむつ1が装着されてしまっても、低体重児から吸収性コア2の浮きを抑えることができる。
弾性部材9,10の伸長倍率の測定は周知の方法で行えばよい。例えば、自然状態のおむつ1において、測定対象の弾性部材の伸縮部(伸長状態でシートに固定された部位)の長手方向の長さH0を測定する。次に、おむつ1に生じていた皺が視認出来なくなる程におむつ1を長手方向に伸長させた状態において、弾性部材の伸縮部の長手方向の長さH1を測定する。そして、長さH1を長さH0で除した値を伸長倍率とする(伸長倍率=H1/H0)。
<<包装時の折り線FLの緩和>>
図8Aから図8Cは、看護師等の行為を模した行為とその後のおむつ1の説明図である。図8A及び図8Bはおむつ1の概略斜視図であり、図8Cはおむつ1の概略断面図である。図9A及び図9Bは、おむつ1に形成される別の折り線FLaの説明図であり、おむつ1の概略断面図である。
前述したように、包装時の折り線FLでおむつ1が二つに折れやすい場合、低体重児から吸収性コア2が浮きやすい。その他、包装時の折り線FLの折り癖が強い場合にも、低体重児から吸収性コア2が浮きやすい。折り癖が強いと、図4Cの比較例のおむつ1’のように、おむつ1の折り線FL部分が鋭角に折れて外側に突出してしまう。そのため、丸みのある臀部に吸収性コア2が沿いにくく、浮いてしまう。
ただし、病院等では、看護師等が、低体重児用のおむつ1をパッケージから取り出した後に、おむつ1を長手方向に展開して、ごみの付着を確認することがある。また、おむつ1が柔らかくなるように、看護師等が装着前のおむつ1を手で揉むことがある。この時、包装時の折り線FLの折り癖が緩和される。
さらに、本実施形態のおむつ1では、看護師等がおむつ1を揉む等の行為を行った場合に、包装時の折り線FL以外の別の折り線FLaがおむつ1に形成されるようにする。
看護師等の行為を模して、おむつ1を以下にするとよい。まず、パッケージから取り出した二つ折りされているおむつ1を、図8Aに示すように、長手方向に展開かつ伸長した状態で、試験台30の上面30aに押しつける。この時、おむつ1の非肌側面1cを上にし、肌側面1dを下にする。そして、おむつ1の上に、おむつ1の平面全面を覆う大きさの板31を載せ、板31の上に1kgのおもり32を載せて2分間放置する。その後、おもり32及び板31を取り外し、試験台30の上面30aの上でおむつ1を自然状態にする(図8B及び図8C)。
その自然状態において、吸収性コア2は、図9Aに示すように、試験台30の上面30aに沿う第1領域S1と、試験台30の上面30aから上方に離間している第2領域S2とを有するものとする。そして、おむつ1には、第1領域S1と第2領域S2との境界となる別の折り線FLaが形成されるものとする。別の折り線FLaは、包装時の折り線FLと同様に、幅方向に沿って吸収性コア2を折る折り線である。
なお、吸収性コア2が試験台30の上面30aに沿うとは、トップシート3等を介して吸収性コア2が試験台30の上面30aに接触しているということである。よって、おむつが包装時の折り線FLで鋭角に折れて立ち上がる場合、つまり、吸収性コア2が存在する領域と、それよりも長手方向外側のシート部分3,4,5との境界にのみ別の折り線が形成される場合は、含まれないものとする。
包装時の折り線FL及び別の折り線FLaが形成されたおむつ1を低体重児に装着することで、複数の折り線FL,FLaにて吸収性コア2が幅方向に沿って折れる。つまり、吸収性コア2が長手方向の異なる複数の位置で折れる。そのため、図4Cの比較例のおむつ1’のように包装時の折り線FL部分のみが突出してしまうことを防止でき、吸収性コア2が丸みのある臀部に沿うように湾曲する。よって、低体重児への吸収性コア2のフィット性を向上させることができる。
吸収性コア2のフィット性を向上させることで、排泄尿が低体重児の肌を伝うことなく、低体重児の肌を刺激してしまうことを抑制できる。また、低体重児特有の姿勢にする際も、低体重児の正しい臀部の位置に、脚のかかとの位置を合わせられ、適切な位置まで脚を引き上げられる。
以上をまとめると、本実施形態のおむつ1では、吸収性コア2が幅狭部2Aを有し、脚回りのシート部分の長さW3(図1参照)が長く、低体重児が脚を閉じた時に吸収性コア2が浮くおそれがある。しかし、おむつ1に別の折り線FLaが形成されるため、低体重児の臀部に吸収性コア2が沿いやすく、低体重児からの吸収性コア2の浮きを抑制できる。
