JP2019213374A - 発電計画策定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揚水発電設備を用いた調整力確保と、経済性の確保とを両立を可能とする発電設備運用計画を策定する。【解決手段】調整力必要量算出部9は、系統安定化のために予備的に必要とされる調整力必要量を算出する。発電設備運用計画策定部12は、調整力必要量が確保されるように、揚水発電設備を含む発電設備に係る発電設備運用計画を策定する。揚水発電評価部13は、策定された発電設備運用計画における揚水発電設備の運用計画の経済性を評価する。運用計画判定部14は、揚水発電評価部による評価結果に基づいて、発電設備運用計画の成否を判定する。揚水発電設備運用計画修正部15は、運用計画判定部によって否定された発電設備運用計画について揚水発電設備の運用計画を修正する。【選択図】図1

Description

本発明は発電計画策定装置に関し、より特定的には、揚水発電設備を含む発電計画策定装置に関する。
短時間の負荷変動に対する追従性を考慮した発電計画を作成するための発電計画策定装置が、特許第5452714号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の発電計画策定装置では、計画単位時間毎の発電機の起動停止状態の決定に、発電機の出力変化速度のデータと、計画単位時間よりも短い時間で考慮された短時間調整容量データとが用いられる。
さらに、特許文献1では、需給バランス制約、運転予備力制約、及び、下げ代制約といった計画単位時間の制約条件を考慮して、制約違反の発生時に違反量ができるだけ小さくなるような解を得るために、違反量に対する仮想コストを組み入れたコスト計算式の値が最小となるように、発電計画を策定することが記載されている。
特許第5452714号公報
特許文献1では、揚水発電機も計画対象とする実施形態が記載されている。しかしながら、特許文献1では、揚水発電機により調整力を確保するために貯水量の上限値及び下限値が制限されることの影響が、発電計画策定時の経済性に反映されていない。揚水発電機により調整力を確保するために、必要以上に揚水して貯水量を増加すると、或いは、必要以上に発電して貯水量を減少すると、コストの悪化が懸念される。従って、揚水発電による調整力確保の経済性を考慮して発電計画を策定しなければ、負荷変動等に対する調整力の確保と、発電計画の経済性との両立が困難となることが懸念される。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、揚水発電設備を用いた調整力確保と、経済性の確保とを両立を可能とする発電設備運用計画を策定することである。
本発明のある局面によれば、発電計画策定装置は、送配電事業者による発電設備運用計画を策定する発電計画策定装置であって、調整力必要量算出部と、発電設備運用計画策定部と、揚水発電評価部と、運用計画判定部と、揚水発電設備運用計画修正部とを備える。調整力必要量算出部は、系統安定化のために予備的に必要とされる調整力必要量を算出する。発電設備運用計画策定部と、調整力必要量が確保されるように、揚水発電設備を含む発電設備に係る発電設備運用計画を策定する。揚水発電評価部は、発電設備運用計画における揚水発電設備の運用計画の経済性を評価する。運用計画判定部は、揚水発電評価部による評価結果に基づいて、発電設備運用計画の成否を判定する。揚水発電設備運用計画修正部は、運用計画判定部によって否定された発電設備運用計画について揚水発電設備の運用計画を修正する。
本発明によれば、調整力必要量が確保されるように策定された発電設備運用計画における揚水発電設備の運用計画の経済性の評価に基づいて発電設備運用計画の成否を判定するとともに、運用計画判定部によって否定された発電設備運用計画について揚水発電設備の運用計画を修正することができる。この結果、揚水発電設備を用いた調整力確保と、経済性の確保とを両立させた発電設備運用計画を策定することができる。
