以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。無線LANの規格として知られているIEEE Std 802.11TM−2012およびIEEE Std 802.11acTM−2013は、本明細書においてその全てが参照によって組み込まれる(incorporated by reference)ものとする。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示すブロック図である。当該無線通信システムには、少なくとも、信号検出装置1と、干渉源4とが存在する。
信号検出装置1は、アンテナ1Aと、無線受信部11と、無線処理部12と、信号検出部13と、を備える。信号検出装置1は、受信した無線信号から、干渉源4からの電波による信号を検出する。以降、干渉源4からの電波による信号を干渉源信号と記載する。なお、信号検出装置1は、干渉源信号の検出結果に基づき、干渉源4の存在の有無を出力してもよい。また、干渉源信号が検出された場合は、干渉源信号を受信した期間、干渉源信号の送信周期などを算出し、出力してもよい。
干渉源4は、電波を放出することにより、ISMバンドなどの高周波数帯域を用いる無線通信装置の干渉源4となり得る機器である。高周波数帯域には、2.4GHz、5GHz、60GHzなどの帯域が含まれる。以降、干渉源4として、インバータ型の電子レンジを想定する。インバータ型の電子レンジの内部のマグネトロンは、当該電子レンジを駆動させる交流電源の周期と同期して、発振と停止を交互に繰り返す。これにより生じる干渉源信号は、交流電源の周期と同期した周期を有する。なお、以降、干渉源4を駆動させる交流電源の周期と同期して、干渉源信号が送信される期間を、干渉源信号送信期間と記載する。
また、当該想定において、干渉源信号送信期間内には、電子レンジ内部で行われるスイッチングにより、干渉源信号を送信しない期間が含まれる。電子レンジを駆動させる交流電源の周期は50または60Hzであるが、スイッチングの周波数は50kHz程度であるため、干渉源信号送信期間の幅(m秒程度)よりも非常に短い幅(μ秒程度)の干渉源信号を送信しない期間が、干渉源信号送信期間内に含まれる。これにより、干渉源信号送信期間内において、干渉源信号の信号レベルが変化する。
なお、干渉源4は、インバータ型の電子レンジのように、無線通信装置の干渉源となり得る機器であって、干渉源信号を送信する期間内において、干渉源信号の信号レベルが変化するものであればよい。例えば、通信機能抑止装置(ジャマー)などでもよい。
なお、本実施形態の無線通信システムには、干渉源信号以外のその他の電波を発する機器が存在してもよいが、本実施形態では、干渉源信号と、その他の電波による信号とが混信しない場合を想定する。以降、その他の電波による信号を、他信号と記載する。
次に、信号検出装置1の内部構成について説明する。無線受信部11は、アンテナ1Aを介して受信した無線信号を、無線通信システムに対応する通信規格に応じたベースバンド帯域の信号(ベースバンド信号)に変換する。
無線処理部12(デジタル複素信号生成部)は、無線受信部11により変換されたベースバンド信号から、デジタル複素信号(デジタルベースバンド信号)を生成する。図2は、第1の実施形態に係る無線処理部12の概略構成の一例を示すブロック図である。無線処理部12は、ADC(Analog−to−Digital Converter)121部と、AGC(Automatic Gain Control)122部と、DC(Direct Current)オフセット補正部123と、振幅/位相補正部124と、を備える。
ADC部121は、無線処理部12へ入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。AGC部122は、動的にデジタル信号の利得補正を行う。DCオフセット補正部123は、デジタル信号の周波数変換に係る局部発振器のリークを補正する。振幅/位相補正部124は、デジタル信号の振幅と位相のインバランスを補正する。これらにより、デジタル複素信号が得られる。デジタル複素信号は、受信信号と同位相のデジタルI(In−phase)信号と、これより90°位相が遅れたデジタルQ(Quad−phase)信号から成る。
信号検出部13(処理部)は、無線処理部12により生成されたデジタル複素信号に基づき、干渉源信号を検出する。なお、干渉源信号が検出された場合は、干渉源信号を受信した期間、干渉源信号の周期などを算出してもよい。図3は、第1の実施形態に係る信号検出部13の概略構成の一例を示すブロック図である。信号検出部13は、信号レベル算出部131と、変化量算出部132と、統計量算出部133と、信号判定部134とを備える。
信号レベル算出部131は、信号検出部13に入力されるデジタル複素信号の信号レベル(第1信号レベル)を算出する。信号レベルには、電力値、振幅値、またはこれらに基づく演算値が含まれるとする。また、信号レベルは、真値、log値などで表されてもよい。
また、信号レベル算出部131は、所定の複数の期間(第2期間)それぞれに対し、当該期間に対応づける信号レベルを決定する。以降、当該期間をブロックと、ブロックに対応づけられた信号レベルをブロックレベルと記載する。ブロックレベルは、ブロック内におけるデジタル複素信号の信号レベルに基づき算出される。
ブロックレベルは、ブロックに含まれるデジタル複素信号の信号レベルのいずれか1つとしてもよいが、複数の信号レベルに基づき、算出されることが好ましい。例えば、信号レベル算出部131は、ブロックそれぞれにおいて、ブロック内におけるデジタル複素信号の信号レベルを2つ以上算出し、2つ以上の信号レベルの総和または平均値を算出し、ブロックレベルとする。これにより、デジタル複素信号に含まれる雑音等による影響が軽減され、平滑化されたブロックレベルが算出される。
なお、隣り合うブロック同士が互いに重なり合う期間を有していてもよい。また、隣り合うブロック同士間に間隔が有ってもよい。但し、各ブロックの長さは、スイッチングによる信号レベルの変化が判別できるように定められることが好ましい。
例えば、隣り合うブロック同士が互いに重なり合う期間を有さず、かつ隣り合うブロック同士間に間隔がない場合では、ブロックの長さは、スイッチング周波数の半周期未満とされるのが好ましい。例えば、スイッチングの周波数が50kHzの場合は、ブロックの長さは10μ秒未満と定められればよい。そうすると、ブロックレベルが高いブロックと、ブロックレベルが低いブロックとが隣り合う箇所が生じる。これにより、後述する変化量算出部132が算出する変化量が大きくなる。
なお、上記では、時間信号であるデジタル複素信号からブロックレベルを算出したが、周波数信号によりブロックレベルを算出してもよい。例えば、ADC部121によるAD変換後に、短時間フーリエ変換(STFT:Short−time Fourier Transform)などの時間周波数変換を行い、変換サイクルごとのサンプル(周波数信号)の信号レベルに基づいて、ブロックレベルを算出してもよい。例えば、変換サイクル内のサンプルの信号レベルの合計をブロックレベルとしてもよい。
変化量算出部132は、信号レベル算出部131で算出されたブロックレベルの時間的な変化量(第1変化量)を算出する。図4は、変化量算出部132により算出された変化量の時系列グラフの一例を示す図である。図4の縦軸に示された時間的な変化量は、第2ブロックレベルがlog値で表されている場合は、隣り合うブロック同士のブロックレベルの差分の絶対値で求められる。また、当該変化量を比率にて表してもよい。変化量の時系列のグラフには、干渉源信号が含まれる干渉源信号受信期間と、他信号が含まれる他信号受信期間と、雑音が含まれる雑音受信期間と、が含まれる。干渉源信号受信期間の長さは、干渉源信号送信期間の長さと同じである。
ブロックレベル算出時に雑音等が平滑化されたことにより、雑音受信期間における変化量はあまり大きな値とならない。また、他信号受信期間における変化量も、信号の立ち上がり時および立ち下がり時以外では、雑音受信期間と同様に、あまり大きな値とならない。一方、干渉源信号受信期間における変化量は、スイッチングによるブロックレベルの変化により、干渉源信号受信期間全体で大きな値となる。
なお、図4では、隣り合うブロック同士のブロックレベルを比較したが、ブロックレベルの変化を認識することができるならば、隣り合わないブロックを用いて変化量を算出してもよい。
統計量算出部133は、所定の期間(第1期間)内における、変化量算出部132により算出された1つ以上の変化量に基づき、当該期間における統計量を算出する。以降、当該期間を統計量定義区間と記載する。統計量定義区間は1つ以上あるとする。統計量定義区間における統計量は、例えば、当該統計量定義区間内の変化量の平均、分散、確率密度関数、またはヒストグラムなどから算出される。
ブロックレベルが急激に変化する場合、変化量の平均、分散、確率密度関数、およびヒストグラムは、大きな値または特異な形状を示す。ゆえに、平均、分散、確率密度関数、またはヒストグラムなどに基づいて統計量を決定することにより、ブロックレベルが急激に変化した場合でも、当該変化を認識することができる。また、モデルマッチングを行い、所定の規範モデルに対するマッチング度を算出し、当該マッチング度を統計量としてもよい。
