JP2019210361A - 発光材料 - Google Patents

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Yasuhiko Takeda
康彦 竹田
谷 俊彦
Toshihiko Tani
俊彦 谷
ホム ナト ルイテル
Nath Luitel Hom
ホム ナト ルイテル
真太郎 水野
Shintaro Mizuno
真太郎 水野
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Abstract

【課題】高効率のアップコンバージョン発光を示す新規な発光材料を提供すること。【解決手段】発光材料は、Ca3Ga2Ge3O12からなる母材と、前記母材に共添加されたEr及びNiとを備えている。発光材料は、(a)Er及びNiを添加したことにより生じる電荷バランスの崩れを補償するための電荷補償元素、及び/又は、(b)前記母材に格子歪みを導入するための格子歪み導入元素、をさらに含むものでも良い。電荷補償元素は、(a)Caを置換するLi、Na、K、Rb、若しくはCs(b)Gaを置換するGe、Ti、Zr、Nb、若しくはTa、又は、(c)Gaを置換するMg、が好ましい。また、前記格子歪み導入元素は、Y及び/又はGdが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、発光材料に関し、さらに詳しくは、アップコンバージョン発光が可能な発光材料に関する。
光電変換素子とは、光量子のエネルギーを何らかの物理現象を介して電気エネルギーに変換(光電変換)することが可能な素子をいう。太陽電池は、光電変換素子の一種であり、太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
太陽電池には、太陽光を吸収してキャリアを生成させる半導体材料が用いられる。太陽光のスペクトルは、紫外線から赤外線までの広い波長範囲(約0.3μm〜約3.0μm)まで分布する。一方、半導体材料に太陽光が照射された場合、半導体材料の光吸収端よりも長波長の光は、吸収されないので光電変換に寄与しない。そのため、高い光電変換効率を得るためには、長波長の光を利用するのが好ましい。
長波長の光を利用する技術の1つに、アップコンバージョン発光の利用がある。アップコンバージョン発光とは、長波長の光子2個を短波長の光子1個に変換する技術をいう。
例えば、シリコン太陽電池の場合、光吸収端は約1.1μmである。シリコン太陽電池に適用可能なアップコンバータとして、例えば、Er3+とNi2+を共添加することにより、波長1.1〜1.6μmの2光子を0.98μmの1光子に変換するアップコンバータが実現されている。そこでは、母材には、
(a)La(Ga,Sc)O3(非特許文献1)、CaTiO3(非特許文献2)、CaZrO3(特許文献1)などのペロブスカイト材料、
(b)Gd3Ga512(特許文献2)などのガーネット材料
が用いられている。
Er3+を含む酸化物に所定の波長の光を照射すると、アップコンバージョン発光を起こす。しかし、Er3+は、吸収波長範囲が狭い。一方、Ni2+は、Er3+が吸収できない波長範囲の光を吸収し、そのエネルギーでEr3+を励起する。すなわち、Ni2+は、Er3+の増感剤として機能する。添加されたNi2+が8配位中心に位置することが、Er3+に対する増感剤として機能するための必要条件である。
アップコンバータは、通常、光吸収層と基板との間に挿入される。光吸収層に吸収されなかった光は、基板の表面で反射され、反射光は再び光吸収層に向かう。そのため、光吸収層と基板との間にアップコンバータを挿入すると、光吸収層が吸収できない光を光電変換に利用することができる。この場合、光吸収層と基板との間に粉末状のアップコンバータを介在させる方法では、光の吸収率が低い。そのため、アップコンバータは、単結晶又は透明セラミックスが好ましい。
しかしながら、相対的に多量の添加物を含む酸化物の単結晶を作製するのは、一般に極めて困難である。また、ペロブスカイト材料は、結晶構造が斜方晶であるため、透明セラミックスを作製することはできない。
一方、Gd3Ga512(Gadolinium Gallium Gagrnet、GGG)などのガーネット材料は立方晶であるため、透明セラミックス化は可能である。しかし、従来のガーネット材料は融点が高い(〜1800℃)ため、透明セラミックスの作製は容易ではない。
特開2017−082186号公報 特開2016−121326号公報
Y. Takeda et al., Appl. Phys. Lett., 108, 043901(2016) H. N. Luitel et al., RSC Adv., 7, 41311(2017)
本発明が解決しようとする課題は、高効率のアップコンバージョン発光を示す新規な発光材料を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、母材の融点が低く、透明セラミックスを比較的容易に作製可能な新規な発光材料を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る発光材料は、
Ca3Ga2Ge312からなる母材と、
前記母材に共添加されたEr及びNiと
を備えている。
発光材料は、
(a)Er及びNiを添加したことにより生じる電荷バランスの崩れを補償するための電荷補償元素、及び/又は、
(b)前記母材に格子歪みを導入するための格子歪み導入元素
をさらに含むものでも良い。
Erを含む酸化物に所定の波長の光を照射すると、アップコンバージョン発光を起こす。しかし、Erイオンは、吸収波長範囲が狭い。
