以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に第1の実施形態に係る無線ネットワークシステムの一例を示す。図1に示す無線ネットワークシステム100は、ハブ10と、複数のノード20、21、22とを含む。ハブ10は中央装置として動作する無線通信装置を含む。各ノードは、中央装置に対する端末として動作する無線通信装置を含む。ハブ10およびノード20〜22は、それぞれ無線通信端末の一形態である。
本実施形態では、図1の無線ネットワークシステムは、ボディネットワークであることを想定する。ボディエリアネットワークでは、各ノードおよびハブが人体に対して装着される。人体に対して装着とは、人体に直接接触する形態、服の上から装着する形態、首からかけた紐に設ける形態、ポケットの収容する形態など、人体に近接した位置に配置するあらゆる場合を含でよい。各ノードは、たとえば1つまたは複数のセンサを内蔵している。センサは、たとえば睡眠センサ、加速度センサ、心電図センサ、体温センサ、脈センサなどの生体センサが想定される。ハブは、各ノードに、ハブとの通信に必要な制御情報等を含む報知信号を無線で送信する。各ノードは、報知信号を受信してハブと接続することによりネットワークに参加する。ハブと接続した各ノードは、自ノードのセンサで取得したセンサデータをハブ10に無線で送信する。ハブは、各ノードから送信されるセンサデータを受信することで、人体の状態に関するセンサデータを収集および管理する。
本実施形態はボディエリアネットワークに限定されず、ハブとノードを配置して通信可能である限り、任意のネットワークを構築できる。たとえばハブとノードを、動物や植物等の人体以外の生体に設置してもよいし、生体以外の物体、たとえば自動車の複数箇所(たとえばボディと車輪など)に設置してもよい。
図2は実施形態1に係るハブの動作の一例を説明するためのタイミング図である。図2を用いて、ハブおよびノード間の動作を説明する。本実施形態では、ハブは、制御チャネル(「Cch」と記述することもある)と、データチャネル(「Dch」と記述することもある)とを運用チャネルとして用いて、各ノードと通信する。制御チャネルとデータチャネルは、互いに周波数帯(中心周波数)が異なるチャネルであり、チャネル幅は同じであっても、異なってもかまわない。
ハブは、制御チャネルと、データチャネルとのそれぞれで、ビーコンフレームの信号(ビーコン信号)を送信する。ビーコンフレームは、ハブが中心となって形成するネットワーク内のノードに、当該ネットワークの基本的な情報あるいは制御情報を報知する報知フレームである。ビーコンフレームは、報知フレームと呼ばれ、ビーコン信号は報知信号と呼ばれることもある。ハブは、制御チャネルとデータチャネルを運用するため、動作チャネルを2つのチャネル間で切り換えながら運用してもよい。または、ハブは、複数のチャネルを同時に運用可能なハードウェア構成を有する場合、制御チャネルとデータチャネルを同時に使用することも可能である。以下の説明では、2つのチャネルを切り換えながら運用する場合を想定する。
図2の上側には、制御チャネルのタイミング図、下側にはデータチャネルのタイミング図が示される。便宜上、制御チャネルをチャネル番号N1、データチャネルをチャネル番号N2によって識別している。上側の図および下側の図とも、横軸は時間軸である。「B」の文字が入った矩形は、ビーコン信号を表している。
上側の図で、「Cch on」が付された区間は、制御チャネルが動作していることを示し、「Cch off」が付された区間は、制御チャネルが停止していることを表す。本例では、制御チャネルが停止しているとは、具体的には、データチャネルが設定されている状態を意味する。
同様に、下側の図で、「Dch on」が付された区間は、データチャネルが動作していることを示し、「Dch off」が付された区間は、データチャネルが停止していることを表す。データチャネルが停止しているとは、具体的には、制御チャネルが設定されている状態を意味する。
ハブは、制御チャネルでは、予め定めたタイミング、例えば、一定の周期で、制御チャネル用のビーコン信号(1011、1012、1013、・・・)を送信する。制御チャネルのビーコン信号には、データチャネルに関する情報(チャネル番号、データチャネルで送信するビーコン信号の周期など)が含まれる。ビーコン信号の送信はブロードキャストによって行われるのが一般的であるが、マルチキャストによって行われることも可能である。
ハブは、データチャネルでも、予め定めたタイミング、例えば一定の周期で、データチャネル用のビーコン信号(1001、1003、1005・・・)を送信する。制御チャネルのビーコン信号の送信タイミングと、データチャネルのビーコン信号の送信タイミングは異なるが、送信周期は、それぞれ同じである。ただし、送信周期が互いに異なっていてもかまわない。データチャネルで送信するビーコン信号間を、データチャネルのビーコンインターバルと呼ぶ。
ここでデータチャネルのビーコンインターバルには、割当ベースアクセス期間(SP:Scheduled Period)、競合ベースアクセス期間(Contention Period)、および、インアクティブ期間(InActive Period)が設けられる。
割当ベースアクセス期間は、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)でノードと通信を行う期間である。TDMA方式では、期間を時間方向に複数の時間スロットに分割し、ハブが、ハブに接続している各ノードに1つ以上の時間スロットを割り当てる。各ノードは、それぞれ割り当てられたスロットで、データ等を含むフレームを送信または受信することができる。なお、時間スロットのうちどのノードにも割り当てられていないスロットを共有スロットとして用いてもよい。この場合、各ノードが、自ノードに割り当てられた時間スロット以外にも、この共有スロットを用いて、フレームを送信することが許容されてもよい。
競合ベースアクセス期間は、CSMAまたはスロット付きアロハ(slotted aloha)といった、競合ベース方式で通信を行う期間である。スロット付きアロハ方式では、期間が複数の時間スロットに分割され、各時間スロットはノード間の共有スロットとなる。ノードが送信用のデータを有する場合、乱数を発生させ、乱数に基づく確率で、当該データの送信または非送信を決定する。送信が決定された場合は、当該データを含むフレームを該当する時間スロットで送信する。非送信が決定された場合は、送信を見送る。乱数と確率の関係は、パラメータとして変更可能である。なお、競合ベースアクセス期間では、各ノードは、スロットの割り当てを受ける必要はない。一方、CSMAベース方式では、ノードが送信用のデータを有する場合、一定時間と、乱数で決めたバックオフ時間との間、キャリアセンスを行い、キャリアセンス結果がアイドルであれば、送信権を獲得し、当該データを含むフレームを送信する。