また、統計量は、統計量定義区間内の変化量のうち、変化量に対する閾値よりも大きいものの数としてもよい。以降、当該閾値を変化量閾値と記載する。変化量閾値の値は、統計量定義区間内の一部または全ての変化量の平均、分散、確率密度関数、またはヒストグラムなどから算出されてもよいし、任意に定めてもよい。なお、用いられる変化量閾値は1つでも複数でもよい。例えば、1つの変化量が平均による変化量閾値と分散による変化量閾値の両方を超えている場合、統計量は2としてもよい。
統計量定義区間を決定する方法は、複数考えられる。例えば、所定期間を複数の区間に分割し、分割された各区間を統計量定義区間と定義してもよい。また、信号レベルの高さに基づき、定められてもよい。例えば、信号レベル算出部131が算出した信号レベルが所定の閾値を超えている期間を、統計量定義区間と定義してもよい。信号レベルが低い期間に干渉源信号が存在する可能性は低いため、信号レベルが低い期間には統計量定義区間を定義しないことにより、処理負荷および処理時間の軽減、より正確な干渉源信号の検出が可能となる。なお、信号レベルの高さに基づき統計量定義区間を定める場合、統計量定義区間は、干渉源信号の周期、つまり干渉源4を駆動させる交流電源の周期の幅(m秒)で定義されるものとし、スイッチングによる干渉源信号がオフになる数十μ秒の短期間は無視されるものとする。
また、複数の統計量定義区間を定めた場合において、隣り合う統計量定義区間同士が互いに重なり合う期間を有していてもよいし、隣り合う統計量定義区間同士間に間隔があってもよい。
但し、統計量定義区間の長さは、配慮する必要がある。例えば、スイッチング周波数が50kHzの場合に、統計量定義区間を20μ秒以上にすると、スイッチングのオンまたはオフによる信号レベルの急激な増減を示す値の大きい変化量が統計量定義区間に含まれる。これにより、干渉源信号受信期間において変化量があまり高い値を持たない箇所があっても、また、他信号受信期間または雑音受信期間において突発的に変化量が高い箇所があっても、その影響が軽減される。このように、統計量定義区間の長さは、スイッチングの1周期以上にすることが好ましい。
また、一定期間を複数の区間に分割し、分割された各区間をそれぞれ統計量定義区間とする場合は、統計量定義区間の長さの下限以上であれば、統計量定義区間の長さは短いほうが好ましい。統計量定義区間が、干渉源信号受信期間と他信号受信期間との両方に重なると、干渉源信号と他信号の両方が統計量に影響を及ぼすため、当該統計量定義区間における干渉源信号の検出の精度が低下するおそれがある。また、干渉源信号受信期間を算出する場合も、細かく分割されていたほうが、つまり統計量定義区間の長さが短いほど、算出された干渉源信号受信期間の正確性は高くなる。統計量定義区間の長さの下限は、ブロックの定義、例えばブロックの長さ等により定められる。統計量定義区間の長さが下限を下回ると、後述する信号判定部134の処理において、統計量が統計量に対する閾値を超えている期間の長さが所定時間以上という条件を満たすことが難しくなるためである。
また、例えば、商用電源周波数が50Hzの交流電源により干渉源4が動作している場合、つまり干渉源信号の周期が20m秒の場合において、統計量定義区間の長さを20m秒以上とすると、2周期目の干渉源信号が含まれてしまい、干渉源信号受信期間を正確に算出することができなくなる。ゆえに、統計量定義区間の長さは、干渉源信号の1周期未満と定めることが好ましい。
信号判定部134は、統計量算出部133で算出された、統計量定義区間における統計量に基づき、デジタル複素信号に干渉源信号が含まれているかを判定する。具体的には、統計量が統計量に対する閾値を超えている期間の長さが所定時間以上であれば、当該期間に干渉源信号が含まれていると判定される。以降、当該閾値を統計量閾値と記載する。統計量閾値の値は、任意に定めてよい。
図5は、信号判定部134による判定を説明する図である。図4で示した出力例に対して、統計量定義区間が定められている。統計量定義区間の例1は、一定期間を複数の区間に分割し、各区間をそれぞれ統計量定義区間と定義した例を示す。ゆえに、例1では、隣り合う統計量定義区間同士が互いに重なり合う期間を有さず、かつ隣り合う統計量定義区間同士間に間隔はない。
統計量定義区間の例2は、統計量定義区間が信号レベル算出部131で算出された信号レベルに基づき定義された例を示す。例2では、信号レベルが低い雑音受信期間には統計量定義区間が定められておらず、信号レベルが高い干渉源信号受信期間および他信号受信期間の2つの期間にそれぞれ一致する統計量定義区間が定められている。ゆえに、例2では、隣り合う統計量定義区間同士間に間隔がある。
信号判定部134は、各統計量定義区間において、統計量が統計量閾値を超えているかを確認する。図5に示す黒色の統計量定義区間が、統計量が統計量閾値を超えている統計量定義区間を示し、白色の統計量定義区間が、統計量が統計量閾値を超えている統計量定義区間を示す。以後、統計量が統計量閾値を超えている統計量定義区間を、閾値超過統計量定義区間と記載する。そして、信号判定部134は、閾値超過統計量定義区間の長さと、所定時間とを比較する。
閾値超過統計量定義区間の長さが所定時間よりも長い場合は、信号判定部134は、閾値超過統計量定義区間を、統計量が統計量閾値を超えている期間とし、閾値超過統計量定義区間内に干渉源信号が存在すると判定する。
一方、閾値超過統計量定義区間の長さが所定時間よりも短い場合は、連続する閾値超過統計量定義区間の長さの総和を統計量が統計量閾値を超えている期間とし、連続する閾値超過統計量定義区間の長さの総和が所定時間を超えていれば、連続する閾値超過統計量定義区間に干渉源信号が存在すると判定する。ここでは、図5の例1のように、隣り合う閾値超過統計量定義区間同士が互いに重なり合う期間を有さず、かつ隣り合う閾値超過統計量定義区間同士間に間隔がない場合に、閾値超過統計量定義区間が連続すると定義する。
このようにして、信号検出装置1は干渉源信号を検出する。
また、1つのまたは連続する閾値超過統計量定義区間は、干渉源信号受信期間とほぼ一致する。ゆえに、信号判定部134は、干渉源信号受信期間を算出することができる。
また、算出された1回目の干渉源信号受信期間と、算出された2回目の干渉源信号受信期間から、干渉源信号の送信周期を算出することができる。
上記のように、本実施形態の信号検出装置1は、信号判定部134が判定を行う際に必要な所定時間以上、干渉源信号を受信すれば、干渉源信号を検出することができる。これに対し、干渉源信号の周期性を利用した検出方法は、干渉源信号の立ち上がりなどを複数回測定して周期的な信号と判定する必要があるため、本実施形態の信号検出装置1よりも検出までに時間がかかる。
例えば、干渉源4を駆動させる交流電源により、オンである時間とオフである時間とがともにT秒、つまりduty比が50%のインバータ型電子レンジがあり、干渉源信号の周期性を利用した検出方法では、干渉源信号の立ち上がりから立下りまでのT秒間を、3回測定すれば、周期性を判断できるとする。この場合、周期性を利用した検出方法では、干渉源信号を検出するまでに5T秒かかる。一方、本実施形態は、長くとも、干渉源信号の立ち上がりから立下りまでのT秒間を1回測定すれば、干渉源信号を検出することができる。ゆえに、干渉源信号の検出に要する時間は長くともT秒であり、検出時間を1/5に短縮することができる。
図6は、第1の実施形態に係る信号検出装置1における概略処理のフローチャートの一例を示す図である。本フローは、無線受信部11が無線信号を受信したときに開始される。無線受信部11は、受信した無線信号をベースバンド帯域の信号に変換する(S101)。変換されたベースバンド帯域の信号は無線処理部12に入力され、無線処理部12はベースバンド帯域の信号からデジタル複素信号を生成する(S102)。デジタル複素信号は、信号検出部13に入力される。
信号検出部13の信号レベル算出部131は、デジタル複素信号から、各ブロックにおけるブロックレベルを算出する(S103)。信号検出部13の変化量算出部132は、算出されたブロックレベルを比較して、ブロックレベルの変化量を算出する(S104)。信号検出部13の統計量算出部133は、算出された変化量と、変化量閾値とに基づき、統計量定義区間における統計量を算出する(S105)。信号検出部13の信号判定部134は、信号判定処理を行い、干渉源信号を検出する(S106)。
図7は、第1の実施形態に係る信号判定部134における信号判定処理のフローチャートの一例を示す図である。本フローは、統計量定義区間ごとに行われ、全ての統計量定義区間に対して処理されるまで繰り返される。また、信号判定部134は、統計量が統計量閾値を超過している時間を計るための継続時間を保持している。継続時間の初期値は0(ゼロ)である。
信号判定部134は、統計量算出部133から統計量などの情報を取得する(S201)。取得した統計量が統計量閾値を超えていない場合(S202のNO)は、信号判定部134が継続時間を初期化(S203)、つまり継続時間の値を0にして、フローは終了し、次の統計量定義区間の処理に移る。当該統計量が統計量閾値を超えている場合(S202のYES)は、信号判定部134は、統計量定義区間の長さを継続時間に加算して、継続時間を更新する(S204)。信号判定部134は、更新された継続時間が所定時間を超えたかを確認し、所定時間を超えていない場合(S205のNO)は何もせず、フローは終了する。統計量閾値を超えている場合(S205のYES)は、干渉源信号があると判定する(S206)。以上が、信号判定処理のフローである。