本実施の形態に係る発電計画策定装置の構成を説明するためのブロック図である。 図1に示された発電計画策定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本実施の形態に係る発電計画策定装置の処理を説明するためのフローチャートである。 発電設備運用計画の構造を説明するための図表が示される。 発電事業者による発電設備運用計画の一例を説明する三次元グラフである。 送配電事業者による発電設備運用計画の一例を説明する三次元グラフである。 図3に示された揚水発電設備の運用評価のための処理を説明するフローチャートである。 揚水発電設備における揚水運転期間及び揚発運転期間の設定例を示す概念図である。 図3に示された揚水発電設備の運用計画判定のための処理を説明するフローチャートである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本実施の形態に係る発電計画策定装置の構成を説明するためのブロック図である。
図1を参照して、本実施の形態に係る発電計画策定装置100は、発電設備情報取得部7と、予測・分析情報取得部8と、調整力必要量算出部9と、発電設備運用計画取得部11と、発電設備運用計画策定部12と、揚水発電設備評価部13と、運用計画判定部14と、揚水発電設備運用計画修正部15と、運用計画出力部16とを備える。
発電設備情報取得部7は、火力発電設備情報1及び揚水発電設備情報2を取得して、火力発電設備及び揚水発電設備の出力可能範囲や起動・停止パターンなどを、調整力必要量算出部9に伝達する。
予測・分析情報取得部8は、エリア、短周期変動分析情報6を取得する。予測・分析情報取得部8は、取得した各種情報に基づく、エリア需要、再エネ、及び、その他電源の計画誤差実績に関する分析結果、並びに、短周期変動実績に関する分析結果を、調整力必要量算出部9に出力する。
調整力必要量算出部9は、発電設備情報取得部7及び予測・分析情報取得部8から伝達された情報を基に、運用上確保すべき調整力必要量を算出する。当該調整力必要量は、各送配電事業者の供給区域における周波数制御、及び、需給バランスその他の系統安定化業務に必要となる発電設備の能力(発電電力)を示す。算出された調整力必要量は、発電設備運用計画策定部12へ伝達される。
発電設備運用計画取得部11は、発電設備運用計画(BG計画)情報10に基づき、各発電事業者の発電計画を発電設備運用計画策定部12へ伝達する。
発電設備運用計画策定部12は、発電設備運用計画取得部11から伝達された情報と、調整力必要量算出部9から伝達された調整力必要量に基づき、送配電事業者による発電設備運用計画を策定する。発電設備運用計画には、揚水発電設備による発電が含まれる。策定された発電設備運用計画は、揚水発電設備評価部13へ伝達される。
揚水発電設備評価部13は、発電設備運用計画策定部12から伝達された情報を基に、発電設備運用計画策定部12によって策定された発電設備運用計画における、揚水発電機及び貯水池を含む揚水発電設備の運用を評価する。揚水発電設備評価部13による評価結果は、運用計画判定部14に伝達される。
運用計画判定部14は、揚水発電設備評価部13から伝達された情報を基に、揚水発電設備の運用計画の経済性を判定する。運用計画判定部14は、揚水発電設備運用計画修正部15および運用計画出力部16に接続されている。
運用計画判定部14による判定結果が良好である場合には、運用計画出力部16が、運用計画判定部14によって判定された揚水発電設備の運用計画を、運用計画判定部14から得られた情報を基に発電設備運用計画情報17として出力する。これにより、揚水発電設備による調整力確保の経済性を考慮した発電設備運用計画を得ることができる。
これに対して、運用計画判定部14による判定結果が不良である場合には、揚水発電設備運用計画修正部15が、揚水発電設備の運用計画を修正する。修正された揚水発電設備の運用計画は、発電設備運用計画策定部12に伝達される。運用計画判定部14は、伝達された揚水発電の運用計画(修正後)を反映した発電設備運用計画を再度策定する。再策定された発電設備運用計画は、揚水発電設備評価部13によって経済性が判定される。
運用計画判定部14による判定結果が良好となるまで、揚水発電設備運用計画修正部15による揚水発電設備の運用計画の修正、発電設備運用計画策定部12による、修正後の揚水発電設備の運用計画を反映した発電設備運用計画の再策定は、繰り返し実行される。