これに対し、Ca3Ga2Ge312にEr及びNiを共添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Erイオンが吸収できない波長範囲の光をNiイオンが吸収し、そのエネルギーによりErイオンが励起されるためと考えられる。
Ca3Ga2Ge312は、立方晶系に属し、かつ、融点(約1400℃)も相対的に低い。そのため、焼結が容易であり、透明セラミックスを作製することも可能である。
さらに、Er及びNiに加えて電荷補償元素をさらに添加すると、ガーネット構造を維持したまま、発光のためのEr、及び増感(光吸収)のためのNiの添加量を多くすることができる。また、格子歪み導入元素をさらに添加すると、Erの光学遷移確率が高くなる。その結果、発光強度がさらに増大する。
実施例1〜3、及び比較例1で得られた発光材料のアップコンバージョン発光スペクトル(1.18μm励起)を示す図である。 実施例4及び比較例2で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のEr濃度依存性を示す図である。 実施例5及び比較例3で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のNi濃度依存性を示す図である。
実施例6で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のY濃度依存性、及び実施例7で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のGdの添加濃度依存性を示す図である。 実施例8で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)を示す図である。 実施例9で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のNb濃度依存性を示す図である。 実施例10〜15で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 発光材料]
本発明に係る発光材料は、
Ca3Ga2Ge312からなる母材と、
前記母材に共添加されたEr及びNiと
を備えている。
[1.1. 母材]
本発明において、発光材料の母材は、ガーネット材料の一種であるCa3Ga2Ge312からなる。Ca3Ga2Ge312ガーネット(Calcium gallium germanium garnet、CGGG)に含まれるErイオンは、アップコンバージョン発光の発光中心となる。Erを含むCGGGは、発光波長がシリコンの光吸収端より僅かに短いので、シリコン太陽電池と組み合わせて用いる発光材料として好適である。また、CGGGは、立方晶系に属し、かつ、融点(約1400℃)も相対的に低い。そのため、焼結が容易であり、透明セラミックスを作製することも可能である。
[1.2. Er]
CGGGにおいて、Erは、Caサイトを占有する。Caサイトに占めるErの割合(以下、単に「Er濃度」ともいう)は、特に限定されるものではなく、他の添加元素の種類及び量に応じて最適な割合を選択するのが好ましい。
一般に、Er濃度(x)が大きくなるほど、発光効率は高くなる。このような効果を得るためには、Er濃度(x)は、0超が好ましい。Er濃度(x)は、好ましくは、0.05以上である。
一方、Er濃度(x)が過剰になると、かえって発光効率が低下する。従って、Er濃度(x)は、0.4以下が好ましい。Er濃度(x)は、好ましくは、0.2以下である。
[1.3. Ni]
本発明において、CGGGには、Erに加えて、Niがさらに添加される。Niは、増感材としての作用、すなわち、Erイオンが吸収できない波長の光を吸収し、そのエネルギーによりErイオンを励起する作用があると考えられている。
CGGGにおいて、Niは、Gaサイトを占有する。Gaサイトに占めるNiの割合(以下、単に「Ni濃度」ともいう)は、特に限定されるものではなく、他の添加元素の種類及び量に応じて最適な割合を選択するのが好ましい。
一般に、Ni濃度(z)が大きくなるほど、発光効率が高くなる。このような効果を得るためには、Ni濃度(z)は、0超が好ましい。Ni濃度(z)は、好ましくは、0.005以上である。
一方、Ni濃度(z)が過剰になると、かえって発光効率が低下する。従って、Ni濃度(z)は、0.05以下が好ましい。Ni濃度(z)は、好ましくは、0.02以下である。
[1.4. その他の添加元素]
発光材料は、Er及びNi以外の添加元素を含んでいても良い。その他の添加元素は、
(a)Erイオンによるアップコンバージョン発光を助長する元素、
(b)アップコンバージョン発光に関与しない元素、
(c)アップコンバージョン発光を阻害する元素
に大別される。
これらの内、アップコンバージョン発光を阻害する添加元素は、少ないほど良い。
アップコンバージョン発光を助長する元素としては、例えば、
(a)電荷補償元素、
(b)格子歪み導入元素
などがある。
[1.4.1. 電荷補償元素]
[A. 定義]
「電荷補償元素」とは、Er及びNiを添加したことにより生じる電荷バランスの崩れを補償するための元素をいう。
上述したように、Erは、Caサイトを占有する。Caイオンは2価であるのに対し、Erイオンは3価である。そのため、Er濃度(x)が大きくなるほど、電荷バランスの崩れが大きくなる。
同様に、Niは、Gaサイトを占有する。Gaイオンは3価であるのに対し、Niイオンは2価である。そのため、Ni濃度(z)が大きくなるほど、電荷バランスの崩れが大きくなる。