インアクティブ期間は、ノードおよびハブともに、データチャネルでの送受信を行わない期間である。
データチャネルで送信されるビーコン信号では、当該ビーコン信号の周期や、各種の情報を通知する。各種の情報の例として、全時間スロット数のうち割当済みまたは未割り当ての時間スロット数に関する情報を含んでもよい。割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間およびインアクティブ期間の位置および長さ等に関する情報は、データチャネルのビーコン信号に含めてもよいし、制御チャネルのビーコン信号に含めても良い。データチャネルのビーコン信号の長さは、制御信号のビーコン信号の長さより短く、ノードがハブとの通信を継続するために最低限もしくは少ない情報量を有する。ノードはハブに接続後は、基本的にデータチャネルのビーコン信号を受信すればよい。これにより制御チャネルのビーコン信号を監視する場合に比べて、ノードの消費電力を削減できる。
制御チャネルとビーコンチャネル間の切り替え方法、または切り替えタイミングは任意でよい。一例として、データチャネルのインアクティブ期間で、データチャネルから制御チャネルに動作チャネルを変更し、制御チャネルのビーコン信号を送信してもよい。そして、制御チャネルでビーコン信号を送信した後、同じインアクティブ期間内で、制御チャネルを再び、データチャネルに戻す。このように、インアクティブ期間で、データチャネルから制御チャネルへの切り替え、制御チャネルでのビーコン信号の送信、制御チャネルからデータチャネルへの切り替えが行われてもよい。図2ではこの場合の例が示されている。制御チャネルとデータチャネルの両方を同時に動作させることができる場合は、このような動作チャネルの切り替えを行わずに、常に両チャネルとも動作させることも可能である。
ハブは、必要に応じて、制御チャネルまたはデータチャネルを、別のチャネル(制御チャネル候補または別のデータチャネル候補)に切り換えて、他システムからの信号(干渉信号)が受信されるかを検査してもよい。すなわち、当該チャネルが空いているかを検査してもよい。また、制御チャネルまたはデータチャネルを、別のチャネル(制御チャネル候補またはデータチャネル候補)に切り換えて、他のハブからビーコン信号が受信されるかに応じて、他のハブの制御チャネルまたはデータチャネルのチャネル運用状況を検査してもよい。例えば当該チャネルで、他のハブが送信するビーコン信号を受信した場合、他のハブで運用されている制御チャネルまたはデータチャネルの情報を把握することができる。なお、他のハブが、本ハブと同じ制御チャネル(同じ周波数)を使う場合、および異なる周波数の制御チャネルを使用する場合のいずれもあり得る。同じ制御チャネルを使う場合も、ビーコン信号の送信タイミングが異なれば、両ハブとも問題なく動作可能である。
ノードが、ハブとデータ通信するためには、まずハブに接続する必要がある。ノードは、1つまたは複数の制御チャネル候補をサーチすることで、ハブが使用している制御チャネルを特定する。ハブからビーコン信号を受信した制御チャネル候補を、当該ハブの制御チャネルとして特定する。ノードは、当該制御チャネルで受信したビーコン信号を解析することで、ハブが使用しているデータチャネルの情報(データチャネル番号等)を把握する。
ノードは、動作チャネルを制御チャネルからデータチャネルに変更し、データチャネルで送信されるビーコン信号を受信する。ビーコン信号を解析することで、割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間およびインアクティブ期間の位置および長さ等を把握する。ノードは、任意のタイミングで、競合ベースアクセス期間において、ハブに接続処理を行う。任意のタイミングとして、起動時、データの送信要求が発生した場合、ユーザの指示があった場合等がある。ノードは、接続処理として、接続要求フレームを含む信号である接続要求信号(C−Req)をハブに送信し、接続応答フレームを含む接続応答信号(C−Ass)をハブから受信することで、ハブとの接続を確立する。ハブは、接続要求を許可したノードに対し、割当ベースアクセス期間での時間スロットを割り当て、接続応答信号に、当該割り当てた時間スロットの情報を含める。
ノードは、ハブと接続した以降は、基本的には、データチャネルを動作チャネルに設定しておく。ノードは、データチャネルにて、センサデータ等のデータの送信、およびハブからの当該データに対する送達確認応答フレームの受信などを行う。また、ノードは、データの送信または受信が行われない間は、低消費電力の状態であるスリープ状態に遷移してもよい。スリープ状態では、送信部または受信部(図5参照)等の回路への電力供給を停止または低減したり、クロック周波数を低減したりすることで、低消費電力化を図ることができる。
ここで、本実施形態は、使用する制御チャネルまたはデータチャネルまたはこれらの両方を決定する方法に特徴の1つを有する。本システムでは、周波数帯域として、ISM(Industry−Science−Medical)バンドと、Medical band(M−band)とを用いることを想定する。Mバンドは、特定の医療、ヘルスケア機器、および、生体センサ等のウェアラブルデバイス用途向けの医療用バンドである。産業、科学および医療目的のISMバンドに比べて、医療目的に使用用途が制限されている。すなわち、Mバンドは、ISMバンドに比べて使用用途が狭い。また、Mバンドは、規定されていない国も存在し、規定されている国でも、国毎に周波数帯域が異なっている。また国によっては使用場所等の制限も課せられている。また、Mバンドには、ISMバンドとは異なる通信方式の制限が課せられている場合もあり得る。
図3(A)に米国(USA)およびヨーロッパ(EP)のMバンドと、ISMバンドとの関係を、一例として示す。図3(B)に中国のMバンドを、一例として示す。これらのバンドはかならずしも固定ではなく、将来変わる可能性もある。米国のMバンドは、2.36GHz〜2.40GHzである。このうち、2.36GHz〜2.39GHzは、屋内のみ使用可能であり、2.39〜2.40は、屋外でも使用可能である。ヨーロッパでは、Mバンドは、2.4385GHz〜2.5GHzである。米国のような場所依存の制約は存在しない。2.40〜2.485は、ISMバンドである。中国では、3つの分離した箇所に、Mバンドが配置されている。各Mバンドはそれぞれの中心周波数の値によって識別されるようになっている。
