以下、図面を参照しつつ、発光装置およびその製造方法について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1(A)および図1(B)は、照明装置1の正面図および背面図である。照明装置1は、例えば照明用の投光器として利用可能な装置であり、一例として、図1(A)に示すように2行3列に配置された計6個の発光装置2を有する。照明装置1は、各発光装置2のケース(筐体)3を近接して配置することで、1つの装置として構成される。1つの照明装置に含まれる発光装置2の個数には、図示したものの他に、例えば2個、4個、あるいは8個以上など、色々な例がある。図1(B)に示すように、照明装置1は、各発光装置2のケース3の裏面に、発光装置2で発生した熱の放出を促進させるための放熱フィン(ヒートシンク)4を有する。
図2(A)および図2(B)は、発光装置2の上面図および側面図である。図2(A)および図2(B)に示すように、発光装置2は、基板10と、基板10上に形成された複数の発光部20と、複数の発光部20の上に配置されたレンズアレイ40とを有する。また、図1(B)および図2(B)に示すように、各発光装置2は、基板10の裏面に、複数の発光部20が発した熱を放熱させる放熱フィン4を有する。
基板10は、その中央に円形の開口部13を有するほぼ矩形の基板である。例えば、基板10の縦横の長さはそれぞれ10cm程度であり、基板10の厚さは1〜2mm程度である。基板10は、例えば、接着シートにより金属基板11の上に回路基板12を貼り合わせて構成される。基板10の端部は、図1(A)に示した発光装置2のケース3に固定される。
金属基板11は、発光部20を実装するための実装基板、および発光部20で発生した熱を放熱させる放熱基板として機能するため、例えば、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムで構成される。ただし、金属基板11の材質は、耐熱性と放熱性に優れたものであれば、例えば銅などの別の金属でもよい。
回路基板12は、ガラスエポキシ基板、BTレジン基板、セラミックス基板またはメタルコア基板などの絶縁性基板である。回路基板12の上面には、複数の発光部20を互いに電気的に接続するための配線パターン14が形成される。図2(A)に示す回路基板12の右端には、発光装置2を外部電源に接続するための2個の接続電極15が形成される。接続電極15は、一方が+電極、他方が−電極であり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されることによって、発光装置2の複数の発光部20が発光する。
発光部20は、1つの共通基板である基板10上に形成された独立の複数の発光部であり、開口部13を取り囲むように基板10上に均等に配置される。図示した例では、発光装置2は、22個の発光部20を有する。後述するように、個々の発光部20は、複数のLED素子(発光素子の一例)を有する。発光装置2からの出射光を均一にするためには、発光部20同士の間隔(ピッチ)は一定の大きさであることが好ましい。ただし、基板10の縦方向と横方向で、発光部20のピッチは異なってもよい。
図3は、レンズアレイ40の上面図である。レンズアレイ40は、複数のレンズ41が一体に形成されたレンズの集合体である。図示した例では、レンズアレイ40は、その中央を除いて近接して配置された22個のレンズ41を有する。レンズアレイ40の中央部42は、開口部であることが好ましい。図2(B)に示すように、各レンズ41の光軸Xは、基板10の法線方向に一致している。各レンズ41は、各発光部20に対応して、基板10上の発光部20と同じ配置で設けられており、それぞれ、対応する発光部20からの出射光を集光する。各レンズ41は、例えば同じ形状および大きさを有する。レンズアレイ40の端部は、図1(A)に示した発光装置2のケース3に固定される。特に投光器の用途では、使用時に風により受ける抵抗が小さくなるように、発光装置2をなるべく小型に構成することが求められる。このため、隣接するレンズ41同士は間隔を空けずに互いに接触させて、レンズアレイ40全体に対するレンズ41部分の密度を高くすることが好ましい。発光部20とレンズ41とは1対1に対応するため、レンズ41の径によって、発光部20のピッチが決まる。
上記の通り、基板10は、中央に開口部13を有する。開口部13は、金属基板11と回路基板12の同じ位置に形成される。また、開口部13の上方にはレンズ41は配置されておらず、開口部13の上方ではレンズアレイ40は開放されていることが好ましい。開口部13の形状は円形に限らず、矩形などの他の形状でもよく、開口部13の位置も、厳密に基板10の中央でなくてもよい。発光装置2では、基板10に開口部13があることにより、以下で説明するように、放熱の観点で有利になる。
