JP2018125622A - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の第1無線通信装置のうちどの第1無線通信装置群に同時にマルチユーザ伝送を行わせるべきかを適切に判断する。【解決手段】本発明の実施形態としての無線通信装置は、複数の第1無線通信装置のうち少なくとも一部から送信される第1要求を受信する受信部と、前記複数の第1無線通信装置のうち、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置から2台以上の第1無線通信装置を選択する制御部と、前記選択した第1無線通信装置に多重送信を行うことを指示する第1フレームを送信する送信部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、無線通信装置および無線通信方法に関する。
マルチユーザ伝送では、多重する端末をスケジューリングにより決定する。このスケジューリングの方法は、システム特性へ影響を与える。端末の選択方法としては、一般には、ランダムもしくはラウンドロビンで選択する手法、あるいは、回線品質に応じて選択する手法がある。または、これら両方の手法を考慮して、回線品質が重要な端末とそれ以外の端末とを異なるグループに分類してスケジューリングを行う手法も検討されている。
一方、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)をビデオパケット用に拡張した仕組みも提案されている。この仕組みでは、重要度情報をもとに、リアルタイムの映像とそれ以外の映像とで、異なる送信優先度を設定する。
マルチユーザ伝送を、車載向けの基地局および端末へ応用することが検討されている。その際に用いる候補技術として、OFDMAの活用が期待されている。例えば複数の端末に搭載されているセンサのデータを、OFDMAを利用して収集することが考えられる。このとき、時間的に同期したデータを送信する必要があるなどの観点から、複数の端末のうちの特定の端末群に、同時にデータをアップリンク送信させたい場合が考えられる。このためには、基地局が、どの端末群に同時にデータをアップリンク送信させるべきかを適切に判断できなければならない。上述のスケジューリング方法ではランダムまたは品質回線等に応じて端末を選択するものであり、同時にデータをアップリンク送信させるべき端末群を判断することはできない。また、上述のEDCAを用いた仕組みは、パケットの送信を優先度に応じて制御するものであり、この仕組みを用いても、同時にアップリンク送信させる端末群を判断することはできない。
国際公開第2007/145272号 特開2016−526317号公報
本発明の実施形態は、どの無線通信装置群に同時にマルチユーザ伝送を行わせるべきかを適切に判断する無線通信装置および無線通信方法を提供する。
本発明の実施形態としての無線通信装置は、複数の第1無線通信装置のうち少なくとも一部から送信される第1要求を受信する受信部と、前記複数の第1無線通信装置のうち、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置から2台以上の第1無線通信装置を選択する制御部と、前記選択した第1無線通信装置に多重送信を行うことを指示する第1フレームを送信する送信部とを備える。
第1の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図。 MACフレームの基本的なフォーマット例を示す図。 情報エレメントのフォーマット例を示す図。 第1の実施形態に係るアクセスポイントの機能ブロック図。 第1の実施形態に係るテーブル例を示す。 第1の実施形態に係る端末の機能ブロック図。 図1の無線通信システムのシーケンス図。 アクセスポイントの動作の一例のフローチャート。 コンテンションウィンドウを大きくする例を示す図。 第3の実施形態の動作シーケンスを示す図。 第4の実施形態に係る基地局または端末の機能ブロック図。 端末または基地局の全体構成例を示す図。 端末または基地局に搭載される無線通信装置のハードウェア構成例を示す図。 第6の実施形態に係る端末または基地局の機能ブロック図。 本発明の実施形態に係る無線通信端末の斜視図。 本発明の実施形態に係るメモリーカードを示す図。 コンテンション期間のフレーム交換の一例を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体構成を示す。図1のシステムは、車載用の無線通信システムであり、図では、車に配置された例が示されている。図では、普通自動4輪車に搭載された例が示されているが、2輪車、またはバスなどでもよい。また、搭載先は車に限定されず、航空機、船舶、工場内の搬送装置、ロボットなど、他の移動体装置でもよい。
本システムは、基地局であるアクセスポイント(AP)1と、ステーション(STA)である無線通信端末(以下、端末)11、12、13、14、15、16とを備えている。図では端末の台数は6台であるが、6台より多くても、少なくてもよい。また、APの台数が複数でもよい。
AP1および端末11〜16のそれぞれは、車に搭載されたバッテリまたは自装置に搭載されたバッテリまたはこれらの両方により動作する。例えばユーザによりエンジンが起動されることで、車のバッテリからAP1および端末11〜16へ電力の供給が開始され、これらの動作が可能になる。AP1および端末11〜16がバッテリを備える場合、車のバッテリから供給される電力を、自装置のバッテリに充電してもよい。AP1、端末11〜16は、例えば車内の電気配線を介して、車のバッテリに接続されている。
AP1は、車内の任意の箇所、例えば、車内前方のダッシュボード等に組み込まれている。AP1は、次世代無線LAN(Local Area Network)規格であるIEEE802.11ax規格に準拠した無線通信装置を備える。AP1の無線通信装置は、端末11〜16が搭載する無線通信装置と、無線LAN通信を行う。無線LAN通信として、AP1は、端末11〜16から選択した一部または全部の端末と、アップリンクのユーザ多重通信が可能である。アップリンクのユーザ多重通信として、アップリンク直交周波数分割多元接続方式(UL−OFDMA;Uplink Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、アップリンクマルチユーザMIMO(以下、UL−MU−MIMO)などがある。なお、ユーザ多重通信の方式は、これらに限定されるものではない。また、IEEE802.11ax規格以外の規格に準拠した無線通信装置を用いることも可能である。
OFDMAは、1つまたは複数のサブキャリアを含むリソースユニットを最小単位の通信リソース(周波数成分)として用いて、複数の端末宛ての送信または複数の端末からの受信を同時に行う通信方式である。アクセスポイントから複数の端末宛ての同時送信はDL−OFDMA、複数の端末からアクセスポイントへの同時送信はUL−OFDMAに相当する。リソースユニットのことを、サブチャネル、リソースブロック、周波数ブロックなどと呼んでもよい。リソースユニットは、OFDMAで使用する各端末の通信リソースに相当する。
UL−MU−MIMOは、複数の端末が同じタイミングで、それぞれ同一周波数帯でフレームを空間多重で送信する通信方式である。各端末は、それぞれ直交するプリアンブルパターンを含む物理ヘッダをフレームの先頭に付加したパケットを送信する。APは、これらの端末のパケットを同時に受信し、各パケットの物理ヘッダのプリアンブルパターンを利用して端末毎の伝搬路応答を算出する。APは、算出した伝搬路応答を利用して、これらのフレームを端末ごとに分離する。プリアンブルパターンは端末ごとに異なり、各端末のプリアンブルパターンは、空間多重送信で使用する各端末の通信リソースに相当する。
AP1は、1つまたは複数のアンテナを備えている。本例では、AP1は、アンテナ1A、1Bを備えている。AP1は、複数のアンテナを備える場合、指向性を有する電波であるビームを用いて、端末と通信してもよい。アンテナ自体が指向性可変な構成である場合は、アンテナの設定を調整することで、指向性を制御してもよい。無線LANで使用する周波数帯域は、2.4GHz帯域でも、5GHz帯域でもよいし、その他の帯域でもよい。
端末11〜16は、AP1と無線LAN通信を行う無線通信装置を備える。端末11〜16の無線通信装置は、IEEE802.11ax規格に準拠した通信を行い、センサを備える。センサの例としては、カメラ(画像センサ)、タイヤの圧力センサ、エンジンの温度センサ、LIDAR(Light Detection And Ranging)装置、加速度センサ等がある。ただし、センサは、これらの例に限定されない。端末11〜16は、1つまたは複数のアンテナを備えている。端末11〜16は、センサで取得したデータを、AP1に送信する。端末11〜16は、データ収集の目的に応じた位置に配置されている。
図1の例では、端末11は、右のサイドミラー部、端末12は、左のサイドミラー部に組み込まれている。端末11、12は、センサとしてカメラを搭載しており、端末11、12のカメラは、右側後方および左側後方の画像を取得し、取得した画像のデータを、AP1に送信する。
端末13は、フロントバンパー右側部分、端末14は、フロントバンパー左側部分に組み込まれている。端末13、14は、カメラを搭載しており、それぞれ前方の画像を取得し、取得した画像のデータを、AP1に送信する。
端末15は、右側前方のタイヤのホイール、端末16は、右側後方のタイヤのホイールに取り付けられている。左側前方および左側後方のタイヤのホイールにもそれぞれ端末が取り付けられていてもよい。端末15、16は、タイヤの空気圧センサを備え、それぞれタイヤの空気圧を測定して、測定したデータをAP1に送信する。
AP1は、各端末から取得したデータを用いて、所定の処理を行う。例えば、複数のカメラの画像を利用して、画像認識処理(人、手、顔、脚、車などの対象物と、その動きを検知して、検知結果を出力するなど)を行い、自動運転制御などに利用してもよい。この際、画像認識処理の結果に加え、加速度センサのデータ、GPSシステムなども利用して、もよい。画像の利用目的も画像認識処理のみならず、風景などの画像をエンターテイメント用に表示パネル(カーナビ画面など)に表示するものでもよい。ここで述べた処理は一例に過ぎず、各端末から取得したデータを用いてどのような処理を行うかは、特定の事項ものに制限されない。
AP1および端末11〜16は、IEEE802.11規格に従ってMACフレーム(以下、フレーム)を送受信する。より詳細には、フレームに物理ヘッダを付加したパケットを送受信する。
図2(A)は、本実施形態に係るMACフレームの基本的なフォーマット例を示す。フレームの種別は、大きく、データフレーム、管理フレームおよび制御フレームに大別され、いずれの種別のフレームも、このようなフレームフォーマットをベースとする。本フレームフォーマットは、MACヘッダ(MAC header)、フレームボディ(Frame body)及びFCSの各フィールドを含む。MACヘッダは、図2(B)に示すように、Frame Control、Duration/ID、Address1、Address2、Address3, Sequence Control、QoS Control及び HT(High Throughput) controlの各フィールドを含む。
これらのフィールドは必ずしもすべて存在する必要はなく、フレームの種別に応じて一部のフィールドが存在しない場合もあり得る。例えばAddress3フィールドが存在しない場合もある。また、QoS ControlおよびHT Controlフィールドの両方または一方が存在しない場合もある。またフレームボディフィールドが存在しない場合もあり得る。一方、図2に示されていない他のフィールドが存在してもよい。例えば、Address4フィールドがさらに存在してもよい。HT Controlフィールドを、IEEE802.11acのVHT (Very High Throughput)Controlフィールド、または、次世代無線LANの規格であるIEEE802.11axのHE(High Efficiency) Controlフィールドに拡張してもよい。
Address1のフィールドには、受信先アドレス(Receiver Address;RA)が、Address2のフィールドには送信元アドレス(Transmitter Address;TA)が入り、Address3のフィールドにはフレームの用途に応じてBSS(Basic Service Set)の識別子であるBSSID(Basic Service Set IDentifier)(全てのビットに1を入れて全てのBSSIDを対象とするwildcard BSSID場合もある)か、あるいはTAが入る。
Frame Controlフィールドには、タイプ(Type)、サブタイプ(Subtype)という2つのフィールド等が含まれる。データフレームか、管理フレームか、制御フレームかの大別はTypeフィールドで行われ、大別されたフレームの中での細かい種別、例えば制御フレームであるBA(Block Ack)フレームおよびBAR(Block Ack Request)フレームといった識別はSubtypeフィールドで行われる。
Duration/IDフィールドは媒体予約時間を記載し、他の端末宛てのMACフレームを受信した場合に、当該MACフレームを含む物理パケットの終わりから媒体予約時間に亘って、媒体が仮想的にビジーであると判定する。このような仮想的に媒体をビジーであると判定する仕組み、或いは、仮想的に媒体をビジーであるとする期間は、NAV(Network Allocation Vector)と呼ばれる。
QoS Controlフィールドは、フレームの優先度を考慮して送信を行うQoS制御を行うために用いられる。このQoS Controlフィールドには、データのトラフィックに応じた識別子が設定されるTIDフィールド(0〜15までの16種類存在)、および送達確認方式が設定されるAck policyフィールド等が含まれる。TIDフィールドを確認することで、データのトラフィック種別を認識することができ、またAck policyフィールドを確認することで、そのQoS Dataフレームが“Normal Ack policy”か、“Block Ack policy”か、それとも“No Ack policy”で送信されたのかを判別することができる。
HT Controlフィールドは、IEEE802.11nで導入されたフィールドであり、QoSデータフレームまたは管理フレームのときに、オーダーフィールドが1に設定されていると存在する。前述したように、HT Controlフィールドは、IEEE802.11acのVHT (Very High Throughput)Controlフィールドにも、次世代無線LAN規格であるIEEE802.11axのHE(High Efficiency) Controlフィールドにも拡張可能であり、各々IEEE802.11n、IEEE802.11ac、あるいはIEEE802.11axの各種機能に応じた通知をすることができる。