M−bandは、医療関連の使用に制限されるため低干渉が期待できる反面、ISMに比べて周波数帯域幅が狭い。このため、ISMバンドに比べて、確保可能な候補チャネル数が少ない。例えば、SmartBANで現在規定している2MHzチャネル幅の場合、7チャネルのみしか確保できない。したがって、医療関連の様々なシステムが全て、M−bandを用いることは難しい。そこで、本実施形態では、基本的に、制御チャネルのみをMバンドで運用し、データチャネルはISMバンドで運用する。制御チャネルは、ハブが形成するネットワークの基本的な情報あるいは制御情報を通知するチャネルであるとともに、ノードがハブに接続するために必要なデータチャネルの情報を通知するチャネルである。このため、制御チャネルは、安定して運用できること、つまり、より干渉が無い方が望ましい。
以下、ハブに搭載される無線通信装置、およびノードに搭載される無線通信装置の基本的な構成および動作について説明する。
図4は、本実施形態のハブに搭載される無線通信装置の例を示すブロック図である。図4の無線通信装置は、アンテナ10、PHY&RF部20、MAC部30および上位処理部40を備える。PHY&RF部20は、送信部21と受信部22を含み、MAC部30は、送信処理部31、受信処理部32、アクセス制御部33およびチャネル制御部34を含む。
アクセス制御部33は、ISMバンドおよびMバンドにつき、チャネルサーチを行って、使用する制御チャネル、および使用するデータチャネルを決定する。
例えば、Mバンドに設定された制御チャネル候補の1つを送信部21および受信部22に設定し、ボディエリアネットワークシステム以外の他のシステムからの信号(干渉信号)があるか、あるいは、ボディエリアネットワークシステムの他のハブからのビーコン信号が受信されるかなどを調べることで、当該制御チャネル候補が空いているかを判断する。そして、空いている制御チャネル候補の中から制御チャネルに決定する。ISMバンドに、制御チャネル候補が設定されている場合に、同様にして、当該制御チャネル候補のチャネルサーチを行って、空いている制御チャネル候補を検出しても良い。ISMバンドでの制御チャネル候補のチャネルサーチは、Mバンドで制御チャネルが見つからなかった場合に行っても良い。
また、アクセス制御部33は、ISMバンドに設定されているデータチャネル候補をチャネルサーチして、空いている候補を探しても良い。つまり、送信部21および受信部22に任意の1つのデータチャネル候補を設定し、ボディエリアネットワークシステム以外の他のシステムからの信号(干渉信号)があるか、あるいは、ボディエリアネットワークシステムの他のハブからのビーコン信号が受信されるかなどを調べることで、当該データチャネル候補が空いているかを判断する。空いているデータチャネル候補の中から、データチャネルを決定する。Mバンドにデータチャネル候補が設定されている場合に、Mバンドに設定されているデータチャネル候補のチャネルサーチを行っても良い。Mバンドでのデータチャネル候補のチャネルサーチは、ISMバンドでデータチャネルが見つからなかった場合に行っても良い。
ここで、アクセス制御部33は、Mバンドを特定するため、ハブが位置する国に関する情報を上位処理部40から取得し、現在位置している国にMバンドが規定されているかを判断してもよい。例えば国とMバンドとを対応づけた対応情報を記憶装置から取得し、対応情報に、現在位置している国が登録されている場合は、当該対応情報から当該国に対応するMバンドを決定してもよい。上位処理部40は、ボディエリアネットワークシステムとは別のシステムと通信する別の無線通信部を介して、外部装置と通信して、国に関する情報を取得してもよい。例えば、上位処理部40は、GPS機能を利用して、当該国に関する情報を取得してもよいし、ユーザの保持するスマートフォン等の移動体機器との通信により、当該情報を取得してもよい。ここではMバンドの規定の有無が国単位で存在する場合の他、地域または位置ごとにMバンドの規定の有無があってもよく、この場合も同様にしてMバンドを特定してもよい。
アクセス制御部33は、使用中の制御チャネル、および使用中のデータチャネルの少なくとも一方について、電波状況を検査して、制御チャネルの使用条件、データチャネルの使用条件を満たすかに応じて、当該制御チャネルおよびデータチャネルの少なくとも一方を、継続して使用するか(別の制御チャネル候補および別のデータチャネル候補に変更するか)を判断してもよい。これらの使用条件を満たすかの判断の詳細は後述する。
アクセス制御部33は、制御チャネルおよびデータチャネルのアクセスを管理する。データチャネルでは、割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間、インアクティブ期間ごとにアクセス管理を行う。割当ベースアクセス期間ではTDMA方式、競合ベースアクセス期間では、スロット付アロハ方式またはCSMA/CA等の方式に従って通信を行う。
アクセス制御部33は、チャネル制御部34を介して送信部21および受信部22にチャネル設定を行う。チャネル制御部34は、アクセス制御部33から指示されたチャネルを送信部21または受信22またはこれらの両方に設定する。送信部21および受信部22が、複数のチャネルを同時に処理できるときは、それぞれ制御チャネルとデータチャネルの両方を設定してもよい。送信部21および受信部22に1つのチャネルのみ設定できるときは、アクセス制御部33は、制御チャネルおよびデータチャネルを適宜切り換える。アクセス制御部33は、制御チャネルでのビーコン信号の送信、およびデータチャネルでのビーコン信号の送信を、それぞれ所望タイミング(一定周期など)で行うよう制御する。アクセス制御部33は、ビーコン信号を送信する場合、ビーコン信号の送信を送信処理部31に指示し、送信処理部31が、当該指示に従って、制御チャネルまたはデータチャネル用のビーコンフレームを生成し、生成したビーコンフレームを送信部21へ出力する。
送信部21は、チャネル制御部34により設定されたチャネルを動作チャネルとして、送信処理部31から入力されたフレームの送信を行う。具体的に、送信部21は、送信処理部31から入力されたフレームに対し、所望の物理層の処理を行う。物理層の処理後のフレームに対し、D/A変換や無線周波数へのアップコンバート等を行って無線周波数のアナログ信号を生成し、アンテナ10を介してアナログ信号を空間に電波として出力する。