まず、発光装置2では、開口部13の縁において金属基板11が露出するため、金属基板11が外気に接する面積が広がる。これにより、発光部20(発光素子)から金属基板11に伝わった熱の一部が、開口部13の縁からも装置外部に放出される。また、発光装置2では、基板10の裏側の放熱フィン4は、開口部13を通して基板10の表側でも外気に接触するため、放熱フィン4が外気に触れる面積も広がる。これにより、金属基板11から放熱フィン4に伝わった熱の一部は、開口部13を通じて基板10の表側にも放出される。したがって、発光装置2では、開口部13により、各発光部20(発光素子)で発生した熱の装置外部への放出を促進させることが可能になる。
なお、放熱の観点から、開口部13の径は、ある程度の大きさを有する必要がある。例えば、開口部13の径d1は、少なくとも個々の発光部20の径d2より大きいことが好ましく、複数の発光部20の配置間隔(ピッチ)d3よりも大きいことがより好ましい。なお、図示した例では、発光部20の径d2より発光部20のピッチd3の方が大きい。
また、図2(A)に示すように、回路基板12の上面には、発光部20ごとに、その発光部20の動作(点灯)を確認するための検査用端子16が設けられる。検査用端子16は、それぞれ2個の端子を1組として、対応する発光部20を挟むように配置される。検査用端子16は発光部20の外側に配置されるが、回路基板12上には複数の発光部20を一斉に点灯させるための配線パターン14もあるため、検査用端子16の配置位置が発光部20からあまり離れ過ぎると、配線の引回しが難しくなる。そこで、図2(A)に示すように、各組の検査用端子16は、回路基板12上において、対象の発光部20に対応するレンズ41の主面の径内である位置に形成される。
また、誤測定を防止するために、各組の検査用端子16を構成する2個の端子は、複数の発光部20の間で共通の間隔dを空けて均等に配置される。さらに、配線パターン14との関係で可能であれば、各組の検査用端子16を構成する2個の端子は、基板10の辺に対して共通の角度で並ぶように配置することが好ましい。このように、複数組の検査用端子16の配置を揃えれば、発光部20の動作を順に確認していくときに、個々の発光部20の動作確認が容易になり、誤測定の発生頻度を低くすることが可能になる。
図4(A)〜図4(C)は、発光部20の上面図および縦断面図である。より詳細には、図4(A)は発光部20の上面図、図4(B)は図4(A)のIVB−IVB線に沿った断面図、図4(C)は図4(A)のIVC−IVC線に沿った断面図である。発光部20は、主要な構成要素として、複数のLED素子30と、封止枠23と、封止樹脂24とを有する。
LED素子30は、発光素子の一例であり、例えば発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色LEDである。個々の発光部20では、回路基板12に開口部21があり、開口部21を通して金属基板11が露出している。LED素子30は、開口部21を通して露出している金属基板11の上に実装される。このように、LED素子30が金属基板11の上に直接実装されることで、LED素子30および後述する蛍光体の粒子により発生した熱の放熱が促進される。
また、LED素子30は、開口部21内における例えば矩形の実装領域22内に、格子状に配列して実装される。図4(A)では、特に、4行4列の16個のLED素子30が実装された場合の例を示している。この場合、LED素子30は、4個ずつ直列に接続され、その4組がさらに並列に接続される。このように、LED素子30は、各発光部20において、その発光部20について設定された直列数および並列数で互いに直並列接続される。
以下では、特にLED素子30の直列数が4個の発光部を指すときには、「発光部204」と表記する。発光部をLED素子30の直列数によって区別しないときには、単に「発光部20」と表記する。
LED素子30の下面は、例えば透明な絶縁性の接着剤などにより、金属基板11の上面に固定される。また、LED素子30は上面に一対の素子電極を有し、図4(A)に示すように、隣接するLED素子30の素子電極は、ワイヤ31により相互に電気的に接続される。開口部21の外周側に位置するLED素子30から出たワイヤ31は、最終的に回路基板12の配線パターン14に接続される。これにより、各LED素子30にはワイヤ31を介して電流が供給される。