看護士等の行為を模した行為(図8A)の後のおむつ1において、図9Aに示すように、包装時の折り線FLで折れた山の両側にそれぞれ別の折り線FLaが形成されているとよい。その他、図9Bに示すように、包装時の折り線FLで折れた山が片側に傾き、山が傾いた側とは反対側の吸収性コア2は試験台30の上面30aから上方に離間し、山が傾いた側にのみ別の折り線FLaが形成されていてもよい。
ただし、図9Aに示すように、別の折り線FLaが2か所に形成される方が好ましい。吸収性コア2の折れ起点が多いことで、吸収性コア2が丸みのある臀部にさらに沿いやすくなり、低体重児への吸収性コア2のフィット性が向上する。
また、おむつ1に別の折り線FLaが形成されるように、吸収性コア2の剛性を低くし、吸収性コア2を軟らかいものにするとよい。具体的には、吸収性コア2の長手方向や幅方向の剛性を1.1N以下にするとよい。そうすることで、おむつ1に別の折り線FLaが形成されやすくなる。
表3は、おむつ1の幅方向の剛性を変化させて、低体重児の脚の閉じやすさを評価した結果である。4種類のサンプル10〜13を試作し、おむつ1の長手方向の中央部、すなわち、包装時の折り線FLを跨ぐ領域の幅方向の剛性を測定した。そして、被験者が、低体重児を模した人形に対して、各サンプル10〜13を実際に装着し、人形の脚を閉じた時の閉じやすさを評価した。
サンプル10〜13の仕様は次の通りである。サンプル10の吸収性コアはエアレイドシートを2層に重ねたものであり、幅が25mmであった。サンプル11の吸収性コアはエアレイドシートを2層に重ねたものであり、幅が40mmであった。サンプル12の吸収性コアは1層のエアレイドシートであり、幅が35mmであった。サンプル13の吸収性コアはパルプ繊維を積層したものであり、幅が35mmであった。
被験者は脚の閉じやすさについて3段階で評価した。具体的には、「人形の脚を閉じにくく、おむつから人形に強い力が掛かっている」と感じたサンプルを「×」と評価し、「人形の脚を閉じやすく、おむつから人形に強い力が掛かっていない」と感じたサンプルを「○」と評価し、「人形の脚をとても閉じやすく、おむつから人形にほとんど力が掛かっていない」と感じたサンプルを「◎」と評価した。
表3の結果から、幅方向の剛性が1.145N及び1.103Nであるサンプル10〜11では、人形の脚を閉じにくいことが分かった。一方、幅方向の剛性が0.861Nであるサンプル12では、人形の脚を閉じやすいことが分かった。また、幅方向の剛性が0.298Nであるサンプル13では、人形の脚をとても閉じやすいことが分かった。
そこで、包装時の折り線FLを含む領域における吸収性コア2の幅方向の剛性を1.1N以下にするとよい。そうすることで、おむつ1を装着した低体重児の脚を閉じた時に、剛性の高い吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。それと同時に、剛性の低い吸収性コア2を備えるおむつ1には、包装時の折り線FL以外の別の折り線FLaが形成されやすくなる。よって、吸収性コア2が丸みのある臀部にさらに沿いやすくなり、低体重児への吸収性コア2のフィット性が向上する。
吸収性コア2の剛性の測定は周知の方法で行えばよく、以下の方法を例示できる。まず、長手方向に展開かつ伸長した状態のおむつ1を、幅方向における吸収性コア2の側端で折る。そして、試験台から吸収性コア2の側端部を延出させる。また、デジタルフォースゲージの端子が、吸収性コア2の側端の長手方向の中央部(つまり包装時の折り線FLを跨ぐ領域)に接触するようにセットする。そして、デジタルフォースゲージの端子を、おむつ1の幅方向内側に5mm程度移動させる。端子が吸収性コア2を押し込んだ際の最大値(圧縮力)を、吸収性コア2の幅方向の剛性値とする。
また、吸収性コア2の密度を0.0155g/cm3未満にするとよい。そうすることで、吸収性コア2が軟らかくなる。よって、看護師等がおむつ1を揉むことで、おむつ1(吸収性コア2)に別の折り線FLaが形成されやすくなり、吸収性コア2が丸みのある臀部に沿いやすくなる。
特に、吸収性コア2の長手方向の中央CLの密度、つまり、包装時の折り線FLが形成される吸収性コア2の部位の密度を0.0155g/cm3未満にするとよい。そうすることで、包装時の折り線FLの折り癖が吸収性コア2に付きにくくなる。また、看護師等がおむつ1を揉むことで折り癖が緩和されやすくなる。よって、図4Cの比較例のおむつ1’のような包装時の折り線FL部分の突出を防止でき、吸収性コア2が丸みのある臀部に沿いやすくなる。
