以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。また、図面において同一の構成要素は、同じ番号を付し、説明は、適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る無線通信装置の一例を示すブロック図である。無線通信装置1は、干渉検出部10と、可変アンテナ部11と、制御部12と、記憶部14と、通信部15と、を備える。制御部12は、アンテナ切替部16と、通信制御部17とを備える。
無線通信装置1は、例えば、無線LANを構成するアクセスポイント(以下、基地局と呼ぶ場合もある)であり、電波等の無線媒体を用いて、相手の無線通信装置とフレームの送受信をする装置である。相手の無線通信装置は、アクセスポイントが形成するネットワーク(BSS:Basic Service Set)に属する無線通信端末である。以下、無線通信端末を、端末または通信端末またはSTA(ステーション)と呼ぶ場合もある。なお、アクセスポイント(基地局)は、中継機能等を有する点を除き、ステーションと同様の機能を有するため、無線通信端末の一形態である。非基地局の端末という場合はステーションを指すが、単に無線通信端末(端末)というときは、ステーションのみならず、アクセスポイントを指してもよい。
本実施形態では、無線通信装置1は、アクセスポイントである場合を想定するが、無線通信装置1はアクセスポイトに限定されない。例えば、無線通信装置1は、端末でもよいし、無線LAN以外の無線通信装置でもよい。
無線LAN以外の無線通信装置について説明する。無線LANでは、LBT(Listen before Talk)方式が採用されている。具体的に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式が用いられている。このCSMA/CA方式では、キャリアセンスにより無線媒体の状態を検査し、状態がアイドル状態であった場合に、無線媒体へのアクセス権を獲得して、フレーム送信を行う。本実施形態に係る無線通信装置は、このようなLBT方式を利用するシステムを構成する無線通信装置であれば、無線LAN以外の無線通信装置でもよい。LBT方式を利用する無線LAN以外のシステム例としては、LAA(Licensed Assisted Access using LTE(Long Term Evolution))がある。LAAは、ライセンス不要の周波数帯域を用いてLTE通信を行う方式である。
可変アンテナ部11は、電波を送受信する1つまたは複数のアンテナを備える。可変アンテナ部11は、通信部15から供給される無線周波数の信号を電波として空間に放射する。また、可変アンテナ部11は、空間から受信した無線周波数の信号を、干渉検出部10および通信部15に出力する。
ここで、可変アンテナ部11は、複数の放射パターンを有し、アンテナ設定の切り替えにより、放射パターンを変更可能である。放射パターンはビームパターンとも呼ばれる。
以下では、放射パターンに呼び方を統一する。放射パターンの例として、全方位性のパターン、特定の方向への指向性を有するパターンなどがある。これらのパターンの任意に組み合わせた(重ねた)パターンもあり得る。
放射パターンを変更可能なアンテナの構造例について説明する。一例として、1つのアンテナが、複数のブランチを有し、各ブランチのインピーダンスまたは抵抗を制御することで、アンテナの指向性を制御する構成がある。例えばアンテナが4つのブランチを有する場合、4つのブランチのインピーダンスの設定パターンを複数用意し、当該設定パターンの切り換えで、アンテナの指向性を制御する。このようなアンテナをアクセスポイントが1つまたは複数備える。複数備える場合、各アンテナの指向性を合成することで、合成した放射パターンを生成してもよい。または、別の構成として、1つのアンテナ素子の周囲を4つの金属板で囲むことでアンテナを構成し、アンテナ素子から放射された電波を各金属板で反射させて送信する構成でもよい。この場合、各金属板の角度または位置を調整することで、アンテナの指向性を制御する。ここで記載した以外のアンテナ構造も可能である。
アンテナ切替部16は、可変アンテナ部11の設定を切り替えることにより、可変アンテナ部11の放射パターンを変更する。アンテナ切替部16は、通信制御部17からの指示に従って、放射パターンの変更を行う。
干渉検出部10は、可変アンテナ部11からの受信信号を解析することにより、無線通信装置1が使用している動作チャネルおよびその他のチャネルの干渉信号を検出する。干渉信号が検出される場合に、干渉信号の特徴を把握する。例えば動作チャネルにおける他の通信装置との干渉は、デューティ比の高い干渉かなどを特定する。動作チャネルとは、周波数領域に設定された複数の周波数チャネルのうち、通信に使用しているチャネルのことである。デューティ比は、一定期間内に受信した信号のうち、閾値以上のレベルの信号が受信された期間長の割合である。干渉検出部10の動作の詳細については、後述する。
通信制御部17は、無線通信装置1の通信に関する制御、可変アンテナ部11の放射パターンの制御、およびチャネルの切替制御等を行う。
通信制御部17は、通信に関する制御として、通信プロトコルの処理を行う。通信プロトコルの処理は、無線LANの場合、MAC層の処理を含む。具体的に、MACフレームの生成、受信したMACフレームの解析および解析結果に基づく処理等がある。MAC層より上位の層(TCP/IP、またはUDP/IP等)の処理を含んでもよい。なお、MACフレームの種類には、大別して、データフレーム、管理フレーム、制御フレームがあるが、どのフレームでもかまわない。なお、データフレームは、無線通信装置の内部で生成されたデータを他の装置に送信するフレームである。管理フレームは、他の端末との間の通信リンクの管理のために用いられるフレームであり、一例として、ビーコンフレーム、アソシエーション要求フレーム、アソシエーション応答フレーム等がある。制御フレームは、管理フレーム及びデータフレームを、他の無線通信装置との間で送受信(交換)するときの制御のために用いられるフレームであり、一例として、RTS(Request
to Send)フレーム、CTS(Clear to Send)フレーム、ACKフレーム等がある。
また、通信制御部17は、放射パターンの制御として、動作チャネルに干渉がある場合に、干渉の状況に応じて、放射パターンの選択ポリシーを決定する。一例として、複数のポリシーの中からポリシーを選択する。通信制御部17は、選択したポリシーに従って、放射パターンの変更を行う。
また、通信制御部17は、干渉の状況に応じて、動作チャネルの変更を決定する。動作チャネルを変更する場合、変更後のチャネルを指定したチャネル切替信号を送信する。より詳細には、変更後チャネルを指定したチャネル切り替え指示を含むフレームを生成し、当該フレームを送信する。フレームの具体例として、ビーコンフレームを用いてもよいし、これとは別の管理フレームを用いてもよい。フレームの送信は、CSMA/CAに従って手順で行う。動作チャネルの変更に伴い、通信部15における送信用のフィルタおよび受信用のフィルタの設定を変更する。
記憶部14は、放射パターンとアンテナ設定情報とを対応づけた対応情報(あるいはテーブル情報)を保持している。放射パターンには予め識別子が与えられている。アンテナ設定情報は、対応する放射パターンを得るために必要なアンテナの設定を表す。例えば複数のアンテナのそれぞれが複数のブランチを有する場合、アンテナ設定情報は、複数のアンテナのそれぞれについて、各ブランチのインピーダンス値(または抵抗値)を表す値を含む。また、記憶部14は、放射パターンの指向性に関する情報(方向または角度等)を記憶してもよい。これらの情報は、製品の製造時または出荷時に設定されてもよいし、無線通信装置1がこれらの情報の設定指示を外部装置から受信することにより、記憶部14に設定してもよい。外部装置は、本無線通信装置1のユーザの装置でもよいし、サーバでもよい。
また、記憶部14は、無線通信装置1における放射パターンの使用履歴(以下、放射パターン履歴)を記憶する。一例として、放射パターン履歴は、各放射パターンの選択回数、送信成功率または通信品質等を、チャネルごとに分類して、記憶している。通信品質の例として、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、SN(Singanl to Noise)比がある。通信品質は、平均値でも、最新値でもよい。放射パターン履歴は、各放射パターンが使用された時刻および順序に関する情報を、チャネルごとに分類して記憶してもよい。放射パターン履歴の更新は、通信制御部17またはアンテナ切替部16またはこれらの両方が行う。例えば通信制御部17は、通信を行うごとに、通信で使用した放射パターンと、現在のチャネルと、通信の結果とに基づき、放射パターン履歴を更新する。
ここで、ポリシーの例を示す。例えば、記憶部14に記憶されている放射パターン履歴に基づいて放射パターンを選択するポリシー(履歴利用ポリシー)がある。また、可変アンテナ部11に設定可能な複数の放射パターンからランダムに放射パターンを選択するポリシー(ランダムポリシー)がある。また、指定された方向または特定の方向に指向性を有する放射パターンを選択するポリシー(指向性ポリシー)がある。また、全放射パターンを順番に切り換えて通信品質(SN比等)を測定し、最も高いまたは閾値以上の通信品質が得られた放射パターンを選択するポリシー(実測ポリシー)がある。なお、通信品質の測定は、通信制御部17または干渉検出部10で行えばよい。その他のポリシーの例として、予め定めた放射パターンを選択、または予め定めた優先順位で放射パターンを選択するポリシー(事前指定ポリシー)がある。予め定めた放射パターンは、例えば全方位放射パターンでもよいし、これ以外の放射パターンでもよい。