Er及びNiは好適な濃度範囲が異なるため、発光効率が大きくなるようにこれらの添加量を選択すると、通常、電荷バランスが崩れる。一般に、電荷バランスの崩れが大きくなるほど、立方晶構造を維持するのが困難となる。一方、立方晶構造を維持するために、Er濃度(x)及び/又はNi濃度(z)を少なくすると、高い発光効率は得られない。
これに対し、Er及びNiに加えて電荷補償元素を添加すると、Er及びNiの添加に起因する電荷バランスの崩れが解消される。その結果、立方晶構造を維持したまま、Er濃度(x)及び/又はNi濃度(z)を増大させることができる。
[B. 電荷補償元素の具体例]
電荷補償の方法としては、具体的には、
(a)CaサイトにEr及び電荷補償元素(A)を導入し、Caサイト内で電荷バランスを中性に保つ方法、
(b)GaサイトにNi及び電荷補償元素(B)を導入し、Gaサイト内で電荷バランスを中性に保つ方法、
(c)CaサイトにErを導入すると同時に、Gaサイトに電荷補償元素(C)を導入し、材料全体で電荷バランスを中性に保つ方法、
(d)GaサイトにNiを導入すると同時に、Caサイトに電荷補償元素(D)を導入し、材料全体で電荷バランスを中性に保つ方法、
(e)上記(a)〜(d)の2以上を組み合わせる方法、
などがある。
電荷補償元素(A)としては、例えば、Caを置換するLi、Na、K、Rb、Csなどがある。電荷補償元素(A)は、これらのいずれか1種の元素であっても良く、あるいは、2種以上の元素であっても良い。
電荷補償元素(B)としては、例えば、Gaを置換するGe(4価)、Ti(4価)、Zr(4価)、Nb(5価)、Ta(5価)などがある。電荷補償元素(B)は、これらのいずれか1種の元素であっても良く、あるいは、2種以上の元素であっても良い。
電荷補償元素(C)としては、例えば、Gaを置換するMg(2価)などがある。
電荷補償元素(D)としては、例えば、Caを置換するY(3価)、Gd(3価)などがある。
一般に、各サイトに占める電荷補償元素の割合が少なすぎる場合、及び多すぎる場合のいずれも、電荷補償による発光効率の向上効果が得られない。従って、電荷補償元素の割合は、各サイトを占有する元素の種類及び量に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
[1.4.2. 格子歪み導入元素]
[A. 定義]
「格子歪み導入元素」とは、母材に格子歪みを導入するための元素であって、以下の条件を備えているものをいう。母材に対して以下の条件を満たすイオンを共添加すると、結晶構造が歪むので、Erの光学遷移確率が高くなる。その結果、発光効率が向上する。
但し、格子歪み導入元素を添加すると、通常、電荷バランスが崩れる。電荷バランスの崩れが大きくなると、かえって発光効率が低下する。このような場合には、格子歪み導入元素と電荷補償元素とを共添加し、電荷バランスを中性に保つのが好ましい。
格子歪み導入元素は、具体的には、以下の(a)〜(b)条件を備えている元素が好ましい。
(a)格子歪み導入元素が占有するサイト:
第1に、格子歪み導入元素は、Erと同様にCaサイトを占有する元素が好ましい。
(b)光の吸収:
Erイオンは、約1.5μmの光を吸収し、約0.98μmの光を発光する。一方、Niイオンは、波長1.1〜1.5μmの範囲にある光を吸収し、そのエネルギーによりErイオンを励起する。そのため、格子歪み導入元素がErイオン、Niイオンが吸収する波長範囲、及びより長波長の範囲の光を吸収すると、Erイオン及びNiイオンによるアップコンバージョン発光を阻害する。従って、格子歪み導入元素は、そのイオンが0.9μm〜5μmの波長範囲に吸収準位又は吸収帯を持たないことが好ましい。
[B. 格子歪み導入元素の具体例]
上述の条件を満たす格子歪み導入元素としては、例えば、Y、Gdなどがある。発光材料は、これらのいずれか1種の元素を含むものでも良く、あるいは、2種以上を含むものでも良い。
一般に、各サイトに占める格子歪み導入元素の割合が少なすぎる場合、及び多すぎる場合のいずれも、格子歪みの導入による発光効率の向上効果が得られない。従って、格子歪み導入元素の割合は、各サイトを占有する元素の種類及び量に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
[1.5. 使用態様]
本発明に係る発光材料は、粉末の状態で使用しても良く、あるいは、焼結体又は透明セラミックスの状態で使用しても良い。特に、透明セラミックスは、光の吸収効率が高いので、アップコンバータとして好適である。
[2. 発光材料の具体例]
[2.1. 具体例1]
本発明の第1の実施の形態に係る発光材料は、次の式(1)で表される組成を有するものからなる。
(ErxxCa1-2x)3(Nizz'Ga1-z-z')2Ge312 …(1)
但し、
A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
B=Ti、Zr、Nb、及びTaからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、
1≦(z1'+2z2')/z≦4、z'=z1'+z2'、
1'はTi及びZrの濃度の総量、z2'はNb及びTaの濃度の総量。
式(1)で表される発光材料において、
(a)CaサイトにEr及び1価の電荷補償元素(A)を導入することによって、Er添加によるCaサイトの電荷バランスの崩れを補償し、かつ、
(b)GaサイトにNi及び4価又は5価の電荷補償元素(B)を導入することによって、Ni添加によるGaサイトの電荷バランスの崩れを補償している。