アクセス制御部33は、インアクティブ期間の開始をトリガーに、チャネル制御部33を介して制御チャネルへチャネル変更して、制御チャネルのビーコン信号を送信するよう制御してもよい。また、アクセス制御部33は、制御チャネルでのビーコン信号の送信完了後、チャネル制御部34に対し、データチャネルでのビーコン信号の送信に間に合うように、データチャネルへのチャネル変更の指示を出力してもよい。チャネル制御部34は、当該指示に基づいて、送信部21および受信部22の動作チャネルを、データチャネルに変更する。なお、本実施形態ではアクセス制御部33は、チャネル制御部34を介して、送信部21および受信部22のチャネル設定を制御しているが、チャネル制御部34を省き、アクセス制御部33が直接、送信部21および受信部22のチャネル設定を制御してもよい。なお、Mバンドの通信では、信号の送信前に少なくとも一定時間の間キャリアセンスをして送信権を獲得することが要求されている場合もあり得る。この場合にビーコン信号を送信する前にキャリアセンスを行い、送信権を獲得した後で、ビーコン信号を送信するものとする。
送信部21および受信部22の設定チャネルをデータチャネルに変更後、アクセス制御部33は、予め定められたタイミングにおいて、データチャネルでビーコン信号を送信するよう制御する。
アクセス制御部33は、ビーコン信号の送信に続くビーコン信号間隔を、割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間およびインアクティブ期間の3つの期間に分けて管理および制御する。割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間の長さ等は、データフレームのビーコン信号にて通知してもよい。割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間が、事前にシステムまたは仕様等で決まっていてもよい。この場合、これらの期間を変更する場合、データチャネルのビーコン信号でこれらの期間の変更を通知してもよい。
ハブは、データチャネルを別のデータチャネル候補に変更することを判断したとき、データチャネルまたは制御チャネルのビーコン信号で、変更後のデータチャネルに関する情報を通知してもよい。
受信部22はアンテナ10を介して信号を受信し、受信処理を行って、処理後のフレームを受信処理部32へ出力する。受信処理としては、たとえば無線周波数からベースバンドへの変換やA/D変換、A/D変換後のフレームの物理ヘッダの解析や復調処理など所望の物理層処理を含んでもよい。受信処理部32は、処理後のフレームを解析する。ノードからの接続要求フレームの場合、受信処理部32はフレーム解析するとともに、アクセス制御部33に接続要求フレームの解析結果を通知する。アクセス制御部33は、ノードの接続要求に対する応答判断を行い、判断結果に応じて、送信処理部31に接続応答フレームの送信を指示する。この際、接続要求フレームに、ノードが対応するセンサ種別もしくは、それに類似する情報が含まれていた場合、アクセス制御部33は、上位処理部40に情報を通知し、上位処理部40にて、ノードへ割り当てる時間スロットの個数および位置等を判断しても構わない。この場合、接続応答フレームには、ノードに割り当てた時間スロットに関する情報を含める。受信処理部32は、MACヘッダの解析等により、受信したフレームがデータフレームであると判断した場合は、当該データフレームのデータを上位処理部40へ出力する。
なお、ハブからノードへ個別に送信するデータがあるときは、上位処理部40はそのデータを、送信処理部31に渡す。アクセス制御部33は、ノードに対して任意の方法(たとえばデータチャネルのビーコン信号を用いた方法)で割当ベースアクセス期間に確保したダウンリンク用の時間スロットで、当該データの送信を送信処理部31に指示する。送信処理部31は、当アクセス制御部33からの指示に応じて、該データを含むデータフレームを生成して、送信部21に出力する
図5に、本実施形態に係るノードが備える無線通信装置のブロック図を示す。図5の無線通信装置は、アンテナ110、PHY&RF部120、MAC部130および上位処理部140を備える。PHY&RF部120は、送信部121と受信部122を含み、MAC部130は、送信処理部131、受信処理部132、アクセス制御部133およびチャネル制御部134を含む。上位処理部140は、センサデータおよびセンシング時刻などのセンシング情報を取得する機能を有していてもよい。
アクセス制御部133は、MバンドおよびISMバンドの少なくとも一方をチャネルサーチして、制御チャネルを検出する。例えばMバンドに設定された制御チャネル候補のうちの1つを受信部122に設定するようチャネル制御部134に指示し、チャネル制御部134は当該1つの制御チャネル候補を受信部122に設定する。アクセス制御部133は、当該制御チャネル候補で、受信部122および受信処理部132を介してハブからのビーコン信号を受信した場合は、当該候補を制御チャネルとして把握する。また、ISMバンドに設定されているデータチャネル候補のうちの1つを受信部122に設定し、当該データチャネル候補でハブからのビーコン信号を受信できた場合は、当該候補を制御チャネルとして把握してもよい。なお、ISMバンドに制御チャネル候補が設定されていない場合もあり得る。アクセス制御部133は、制御チャネルでビーコン信号を受信し、当該ビーコン信号を解析することで、データチャネルに関する情報を取得する。アクセス制御部133は、チャネル制御部134を介して、データチャネルを送信部121および受信部122に設定する。アクセス制御部133は、データチャネルで受信するビーコン信号を解析することで、割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間の位置および長さ等を把握する。
アクセス制御部133は、Mバンドが事前に指定されていない場合は、Mバンド候補のそれぞれでチャネルサーチをして、制御チャネルの検出を試みてもよい。また、上位処理部140を介して、ノードが位置している国に関する情報を取得して、国とMバンドとの対応情報から、当該国でMバンドが規定されているかを判断してもよい。Mバンドが規定されている国の場合は、当該国に対応するMバンドで、制御チャネルのチャネルサーチを行ってもよい。Mバンドが規定されていない国の場合は、ISMバンドのチャネルサーチで、制御チャネルの検出を試みてもよい。