図2は、図1に示された発電計画策定装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2を参照して、発電計画策定装置100は、CPU(Central Processing Unit)19、主記憶装置20、及び、補助記憶装置21を含むコンピュータ18によって構成することができる。コンピュータ18は、入力装置22、ディスプレイ等の出力装置25、及び、ネットワーク23と接続される。又、コンピュータ18は、ネットワーク23を経由して、外部記憶装置24とさらに接続される。
図1に示された、発電設備情報取得部7、予測・分析情報取得部8、及び、発電設備運用計画取得部11の各機能は、入力装置22により入力された情報を読み込むことによって実現することができる。或いは、発電設備情報取得部7、予測・分析情報取得部8、及び、発電設備運用計画取得部11の各機能は、補助記憶装置21に保存されている情報の中から、入力装置22によって指定された情報を読み込むことによって実現されてもよい。又は、発電設備情報取得部7、予測・分析情報取得部8、及び、発電設備運用計画取得部11の各機能は、外部記憶装置24に保存されている情報の中から、入力装置22によって指定された情報をネットワーク23経由で読み込むことによって実現されてもよい。発電設備情報取得部7、予測・分析情報取得部8、及び、発電設備運用計画取得部11の各機能によって読み込まれた情報は、主記憶装置20上に展開される。
図1に示された、調整力必要量算出部9、発電設備運用計画策定部12、揚水発電設備評価部13、運用計画判定部14、及び、揚水発電設備運用計画修正部15による機能は、コンピュータ18の内部演算処理としてCPU19を用いて実現できる。CPU19は、主記憶装置20上の情報を読み込むとともに、各種演算処理を実行する。CPU19による演算結果は、主記憶装置20上に格納される。
運用計画出力部16は、CPU19による演算処理によって策定した発電設備運用計画情報17を、ユーザが確認するために出力装置25に表示する機能を有する。また、運用計画出力部16は、策定した発電設備運用計画情報17を保管するため、当該情報を補助記憶装置21に可能する機能を有する。或いは、運用計画出力部16は、策定した発電設備運用計画情報17を保管するため、ネットワーク23を経由して、当該情報を外部記憶装置24に格納してもよい。運用計画出力部16の機能についても、CPU19の演算処理によって実現することが可能である。
図3は、本実施の形態に係る発電計画策定装置の処理を説明するためのフローチャートである。図3に示された各ステップは、CPU19(図2)によって実行することができる。
図3を参照して、CPU19は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)100により、図1に示された火力発電設備情報1及び揚水発電設備情報2に基づく発電設備情報を取得する。発電設備情報は、例えば、火力発電設備及び揚水発電設備の各々の、出力可能範囲及び起動・停止パターンを含む。すなわち、S100の処理は、図1の発電設備情報取得部7に相当する。
CPU19は、S110により、予測・分析情報を取得する。予測・分析情報は、図1に示された、エリア需要予測・分析情報3、再エネ電源予測・分析情報4、その他電源予測・分析情報5、及び、短周期変動分析情報6に基づく、エリア需要、再エネ、及び、その他電源の計画誤差実績に関する分析結果、並びに、短周期変動実績に関する分析結果を含む。すなわち、S110の処理は、図1の予測・分析情報取得部8に相当する。
CPU19は、S120により、S100で取得された発電設備情報及びS110で取得された予測・分析情報から、調整力必要量を算出する。調整力必要量は、エリア需要予測・分析情報3、再エネ電源予測・分析情報4、その他電源予測・分析情報5、及び、短周期変動分析情報6を用いて、周波数制御、需給バランス調整、及び、その他の系統安定化業務として対応すべき各変動要因(需要予測誤差、発電出力予測誤差、短周期変動実績、及び、電源脱落分等)を算出するとともに、算出した変動要因を組み合わせることによって算出することができる。尚、各変動要因の選定、及び、各変動要因をどのように組み合わせるかは、各送配電事業者の運用方針に従って任意に設定することができる。この結果、系統安定化のために予備的に確保されるべき電力が、調整力必要量として算出される。S120の処理は、図1の調整力必要量算出部9に相当する。