封止枠23は、回路基板12の開口部21の大きさに合わせて例えば白色の樹脂で構成されたほぼ矩形の樹脂枠であり、発光部20内のLED素子30を取り囲むように、回路基板12の上面における開口部21の外周部分に固定される。封止枠23は、封止樹脂24の流出しを防止するためのダム材である。また、封止枠23は、例えば、その表面に反射性のコーティングが施されることにより、LED素子30から側方に出射された光を、発光部20の上方(LED素子30から見て金属基板11とは反対側)に向けて反射させる。なお、図4(A)では、封止枠23が透明であるとして図示している。
封止樹脂24は、金属基板11上で封止枠23により囲まれる領域に充填されて、発光部20のLED素子30とワイヤ31の全体を一体に被覆し保護(封止)する。封止樹脂24としては、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂を、特に250℃程度の耐熱性がある樹脂を使用するとよい。
また、封止樹脂24には、黄色蛍光体などの蛍光体(図示せず)が分散混入されている。黄色蛍光体は、LED素子30が出射した青色光を吸収して黄色光に波長変換する、例えばYAG(yttrium aluminum garnet)などの粒子状の蛍光体材料である。発光部20は、青色LEDであるLED素子30からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。
あるいは、封止樹脂24は、例えば緑色蛍光体と赤色蛍光体などの複数種類の蛍光体を含有してもよい。緑色蛍光体は、LED素子30が出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、例えば(BaSr)2SiO4:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料である。赤色蛍光体は、LED素子30が出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、例えばCaAlSiN3:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料である。この場合、発光部20は、青色LEDであるLED素子30からの青色光と、それによって緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。
図5(A)および図5(B)は、発光装置2の全体の回路図である。符号50は、発光装置2の22個の発光部20を駆動するドライバを指し、符号203は、LED素子30の直列数が3個の発光部を指す。発光装置2では、図2(A)に示すように、回路基板12の上面に全部で5個の切換え用端子17が設けられている。照明装置1に含まれる発光装置2の個数と使用するドライバ50が供給可能な最大電圧との関係に応じて、切換え用端子17同士の接続の仕方を変えることにより、発光部20の直並列を切り替えることが可能である。例えば、切換え用端子17同士の接続の仕方に応じて、図5(A)に示すように、22個の発光部20がドライバ50に直列接続されたり、図5(B)に示すように、22個の発光部20が、ドライバ50に並列接続される2組に分けられ、各組に含まれる11個ずつの発光部20が互いに直列接続されたりする。
上記の通り、個々の発光部20は、互いに並列接続される複数の列に分けられその複数の列のそれぞれで互いに直列接続される複数のLED素子30を有する。発光装置2では、装置全体で直列接続されるLED素子30の順方向電圧(Vf)の総和がドライバ50で駆動可能な電圧の範囲内に収まるように、個々の発光部20内で直列接続されるLED素子30の個数が設定されている。このため、発光装置2では、必ずしも全ての発光部20が同じ個数のLED素子30を有するわけではなく、一般に、1つの発光部20に含まれるLED素子30の個数は発光部20ごとに異なる。
例えば、ドライバ50が供給可能な最大電圧が264Vであるとする。また、LED素子30としてあるLED素子(1)を使用したときに、直列数が4個である1つの発光部20のVfが10.5〜11.7Vであったとする。この場合、発光部20を22個直列接続しても、発光装置2全体でのVfは231.0〜257.4Vになり、ドライバ50で駆動可能な範囲内に収まる。一方、LED素子30として別のLED素子(2)を使用したときに、直列数が4個である1つの発光部20のVfが11.6〜13.6Vになったとする。この場合、発光部20を22個直列接続すると、発光装置2全体でのVfは255.0〜299.4Vになり、ドライバ50で駆動可能な最大電圧を超えてしまう。