式(1)中、xは、Er濃度を表す。zは、Ni濃度を表す。x及びzの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
式(1)で表される発光材料において、Li等の電荷補償元素(A)は、Erと等量が添加される。式(1)で表される発光材料において、3価であるErイオンが2価であるCaイオンを置換するため、電荷バランスが崩れる。そこで、1価であるLi等の電荷補償元素(A)をErと等量添加することにより、電荷バランスの崩れが補償される。
電荷補償元素(B)が4価の元素(Ti、Zr)であり(すなわち、z2'=0であり)、かつ、Ni濃度(z)に対する4価の電荷補償元素(B)の濃度(z1')の比(=z1'/z)が1である場合において、添加されたNiがすべて2価のイオンになっている時には、Gaサイトの電荷バランスは中性に保たれる。しかし、3価のGaイオン半径に比べて2価のNiイオン半径は僅かに大きいため、Niがよりイオン半径の小さい3価になることがあり、これは増感剤として機能しない。そこで、z1'/z比を1より大きくすれば、3価のNiイオンの生成を抑制することができる。z1'/z比は、好ましくは、1以上、さらに好ましくは、2以上である。
一方、z1'/z比が大きくなりすぎると、電荷の逆方向へのバランスの崩れが大きくなる。すなわち、正電荷がより過剰となる。従って、z1'/z比は、4以下が好ましい。
電荷補償元素(B)が5価の元素(Nb、Ta)である場合(すなわち、z1'=0である場合、Ti等の半分の量で、Ti等と同様の効果が得られる。すなわち、Ni濃度(z)に対する5価の電荷補償元素(B)の濃度(z2')の比(=z2'/z)は、1≦2z2'/z≦4であるのが好ましい。
さらに、電荷補償元素(B)が4価と5価の双方の元素を含む場合、Niによる正電荷の減少分(z)に対する、電解補償元素(B)による正電荷の増分(z1'+2z2')の比(=(z1'+2z2')/z)が上述した範囲内にあるのが好ましい。
[2.2. 具体例2]
本発明の第2の実施の形態に係る発光材料は、次の式(2)で表される組成を有するものからなる。
(ErxxCa1-2x)3(NizGa1-z-z')2Ge3+2z'12 …(2)
但し、
A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、1≦z'/z≦4。
式(2)で表される発光材料において、
(a)CaサイトにEr及び1価の電荷補償元素(A)を導入することによって、Er添加によるCaサイトの電荷バランスの崩れを補償し、かつ、
(b)GaサイトにNi及びGeを導入することによって、Ni添加によるGaサイトの電荷バランスの崩れを補償している。
z'/z比は、式(1)で表される発光材料と同様の理由から、1〜4が好ましい。その他の点については、式(1)と同様であるので、説明を省略する。
[2.3. 具体例3]
本発明の第3の実施の形態に係る発光材料は、次の式(3)で表される組成を有するものからなる。
(ErxCa1-x)3(NizMgwGa1-z-w)2Ge312 …(3)
但し、
0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、
3x/2−4z≦w≦3x/2−z。
式(3)で表される発光材料において、2価であるCaイオンを3価であるErイオンにより置換することにより生じる過剰の正電荷を、3価であるGaサイトを2価であるNiイオン及びMgイオンにより置換することによって、補償する。
式(3)中、「3x/2−z」は、材料全体が電気的に中性になる時のwの値を表す。即ち、式(2)におけるz'/z=1に相当する。また、「3x/2−4z」は、3価のNiイオンの生成を抑制するために僅かに正電荷を過剰に導入した時のwの下限であり、式(2)におけるz'/z=4に相当する。
その他の点については、式(1)及び式(2)と同様であるので、説明を省略する。
[2.4. 具体例4]
本発明の第4の実施の形態に係る発光材料は、式(1)で表される組成物、式(2)で表される組成物、及び式(3)で表される組成物からなる群から選ばれるいずれか2以上の組成物の固溶体又は混合物からなる。
上述したように、本発明に係る発光材料は、粉末、又は焼結体の状態で使用することができる。この場合、発光材料は、
(a)2種以上の組成物の固溶体からなる粉末若しくは焼結体、
(b)2種以上の組成物からなる粉末の混合物、あるいは、
(c)2種以上の組成物の混相からなる焼結体、
のいずれであっても良い。
[2.5. 具体例5]
本発明の第5の実施の形態に係る発光材料は、次の式(1.1)で表される組成を有するものからなる。
(Erxyx+yCa1-2x-2y)3(Nizz'Ga1-z-z')2Ge312 …(1.1)
但し、
A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
B=Ti、Zr、Nb、及びTaからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
R=Y及び/又はGd、
0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
1≦(z1'+2z2')/z≦4、z'=z1'+z2'、
1'はTi及びZrの濃度の総量、z2'はNb及びTaの濃度の総量。
式(1.1)で表される発光材料は、式(1)で表される発光材料に対して、さらに格子歪み導入元素(R)を添加したものからなる。