なお、信号判定部134が干渉源信号受信期間を算出する場合は、継続時間の更新時に、統計量が閾値を超えた統計量定義区間を記録し、継続時間の初期化時に、記録された統計量定義区間を初期化する。これにより、全ての統計量定義区間に対して処理が完了した後に、記録されたままの統計量定義区間が干渉源信号受信期間となる。
以上のように、本実施形態は、受信した無線信号に係る信号レベルの変化量を算出し、統計量定義区間における統計量を算出する。そして、当該統計量に基づき、干渉源信号の有無、干渉源信号受信期間、干渉源信号の送信周期などを算出する。単にブロックレベルから判定を行うとすると、他信号と干渉源信号との区別が困難であるが、本実施形態のように、ブロックレベルの変化量に基づく統計量を基準として判定を行うと、他信号と干渉源信号とを区別することができ、干渉源信号を検出することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、干渉源信号の受信時には混信がないものと想定したが、本実施形態では、混信があることを想定し、混信があっても干渉源信号を検出する。なお、記載済みの実施形態と同様な点は、説明を省略する。
図8は、第2の実施形態に係る信号検出装置1を含む無線通信システムの概略構成の一例を示すブロック図である。他の無線装置5からは、干渉源信号と同一チャネルもしくは隣接チャネル、または信号検出装置1の監視周波数帯域内に、他信号が放出される。他信号は、例えば、無線LAN規格に適応する無線通信信号などとする。なお、他の無線装置5は無線通信システムに1つ以上存在してもよい。
図9は、第2の実施形態に係る信号検出部13の概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の信号検出部13は、他信号除去部135をさらに備える。
他信号除去部135では、変化量算出部132が算出した変化量のうち、他信号による変化量を取り除く。図10は、第2の実施形態に係る変化量算出部132による出力の一例を示す図である。例えば、他の無線装置5からの他信号の送信が終了する前に、干渉源4が動作を開始した場合を想定する。この場合、他信号の立ち下がり時点が、干渉源信号受信期間に含まれてしまい、他信号受信期間と干渉源信号受信期間を区別することが難しく、干渉源信号受信期間が実際よりも長く算出されるおそれがある。ゆえに、他信号除去部135が、他信号の除去を行う。
前述の通り、変化量算出部132が算出した変化量は、他信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両時点にて、高い値となる。ゆえに、変化量の観点でみれば、他信号は干渉源信号にとって、インパルス性雑音であるとみなすことができる。そこで、他信号除去部135は、インパルス性雑音を除去するため、任意のタップ数を有するメジアンフィルタ、荷重メジアンフィルタ、またはスイッチングメジアンフィルタなどのフィルタ処理を変化量に対し実施する。フィルタのタップ数は、除去したい他信号の立ち上がりを含むブロックの数、または立ち下がりを含むブロックの数に基づき決定される。
例えば、隣り合うブロック同士が互いに重なり合う期間を有さず、かつ隣り合うブロック同士間に間隔がない場合では、他信号の立ち上がりまたは立ち下がりにおけるブロックレベルは、ランプ関数のように徐々に変化するが、ブロックの長さが下限を下回らなければ、多くとも2つのブロック以内に含まれる。つまり、他信号の立ち上がりまたは立ち下がりによる高い値の変化量は、多くとも2つである。メジアンフィルタでは、高い値の変化量が2つある場合、低い値の変化量と3つ以上比較すれば、中央値が低い値となり、高い値の変化量を除去することができる。ゆえに、タップ数が5以上であるメジアンフィルタにより、他信号を除去することができる。このように、変化量が高い値が時間的に疎となる箇所を除去することにより、他信号を除去することができる。
なお、フィルタにより、干渉源信号の一部も除去されてしまうが、変化量閾値を超える干渉源信号による変化量は多数存在するため、問題は生じない。
統計量算出部133は、他信号除去部135の出力、つまりフィルタ処理が行われた変化量に対して、第1の実施形態と同様の処理を行う。但し、統計量定義区間が信号レベル算出部131で算出された信号レベルに基づき決定された場合、例えば、他信号受信期間の始めから干渉源信号受信期間の終わりまでが、1つの統計量定義区間とされる可能性がある。ゆえに、上記の場合、統計量算出部133は、統計量定義区間の整形を行う。
統計量算出部133は、整形後の統計量定義区間の始端と終端を決定する。当該始端と終端は、整形前の統計量定義区間内において変化量が変化量閾値を超えた各時点から選択される。以降、整形前の統計量定義区間において変化量が変化量閾値を超えた時点を区間端候補と記載する。
例えば、区間端候補のうち、時刻が最も早い区間端候補を、整形後の統計量定義区間の始端とする。そして、始端とした区間端候補の次に早い区間端候補に対し、所定の条件(第1条件)を満たすかを確認して、終端となるかを判別する。終端とならない場合は、その次に時刻が早い区間端候補を確認する。これを繰り返して終端を決定する。
所定の条件の1つは、対象とした区間端候補の次の区間端候補の時刻が当該区間端候補の時刻から所定時間を超えることとする。つまり、対象とした区間端候補以降、暫くの間、変化量が変化量閾値を超える時点がなければ、当該区間端候補が終端と決定される。所定の条件の他の1つは、区間端候補の時刻が、始端とされた区間端候補の時刻から所定の時間以内であることとする。これにより、統計量定義区間が長くなりすぎることを防ぐ。なお、各条件における所定時間は、同じでもよいし異なっていてもよい。
統計量算出部133は、整形後の統計量定義区間の終端以降に、区間端候補が残っている場合は、同様の方法を繰り返して、新たな統計量定義区間を生成する。このようにして、統計量定義区間が整形される。図10には、整形前の統計量定義区間と、整形後の統計量定義区間とが示されている。図10に示す他信号の立ち上がり時点の変化量は、他信号除去部135のフィルタ処理により既に除去されている。ゆえに、最初の区間端候補は、干渉源信号受信期間において、変化量が変化量閾値を超える最初の時点となる。これにより、余計な期間が除かれた統計量定義区間が生成でき、第1の実施形態同様に、干渉源信号受信期間を算出することができる。
図11は、第2の実施形態に係る信号検出装置1における概略処理のフローチャートの一例を示す図である。S101からS104までの処理は、第1の実施形態に係る信号検出装置1における概略処理と同じである。変化量算出部132がブロックレベルの変化量を算出する処理(S104)の後は、他信号除去部135が変化量算出部132により算出された変化量から他信号を除去する(S301)。そして、統計量算出部133が、他信号が除去された変化量に基づき、区間端候補を算出し、当該区間端候補に基づき、統計量定義区間を整形する(S302)。以降の処理(S105とS106)は、第1の実施形態と同様である。
以上のように、本実施形態は、他信号を送出する他の無線装置5が干渉源4と同一の無線通信システムに存在する場合に、他信号をインパルス性の雑音として除去する。これにより、他信号に対する信号検出の耐性を向上することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態の信号検出装置1は、干渉源信号の占有周波数帯域を導出する。図12は、第3の実施形態に係る信号検出装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の信号検出装置1は、さらに占有周波数帯域導出部14を備える。先の実施形態と同様の点は、説明を省略する。なお、便宜上、信号検出部13と占有周波数帯域導出部14を別に記載したが、信号検出部13が占有周波数帯域導出部14を含んでいてもよい。
占有周波数帯域導出部14は、無線処理部12により生成されたデジタル複素信号と、信号検出部13により干渉源信号が検出された統計量定義区間、つまり干渉源信号受信期間と、に基づき、干渉源信号の占有周波数帯域を導出する。図13は、第3の実施形態に係る占有周波数帯域導出部14の概略構成の一例を示すブロック図である。占有周波数帯域導出部14は、FFT(Fast Fourier Transform)処理部141と、レベル閾値比較部142と、総数算出部143と、占有周波数帯域算出部144と、を備える。
FFT処理部141は、所定の複数の期間(第3期間)それぞれにおいて、当該期間内のデジタル複素信号を周波数信号にフーリエ変換(FFT)する。そして、周波数信号の信号レベル(第2信号レベル)を算出する。当該期間は、信号レベル算出部131が用いたブロックと同じにしてもよいし、変えてもよい。以降、当該期間を第2ブロックと、第2ブロックに対応する信号レベルを第2ブロックレベルと記載する。なお、以降、信号レベル算出部131が算出するブロックレベルは第1ブロックレベルと、第1ブロックレベルに係るブロックは、第1ブロックと記載する。第2ブロックレベルも、第1ブロックレベル同様、平均または総和による平滑化が行われてもよい。また、i(iは0以上の整数)番目の第2ブロックをtiと記載する。また、k(kは0以上の整数)番目の周波数信号の周波数をfkと記載し、第2ブロックtiにおける、周波数fkの周波数信号の第2ブロックレベルをpkiと記載する。