上位処理部140は、起動時または送信データ発生時など、所定のタイミングで、接続要求をアクセス制御部133に発行する。アクセス制御部133は、上位処理部140からの接続要求に基づき、例えば競合ベースアクセス期間において、接続要求フレームの送信を、送信処理部131に指示する。送信処理部131は、接続要求フレームを生成して送信部121に出力する。送信部121は、接続要求フレームに対して所望の物理層の処理を行う。送信部121は、物理層の処理後のフレームに対し、D/A変換および無線周波数へのアップコンバート等を行って、送信信号(接続要求信号)を生成する。送信部121は、送信信号をアンテナ110を介して空間に電波として出力する。アクセス制御部133は、ハブから送信される接続応答信号の受信を待機する。受信部122は、アンテナ110を介して信号を受信し、受信処理を行って、処理後のフレームを受信処理部132へ出力する。受信処理は、たとえばベースバンドへの周波数変換、A/D変換、A/D変換後のフレームの物理ヘッダの解析や復調処理など、所望の物理層処理を含む。受信処理部132は、当該処理後のフレームを解析して、接続応答フレームであることを検出した場合、接続応答フレームに含まれる情報をアクセス制御部133に通知する。これにより、アクセス制御部133は、例えば自ノードに割当られた時間スロットの個数および位置等を把握および管理する。
上位処理部140は、送信するデータを送信処理部131に出力し、送信要求をアクセス制御部133に出力する。データとしては、たとえば生体センサ等のセンサにより取得されたセンサデータ、アプリケーションによりセンサデータを処理した結果、または、現在のノードの状態等があるが、これらに限定されない。なお、上位処理部140は、データとともにデータ種別を出力してもよい。データ種別は、たとえばノードが搭載するセンサの種類でもよいし、センサデータの値から決まる重要度でもよい。あるいは、データ種別は、センサが異常か正常かを表す値でもよい。データ種別は、当該データが優先的に送信するべき緊急データかを判断するために用いてもよい。
アクセス制御部133は、データの送信要求を受けると、送信処理部131へデータの送信を指示する。送信処理部131は、上位処理部140から受けたデータを含むデータフレームを生成し、アクセス制御部133から指示されたタイミングでデータフレームを送信部120に出力する。データの送信は、割当ベースアクセス期間内の自ノードに割り当てられている時間スロット、または競合ベースアクセス期間内で行うように、アクセス制御部133は、送信タイミングを制御する。例えば現在のビーコンインターバルで自ノードの時間スロットでの送信に間に合う場合は、当該時間スロットで送信し、間に合わない場合でかつ、競合ベースアクセス期間内での送信に間に合う可能性がある場合は、競合ベースアクセス期間で送信を試みる。割当ベースアクセス期間内で自ノードに割り当てられていない時間スロットで、空いている時間スロットが存在すれば、当該時間スロットで、データを送信することも可能である。当該時間スロットでの送信を、緊急データに限定してもよい。競合ベースアクセス期間内で緊急データを送信する場合、通常のデータよりも高い確率で送信できるように制御してもよい。例えば、スロット付アロハ方式の場合は、送信確率が高くなるようにパラメータを設定してもよい。また、CSMA/CA方式の場合、Contention windowまたはBackoff値またはこれらの両方を、通常のデータよりも小さく設定してもよい。
また、アクセス制御部133は、上位処理部140から送信要求が一定期間の間入力されない場合など、送信を行う予定がない場合は、自ノードをスリープ状態に遷移させてもよい。例えば送信部121および受信部120の少なくとも一方の動作を停止(電力供給を停止または制限)してもよい。
アクセス制御部133は、自ノードが位置する国に関する情報を上位処理部140から取得し、現在位置している国にMバンドが設定されているかを判断してもよい。例えば国と、Mバンドとを対応づけた対応情報を記憶装置から取得し、現在位置している国が登録されている場合は、対応情報から当該国に対応するMバンドを特定してもよい。例えば、上位処理部40は、図示しない別の無線通信部を介して、外部装置から国に関する情報を取得してもよい。上位処理部40は、GPS機能を利用して、当該情報を取得してもよいし、ユーザの保持するスマートフォン等の移動体機器との通信を介して、当該情報を取得してもよい。
以下、ハブが制御チャネルおよびデータチャネルを決定する動作の詳細について説明する。
図6は、ハブが制御チャネルおよびデータチャネルを選択する動作の一例を示すフローチャートである。Mバンドには制御チャネル(Cch)の候補が事前に複数設定されており、ISMバンドにはデータチャネル(Dch)の候補が事前に複数設定されている。
ハブは、Mバンドの複数の制御チャネル候補から、1つの候補を制御チャネルとして選択する(S11)。例えば制御チャネル候補のチャネルスキャンを行い、空いている候補を選択してもよい。空いている候補は、例えば他のハブからビーコン信号が受信されず、他システムからの干渉信号も観測されない候補でもよい。ただし、他のハブからビーコン信号が受信される候補であっても、ビーコン信号の送信タイミングが異なれば、干渉なく使用できる場合もある。このため、ビーコン信号の送信可能な期間が存在すれば、空いている候補として選択してもよい。制御チャネルを選択したハブは、制御チャネルで送信するビーコン信号の送信周期、および送信タイミング等を決定する。送信周期および送信タイミングは、例えば規格またはシステムで定められた複数の候補の中から選択してもよいし、任意に決定してもよい。
また、ハブは、ISMバンドの複数のデータチャネル候補から、1つ候補をデータチャネルとして選択する(S12)。例えばデータチャネル候補のチャネルスキャンを行い、空いている候補を選択してもよい。データチャネルでは、周期的なビーコン信号の送信だけでなく、各ノードと個別に通信するチャネルでもあるため、隣接する他のハブも選択していないチャネルを選択することが望ましい。ただし、隣接する他のハブとの間で連携して、ビーコン信号の送信タイミングをずらすとともに、割当ベースアクセス期間が重複しないように設定するなどの工夫をすることで、同じデータチャネルを選択することもあり得る。
ハブは、ステップS11で選択した制御チャネルと、ステップS12で選択したデータチャネルを運用して、それぞれで周期的にビーコン信号を送信する。また、ノードから接続要求信号を受けた場合は、時間スロットの割り当て等を行い、時間スロットを用いてノードとデータ通信を行う。例えば当該時間スロットで、ノードからセンサデータを含むデータフレームを受信し、受信に成功した場合は、送達確認応答フレーム(ACKフレーム)を返す(S13)。