管理フレームでは、固有のElement ID(IDentifier)が割り当てられた情報エレメント(Information element;IE)をFrame
Bodyフィールドに設定できる。フレームボディフィールドには、1つまたは複数の情報エレメントを設定できる。情報エレメントのフォーマットを図3に示す。情報エレメントは、Element IDフィールド、Lengthフィールド、情報(Information)フィールドの各フィールドを有する。情報エレメントは、Element
IDで識別される。情報フィールドは、通知する情報の内容を格納し、Lengthフィールドは、情報フィールドの長さ情報を格納する。管理フレームには、情報エレメント以外にも、フレーム種別(サブタイプ)に応じて、予め定められた1つまたは複数のフィールドが配置されてもよい。
FCSフィールドには、受信側でフレームの誤り検出のため用いられるチェックサム符号としてFCS(Frame Check Sequence)情報が設定される。FCS情報の例としては、CRC(Cyclic Redundancy Code)などがある。
図4は、本実施形態に係るAP1の機能ブロック図である。AP1は、アンテナ100と、制御部101と、送信部102と、受信部103と、バッファ104と、上位層105とを備えている。制御部101は、メモリ106を備えている。アンテナの個数はここでは1つであるが、複数でもよい。制御部101は、端末との通信を制御する制御回路またはベースバンド集積回路に対応する。送信部102と受信部103は、アンテナ100を介してMACフレーム(単にフレームと呼ぶ)を送受信する無線通信部またはRF集積回路に対応する。制御部101の処理、および送信部102と受信部103のデジタル領域の処理の全部または一部は、CPU等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、これらのソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。AP1は、制御部101、送信部102および受信部103の全部または一部の処理を行うプロセッサを備えてもよい。
バッファ104は、上位層105と制御部101との間で、データまたはフレーム等を受け渡しするための記憶部である。バッファ104はDRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。上位層105は、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理を行ってもよい。または、TCP/IPやUDP/IPの処理を制御部101で行い、上位層105は、それより上位のアプリケーション層の処理を行ってもよい。上位層105の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
制御部101は、主としてMAC層の処理、物理層の処理の一部(例えばUL−OFDMAまたはUL−MU−MIMO等のマルチユーザ伝送の処理も含む)を行う。制御部101は、送信部102および受信部103を介して、フレームを送受信することで、各端末との通信を制御する。制御部101は、端末に関する情報、および端末との通信に必要な情報を、メモリ106またはアクセス可能な外部のメモリに保持している。フレームの送信は、CSMA/CAに従って行う。すなわち、送信前にキャリアセンスを行い、無線媒体へのアクセス権を獲得できたらフレームを送信する。
具体的には、固定時間と、ランダムに決定したバックオフ時間との合計である待機時間の間、キャリアセンスを行い、無線媒体の状態がアイドルであると判定すれば、アクセス権を獲得する。固定時間としては、例えばDIFS(distributed coordination function interframe space)またはAIFS(arbitration interframe space)を用いることができる。なお、バックオフ時間の間キャリアセンスを行うことを、バックオフと呼ぶ。
バックオフ時間は、0から整数で与えられるコンテンションウィンドウ(Contention Window:CW)の間の一様分布から導かれる擬似ランダム整数にスロット時間をかけたものである。ここで、CWにスロット時間をかけたものをCW時間幅と呼ぶ。CWの初期値はCWminで与えられ、再送するたびにCWの値はCWmaxになるまで増やされる。
制御部101は、定期的にアクセスポイントのBSS(Basic Service Set)の属性および同期情報等を通知するため、ビーコンフレームを送信するよう制御する。ビーコンフレームに、AP1のUL−OFDMAへの対応可否情報またはUL−MU−MIMOへの対応可否情報またはこれらの両方を含めてもよい。なお、AP1は、これらの対応可否情報を、ビーコンフレーム以外のフレームで、通知してもよい。
制御部101は、クロックを生成するクロック生成部を含み、クロック生成部で生成するクロックを利用して、内部時間を管理してもよい。制御部101は、クロック生成部で作ったクロックを、外部に出力してもよい。あるいは、制御部101は、外部のクロック生成部で生成してクロックの入力を受け、当該クロックを利用して、内部時間を管理してもよい。
制御部101は、端末からのアソシエーション要求フレームを受信することにより、アソシエーションプロセスを開始し、接続を許可するアソシエーション応答フレームを送信することで、当該端末と無線リンクを確立する。アソシエーションプロセスで、お互いの能力・属性等の必要な情報(UL−OFDMAまたはUL−MU−MIMOを実施可能か否かの能力情報を含んでもよい)を交換する。制御部101は、端末に接続許可をする場合に、そのネットワーク(BSS)でローカルに生成した番号を割り当てる。その番号はAIDと呼ばれる。AIDとして、例えば1以上のある指定の範囲内の番号を割り当てる。AIDは、そのネットワーク(BSS)内ではユニークになる。制御部101は、AIDとMACアドレスとを対応づけた情報を、メモリ106またはアクセス可能な外部のメモリに保存しておく。制御部101は、アソシエーションプロセスの前に、端末との間で認証プロセスを行って、端末の正当性を認証してもよい。制御部101は、バッファ104を定期的に確認することで、バッファ104の状態を把握する。または、制御部101は、バッファ104等の外部からのトリガによりバッファ104の状態を確認する。
送信部102は、入力されたフレームに符号化および変調処理、および物理ヘッダの付加など、所望の物理層の処理を行って物理パケットを生成する。また物理パケットに対して、DA変換、所望帯域成分を抽出するフィルタ処理、周波数変換(アップコンバート)等を行い、これらにより得られた信号をプリアンプで増幅して、アンテナ100から空間に電波として放射する。なお、複数のアンテナを備える場合、送信の指向性を制御することも可能である。
アンテナ100で受信された信号は、受信部103において処理される。アンテナ100の受信信号は、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)により増幅され、周波数変換(ダウンコンバート)され、フィルタリング処理で所望帯域成分が抽出される。抽出された信号は、さらにAD変換によりデジタル信号に変換されて、復調および誤り訂正復号、物理ヘッダの処理等、物理層の処理を経た後、制御部101にフレームが入力される。
制御部101は、端末から受信したフレームのCRC検査を行う。複数のサブフレーム(MPDU)を集約したアグリゲーションフレームの場合は、アグリゲーションフレーム内の複数のサブフレームごとにCRC検査を行う。IEEE802.11規格では、サブフレームはMPDU(medium access control (MAC) protocol data unit)に対応し、アグリゲーションフレームは、A(Aggregated)−MPDUに対応する。
制御部101は、CRC検査の結果に応じて送達確認フレームを生成し、フレームの受信完了から予め定めた時間後に、送信部102を介して、送達確認応答フレームを送信する。送達確認応答フレームの例として、ACKフレームまたはBA(Block Ackフレーム)がある。BAフレームは、アグリゲーションフレームを受信した場合の応答に用いられる。
制御部101は、端末からデータフレームを受信した場合、データフレームのフレームボディフィールドに含まれるデータを、上位層105に供給する。
上位層105は、端末から同時送信要求、および当該端末に搭載されているセンサの特性情報(以下、センサ特性情報)を受信した場合、これらを、バッファ104を介して制御部101に供給する。なお、上位層105は、端末の属性情報(例えばIPアドレスなど)から、端末のセンサ特性を事前に把握している場合は、端末からセンサ特性情報を受信せずとも、制御部101に当該端末のセンサ特性情報を供給してもよい。
制御部101は、自BSSに属する端末群のそれぞれについて、同時送信要求の有無と、センサ特性情報と、端末の識別情報とを関連づけて管理する。管理は、例えばテーブルで行う。テーブルの一例を図5に示す。テーブルには、AP1と接続した端末の識別情報を格納しておき、上位層105から、同時送信要求とセンサ特性情報とを受信した場合、同時送信要求“有”と、センサ特性情報の値を、当該端末の識別情報に関連づけて、テーブルに格納する。端末の識別情報として、MACアドレス、AID、またはAIDの一部を用いることができる。制御部101は、同時送信要求およびセンサ特性情報を送信していない端末については、同時送信要求“無”、およびセンサ特性情報を取得していない旨を表す情報を、テーブルに設定しておく。図5の例では、端末11と12から、同時送信要求とセンサ特性情報を受信しているが、端末15等からは、同時送信要求およびセンサ特性情報を受信していない。
ここで同時送信要求は、同時送信要求を送信した他の端末と同時にマルチユーザ伝送(UL−OFDMA等)を行うことの要求である。センサ特性情報は、例えば、センサ種別、または、センサで取得されるデータの種別を表す。また、センサ特性情報は、センサで取得されるデータの用途に関する情報を含んでもよい。また、センサ特性情報は、センサが取り付けられた位置・方向などの情報を含んでもよい。ここで述べた例の組合せでもよい。例えば、端末12のセンサ特性情報は、端末12のセンサが、左側のサイドミラーに取り付けられたカメラであることを表してもよい。センサ特性情報は、同時送信要求を送信した端末群の中で、同時にマルチユーザ伝送を行う端末群を選定するために用いられる。
図5の例では、AP1と接続したすべての端末についてエントリを生成しているが、同時送信要求およびセンサ特性情報の少なくとも一方を送信した端末のみ、エントリを生成してもよい。
制御部101は、任意のタイミングまたは所定のタイミングで、マルチマルチユーザ伝送(ここではUL−OFDMA)のスケジューリングを行う。スケジューリングでは、例えば、UL−OFDMAを同時に行う端末群のグループピングを行う。この際、同時送信要求を送信した複数の端末については、それぞれが送信したセンサ特性情報に基づき、これらの端末の中から、同じグループに分類すべき端末群を特定し、特定した端末群を同じグループに分類する。
例えば、センサ特性情報が予め定めた関係にある端末群のみを、同時送信の対象として選択する。予め定めた関係の例として、センサ種別が同一(カメラなど)、またはセンサで検出されるデータ種別が同一の場合がある。また別の例として、センサが設置された位置が所定の関係にある場合がある。または、取得したデータの利用目的が同一の場合がある。または、これらの組合せがある。
具体例として、右側のサイドミラーに組み込まれたカメラと、左側のサイドミラーに組み込まれたカメラを搭載する2つの端末(図1の端末11、12の場合など)は、予め定めた関係を満たすと定義してもよい。例えば、これらの画像を利用して、画像認識処理(人、手、顔、脚、車などの対象物と、その動きを検知して、検知結果を出力するなど)を行う場合、時間的に同期したデータをリアルタイムに受信することが要求される。このため、これらの複数の端末11、12を同じグループに分類して、同時にUL−OFDMAを実行させることで、これらの端末から時間的に同期した画像をリアルタイムに受信することができる。ここで、予め定めた関係を定義するデータが、メモリ106に保存されており、このデータに基づき、制御部101は、予め定めた関係が存在するかを判断してもよい。あるいは、予め定めた関係に該当するかを判定する処理を記述したプログラムを制御部101が実行してもよい。
制御部101は、特定した端末数が、マルチユーザ伝送の最大多重数を越えている場合は、最大多重数以下になるように端末を絞り込む。例えば、多重送信で送信させるフレームサイズ(パケットサイズあるいはデータサイズでもよい)やフレーム送信時間が最も近い端末群を、優先的に選択する。または、多重送信で送信させるフレームにアグリゲートされるサブフレーム数が最も近い群を優先的に選択する。ここで述べた以外の方法で端末群を絞り込んでもよい。制御部101は、各端末のフレームサイズまたはアグリゲートされるサブフレーム数については、事前に各端末から、これらを把握するために必要な情報の通知を受けている。
特定した端末群が同じグループ属する限り、その他の端末がこのグループに追加で分類されてもよい。マルチユーザ伝送の最大多重数に収まるのであれば、センサ特性情報を考慮せずに、同時送信要求を送信したすべての端末を同じグループに分類する方法も可能である。
上述した例の場合、制御部101は、少なくとも端末11、12が同じグループに属するように、端末11〜16をグループピングする。生成するグループの個数は、1つでも、複数でもよい。
制御部101は、マルチユーザ伝送の実行条件が満たされたグループを特定し、特定したグループに対して、UL−OFDMAを指示するトリガーフレーム(後述)を送信する。実行条件は、グループに属する1つの端末からUL−OFDMAの送信要求を受信したことでもよい。また、UL−OFDMAのタイミングが予めグループに対して定められている場合に、当該タイミングが到来したことでもよい。例えば、画像の取得間隔が定められている場合には、その取得間隔の経過ごとのタイミングでもよい。また、車の移動速度と画像転送速度が紐づいている場合には、その情報に基づいたタイミングでも良い。UL−OFDMAのタイミングをスケジューリングで決定してもよい。
制御部101は、端末から受信するUL−OFDMAの送信要求の履歴をメモリ106等の記憶装置に記憶させておき、履歴に基づき、UL−OFDMAのタイミングを学習してもよい。例えば、送信要求の間隔を測定し、当該間隔に応じてタイミングを決定してもよい