各ポリシーはさらに細かく分類されてもよい。例えば履歴利用ポリシーにおいて、過去の選択回数に基づいて放射パターンを選択するポリシー(選択回数ポリシー)、通信の成功確率に基づいて放射パターンを選択するポリシー(成功率ポリシー)、通信品質に基づいて放射パターンを選択するポリシー(通信品質ポリシー)がある。このほか、放射パターン履歴に含まれていない放射パターンを選択するポリシーや、これらのポリシーを組み合わせたポリシーがある。選択回数ポリシーでは、選択回数が多いものから優先的に放射パターンを選択することがある。成功率ポリシーでは、成功確率が高いものから優先的に放射パターンを選択することや、成功確率が閾値以上もののから優先的に選択することなどがある。なお、履歴利用ポリシーを用いる場合において、放射パターンの履歴が空の場合や、該当する放射パターンが存在しない場合には、予め定められたデフォルトの放射パターンを選択してもよい。デフォルトの放射パターンとしては、例えば全方位放射パターンでもよいし、これ以外の放射パターンでもよい。ここで示したポリシー例は一例に過ぎず、他にも様々なポリシーを定義できる。
各ポリシーは記憶部14に格納されていてもよいし、通信制御部17に格納されていてもよい。各ポリシーはデータの形式で存在しても、プログラム(ロジック)の形式で存在してもよい。
通信部15は、通信プロトコルのPHY層(物理層)に関する処理、および無線処理を行う。具体的には、PHY層の処理として、送信時におけるフレームへのPHYヘッダの付加、フレームの符号化、符号化されたデータの変調等がある。無線処理には、変調後の信号のDA(Digital to Analog)変換、送信フィルタによる帯域制御、アナログ信号のアップコンバートおよび増幅等の処理がある。受信時には、無線処理として、アンテナを介して受信した信号の低ノイズ増幅、増幅後の信号のダウンコンバート、受信フィルタによるダウンコンバート後の信号の帯域制御(動作チャネルの信号の抽出)等がある。なお、ダウンコンバートの前に、無線LANシステムの帯域制御(システムで使う全帯域の信号抽出)を行うフィルタ処理を行ってもよい。PHY層の処理として、帯域制御後の信号の復調および復号、および物理ヘッダの解析(除去)等の処理がある。
制御部12、干渉検出部10および通信部15の機能は、CPU等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。ソフトウェアはROM、RAM等のメモリ、ハードディスク、SSDなどの記憶媒体に記憶してプロセッサにより読み出して実行してもよい。
記憶部14は、メモリでもよいし、SSD、ハードディスク等でもよい。メモリはSRAM、DRAM等の揮発性メモリでも、NAND、MRAM等の不揮発性メモリでもよい。記憶部14は、図1では独立したブロックとして示されているが、アンテナ切替部16または通信制御部17内に存在しても良いし、アンテナ切替部16および通信制御部17に分散して配置されてもよい
図2は、干渉検出部10の構成例を示すブロック図である。干渉検出部10は、信号検出部100と、信号認識部110とを備える。
信号検出部100は、可変アンテナ部11から受信信号が入力され、受信信号を解析することで、時間と周波数との関係のデータ(時間周波数データ)を生成する。時間周波数データは、例えば、受信信号のAD変換、およびFFT(Fast Fourier Transform)処理を行うことで生成できる。これ以外の方法で、時間周波数データを生成してもよい。図3は、時間周波数データの一例を示す。この例では、時間周波数データに、4つの波形が含まれている。
波形51は、低周波数帯側で、1MHz幅の電波が連続的に受信されたことを示している。これはアナログビデオ、アナログコードレス電話、ジャマー(JAMMER)などのアナログ機器の出力に見られるパターン(以下、連続波パターンと呼ぶことがある)である。波形52は、時間の進行に応じて周波数が一定の傾きで変化することを周期的に繰り返すパターンであり、レーダー等に見られるパターンである。波形53は、一定の周波数帯域内で短いパルス状の信号がランダムに出現しており、周波数ホッピングを行うブルートゥース(登録商標)等の機器に見られるパターンである。波形54は、一定の周波数帯域を占める信号が間欠的に出現しており、IEEE802.11に準拠する無線LANなどの無線通信装置に見られるパターンである。
信号認識部110は、信号検出部100により生成された時間周波数データを受け取り、時間周波数データを分析することで、分析対象となる周波数範囲内に存在する干渉信号の特徴を把握する。ここでは、干渉信号の特徴として、干渉信号の発生源(干渉源)となる装置の種別を把握する。このために、信号認識部110は、分類器111と、データベース112を備える。なお、分析は、分析対象となる周波数範囲全体に対して行ってもよいし、周波数範囲をチャネルごとの帯域に分割し、分割した帯域(チャネル)ごとに分析を行ってもよい。
分類器111は、時間周波数データに基づき複数の特徴量を計算する。特徴量の例として、スペクトル形状の特徴量、信号がハイレベル(閾値以上のレベル)となる時間の割合を示す値または範囲、パルス形状の特徴量、パルスの拡散度などがある。これらの特徴量は一例に過ぎず、装置の種別を判定するのに有効な様々な特徴量を定義してもよい。図4(A)には特徴量の種類を模式的に示す。分類器111は、複数の特徴量に基づき、干渉源となる装置の種別を特定する。装置の種別として、一例として、アナログ機器(アナログビデオ、アナログコードレス電話、JAMMERなど)、ブルートゥース機器、無線LAN装置(Wifi装置)、レーダー装置などの分類が考えられる。分類器111は、これらのいずれかの分類を、干渉源の装置の種別として決定する。このような分類の処理は、任意のモデルを用いて行うことができる。モデルの例として2分木を用いることができる。2分木の例を図4(B)に模式的に示す。
図4(B)の2分木は、最上位ノード1,最下層ノード2、4、5、これら以外の中間ノード3を備える。最下層ノード以外のノード1、3には、それぞれ1つまたは複数の特徴量を用いた処理が割り当てられる。最上位ノード1から処理を開始し、処理結果に応じて、いずれかの下位ノード(子ノード)に分岐する。これを最下層ノードに達するまで繰り返す。最下層ノード2、ノード4、ノード5には、判定結果となる装置種別が割り当てられている。例えばノード2にはアナログ機器、ノード4にはWifi装置、ノード5にはレーダー装置が割り当てられる。到達した最下層ノードに割り当てられた装置種別が、干渉源の装置の種別として決定される。
ノードでの処理の一例として、1つまたは特徴量を用いた演算が行われ、演算の結果に応じて、複数の子ノードのいずれかに進む。例えば特徴量または特徴量に基づき演算される値が、第1値より大きいかを判断し、第1値より大きい場合は第1子ノード、第1値以下の場合は第2子ノードに分岐するなどである。なお、子ノードの個数は、図4(B)では2であるが、3以上でもよい。データベース112には、2分木のデータ、特徴量の計算式などが格納されている。
このような2分木は、機械学習により生成すればよい。例えば、予め装置種別が分かっている1つ以上の装置から信号を受信し、受信した信号から複数の特徴量を計算して、計算した複数の特徴量を装置種別に対応づけて蓄積しておく。複数の種別の装置について取得したこれらのデータを機械学習することで、複数の特徴量から、装置種別を特定するモデルを生成できる。
使用するモデルは、2分木に限定されず、ニューラルネットワークなど他のモデルでもよい。
ここでは干渉信号の特徴を把握する方法として、装置の種別を特定する例を示した。別の方法として、複数の波形パターンをテンプレートとして用意しておき、干渉信号が、どの波形パターンを有するかを特定してもよい。例えば、受信信号を解析して得た波形データと、各テンプレートとの類似度を計算し、最も高い類似度の波形パターンを特定してもよい。類似度の計算前に、波形データを正規化してもよい。波形同士の類似度の計算は、一般的な波形同士の距離を計算するアルゴリズムなどを用い、計算された距離に応じて、類似度を求めればよい。一例として、距離が小さいほど、大きな値となるように類似度を定義してもよい。なお、分析は、周波数範囲をチャネルごとの帯域に分割し、分割した帯域(チャネル)ごとに分析を行ってもよい。
次に、本実施形態に係る無線通信装置1のチャネル切替処理について説明する。図5および図6は、無線通信装置1のチャネル切替処理のフローチャートである。以下の説明において、無線通信装置1は、動作チャネルとして、チャネルAを使用している状況を想定する。
図5に示すように、通信制御部17は、予め決定したポリシーに従って、放射パターンを選択し、選択した放射パターンの設定をアンテナ切替部16に指示する。アンテナ切替部16は、当該放射パターンに応じた構成に、可変アンテナ部11を設定する(ステップS10)。本ステップS10では、履歴利用ポリシーを用いる場合を想定する。
アンテナ切替部16により放射パターンが設定されたら、通信制御部17は、チャネルAを用いて、通信部15を介して、通信を行う(ステップS11)。通信制御部17は、新規にフレームを送信する場合には、CSMA/CAに従って、無線媒体へのアクセス権を獲得した上で、フレーム送信を行う。具体的に、キャリアセンスにより無線媒体の状態を検査し、状態がアイドルであった場合に、アクセス権を獲得して、フレーム送信を行う。また、通信相手の端末から、送達確認応答を必要とするフレームを受信した場合は、フレームの受信完了から一定時間後に、送達確認応答フレーム(ACKフレーム等)を送信する。
干渉検出部10は、可変アンテナ部11を介して受信した信号に基づき、チャネルAで他の通信装置との電波干渉が発生しているかを検出する(ステップS12)。例えば、一定時間、無線媒体を監視し、その間に、自装置が形成するネットワーク以外の装置からの、閾値以上のレベルの信号(無線媒体がビジー状態と判断されるレベルの信号)が検出された場合は、電波干渉が発生していると判断する。検出の動作は、通信制御部17の通信とは独立して(並行して)行われている。なお、自装置のネットワークに属する装置からの信号か否かは、例えばフレームまたはそのヘッダを解析することで分かる。この解析は干渉検出部10で行ってもよいし、通信制御部17で行って、解析の結果を干渉検出部10に通知してもよい。
干渉検出部10が、干渉の発生を検出しなかった場合(ステップS12:No)、通信制御部17は、現在の放射パターンを維持して、チャネルAで通信を継続する(ステップS13)。
一方で、チャネルAにおける干渉の発生を検出した場合(ステップS12:Yes)、干渉検出部10は、チャネルAにおける干渉信号の特徴を特定する(ステップS20)。