ハブは、外部から動作の停止(例えば電源オフ)等の指示を受けた場合は、本処理を終了する(S14)。例えばユーザから、電源オフの指示が入力インターフェースを介して入力される場合がある。
ハブは、定期的または任意のタイミングで、制御チャネルの電波状況が使用条件を満たすかに応じて、現在の制御チャネルを継続して使用するか、すなわち制御チャネルを別の候補に変更するかを判断する(S15)。
例えば制御チャネルでビーコン信号を送信する前にキャリアセンスをして送信権を獲得する必要がある場合、キャリアセンスのビジー率を、電波状況を表す情報として取得してもよい。例えばキャリアセンスがビジーとなって、ビーコン信号が送信できなかった(あるいは、送信タイミングが遅れた)回数をカウントし、当該ビジーの回数と、ビーコン信号の送信を試みた回数の比率で、ビジー率を計算してもよい。ビジー率が閾値を越える場合は、使用条件を満たさない(干渉がある等)として、制御チャネルを別の候補に、変更することを決定してもよい。
または、当該制御チャネルと同じチャネルで、他のハブから送信されるビーコン信号を観測し、観測されるビーコン信号数を、電波状況を表す情報として取得してもよい。ビーコン信号数が閾値を超える場合に、使用条件を満たさない(干渉がある、または干渉が起こる可能性が高い等)として、制御チャネルを別の候補に、変更することを決定してもよい。
または、ボディエリアネットワークと異なる他のシステムから送信される信号を受信する回数または時間の長さを、電波状況として測定してもよい。制御チャネルのビーコン信号の送信間隔の間に、当該他システムからの信号が受信される回数または時間長(または当該回数の平均等の統計値、時間長の平均値等の統計値)が閾値を超える場合に、使用条件を満たさない(干渉がある、または干渉が起こる可能性が高い)と判断して、制御チャネルを別の候補に変更することを決定してもよい。なお、他のシステムから送信される信号の識別に関して、例えば当該信号の復号に失敗した場合に、他のシステムから送信された信号と判断してもよい。
ハブは、制御チャネルを変更しないと判断したときは、現在の制御チャネルを継続して運用する。一方、制御チャネルを変更すると判断したときは、チャネルサーチ等によりMバンドから他の空いている制御チャネル候補を選択し、選択した候補に制御チャネルを変更する(S16)。制御チャネルを変更する場合、各ノードに、変更後の制御チャネルの番号、変更のタイミング等の情報を、変更前の制御チャネルのビーコン信号、もしくはデータチャネルのビーコン信号、またはこれらの両方で通知する。変更後の制御チャネルでのビーコン信号の送信タイミングおよび送信周期は、変更前と同じでもよいし、送信タイミングおよび送信周期の少なくともいずれか一方が変更されてもよい。
このように、制御チャネルを、ISMバンドに比べて使用制限のあるMバンドから選択し、データチャネルをISMバンドから選択することで、制御チャネルをより干渉の少ない環境で、安定して運用することができる。例えば新たにノードが追加された場合に、当該ノードが制御チャネルでビーコン信号を受信できずに、ハブに接続できないといった状況を防止できる。
図6の動作フローでは、Mバンドにのみ制御チャネルの候補を用意しておき、制御チャネルを常にMバンドから選択したが、ISMバンドにも制御チャネルの候補を用意しておき、ISMバンドから優先的に制御チャネルを選択することも可能である。ISMバンドから制御チャネルを選択することで、Mバンドを節約することができる。この場合の動作のフローチャートを図7に示す。
前提として、Mバンドには制御チャネルの候補が事前に複数設定されており、ISMバンドには制御チャネルの候補と、データチャネルの候補が、事前にそれぞれ複数設定されている。なお、MバンドおよびISMバンドにおいて、制御チャネルの候補が複数でなく、1つのみ設定されている場合もありうる。
ハブは、ISMバンドの複数の制御チャネル候補から、1つの制御チャネルを選択する(S11)。制御チャネルの選択方法は任意でよい。例えば制御チャネル候補のチャネルスキャンを行い、空いている候補を選択してもよい。空いている候補は、例えば他のハブからビーコン信号が受信されず、ボディエリアネットワークと異なる他のシステムからの干渉信号も観測されない候補でもよい。ただし、他のハブからビーコン信号が受信される候補であっても、ビーコン信号の送信タイミングが異なれば、干渉なく使用できる場合もある。このため、ビーコン信号の送信可能な期間が存在すれば、空いている候補として選択の対象としてもよい。制御チャネルを選択したハブは、制御チャネルで送信するビーコン信号の送信周期、および送信タイミング等を決定する。送信周期および送信タイミングは、例えば規格またはシステムで定められた複数の候補の中から選択してもよいし、自律的に決定してもよい。
ステップS22、S23、S24、S25は図6のフロート同様であるため、説明を省略する。
ステップS25で、使用条件を満たさないとして制御チャネルを変更すると判断した場合、Mバンドから制御チャネルの候補を選択する(S26)。または、ISMバンド内の他の候補が空いているときは、その候補を選択し、すべての候補が空いていないときは、Mバンドから制御チャネルの選択を行うようにしてもよい。これにより、Mバンドをより節約することができる。
図7の動作フローでは、ISMバンドから優先的に制御チャネルを選択したが、変形例として、ステップS21でMバンドから制御チャネルを選択し、ステップS26でISMバンドから制御チャネルを選択するようにしてもよい。この場合の動作フローを図8に示す。
図8のステップS21−1では、Mバンドから制御チャネルを選択し、ステップS26−1では、ISMバンドから制御チャネルを選択する。他のステップは図7と同様である。なおステップS26−1では、Mバンドに他の候補が空いているときは、その候補を選択し、Mバンドに空いている候補が存在しないときは、ISMバンドから制御チャネルの選択を行うようにしてもよい。このように動作することで、Mバンドの候補が空いていない場合も、ISMバンドから制御チャネルをすることで、制御チャネルの運用を継続できる。