Caサイトに格子歪み導入元素(R)を導入すると、電荷バランスが崩れる。そのため、本実施の形態においては、1価の電荷補償元素(A)の濃度は、Er濃度(x)と格子歪み導入元素(R)の濃度(y)の和(=x+y)と等量になっている。その他の点については、式(1)と同様であるので、説明を省略する。
[2.6. 具体例6]
本発明の第6の実施の形態に係る発光材料は、次の式(2.1)で表される組成を有するものからなる。
(Erxyx+yCa1-2x-2y)3(NizGa1-z-z')2Ge3+2z'12 …(2.1)
但し、
A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
R=Y及び/又はGd、
0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
1≦z'/z≦4。
式(2.1)で表される発光材料は、式(2)で表される発光材料に対して、さらに格子歪み導入元素(R)を添加したものからなる。
Caサイトに格子歪み導入元素(R)を導入すると、電荷バランスが崩れる。そのため、本実施の形態においては、1価の電荷補償元素(A)の濃度は、Er濃度(x)と格子歪み導入元素(R)の濃度(y)の和(=x+y)と等量になっている。その他の点については、式(2)と同様であるので、説明を省略する。
[2.7. 具体例7]
本発明の第7の実施の形態に係る発光材料は、次の式(3.1)で表される組成を有するものからなる。
(ErxyCa1-x-y)3(NizMgwGa1-z-w)2Ge312 …(3.1)
但し、
R=Y及び/又はGd、
0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
3(x+y)/2−4z≦w≦3(x+y)/2−z。
式(3.1)で表される発光材料は、式(3)で表される発光材料に対して、さらに格子歪み導入元素(R)を添加したものからなる。
式(3.1)で表される発光材料において、2価であるCaイオンを3価であるErイオンと同じく3価である格子歪み導入元素(R)イオンにより置換することにより生じる過剰の正電荷を、3価であるGaサイトを2価であるNiイオン及びMgイオンにより置換することによって、補償する。
式(3.1)中、「3(x+y)/2−z」は、材料全体が電気的に中性になる時のwの値を表す。即ち、式(2.1)におけるz'/z=1に相当する。
また、「3(x+y)/2−4z」は、3価のNiイオンの生成を抑制するために僅かに正電荷を過剰に導入したときのwの下限であり、式(2.1)におけるz'/z=4に相当する。
その他の点については、式(3)と同様であるので、説明を省略する。
[2.8. 具体例8]
本発明の第8の実施の形態に係る発光材料は、式(1.1)で表される組成物、式(2.1)で表される組成物、及び式(3.1)で表される組成物からなる群から選ばれるいずれか2以上の組成物の固溶体からなる。
上述したように、本発明に係る発光材料は、粉末、又は焼結体の状態で使用することができる。この場合、発光材料は、
(a)2種以上の組成物の固溶体からなる粉末若しくは焼結体、
(b)2種以上の組成物からなる粉末の混合物、あるいは、
(c)2種以上の組成物の混相からなる焼結体、
のいずれであっても良い。
[3. 発光材料の製造方法]
本発明に係る発光材料は、種々の方法により製造することができる。
発光材料の製造方法としては、例えば、
(a)有機金属化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を混合し、溶媒を揮発させ、固形分を加熱する方法、
(b)目的とする組成となるように配合された酸化物を溶融させ、固化させる方法、
(c)目的とする組成となるように配合された酸化物を加熱し、固相拡散させる方法、
などがある。
また、所定の組成を有する発光材料の粉末を焼結させると、所定の組成を有する発光材料の焼結体を得ることができる。この時、製造条件を最適化すると、気孔率をほぼゼロにすることができる。立方晶系に属するセラミックス材料は、屈折率が等方的であるため、焼結体の気孔率がほぼゼロになると、透光性を示す。CGGGを母相とするセラミックスは、融点が低いため、比較的容易に透明セラミックスを作製することができる。
[4. 作用]
Erなどのランタノイド元素を含む酸化物からなる発光材料に所定の波長の光を照射すると、アップコンバージョン発光を起こす。しかし、従来の発光材料は、
(a)アップコンバージョン発光の発光効率自体が相対的に低い、
(b)発光中心に吸収される光の波長範囲が狭い、
という問題がある。
そのため、従来の光電変換素子と従来の発光材料とを単に組み合わせただけでは、高い変換効率は得られない。
例えば、Erイオンが吸収する光の波長は、約1.5μmである。そのため、シリコン太陽電池とErイオンを含む発光材料とを組み合わせたとしても、波長1.1〜1.5μmの範囲にある光を光電変換に利用することができない。
これに対し、Erを含む酸化物に、Niを添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Niに増感材としての作用があるためと考えられる。すなわち、Erイオン(及び、光電変換素子の半導体)が吸収できない光をNiが吸収し、そのエネルギーによりErイオンが励起されるためと考えられる。そのため、このような発光材料と光電変換素子とを組み合わせると、システム全体の変換効率が向上する。
この点は、母材がCa3Ga2Ge312である場合も同様である。すなわち、Ca3Ga2Ge312にEr及びNiを共添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Erイオンが吸収できない波長範囲の光をNiイオンが吸収し、そのエネルギーによりErイオンが励起されるためと考えられる。