具体的に、干渉源の装置種別、例えば無線LAN装置(WiFi装置)、アナログ機器(アナログコードレス電話、アナログビデオ)等、ブルートゥース装置、レーダー装置といった装置種別を特定する。または、別の方法として、前述したように波形パターンを特定してもよい。以下では装置種別を特定する場合を想定する。なお、特定する装置種別数は1つの場合のみならず、複数の場合もありうる。また、干渉源の方向または位置またはこれらの両方を推定可能な場合は、これらを特定してもよい。干渉源の方向または位置の推定には、一般的な到来方向推定アルゴリズムまたは位置推定アルゴリズムを用いればよい。このとき、到来方向および位置の推定処理は、干渉検出部10が行ってもよいし、通信制御部17が行ってもよい。
次に、干渉検出部10は、干渉源の信号のデューティ比が高いか否かを判定する(ステップS21)。デューティ比は、一定期間内に受信した信号のうち、閾値以上のレベルの信号が受信された期間長の割合である。デューティ比が高いとは、デューティ比が一定値以上のことを意味する。
デューティ比が高い装置として予め定めた種別の装置が検出された場合は、干渉源の信号のデューティ比が高いと判定する。ここではアナログ機器(アナログコードレス電話、アナログビデオ)がそのような装置に相当する。アナログ機器は、つまり、高デューティ比装置の一例である。なお、ステップS20で波形パターンを特定する場合は、予め定めたパターンの波形、例えば図3の波形51のような連続波パターンが検出された場合は、干渉源の信号のデューティ比が高いと判定する。
デューティ比が高くないと判定された場合(ステップS21:No)、干渉検出部10は、チャネルAで干渉が検出されたが、デューティ比の高い干渉ではないことを表す情報を、通信制御部17に送る。通信制御部17は、この情報を受けると、現在のチャネルAの使用を継続することを決定しつつ、放射パターンの変更することを決定する。通信制御部17は、チャネルAに関して、現在のポリシー(履歴利用ポリシー)に基づき、放射パターンの選択をし直す。通信制御部17は、選択した放射パターンへの変更指示信号を、アンテナ切替部16に出力する。アンテナ切替部16は、指示された放射パターンに応じて、可変アンテナ部11を設定する(ステップS22)。
例えば、通信品質(SN比等)の平均が最も高い放射パターン、または通信成功率が最も高い放射パターンなどを特定する。特定されたパターンが、現在使用している放射パターンと同じパターンになる場合は、現在の放射パターンを維持しても良いし、次に値が高い放射パターンを選択し直してもよい。放射パターン履歴を利用した別の選択例として、過去において現在使用している放射パターンと同じ放射パターンを使ったデータを特定し、特定した放射パターンの切り替え後の通信成功率またはSN比が一定値以上の場合は、その特定したパターンと同じ放射パターンを選択することなども可能である。
可変アンテナ部11の放射パターンを変更した後、通信制御部17は、通信部15を介して、チャネルAで通信を行う(ステップS23)。通信制御部17またはアンテナ切替部16またはこれらの両方は、変更後の放射パターンと、通信の結果(成功または失敗したか等)に基づき、放射パターン履歴を更新する。
図7は、無線通信装置1の動作チャネルAが、他の通信装置2の出力する電波と干渉している状況を示している。この例では、アクセスポイントに相当する無線通信装置1と、端末3A、3B、3C、3Dとで構成される無線LANシステムの近くに、別のシステムの他の通信装置2が存在する。無線通信装置1は全方位性の放射パターンを用いているとする。他の通信装置2は、デューティ比の高くない信号を出力する装置であるとする。ここでは、隣接するアクセスポイントまたはそれに属する端末を想定する。円状の点線8は、他の通信装置2から出力される電波の範囲を示す。無線通信装置1はこの範囲内に存在しており、チャネルAの干渉を検知する。
図8は、図7の状況において、ステップS21で他の通信装置2が、デューティ比の高い干渉源ではないと判断され、かつステップS22で、放射パターンが変更された後の無線通信装置1の放射パターンを示す図である。図中の実線31は、無線通信装置1の放射パターンを表す。この放射パターンの領域内には、端末3A、3Bが含まれ、端末3C、3Dおよび他の通信装置2は含まれない。無線通信装置1は、他の通信装置2の電波を受信しない(他の通信装置2からの受信信号を検知しない)ため、チャネルAを継続して利用しつつ、端末3Aおよび3Bと通信を行うことができる。ただし、端末3C、3Dと通信を行うことはできない。
一方で、干渉検出部10が、デューティ比の高い干渉源が存在すると判定した場合(ステップS21:Yes)、干渉検出部10は、チャネルAで干渉が検出され、かつそれがデューティ比の高い干渉であることを通知する情報を、通信制御部17に送る。
通信制御部17は、この情報を受けると、チャネルA以外の1つまたは複数の候補チャネルの電波受信状況を調べることにより、空きチャネルが存在するかを判断する(ステップS30)。空きチャネルが存在するかの判断は、任意の方法を用いて行えばよい。例えば一定時間、候補チャネルを監視し、一定レベル以上の信号が受信されなければ、当該候補チャネルは空きチャネルである判断してもよい。なお、空きチャネルの存在有無の検査は、干渉検出部10が行ってもよい。この場合、通信制御部17は、空きチャネルが存在するかの決定を行うことを指示する指示信号を干渉検出部10に出力し、干渉検出部10が空きチャネルの存在有無を決定し、通信制御部17にその結果をフィードバックする。
通信制御部17は、チャネルA以外の候補チャネルの中に、空きチャネルがあると判断した場合(ステップS30:Yes)、当該検出した空きチャネルを、チャネルAの変更先のチャネル(以下、チャネルBと呼ぶ)として決定する。空きチャネルは、最も早く検出された空きチャネルでもよいし、複数の空きチャネルを検出した場合は、最も通信品質が高いチャネルでもよい。
通信制御部17は、ポリシーをランダムポリシーに切り替え、ランダムポリシーに従って、ランダムに放射パターンを選択、すなわち任意の放射パターンを選択する。通信制御部17は、アンテナ切替部16を介して、可変アンテナ部11に、選択した放射パターンを設定する(ステップS40)。つまり、どの放射パターンを選択すれば、干渉源の影響を回避して、無線媒体へのアクセス権をとれるか不明なため、ランダムに放射パターンを選択する。
通信制御部17は、可変アンテナ部11の放射パターンが変更された後、動作チャネルを変更する前に、チャネルAを介して、チャネル切替信号を送信する(ステップS41)。より詳細には、チャネルBへのチャネル切り替えを指示する情報を含むフレームを生成し、当該フレームを送信する。チャネル切り替えを指示するフレームの例として、ビーコンフレームを用いてもよいし、これとは別の管理フレームを用いてもよい。フレームの送信は、CSMA/CAに従って手順で行う。すなわち、無線媒体のキャリアセンスを行い、キャリアセンスの結果がアイドル状態を示す場合、無線媒体へのアクセス権を獲得し、フレームを送信する。チャネル状態がビジー状態であるために、一定期間経過してもアクセス権の獲得が出来ない場合は、ステップS40に戻って、ランダムポリシーの下、放射パターンを再度選択し直してもよい。送信するフレームには、チャネル切り替えを行うタイミングを示す情報を設定してもよい。チャネル切り替えタイミングの情報は、別のフレームによって送信してもよい。
通信制御部17は、予め定めた切り替えタイミングで、動作チャネルをチャネルAからチャネルBに切り替え、以降は、チャネルBで通信を行う(ステップS42)。チャネルBで通信を開始する際に用いるポリシーは、事前指定ポリシー(予め定めた放射パターンを選択または予め定めた順番で放射パターンを選択)でもよいし、引き続きランダムポリシーを用いてもよいし、その他のポリシーを用いてもよい。チャネルBの放射パターン履歴がある場合は、履歴利用ポリシーを用いてもよい。
通信制御部17は、ステップS40、S41を複数回繰り返した後で、動作チャネルをチャネルBへ切り替えてもよい。これにより多くの放射パターンで、チャネル切替信号を送信する可能性を高め、出来るだけ多くの端末に、チャネル切り替えを通知できる可能性が高くなる。ただし、回数が多いと、それだけ実際にチャネル変更するまでの時間が長くなるため、高速なチャネル変更が困難となる。従って、チャネル変更までに許容される時間長に応じて、ステップS40、S41を繰り返す回数を制限してもよい。
図9は、ステップS40、S41の具体例を説明する図である。無線通信装置1の動作チャネルAが、他の通信装置2の出力する電波と干渉している。この例では、アクセスポイントに相当する無線通信装置1と、端末3A、3B、3C、3Dとで構成される無線LANシステムの近くに、別のシステムの他の通信装置7が存在する。無線通信装置1は全方位性の放射パターンを用いているとする。他の通信装置7は、デューティ比の高い装置、例えばアナログビデオカメラ等のアナログ機器であるとする。円状の点線9は、他の通信装置2から出力される電波の範囲を示す。無線通信装置1はこの範囲内に存在しており、チャネルAの干渉を検知する。
無線通信装置1が、ステップS40で放射パターンを変更した結果、図中の実線43で示す放射パターンになっている。無線通信装置1は、この放射パターンで、チャネルAを介して、チャネル切替信号を送信する。端末3A、3Bは、放射パターンの範囲に含まれ、かつ他の通信装置7の電波範囲に含まれないことから、チャネル切替信号の受信に成功する。端末3Cでは、他の通信装置7の電波範囲に含まれるため、チャネル切替信号の受信に成功するかは、端末3Cの指向性にも依存する。ここでは、端末3Cはチャネル切替信号の受信に成功しなかった場合を想定する。端末3Dは、無線通信装置1の放射パターンに含まれないため、チャネル切替信号を受信しない。チャネル切替信号の受信に成功した端末3Aおよび端末3Bは、例えば、無線通信装置1が指定した空きチャネルであるチャネルBへ、予め指定されたタイミングで、動作チャネルを切り替える。図10は、無線通信装置1、端末3Aおよび端末3Bが、動作チャネルを、チャネルAからチャネルBへと切り替えた様子を示す図である。図10において、無線通信装置1、端末3Aおよび端末3Bが破線の矩形で囲まれているが、これはこれらの動作チャネルがチャネルBに切り替えられたことを意味する。なお、端末3Cと、端末3Dでは、依然としてチャネルAが設定されている。