図14は、第3の実施形態に係るFFT処理部141の概略構成の一例を示すブロック図である。FFT処理部141は、FFT処理部141は、FFT前処理部1411と、FFT実行部1412と、FFT後処理部1413と、を備える。FFT前処理部1411は、バッファ処理、窓関数処理など、FFTの事前処理を行う。FFT実行部1412は、事前処理が行われたデジタル複素信号に対しFFTを行う。FFT後処理部1413は、電力変換、ローパス処理、平均等の算出といったFFTの事後処理を行い、第2ブロックレベルを算出する。
レベル閾値比較部142は、FFT処理部141が算出した第2ブロックレベルを受け取り、第2ブロックレベルと、第2ブロックレベルに対する閾値とを比較する。以降、当該閾値をレベル閾値と記載する。レベル閾値の値は、任意に定めてよい。
総数算出部143は、レベル閾値比較部142から取得したレベル閾値の比較結果と、信号検出部13から取得した干渉源信号受信期間と、に基づき、所定の条件(第2条件)を満たす第2ブロックレベルの総数を算出する。所定の条件は、例えば、第2ブロックレベルに係る周波数信号が、干渉源信号受信期間内に受信されており、かつ当該第2ブロックレベルがレベル閾値を超えていることである。以降、当該総数を閾値超過総数(第1総数)と記載する。また、閾値超過総数は、第2ブロックレベルに係る周波数信号の周波数ごとに算出される。以降、周波数fkにおける閾値超過総数をPkと記載する。
図15は、閾値超過総数の算出方法を説明する図である。図15に示す例では、t1からt4までの第2ブロックが存在し、周波数がそれぞれfka、fkb、fkcである3つの周波数信号において、第2ブロックレベルが算出された場合を想定する。本想定においては、12個の第2ブロックレベルが存在する。総数算出部143は、12個の第2ブロックレベルが所定の条件を満たすかを確認する。上記の条件例の場合、総数算出部143は、t1からt4までの第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるかを確認する。例えば、第2ブロックt1からt3までは干渉源信号受信期間内であるが、第2ブロックt4は干渉源信号受信期間外であった場合、第2ブロックt1およびt3における周波数信号が、干渉源信号受信期間に受信されている。ゆえに、総数算出部143は、第2ブロックt1、t2、t3に係る、9個の第2ブロックレベルに対して、レベル閾値の比較結果を確認する。干渉源信号の占有周波数帯域の算出には、干渉源信号を受信した期間内の第2ブロックレベルを考慮すればよいからである。
例えば、周波数fkaにおける第2ブロックレベルpka1、pka2、pka3の3つのうち、丸で囲まれたpka1およびpka2の2つがレベル閾値を超えている場合、総数算出部143は、周波数fkaにおける閾値超過総数Pkaの値を2と算出する。総数算出部143は、同様にして、閾値超過総数PkbおよびPkcを算出する。このようにして、総数算出部143は、第2ブロックレベルに係る周波数信号の周波数ごとに、閾値超過総数を算出する。
また、総数算出部143は、閾値超過総数に基づく演算を行い、当該演算による演算値をさらに算出してもよい。例えば、各周波数の閾値超過総数を、干渉源信号受信期間内の各周波数の第2ブロックレベルの総数で除算した値、つまりduty比を算出してもよい。図15の例では、干渉源信号受信期間内のfkaの第2ブロックレベルの総数は、pka1と、pka2と、pka3の3つであるから、周波数fkaのduty比は、Pka/3=2/3となる。また、例えば、各周波数の閾値超過総数のうち、最も大きい閾値超過総数に対する割合を算出してもよい。すなわち、各周波数の最も大きい閾値超過総数をPmaxとすると、Pka/Pmaxを算出してもよい。このように、閾値超過総数の最大値などで閾値超過総数を正規化してもよい。
なお上記では、総数算出部143が、第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるかを判断したが、レベル閾値比較部142が、信号検出部13からの干渉源信号受信期間を取得して、第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるかを判断してもよい。そして、干渉源信号受信期間外の第2ブロックに対しては、比較を行わないとしてもよい。
図16は、第3の実施形態に係る総数算出部143の出力を説明する図である。図16(A)は、受信した無線信号の信号レベルの一例を示す図である。色が白いほど信号レベルが高いことを示す。縦軸の2.42から2.48付近までにある白い部分が、干渉源信号に係る信号レベルを示す。図16(B)は、周波数fkと閾値超過総数Pkとの関係を示すグラフの一例である。縦軸が周波数fkを、横軸が閾値超過総数Pkを示す。図16(A)の信号レベルに対応して、周波数2.42から2.48付近までの閾値超過総数Pkの値が大きく示されている。なお、duty比などを示すグラフも図16(B)のようになる。
占有周波数帯域算出部144は、閾値超過総数または閾値超過総数の演算値に基づき、干渉源信号が占有する周波数帯域を算出する。具体的には、閾値超過総数またはその演算値が、閾値超過総数またはその演算値に対する閾値を超えている周波数帯域を、干渉源信号の周波数帯域とする。以降、当該閾値を総数閾値と記載する。なお、閾値超過総数の演算値は、占有周波数帯域算出部144が算出してもよい。図16(B)に示された点線が総数閾値を意味する。占有周波数帯域算出部144は、点線よりも右側にグラフが存在する周波数帯域を干渉源信号の周波数帯域とする。
図17は、第3の実施形態に係る占有周波数帯域導出部14の概略処理のフローチャートの一例を示す図である。FFT処理部141がデジタル複素信号から第2ブロックレベルを算出する(S401)。算出された第2ブロックレベルはレベル閾値比較部142に送られ、レベル閾値比較部142がレベル閾値と第2ブロックレベルとを比較する(S402)。レベル閾値の比較結果は総数算出部143に送られる。
総数算出部143は、レベル閾値の比較結果と、信号検出部13より取得した干渉源信号受信期間とに基づき、閾値超過総数またはその演算値を算出する(S403)。S403の処理の詳細なフローは後述する。占有周波数帯域算出部144は、総数算出部143より取得した閾値超過総数またはその演算値と総数閾値とを比較して、閾値超過総数またはその演算値が総数閾値を超えている周波数の範囲を算出し、当該範囲を干渉源信号の占有周波数帯域とする(S404)。以上が、占有周波数帯域導出部14の概略処理のフローとなる。
図18は、第3の実施形態に係る総数算出部143の概略処理のフローチャートの一例を示す図である。本フローは、第2ブロックごとに行われ、全ての第2ブロックに対して処理されるまで繰り返される。総数算出部143は、第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるかを確認する(S501)。第2ブロックが干渉源信号受信期間内でないならば(S502のNO)、フローは終了し、次の第2ブロックの処理に移る。干渉源信号受信期間内であるならば(S502のYES)、当該第2ブロックにおける周波数信号の周波数ごとに、第2ブロックレベルに対するレベル閾値の比較結果を確認する(S503)。
例えば、周波数fkaの第2ブロックレベルpkaiが、レベル閾値を超えていないという比較結果の場合(S504のNO)は、次の周波数fkbの第2ブロックレベルpkbiを確認する。レベル閾値を超えているという比較結果の場合(S504のYES)は、周波数fkaの現時点の閾値超過総数Pkaに1を加算する(S505)。これを各周波数に対して行うことにより、各周波数の閾値超過総数を算出することができる。なお、この後に、各周波数の閾値超過総数に基づき、各周波数の閾値超過総数の演算値を算出してもよい。
以上のように、本実施形態は、信号検出部13が算出した干渉源信号を受信した期間と、周波数信号の信号レベルとに基づいて、干渉源信号が占有する周波数帯域を導出することができる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、干渉源信号送信期間内に、他の無線装置5から他信号が送信されることを想定する。上記想定の場合、第3の実施形態では、導出された干渉源信号の占有周波数帯域に、他信号の占有周波数帯域が含まれてしまうおそれがある。ゆえに、本実施形態では、他信号の占有周波数帯域が含まれないようにする。
図19は、第4の実施形態に係る総数算出部143の出力を説明する図である。図19(A)は、受信した無線信号の信号レベルの一例を示す図である。縦軸の2.42から2.48付近までにある白い部分が、干渉源信号の信号レベルを示す。また、縦軸の2.42以下にある白い部分は、他信号の信号レベルを示す。なお、図19の他信号は、WiFi(登録商標)信号であり、2.401から2.423GHzの1チャネルで通信が行われている。図19(B)の実線のグラフは、第3の実施形態により算出された閾値超過総数Pkのグラフである。他信号により、周波数2.42以下でも閾値超過総数が総数閾値を超えているため、導出された干渉源信号の占有周波数帯域に、他信号の占有周波数帯域が含まれてしまう。