Ca3Ga2Ge312は、立方晶系に属し、かつ、融点(約1400℃)も相対的に低い。そのため、焼結が容易であり、透明セラミックスを作製することも可能である。
さらに、Er及びNiに加えて電荷補償元素をさらに添加すると、ガーネット構造を維持したまま、発光のためのEr、及び増感(光吸収)のためのNiの添加量を多くすることができる。また、格子歪み導入元素をさらに添加すると、Erの光学遷移確率が高くなる。その結果、発光強度がさらに増大する。
(実施例1〜3、比較例1)
[1. 試料の作製]
母材には、Ca3Ga2Ge312(CGGG)を用いた。これに含まれる各カチオンと、添加イオンであるEr3+、Ni2+のイオン半径は、Ca2+>Er3+≫Ni2+>Ga3+>Ge4+であるため、Er3+はCa2+サイトに、Ni2+はGa3+サイトに添加される。Ga3+サイトは8配位であるから、ここに添加されたNi2+はEr3+に対する増感剤として機能する。但し、Er3+及びNi2+の添加により電荷のバランスが崩れるので、それを補償するための共添加剤(Li+、Nb5+、Mg2+など)を添加するのが好ましい。
一般に、母材を構成するイオンとは異なるイオンの添加により、結晶構造に歪みが生じ又は対称性が低下すると、イオンの光学遷移確率が高くなるので、発光強度が大きくなる。そこで、Er3+及びNi2+に加えて、Caサイトに(Y又はGd)+Liをさらに添加した試料も作製した。
さらに、比較として、母材にGd3Ga512(GGG)を用いた材料も試験に供した。
具体的には、以下の組成式で表される粉末を有機金属分解(MOD)法により作製した。原料であるMOD液を所定の比率で混合し、300℃に加熱されたセラミックス容器に滴下して溶媒を蒸発させた。次いで、大気中で800℃に加熱して有機物を分解除去した。最後に、大気中で焼成した。CGGGの焼成条件は、1100℃×4時間とした。また、GGGの焼成条件は、1400℃×8時間とした。
実施例1:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
比較例1:(Er0.1Gd0.9)3(Ni0.002Nb0.002Ga0.996)512
実施例2:(Er0.10.2Li0.3Ca0.4)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
実施例3:(Er0.1Ca0.9)3(Ni0.01Mg0.13Ga0.86)2Ge312
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図1に、実施例1〜3、及び比較例1で得られた発光材料のアップコンバージョン(UC)発光スペクトル(1.18μm励起)を示す。図1より、以下のことが分かる。
(1)いずれの試料も、アップコンバージョン発光を示した。
(2)Yを添加した実施例2のUC発光強度が最も高かった。これは、Yを添加することにより格子歪みが導入され、Erイオンの光学遷移確率が高くなったためである。
(実施例4、比較例2)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、並びに、CGGG及びGGGの焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例4:(ErxLixCa1-2x)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
比較例2:(ErxGd1-x)3(Ni0.002Nb0.002Ga0.996)512
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図2に、実施例4及び比較例2で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のEr濃度依存性を示す。なお、図2の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図2より、以下のことが分かる。
(1)実施例4及び比較例2のいずれも、Er濃度が約0.1である時にUC発光強度が最大となった。
(実施例5、比較例3)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、並びに、CGGG及びGGGの焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例5:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(NizNbzGa1-2z)2Ge312
比較例3:(Er0.1Gd0.9)3(Ni2z/5Nb2z/5Ga1-4z/5)512
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図3に、実施例5及び比較例3で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.06μm励起)のNi添加濃度依存性を示す。なお、図3の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図3より、以下のことが分かる。
(1)実施例5は、Ni濃度が約0.01の時にUC発光強度が最大となった。一方、比較例3は、Ni濃度が約0.005の時にUC発光強度が最大となり、これを超えるとUC発光強度が急激に低下した。