制御部101は、UL−OFDMAを行う場合、送信部102を介して、対象となるグループの端末群に、トリガーフレームを送信する。トリガーフレームを送信するタイミングは、UL−OFDMAを実行すべきタイミングから、逆算して決定してもよい。トリガーフレームは、各端末を指定する情報と、各端末に使用させる通信リソースに関する情報、その他のパラメータを含む。その他のパラメータの例としては、送信するデータ長(あるいはパケット長)、MCS(Modulation and Coding Scheme)などがある。その他、トリガーフレームで、アップリンク送信のタイミングを指定してもよい。トリガーフレームのRA(Receiver Address)は、例えばブロードキャストアドレスまたはマルチキャストアドレスであり、TA(Transmitter Address)は、自局のBSSID(すなわちMACアドレス)である。トリガーフレームの形式は、特定の形式に限定されない。トリガーフレームであることは、例えば、MACヘッダのフレームコントロールフィールドのTypeとSubtypeを用いて表してもよい。IEEE802.11規格ではTypeとSubtypeを用いて各種フレームの種類を定義可能である。
制御部101は、トリガーフレームの送信完了から予め定めた時間後に、トリガーフレームで指定した端末群から、それぞれに指定した通信リソースで、データフレームを受信する。つまり、複数の端末から同じタイミングで、異なる通信リソースでデータフレームが送信される。これにより、マルチユーザ伝送が実行される。受信するデータフレームのRAはAP11のBSSID(MACアドレス)であり、TAは、端末のMACアドレスである。予め定めた時間は、SIFSでもよいし、SIFSより長い時間でもよい。トリガーフレームで、アップリンク送信のタイミングを指定した場合は、それに従ったタイミングで受信する。
制御部101は、複数の端末からUL−OFDMA送信されたデータフレームを受信し、FCS検査(CRC検査等)することで、データフレームの受信に成功したかを検査する。データフレームがアグリゲーションフレームの場合は、個々のサブフレームごとに、受信成功可否の検査を行う。
制御部101は、複数の端末ら受信したデータフレームの検査結果(アグリゲーションフレームの場合はサブフレームごとの検査結果)をまとめて格納した送達確認応答フレームを生成する。送達確認応答フレームは、各端末の識別情報と、各端末から受信したデータフレームの検査結果とを関連づけて含む。このような送達確認応答フレームの例として、IEEE802.11axで検討されているMulti−STA BAフレーム(MS−BAフレーム)を用いてもよいし、新たにフレームを定義してもよい。ここでは、MS−BAフレームを生成するとする。AP1は、UL−OFDMA受信から予め定めた時間後に、生成したMS−BAフレームを送信する。各端末は、受信したMS−BAフレームから自端末宛の検査結果を特定することで、データフレームの送信に成功したかを決定する。
各端末から受信したデータフレームの検査結果を1つの送達確認応答フレームにまとめて格納する以外に、各端末に個別にそれぞれの検査結果を格納した送達確認応答フレームを、これらの端末に順番に送信してもよい。この場合、送達確認応答フレームとして、各端末が送信したデータフレームがアグリゲーションフレームか否かに応じて、ACKフレームまたはBAフレームを用いればよい。また、ACKフレームやBAフレームを各通信リソースを用いてダウンリンクマルチユーザ多重で送信してもよい。例えば、IEEE802.11acで導入された、ダウンリンクマルチユーザMIMO(Multi−User Multi−Input Multi−Output)(以下、DL−MU−MIMO)方式を用いてもよい。
上述したスケジューリングでは、事前に端末のグルーピングを行ったが、必ずしも事前に端末群をグループ分けする必要はない。例えば、1台の端末からUL−OFDMAの送信要求を受けた場合に、当該端末と組み合わせるべき1つ以上の他の端末を選択してグループを生成する。そして、このグループに属する端末群を対象に、UL−OFDMAの実行を指示するトリガーフレームを送信してもよい。送信要求を送信した端末が、同時送信要求およびセンサ特性情報を送信した端末であれば、同時送信要求およびセンサ特性情報を送信した他の端末群の中から、組み合わせるべき端末を選択する。例えば、制御部101が端末11からUL−OFDMAの送信要求を受けた場合は、端末12を組合せ対象として選択する。
なお、制御部101は、トリガーフレーム等で各端末に通知する情報、または各端末から通知された情報、またはこれらの両方を格納するための記憶装置にアクセスして当該情報を読み出してもよい。記憶装置は、内部メモリでも、外部メモリでもよく、揮発性メモリでも不揮発メモリでもよい。また、記憶装置は、メモリ以外に、SSD、ハードディスク等でもよい。
上述した、制御部101と送信部102の処理の切り分けは一例であり、上述した形態とは別の形態も可能である。例えばデジタル領域の処理およびDA変換までは、制御部101で行い、DA変換より後の処理を、送信部102で行うようにしてもよい。制御部101と受信部103の処理の切り分けも同様に、AD変換より前までの処理を、受信部103で行い、AD変換後の処理を含むデジタル領域の処理を、制御部101で行うようにしてもよい。
図6は、本実施形態に係る端末の機能ブロック図である。端末11〜16はいずれも図6の構成を有する。端末は、アンテナ200と、制御部201と、送信部202と、受信部203と、バッファ204と、上位層205と、センサ207を備えている。制御部201は、メモリ206を備えている。アンテナの個数はここでは1つであるが、複数でもよい。制御部201は、AP1との通信を制御する制御回路またはベースバンド集積回路に対応する。送信部202と受信部203は、アンテナ200を介してフレームを送受信する無線通信部またはRF集積回路に対応する。制御部201の処理、および送信部202と受信部203のデジタル領域の処理の全部または一部は、CPU等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、これらのソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。AP1は、制御部201、送信部202および受信部203の全部または一部の処理を行うプロセッサを備えてもよい。
バッファ204は、上位層205と制御部201との間で、データまたはフレーム等を受け渡しするための記憶部である。バッファ204はDRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。上位層205は、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理を行ってもよい。または、TCP/IPやUDP/IPの処理を制御部201で行い、上位層105は、それより上位のアプリケーション層の処理を行ってもよい。上位層205の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
制御部201は、主としてMAC層の処理、物理層の処理の一部(例えばUL−OFDMAまたはUL−MU−MIMO等のマルチユーザ伝送の処理も含む)を行う。制御部201は、送信部202および受信部203を介して、フレームを送受信することで、各端末との通信を制御する。制御部201は、AP1および自端末に関する情報、およびAP1との通信に必要な情報を、メモリ206またはアクセス可能な外部のメモリに保持している。フレームの送信は、CSMA/CAに従って行う。すなわち、送信前にキャリアセンスを行い、無線媒体へのアクセス権を獲得できたらフレームを送信する。
制御部201は、クロックを生成するクロック生成部を含み、クロック生成部で生成するクロックを利用して、内部時間を管理してもよい。制御部201は、クロック生成部で作ったクロックを、外部に出力してもよい。あるいは、制御部201は、外部のクロック生成部で生成してクロックの入力を受け、当該クロックを利用して、内部時間を管理してもよい。
制御部201は、チャネルサーチによりAP1を検出し、アソシエーション要求フレームを送信することにより、アソシエーションプロセスを行う。制御部201は、接続を許可するアソシエーション応答フレームを受信することで、AP1と無線リンクを確立する。アソシエーションプロセスで、お互いの能力・属性等の必要な情報(UL−OFDMAまたはUL−MU−MIMOを実施可能か否かの能力情報を含んでもよい)を交換する。制御部201は、接続許可された場合に、アソシエーション応答フレームから、そのネットワーク(BSS)でローカルに割り当てられた番号であるAIDを検出する。AIDを、自端末の識別情報として利用する。制御部201は、アソシエーションプロセスの前に、必要に応じて、AP1との間で認証プロセスを行ってもよい。制御部201は、バッファ204を定期的に確認することで、バッファ204の状態を把握する。または、制御部201は、バッファ204等の外部からのトリガによりバッファ204の状態を確認する。
送信部202は、入力されたフレームに符号化および変調処理、および物理ヘッダの付加など、所望の物理層の処理を行って物理パケットを生成する。また物理パケットに対して、DA変換、所望帯域成分を抽出するフィルタ処理、周波数変換(アップコンバート)等を行い、これらにより得られた信号をプリアンプで増幅して、アンテナ200から空間に電波として放射する。なお、複数のアンテナを備える場合、送信の指向性を制御することも可能である。
アンテナ200で受信された信号は、受信部203において、処理される。アンテナ200の受信信号は、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)により増幅され、周波数変換(ダウンコンバート)され、フィルタリング処理で所望帯域成分が抽出される。抽出された信号は、さらにAD変換によりデジタル信号に変換されて、復調および誤り訂正復号、物理ヘッダの処理等、物理層の処理を経た後、制御部201にフレームが入力される。
制御部201は、AP1から受信したフレームのCRC検査(アグリゲーションフレームの場合は、アグリゲーションフレーム内の複数のサブフレームごとにCRC検査)を行う。制御部201は、CRC検査の結果に応じて送達確認フレームを生成し、フレームの受信完了から予め定めた時間後に、送信部202を介して、送達確認応答フレームを送信する。
制御部201または上位層205は、同時送信要求の送信またはセンサ特性情報の送信またはこれらの両方が必要か否かを把握している。送信が必要な場合、制御部201は、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方を含むフレームを、AP1に送信する。フレームは、データフレームでもよいし、管理フレームでもよい。ここで、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方は、送信するフレームのMACヘッダに格納してもよいし、フレームボディフィールドに格納してもよい。フレームボディフィールドに格納する場合、上位層205がMAC層(制御部201)に渡すデータに、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方を含めてもよい。または、MAC層で、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方を含むデータを生成し、生成したデータを、フレームボディフィールドに格納してもよい。後者のMAC層でデータを生成する場合において、送信の必要有無を上位層205で把握している場合は、上位層205から制御部201に同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方の送信指示を提供し、送信指示に応じてMAC層がデータを生成してもよい。または、MAC層が送信の必要有無を把握している場合は、MAC層が自律的に、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方の送信を決定してもよい。
制御部201は、AP1からトリガーフレームを受信すると、トリガーフレームで自端末が指定されているかを判断する。自端末が指定されている場合(自端末のAIDが含まれている場合)、トリガーフレームで指定された通信リソースで、データフレームをアップリンク送信する。制御部201は、トリガーフレームで指定されるパラメータに従って、データフレームを生成する。データフレームは、例えば、自端末が備えるセンサ207で検出されたデータを含む。生成するデータフレームのRAであり、TAは、自端末のMACアドレスである。制御部201は、トリガーフレームの受信完了から予め定めた時間後に、データフレームを送信する。予め定めた時間は、SIFSでもよいし、SIFSより長い時間でもよい。トリガーフレームで、アップリンク送信のタイミングが指定されている場合は、それに従ったタイミングで送信する。送信するデータフレームは、複数のサブフレーム(MPDU)を集約したアグリゲーションフレームでもよい。この場合、個々のサブフレームのフレームボディフィールドに、センサ207のデータが格納されてもよい。
制御部201は、データフレームのアップリンク送信から予め定めた時間後、AP1から送達確認応答フレーム(ここではMS−BAフレーム)を受信する。制御部201は、送達確認応答フレームを解析して、自端末宛の検査結果を特定することで、データフレームの送信に成功したかを判断する。
制御部201は、AP1に通知する情報、またはAP1から通知した情報、またはこれらの両方を格納するための記憶装置にアクセスして情報を読み出してもよい。記憶装置は、内部メモリでも、外部メモリでもよく、揮発性メモリでも不揮発メモリでもよい。また、記憶装置は、メモリ以外に、SSD、ハードディスク等でもよい。
上述した、制御部201と送信部202の処理の切り分けは一例であり、上述した形態とは別の形態も可能である。例えばデジタル領域の処理およびDA変換までは、制御部201で行い、DA変換より後の処理を、送信部202で行うようにしてもよい。制御部201と受信部203の処理の切り分けも同様に、AD変換より前までの処理を受信部203で行い、AD変換後の処理を含むデジタル領域の処理を、制御部201で行うようにしてもよい。
図7は、図1の無線通信システムのシーケンス図である。ここでは、説明のため、AP1と、端末(図ではSTAと記載)11、12、端末15の動作が、縦方向の時間軸に沿って示されているが、実際には、端末13、14、16も、AP1と通信を行う。本シーケンスは、AP1が、端末11、12からの同時送信要求およびセンサ特性情報に基づき、これらの端末を同じグループに分類し、同時にアップリンクのマルチユーザ伝送をさせる。同時送信要求およびセンサ特性情報を利用することで、AP1は、同時にデータを収集するべき端末群を判断できる。本例では、アップリンクのマルチユーザ伝送として、UL−OFDMAを想定するが、これに限定されるものではない。以下、本シーケンスについて詳細に説明する。
ユーザの操作により車のエンジンが起動されることにより、車搭載のバッテリからAP1および端末11〜16に電気エネルギが供給され、AP1および端末11〜16が起動する(動作可能になる)。AP1は、所定の周波数帯(5HGz帯域、または2.4GHz帯域など)に属する複数のチャネルからチャネルを選択し、これをBSS内で利用する動作チャネルとして決定する。AP1は、選択したチャネルで、定期的にビーコンフレームをブロードキャスト送信することで、自局の属性情報等をBSS内に通知する。