このため、後者のLED素子(2)を使用する場合には、一部の発光部20での直列数を3個にして、Vfが11.6〜13.6Vである直列数が4個の発光部204と、Vfが8.69〜10.21Vである直列数が3個の発光部203とを組み合わせる。すると、全部で22個の発光部20のうち、少なくとも11個を発光部203にすれば、発光装置2全体でのVfは264V以下になり、ドライバ50で駆動可能な範囲内に収まる。そこで、発光装置2では、LED素子(1)を使用する場合には、22個の発光部20を直列数が4個の発光部204とするが、LED素子(2)を使用する場合には、22個の発光部20のうち、例えば11個を直列数が4個の発光部204とし、残りの11個を直列数が3個の発光部203とする。
このように、発光装置2では、個々の発光部20内で直列接続されるLED素子30の個数が、ある発光部20ではm個、別の発光部20ではn個というように異なる。これにより、装置全体で直列接続されるLED素子30の順方向電圧の総和が対象のドライバ50で駆動可能な電圧の範囲内に収まるように調整される。このため、使用するLED素子30の種類を変えたとしても、個々のLED素子30の順方向電圧によらずに、発光装置2を共通のドライバ50で駆動することが可能になる。
図6は、発光部203の上面図である。図4(A)に示した発光部20(発光部204)と図6に示す発光部203は、LED素子30の個数のみが異なり、その他の点では同じ構成を有する。発光部204は16個のLED素子30を有し、それらは4個ずつ直列に接続され、その4組がさらに並列に接続されるのに対し、発光部203は、12個のLED素子30を有し、それらは3個ずつ直列に接続され、その4組がさらに並列に接続される。発光部204,203のどちらも、実装領域22は同じ形状および大きさの矩形領域であり、少なくとも実装領域22の四隅には、必ずLED素子30が実装される。その上で、発光部204,203のどちらも、実装領域22の内側では、例えば均等にLED素子30が実装される。発光部204,203では、どちらも実装領域22の大きさが同じで素子間ピッチが異なることにより、LED素子30の実装密度が互いに異なる。また、発光部204,203では、発光部を1つの発光体と見たときの発光密度も互いに異なる。
図7は、発光装置2におけるLED素子30の配置を模式的に示す図である。図2(A)および図2(B)では、複数の発光部を区別せず単に「発光部20」と表したが、発光装置2では、上記の通り、装置全体の順方向電圧を調整するために、例えば、直列数が4個の発光部204と直列数が3個の発光部203とが組み合わせられる。図7では、発光部204と発光部203が交互に接続される場合の例を示している。ただし、使用するドライバ50によっては、全ての発光部20でLED素子30の直列数が同じであってもよいし、直列数が2個以下または5個以上の発光部20があってもよい。
このように、各発光部20のLED素子30は、複数の発光部20で共通の形状および大きさの実装領域22内に、その発光部20について設定された直列数および並列数に応じた実装密度で実装される。これにより、複数の発光部20の間で発光径がそれぞれ同じになるため、各発光部20に含まれるLED素子30の個数にかかわらず、同じ形状および大きさの複数のレンズ41を含むレンズアレイ40を使用することが可能になる。
なお、LED素子30の個数を相対的に減らした発光部20では出射光量が低下するため、直列数および/または並列数が互いに異なる発光部20を組み合わせると、発光装置2全体として出射光量にムラが生じ得る。そこで、LED素子30の直列数および並列数が少ない発光部20ほど、LED素子30として順方向電圧が高いLED素子を使用してもよい。順方向電圧が高いLED素子であれば出射光がより明るくなるため、使用するLED素子を発光部20ごとに選択することにより、複数の発光部20の間で出射光量を均等にして、ムラのない光を出射させることが可能になる。
ただし、照明装置1は、投光器として使用されるという性質上、人間の目から遠く離れたところに設置されるため、発光装置2上の明るさのムラはあまり問題にならない。このため、直列数および/または並列数が互いに異なる発光部20は、発光装置2内で必ずしも均等に配置されていなくてもよい。また、全ての発光部20で順方向電圧が同じLED素子を使用してもよい。