一方、図19(B)の破線のグラフは、第4の実施形態により算出されたグラフである。当該破線のグラフは、閾値超過総数Pkに対し、重み付けを行ったグラフである。閾値超過総数Pkに対する重み付けに係る係数を、重み係数Akと記載する。また、重み付けられた閾値超過総数を、重み付き閾値超過総数P´kと記載する。重み付き閾値超過総数P´kでは、他信号の占有周波数帯域に係る部分の値が低く抑えられている。ゆえに、導出された干渉源信号の占有周波数帯域に、他信号の占有周波数帯域が含まれない。
図20は、第4の実施形態に係る占有周波数帯域導出部14の概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の占有周波数帯域導出部14は、パラメータ算出部145と、パラメータ閾値比較部146と、重み係数算出部147と、をさらに備える。
パラメータ算出部145は、FFT処理部141が算出した第2ブロックレベルに基づき、重み係数を算出するためのパラメータを算出する。想定されるパラメータ案を下記に示す。
(パラメータ案1)
本案では、第2ブロックレベルの変化量(第2変化量)をパラメータとする。第2ブロックレベルの変化量は、第2ブロックレベルがlog値で表されている場合は、隣り合う第2ブロック同士における、同一周波数の第2ブロックレベル同士の差分の絶対値とする。第2ブロックレベルが真値で表されている場合は、当該第2ブロックレベル同士の比率とする。なお、比率を算出する場合は、遅い方の第2ブロックに係る第2ブロックレベルを分母に代入するのではなく、第2ブロックレベルの大きい方または小さい方を、分母に代入する。以降では、第2ブロックレベルがlog値で表されている場合を想定して説明する。当該差分の絶対値を、第2ブロックレベル差分値と記載し、第2ブロックtiにおける、周波数fkの周波数信号の第2ブロックレベル差分値をdkiと記載する。つまり、第2ブロックレベル差分値dkiは、第2ブロックtiにおける第2ブロックレベルpkiと、第2ブロックti−1における第2ブロックレベルpki−1との差分の絶対値であり、dki=|pki−pk−i|と表される。なお、第2ブロックレベル差分値の初期値dk1(i=1)は、0(ゼロ)などの任意の値としてよい。
スイッチングにより、干渉源信号に係る第2ブロックレベルは激しく変化するが、無線LANなどの規格に適応した無線通信装置による他信号に係る第2ブロックレベルは、あまり激しく変化しない。ゆえに、干渉源信号の占有周波数帯域の第2ブロックレベル差分値は大きく、他信号の占有周波数帯域の第2ブロックレベル差分値は小さいと予想される。したがって、重み係数を第2ブロックレベル差分値に基づき算出することにより、重み付き閾値超過総数は、他信号の影響が抑えられた値となる。
(パラメータ案2)
本案では、第2ブロックレベルと、当該第2ブロックレベルに係る第2ブロックレベル差分値とに基づく演算値をパラメータとする。当該演算値を、第2ブロックレベル演算値と記載し、第2ブロックtiにおける、周波数fkの周波数信号の第2ブロックレベル演算値をckiと記載する。第2ブロックレベル演算値は、第2ブロックレベルと第2ブロックレベル差分値との加算、減算、積算、除算またはこれらの組み合わせにより算出されればよく、算出方法は任意に定めてよい。例えば、cki=pki×dkiと表される。
パラメータ閾値比較部146は、パラメータ算出部145により算出されたパラメータと、当該パラメータに対する閾値とを比較する。当該閾値をパラメータ閾値と記載する。パラメータ閾値は、パラメータに応じて、任意に定めてよい。
重み係数算出部147は、所定の算出方法に基づき、重み係数を算出する。重み係数の算出方法を、下記に示す。
(算出方法1)
本方法では、総数算出部143の処理と同じく、重み係数算出部147は、パラメータ閾値比較部146から取得したパラメータ閾値の比較結果と、信号判定部134から取得した干渉源信号受信期間とに基づき、所定の条件(第3条件)を満たすパラメータの総数(第2総数)を、パラメータに係る周波数信号の周波数ごとに算出し、当該算出された周波数ごとの総数を、周波数ごとの重み係数とする。所定の条件は、例えば、パラメータに係る周波数信号が干渉源信号受信期間内に受信されており、かつ当該パラメータがパラメータ閾値を超えていることである。また当該総数に係るduty比、正規化値などの演算値を重み係数としてもよい。
図21は、重み係数の算出方法を説明する図である。図21には、周波数fkにおける、t1からt4までの各第2ブロックに係る第2ブロックレベルと、第2ブロックレベル差分値と、第2ブロックレベル演算値が示されている。t1からt3までの第2ブロックが干渉源信号受信期間内とする。また、図21の丸は、丸で囲まれた値がレベル閾値またはパラメータ閾値を超えていることを意味する。
パラメータが第2ブロックレベル差分値の場合、パラメータ閾値を超えている第2ブロックレベル差分値の総数は2であることから、算出方法1による周波数fkにおける重み係数Akは2となる。また、演算値としてduty比を用いる場合は、重み係数Akは2/3となる。パラメータが第2ブロックレベル演算値の場合、パラメータ閾値を超えている第2ブロックレベル演算値の総数は1であることから、算出方法1による周波数fkにおける重み係数Akは1となる。また、演算値として、duty比を用いる場合は、重み係数Akは1/3となる。
(算出方法2)
本方法では、重み係数算出部147は、さらにレベル閾値比較部142からレベル閾値の比較結果を取得し、レベル閾値の比較結果と、パラメータ閾値の比較結果と、干渉源信号受信期間とに基づき、重み係数を算出する。パラメータ閾値の比較結果およびレベル閾値の比較結果は論理値で表されており、当該閾値を超えているときは1、超えていないときは0で表されているとする。
重み係数算出部147は、干渉源信号受信期間内に受信された周波数信号それぞれに対し、当該周波数信号に基づいて生成された第2ブロックレベルおよびパラメータの比較結果同士を用いた論理演算を行う。論理演算は、AND、OR、XORなど、任意に定めてよい。そして、周波数が同一である周波数信号の論理演算結果に基づき、周波数ごとの重み係数を算出する。例えば、周波数がfkで同一である周波数信号の全論理演算結果のうち、論理演算結果が1である総数を算出する。算出された周波数fkに係る当該総数が、周波数fkの重み係数Akとなる。なお、周波数が同一である周波数信号の論理演算結果の総和を算出するとしてもよい。また、当該総数のduty比、正規化値などの演算値を重み係数としてもよい。
例えば、図21において、丸で囲まれた箇所は、レベル閾値またはパラメータ閾値を超えており、比較結果の値が1とする。また、算出方法2の論理演算は、論理積とする。第2ブロックレベル差分値がパラメータの場合は、pk1・dk1は1であるが、pk2・dk2とpk3・dk3は0となる。ゆえに、周波数がfk1で同一である周波数信号の全論理演算結果のうち、論理演算結果が1である総数は、1となる。したがって、算出方法2による周波数fkにおける重み係数Akは1、演算値としてduty比を用いるときは、1/3となる。第2ブロックレベル演算値がパラメータの場合も、pk1・ck1は1であるが、pk2・ck2とpk3・ck3は0となるため、算出方法2による周波数fkにおける重み係数Akも1、演算値としてduty比を用いるときは1/3となる。また、各周波数の重み係数を算出した上で、最も大きい重み係数の値などで、各周波数の重み係数を正規化してもよい。
なお、上記では、重み係数算出部147はレベル閾値比較部142からレベル閾値の比較結果を取得したが、パラメータ閾値比較部146から取得してもよい。その場合、パラメータ閾値比較部146が、パラメータ算出部145等から第2ブロックレベルを取得し、第2ブロックレベルとレベル閾値とを比較して、比較結果を算出する。
総数算出部143は、第3の実施形態と同様に各周波数の閾値超過総数を算出し、重み係数算出部147により取得した各周波数の重み係数と、各周波数の閾値超過総数とを、同一周波数同士で掛け合わせる。これにより、各周波数の重み付き閾値超過総数が算出される。
図22は、第4の実施形態に係る占有周波数帯域導出部14の概略処理のフローチャートの一例を示す図である。S401からS403までの処理は、第3の実施形態と同様である。一方、本実施形態では、S401の処理の後に、S402とS403の処理と並行して、S601からS603の処理が行われる。
パラメータ算出部145は、FFT処理部141より算出された第2ブロックレベルに基づき、指定されたパラメータを算出する(S601)。算出されたパラメータは、パラメータ閾値比較部146に送られ、パラメータ閾値比較部146がパラメータ閾値とパラメータとを比較する(S602)。パラメータ閾値の比較結果は、重み係数算出部147に送られる。
重み係数算出部147は、パラメータ閾値の比較結果と、信号検出部13より取得した干渉源信号受信期間とに基づき、各周波数の重み係数を算出する(S603)。S603の処理の詳細なフローは後述する。算出された各周波数の重み係数は、総数算出部143に送られる。総数算出部143は、周波数ごとに、S403の処理で算出した各周波数の閾値超過総数またはduty比と、取得した各周波数の重み係数とを掛け合わせる(S604)。占有周波数帯域算出部144は、総数算出部143より取得した各周波数の重み付閾値超過総数またはduty比と、総数閾値とを比較して、占有周波数帯域を導出する(S605)。以上が、占有周波数帯域導出部14の概略処理のフローとなる。