端末11〜16は、チャネルサーチによりビーコンフレームを受信することで、AP1が使用しているチャネルを特定する。具体的に、端末11〜16は、ビーコンフレームを解析することで、AP1を検出し、AP1への初期接続処理(アソシエーションプロセス)を行う。端末11〜16は、ビーコンフレームの内容から、AP1がUL−OFDMAまたはUL−MU−MIMOまたはこれらの両方のいずれに対応しているのかを判断してもよい。なお、AP1の検出は、ビーコンフレームの受信以外に、任意に選択したチャネルでプローブリクエストフレームを送信し、これに対する応答であるプローブレスポンスフレームをAP1から受信することで行ってもよい。
図の例では、端末11〜16の中で、端末15が、最初に無線媒体へのアクセス権を獲得し、AP1に初期接続処理を行っている(S11)。アクセス権の獲得は、例えば、CSMA/CAに従って行う。端末15は、獲得したアクセス権に基づき、接続を要求する先となるAP1に対して、アソシエーション要求フレームを送信する。AP1は、アソシエーション要求フレームに対するACKフレームを送信後、アソシエーション要求フレームに対する応答であるアソシエーション応答フレームを送信する。端末は、アソシエーション応答フレームに対するACKフレームを送信する。これにより、端末15は、AP1へ接続され、端末15は、AP1が形成するBSSに属する。端末15は、アソシエーション要求フレームあるいは、AP1に送信するその他の管理フレームに、UL−OFDMAへの対応可否情報またはUL−MU−MIMOへの対応可否情報またはこれらの両方を含めてもよい。本例では、端末11〜16は、UL−OFDMAに対応しているとする。
端末15の次に、端末12が無線媒体へのアクセス権を獲得し、同様にしてAP1に初期接続処理を行う(S12)。端末12は、初期接続処理の後、引き続き、無線媒体へのアクセス権を獲得し、同時送信要求とセンサ特性情報とをフレームボディフィールドに設定したデータフレームを、AP1に送信する(S13)。端末12のセンサ特性情報は、端末12に搭載のセンサが、車の左側のサイドミラーに設けられたカメラであることを表す。なお、同時送信要求とセンサ特性情報が同じデータフレームで送信される必要はなく、それぞれ別々のデータフレームで送信されてもよい。また、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方は、データフレームでなく、アソシエーション要求フレームなどの管理フレームで送信されることも可能である。この場合、AP1では、同時送信要求またはセンサ特性情報を上位層105を介さずに、制御部101で直接管理すればよい。、つまり図の例ではアソシエーションプロセスで使用するフレームとは異なるフレームで情報を送受信で説明したが、アソシエーションプロセスで使用するフレームのフィールドを用いてこれらの情報を送受信してもよい。
次に、端末11が無線媒体へのアクセス権を獲得し、端末12と同様にして、AP1に初期接続処理を行う(S14)。端末11は、初期接続処理の後、引き続き、無線媒体へのアクセス権を獲得し、同時送信要求とセンサ特性情報とをフレームボディフィールドに設定したデータフレームを、AP1に送信する(S15)。端末11のセンサ特性情報は、端末11に搭載のセンサが、車の右側のサイドミラーに設けられたカメラであることを表す。
図示していないが、端末13、14、16も、同様にしてAP1に初期接続を行うことで、AP1のBSSに属する。本例では、端末11〜16のうち、端末11、12のみが同時送信要求およびセンサ特性情報を送信している場合を想定する。ここでは、端末13〜16は、同時送信要求を送信していない場合を想定するが、その場合であっても、端末13〜16は、センサ特性情報をAP1に送信してもよい。AP1は、端末13〜16から受信したセンサ特性情報を、UL−OFDMAのスケジューリングに利用してもよいし、上位層105で実行するアプリケーションの処理に利用してもよい。
端末11〜端末16は、AP1へ接続後に、AP1と個別にシングルユーザ通信(SU通信)を行ってよい。例えば、端末15が、自端末のセンサ207で検出したデータ(タイヤの空気圧データなど)を任意のタイミング、または所定のタイミング(例えば一定周期)で、キャリアセンスを行い自律的に送信してもよい(S17)。また、AP1も、各端末と個別にシングルユーザ通信を行ってもよい(S18)。例えば、AP1は、端末15に、センサ207で検出したデータまたはセンサ特性情報など、所望のデータを送ることを指示するフレームを送信してもよい。また、AP1は、一定時間のスリープを指示するフレームなど、端末の動作モードを制御するフレームを送信してもよい。AP1が送信するフレームの種別は、データフレームでも、管理フレームでも、制御フレームでもよい。
なお、上述の各ステップにおいて、AP1および各端末間は、送達確認応答の必要なフレームを受信した場合は、受信完了から一定時間後(SIFS後など)に、送達確認応答フレームを送信するものとする。シングルユーザ通信に用いる送達確認応答フレームの例としては、ACKフレームまたはBA(Block Ackフレーム)がある。
AP1は、任意のタイミングまたは所定のタイミングで、UL−OFDMAのスケジューリングを行う(S16)。所定のタイミングは、一定周期ごとのタイミングでもよいし、所定のイベントが発生したタイミングでもよい。所定のイベントとして、AP1が起動してから一定時間経過したことでもよいし、想定される端末群との接続が完了したことでもよいし、車の窓またはドアの開閉が発生したことでもよいし、その他でもよい。スケジューリングでは、例えば、UL−OFDMAを同時に行う端末のグループを1つまたは複数、生成する。AP1は、同時送信要求を送信した複数の端末が存在する場合は、同時送信要求を送信した複数の端末から、センサ特性情報に基づき、同じグループに分類すべき端末群を特定し、特定した端末群については、少なくとも同じグループに分類する。同じグループに属する端末群は、同時にアップリンク送信(UL−OFDMA)を行う端末群である。
本例では、AP1は、端末11、12のそれぞれから、同時送信要求とセンサ特性情報を受信しており、端末11、12のセンサ特性情報は予め定めた関係を満たすと判断する。よって、AP1は、端末11、12を同じグループに分類する。換言すれば、端末11、12はそれぞれ別のグループに属さないようにする。多重送信の最大多重数の制約を満たす限り、端末11、12が属するグループに、別の端末を追加してもよい。つまり、同時送信要求を送信しかつセンサ特性情報が予め定めた関係を満たす端末から優先的に選択し、さらに追加する余裕があれば、別の端末を選択し、これらを同じグループに分類してもよい。当該別の端末は、同時送信要求を送信した端末でもよいし、送信していない端末でもよい。
AP1は、同時送信要求およびセンサ特性情報を送信しない端末については、任意の基準に基づき、グルーピングを行う。例えば、送信するフレームのサイズ(パケットサイズまたはデータサイズでもよい)が近い端末群を同じグループに分類してもよい。または、使用するMCSが同じ端末群を同じグループに分類してもよい。または、各端末からアグリゲーションフレームを送信する場合に、アグリゲートされるサブフレーム数が同じまたは最も近い端末群を、同じグループに分類してもよい。AP1は、フレームサイズまたはアグリゲートされるサブフレーム数については、事前に各端末から、これらを把握するために必要な情報の通知を受けているものとする。
AP1は、端末11、12が属するグループについて、UL−OFDMAの実行を決定すると、端末11、12にトリガーフレームを送信する(S19)。AP1は、トリガーフレームの送信前に、CSMA/CAに従って無線媒体へのアクセス権を獲得しておく。トリガーフレームは、端末11、12を指定する情報と、端末11、12に使用させるリソースユニットに関する情報、その他のパラメータを含む。その他のパラメータの例としては、送信するパケット長(または、フレーム長、あるいはデータ長)、MCSなどがある。その他、トリガーフレームで、アップリンク送信のタイミングを指定してもよい。
端末11、12は、AP11からトリガーフレームを受信すると、それぞれトリガーフレームで指定されたリソースユニットで、予め定めた時間後に、データフレームをアップリンク送信する(S20)。トリガーフレームで、アップリンク送信のタイミングが指定されている場合は、それに従ったタイミングで送信する。これにより、端末11、12から同じタイミングで、異なるリソースユニットでデータフレームが送信される。つまり、UL−OFDMA送信が実行される。ここで、端末11、12は、トリガーフレームで指定されるパラメータに従って、データフレームを生成する。本例では、端末11、12が、自端末が備えるセンサ207で検出された画像のデータをフレームボディフィールドに設定した含むデータフレームを生成する。生成するデータフレームのRA(Receiver Address)は、AP11のBSSID(MACアドレス)であり、TA(Transmitter Address)は、自端末のMACアドレスである。端末11、12が送信するデータフレームは、複数のサブフレーム(MPDU)を集約したアグリゲーションフレームでもよい。この場合、個々のサブフレームのフレームボディフィールドに画像データが格納される。
AP1は、端末11、12からUL−OFDMA送信されたデータフレームを受信し、FCS検査(CRC検査等)することで、データフレームの受信に成功したかを検査する。データフレームがアグリゲーションフレームの場合は、個々のサブフレームごとに、受信成功可否の検査を行う。
AP1は、端末11、12から受信したデータフレームの検査結果(アグリゲーションフレームの場合はサブフレームごとの検査結果)をまとめて格納した送達確認応答フレームを生成する。送達確認応答フレームは、端末11,12の識別情報と、端末11,12から受信したデータフレームの検査結果とを関連づけて含む。ここでは、送達確認応答フレームの例として、前述したMS−BAフレームを用いる。AP1は、UL−OFDMA受信から予め定めた時間後に、生成したMS−BAフレームを送信する(S21)。端末11、12は、受信したMS−BAフレームを解析することで、自端末宛の検査結果を特定し、特定した検査結果に基づいて、データフレームの送信に成功したかを決定する。なお、AP1は、MS−BAフレームを送信するのではなく、端末11,12に個別にそれぞれの検査結果に応じて、順番にACKフレーム(またはBAフレーム)を送信してもよい。もしくは、ダウンリンクマルチユーザ多重で送信してもよい。
AP1は、再度、端末11、12が属するグループのUL−OFDMAの実行を決定すると、トリガーフレームを送信し(S22)、端末11、12にUL−OFDMAでデータフレームを送信させる(S23)。AP1は、端末11、12から受信したデータフレームの検査結果に応じて、MS−BAフレームを生成し、MS−BAフレームを送信する(S24)。
上述した例では、右側および左側のサイドミラー用のカメラを搭載した端末同士を同じグループに分類したが、他にも様々な端末の組合せが可能である。例えば、加速度センサを搭載した端末と、制御用画像を検出するカメラを搭載した端末群(端末11、12など)とを同じグループに分類し、画像認識処理と加速度の値を用いて、車の自動制御を行ってもよい。また、制御用画像を検出するセンサ(カメラ)を搭載した端末群を同じグループに分類し、エンタープライズ用の画像を検出するセンサ(カメラ)を搭載した端末群を、別の同じグループに分類してもよい。
図8は、本実施形態に係るAP1の動作のフローチャートである。AP1が、自BSSに属する複数の端末のうちの少なくとも一部の複数の端末から、センサ特性情報および同時送信要求を受信する(S101)。
AP1は、任意のタイミングまたは所定のタイミングで、マルチユーザ伝送のスケジューリングを実行する(S102)。スケジューリングにおいて、AP1は、同時送信要求を送信した端末群については、センサ特性情報が予め定めた関係を満たす端末群を特定し、同じグループに分類する。同時送信要求を送信しない端末群については、任意の基準で、グルーピングを行う。
AP1は、マルチユーザ伝送の実行条件を満たすグループを特定し、特定したグループに属する端末群に、トリガーフレームを送信する(S103)。トリガーフレームは、グループに属する端末のそれぞれについて、端末の識別情報と、アップリンク送信に使用する通信リソースの識別情報、およびその他のパラメータを指定する。その他のパラメータは、一例として、MCS、パケット長等を含む。
AP1は、トリガーフレームの送信完了から予め定めた時間後に、上記のグループに属する複数の端末からアップリンクマルチユーザ伝送(多重送信)される複数のデータフレームを受信する(S104)。各データフレームは、各端末のセンサ207で検出されたデータを含む。予め定めた時間は、規格またはシステムで事前に決められていても良いし、トリガーフレームでアップリンク送信のタイミングを指定する場合は、指定したタイミングの時間でもよい。
AP1は、これらの端末から受信したデータフレームのそれぞれのFCSに基づき、CRC等の検査を行い、各端末の検査結果を格納した送達確認応答フレーム(MS−BAフレーム等)を、データフレームの受信から、一定時間後(例えばSIFS後)に、送信する(S105)。
本実施形態では、マルチユーザ伝送として、UL−OFDMAまたはUL−MU−MIMOを述べたが、これらを組み合わせた方式(UL−OFDMA&UL−MU−MIMO)も可能である。
以上、本実施形態によれば、同時送信要求およびセンサ特性情報を利用することにより、AP1は、同時にマルチユーザ伝送を行わせる必要のある端末群を適切に判断できる。
(変形例1)
また、AP1は、センサ特性情報を考慮せずに、同時送信要求のみに基づいて、同時にUL−OFDMAを行うべき端末群を特定する構成も可能である。具体的に、AP1は、同時送信要求を送信した端末から優先して、同時にUL−OFDMAを行う端末群を選択し、同じグループに分類してもよい。同時送信要求を送信した端末数が最大多重数以下の場合、同時送信要求を送信したすべての端末を選択してもよい。本変形例では、各端末は、センサ特性情報の送信を省略することも可能である。
(変形例2)
上述した実施形態では、同時送信要求を送信した複数の端末の中からマルチユーザ伝送(UL−OFDMA等)を同時に行わせる端末群を特定した。しかしながら、各端末から同時送信要求の送信を省略する形態も可能である。例えば、明らかにセンサ特性情報から同時送信要求の有無が一意に決まっている場合には、同時送信要求は必須の情報ではない。この場合、AP1が、複数の端末のセンサ特性情報に基づき、同時にマルチユーザ伝送を行うべき端末群を特定する。例えば、センサ特性情報が、上記予め定めた関係を有する端末群を選択する。
(変形例3)