吸収性コア2の密度の測定は周知の方法で行えばよい。例えば、吸収性コア2から測定対象部位を切り出し、坪量(g/cm2)、及び、厚さ(cm)を測定する。坪量(g/cm2)を厚さ(cm)で除することで密度(g/cm3)が算出される。厚さの測定は、例えば、ミツトヨ(株)製のダイアルシックネスゲージID−C1012C又はそれと同等のものを使用し、接触圧を3gf/cm2に設定して対象部位を加圧して測定する方法を例示できる。
また、詳細は後述するが、吸収性コア2には、吸収性コア2が幅方向に沿って折れ曲がるように誘導する複数の折り誘導部21a〜21c(一対の切欠き部22a〜22c)が、長手方向の異なる位置に設けられている。
そのため、看護師等がおむつ1を揉む等することで、吸収性コア2が折り誘導部21a〜21cで折れやすく、包装時の折り線FL以外の別の折り線FLaがおむつ1に形成されやすい。よって、吸収性コア2が丸みのある臀部に沿いやすくなる。
さらに、看護師等がおむつ1を揉む等の行為を行った場合を想定し、前述の表2のサンプル6〜9に対して、上記と同様におむつ1の上におもり32を載せ、その後の見かけ高さH3を測定した。そして、被験者が、低体重児を模した人形に対して、各サンプル6〜9を実際に装着し、フィット性の評価を行った。
フィット性の評価は、各サンプル6〜9を装着した人形を、被験者が、目視により観察したり、サンプルの上から人形の臀部を触れたりして、二段階で評価した。ただし、おもり32を載せた後の見かけ高さH3の評価(表2のフィット性評価2)は、おむつ1を揉んだ後に装着したことを想定し、被験者は、見かけ高さH2の評価(表2のフィット性評価1)よりも厳しく行った。
表2の結果から、全てのサンプル6〜9において、見かけ高さH2よりも、おもり32を載せた後の見かけ高さH3が小さくなった。つまり、包装時の折り線FLの折り癖が緩和されると、おむつ1が二つに折れにくくなることが分かった。
そして、表2の結果から、見かけ高さH3が73mm及び62mmであるサンプル6〜7では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良くないことが分かった。一方、見かけ高さH3が48mm及び25mmであるサンプル8〜9では、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良いことが分かった。
そこで、低体重児用のおむつ1では、二つ折りされているおむつ1を、長手方向に展開かつ伸長した状態で、肌側面を下にして台の上面に押しつけ、おむつ1の上に、板31及びおもり32を載せて2分間放置した後、自然状態にしたときの見かけ高さH3を60mm以下にするとよい(H3≦60mm)。
そうすることで、装着前におむつ1を揉む等の対策を行う看護師等にも、低体重児への吸収性コア2のフィット性が良いことを認識させることができ、おむつ1のフィット性に満足して使用してもらえる。
<<吸収性コア2の形状>>
低体重児用のおむつ1は以下の特徴を有することが好ましい。ただし、吸収性コア2は幅狭部2Aを備えていればよく、以下に示すものに限らない。
図5に示すように、長手方向おいて吸収性コア2の中央CLから幅狭部2Aの一端2A1(ファスニングテープ7側とは反対側である非テープ側の端2A1)までの長さL5は、吸収性コア2の長手方向の長さL4の22%以上の長さであるとよい(L5≧L4×0.22)。
さらに、長手方向において、吸収性コア2の中央CLと、吸収性コア2の非テープ側の一端2bとの中央CL2よりも、長手方向の外側まで、幅狭部2Aが延びているとよい。
そうすることで、図3Aに示すように、非テープ側の第2胴回り部1Cが腹側を覆うように装着される通常装着の場合に、非テープ側に延びた幅狭部2Aによって、低体重児の脚を引き上げやすくなる。換言すると、非テープ側に脚を引き上げた低体重児の股間部に、幅狭部2Aが位置することになる。よって、低体重児の脚を閉じた時に、剛性の高い吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。仮に長さL5が長さL4の22%未満の長さであると、脚を引き上げた低体重児の股間部に幅狭部2Aが位置しにくくなってしまう。