図11は、チャネルAで無線通信装置1と通信できなくなったことを検知した端末3Cおよび端末3Dがチャネルサーチにより、無線通信装置1の動作チャネルであるチャネルBを特定して、動作チャネルをチャネルBに切り換えた様子を示している。端末3Cおよび端末3Dは、チャネルBで無線通信装置1とアソシエーションプロセスを再度実行して、無線通信装置1が形成するネットワークに所属する。端末3Cおよび端末3Dの動作チャネルがチャネルBへ切り換えられたため、図11では、端末3Cおよび端末3Dが、破線の矩形で囲まれている。無線通信装置1、端末3A〜3Dは、他の通信装置7と干渉することなく通信を行うことができる。
一方、通信制御部17は、チャネルA以外の候補チャネルの中に、空きチャネルが存在しないと判断した場合(ステップS30:No)、記憶部14に記憶されている放射パターン履歴をリセットする。また通信制御部17は、使用するポリシーをランダムポリシーに切り替え、ランダムポリシーに従って任意の放射パターンを選択する。選択した放射パターンへの変更をアンテナ切替部16に指示し、アンテナ切替部16は、可変アンテナ部11に、指示された放射パターンを設定する(ステップS31)。通信制御部17は、チャネルAで通信を行う(S32)。今回設定された放射パターンや通信の結果等を放射パターン履歴に登録する(ステップS33)。これにより放射パターン履歴を更新する。
なお、図5のステップS22では、履歴利用ポリシーを引き続き利用して放射パターンを選択したが、別のポリシーに変更してもよい。例えばステップS12で干渉が発生したと判定された回数が一定時間内に所定値に達した場合は、ポリシーを変更してもよい。
上述した処理の変形例を示す。
(第1の変形例)
図12は、第1の変形例に係るフローチャートである。図5のステップS20がステップS51に代わっている。図5のステップS20では装置種別を特定したが、本フローのステップS51では、デューティ値を計算する。具体的には、所定期間内に受信した信号のうち、閾値以上のレベルの信号が受信された期間長を計算する。そして、所定期間の長さに対する、当該計算した期間長の比率を計算する。これにより、デューティ比を得る。
続くステップS21では、デューティ比が一定値以上かを判断し、一定値以上であれば、デューティ比の高い干渉が存在したと判定し、ステップS30に進む。デューティ比が一定値未満であれば、デューティ比の高い干渉が存在しなかったと判定し、ステップS22に進む。ステップS30、S22以外のステップの処理は、これまで述べたのと同様の処理でよい。
(第2の変形例)
図6のステップS40でポリシーを変更(ランダム選択に変更)する際、キャリアセンスで用いる受信判定の閾値(例えば(CCA(Clear Channel Assessment)閾値))を高くしてもよい。一例として、第1閾値を、第1閾値より大きい第2閾値に変更する。
例えば通信部15は、第1閾値以上のレベルの信号を受信すると、信号受信を検知し、第1閾値未満のレベルの信号を受信しても信号受信を検知しないとする。つまり、第1閾値以上のレベルの信号では、無線媒体がビジー状態と判定し、第1閾値未満のレベルの信号では無線媒体はアイドル状態であると判定する。ステップS40で第1閾値を第2閾値に上げることで、第1閾値以上のレベルの信号を受信しても、信号のレベルが第2閾値未満であれば、無線媒体はアイドル状態と判断される。よってキャリアセンス中に他の通信装置2から信号を受信しても、信号のレベルが第2閾値未満であれば、無線媒体がアイドルと判定され、チャネル切替信号を送信できる。なお、図6のステップS31、図5のステップS22、またはこれらの両方でも、放射パターンを変更する際、受信判定の閾値を上げるようにしてもよい。
ここでは、ポリシーを変更するとともに、閾値を上げたが、ポリシーを変更することなく、閾値を上げてもよい。この場合のフローチャートを図13に示す。図5のステップS40が、ステップS52に代わっている。ステップS52では、現在の放射パターンを維持しつつ、受信判定の閾値を高くする。一例として、第1閾値を、第1閾値より大きい第2閾値に変更する。なお、ステップS31、図5のステップS22、またはこれらの両方に対しても同様に、放射パターンを変更することなく、受信判定の閾値を上げるようにしてもよい。
(第3の変形例)
これまでの説明では、高デューティの信号を出力する装置が、ビデオカメラ等のアナログ機器である場合を想定したが、その装置が、無線LAN以外のLBT方式を採用する通信装置である可能性もあり得る。その可能性がある場合には、ポリシーとしてランダムポリシーではなく、指向性ポリシー(指定された方向または特定の方向に指向性を有する放射パターンを選択する)を選択し、その通信装置に指向性を向けるような放射パターンを、ステップS40で設定してもよい。その通信装置に指向性を向けることで、無線通信装置1が送信した信号を、その通信装置が検知することができる。信号を検知した通信装置は、送信禁止期間(無線LANの場合、NAV(Network Allocation
Vector)と呼ばれる)を設定し、フレーム送信を控えることが期待できる。ただし、キャリアセンスで一定期間以内にアクセス権を獲得出来ない場合は、ランダムポリシーに戻すなどしてもよい。ステップS40では、上述したランダムポリシーおよび指向性ポリシー以外のポリシーを選択することも可能である。
以上のように、本実施形態によれば、無線通信装置1は、デューティ比が高い他の通信装置が存在する場合に、ポリシーを変更することで、他の通信装置との干渉を防止可能な放射パターンを高速に選択できる。一例として、履歴利用ポリシーからランダムポリシーに変更することで、干渉を回避できる放射パターンを高速に選択できる。このようにして選択した放射パターンで、チャネル切替信号を送信することで、チャネル変更を高速に通知できる。チャネル切替信号を受信した端末は、切り替え後のチャネルで再度無線通信装置1とアソシエーションプロセスを行うことなく、チャネル切り替えを行うことができる。チャネル切替信号を受信できなかった端末(変更後の放射パターンの範囲に含まれない端末)は、チャネルサーチにより無線通信装置1を探索し、アソシエーションプロセスを行う必要があるが、チャネル変更後も引き続き無線通信装置1との通信を行うことができる。
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係る基地局(アクセスポイント)400の機能ブロック図である。このアクセスポイントは、通信処理部401と、送信部402と、受信部403と、アンテナ42A、42B、42C、42Dと、ネットワーク処理部404と、有線I/F405と、メモリ406とを備えている。アクセスポイント400は、有線I/F405を介して、サーバ407と接続されている。通信処理部401は、第1の実施形態で説明した制御部12および干渉検出部10と同様な機能を有している。送信部402および受信部403は、第1の実施形態で説明した通信部15と同様な機能を有している。ネットワーク処理部404は、第1の実施形態で説明した上位処理部と同様な機能を有している。ここで、通信処理部401は、ネットワーク処理部404との間でデータを受け渡しするためのバッファを内部に保有してもよい。このバッファは、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ネットワーク処理部404は、通信処理部401とのデータ交換、メモリ406とのデータ書き込み・読み出し、および、有線I/F405を介したサーバ407との通信を制御する。ネットワーク処理部404は、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理やアプリケーション層の処理を行ってもよい。ネットワーク処理部の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
一例として、通信処理部401は、ベースバンド集積回路に対応し、送信部402と受信部403は、フレームを送受信するRF集積回路に対応する。通信処理部401とネットワーク処理部404とが1つの集積回路(1チップ)で構成されてもよい。送信部402および受信部403のデジタル領域の処理を行う部分とアナログ領域の処理を行う部分とが異なるチップで構成されてもよい。また、通信処理部401が、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理を実行するようにしてもよい。また、アンテナの個数はここでは4つであるが、少なくとも1つのアンテナを備えていればよい。
メモリ406は、サーバ407から受信したデータや、受信部403で受信したデータの保存等を行う。メモリ406は、例えば、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。また、SSDやHDD、SDカード、eMMC等であってもよい。メモリ406が、基地局400の外部にあってもよい。
有線I/F405は、サーバ407とのデータの送受信を行う。本実施形態では、サーバ407との通信を有線で行っているが、サーバ407との通信を無線で実行するようにしてもよい。この場合、無線I/Fが、有線I/F405の代わりに用いればよい。
サーバ407は、データの送信を要求するデータ転送要求を受けて、要求されたデータを含む応答を返す通信装置であり、例えばHTTPサーバ(Webサーバ)、FTPサーバ等が想定される。ただし、要求されたデータを返す機能を備えている限り、これに限定されるものではない。PCやスマートフォン等のユーザが操作する通信装置でもよい。また、基地局400と無線で通信してもよい。
基地局400のBSSに属するSTAが、サーバ407に対するデータの転送要求を発行した場合、このデータ転送要求に関するパケットが、基地局400に送信される。基地局400は、アンテナ42A〜42Dを介してこのパケットを受信し、受信部403で物理層の処理等を、通信処理部401でMAC層の処理等を実行する。
ネットワーク処理部404は、通信処理部401から受信したパケットの解析を行う。