上述した実施形態では、端末11、12は、同時送信要求およびセンサ特性情報を自律的にAP1に送信したが、AP1が各端末に同時送信要求の有無を問い合わせ、同時送信要求を有する端末が、これに対する応答として、同時送信要求およびセンサ特性情報の少なくとも一方を送信してもよい。例えばAP1が問い合わせフレームをブロードキャスト送信し、同時送信要求を有する端末は、一定期間内にこれに応答するようにする。AP1は、この一定期間が経過したら、マルチユーザ伝送のスケジューリング(S16)を行うようにしてもよい。
(第2の実施形態)
マルチユーザ伝送に対応可能な端末(以下、マルチユーザ(MU)端末と記載)と、対応可能でない端末(以下、シングルユーザ(SU)端末と記載)とでは、MU端末が、シングルユーザ送信に加え、マルチユーザ伝送の機会もあることから、SU端末が送信の機会が少なくなり、公平性に欠ける場合もあり得る。この場合に、MU端末のコンテンションウィンドウ(CW)値を、SU端末よりも大きくすることで、MU端末をマルチユーザにて送信させやすくし(MU端末がシングルユーザで送信しにくくし)、公平性を確保することが可能である。ここで、CW値を大きくするとは、CWmaxを大きくする、CWminを大きくする、あるいは、これらの両方を大きくすることを含む。図9(A)はAP1のCW値の例を示す。このとき、CW値を大きくするとは、図9(B)に示すように、CWmaxを大きくする、図9(C)に示すように、CWminを大きくする、あるいは、図9(D)に示すように、これらの両方を大きくすることを含む。
一方、AP1は、あるグループに属する端末群に、必ず所定のタイミングで、マルチユーザ伝送でアップリンク送信させたい場合もある。例えば、制御用の画像(例えば両サイドミラーの画像)等の重要データを、所定のタイミングでマルチユーザ伝送させたい場合がある。前述した通り、トリガーフレームを送信するためには、無線媒体へのアクセス権を獲得する必要があるが、キャリアセンスで競合する端末(SU端末とMU端末)数が多いと、アクセス権を獲得できる可能性が低減し、所望のタイミングでトリガーフレームを送信できなくなる。
そこで、本実施形態では、MU端末のCW値を、AP1よりも大きくすることで、AP1によるトリガーフレームの送信の機会を確保する。上述した理由により、MU端末のCW値が、SU端末より大きくなっても問題ない。AP1のCW値とSU端末のCW値(CWmaxおよびCWminが同じ)は同じでもよい。AP1のCW値を、SU端末のCW値より小さくして、トリガーフレームの送信の機会をより確実に確保してもよい。
AP1の制御部101は、MU端末が用いるCW値を、AP1のCW値より大きくなるように決定する。AP1の制御部101は、決定したCW値を指定するフレームを、MU端末に送信する。CW値を指定するフレームの種別は、データフレームでも、管理フレームでも、制御フレームでもよい。すべてのMU端末に同じCW値を決定してもよいし、MU端末ごとに個別にCW値を決定してもよい。例えば、マルチユーザ伝送以外にも多くのシングルユーザ送信の機会が必要なMU端末については、そうでないMU端末よりも、CW値を小さくしてもよい。なお、AP1の制御部101は、MU端末が用いるCW値を、SU端末のCW値より大きくなるように決定してもよい。また、MU端末が用いるCW値を、AP1のCW値とSU端末のCW値の両方より大きくなるように決定してもよい。
AP1がMU端末のCW値を制御するのではなく、MU端末側で自律的にCW値を制御してもよい。具体的には、MU端末の制御部が、自端末が接続したAPがマルチユーザ伝送に対応していることを把握すると、自律的に自端末のCW値を、デフォルト値(CWmaxのデフォルト値およびCWminのデフォルト値またはこれらの両方)よりも大きくするよう制御してもよい。
AP1の制御部101は、所望のタイミングでトリガーフレームを送信できた確率(例えば、1回目のバックオフでアクセス権を獲得できた確率)に応じて、MU端末のCW値を決定してもよい。具体的には、当該確率が低いほど、MU端末のCW値を大きくして、トリガーフレームの送信の機会をより確実にする。例えば、0以上かつ1以下の範囲を、1つ以上の閾値により、複数の区間に分け、確率がいずれの区間に属するかで、CW値を決定してもよい。この場合、各区間には、1に近い区間ほど、大きいCW値を対応づけておく。
CW値を制御する対象となるMU端末は、AP1に属するすべてのMU端末でもよいし、同時送信要求またはセンサ特性情報またはこれらの両方を送信したMU端末のみでもよい。
本実施形態では、MU端末のCW値を、AP1のCW値よりも大きくしたが、別の方法として、AP1のCW値を、MU端末よりも小さくしてもよい。CW値を小さくするとは、CWmaxを小さくする、CWminを小さくする、あるいは、これらの両方を小さくすることを含む。つまり、MU端末のCW値を、AP1のCW値よりも相対的に大きくするのであれば、MU端末のCW値と、AP1のCW値のうち、どちらのCW値を変更してもよい。
または、CW値を変更するのではなく、キャリアセンス時にバックオフ前に行う固定時間のキャリアセンスの長さを変更してもよい。具体的に、AP1の固定時間を、MU端末の固定時間よりも小さくしてもよい。例えば、MU端末の場合、固定時間をDIFSまたはAIFSとし、AP1の場合、PIFS(point coordination function interframe space)としてもよい。PIFSの長さは、DIFSまたはAIFSよりも短い。ここでは、AP1の固定時間を短くしたが、MU端末の固定時間を長くしてもよい。つまり、AP1の固定時間が相対的に短くなるのであれば、AP1の固定時間と、MU端末の固定時間のうち、どちらの固定時間を変更してもかまわない。AP1と同様に、SU端末の固定時間を、MU端末の固定時間より相対的に短くしてもよい。AP1とSU端末の両方の固定時間を、MU端末の固定時間より相対的に短くしてもよい。
以上、本実施形態によれば、キャリアセンス時に端末との競合を回避して、APによりトリガーフレームを送信できる可能性(無線媒体へのアクセス権を獲得できる確率)を高めることができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態において図7で説明した初期接続処理では、各端末は、自端末と同じ車に搭載されているAPに接続し、他の車に搭載されているAPに接続しないことが要求される。本実施形態では、各端末が、初期接続処理において、近傍に別の車内のAPが存在している場合であっても、確実に自端末と同じ車に搭載されているAPに接続する形態を示す。
図10に本実施形態に係る動作シーケンスの例を示す。AP1は、車搭載のバッテリ等から電源が供給され、端末からアソシエーション要求を受け付け可能な状態になると(S121)、初期接続受付モードを実行する。AP1は、初期接続受付モードを実行中であることを表す情報を、ビーコンフレームまたは他のフレームで、ブロードキャスト送信する(S122)。AP1は、初期接続受付モードを実行中は、端末からのアソシエーション要求を待機する(S123)。AP1とともに電源を供給された端末11、12等は、例えばチャネルサーチにより、自端末が接続するべきAPを探索する。端末は、初期接続受付モードにあるAP1を、接続するべきAPとして特定し、当該AP1と初期接続処理を行う(S124、S125)。AP1は、予め定めた終了条件が満たされると、初期接続受付モードを終了する(S126)。終了条件として、例えば、初期接続受付モード開始から一定時間経過した場合がある。
終了条件の他の例として、AP1へ接続した端末数が、一定値に達した場合がある。電源を供給されて動作可能になった端末群には、起動時に初期接続処理を行う端末の他、起動時には初期接続処理を行わず、後に所定の条件が成立したときに、APへ初期接続処理を行う端末も存在しうる。そこで、AP1は、予め起動時に自局に接続してくることが期待される最低限の端末数を把握しておき、自局に接続した端末数がこの数に達したら、初期接続受付モードを停止する。なお、初期接続受付モードから一定時間内に、接続端末数が一定値に達しない場合も、初期接続受付モードを終了してもよい。
なお、起動時に初期接続処理を行わず、後に所定の条件が成立したときに初期接続処理を行う例として、端末におけるセンサの値が異常値になったときにのみ、APへ初期接続処理(または再接続処理)する場合があり得る。また、一定時間毎にAPにデータを送信する必要があるが、それ以外の間はAPに接続している必要がない端末の場合、一定時間毎にAPへ接続してもよい。この場合、端末は、データ送信後、接続を切断し、次の一定時間が経過するまで待機する。待機の間、端末は低消費電力のスリープモードに遷移してもよい。
端末は、チャネルサーチにより、初期接続受付モードにあるAPを複数検出した場合は、過去の履歴に基づいて、接続先のAPを決定してもよい。例えば、端末は、APへ接続を行うごとに、接続先のAPのBSSID(MACアドレス)をメモリに保存しておく。APを複数検出した場合は、端末は、メモリに保存されている接続履歴から、過去に最も多く接続したAPを特定し、特定したAPと同じBSSIDのAPを、今回の接続先のAPとして決定する。判断に用いる情報は、過去の接続履歴でなく、過去の通信履歴でもよい。例えばAPごとにフレーム送受信数やデータ合計サイズといったトラフィック量を計算しておき、もっともトラフィック量が多いAPを決定してもよい。ここで述べた動作は、例えば端末の制御部201が行う。
以上、本実施形態によれば、端末は、近くにAPを搭載した別の車が存在する場合も、自端末と同じ車に搭載されているAPに確実に接続することが可能になる。
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る基地局(アクセスポイント)400の機能ブロック図である。このアクセスポイントは、通信処理部401と、送信部402と、受信部403と、アンテナ42A、42B、42C、42Dと、ネットワーク処理部404と、有線I/F405と、メモリ406とを備えている。アクセスポイント400は、有線I/F405を介して、サーバ407と接続されている。通信処理部401は、第1〜3の実施形態で説明した制御部101と同様な機能を有している。送信部402および受信部403は、第1〜第3の実施形態で説明した送信部102および受信部103と同様な機能を有している。ネットワーク処理部404は、第1〜3の実施形態で説明した上位処理部と同様な機能を有している。ここで、通信処理部401は、ネットワーク処理部404との間でデータを受け渡しするためのバッファを内部に保有してもよい。このバッファは、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ネットワーク処理部404は、通信処理部401とのデータ交換、メモリ406とのデータ書き込み・読み出し、および、有線I/F405を介したサーバ407との通信を制御する。ネットワーク処理部404は、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理やアプリケーション層の処理を行ってもよい。ネットワーク処理部の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
一例として、通信処理部401は、ベースバンド集積回路に対応し、送信部402と受信部403は、フレームを送受信するRF集積回路に対応する。通信処理部401とネットワーク処理部404とが1つの集積回路(1チップ)で構成されてもよい。送信部402および受信部403のデジタル領域の処理を行う部分とアナログ領域の処理を行う部分とが異なるチップで構成されてもよい。また、通信処理部401が、TCP/IPやUDP/IPなど、MAC層の上位の通信処理を実行するようにしてもよい。また、アンテナの個数はここでは4つであるが、少なくとも1つのアンテナを備えていればよい。
メモリ406は、サーバ407から受信したデータや、受信部403で受信したデータの保存等を行う。メモリ406は、例えば、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。また、SSDやHDD、SDカード、eMMC等であってもよい。メモリ406が、基地局400の外部にあってもよい。
有線I/F405は、サーバ407とのデータの送受信を行う。本実施形態では、サーバ407との通信を有線で行っているが、サーバ407との通信を無線で実行するようにしてもよい。
サーバ407は、データの送信を要求するデータ転送要求を受けて、要求されたデータを含む応答を返す通信装置であり、例えばHTTPサーバ(Webサーバ)、FTPサーバ等が想定される。ただし、要求されたデータを返す機能を備えている限り、これに限定されるものではない。PCやスマートフォン等のユーザが操作する通信装置でもよい。また、基地局400と無線で通信してもよい。
基地局400のBSSに属するSTAが、サーバ407に対するデータの転送要求を発行した場合、このデータ転送要求に関するパケットが、基地局400に送信される。基地局400は、アンテナ42A〜42Dを介してこのパケットを受信し、受信部403で物理層の処理等を、通信処理部401でMAC層の処理等を実行する。
ネットワーク処理部404は、通信処理部401から受信したパケットの解析を行う。具体的には、宛先IPアドレス、宛先ポート番号等を確認する。パケットのデータがHTTP GETリクエストのようなデータ転送要求である場合、ネットワーク処理部404は、このデータ転送要求で要求されたデータ(例えば、HTTP GETリクエストで要求されたURLに存在するデータ)が、メモリ406にキャッシュ(記憶)されているかを確認する。メモリ406には、URL(またはその縮小表現、例えばハッシュ値や、代替となる識別子)とデータとを対応づけたテーブルが格納されている。ここで、データがメモリ406にキャッシュされていることを、メモリ406にキャッシュデータが存在すると表現する。
メモリ406にキャッシュデータが存在しない場合、ネットワーク処理部404は、有線I/Fを405介して、サーバ407に対してデータ転送要求を送信する。つまり、ネットワーク処理部404は、STAの代理として、サーバ407へデータ転送要求を送信する。具体的には、ネットワーク処理部404は、HTTPリクエストを生成し、TCP/IPヘッダの付加などのプロトコル処理を行い、パケットを有線I/F405へ渡す。有線I/F405は、受け取ったパケットをサーバ407へ送信する。
有線I/F405は、データ転送要求に対する応答であるパケットをサーバ407から受信する。ネットワーク処理部404は、有線I/F405を介して受信したパケットのIPヘッダから、STA宛のパケットであることを把握し、通信処理部401へパケットを渡す。通信処理部401はこのパケットに対するMAC層の処理等を、送信部402は物理層の処理等を実行し、STA宛のパケットをアンテナ42A〜42Dから送信する。ここで、ネットワーク処理部404は、サーバ407から受信したデータを、URL(またはその縮小表現)と対応づけて、メモリ406にキャッシュデータとして保存する。