CPU19は、ステップS130により、発電事業者による発電設備運用計画を取得する。発電設備運用計画は、図1に示された発電設備運用計画(BG計画)情報10に基づいて取得される。すなわち、S130の処理は、図1の発電設備運用計画取得部11に相当する。S130で取得された、発電事業者による発電設備運用計画は、個々の事業者ごとの発電計画であり、供給区域全体における需給バランス及び上述の調整力必要量(S120)が考慮されていない。
図4には、発電設備運用計画の構造を説明するための図表が示される。
図4を参照して、発電設備運用計画は、#1〜#NのN台(N:2以上の任意の自然数)の発電機の時間帯毎の発電電力によって示される。当該N台の発電機には、揚水発電設備の発電機、及び、揚水発電設備以外の発電設備(火力発電設備等)の発電機の両方が含まれる。図4の例では、30分刻みの24区間のそれぞれについて、第i番目の発電機(i:1〜Nの自然数)の発電電力P(i)1〜P(i)24が策定される。尚、発電電力=0は、当該発電機の停止を意味する。
再び図3を参照して、CPU19は、S140により、送配電事業者による発電設備運用計画を策定する。S140で策定される発電設備運用計画は、供給区域全体の需給バランス及び調整力必要量を考慮して、発電事業者による発電設備運用計画(S130)を修正することによって策定される。すなわち、S140の処理は、図1の発電設備運用計画策定部12に相当する。
ここで図5及び図6を用いて、発電事業者による発電設備運用計画及び送配電事業者による発電設備運用計画の一例を説明する。
図5及び図6を参照して、運用計画に従って、発電コスト順に配列された#1〜#NのN個の発電機の各時刻における発電電力が決定される。図中には、N個の発電機の各々について、運用計画に従った発電電力を、当該発電機の最大発電電力で除算することによって算出される出力率によって、運用計画が示される。
図5には、発電事業者による発電設備運用計画(S130)の一例が示される。発電事業者による策定には、供給区域全体の需給バランス及び調整力必要量は反映されておらず、基本的には、発電事業者の経済性(発電コスト)が最優先された運用計画が策定される。従って、当該運用計画のままでは、万一、実運用時に需要予測誤差や太陽光発電の出力予測誤差などの計画からのずれ(変動)が発生した場合、変動に対応する余力が足りなくなる可能性がある。
これに対して、図6には、送配電事業者による発電設備運用計画(S140)の一例が示される。送配電事業者は、発電事業者から取得した運用計画(図5)を元に、将来想定される供給区域内で発生する需要変動に対応できるような調整力を事前に確保し、かつ、需給バランスを満たすように修正を加えることによって、運用計画を策定する。
図5及び図6を比較すると、図5(発電事業者)では、経済性を優先するために、高コストの発電機を停止するとともに、作動する発電機の個数が抑えられ、かつ、低コストの発電機の出力率が高く設定されていることが理解される。特に、低コスト側の発電機については、終日出力率を最大値(すなわち、最大発電電力での作動)とすることで、経済的な運用計画とされている。このため、仮に需給変動や予測誤差によって発電電力が不足もしくは余剰した際には、発電機の新たな作動が必要となり、系統安定化のための調整力を速やかに確保できないことが懸念される。
一方で、図6(送配電事業者)では、図5と比較して、作動する発電機の出力率が抑えられており(図中「X」)、かつ、高コスト側の発電機が追加運転されている(図中「Y」)。これにより、需給バランス及び調整力の確保が容易となることが理解される。
このように策定された、送配電事業者による発電設備運用計画(図6)において、N個の発電機のうち、揚水発電機の運転計画(作動期間及び発電電力)についても確定される。この際に、揚水発電機の各運転期間について、需給バランス目的の運転、及び、調整力確保のための運転のいずれであるかが定義付けされる。又、図6による運用計画における揚水発電機による揚水発電運転(以下、「揚発運転」とも称する)に備えて予め貯水池から揚水する期間及び揚水量を定める揚水運転計画が定められる。
再び図3を参照して、CPU19は、S150により、S140で策定された発電設備運用計画に基づき、揚水発電設備の運用を評価する。S150による処理は、図1の揚水発電設備評価部13に対応する。
図7には、揚水発電設備の運用評価(S150)のための処理を説明するフローチャートが示される。