(実施例6〜7)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、及び、焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例6:(Er0.1yLi0.1+yCa0.8-2y)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
実施例7:(Er0.1Gd0.2Li0.3Ca0.4)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図4に、実施例6で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のY濃度依存性、及び実施例7で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のGdの添加濃度依存性を示す。なお、図4の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図4より、以下のことが分かる。
(1)Er、Li及びNbを含むCGGGは、相対的に高いUC発光強度を示した。これにY又はGdをさらに添加すると、UC発光強度はさらに増大した。
(2)実施例6の場合、Y濃度が約0.2の時にUC発光強度が最大となった。Gd濃度については、詳細に検討していないが、イオン半径及び化学的性質がYとほぼ等しいので、Yとほぼ同様の傾向を示すと考えられる。
(実施例8)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、及び、焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例8:(Er0.10.1Ca0.8)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
但し、A=Li、Na、K
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図5に、実施例8で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)を示す。なお、図5の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図5より、以下のことが分かる。
(1)Caサイトに1価の電荷補償元素(A)を導入した場合、元素種によってUC発光強度が異なった。
(2)Naのイオン半径は、Caのそれに近い。一方、Liのイオン半径はCaのそれに比べて小さく、Kのイオン半径はCaのそれに比べて大きい。そのため、Naを添加した試料よりも、Li、Kを添加した試料の方が歪みが大きくなり、UC発光強度がより大きくなったと考えられる。
(実施例9)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、及び、焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例9:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Nbz2'Ga0.9-z2')2Ge312
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図6に、実施例9で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)のNb濃度依存性を示す。なお、図6の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図6より、以下のことが分かる。
(1)0.005≦z2'≦0.02、即ち0.5≦z2'/z≦2の範囲で高いUC発光強度が得られた。
(実施例10〜15)
[1. 試料の作製]
以下の組成式で表される粉末をMOD法により作製した。試料の作製方法、及び、焼成条件は、実施例1と同一とした。
実施例10:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Nb0.01Ga0.98)2Ge312
(z2'/z=1)
実施例11:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Ta0.01Ga0.98)2Ge312
(z2'/z=1)
実施例12:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Ti0.02Ga0.97)2Ge312
(z1'/z=2)
実施例13:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Zr0.02Ga0.97)2Ge312
(z1'/z=2)
実施例14:(Er0.1Li0.1Ca0.8)3(Ni0.01Ga0.97)2Ge3.0412
(z1'/z=2)
実施例15:(Er0.1Ca0.9)3(Ni0.01Ga0.99)2Ge312
[2. 試験方法及び結果]
波長1180nmの光でNi2+を励起した。その時のEr3+からの波長980nmのアップコンバージョン(UC)発光強度及びスペクトルを計測した。図7に、実施例10〜15で得られた発光材料のアップコンバージョン発光強度(1.18μm励起)を示す。なお、図7の縦軸の発光強度は、発光スペクトルを波長950〜1030nmの範囲で積分した値の相対値である。図7より、以下のことが分かる。
(1)電荷補償元素として、Nb、Ta、Ti、Zr、及びGeのいずれの元素を用いた場合でも、高いUC発光強度が得られた。