メモリ406にキャッシュデータが存在する場合、ネットワーク処理部404は、データ転送要求で要求されたデータをメモリ406から読み出して、このデータを通信処理部401へ送信する。具体的には、メモリ406から読み出したデータにHTTPヘッダ等を付加して、TCP/IPヘッダの付加等のプロトコル処理を行い、通信処理部401へパケットを送信する。このとき、一例として、パケットの送信元IPアドレスは、サーバと同じIPアドレスに設定し、送信元ポート番号もサーバと同じポート番号(通信端末が送信するパケットの宛先ポート番号)に設定する。したがって、STAから見れば、あたかもサーバ407と通信をしているかのように見える。通信処理部401はこのパケットに対するMAC層の処理等を、送信部402は物理層の処理等を実行し、STA宛のパケットをアンテナ42A〜42Dから送信する。
このような動作により、頻繁にアクセスされるデータは、メモリ406に保存されたキャッシュデータに基づいて応答することになり、サーバ407と基地局400間のトラフィックを削減できる。なお、ネットワーク処理部404の動作は、本実施形態の動作に限定されるものではない。STAの代わりにサーバ407からデータを取得して、メモリ406にデータをキャッシュし、同一のデータに対するデータ転送要求に対しては、メモリ406のキャッシュデータから応答するような一般的なキャッシュプロキシであれば、別の動作でも問題はない。
本実施形態の基地局(アクセスポイント)を、第1〜3の実施形態の基地局として適用することが可能である。第1〜3の実施形態で使ったフレーム、データまたはパケットの送信を、メモリ406に保存されたキャッシュデータを用いて実行してもよい。また、第1〜3の実施形態において、基地局が受信したフレーム、データまたはパケットで得られた情報を、メモリ406にキャッシュしてもよい。第1〜3の実施形態において、アクセスポイントが送信するフレームは、キャッシュされたデータまたは当該データに基づく情報を含んでもよい。データに基づく情報は、例えば端末宛のデータの有無の情報、データのサイズに関する情報、データの送信に必要なパケットのサイズに関する情報でもよい。またデータの送信に必要な変調方式等の情報でもよい。
本実施形態では、キャッシュ機能を備えた基地局について説明を行ったが、図11と同じブロック構成で、キャッシュ機能を備えた端末(STA)を実現することもできる。ここでいう端末は、非基地局の端末である(前述したように基地局も無線通信端末の一形態である)。この場合、有線I/F405を省略してもよい。第1〜3の実施形態における端末によるフレーム、データまたはパケットの送信を、メモリ406に保存されたキャッシュデータを用いて実行してもよい。また、第1〜3の実施形態の端末が受信したフレーム、データまたはパケットで得られた情報を、メモリ406にキャッシュしてもよい。第1〜3の実施形態において、端末が送信するフレームは、キャッシュされたデータまたは当該データに基づく情報を含んでもよい。データに基づく情報は、例えば送信するデータの有無の情報、データのサイズに関する情報、データの送信に必要なパケットのサイズに関する情報でもよい。またデータの送信に必要な変調方式等の情報でもよい。
(第5の実施形態)
図12は、端末(非アクセスポイントの端末)またはアクセスポイントの全体構成例を示したものである。この構成例は一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。端末またはアクセスポイントは、1つまたは複数のアンテナ1〜n(nは1以上の整数)と、無線LANモジュール148と、ホストシステム149を備える。無線LANモジュール148は、第1〜第2のいずれかの実施形態に係る無線通信装置に対応する。無線LANモジュール148は、ホスト・インターフェースを備え、ホスト・インターフェースで、ホストシステム149と接続される。接続ケーブルを介してホストシステム149と接続される他、ホストシステム149と直接接続されてもよい。また、無線LANモジュール148が基板にはんだ等で実装され、基板の配線を介してホストシステム149と接続される構成も可能である。ホストシステム149は、任意の通信プロトコルに従って、無線LANモジュール148およびアンテナ1〜nを用いて、外部の装置と通信を行う。通信プロトコルは、TCP/IPと、それより上位の層のプロトコルとを含んでもよい。または、TCP/IPは無線LANモジュール148に搭載し、ホストシステム149は、それより上位層のプロトコルのみを実行してもよい。この場合、ホストシステム149の構成を簡単化できる。本端末は、例えば、移動体端末、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置、自動車等でもよい。
無線LANモジュール148(または無線通信装置)は、IEEE802.11に加え、LTE(Long Term Evolution)またはLTE−Advanced(standards for mobile phones)のような他の無線通信規格の機能を備えていてもよい。
図13は、無線LANモジュールのハードウェア構成例を示す。この構成は、無線通信装置が非アクセスポイントの端末およびアクセスポイントのいずれに搭載される場合にも適用可能である。つまり、図4または図6に示した無線通信装置の具体的な構成の一例として適用できる。この構成例では、アンテナは1本のみであるが、2本以上のアンテナを備えていてもよい。この場合、各アンテナに対応して、送信系統(216、222〜225)、受信系統(217、232〜235)、PLL242、水晶発振器(基準信号源)243およびスイッチ245のセットが複数配置され、各セットがそれぞれ制御回路212に接続されてもよい。PLL242または水晶発振器243またはこれらの両方は、本実施形態に係る発振器に対応する。
無線LANモジュール(無線通信装置)は、ベースバンドIC(Integrated
Circuit)211と、RF(Radio Frequency)IC221と、バラン225と、スイッチ245と、アンテナ247とを備える。
ベースバンドIC211は、ベースバンド回路(制御回路)212、メモリ213、ホスト・インターフェース214、CPU215、DAC(Digital to Analog Conveter)216、およびADC(Analog to Digital Converter)217を備える。
ベースバンドIC211とRF IC221は同じ基板上に形成されてもよい。また、ベースバンドIC211とRF IC221は1チップで構成されてもよい。DAC216およびADC217の両方またはいずれか一方が、RF IC221に配置されてもよいし、別のICに配置されてもよい。またメモリ213およびCPU215の両方またはいずれか一方が、ベースバンドICとは別のICに配置されてもよい。
メモリ213は、ホストシステムとの間で受け渡しするデータを格納する。またメモリ213は、端末またはアクセスポイントに通知する情報、または端末またはアクセスポイントから通知された情報、またはこれらの両方を格納する。また、メモリ213は、CPU215の実行に必要なプログラムを記憶し、CPU215がプログラムを実行する際の作業領域として利用されてもよい。メモリ213はSRAM、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ホスト・インターフェース214は、ホストシステムと接続するためのインターフェースである。インターフェースは、UART、SPI、SDIO、USB、PCI Expressなど何でも良い。
CPU215は、プログラムを実行することによりベースバンド回路212を制御するプロセッサである。ベースバンド回路212は、主にMAC層の処理および物理層の処理を行う。ベースバンド回路212、CPU215またはこれらの両方は、通信を制御する通信制御装置、または通信を制御する制御部に対応する。
ベースバンド回路212およびCPU215の少なくとも一方は、クロックを生成するクロック生成部を含み、当該クロック生成部で生成するクロックにより、内部時間を管理してもよい。
ベースバンド回路212は、送信するフレームに、物理層の処理として、物理ヘッダの付加、符号化、暗号化、変調処理(MIMO変調を含んでもよい)など行い、例えば2種類のデジタルベースバンド信号(以下、デジタルI信号とデジタルQ信号)を生成する。
DAC216は、ベースバンド回路212から入力される信号をDA変換する。より詳細には、DAC216はデジタルI信号をアナログのI信号に変換し、デジタルQ信号をアナログのQ信号に変換する。なお、直交変調せずに一系統の信号のままで送信する場合もありうる。複数のアンテナを備え、一系統または複数系統の送信信号をアンテナの数だけ振り分けて送信する場合には、アンテナの数に応じた数のDAC等を設けてもよい。
RF IC221は、一例としてRFアナログICあるいは高周波IC、あるいはこれらの両方である。RF IC221は、フィルタ222、ミキサ223、プリアンプ(PA)224、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)242、低雑音増幅器(LNA)、バラン235、ミキサ233、およびフィルタ232を備える。これらの要素のいくつかが、ベースバンドIC211または別のIC上に配置されてもよい。フィルタ222、232は、帯域通過フィルタでも、低域通過フィルタでもよい。
フィルタ222は、DAC216から入力されるアナログI信号およびアナログQ信号のそれぞれから所望帯域の信号を抽出する。PLL242は、水晶発振器243から入力される発振信号を用い、発振信号を分周または逓倍またはこれらの両方を行うことで、入力信号の位相に同期した、一定周波数の信号を生成する。なお、PLL242は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を備え、水晶発振器243から入力される発振信号に基づき、VCOを利用してフィードバック制御を行うことで、当該一定周波数の信号を得る。生成した一定周波数の信号は、ミキサ223およびミキサ233に入力される。PLL242は、一定周波数の信号を生成する発振器の一例に相当する。
ミキサ223は、フィルタ222を通過したアナログI信号およびアナログQ信号を、PLL242から供給される一定周波数の信号を利用して、無線周波数にアップコンバートする。プリアンプ(PA)は、ミキサ223で生成された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号を、所望の出力電力まで増幅する。バラン225は、平衡信号(差動信号)を不平衡信号(シングルエンド信号)に変換するための変換器である。RF IC221では平衡信号が扱われるが、RF IC221の出力からアンテナ247までは不平衡信号が扱われるため、バラン225で、これらの信号変換を行う。
スイッチ245は、送信時は、送信側のバラン225に接続され、受信時は、受信側の低雑音増幅器(LNA)234またはRF IC221に接続される。スイッチ245の制御はベースバンドIC211またはRF IC221により行われてもよいし、スイッチ245を制御する別の回路が存在し、当該回路からスイッチ245の制御を行ってもよい。
プリアンプ224で増幅された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号は、バラン225で平衡−不平衡変換された後、アンテナ247から空間に電波として放射される。
アンテナ247は、チップアンテナでもよいし、プリント基板上に配線により形成したアンテナでもよいし、線状の導体素子を利用して形成したアンテナでもよい。
RF IC221におけるLNA234は、アンテナ247からスイッチ245を介して受信した信号を、雑音を低く抑えたまま、復調可能なレベルまで増幅する。バラン235は、低雑音増幅器(LNA)234で増幅された信号を、不平衡−平衡変換する。なお、バラン235とLNA234の順番を逆にした構成でもよい。ミキサ233は、バラン235で平衡信号に変換された受信信号を、PLL242から入力される一定周波数の信号を用いてベースバンドにダウンコンバートする。より詳細には、ミキサ233は、PLL242から入力される一定周波数の信号に基づき、互いに90°位相のずれた搬送波を生成する手段を有し、バラン235で変換された受信信号を、互いに90°位相のずれた搬送波により直交復調して、受信信号と同位相のI(In−phase)信号と、これより90°位相が遅れたQ(Quad−phase)信号とを生成する。フィルタ232は、これらI信号とQ信号から所望周波数成分の信号を抽出する。フィルタ232で抽出されたI信号およびQ信号は、ゲインが調整された後に、RF IC221から出力される。
ベースバンドIC211におけるADC217は、RF IC221からの入力信号をAD変換する。より詳細には、ADC217はI信号をデジタルI信号に変換し、Q信号をデジタルQ信号に変換する。なお、直交復調せずに一系統の信号だけを受信する場合もあり得る。
複数のアンテナが設けられる場合には、アンテナの数に応じた数のADCを設けてもよい。ベースバンド回路212は、デジタルI信号およびデジタルQ信号に基づき、復調処理、誤り訂正符号処理、物理ヘッダの処理など、物理層の処理(MIMO復調を含んでもよい)等を行い、フレームを得る。ベースバンド回路212は、フレームに対してMAC層の処理を行う。なお、ベースバンド回路212は、TCP/IPを実装している場合は、TCP/IPの処理を行う構成も可能である。
上述した各部の処理の詳細は、図4および図6の説明から自明であるため、重複する説明は省略する。
(第6の実施形態)
図14は、本実施形態に係る端末(STA)500の機能ブロック図である。このSTA5は、通信処理部501と、送信部502と、受信部503と、アンテナ51Aと、アプリケーションプロセッサ504と、メモリ505と、第2無線通信モジュール506とを備えている。基地局(AP)が同様の構成を有しても良い。
通信処理部501は、第1の実施形態で説明した制御部と同様な機能を有している。送信部502および受信部503は、送信部202および受信部203と同様な機能を有している。または、送信部502および受信部503が、PHY処理部のアナログ領域の処理に対応し、デジタル領域の処理は、通信処理部501に対応してもよい。ここで、通信処理部501は、アプリケーションプロセッサ504との間でデータを受け渡しするためのバッファを内部に保有してもよい。このバッファは、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
アプリケーションプロセッサ504は、通信処理部501を介した無線通信、メモリ505とのデータ書き込み・読み出し、および、第2無線通信モジュール506を介した無線通信を制御する。また、アプリケーションプロセッサ504は、Webブラウジングや、映像や音楽などのマルチメディア処理など、STAにおける各種処理も実行する。アプリケーションプロセッサ504の動作は、CPU等のプロセッサによるソフトウェア(プログラム)の処理によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。