図7を参照して、CPU19は、揚水発電設備の運用を評価するために、S151〜S156により、揚水運転及び揚発運転のコストを算出する。例えば、揚水発電設備の運用計画は、図8に示されるように、揚水運転期間T1と、揚水運転期間T1の後に設けられた、揚発運転期間T2a,T2b,T3を含む。ここで、揚発運転期間T2a,T2bは、需給バランス目的の発電を行うために計画されており、揚発運転期間T3は、長勢力確保目的の発電を行うために計画されているものとする。すなわち、揚発運転期間T2a,T2bは「第1の揚発運転期間」の一例に対応し、揚発運転期間T3は「第2の揚発運転期間」の一例に対応する。
CPU19は、S151により、揚水発電設備の運用計画から揚水運転期間(図8のT1)を抽出するとともに、S152により、抽出された揚水運転期間における揚水単価P1(円/kWh)を算出する。ここで、揚水単価P1は、揚水原資(水を汲み上げるための電力)として使用した火力発電機の運転費用(円)を揚水動力量(kWh)で除算することによって算出される。揚水動力量は、運用計画に従った発電量を得るために必要な水量を汲み上げるために要するエネルギに相当する。揚水単価P1により、貯水池の運用の経済性を評価することができる。
CPU19は、S153により、揚水発電設備の運用計画から需給バランス目的の揚発運転期間(図8のT2a,T2b)を抽出するとともに、S154により、抽出された揚水運転期間における、揚水発電を用いないときの発電単価に相当する揚発単価P2(円/kWh)を算出する。ここで、揚発単価P2は、揚水発電を使用せずに火力発電機で発電した場合の運転費用(円)を、揚水発電電力量(kWh)で除算することによって算出される。図8の例では、揚発運転期間T2a,T2bの各々において、揚発単価P2が算出される。
CPU19は、S155により、揚水発電設備の運用計画から調整力確保目的の揚発運転期間(図8のT3)を抽出するとともに、S156により、抽出された揚水運転期間における揚発調整力単価P3(円/kWh)を算出する。ここで、揚発調整力単価P3は、揚水発電を用いずに火力発電機で調整力確保する場合において、火力発電機の出力を変化させる運転での発電単価として定義される。例えば、揚発調整力単価P3としては、事前に発電事業者により設定された調整力確保に応じるための火力発電機の出力単価等を用いることが可能である。
再び図3を参照して、CPU19は、S160により、揚水発電設備の運用計画の経済性を判定する。S160による処理は、図1の運用計画判定部14に対応する。
図9には、揚水発電設備の運用計画判定(S160)のための処理を説明するフローチャートが示される。
図9を参照して、CPU19は、S161により、経済性判定結果を示すフラグFLG=0に初期化する。さらに、CPU19は、S162により、揚水発電設備の運用計画における揚発運転期間を1個ずつ抽出する。
CPU19は、S163により、S162で抽出した揚発運転期間が需給バランス目的であるか否かを判定する。例えば、最初に図8の揚発運転期間T2aが抽出された場合には、S163がYES判定とされて、処理はS164に進められる。CPU19は、S164では、図7のS154で算出された揚発単価P2と、図7のS151で算出された揚水単価P1とを比較する。揚発単価P2が揚水単価P1よりも安いとき(S164のYES判定時)には、S166aにより、FLGの値が維持される。一方で、揚発単価P2が揚水単価P1以上のとき(S164のNO判定時)には、S166bにより、FLG=1とされる。
CPU19は、S166a又はS166bの後、全ての揚発運転期間についてS163〜S166a,166bの判定処理が終了したか否かを判定する。例えば、図8の揚発運転期間T2aに対する判定処理(S163〜S166a,S166b)の終了時には、次の揚発運転期間T3に対する判定処理を実行するために、S167がNO判定とされて、処理はS162に戻される。
S162において、図8の揚発運転期間T3が抽出されたときには、S163はNO判定とされて、処理はS165へ進められる。CPU19は、S165では、図7のS156で算出された揚発調整力単価P3と、図7のS151で算出された揚水単価P1とを比較する。揚発調整力単価P3が揚水単価P1よりも安いとき(S165のYES判定時)には、S166aにより、FLGの値が維持される。一方で、揚発調整力単価P3が揚水単価P1以上のとき(S165のNO判定時)には、S166bにより、FLG=1とされる。S166a又はS166bの後、処理は再びS168に進められる。