図23は、第4の実施形態に係る重み係数算出部147の概略処理のフローチャートの一例を示す図である。本フローは、算出方法2の論理演算により重み係数を算出する場合のフローである。本フローは、レベル閾値の比較結果またはパラメータ閾値の比較結果ごとに行われ、全ての比較結果に対して処理されるまで繰り返される。
重み係数算出部147は、比較結果に係る第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるかを確認する(S701)。第2ブロックが干渉源信号受信期間内でないならば(S702のNO)、フローは終了し、次の比較結果の処理に移る。第2ブロックが干渉源信号受信期間内であるならば(S702のYES)、周波数ごとに、当該第2ブロックにおけるレベル閾値の比較結果およびパラメータ閾値の比較結果を論理演算する(S703)。論理演算結果を、その周波数の現時点の重み係数に加算する(S704)。各周波数に対して、S703とS704の処理を行うことにより、各周波数の論理演算結果の総和が求められ、各周波数の重み係数とすることができる。なお、各周波数の論理演算結果の総和を算出した後に、duty比を算出して、重み係数としてもよい。
以上のように、本実施形態は、第2ブロックレベル差分値または第2ブロックレベル演算値をパラメータとして算出し、当該パラメータに基づき重み係数を算出し、重み係数に基づく重み付き閾値超過総数を算出する。そして、重み付き閾値超過総数に基づき干渉源信号の占有周波数帯域を求めることにより、他信号が存在する場合でも、他信号の占有周波数帯域が含まれないようにすることができる。
(第5の実施形態)
なお、これまでに説明した実施形態の信号検出装置1は、当該信号検出装置1の機能を有する無線通信端末などにより、実現されてもよい。例えば、信号検出装置1を内蔵する無線通信端末が干渉源信号を検出したときは、無線通信を一定時間停止してもよい。また、干渉源信号受信期間により干渉源信号の周期を算出し、当該周期に基づき、無線通信のタイミングを制御してもよい。これにより、無線通信端末から送信される無線信号が、干渉源信号により干渉される事態を避けることができる。
なお、無線通信端末は、端末、無線端末、またはステーション(STA)と呼ぶこともある。また、無線通信端末の基地局であるアクセスポイントも、中継機能を有する点を除き、端末の機能を有するため、端末の一形態である。ゆえに、以降の説明において特に断りがなければ、端末にはアクセスポイントが含まれるとする。端末は、任意の無線通信方式に従って無線通信を行う。一例として、端末は、それぞれIEEE802.11規格に準拠した通信を行う。なお、本実施形態の無線通信システムは、IEEE802.11規格の無線LANを想定するが、これに限定されるものではない。
図24は、端末に搭載される無線通信装置の機能ブロック図である。無線通信装置2は、少なくとも1つのアンテナ1Aと、制御部201と、送信部202と、受信部203と、バッファ204とを備える。
制御部201は、通信を制御する装置またはベースバンド集積回路に対応し、送信部202と受信部203は、フレームを送受信する装置またはRF集積回路に対応する。制御部201の処理、および送信部202と受信部203のデジタル領域の処理の全部または一部は、CPU等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、これらのソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。端末は、制御部201、送信部202および受信部203の全部または一部の処理を行うプロセッサを備えてもよい。
バッファ204は、上位層と制御部201との間で、フレームまたはデータ等を受け渡しするための記憶部である。バッファ204はDRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
上位層は、他の端末またはサーバ等、ネットワーク上の他の装置に送信するフレームを生成して、バッファ204に格納したり、他の端末または装置等から受信したフレームまたはそのペイロードを、制御部201からバッファ204を介して受け取ったりする。上位層は、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理を行ってもよい。また、TCP/IPやUDP/IPは制御部201で処理し、上位層は、これより上位のアプリケーション層の処理を行ってもよい。上位層の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
制御部201は、主としてMAC層の処理を行う。制御部201は、送信部202および受信部203を介して、他の端末とフレームを送受信することで、他の端末との通信を制御する。また、制御部201は、クロックを生成するクロック生成部を含み、クロック生成部で生成するクロックを利用して、内部時間を管理してもよい。制御部201は、クロック生成部で作ったクロックを、外部に出力してもよい。あるいは、制御部201は、外部のクロック生成部で生成してクロックの入力を受け、当該クロックを利用して、内部時間を管理してもよい。
制御部201は、一例としてビーコンフレームを受信して、他の端末のBSS(Basic Service Set)の属性および同期情報を把握した後、他の端末にアソシエーション要求を行ってアソシエーションプロセスを行う。これにより、お互いの能力・属性等の必要な情報(DL−MU−MIMOを実施可能か否かの能力情報を含んでもよい)を交換することで、当該他の端末と無線リンクを確立する。必要に応じて、事前にアクセスポイントとの間で認証プロセスを行ってもよい。
制御部201は、バッファ204を定期的に確認することで、アップリンク送信するデータが存在するか等、バッファ204の状態を把握する。または、制御部201は、バッファ204等の外部からのトリガによりバッファ204の状態を確認する。制御部201は、他の端末へ送信するデータの存在を確認したら、CSMA/CA等に基づき無線媒体へのアクセス権(送信権)を獲得後、当該データを含むフレーム(より詳細には物理ヘッダを付加した物理パケット)を、送信部202およびアンテナ1Aを介して送信してもよい。なお、アクセス権の獲得は、アクセスポイントにRTSフレームを送信し、CTSフレームを受信することで行ってもよい。
信号検出装置1の無線処理部12と信号検出部13と占有周波数帯域導出部14は、制御部201により実現されてもよいし、上位層にて実現されてもよい。制御部201により実現される場合は、制御部201は、受信部203により受信した無線信号からデジタル複素信号を生成し、当該デジタル複素信号からブロックレベルを算出し、当該ブロックレベルの変化量を算出し、当該変化量の統計量を算出し、当該統計量に基づき統計量定義区間における、干渉源4からの干渉源信号を検出する。また、制御部201は、送信部202の無線信号の送信を制御する。例えば、制御部201は、干渉源信号を検出した場合は、一定時間経過するまで、送信部202の処理を停止させてもよい。または、干渉源信号を検出した期間、つまり算出された干渉源信号受信期間に基づき、干渉源信号の周期を推測し、干渉源信号が発信されていると予測される期間において、送信部202の処理を停止させてもよい。
送信部202は、制御部201から入力されたフレームにDA変換や、所望帯域成分を抽出するフィルタ処理、周波数変換(アップコンバート)等を行い、これらにより得られた信号をプリアンプで増幅して、1つまたは複数のアンテナから空間に電波として放出する。なお、複数のアンテナを備える場合、アンテナから同時に同じ信号を送信してもよい。または、複数のアンテナを使って、送信の指向性を制御することも可能である。
アンテナ1Aで受信された信号は、受信部203において処理される。受信された信号は、受信部203において低雑音増幅器(LNA)により増幅され、周波数変換(ダウンコンバート)され、ファイルタリング処理で所望帯域成分が抽出される。抽出された信号は、さらにAD変換によりデジタル信号に変換されて、制御部201に出力されてもよい。ゆえに、信号検出装置1の無線受信部11と無線処理部12とは、受信部203により実現されてもよい。制御部201では、復調、誤り訂正復号、物理ヘッダの処理が行われ、データフレーム等のフレーム(DL−MU−MIMOで受信したフレームも含む)が取得される。フレームのMACヘッダの受信先アドレスが自端末のMACアドレスに一致すれば、当該フレームを自端末宛のフレームとして処理する。一致しなければ、当該フレームを廃棄する。
制御部201は、受信したフレームのCRC検査(アグリゲーションフレームの場合は、アグリゲーションフレーム内の複数のデータフレームごとにCRC検査)を行う。制御部201は、フレームの受信完了からSIFS(Short InterFrame Space)等の一定時間後に、送達確認応答フレームを、送信部202を介して送信する。
制御部201は、アクセスポイントから伝搬路推定用フレームを受信した場合、伝搬路推定用フレームに含まれる所定フィールドの受信信号と、予め把握している既知信号とに基づき、振幅および位相の変動を算出する。そして、算出した振幅および位相の変動を表す伝搬路情報を含む報告フレームを生成して、アクセスポイントに送信する。