メモリ506は、受信部502や第2無線通信モジュール506で受信したデータや、アプリケーションプロセッサ504で処理したデータの保存等を行う。メモリ506は、例えば、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。また、SSDやHDD、SDカード、eMMC等がであってもよい。メモリ506が、アクセスポイント500の外部にあってもよい。
第2無線通信モジュール506は、一例として、図12または図13で示した無線LANモジュールと同様な構成を有する。第2無線通信モジュール506は、通信処理部501、送信部502、受信部503で実現される無線通信とは異なる方法で無線通信を実行する。例えば、通信処理部501、送信部502、受信部503がIEEE802.11規格に沿った無線通信である場合、第2無線通信モジュール506は、Bluetooth(登録商標)、LTE、Wireless HDなど、他の無線通信規格に沿った無線通信を実行してもよい。また、通信処理部501、送信部502、受信部503が2.4GHz/5GHzで無線通信を実行し、第2無線通信モジュール506が60GHzで無線数新を実行すうようにしてもよい。
なお、この例では、アンテナの個数はここでは1つであり、送信部502・受信部503と、第2無線通信モジュール506とでアンテナを共有している。ここで、アンテナ51Aの接続先を制御するスイッチを設けることで、アンテナを共有してもよい。また、複数のアンテナを備え、送信部502・受信部503と、第2無線通信モジュール506とで別のアンテナを使用するようにしてもよい。
一例として、通信処理部501は、ベースバンド集積回路に対応し、送信部502と受信部503は、フレームを送受信するRF集積回路に対応する。ここで、通信処理部501とアプリケーションプロセッサ504とが1つの集積回路(1チップ)で構成されてもよい。さらに、第2無線通信モジュール506の一部とアプリケーションプロセッサ504とが1つの集積回路(1チップ)で構成されてもよい。
アプリケーションプロセッサは、通信処理部501を介した無線通信および第2無線通信モジュール506を介した無線通信の制御を行う。
(第7の実施形態)
図15(A)および図15(B)は、それぞれ本実施形態に係る無線端末の斜視図である。図15(A)の無線端末はノートPC301であり、図15(B)の無線端末は移動体端末321である。ノートPC301および移動体端末321は、それぞれ無線通信装置305、315を搭載している。無線通信装置305、315として、これまで説明してきた無線端末に搭載されていた無線通信装置、またはアクセスポイント11に搭載されていた無線通信装置、またはこれらの両方を用いることができる。無線通信装置を搭載する無線端末は、ノートPCや移動体端末に限定されない。例えば、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置、自動車等にも搭載可能である。
また、無線端末またはアクセスポイント11、またはこれらの両方に搭載されていた無線通信装置は、メモリーカードにも搭載可能である。当該無線通信装置をメモリーカードに搭載した例を図16に示す。メモリーカード331は、無線通信装置355と、メモリーカード本体332とを含む。メモリーカード331は、外部の装置(無線端末またはアクセスポイント11、またはこれらの両方等)との無線通信のために無線通信装置335を利用する。なお、図16では、メモリーカード331内の他の要素(例えばメモリ等)の記載は省略している。
(第8の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バス、プロセッサ部、及び外部インターフェース部を備える。プロセッサ部及び外部インターフェース部は、バスを介して外部メモリ(バッファ)と接続される。プロセッサ部ではファームウエアが動作する。このように、ファームウエアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウエアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。ファームウエアが動作するプロセッサ部は、本実施形態に係る制御部または制御部の処理を行うプロセッサであってもよいし、当該処理の機能拡張または変更に係る処理を行う別のプロセッサであってもよい。ファームウエアが動作するプロセッサ部を、本実施形態に係るアクセスポイントあるいは無線端末あるいはこれらの両方が備えてもよい。または当該プロセッサ部を、アクセスポイントに搭載される無線通信装置内の集積回路、または無線端末に搭載される無線通信装置内の集積回路が備えてもよい。
(第9の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
(第10の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、電源部、電源制御部、及び無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
(第11の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、無線通信装置における送信部または受信部または制御部、またはこれらのうちの複数と接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
(第12の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
(第13の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、送信部または受信部または制御部またはこれらのうちの複数と接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第14の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、送信部または受信部または制御部またはこれらのうちの複数と接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第15の実施形態)
本実施形態では、上述したいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、ディスプレイを含む。ディスプレイは、図示しないバスを介して、無線通信装置の制御部に接続されてもよい。このようにディスプレイを備える構成とし、無線通信装置の動作状態をディスプレイに表示することで、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(第16の実施形態)
本実施形態では、[1]無線通信システムにおけるフレーム種別、[2]無線通信装置間の接続切断の手法、[3]無線LANシステムのアクセス方式、[4]無線LANのフレーム間隔について説明する。
[1]通信システムにおけるフレーム種別
一般的に無線通信システムにおける無線アクセスプロトコル上で扱うフレームは、前述したように、大別してデータ(data)フレーム、管理(management)フレーム、制御(control)フレームの3種類に分けられる。これらの種別は、通常、フレーム間で共通に設けられるヘッダ部で示される。フレーム種別の表示方法としては、1つのフィールドで3種類を区別できるようにしてあってもよいし、2つのフィールドの組み合わせで区別できるようにしてあってもよい。IEEE802.11規格では、フレーム種別の識別は、MACフレームのフレームヘッダ部にあるFrame Controlフィールドの中のType、Subtypeという2つのフィールドで行う。データフレームか、管理フレームか、制御フレームかの大別はTypeフィールドで行われ、大別されたフレームの中での細かい種別、例えば管理フレームの中のBeaconフレームといった識別はSubtypeフィールドで行われる。
管理フレームは、他の無線通信装置との間の物理的な通信リンクの管理に用いるフレームである。例えば、他の無線通信装置との間の通信設定を行うために用いられるフレームや通信リンクをリリースする(つまり接続を切断する)ためのフレーム、無線通信装置でのパワーセーブ動作に係るフレームがある。
データフレームは、他の無線通信装置と物理的な通信リンクが確立した上で、無線通信装置の内部で生成されたデータを他の無線通信装置に送信するフレームである。データは本実施形態の上位層で生成され、例えばユーザの操作によって生成される。
制御フレームは、データフレームを他の無線通信装置との間で送受(交換)する際の制御に用いられるフレームである。無線通信装置がデータフレームや管理フレームを受信した場合にその送達確認のために送信される応答フレームは、制御フレームに属する。応答フレームは、例えばACKフレームやBlockACKフレームである。またRTSフレームやCTSフレームも制御フレームである。
これら3種類のフレームは、物理層で必要に応じた処理を経て物理パケットとしてアンテナを経由して送出される。なお、IEEE802.11規格(前述のIEEE Std
802.11ac−2013などの拡張規格を含む)では接続確立の手順の1つとしてアソシエーション(association)プロセスがあるが、その中で使われるAssociation RequestフレームとAssociation Responseフレームが管理フレームであり、Association RequestフレームやAssociation Responseフレームはユニキャストの管理フレームであることから、受信側無線通信端末に応答フレームであるACKフレームの送信を要求し、このACKフレームは上述のように制御フレームである。
[2]無線通信装置間の接続切断の手法
接続の切断(リリース)には、明示的な手法と暗示的な手法とがある。明示的な手法としては、接続を確立している無線通信装置間のいずれか一方が切断のためのフレームを送信する。IEEE802.11規格ではDeauthenticationフレームがこれに当たり、管理フレームに分類される。通常、接続を切断するフレームを送信する側の無線通信装置では当該フレームを送信した時点で、接続を切断するフレームを受信する側の無線通信装置では当該フレームを受信した時点で、接続の切断と判定する。その後、非基地局の無線通信端末であれば通信フェーズでの初期状態、例えば接続するBSS探索する状態に戻る。無線通信基地局がある無線通信端末との間の接続を切断した場合には、例えば無線通信基地局が自BSSに加入する無線通信端末を管理する接続管理テーブルを持っているならば当該接続管理テーブルから当該無線通信端末に係る情報を削除する。例えば、無線通信基地局が自BSSに加入する各無線通信端末に接続をアソシエーションプロセスで許可した段階で、AIDを割り当てる場合には、当該接続を切断した無線通信端末のAIDに関連づけられた保持情報を削除し、当該AIDに関してはリリースして他の新規加入する無線通信端末に割り当てられるようにしてもよい。
一方、暗示的な手法としては、接続を確立した接続相手の無線通信装置から一定期間フレーム送信(データフレーム及び管理フレームの送信、あるいは自装置が送信したフレームへの応答フレームの送信)を検知しなかった場合に、接続状態の切断の判定を行う。このような手法があるのは、上述のように接続の切断を判定するような状況では、接続先の無線通信装置と通信距離が離れて無線信号が受信不可あるいは復号不可になるなど物理的な無線リンクが確保できない状態が考えられるからである。すなわち、接続を切断するフレームの受信を期待できないからである。
暗示的な方法で接続の切断を判定する具体例としては、タイマーを使用する。例えば、送達確認応答フレームを要求するデータフレームを送信する際、当該フレームの再送期間を制限する第1のタイマー(例えばデータフレーム用の再送タイマー)を起動し、第1のタイマーが切れるまで(つまり所望の再送期間が経過するまで)当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行う。当該フレームへの送達確認応答フレームを受信すると第1のタイマーは止められる。
一方、送達確認応答フレームを受信せず第1のタイマーが切れると、例えば接続相手の無線通信装置がまだ(通信レンジ内に)存在するか(言い換えれば、無線リンクが確保できているか)を確認するための管理フレームを送信し、それと同時に当該フレームの再送期間を制限する第2のタイマー(例えば管理フレーム用の再送タイマー)を起動する。第1のタイマーと同様、第2のタイマーでも、第2のタイマーが切れるまで当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行い、第2のタイマーが切れると接続が切断されたと判定する。接続が切断されたと判定した段階で、前記接続を切断するフレームを送信するようにしてもよい。
あるいは、接続相手の無線通信装置からフレームを受信すると第3のタイマーを起動し、新たに接続相手の無線通信装置からフレームを受信するたびに第3のタイマーを止め、再び初期値から起動する。第3のタイマーが切れると前述と同様に接続相手の無線通信装置がまだ(通信レンジ内に)存在するか(言い換えれば、無線リンクが確保できているか)を確認するための管理フレームを送信し、それと同時に当該フレームの再送期間を制限する第2のタイマー(例えば管理フレーム用の再送タイマー)を起動する。この場合も、第2のタイマーが切れるまで当該フレームへの送達確認応答フレームを受信しないと再送を行い、第2のタイマーが切れると接続が切断されたと判定する。この場合も、接続が切断されたと判定した段階で、前記接続を切断するフレームを送信するようにしてもよい。後者の、接続相手の無線通信装置がまだ存在するかを確認するための管理フレームは、前者の場合の管理フレームとは異なるものであってもよい。また後者の場合の管理フレームの再送を制限するためのタイマーは、ここでは第2のタイマーとして前者の場合と同じものを用いたが、異なるタイマーを用いるようにしてもよい。
[3]無線LANシステムのアクセス方式
例えば、複数の無線通信装置と通信または競合することを想定した無線LANシステムがある。IEEE802.11無線LANではCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Carrier Avoidance)をアクセス方式の基本としている。ある無線通信装置の送信を把握し、その送信終了から固定時間を置いて送信を行う方式では、その無線通信装置の送信を把握した複数の無線通信装置で同時に送信を行うことになり、その結果、無線信号が衝突してフレーム送信に失敗する。ある無線通信装置の送信を把握し、その送信終了からランダム時間待つことで、その無線通信装置の送信を把握した複数の無線通信装置での送信が確率的に分散することになる。よって、ランダム時間の中で最も早い時間を引いた無線通信装置が1つなら無線通信装置のフレーム送信は成功し、フレームの衝突を防ぐことができる。ランダム値に基づき送信権の獲得が複数の無線通信装置間で公平になることから、Carrier Avoidanceを採用した方式は、複数の無線通信装置間で無線媒体を共有するために適した方式であるということができる。