CPU19は、全ての揚発運転期間の判定が終了するまでの間(S167のNO判定時)、S162〜S166a,S166bの処理を繰り返す。この結果、揚水発電設備の運用計画における揚発運転期間の各々について、需給バランス目的の揚発運転では揚発単価P2が揚水単価P1と比較されるとともに、調整力確保目的の揚発運転では揚発調整力単価P3が揚水単価P1と比較される。
全ての揚発運転期間の判定が終了した時点(S167のYES判定時)において、全ての揚発運転期間において、揚発単価P2又は揚発調整力単価P3が揚水単価P1よりも安いときには、フラグFLGは初期値のままである(FLG=0)。この場合には、S140で策定された発電設備運用計画における揚水発電設備の運用が経済的なものであることになる。
一方で、少なくとも1つの揚発運転期間において、揚発単価P2又は揚発調整力単価P3が揚水単価P1以上であると、フラグFLGは初期値から「1」に変化している(FLG=1)。これは、S140で策定された発電設備運用計画では、揚水発電を用いることで火力発電よりもコストが高くなっている揚発運転期間が存在することを示している。このように、全ての揚発運転期間の判定が終了した時点でのフラグFLGの値には、S140で策定された発電設備運用計画における、貯水池を含む揚水発電設備の運用に対する経済性の評価結果が反映されている。
CPU19は、全ての揚発運転期間の判定が終了すると(S167のYES時)、S168により、フラグFLGの値を確認する。CPU19は、FLG=0のとき(S168のYES判定時)には、S169aにより、S160の判定結果を「OK」とする。一方で、FLG=1のとき(S168のNO判定時)には、S169bにより、S160の判定結果は「NG」とされる。
再び図3を参照して、CPU19は、S160の判定結果が「OK」であると、S140で策定された発電設備運用計画を肯定して、S180により、S140で策定された発電設備運用計画を出力する。これにより、揚水発電設備による調整力確保の経済性を考慮した運用計画が確定されて、図1に示された発電設備運用計画情報17が得られる。例えば、発電設備運用計画情報17は、CPU19から主記憶装置20に出力されるとともに、図2の出力装置25を用いて、視覚的に表示することが可能である。S160の処理は、運用計画出力部16の機能に対応する。
CPU19は、S160の判定結果が「NG」であるときには、S140で策定された発電設備運用計画が否定されて、S170により、揚水発電設備の運用計画が修正される。すなわち、S170の処理は、図1の揚水発電設備運用計画修正部15に対応する。
S170では、例えば、FLG=1となった揚発運転期間について、揚水発電で調整力を確保することを止めて、火力発電で調整力を確保するように、揚水発電設備運用計画を修正することができる。或いは、揚水単価P1を下げるために、揚水運転期間の時刻を変更することによって、揚水発電設備運用計画を修正することも可能である。このように、図9による判定において、全ての揚発運転期間でFLG=0に維持されるように、揚水発電設備運用計画が修正される。
CPU19は、S170によって揚水発電設備運用計画を修正すると、処理をS140に進めて、修正された揚水発電設備運用計画が反映された発電設備運用計画を再度策定する。さらに、CPU150は、S150及びS160により、S140で再度策定された発電設備運用計画の経済性を評価する。この結果、S160がNO判定とされると、再びS170によって揚水発電設備運用計画が修正されるとともに、S150及びS160によって修正後の揚水発電設備運用計画が反映された発電設備運用計画の経済性が評価される。このように、発電設備運用計画中の全ての揚発運転期間において、揚水発電の運用によるコストメリット(火力発電機だけの計画よりも運用コストが安くなること)が享受されるまで、揚水発電設備運用計画を含む発電設備運用計画を繰り返し修正することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る発電計画策定装置によれば、需給バランス及び調整必要量が確保された発電設備運用計画(S140)における揚水発電設備の運用計画の経済性を評価するとともに、経済性の評価が良好でない場合には、揚水発電設備運用計画を修正することができる。この結果、揚水発電設備を用いた調整力確保と、経済性の確保とを両立させた発電設備運用計画を策定することができる。