図8は、発光装置2の製造工程の例を示すフローチャートである。発光装置2の製造時には、まず、基板10の上に複数の発光部20が一括で形成され、個々の発光部20に複数組のLED素子30が実装される。その際は、各発光部20について、回路基板12の開口部21内の金属基板11上に複数のLED素子30が実装される(S1)。次に、それらのLED素子30は、ワイヤ31により互いに直並列に接続される(S2)。また、開口部21の外周部分に封止枠23が固定される(S3)。さらに、蛍光体を含有する封止樹脂24が、金属基板11上で封止枠23により囲まれる領域に充填されて、複数のLED素子30が封止される(S4)。
なお、図2(A)に示すように、回路基板12の上面の対角線上には、一例として2個の位置決め用穴18a,18bが形成されており、各発光部20に相当する回路基板12の開口部21の位置は、位置決め用穴18a,18bの位置を基準として定められる。すなわち、各発光部20のLED素子30の実装位置および封止枠23の配置位置は、位置決め用穴18a,18bの位置を基準として定められる。これにより、発光部20の形成位置のバラつきが少なくなる。
続いて、複数のレンズ41を含むレンズアレイ40が、各発光部20と対応するレンズ41との相対位置を大まかに合わせて、発光部20の上に配置される(S5)。その際、例えば、基板10とレンズアレイ40の端部をケース3で保持することにより、レンズアレイ40は基板10に対して固定される。あるいは、以下で説明する方法により、レンズアレイ40を基板10に対して固定してもよい。
図9(A)〜図9(C)は、基板10に対するレンズアレイ40の固定方法の例を示す図である。図9(A)〜図9(C)は、それぞれ、基板10の上面図、レンズアレイ40の上面図、および対角線Lに沿った発光装置2の縦断面図を示す。図9(A)〜図9(C)では、簡単のため、発光部20とレンズ41の個数をそれぞれ8個として示している。
図示した例では、位置決め用穴18a,18bを用いて、基板10とレンズアレイ40とが位置決めされる。この場合、レンズアレイ40の下面(基板10と向かい合う面)の対角線L上には、位置決め用穴18a,18bの位置に合わせて2つの支持部43a,43bが予め設けられる。支持部43a,43bは、レンズアレイ40と一体に形成されるか、またはレンズアレイ40に接着された柱状部材である。支持部43a,43bを位置決め用穴18a,18bにそれぞれ嵌合させることにより、基板10とレンズアレイ40とが位置決めされる。これにより、各レンズ41の光軸を容易に各発光部20の中心に合わせることができるため、複数の発光部20と複数のレンズ41との相対位置を調整する工程が簡略化される。
位置決め用穴18a,18bは、対角線Lの一端部Pからの距離が遠いものほど対角線Lに沿った径が大きい。例えば、図2(A)および図9(A)に示すように、位置決め用穴18a,18bはともに円形であり、位置決め用穴18aより一端部Pから遠い位置決め用穴18bの方が、直径が大きい。あるいは、位置決め用穴18a,18bは、対角線Lの方向を長軸とする楕円形(長穴)でもよく、この場合には、位置決め用穴18aより位置決め用穴18bの方が長径が大きい。また、支持部43a,43bの下端における位置決め用穴18a,18bと嵌合する部分の径は、位置決め用穴18a,18bよりもやや細くなっている。これにより、対角線Lに沿った複数の発光部20と複数のレンズ41との相対位置が変更可能になるので、基板10とレンズアレイ40が異なる割合で熱膨張または熱収縮したときでも、相対位置の微調整が可能になる。
こうして、複数の発光部20と複数のレンズ41との相対位置が、発光装置2の点灯時の熱膨張および発光装置2の消灯時の熱収縮に応じて変更可能であるように、基板10とレンズアレイ40とは互いに固定される。その上で、以下で説明する方法により、基板10とレンズアレイ40との正確な位置決めが行われる(S6)。
S6における基板10とレンズアレイ40との位置決めは、次のような考え方に従って行われる。発光装置2の点灯時に発生する熱により、基板10を構成するアルミニウム製の金属基板11および樹脂製の回路基板12、ならびにガラス製のレンズアレイ40は、異なる熱膨張率で膨張する。例えば、点灯によって基板10とレンズアレイ40の温度が約100℃上昇すると仮定すると、1辺が10cm程度の基板10の場合には、基板10とレンズアレイ40の間で、1mm程度の伸び量の差が生じ得る。そこで、その伸び量の差Δdを考慮して、各発光部20と各レンズ41との相対位置を、予め逆方向にΔdだけずらしておく。これにより、発光装置2を駆動(複数の発光部20を点灯)して熱膨張が起きたときに、予め設定されたずれ量と熱膨張による伸び量の差が打ち消し合って、各発光部20と各レンズ41の光軸が一致する。このため、発光装置2を駆動して基板10とレンズアレイ40に熱膨張が起きたときに、各レンズ41を通した各発光部20からの出射効率を向上させることが可能になる。