同様に、長手方向おいて吸収性コア2の中央CLから幅狭部2Aの他端2A2(ファスニングテープ7側であるテープ側の端2A2)までの長さL6は、吸収性コア2の長手方向の長さL4の22%以上の長さであるとよい(L6≧L4×0.22)。
さらに、長手方向において、吸収性コア2の中央CLと、吸収性コア2のテープ側の他端2cとの中央CL3よりも、長手方向の外側まで、幅狭部2Aが延びているとよい。
そうすることで、図3Bに示すように、テープ側の第1胴回り部1Aが腹側を覆うように装着される前後逆装着の場合にも、テープ側に延びた幅狭部2Aによって、低体重児の脚を引き上げやすくなる。換言すると、テープ側に脚を引き上げた低体重児の股間部に、幅狭部2Aが位置することになる。よって、低体重児の脚を閉じた時に、剛性の高い吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。仮に長さL6が長さL4の22%未満の長さであると、脚を引き上げた低体重児の股間部に幅狭部2Aが位置しにくくなってしまう。
また、図5に示すように、幅狭部2Aの幅方向の両側端2aは、長手方向に沿う直線部2A3を有するとよい。この場合、例えば吸収性コア2の側端が幅方向の内側に凸となる円弧形状である場合に比べて、長手方向のより広い範囲において、吸収性コア2の幅を狭くできる。具体的には、吸収性コア2の長手方向の中央CLだけでなく、直線部2A3においても、吸収性コア2の幅を15mm以上45mm以下にできる。よって、低体重児の脚を引き上げやすくなる。また、低体重児の脚を閉じた時に、吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態の吸収性コア2では、長手方向の中央CLに対して長手方向の両側に、直線部2A3が設けられている。そのため、おむつ1を通常装着する場合にも、前後逆装着する場合にも、低体重児の脚を引き上げやすくなる。
また、幅狭部2Aを長くすることで、排尿により色が変化するインジケーター12を幅狭部2Aに収めることができる。幅狭部2Aではインジケーター12が反応しやすい。そのため、低体重児の少ない尿量でもインジケーター12を反応させることができ、おむつ1の交換時期が分かりやすくなる。
また、幅狭部2Aでは、幅方向における吸収性コア2の側端からおむつ1の側端までの脚回りのシート部分の長さW3が長く(図1参照)、立体ギャザー部8の起立高さを確保できる。そこで、図1及び図5に示すように、おむつ1が長手方向に展開かつ伸長した状態における立体ギャザー部用弾性部材9の伸縮部の長さL9よりも、幅狭部2Aの長手方向の長さL10を長くするよい(L9<L10)。
そうすることで、立体ギャザー部用弾性部材9の伸縮部の長い範囲に亘って、幅狭部2Aを配置でき、より確実に、立体ギャザー部8を起立させることができる。よって、立体ギャザー部8で排泄液を堰き止められる。
ただし、幅狭部2Aの長さは、おむつ1が長手方向に展開かつ伸長した状態(図1)において以下にするとよい。長手方向において、おむつ1の非テープ側(他方側)の端1aから、幅狭部2Aの非テープ側の端2A1までの長さL7は、おむつ1のテープ側(一方側)の端1bから、ファスニングテープ7の非テープ側の端7aまでの長さL8以上であるとよい(L7≧L8)とよい。
おむつ1が通常装着された場合、第2胴回り部1Cにおけるファスニングテープ7の端7aのおおよその係止位置は、おむつ1の非テープ側の端1aから長手方向の中央CL側に、上記長さL8離れた位置p1となる(図1及び図3C参照)。ファスニングテープ7の係止位置p1よりも長手方向の外側にまで低体重児の脚が引き上げられることはない。よって、幅狭部2Aの端2A1を位置p1よりも長手方向の中央CL側に配置するとよい。そうして、幅狭部2Aを不要に長くしないことで、吸収性コア2の吸収能力を確保できる。
また、図5に示すように、幅狭部2Aには、吸収性コア2が幅方向に沿って折れ曲がるように誘導する第1折り誘導部21a、第2折り誘導部21b、及び、第3折り誘導部21cが、長手方向に並んで配置されている。
詳しくは、幅狭部2Aの長手方向の中央部に第2折り誘導部21bが配置されている。第1折り誘導部21aは、第2折り誘導部21bよりも長手方向のテープ側(一方側)に配置されている。第3折り誘導部21cは、第2折り誘導部21bよりも長手方向の非テープ側(他方側)に配置されている。