特に、発電設備運用計画(S140)における全ての揚発運転期間において、揚水発電を用いることで火力発電よりもコストが高くなっている揚発運転期間が存在しなくなるように、揚水発電設備運用計画を策定することでで、経済性を十分に評価することができる。又、経済性の評価(S150,S160)が良好になるまで、揚水発電設備運用計画を繰り返し修正することができるので、確実に経済性が確保された発電設備運用計画を策定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 火力発電設備情報、2 揚水発電設備情報、3 エリア需要予測・分析情報、4 再エネ電源予測・分析情報、5 その他電源予測・分析情報、6 短周期変動分析情報、7 発電設備情報取得部、8 分析情報取得部、9 調整力必要量算出部、10 情報、11 発電設備運用計画取得部、12 発電設備運用計画策定部、13 揚水発電設備評価部、14 運用計画判定部、15 揚水発電設備運用計画修正部、16 運用計画出力部、17 発電設備運用計画情報、18 コンピュータ、20 主記憶装置、21 補助記憶装置、22 入力装置、23 ネットワーク、24 外部記憶装置、25 出力装置、100 発電計画策定装置、P1 揚水単価、P2 揚発単価、P3 揚発調整力単価、T1 揚水運転期間、T2a,T2b,T3 揚発運転期間。

Claims (5)

  1. 送配電事業者による発電設備運用計画を策定する発電計画策定装置であって、
    系統安定化のために予備的に必要とされる調整力必要量を算出する調整力必要量算出部と、
    前記調整力必要量が確保されるように、揚水発電設備を含む発電設備に係る前記発電設備運用計画を策定する発電設備運用計画策定部と、
    前記発電設備運用計画における前記揚水発電設備の運用計画の経済性を評価する揚水発電評価部と、
    前記揚水発電評価部による評価結果に基づいて、前記発電設備運用計画の成否を判定する運用計画判定部と、
    前記運用計画判定部によって否定された前記発電設備運用計画について前記揚水発電設備の運用計画を修正するための揚水発電設備運用計画修正部とを備える、発電計画策定装置。
  2. 前記揚水発電評価部及び前記運用計画判定部は、前記揚水発電設備運用計画修正部によって前記揚水発電設備の運用計画が修正される毎に、修正された前記運用計画の経済性の評価及び前記修正された運用計画が反映された前記発電設備運用計画の成否を判定し、
    前記運用計画判定部によって前記発電設備運用計画が肯定されるまで、前記揚水発電設備運用計画修正部は、前記揚水発電設備の運用計画を繰り返し修正する、請求項1記載の発電計画策定装置。
  3. 前記発電設備運用計画策定部は、発電事業者によって策定された発電設備運用計画に対して、需給バランス及び前記調整力必要量を確保するための修正を加えることによって、前記発電設備運用計画を策定する、請求項1又は2に記載の発電計画策定装置。
  4. 前記揚水発電設備の運用計画は、揚水発電に備えて水を汲み上げる揚水運転期間と、前記需給バランスを目的として揚水発電機を運転する第1の揚発運転期間と、前記調整力必要量を確保する目的で前記揚水発電機を運転する第2の揚発運転期間との時刻スケジュールを含み、
    前記揚水発電評価部は、前記揚水運転期間における前記水を汲み上げる際の電力単価と、前記第1及び第2の揚発運転期間の各々における、前記揚水発電設備を用いないときの発電単価との比較に基づいて、前記揚水発電設備の運用計画の経済性を評価する、請求項3記載の発電計画策定装置。
  5. 前記発電設備は、火力発電設備をさらに含み、
    前記第1の揚発運転期間における前記発電単価は、前記揚水発電設備を使用せずに前記火力発電設備で発電した場合の運転費用を、前記揚水発電設備での計画発電電力量で除算することによって算出され、
    前記第2の揚発運転期間における前記発電単価は、記調整力必要量を確保するための前記火力発電設備の出力を変化させる運転での前記発電単価に従って算出される、請求項4記載の発電計画策定装置。
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