(2)電荷補償元素を添加しない場合(実施例15:none)も、UC発光が観測された。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る発光材料は、太陽電池(特に、光吸収端が約0.9μmである太陽電池)、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの光電変換素子に用いることができる。

Claims (13)

  1. Ca3Ga2Ge312からなる母材と、
    前記母材に共添加されたEr及びNiと
    を備えた発光材料。
  2. Er及びNiを添加したことにより生じる電荷バランスの崩れを補償するための電荷補償元素をさらに含む請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記電荷補償元素は、
    (a)Caを置換するLi、Na、K、Rb、若しくはCs
    (b)Gaを置換するGe、Ti、Zr、Nb、若しくはTa、又は、
    (c)Gaを置換するMg、
    である請求項2に記載の発光材料。
  4. 前記母材に格子歪みを導入するための格子歪み導入元素をさらに含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の発光材料。
  5. 前記格子歪み導入元素は、Y及び/又はGdである請求項4に記載の発光材料。
  6. 次の式(1)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (ErxxCa1-2x)3(Nizz'Ga1-z-z')2Ge312 …(1)
    但し、
    A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    B=Ti、Zr、Nb、及びTaからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、
    1≦(z1'+2z2')/z≦4、z'=z1'+z2'、
    1'はTi及びZrの濃度の総量、z2'はNb及びTaの濃度の総量。
  7. 次の式(2)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (ErxxCa1-2x)3(NizGa1-z-z')2Ge3+2z'12 …(2)
    但し、
    A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、1≦z'/z≦4。
  8. 次の式(3)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (ErxCa1-x)3(NizMgwGa1-z-w)2Ge312 …(3)
    但し、
    0.05≦x≦0.2、0.005≦z≦0.02、
    3x/2−4z≦w≦3x/2−z。
  9. 式(1)で表される組成物、式(2)で表される組成物、及び式(3)で表される組成物からなる群から選ばれるいずれか2以上の組成物の固溶体又は混合物からなる請求項6から8までのいずれか1項に記載に発光材料。
  10. 次の式(1.1)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (Erxyx+yCa1-2x-2y)3(Nizz'Ga1-z-z')2Ge312 …(1.1)
    但し、
    A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    B=Ti、Zr、Nb、及びTaからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    R=Y及び/又はGd、
    0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
    1≦(z1'+2z2')/z≦4、z'=z1'+z2'、
    1'はTi及びZrの濃度の総量、z2'はNb及びTaの濃度の総量。
  11. 次の式(2.1)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (Erxyx+yCa1-2x-2y)3(NizGa1-z-z')2Ge3+2z'12 …(2.1)
    但し、
    A=Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
    R=Y及び/又はGd、
    0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
    1≦z'/z≦4。
  12. 次の式(3.1)で表される組成を有する請求項1から5までのいずれか1項に記載の発光材料。
    (ErxyCa1-x-y)3(NizMgwGa1-z-w)2Ge312 …(3.1)
    但し、
    R=Y及び/又はGd、
    0.05≦x≦0.2、0<y≦0.2、0.005≦z≦0.02、
    3(x+y)/2−4z≦w≦3(x+y)/2−z。
  13. 式(1.1)で表される組成物、式(2.1)で表される組成物、及び式(3.1)で表される組成物からなる群から選ばれるいずれか2以上の組成物の固溶体又は混合物からなる請求項10から12までのいずれか1項に記載に発光材料。
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