本実施形態の吸収性コア2では、第1〜第3折り誘導部21a〜21cとして、幅狭部2Aの幅方向の両側部に、幅方向の内側に凸となる一対の切欠き部22a〜22cが設けられている。一対の切欠き部22a〜22cは、吸収性コア2を幅方向に2等分する不図示の中心線に対して対称な形状を成し、対称に配置されている。なお、切欠き部22a〜22cは、図5に示す山形状に限らず、例えば、長方形状でもよいし、切込み線等でもよい。
切欠き部22a〜22cでは、周囲の領域に比べて吸収性コア2を構成する部材(液体吸収性繊維等)の坪量(g/cm2)が低くなっているか、或いは、吸収性コア2を構成する部材が存在していない。よって、一対の切欠き部22a〜22cが設けられた吸収性コア2の部位では、周囲の領域との剛性差により、吸収性コア2が幅方向に沿って折れ曲がりやすくなっている。
図3Cに示すように、脚を引き上げた低体重児の股間部は、おむつ1の長手方向の中央部よりも一方側に偏った部位に当接する。そのため、仰向けで脚を引き上げている低体重児に対して、床に接している臀部から脚が上がり始める位置(F1)に、おむつ1の折れ起点があるとよい。また、引き上げている脚の腹側の付け根の位置(F2)にも、おむつ1の折れ起点があるとよい。そうすることで、低体重児の股間部に当接するおむつ1の部位(F1〜F2)が底となり、おむつ1が立体的に変形しやすい。よって、脚を引き上げる低体重児におむつ1が沿いやすく、フィット性が向上する。
おむつ1を通常装着した低体重児の股間部には、第2折り誘導部21b及び第3折り誘導部21c間の部位がフィットする。そして、非テープ側に脚を引き上げた低体重児に沿って、第2折り誘導部21b及び第3折り誘導部21cが折れて、おむつ1が立体的に変形し、低体重児の身体にフィットする。
同様に、おむつ1を前後逆装着した低体重児の股間部には、第1折り誘導部21a及び第2折り誘導部21bの間の部位がフィットする。そして、テープ側に脚を引き上げた低体重児に沿って、第1折り誘導部21a及び第2折り誘導部21bが折れて、おむつ1が立体的に変形し、低体重児の身体にフィットする。
このように、吸収性コア2の長手方向の3箇所に折り誘導部21a〜21cを設けることで、おむつ1を通常装着する場合にも前後逆装着する場合にも、低体重児特有の姿勢を取る低体重児の身体にフィットする。
また、吸収性コア2が複数の折り誘導部21a〜21cを有し、複数の折れ起点を有することで、包装時の折り線FLでのおむつ1の二つ折りを緩和できる。よって、図4Cの比較例のおむつ1’のように、おむつ1の包装時の折り線FL部分が外側に突出してしまうことを防止でき、低体重児の股間部や臀部に沿うように、おむつ1が湾曲しやすくなる。よって、低体重児の股間部や臀部から吸収性コアの浮きをより抑制できる。
さらに、本実施形態の吸収性コア2では、第1折り誘導部21a及び第3折り誘導部21cが、幅狭部2Aの長手方向の端に配置されている、つまり、吸収性コア2の幅が狭くなり始める部位に配置されている。そのため、第1折り誘導部21aの切欠き部22a及び第3折り誘導部21cの切欠き部22cの一部は、幅狭部2Aの幅方向の内側に傾斜した外形線2A4によって形成されている。
そのため、引き上げた脚の腹側の付け根(図3CのF2)にて、おむつ1を折ることができ、おむつ1が低体重児の身体にフィットする。また、幅狭部2Aの幅方向の内側に傾斜した外形線2A4の傾斜を急にできる。よって、長手方向のより広い範囲において、吸収性コア2の幅を狭くでき、低体重児の脚を引き上げやすくなる。また、低体重児の脚を閉じた時に、吸収性コア2で低体重児の肌を圧迫してしまうことを抑制できる。
なお、第1〜第3折り誘導部21a〜21cを切欠き部22a〜22cで形成するに限らない。例えば、製造工程において吸収性コア2を幅方向に沿って折る曲げ加工を施したり、吸収性コア2を構成する部材の坪量を幅方向に沿って低くしたり、吸収性コア2の幅方向の中央部に幅方向に沿ったスリットを形成したりすることで、第1〜第3折り誘導部21a〜21cを形成してもよい。
以上のように、本実施形態の吸収性コア2は長手方向の中央CLに対して対称形状を成す。そのため、吸収性コア2の長手方向の中央CLに対して長手方向の両側に、折り誘導部(21a,21c)が設けられていたり、吸収性コア2の直線部2A3が設けられていたりする。したがって、おむつ1を通常装着することも、前後逆装着することもでき、いずれの装着時にも同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。