制御部201は、アクセスポイントから伝搬路の品質測定を要求するフレームを受信した場合は、測定により伝搬路の品質情報を取得し、品質情報を含むフレームを送信する。例えばフレームの物理ヘッダに含まれる既知信号を利用して、伝搬路の品質を測定し、品質情報を取得する。品質情報の例として、SNR(Signal to Nose Ratio)またはRSSI(Received Signal Strength Indicator)などがあるが、これに限定されない。または、上述の報告フレームに、伝搬路情報とともに品質情報を含めてもよい。また、アクセスポイントがDL−MU−MIMO送信の希望を有する端末を募集するフレームをブロードキャストまたはマルチキャストで送信し、その応答として当該希望を有するとの通知を含むフレームを送信する場合に、当該応答するフレームに品質情報を含めてもよい。また、制御部201は、伝搬路の品質情報を含むフレームの送信を、自発的に行ってもよい。ここで述べた以外の方法で、伝搬路の品質情報を含むフレームを送信してもよい。
制御部201は、データフレーム等のフレームを他の端末に送信した場合、送信完了からSIFS等の一定時間後、他の端末から送信される送達確認応答フレームを、受信部203を介して受信する。制御部201は、データフレーム(アグリゲーションフレームの場合は集約されている個々のデータフレーム)の送信に成功したかを判断する。
制御部201は、他の端末に通知する情報、または他の端末から通知された情報、またはこれらの両方を格納するための記憶装置にアクセスして情報を読み出してもよい。記憶装置は、内部メモリでも、外部メモリでもよく、揮発性メモリでも不揮発メモリでもよい。また、記憶装置は、メモリ以外に、SSD、ハードディスク等でもよい。
上述した、制御部201と送信部202の処理の切り分けは一例であり、上述した形態とは別の形態も可能である。例えばデジタル領域の処理およびDA変換までは、制御部201で行い、DA変換より後の処理を、送信部202で行うようにしてもよい。制御部201と受信部203の処理の切り分けも同様に、AD変換より前までの処理(無線受信部11の処理)を、受信部203で行い、AD変換後の処理を含むデジタル領域の処理を、制御部201で行うようにしてもよい。
一例として、本実施形態に係るベースバンド集積回路は、送信時のデジタル領域の処理およびDA変換を行う部分と、受信時のAD変換以降の処理を行う部分とに対応し、RF集積回路は、送信時のDA変換より後の処理を行う部分と、受信時のAD変換より前の処理を行う部分に対応する。本実施形態に係る無線通信用集積回路は、ベースバンド集積回路およびRF集積回路のうち、少なくともベースバンド集積回路を含む。ここで述べた以外の方法でブロック間の処理、あるいはベースバンド集積回路およびRF集積回路間の処理を切り分けてもよい。
(第6の実施形態)
図25は、端末の全体構成例を示したものである。この構成例は一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。端末は、1つまたは複数のアンテナ247(1〜n:nは1以上の整数)と、無線LANモジュール248と、ホストシステム249を備える。無線LANモジュール248は、第5の実施形態に係る無線通信装置に対応する。無線LANモジュール248は、ホスト・インターフェースを備え、ホスト・インターフェースで、ホストシステム249と接続される。接続ケーブルを介してホストシステム249と接続される他、ホストシステム249と直接接続されてもよい。また、無線LANモジュール248が基板にはんだ等で実装され、基板の配線を介してホストシステム249と接続される構成も可能である。ホストシステム249は、任意の通信プロトコルに従って、無線LANモジュール248およびアンテナ247(1〜n)を用いて、外部の装置と通信を行う。通信プロトコルは、TCP/IPと、それより上位の層のプロトコルと、を含んでもよい。または、TCP/IPは無線LANモジュール248に搭載し、ホストシステム249は、それより上位層のプロトコルのみを実行してもよい。この場合、ホストシステム249の構成を簡単化できる。本端末は、例えば、移動体端末、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置等でもよい。
図26は、無線LANモジュールのハードウェア構成例を示す。この構成は、無線通信装置が非アクセスポイントの端末およびアクセスポイントのいずれに搭載される場合にも適用可能であり、図24に示した無線通信装置の具体的な構成の一例として適用できる。なお、信号処理装置も、本構成により実現できる。アンテナ247は1本でも2本以上でもよい。この場合、各アンテナに対応して、送信系統(216、222〜225)、受信系統(232〜235)、PLL242、水晶発振器(基準信号源)243およびスイッチ245のセットが複数配置され、各セットがそれぞれベースバンド回路212に接続されてもよい。PLL242または水晶発振器243またはこれらの両方は、本実施形態に係る発振器に対応する。
無線LANモジュール(無線通信装置)は、ベースバンドIC(Integrated
Circuit)211と、RF(Radio Frequency)IC221と、バラン225と、スイッチ245と、アンテナ247とを備える。
ベースバンドIC(制御回路)211は、ベースバンド回路212と、メモリ213と、ホスト・インターフェース214と、CPU215と、DAC(Digital to Analog Conveter)216と、ADC(Analog to Digital Converter)217とを備える。ベースバンドIC(制御回路)211は、図24に示した無線通信装置の制御部201の処理を行う。
ベースバンドIC211とRF IC221は同じ基板上に形成されてもよい。また、ベースバンドIC211とRF IC221は1チップで構成されてもよい。DAC216およびADC217の両方またはいずれか一方が、RF IC221に配置されてもよいし、別のICに配置されてもよい。またメモリ213およびCPU215の両方またはいずれか一方が、ベースバンドICとは別のICに配置されてもよい。
メモリ213は、ベースバンドの処理に用いられるデータ(例えばブロックレベル)、ホストシステムとの間で受け渡しするデータを格納する。またメモリ213は、端末または基地局に通知する情報、または端末または基地局から通知された情報、またはこれらの両方を格納する。また、メモリ213は、CPU215の実行に必要なプログラムを記憶し、CPU215がプログラムを実行する際の作業領域として利用されてもよい。メモリ213はSRAM、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ホスト・インターフェース214は、ホストシステムと接続するためのインターフェースである。インターフェースは、UART、SPI、SDIO、USB、PCI Express(登録商標)など何でも良い。
CPU215は、プログラムを実行することによりベースバンド回路212を制御するプロセッサである。ベースバンド回路212は、主にMAC層の処理および物理層の処理を行う。ゆえに、ベースバンド回路212、CPU215またはこれらの両方は、無線通信装置の制御部201に対応する。また、信号検出装置1の信号検出部13と占有周波数帯域導出部14を実現する。
ベースバンド回路212およびCPU215の少なくとも一方は、クロックを生成するクロック生成部を含み、当該クロック生成部で生成するクロックにより、内部時間を管理してもよい。
ベースバンド回路212は、送信するフレームに、物理層の処理として、物理ヘッダの付加、符号化、暗号化、変調処理など行い、例えば2種類のデジタルベースバンド信号(以下、デジタルI信号とデジタルQ信号)を生成する。ゆえに、ベースバンド回路212は、信号検出装置1の無線処理部12を実現する。
DAC216は、ベースバンド回路212から入力される信号をDA変換する。より詳細には、DAC216はデジタルI信号をアナログのI信号に変換し、デジタルQ信号をアナログのQ信号に変換する。なお、直交変調せずに一系統の信号のままで送信する場合もありうる。複数のアンテナを備え、一系統または複数系統の送信信号をアンテナの数だけ振り分けて送信する場合には、アンテナの数に応じた数のDAC等を設けてもよい。
RF IC(無線通信回路)211は、図24に示した無線通信装置の送信部202と受信部203の処理を行う。RF IC221は、一例としてRFアナログICあるいは高周波IC、あるいはこれらの両方である。RF IC221は、フィルタ222、ミキサ223、プリアンプ(PA)224、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)242、LNA、バラン235、ミキサ233、およびフィルタ232を備える。これらの要素のいくつかが、ベースバンドIC211または別のIC上に配置されてもよい。フィルタ222、232は、帯域通過フィルタでも、低域通過フィルタでもよい。
フィルタ222は、DAC216から入力されるアナログI信号およびアナログQ信号のそれぞれから所望帯域の信号を抽出する。PLL242は、水晶発振器243から入力される発振信号を用い、発振信号を分周または逓倍またはこれらの両方を行うことで、入力信号の位相に同期した、一定周波数の信号を生成する。なお、PLL242は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を備え、水晶発振器243から入力される発振信号に基づき、VCOを利用してフィードバック制御を行うことで、当該一定周波数の信号を得る。生成した一定周波数の信号は、ミキサ223およびミキサ233に入力される。PLL242は、一定周波数の信号を生成する発振器の一例に相当する。