図6〜図8の動作フローでは、データチャネルはISMバンドから常に選択したが、Mバンドにもデータチャネル候補を1つまたは複数、設定しておき、ISMバンドの候補に空いている候補が存在しないときは、Mバンドのデータチャネル候補からデータチャネルを選択するようにしてもよい。この場合の動作フローを図9に示す。この例では、図7の動作フローに対して新たなステップS31、S32、S33を追加している。図6または図8の動作フローにも、同様のステップを追加して、図7と同様の変形を図ることも可能である。
ステップS25で制御チャネルを変更しないと判断された後、データチャネルの電波状況が使用条件を満たすかに応じて、ステップS31で現在のデータチャネルを継続して使用するか、すなわちデータチャネルを別の候補に変更するかを判断する(S31)。
例えば、フレーム誤り率を測定し、フレーム誤り率が一定値以上の場合に、使用条件を満たさない(干渉がある等)として、データチャネルを変更すると決定してもよい。フレーム誤り率は、ハブに接続している複数のノードに対するフレーム誤り率の平均でもよいし、いずれか1台のノードのフレーム誤り率でもよい。
また、当該データチャネルで信号を観測し、インアクティブ期間で一定強度以上の干渉信号が観測される場合、使用条件を満たさない(干渉がある、または干渉が起こる可能性が高い等)として、データチャネルを変更すると決定してもよい。このような一定強度以上の干渉信号が複数のビーコンインターバルで連続して観測された場合に、データチャネルを変更すると決定してもよい。これにより一時的な要因で干渉信号が発生した場合に、データチャネルを変更することを防止できる。
また、当該データチャネルで、他のハブのビーコン信号が観測された場合に、使用条件を満たさない(干渉がある等)として、データチャネルを別の候補に変更することを決定してもよい。
データチャネルを別の候補に変更すると判断した場合、ハブは、ISMバンド内に他の空いている候補が存在するかをチャネルスキャンで判断し、他の候補が存在するときは、その候補を選択する。(ステップS32)。チャネルスキャンで調べる候補は、すべての候補でもよいし、一定数の候補でもよいし、予め決められた方法で決めた候補でもよい。例えばISMバンドに37個のデータチャネル候補が存在する場合に、現在のデータチャネルを除く36個をチャネルスキャンしてもよいし、ランダムに決めた一定数の候補をスキャンしてもよいし、予め決められた番号(例えば現在のデータチャネルの番号)のデータチャネルから一定数置きの番号の候補をスキャンしてもよいし、これら以外の方法でスキャンする候補を決めても良い。候補の決め方はハブで任意に決めてもよいし、規格または仕様で事前に決められていてもよい。
ISMバンド内に空いている候補が存在しない場合は、Mバンドのデータチャネル候補からデータチャネルを選択する(S33)。例えばステップS22と同様の方法で、チャネルスキャンを行い、空いている候補をデータチャネルとして選択する。
このように、ISMバンドからデータチャネルを確保できない場合に、Mバンドからデータチャネルを確保することで、ハブとノードとのデータ通信を継続できる。
ステップS31、S32では、ISMバンドに空いている他の候補があるかどうかで、データチャネルをMバンド内のチャネルに切り換えるかを判断したが、ハブの通信負荷に応じて、データチャネルをMバンド内のチャネルに切り換えるかを判断してもよい。この場合の動作フローを図10に示す。図9のステップ31、S31がステップS41に変更されている。
例えばハブに接続しているノード数が多い場合、または割当ベースアクセス期間に占める割当済みの時間スロット数が多い場合などは、ハブの通信負荷が大きく、効率的な通信が望まれる。このような場合に、干渉が多く、受信エラーが頻発すると、データの再送が増加し、ハブの通信負荷が増大するとともに、システム効率が低下する。したがって、このような場合は、安定した運用が期待できるMバンドのデータチャネルに切り換えることが望ましい。そこで、ステップS41で、ノードとの通信状況に応じて、ハブの通信負荷が大きいかどうかを判断し、通信負荷が大きい場合には、Mバンドからデータチャネルを選択し、選択したデータチャネルに切り換えることを決定してもよい。例えば、ハブに接続しているノード数が閾値以上の場合は、Mバンドのデータチャネル候補からデータチャネルを選択して、選択したデータチャネルに切り換えることを決定してもよい。または、割当ベースアクセス期間に占める割当済みの時間スロット数が閾値以上の場合は、Mバンドのデータチャネル候補からデータチャネルを選択し、選択したデータチャネルに切り換えることを決定してもよい。ここで述べた以外の方法でハブの負荷を把握してもよい。
図6〜図10での動作フローの説明では、ISMバンドとMバンドの両方が規定されていることを前提としたが、Mバンドが規定されていない国も存在する。また、Mバンドが規定されている国でも、Mバンドの位置が国によって異なる。そこで、図6の動作フローの変形例として、ハブはMバンドの有無を特定し、Mバンドを特定できたときは、制御チャネルをMバンドから選択し、Mバンドを特定できなかったときは、ISMバンドから制御チャネルを選択する。図11に、この場合の動作フローを示す。図6の動作フローに対して、ステップS51、S52、S53、S54が追加されている。図6と同一または対応するステップには同一の参照符号を付してある。
ハブは、まずMバンドの有無を特定する(S51)。例えばハブは国と、Mバンドとの対応情報を保持している場合、自装置が位置している国を特定する情報を取得する。そして、当該情報が示す国が対応情報に登録されている場合は、対応情報からMバンドを特定する。当該国が対応情報に登録されていない場合は、Mバンドを特定できない(Mバンドは存在しない)と判断する。具体例として、ハブがGPSを搭載している場合に、GPSで位置情報を取得し、位置情報から国を特定してもよい。またはボディエリアネットワークとは別のシステム(例えば無線LAN)にハブが接続可能なときは、当該別のシステムから国に関する情報を取得してもよい。例えば無線LANに接続可能なときは、無縁LANのアクセスポイントが定期的に送信するビーコンフレームを受信し、当該ビーコンフレームに情報エレメントとして国が記載されている場合は、ビーコンフレームから国を特定してもよい。また、ハブが、ユーザが保持する移動体端末(例えばスマートフォン)に接続可能なときは、当該移動体端末から国情報を受信してもよい。なお、国の識別は、国名またはそれに応じた識別子で特定されてもよいし、経度と緯度の範囲で行ってもよい。ここでは国を例に述べたが、地域または位置に応じてMバンドの有無等がある場合も、同様にして判断を行ってもよい。地域の識別は、経度と緯度の範囲で特定されてもよいし、名称によって特定されてもよい。