図10(A)および図10(B)は、基板10とレンズアレイ40との位置決め方法の例を示す図である。基板10とレンズアレイ40とを位置決めするときには、例えば、図10(A)に示すように、基板10の隣り合う2辺とその2辺に対応するレンズアレイ40の端部とを基準面として、ケース3の壁に当接させる。そして、基板10とレンズアレイ40の熱膨張による伸び量の差Δdに相当する長さだけ、熱膨張率がより小さいレンズアレイ40の方を、基準面から遠くにずらしておく。熱膨張により基板10とレンズアレイ40は均等に膨張し、全体が拡大される。このため、上記の工程により、複数の発光部20が点灯して基板10とレンズアレイ40が熱膨張したときに、図10(B)に示すように、各発光部20と各レンズ41との相対位置を合わせることが可能になる。
以上で発光装置2の製造工程は終了する。以下では、発光部20の変形例を説明する。
図11(A)および図11(B)は、発光装置2Aの上面図および側面図である。図2(A)および図2(B)に示した発光装置2と図11(A)および図11(B)に示す発光装置2Aは、発光部20の形状および検査用端子16の配置が異なり、その他の点では同じ構成を有する。発光装置2の発光部20はほぼ矩形であるのに対し、発光装置2Aの発光部20Aは、発光部20よりやや大きく、円形である。このように、発光装置内の各発光部の形状は、矩形に限らず、円形でもよいし、あるいは他の形状であってもよい。また、発光装置2Aの検査用端子16は、発光部20Aごとの2つの端子の間隔と基板10の辺に対する角度の大きさとが発光装置2のものとは異なっているが、その他の点では発光装置2と同じ構成を有する。検査用端子16は、発光部の形状に応じた間隔dと角度θで、基板10上に配置される。
図12(A)および図12(B)は、発光部20Aの上面図である。図12(A)は、LED素子30の直列数が4個であり、並列数が4個の発光部20A4を示す。また、図12(B)は、LED素子30の直列数が4個であり、並列数が3個の発光部20A3を示す。このように、発光装置2Aでも、各発光部20AのLED素子30は、複数の発光部20Aで共通の大きさの円形の実装領域22Aに、その発光部20Aについて設定された直列数および並列数に応じた実装密度で実装される。この場合、発光部20Aごとに、LED素子30の直列数、並列数、またはその両方が異なっていてもよい。
図13は、発光装置2BにおけるLED素子30の配置を模式的に示す図である。図7に示した発光装置2と図13に示す発光装置2Bは、各発光部におけるLED素子30の直列数および並列数のみが異なり、その他の点では同じ構成を有する。発光装置2では、各発光部20の並列数は全て同じ4個であったが、発光部20ごとに、直列数と並列数の両方が異なってもよい。図13に示す発光装置2Bは、直列数が4個で並列数も4個の発光部20B4と、直列数が3個で並列数が5個の発光部20B3とを有する。図13では、発光部20B4と発光部20B3が交互に接続される場合の例を示している。発光部20ごとに直列数と並列数の両方を変える場合でも、各発光部20BのLED素子30は、複数の発光部20Bで共通の形状および大きさの実装領域22内に実装されることが好ましい。
図14(A)および図14(B)は、発光装置2Cおよび発光装置2C内の発光部20Cの上面図である。図2(A)に示した発光装置2と図14(A)に示す発光装置2Cは、各発光部の検査用端子16の配置のみが異なり、その他の点では同じ構成を有する。発光装置2では、各組の検査用端子16は発光部20を挟むように配置されていたが、図14(A)および図14(B)に示すように、各組の検査用端子16は、発光部20Cを挟まずに、発光部20Cの一方の側に配置されていてもよい。この場合でも、各組の検査用端子16を構成する2個の端子は、複数の発光部20Cの間で共通の間隔dを空けて均等に配置される。