[4]無線LANのフレーム間隔
IEEE802.11無線LANのフレーム間隔について説明する。IEEE802.11無線LANで用いられるフレーム間隔は、distributed coordination function interframe space(DIFS)、arbitration interframe space(AIFS)、point coordination function interframe space(PIFS)、short interframe space(SIFS)、extended interframe space(EIFS)、reduced interframe space(RIFS)などがある。
フレーム間隔の定義は、IEEE802.11無線LANでは送信前にキャリアセンスアイドルを確認して開けるべき連続期間として定義されており、厳密な前のフレームからの期間は議論しない。従ってここでのIEEE802.11無線LANシステムでの説明においてはその定義を踏襲する。IEEE802.11無線LANでは、CSMA/CAに基づくランダムアクセスの際に待つ時間を固定時間とランダム時間との和としており、固定時間を明確にするため、このような定義になっているといえる。
DIFSとAIFSとは、CSMA/CAに基づき他の無線通信装置と競合するコンテンション期間にフレーム交換開始を試みるときに用いるフレーム間隔である。DIFSは、トラヒック種別による優先権の区別がないとき、AIFSはトラヒック種別(Traffic Identifier:TID)による優先権が設けられている場合に用いる。
DIFSとAIFSとで係る動作としては類似しているため、以降では主にAIFSを用いて説明する。IEEE802.11無線LANでは、MAC層でフレーム交換の開始などを含むアクセス制御を行う。さらに、上位層からデータを渡される際にQoS(Quality of Service)対応する場合には、データとともにトラヒック種別が通知され、トラヒック種別に基づいてデータはアクセス時の優先度のクラス分けがされる。このアクセス時のクラスをアクセスカテゴリ(Access Category:AC)と呼ぶ。従って、アクセスカテゴリごとにAIFSの値が設けられることになる。
PIFSは、競合する他の無線通信装置よりも優先権を持つアクセスができるようにするためのフレーム間隔であり、DIFS及びAIFSのいずれの値よりも期間が短い。SIFSは、応答系の制御フレームの送信時あるいは一旦アクセス権を獲得した後にバーストでフレーム交換を継続する場合に用いることができるフレーム間隔である。EIFSはフレーム受信に失敗した(受信したフレームがエラーであると判定した)場合に起動されるフレーム間隔である。
RIFSは一旦アクセス権を獲得した後にバーストで同一無線通信装置に複数のフレームを連続して送信する場合に用いることができるフレーム間隔であり、RIFSを用いている間は送信相手の無線通信装置からの応答フレームを要求しない。
ここでIEEE802.11無線LANにおけるランダムアクセスに基づく競合期間のフレーム交換の一例を図17に示す。
ある無線通信装置においてデータフレーム(W_DATA1)の送信要求が発生した際に、キャリアセンスの結果、媒体がビジーである(busy medium)と認識する場合を想定する。この場合、キャリアセンスがアイドルになった時点から固定時間のAIFSを空け、その後ランダム時間(random backoff)空いたところで、データフレームW_DATA1を通信相手に送信する。なお、キャリアセンスの結果、媒体がビジーではない、つまり媒体がアイドル(idle)であると認識した場合には、キャリアセンスを開始した時点から固定時間のAIFSを空けて、データフレームW_DATA1を通信相手に送信する。
ランダム時間は0から整数で与えられるコンテンションウィンドウ(Contention Window:CW)の間の一様分布から導かれる擬似ランダム整数にスロット時間をかけたものである。ここで、CWにスロット時間をかけたものをCW時間幅と呼ぶ。CWの初期値はCWminで与えられ、再送するたびにCWの値はCWmaxになるまで増やされる。CWminとCWmaxとの両方とも、AIFSと同様アクセスカテゴリごとの値を持つ。W_DATA1の送信先の無線通信装置では、データフレームの受信に成功し、かつ当該データフレームが応答フレームの送信を要求するフレームであるとそのデータフレームを内包する物理パケットの無線媒体上での占有終了時点からSIFS時間後に応答フレーム(W_ACK1)を送信する。W_DATA1を送信した無線通信装置は、W_ACK1を受信すると送信バースト時間制限内であればまたW_ACK1を内包する物理パケットの無線媒体上での占有終了時点からSIFS時間後に次のフレーム(例えばW_DATA2)を送信することができる。
AIFS、DIFS、PIFS及びEIFSは、SIFSとスロット時間との関数になるが、SIFSとスロット時間とは物理層ごとに規定されている。また、AIFS、CWmin及びCWmaxなどアクセスカテゴリごとに値が設けられるパラメータは、通信グループ(IEEE802.11無線LANではBasic Service Set(BSS))ごとに設定可能であるが、デフォルト値が定められている。
例えば、802.11acの規格策定では、SIFSは16μs、スロット時間は9μsであるとして、それによってPIFSは25μs、DIFSは34μs、AIFSにおいてアクセスカテゴリがBACKGROUND(AC_BK)のフレーム間隔はデフォルト値が79μs、BEST EFFORT(AC_BE)のフレーム間隔はデフォルト値が43μs、VIDEO(AC_VI)とVOICE(AC_VO)のフレーム間隔はデフォルト値が34μs、CWminとCWmaxとのデフォルト値は、各々AC_BKとAC_BEとでは31と1023、AC_VIでは15と31、AC_VOでは7と15になるとする。なお、EIFSは、基本的にはSIFSとDIFSと最も低速な必須の物理レートで送信する場合の応答フレームの時間長の和である。なお効率的なEIFSの取り方ができる無線通信装置では、EIFSを起動した物理パケットへの応答フレームを運ぶ物理パケットの占有時間長を推定し、SIFSとDIFSとその推定時間の和とすることもできる。
なお、各実施形態で記載されているフレームは、Null Data Packetなど、IEEE802.11規格または準拠する規格で、パケットと呼ばれるものを指してもよい。
本実施形態で用いられる用語は、広く解釈されるべきである。例えば用語“プロセッサ”は、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシンなどを包含してもよい。状況によって、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路 (PLD)などを指してもよい。“プロセッサ”は、複数のマイクロプロセッサのような処理装置の組み合わせ、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサを指してもよい。
別の例として、用語“メモリ”は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を包含してもよい。“メモリ”は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージを指してもよく、これらはプロセッサによって読み出し可能である。プロセッサがメモリに対して情報を読み出しまたは書き込みまたはこれらの両方を行うならば、メモリはプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。メモリは、プロセッサに統合されてもよく、この場合も、メモリは、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。また、回路は、単一チップに配置された複数の回路でもよいし、複数のチップまたは複数の装置に分散して配置された1つ以上の回路でもよい。
また本明細書において “a,bおよびcの少なくとも1つ”は、a,b,c,a−b, a−c,b−c,a−b−cの組み合わせだけでなく、a−a,a−b−b,a−a−b−b−c−cなどの同じ要素の複数の組み合わせも含む表現である。また、a−b−c−dの組み合わせのように、a,b,c以外の要素を含む構成もカバーする表現である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1:アクセスポイント(基地局)
11、12、13、14、15、16:無線通信端末
100、200:アンテナ
101、201:制御部
102、202:送信部
103、203:受信部
104、204:バッファ
105、205:上位層
106、206:メモリ
207:センサ
211:ベースバンドIC
213:メモリ
214:ホスト・インターフェース
215:CPU
216:DAC
217:ADC
221:RF IC
222、232:フィルタ
223、233:ミキサ
224、234:アンプ
225、235:バラン
242:PLL
243:水晶発振器
247:アンテナ
245:スイッチ
148:無線LANモジュール
149:ホストシステム
301:ノートPC
305、315、355:無線通信装置
321:移動体端末
331:メモリーカード
332:メモリーカード本体
42A〜42D:アンテナ
402:送信部
403:受信部
401:通信処理部
404:ネットワーク処理部
405:有線I/F
406:メモリ
407:サーバ
501:通信処理部
502:送信部
503:受信部
51A:アンテナ
504:アプリケーションプロセッサ
505:メモリ
506:第2無線通信モジュール

Claims (15)

  1. 複数の第1無線通信装置のうち少なくとも一部から送信される第1要求を受信する受信部と、
    前記複数の第1無線通信装置のうち、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置から2つ以上の第1無線通信装置を選択する制御部と、
    前記選択した第1無線通信装置に多重送信を行うことを指示する第1フレームを送信する送信部と
    を備えた無線通信装置。
  2. 前記制御部は、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置が搭載するセンサの特性情報に基づき、前記第1無線通信装置を選択する
    請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記センサの特性情報は、前記センサの種別、前記センサで検出されるデータの種別または用途、前記センサが設けられる位置または方向、の少なくとも1つを含む
    請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 前記制御部は、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置のうち、前記特性情報が予め定めた関係にある第1無線通信装置を選択する
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  5. 前記制御部は、選択する第1無線通信装置の多重数が、前記多重送信の最大多重数以下になるように、前記多重送信で送信させるフレームサイズが最も近い第1無線通信装置を選択する
    請求項1ないし4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  6. 前記制御部は、選択する第1無線通信装置の多重数が、前記多重送信の最大多重数以下になるように、前記多重送信で送信させるフレームに集約されているサブフレーム数が最も近い第1無線通信装置を選択する
    請求項1ないし5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  7. 前記受信部は、前記選択した第1無線通信装置のうちの1つから送信される第2要求を受信し、
    前記送信部は、前記第2要求が受信されたとき、前記第1フレームの送信を行う
    請求項1ないし6のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  8. 前記受信部は、前記第1フレームに応答して前記選択した第1無線通信装置から多重送信される複数の第2フレームを受信する
    を備えた請求項1ないし7のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  9. 前記制御部は、前記複数の第1無線通信装置のそれぞれのコンテンションウィンドウの最小値および最大値の少なくとも一方が、自装置のコンテンションウィンドウの最小値および最大値の少なくとも一方よりも大きくするよう制御する
    請求項1ないし8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  10. 前記制御部は、自装置がバックオフ前に行うキャリアセンスの固定時間の長さが、前記複数の第1無線通信装置のそれぞれがバックオフ前に行うキャリアセンスの固定時間の長さよりも短くなるよう制御する
    請求項1ないし9のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  11. 前記制御部は、自装置の起動時、自装置への初期接続を受け付ける第1モードを実行し、
    前記送信部は、前記第1モードの実行中を表す情報を送信し、
    前記制御部は、前記第1モードの実行中、前記第1無線通信装置からの初期接続の要求を待機する
    請求項1ないし10のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  12. 少なくとも1つのアンテナ
    をさらに備えた請求項1ないし11のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  13. 複数の第1無線通信装置のそれぞれが搭載するセンサの特性情報に基づき、2つ以上の第1無線通信装置を選択する制御部と、
    前記選択した第1無線通信装置に多重送信を行うことを指示する第1フレームを送信する送信部と
    を備えた無線通信装置。
  14. 少なくとも1つのアンテナ
    をさらに備えた請求項13に記載の無線通信装置。
  15. 複数の第1無線通信装置のうち少なくとも一部から送信される第1要求を受信する受信ステップと、
    前記複数の第1無線通信装置のうち、前記第1要求を送信した前記第1無線通信装置から2台以上の第1無線通信装置を選択するステップと、
    前記選択した第1無線通信装置に多重送信を行うことを指示する第1フレームを送信するステップと
    を備えた無線通信方法。
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