具体的には、宛先IPアドレス、宛先ポート番号等を確認する。パケットのデータがHTTP GETリクエストのようなデータ転送要求である場合、ネットワーク処理部404は、このデータ転送要求で要求されたデータ(例えば、HTTP GETリクエストで要求されたURLに存在するデータ)が、メモリ406にキャッシュ(記憶)されているかを確認する。メモリ406には、URL(またはその縮小表現、例えばハッシュ値や、代替となる識別子)とデータとを対応づけたテーブルが記憶されている。ここで、データがメモリ406にキャッシュされていることを、メモリ406にキャッシュデータが存在すると表現する。
メモリ406にキャッシュデータが存在しない場合、ネットワーク処理部404は、有線I/Fを405介して、サーバ407に対してデータ転送要求を送信する。つまり、ネットワーク処理部404は、STAの代理として、サーバ407へデータ転送要求を送信する。具体的には、ネットワーク処理部404は、HTTPリクエストを生成し、TCP/IPヘッダの付加などのプロトコル処理を行い、パケットを有線I/F405へ渡す。
有線I/F405は、受け取ったパケットをサーバ407へ送信する。
有線I/F405は、データ転送要求に対する応答であるパケットをサーバ407から受信する。ネットワーク処理部404は、有線I/F405を介して受信したパケットのIPヘッダから、STA宛のパケットであることを把握し、通信処理部401へパケットを渡す。通信処理部401はこのパケットに対するMAC層の処理等を、送信部402は物理層の処理等を実行し、STA宛のパケットをアンテナ42A〜42Dから送信する。
ここで、ネットワーク処理部404は、サーバ407から受信したデータを、URL(またはその縮小表現)と対応づけて、メモリ406にキャッシュデータとして保存する。
メモリ406にキャッシュデータが存在する場合、ネットワーク処理部404は、データ転送要求で要求されたデータをメモリ406から読み出して、このデータを通信処理部401へ送信する。具体的には、メモリ406から読み出したデータにHTTPヘッダ等を付加して、TCP/IPヘッダの付加等のプロトコル処理を行い、通信処理部401へパケットを送信する。このとき、一例として、パケットの送信元IPアドレスは、サーバと同じIPアドレスに設定し、送信元ポート番号もサーバと同じポート番号(通信端末が送信するパケットの宛先ポート番号)に設定する。したがって、STAから見れば、あたかもサーバ407と通信をしているかのように見える。通信処理部401はこのパケットに対するMAC層の処理等を、送信部402は物理層の処理等を実行し、STA宛のパケットをアンテナ42A〜42Dから送信する。
このような動作により、頻繁にアクセスされるデータは、メモリ406に保存されたキャッシュデータに基づいて応答することになり、サーバ407と基地局400間のトラフィックを削減できる。なお、ネットワーク処理部404の動作は、本実施形態の動作に限定されるものではない。STAの代わりにサーバ407からデータを取得して、メモリ406にデータをキャッシュし、同一のデータに対するデータ転送要求に対しては、メモリ406のキャッシュデータから応答するような一般的なキャッシュプロキシであれば、別の動作でも問題はない。
本実施形態の基地局(アクセスポイント)を、第1の実施形態の基地局として適用することが可能である。上述の第1の実施形態で使ったフレーム、データまたはパケットの送信を、メモリ406に保存されたキャッシュデータを用いて実行してもよい。また、第1の実施形態の基地局が受信したフレーム、データまたはパケットで得られた情報を、メモリ406にキャッシュしてもよい。第1の実施形態において、アクセスポイントが送信するフレームは、キャッシュされたデータまたは当該データに基づく情報を含んでもよい。
データに基づく情報は、例えば端末宛のデータの有無の情報、データのサイズに関する情報、データの送信に必要なパケットのサイズに関する情報でもよい。またデータの送信に必要な変調方式等の情報でもよい。
本実施形態では、キャッシュ機能を備えた基地局について説明を行ったが、図14と同じブロック構成で、キャッシュ機能を備えた端末(STA)を実現することもできる。ここでいう端末は、非基地局の端末である(前述したように基地局も無線通信端末の一形態である)。この場合、有線I/F405を省略してもよい。上述の第1の実施形態における端末によるフレーム、データまたはパケットの送信を、メモリ406に保存されたキャッシュデータを用いて実行してもよい。また、第1の実施形態の端末が受信したフレーム、データまたはパケットで得られた情報を、メモリ406にキャッシュしてもよい。第1の実施形態において、端末が送信するフレームは、キャッシュされたデータまたは当該データに基づく情報を含んでもよい。データに基づく情報は、例えば送信するデータの有無の情報、データのサイズに関する情報、データの送信に必要なパケットのサイズに関する情報でもよい。またデータの送信に必要な変調方式等の情報でもよい。
(第3の実施形態)
図15は、端末または基地局の全体構成例を示したものである。この構成例は一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。端末または基地局は、1つまたは複数のアンテナ1〜n(nは1以上の整数)と、無線LANモジュール148と、ホストシステム149を備える。無線LANモジュール148は、第1の実施形態に係る無線通信装置に対応する。無線LANモジュール148は、ホスト・インターフェースを備え、ホスト・インターフェースで、ホストシステム149と接続される。接続ケーブルを介してホストシステム149と接続される他、ホストシステム149と直接接続されてもよい。また、無線LANモジュール148が基板にはんだ等で実装され、基板の配線を介してホストシステム149と接続される構成も可能である。ホストシステム149は、任意の通信プロトコルに従って、無線LANモジュール148およびアンテナ1〜nを用いて、外部の装置と通信を行う。通信プロトコルは、TCP/IPと、それより上位の層のプロトコルと、を含んでもよい。または、TCP/IPは無線LANモジュール148に搭載し、ホストシステム149は、それより上位層のプロトコルのみを実行してもよい。この場合、ホストシステム149の構成を簡単化できる。本端末は、例えば、移動体端末、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置、自動車等でもよい。
無線LANモジュール148(または無線通信装置)は、IEEE802.11に加え、LTE(Long Term Evolution)またはLTE−Advanced(standards for mobile phones)のような他の無線通信規格の機能を備えていてもよい。
図16は、無線LANモジュールのハードウェア構成例を示す。この構成は、無線通信装置が非基地局の端末および基地局のいずれに搭載される場合にも適用可能である。つまり、図1に示した無線通信装置の具体的な構成の一例として適用できる。この構成例では、少なくとも1本のアンテナ247を備える。複数のアンテナを備える場合、各アンテナに対応して、送信系統(216、222〜225)、受信系統(217、232〜235)、PLL242、水晶発振器(基準信号源)243およびスイッチ245のセットが複数配置され、各セットがそれぞれベースバンド回路212に接続されてもよい。PLL242または水晶発振器243またはこれらの両方は、本実施形態に係る発振器に対応する。
無線LANモジュール(無線通信装置)は、ベースバンドIC(Integrated
Circuit)211と、RF(Radio Frequency)IC221と、バラン225と、スイッチ245と、アンテナ247とを備える。
ベースバンドIC211は、ベースバンド回路(制御回路)212、メモリ213、ホスト・インターフェース214、CPU215、DAC(Digital to Analog Converter)216、およびADC(Analog to Digital Converter)217を備える。
ベースバンドIC211とRF IC221は同じ基板上に形成されてもよい。また、ベースバンドIC211とRF IC221は1チップで構成されてもよい。DAC216およびADC217の両方またはいずれか一方が、RF IC221に配置されてもよいし、別のICに配置されてもよい。またメモリ213およびCPU215の両方またはいずれか一方が、ベースバンドICとは別のICに配置されてもよい。
メモリ213は、ホストシステムとの間で受け渡しするデータを記憶する。またメモリ213は、端末または基地局に通知する情報、または端末または基地局から通知された情報、またはこれらの両方を記憶する。また、メモリ213は、CPU215の実行に必要なプログラムを記憶し、CPU215がプログラムを実行する際の作業領域として利用されてもよい。メモリ213はSRAM、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ホスト・インターフェース214は、ホストシステムと接続するためのインターフェースである。インターフェースは、UART、SPI、SDIO、USB、PCI Expressなど何でも良い。
CPU215は、プログラムを実行することによりベースバンド回路212を制御するプロセッサである。ベースバンド回路212は、主にMAC層の処理および物理層の処理を行う。ベースバンド回路212、CPU215またはこれらの両方は、通信を制御する通信制御装置、または通信を制御する制御部に対応する。
ベースバンド回路212およびCPU215の少なくとも一方は、クロックを生成するクロック生成部を含み、当該クロック生成部で生成するクロックにより、内部時間を管理してもよい。
ベースバンド回路212は、送信するフレームに、物理層の処理として、物理ヘッダの付加、符号化、暗号化、変調処理など行い、例えば2種類のデジタルベースバンド信号(以下、デジタルI信号とデジタルQ信号)を生成する。
DAC216は、ベースバンド回路212から入力される信号をDA変換する。より詳細には、DAC216はデジタルI信号をアナログのI信号に変換し、デジタルQ信号をアナログのQ信号に変換する。なお、直交変調せずに一系統の信号のままで送信する場合もありうる。複数のアンテナを備え、一系統または複数系統の送信信号をアンテナの数だけ振り分けて送信する場合には、アンテナの数に応じた数のDAC等を設けてもよい。