図15は、発光装置2DにおけるLED素子30の配置を模式的に示す図である。図15に示す発光装置2Dは、LED素子30の大きさが発光部20Dごとに異なっているが、その他の点では、図7に示した発光装置2と同じ構成を有する。発光装置2Dでは、各発光部20Dの発光領域22Dの面積は互いに等しく、各発光部20Dに含まれるLED素子30の大きさは、LED素子30の直列数が多い発光部20Dほどより小さい。これにより、発光部20Dごとに素子数を変化させても、同じ外形の複数のレンズを含むレンズアレイを使用することが可能になる。また、素子のサイズを小さくすれば、同じ面積の発光領域22D内での直列数を増やすことができ、直列数に応じて発光部20Dごとの順方向電圧を調整できるため、装置全体の順方向電圧を発光装置2D用のドライバで駆動可能な範囲内にすることも可能になる。なお、今まで説明してきた発光装置2A〜2Cの中でも、このように、直列数が異なる発光部には、サイズが異なるLED素子30を使用してもよい。
図16は、発光装置2EにおけるLED素子30の配置を模式的に示す図である。図16に示す発光装置2Eは、レンズアレイ40E内の各レンズ41Eの大きさが発光部20Eごとに異なっているが、その他の点では、図7に示した発光装置2と同じ構成を有する。各レンズ41Eの大きさは、そのレンズ41Eに対応する発光部20Eが有するLED素子30の個数が多いほど大きい。
例えば、発光装置2Eの発光部20Eは、直列数4個および並列数4個で互いに直並列接続された16個のLED素子30を有する発光部20E4(第1の発光部の一例)と、直列数3個および並列数3個で互いに直並列接続された9個のLED素子30を有する発光部20E3(第2の発光部の一例)とで構成される。発光装置2Eでは、LED素子30の実装密度は各発光部20Eで同じであり、その結果、発光領域22Eの大きさが発光部20Eごとに異なっている。また、発光装置2Eのレンズ41Eは、発光部20E4に対応するレンズ41E4と、発光部20E3に対応しレンズ41E4より小さいレンズ41E3とで構成される。図16では、発光部20E4と発光部20E3が、基板10上に互い違いに配置される場合の例を示している。このように、各発光部20E内のLED素子30の個数、すなわち発光領域22Eの大きさに応じてレンズ41Eの大きさを変化させると、大きい発光部20E4の間に小さい発光部20E3を配置することができる。このため、発光装置2Eでは、基板10の表面により高い密度で多くの発光部20Eを形成できるようになり、出射光量が増加する。
図17(A)および図17(B)は、発光装置2Fの上面図および側面図である。図17(A)に示す発光装置2Fでは、図11(A)に示した発光装置2Aとは異なり、基板10Fの中央に開口部が設けられていない。また、発光装置2Fの基板10Fとレンズアレイ40Fは、発光装置2Aの基板10よりも小さく、発光装置2Fの発光部20Fの個数は、発光装置2Aの発光部20Aの個数よりも少ない。その他の点では、発光装置2Fは、発光装置2Aと同じ構成を有する。発光部20Fは、今までに説明した発光部20,20B〜20Eと同じ構成を有してもよく、その場合、基板10Fの中央には開口部が設けられていなくてもよい。
図18(A)および図18(B)は、発光部20Gの上面図および縦断面図である。より詳細には、図18(A)は発光部20Gの上面図、図18(B)は図18(A)のXVIIIB−XVIIIB線に沿った断面図である。図18(A)では、9個のLEDパッケージ30Gが3×3個の格子状に実装されている場合の例を示している。上記の発光装置2,2A〜2Fの発光部20,20A〜20Fは、LED素子30同士をワイヤ31で接続して全体を封止樹脂24で封止したものに限らず、図18(A)および図18(B)に示すようなLEDパッケージ30Gをフリップチップ実装して構成されるものであってもよい。
LEDパッケージ30Gは、下面に2個の素子電極32が形成されたLED素子30’と、蛍光体層33とを有する。LEDパッケージ30Gは、LED素子30の下面にある素子電極32にフリップチップ接合用のバンプ34が形成されたバンプタイプの発光素子である。LED素子30’は、例えば、発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色系の半導体発光素子(青色LED)である。
蛍光体層33は、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂に蛍光体の粒子(図示せず)を分散混入させて構成され、LED素子30’の上面および側面を一様に被覆する。例えば、蛍光体層33は、YAGなどの黄色蛍光体を含有し、LED素子30’が出射した青色光を吸収して黄色光に波長変換する。この場合、LEDパッケージ30Gは、青色LEDであるLED素子30’からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。なお、蛍光体層33が含有する蛍光体の種類は、これ以外のものでもよく、LEDパッケージ30Gごとに異なっていてもよい。