ミキサ223は、フィルタ222を通過したアナログI信号およびアナログQ信号を、PLL242から供給される一定周波数の信号を利用して、無線周波数にアップコンバートする。プリアンプ(PA)は、ミキサ223で生成された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号を、所望の出力電力まで増幅する。バラン225は、平衡信号(差動信号)を不平衡信号(シングルエンド信号)に変換するための変換器である。RF IC221では平衡信号が扱われるが、RF IC221の出力からアンテナ247までは不平衡信号が扱われるため、バラン225で、これらの信号変換を行う。
スイッチ245は、送信時は、送信側のバラン225に接続され、受信時は、受信側のバラン234またはRF IC221に接続される。スイッチ245の制御はベースバンドIC211またはRF IC221により行われてもよいし、スイッチ245を制御する別の回路が存在し、当該回路からスイッチ245の制御を行ってもよい。
プリアンプ224で増幅された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号は、バラン225で平衡−不平衡変換された後、アンテナ247から空間に電波として放射される。
アンテナ247は、チップアンテナでもよいし、プリント基板上に配線により形成したアンテナでもよいし、線状の導体素子を利用して形成したアンテナでもよい。
RF IC221におけるLNA234は、アンテナ247からスイッチ245を介して受信した信号を、雑音を低く抑えたまま、復調可能なレベルまで増幅する。バラン235は、LNA234で増幅された信号を、不平衡−平衡変換する。ミキサ233は、バラン235で平衡信号に変換された受信信号を、PLL242から入力される一定周波数の信号を用いてベースバンドにダウンコンバートする。より詳細には、ミキサ233は、PLL242から入力される一定周波数の信号に基づき、互いに90°位相のずれた搬送波を生成する手段を有し、バラン235で変換された受信信号を、互いに90°位相のずれた搬送波により直交復調して、受信信号と同位相のI(In−phase)信号と、これより90°位相が遅れたQ(Quad−phase)信号とを生成する。フィルタ232は、これらI信号とQ信号から所望周波数成分の信号を抽出する。フィルタ232で抽出されたI信号およびQ信号は、ゲインが調整された後に、RF IC221から出力される。
ベースバンドIC211におけるADC217は、RF IC221からの入力信号をAD変換する。より詳細には、ADC217はI信号をデジタルI信号に変換し、Q信号をデジタルQ信号に変換する。なお、直交復調せずに一系統の信号だけを受信する場合もあり得る。
複数のアンテナが設けられる場合には、アンテナの数に応じた数のADCを設けてもよい。ベースバンド回路212は、デジタルI信号およびデジタルQ信号に基づき、復調処理、誤り訂正符号処理、物理ヘッダの処理など、物理層の処理等を行い、フレームを得る。ベースバンド回路212は、フレームに対してMAC層の処理を行う。なお、ベースバンド回路212は、TCP/IPを実装している場合は、TCP/IPの処理を行う構成も可能である。
(第7の実施形態)
図27(A)および図27(B)は、それぞれ本実施形態に係る端末の斜視図である。図16(A)の無線端末はノートPC301であり、図16(B)の無線端末は移動体端末321である。ノートPC301および移動体端末321は、それぞれ無線通信装置305、315を搭載している。無線通信装置305、315として、これまで説明してきた無線端末に搭載されていた無線通信装置、またはアクセスポイント(基地局)に搭載されていた無線通信装置、またはこれらの両方を用いることができる。無線通信装置を搭載する無線端末は、ノートPCや移動体端末に限定されない。例えば、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置等にも搭載可能である。
また、無線端末またはアクセスポイント、またはこれらの両方に搭載されていた無線通信装置は、メモリーカードにも搭載可能である。当該無線通信装置をメモリーカードに搭載した例を図28に示す。メモリーカード331は、無線通信装置355と、メモリーカード本体332とを含む。メモリーカード331は、外部の装置(無線端末またはアクセスポイント、またはこれらの両方等)との無線通信のために無線通信装置335を利用する。なお、図28では、メモリーカード331内の他の要素(例えばメモリ等)の記載は省略している。
(第8の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、バス、プロセッサ部、及び外部インターフェース部を備える。プロセッサ部及び外部インターフェース部は、バスを介して外部メモリ(バッファ)と接続される。プロセッサ部ではファームウエアが動作する。このように、ファームウエアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウエアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。ファームウエアが動作するプロセッサ部は、本実施形態に係る制御部または制御部の処理を行うプロセッサであってもよいし、当該処理の機能拡張または変更に係る処理を行う別のプロセッサであってもよい。ファームウエアが動作するプロセッサ部を、本実施形態に係る基地局あるいは無線端末あるいはこれらの両方が備えてもよい。または当該プロセッサ部を、基地局に搭載される無線通信装置内の集積回路、または無線端末に搭載される無線通信装置内の集積回路が備えてもよい。
(第9の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
(第10の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置)の構成に加えて、電源部、電源制御部、及び無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
(第11の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、例えば無線通信装置における制御部と接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
(第12の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
(第13の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、送信部202、受信部203、制御部201またはこれらのうちの複数と接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第14の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、例えば無線通信装置における制御部と接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第15の実施形態)
本実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、ディスプレイを含む。ディスプレイは、図示しないバスを介して、無線通信装置の制御部に接続されてもよい。このようにディスプレイを備える構成とし、無線通信装置の動作状態をディスプレイに表示することで、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
各実施形態で記載されているフレームは、Null Data Packetなど、IEEE802.11規格または準拠する規格で、パケットと呼ばれるものを指してもよい。
本実施形態で用いられる用語は、広く解釈されるべきである。例えば用語“プロセッサ”は、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシンなどを包含してもよい。状況によって、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路(PLD)などを指してもよい。“プロセッサ”は、複数のマイクロプロセッサのような処理装置の組み合わせ、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサを指してもよい。
別の例として、用語“メモリ”は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を包含してもよい。“メモリ”は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージを指してもよく、これらはプロセッサによって読み出し可能である。プロセッサがメモリに対して情報を読み出しまたは書き込みまたはこれらの両方を行うならば、メモリはプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。メモリは、プロセッサに統合されてもよく、この場合も、メモリは、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。