RF IC221は、一例としてRFアナログICあるいは高周波IC、あるいはこれらの両方である。RF IC221は、フィルタ222、ミキサ223、プリアンプ(PA)224、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)242、低雑音増幅器(LNA)234、バラン235、ミキサ233、およびフィルタ232を備える。これらの要素のいくつかが、ベースバンドIC211または別のIC上に配置されてもよい。フィルタ222、232は、帯域通過フィルタでも、低域通過フィルタでもよい。RF IC221は、スイッチ245を介して、アンテナ247に結合されている。
フィルタ222は、DAC216から入力されるアナログI信号およびアナログQ信号のそれぞれから所望帯域の信号を抽出する。PLL242は、水晶発振器243から入力される発振信号を用い、発振信号を分周または逓倍またはこれらの両方を行うことで、入力信号の位相に同期した、一定周波数の信号を生成する。なお、PLL242は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を備え、水晶発振器243から入力される発振信号に基づき、VCOを利用してフィードバック制御を行うことで、当該一定周波数の信号を得る。生成した一定周波数の信号は、ミキサ223およびミキサ233に入力される。PLL242は、一定周波数の信号を生成する発振器の一例に相当する。
ミキサ223は、フィルタ222を通過したアナログI信号およびアナログQ信号を、PLL242から供給される一定周波数の信号を利用して、無線周波数にアップコンバートする。プリアンプ(PA)224は、ミキサ223で生成された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号を、所望の出力電力まで増幅する。バラン225は、平衡信号(差動信号)を不平衡信号(シングルエンド信号)に変換するための変換器である。RF IC221では平衡信号が扱われるが、RF IC221の出力からアンテナ247までは不平衡信号が扱われるため、バラン225で、これらの信号変換を行う。
スイッチ245は、送信時は、送信側のバラン225に接続され、受信時は、受信側のバラン235またはRF IC221に接続される。スイッチ245の制御はベースバンドIC211またはRF IC221により行われてもよいし、スイッチ245を制御する別の回路が存在し、当該回路からスイッチ245の制御を行ってもよい。
プリアンプ224で増幅された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号は、バラン225で平衡−不平衡変換された後、アンテナ247から空間に電波として放射される。
アンテナ247は、チップアンテナでもよいし、プリント基板上に配線により形成したアンテナでもよいし、線状の導体素子を利用して形成したアンテナでもよい。
RF IC221におけるLNA234は、アンテナ247からスイッチ245を介して受信した信号を、雑音を低く抑えたまま、復調可能なレベルまで増幅する。バラン235は、低雑音増幅器(LNA)234で増幅された信号を、不平衡−平衡変換する。ミキサ233は、バラン235で平衡信号に変換された受信信号を、PLL242から入力される一定周波数の信号を用いてベースバンドにダウンコンバートする。より詳細には、ミキサ233は、PLL242から入力される一定周波数の信号に基づき、互いに90°位相のずれた搬送波を生成する手段を有し、バラン235で変換された受信信号を、互いに90°位相のずれた搬送波により直交復調して、受信信号と同位相のI(In−phase)信号と、これより90°位相が遅れたQ(Quad−phase)信号とを生成する。フィルタ232は、これらI信号とQ信号から所望周波数成分の信号を抽出する。フィルタ232で抽出されたI信号およびQ信号は、ゲインが調整された後に、RF IC221から出力される。
ベースバンドIC211におけるADC217は、RF IC221からの入力信号をAD変換する。より詳細には、ADC217はアナログI信号をデジタルI信号に変換し、アナログQ信号をデジタルQ信号に変換する。なお、直交復調せずに一系統の信号だけを受信する場合もあり得る。
複数のアンテナが設けられる場合には、アンテナの数に応じた数のADCを設けてもよい。ベースバンド回路212は、デジタルI信号およびデジタルQ信号に基づき、復調処理、誤り訂正符号処理、物理ヘッダの処理など、物理層の処理等を行い、フレームを得る。ベースバンド回路212は、フレームに対してMAC層の処理を行う。なお、ベースバンド回路212は、TCP/IPを実装している場合は、TCP/IPの処理を行う構成も可能である。
ベースバンド回路212またはホスト・インターフェース214は、フィルタ222およびフィルタ232の設定を切り換えることで、動作チャネルを切り換えてもよい。また、ベースバンド回路212またはホスト・インターフェース214は、アンテナ247の設定を変更して、アンテナ247の放射パターンを変更してもよい。ベースバンド回路212は、図1の干渉検出部10および制御部12の機能を備えていてもよい。
(第4の実施形態)
図17(A)及び図17(B)は、それぞれ第4の実施形態に係る無線通信端末の斜視図である。図17(A)の無線通信端末はノートPC301であり、図17(B)の無線通信端末は移動体端末321である。それぞれ、端末(基地局の場合を含む)の一形態に対応する。ノートPC301及び移動体端末321は、それぞれ無線通信装置305、315を搭載している。無線通信装置305、315として、これまで説明してきた端末に搭載されていた無線通信装置を用いることができる。無線通信装置を搭載する無線通信端末は、ノートPCや移動体端末に限定されない。例えば、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置、自動車等にも搭載可能である。
また、端末に搭載されていた無線通信装置は、メモリーカードにも搭載可能である。当該無線通信装置をメモリーカードに搭載した例を図18に示す。メモリーカード331は、無線通信装置355と、メモリーカード本体332とを含む。メモリーカード331は、外部の装置(無線通信端末または基地局、またはこれらの両方等)との無線通信のために無線通信装置335を利用する。なお、図18では、メモリーカード331内の他の要素(例えばメモリ等)の記載は省略している。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バス、プロセッサ部、及び外部インタフェース部を備える。プロセッサ部及び外部インタフェース部は、バスを介してバッファと接続される。プロセッサ部ではファームウエアが動作する。このように、ファームウエアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウエアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。ファームウエアが動作するプロセッサ部は、本実施形態に係る通信処理装置または制御部の処理を行うプロセッサであってもよいし、当該処理の機能拡張または変更に係る処理を行う別のプロセッサであってもよい。ファームウエアが動作するプロセッサ部を、本実施形態に係る基地局あるいは無線通信ン端末あるいはこれらの両方が備えてもよい。または当該プロセッサ部を、基地局に搭載される無線通信装置内の集積回路、または無線通信端末に搭載される無線通信装置内の集積回路が備えてもよい。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、電源部、電源制御部、及び無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、例えば、図1の少なくともいずれか1つのブロックに接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、例えば、図1の少なくともいずれか1つのブロックに接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態を、ユーザに容易に通知することが可能となる。
(第11の実施形態)
第11の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、例えば、図1の少なくともいずれか1つのブロックに接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態を、ユーザに容易に通知することが可能となる。
(第12の実施形態)
第12の実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置(基地局の無線通信装置または無線通信端末の無線通信装置、またはこれらの両方)の構成に加えて、ディスプレイを含む。ディスプレイは、図示しないバスを介して、図1の少なくともいずれか1つのブロックに接続されてもよい。このようにディスプレイを備える構成とし、無線通信装置の動作状態をディスプレイに表示することで、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第13の実施形態)
本実施形態では、[1]無線通信システムにおけるフレーム種別、[2]無線通信装置間の接続切断の手法、[3]無線LANシステムのアクセス方式、[4]無線LANのフレーム間隔について説明する。
[1]通信システムにおけるフレーム種別
一般的に無線通信システムにおける無線アクセスプロトコル上で扱うフレームは、前述したように、大別してデータ(data)フレーム、管理(management)フレーム、制御(control)フレームの3種類に分けられる。これらの種別は、通常、フレーム間で共通に設けられるヘッダ部で示される。フレーム種別の表示方法としては、1つのフィールドで3種類を区別できるようにしてあってもよいし、2つのフィールドの組み合わせで区別できるようにしてあってもよい。IEEE802.11規格では、フレーム種別の識別は、MACフレームのフレームヘッダ部にあるFrame Controlフィールドの中のType、Subtypeという2つのフィールドで行う。データフレームか、管理フレームか、制御フレームかの大別はTypeフィールドで行われ、大別されたフレームの中での細かい種別、例えば管理フレームの中のBeaconフレームといった識別はSubtypeフィールドで行われる。
管理フレームは、他の無線通信装置との間の物理的な通信リンクの管理に用いるフレームである。例えば、他の無線通信装置との間の通信設定を行うために用いられるフレームや通信リンクをリリースする(つまり接続を切断する)ためのフレーム、無線通信装置でのパワーセーブ動作に係るフレームがある。
データフレームは、他の無線通信装置と物理的な通信リンクが確立した上で、無線通信装置の内部で生成されたデータを他の無線通信装置に送信するフレームである。データは本実施形態の上位層で生成され、例えばユーザの操作によって生成される。
制御フレームは、データフレームを他の無線通信装置との間で送受(交換)する際の制御に用いられるフレームである。無線通信装置がデータフレームや管理フレームを受信した場合にその送達確認のために送信される応答フレームは、制御フレームに属する。応答フレームは、例えばACKフレームやBlockACKフレームである。またRTSフレームやCTSフレームも制御フレームである。
これら3種類のフレームは、物理層で必要に応じた処理を経て物理パケットとしてアンテナを経由して送出される。なお、IEEE802.11規格(前述のIEEE Std
802.11ac−2013などの拡張規格を含む)では接続確立の手順の1つとしてアソシエーション(association)プロセスがあるが、その中で使われるAssociation RequestフレームとAssociation Responseフレームが管理フレームであり、Association RequestフレームやAssociation Responseフレームはユニキャストの管理フレームであることから、受信側無線通信端末に応答フレームであるACKフレームの送信を要求し、このACKフレームは上述のように制御フレームである。
[2]無線通信装置間の接続切断の手法
接続の切断(リリース)には、明示的な手法と暗示的な手法とがある。明示的な手法としては、接続を確立している無線通信装置間のいずれか一方が切断のためのフレームを送信する。IEEE802.11規格ではDeauthenticationフレームがこれに当たり、管理フレームに分類される。通常、接続を切断するフレームを送信する側の無線通信装置では当該フレームを送信した時点で、接続を切断するフレームを受信する側の無線通信装置では当該フレームを受信した時点で、接続の切断と判定する。その後、非基地局の無線通信端末であれば通信フェーズでの初期状態、例えば接続するBSS探索する状態に戻る。無線通信基地局がある無線通信端末との間の接続を切断した場合には、例えば無線通信基地局が自BSSに加入する無線通信端末を管理する接続管理テーブルを持っているならば当該接続管理テーブルから当該無線通信端末に係る情報を削除する。例えば、無線通信基地局が自BSSに加入する各無線通信端末に接続をアソシエーションプロセスで許可した段階で、AIDを割り当てる場合には、当該接続を切断した無線通信端末のAIDに関連づけられた保持情報を削除し、当該AIDに関してはリリースして他の新規加入する無線通信端末に割り当てられるようにしてもよい。
一方、暗示的な手法としては、接続を確立した接続相手の無線通信装置から一定期間フレーム送信(データフレーム及び管理フレームの送信、あるいは自装置が送信したフレームへの応答フレームの送信)を検知しなかった場合に、接続状態の切断の判定を行う。このような手法があるのは、上述のように接続の切断を判定するような状況では、接続先の無線通信装置と通信距離が離れて無線信号が受信不可あるいは復号不可になるなど物理的な無線リンクが確保できない状態が考えられるからである。すなわち、接続を切断するフレームの受信を期待できないからである。
暗示的な方法で接続の切断を判定する具体例としては、タイマーを使用する。例えば、送達確認応答フレームを要求するデータフレームを送信する際、当該フレームの再送期間を制限する第1のタイマー(例えばデータフレーム用の再送タイマー)を起動し、第1のタイマーが切れるまで(つまり所望の再送期間が経過するまで)当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行う。当該フレームへの送達確認応答フレームを受信すると第1のタイマーは止められる。
一方、送達確認応答フレームを受信せず第1のタイマーが切れると、例えば接続相手の無線通信装置がまだ(通信レンジ内に)存在するか(言い換えれば、無線リンクが確保できているか)を確認するための管理フレームを送信し、それと同時に当該フレームの再送期間を制限する第2のタイマー(例えば管理フレーム用の再送タイマー)を起動する。第1のタイマーと同様、第2のタイマーでも、第2のタイマーが切れるまで当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行い、第2のタイマーが切れると接続が切断されたと判定する。接続が切断されたと判定した段階で、前記接続を切断するフレームを送信するようにしてもよい。
あるいは、接続相手の無線通信装置からフレームを受信すると第3のタイマーを起動し、新たに接続相手の無線通信装置からフレームを受信するたびに第3のタイマーを止め、再び初期値から起動する。第3のタイマーが切れると前述と同様に接続相手の無線通信装置がまだ(通信レンジ内に)存在するか(言い換えれば、無線リンクが確保できているか)を確認するための管理フレームを送信し、それと同時に当該フレームの再送期間を制限する第2のタイマー(例えば管理フレーム用の再送タイマー)を起動する。この場合も、第2のタイマーが切れるまで当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行い、第2のタイマーが切れると接続が切断されたと判定する。この場合も、接続が切断されたと判定した段階で、前記接続を切断するフレームを送信するようにしてもよい。
後者の、接続相手の無線通信装置がまだ存在するかを確認するための管理フレームは、前者の場合の管理フレームとは異なるものであってもよい。また後者の場合の管理フレームの再送を制限するためのタイマーは、ここでは第2のタイマーとして前者の場合と同じものを用いたが、異なるタイマーを用いるようにしてもよい。
[3]無線LANシステムのアクセス方式
例えば、複数の無線通信装置と通信または競合することを想定した無線LANシステムがある。IEEE802.11無線LANではCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Carrier Avoidance)をアクセス方式の基本としている。ある無線通信装置の送信を把握し、その送信終了から固定時間を置いて送信を行う方式では、その無線通信装置の送信を把握した複数の無線通信装置で同時に送信を行うことになり、その結果、無線信号が衝突してフレーム送信に失敗する。ある無線通信装置の送信を把握し、その送信終了からランダム時間待つことで、その無線通信装置の送信を把握した複数の無線通信装置での送信が確率的に分散することになる。よって、ランダム時間の中で最も早い時間を引いた無線通信装置が1つなら無線通信装置のフレーム送信は成功し、フレームの衝突を防ぐことができる。ランダム値に基づき送信権の獲得が複数の無線通信装置間で公平になることから、Carrier Avoidanceを採用した方式は、複数の無線通信装置間で無線媒体を共有するために適した方式であるということができる。
[4]無線LANのフレーム間隔
IEEE802.11無線LANのフレーム間隔について説明する。IEEE802.11無線LANで用いられるフレーム間隔は、distributed coordination function interframe space(DIFS)、arbitration interframe space(AIFS)、point coordination function interframe space(PIFS)、short interframe space(SIFS)、extended interframe space(EIFS)、reduced interframe space(RIFS)などがある。
フレーム間隔の定義は、IEEE802.11無線LANでは送信前にキャリアセンスアイドルを確認して開けるべき連続期間として定義されており、厳密な前のフレームからの期間は議論しない。従ってここでのIEEE802.11無線LANシステムでの説明においてはその定義を踏襲する。IEEE802.11無線LANでは、CSMA/CAに基づくランダムアクセスの際に待つ時間を固定時間とランダム時間との和としており、固定時間を明確にするため、このような定義になっているといえる。
DIFSとAIFSとは、CSMA/CAに基づき他の無線通信装置と競合するコンテンション期間にフレーム交換開始を試みるときに用いるフレーム間隔である。DIFSは、トラヒック種別による優先権の区別がないとき、AIFSはトラヒック種別(Traffic Identifier:TID)による優先権が設けられている場合に用いる。
DIFSとAIFSとで係る動作としては類似しているため、以降では主にAIFSを用いて説明する。IEEE802.11無線LANでは、MAC層でフレーム交換の開始などを含むアクセス制御を行う。さらに、上位層からデータを渡される際にQoS(Quality of Service)対応する場合には、データとともにトラヒック種別が通知され、トラヒック種別に基づいてデータはアクセス時の優先度のクラス分けがされる。このアクセス時のクラスをアクセスカテゴリ(Access Category:AC)と呼ぶ。従って、アクセスカテゴリごとにAIFSの値が設けられることになる。
PIFSは、競合する他の無線通信装置よりも優先権を持つアクセスができるようにするためのフレーム間隔であり、DIFS及びAIFSのいずれの値よりも期間が短い。SIFSは、応答系の制御フレームの送信時あるいは一旦アクセス権を獲得した後にバーストでフレーム交換を継続する場合に用いることができるフレーム間隔である。EIFSはフレーム受信に失敗した(受信したフレームがエラーであると判定した)場合に起動されるフレーム間隔である。
RIFSは一旦アクセス権を獲得した後にバーストで同一無線通信装置に複数のフレームを連続して送信する場合に用いることができるフレーム間隔であり、RIFSを用いている間は送信相手の無線通信装置からの応答フレームを要求しない。
ここでIEEE802.11無線LANにおけるランダムアクセスに基づく競合期間のフレーム交換の一例を図19に示す。
ある無線通信装置においてデータフレーム(W_DATA1)の送信要求が発生した際に、キャリアセンスの結果、媒体がビジーである(busy medium)と認識する場合を想定する。この場合、キャリアセンスがアイドルになった時点から固定時間のAIFSを空け、その後ランダム時間(random backoff)空いたところで、データフレームW_DATA1を通信相手に送信する。なお、キャリアセンスの結果、媒体がビジーではない、つまり媒体がアイドル(idle)であると認識した場合には、キャリアセンスを開始した時点から固定時間のAIFSを空けて、データフレームW_DATA1を通信相手に送信する。
ランダム時間は0から整数で与えられるコンテンションウィンドウ(Contention Window:CW)の間の一様分布から導かれる擬似ランダム整数にスロット時間をかけたものである。ここで、CWにスロット時間をかけたものをCW時間幅と呼ぶ。
CWの初期値はCWminで与えられ、再送するたびにCWの値はCWmaxになるまで増やされる。CWminとCWmaxとの両方とも、AIFSと同様アクセスカテゴリごとの値を持つ。W_DATA1の送信先の無線通信装置では、データフレームの受信に成功し、かつ当該データフレームが応答フレームの送信を要求するフレームであるとそのデータフレームを内包する物理パケットの無線媒体上での占有終了時点からSIFS時間後に応答フレーム(W_ACK1)を送信する。W_DATA1を送信した無線通信装置は、W_ACK1を受信すると送信バースト時間制限内であればまたW_ACK1を内包する物理パケットの無線媒体上での占有終了時点からSIFS時間後に次のフレーム(例えばW_DATA2)を送信することができる。
AIFS、DIFS、PIFS及びEIFSは、SIFSとスロット時間との関数になるが、SIFSとスロット時間とは物理層ごとに規定されている。また、AIFS、CWmin及びCWmaxなどアクセスカテゴリごとに値が設けられるパラメータは、通信グループ(IEEE802.11無線LANではBasic Service Set(BSS))ごとに設定可能であるが、デフォルト値が定められている。
例えば、802.11acの規格策定では、SIFSは16μs、スロット時間は9μsであるとして、それによってPIFSは25μs、DIFSは34μs、AIFSにおいてアクセスカテゴリがBACKGROUND(AC_BK)のフレーム間隔はデフォルト値が79μs、BEST EFFORT(AC_BE)のフレーム間隔はデフォルト値が43μs、VIDEO(AC_VI)とVOICE(AC_VO)のフレーム間隔はデフォルト値が34μs、CWminとCWmaxとのデフォルト値は、各々AC_BKとAC_BEとでは31と1023、AC_VIでは15と31、AC_VOでは7と15になるとする。なお、EIFSは、基本的にはSIFSとDIFSと最も低速な必須の物理レートで送信する場合の応答フレームの時間長の和である。なお効率的なEIFSの取り方ができる無線通信装置では、EIFSを起動した物理パケットへの応答フレームを運ぶ物理パケットの占有時間長を推定し、SIFSとDIFSとその推定時間の和とすることもできる。
本実施形態で用いられる用語は、広く解釈されるべきである。例えば用語“プロセッサ”は、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシンなどを包含してもよい。状況によって、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路(PLD)などを指してもよい。“プロセッサ”は、複数のマイクロプロセッサのような処理装置の組み合わせ、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサを指してもよい。
別の例として、用語“メモリ”は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を包含してもよい。“メモリ”は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージを指してもよく、これらはプロセッサによって読み出し可能である。プロセッサがメモリに対して情報を読み出しまたは書き込みまたはこれらの両方を行うならば、メモリはプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。メモリは、プロセッサに統合されてもよく、この場合も、メモリは、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。また、回路は、単一チップに配置された複数の回路でもよいし、複数のチップまたは複数の装置に分散して配置された1つ以上の回路でもよい。
また本明細書において “a,bおよびcの少なくとも1つ”は、a,b,c,a−b, a−c,b−c,a−b−cの組み合わせだけでなく、a−a,a−b−b,a−a−b−b−c−cなどの同じ要素の複数の組み合わせも含む表現である。また、a−b−c−dの組み合わせのように、a,b,c以外の要素を含む構成もカバーする表現である。
以下、原出願の特許出願時における特許請求の範囲の記載を付記する。
[項目1]
放射パターンを変更可能なアンテナを介して受信した信号を解析することにより、第1チャネルの干渉信号を検出する検出部と、
前記第1チャネルの干渉信号に基づいて、放射パターンの選択ポリシーを決定し、前記選択ポリシーに従って前記アンテナの放射パターンを変更する制御部と
を備えた無線通信装置。
[項目2]
前記検出部は、前記受信した信号を解析することにより、前記干渉信号の発生源が予め定めた種類の装置かを判断し、
前記制御部は、前記発生源が前記予め定めた種類の装置であると判断した場合、放射パターンの複数の選択ポリシーのうち第1ポリシーを選択し、前記予め定めた種類の装置でないと判断した場合、前記第1ポリシーと異なる第2ポリシーを選択する
項目1に記載の無線通信装置。
[項目3]
前記制御部は、第1の期間のうち前記干渉信号が検出された期間の長さの比が一定値以上かを判断し、前記比が前記一定値以上の場合に、放射パターンの複数の選択ポリシーのうち第1ポリシーを選択し、前記一定値未満の場合、前記第1ポリシーと異なる第2ポリシーを選択する
項目1に記載の無線通信装置。
[項目4]
前記第1ポリシーは、複数の放射パターンの中からランダムに前記放射パターンを選択することを定める
項目2ないし3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目5]
前記第1ポリシーは、前記第1チャネルにおける干渉源の方向に指向性を有する放射パターンを選択することを定める
項目2ないし3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目6]
前記第2ポリシーは、前記複数の放射パターンのそれぞれで行われた通信の履歴に基づき放射パターンを選択することを定める
項目2ないし5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目7]
前記第2ポリシーは、前記複数の放射パターンのそれぞれの通信品質を測定し、測定した通信品質に応じて放射パターンを選択することを定める
項目2ないし5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目8]
前記制御部は、キャリアセンスを行って無線媒体の状態を確認し、前記状態がアイドルの場合に送信が許可される通信方式に従って通信を制御し、
前記制御部は、前記第1ポリシーを選択した場合に、前記キャリアセンスで使用する受信判定用の閾値を高くする
項目2ないし7のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目9]
前記アンテナの放射パターンの変更後、前記第1チャネルを介して、前記第1チャネルを第2チャネルに切り換えることを通知する第1情報を送信する通信部
を備えた項目1ないし8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目10]
前記制御部は、前記第1情報の送信後、前記第1チャネルを前記第2チャネルに切り換える
項目9に記載の無線通信装置。
[項目11]
前記アンテナを備えた項目1ないし10のいずれか一項に記載の無線通信装置。
[項目12]
放射パターンを変更可能な少なくとも1つのアンテナと、
前記アンテナに結合され、フレームを受信する受信部と、
前記アンテナに結合され、フレームを送信する送信部と、
前記受信部および前記送信部に結合された通信処理部と、
前記通信処理部に結合され、前記通信処理部へデータを送信し、別の装置からデータを受信する、ネットワーク処理部と、
前記ネットワーク処理部に結合され、第1データをキャッシュする、メモリと、
を備え、
前記通信処理部は、前記アンテナを介して受信した信号を解析することにより、第1チャネルの干渉信号を検出し、前記第1チャネルの干渉信号に基づいて、放射パターンの選択ポリシーを決定し、前記選択ポリシーに従って前記アンテナの放射パターンを変更し、 前記送信部は、変更された放射パターンの前記アンテナを介して、第1フレームを送信し、
前記第1フレームは、前記メモリにキャッシュされている前記第1データまたは前記第1データに基づく情報を含む
無線通信端末。
[項目13]
放射パターンを変更可能なアンテナを介して受信した信号を解析することにより、第1チャネルの干渉信号を検出し、
前記第1チャネルの干渉信号に基づいて、放射パターンの選択ポリシーを決定し、前記選択ポリシーに従って前記アンテナの放射パターンを変更する
無線通信方法。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。