Mバンドの有無を特定する別の具体例として、ハブにMバンドの候補を複数個事前に設定しておき、各候補をそれぞれチャネルスキャンして、ボディエリアネットワークの制御チャネルを検出できるかを調査してもよい。制御チャネルを検出できたときは、その検出した制御チャネルが属するMバンドを、現在利用可能なMバンドとして特定してもよい。
ハブは、Mバンドを特定できたときは、当該Mバンドの制御チャネル候補から制御チャネルを選択し(S11)、Mバンドを特定できなかったときは、ISMバンドの制御チャネル候補から制御チャネルを選択する(S52)。
またステップS15で、制御チャネルの変更が決定された場合、Mバンドが特定されている場合は(S53のYes)、Mバンドの他の候補から制御チャネルを特定し(S16)、Mバンドが特定されていない場合は(S53のNo)、ISMバンドの他の制御チャネル候補から制御チャネルを選択する(S54)。
このように、Mバンドを特定できる場合は、Mバンドから制御チャネルを選択し、Mバンドを特定できない場合は、ISMバンドから制御チャネルを選択することで、利用可能なバンド(周波数帯域)に応じて制御チャネルを適切に決定できる。
図12は、本実施形態に係るノードの動作例のフローチャートである。ノードはハブが使用する制御チャネルを特定するため、1つまたは複数のMバンド候補のうちの1つで、制御チャネルのチャネルサーチを行う(S71)。一例として、Mバンド候補ごとに、制御チャネル候補が予め定められており、各候補でビーコン信号を受信できるかで、サーチを行う。制御チャネルを発見できたときは(S72)、その制御チャネルで受信したビーコン信号に基づき、データチャネルを把握する。制御チャネルを発見できなかったときは、まだチャネルサーチしていない他のMバンド候補が存在するかを判断し(S73)、存在する場合は、他のMバンド候補から1つのMバンドを特定し、制御チャネルのチャネルサーチを行う(S74)。制御チャネルを発見できたときは(S72)その制御チャネルで受信したビーコン信号に基づき、データチャネルを把握する。制御チャネルを発見できなかったときは、すべてのMバンド候補でチャネルサーチを行うまで、同様の処理を繰り返す。いずれのMバンド候補でも制御チャネルを見つけることができなかったときは、Mバンドは存在しないと判断し、ISMバンドでチャネルサーチをして(S75)、ISMバンドから制御チャネルを発見する。一例として、ISMバンドで制御チャネル候補は1つまたは複数予め定められており、各候補のうちビーコン信号を受信できた候補を、制御チャネルとして特定する。
ここで、ノードは、ステップS71でMバンド候補を特定する際、現在、ノードが位置している国に関する情報を取得して、国とMバンドとの対応情報から、当該国でMバンドが規定されているかを判断してもよい。Mバンドが規定されている国の場合は、対応情報において当該国に対応するMバンドで、制御チャネルのチャネルサーチを行ってもよい。制御チャネルが見つからなかった場合は、ISMバンドでチャネルサーチ(S75)を行えばよい。
図6〜図12の動作フローでは、制御チャネルをMバンドから選択する場合、およびISMバンドから選択する場合を述べた。またデータチャネルをMバンドから選択する場合、およびISMバンドから選択する場合を述べた。ここでバンドによっては、ハブおよびノードの動作条件が設定されている場合がある。したがって、ハブおよびノードは、使用するバンドに応じて、当該動作条件を満たすように、制御チャネルまたはデータチャネルまたはこれらの両方を運用する。
例えばハブがビーコン信号を送信する際、Mバンドでは送信前に一定時間キャリアセンスを行うことが規定されているが、ISMバンドではそのような条件が規定されていないものとする。この場合、ハブは、ISMバンドでは、予め定めたタイミングでビーコン信号を送信し、一方、Mバンドでは、当該タイミングの一定時間前からキャリアセンスを行い、キャリアセンス結果がアイドルであれば、当該タイミングでビーコン信号を送信し、ビジーの場合は、ビーコン信号を送信しない、もしくはアイドルになるまでビーコン信号を送信しないよう動作する。なお、キャリアセンスのビジーまたはアイドルの判断方法として、例えばキャリアセンスを行っている期間の平均受信電力が閾値を超えている場合にビジー、閾値以下の場合にアイドルと判断してもよい。これ以外の方法で、ビジーまたはアイドルを判断してもよい。
ここではバンドごとの動作条件として、ビーコン信号送信前のキャリアセンスの有無を述べたが、これ以外の動作条件が定められていてもよい。例えば、MバンドとISMバンドとで、データチャネルにおける割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間およびインアクティブ期間の長さが異なっていても良い。また、割当ベースアクセス期間、競合ベースアクセス期間およびインアクティブ期間の配置順序が異なってもよい。また、競合ベースアクセス期間またはインアクティブ期間の有無が異なってもよい。
また、MバンドとISMバンドとで、競合ベースアクセス方式の期間でのノードのキャリアセンス時間の長さが異なっていてもよい。例えばMバンドの方が、ISMバンドよりも、キャリアセンス時間が長く設定されていてもよい。この場合、ノードは、キャリアセンス時間を、使用されているバンドに応じて、切り換えるものとする。
本実施形態では、ISMバンドと、Mバンドとの2つのバンドを主に想定したが、これら以外の周波数帯域を用いてもかまわない。使用制限の異なる複数の周波数帯域であれば、本実施形態は同様にして適用可能である。使用制限の強い方の周波数帯域はMバンド、使用制限の弱い方の周波数帯域はISMバンドに対応づけて、これまでと同様の動作が可能である。また、ISMバンドは2.4GHz帯域でなく、10.3MHz帯域など、別の周波数帯域でもよい。
以上、本実施形態によれば、使用制限があり、確保可能なチャネル数が少ないMバンドと、確保可能なチャネル数は多いが、他システムからの干渉を受けやすいISMバンドとを有効に活用することで、干渉への耐性が強いボディエリアネットワークシステムを実現できる。
(実施形態2)
図13に実施形態2に係るハブが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図13に示すハブは、図4に示した実施形態1に係る無線通信装置のMAC部30に、バッファ71、72を追加した構成を有する。送信部30と受信部32とにそれぞれバッファ71、72が接続されている。上位処理部40はバッファ71、72を介して送信処理部30および受信処理部32と入出力を行う。バッファ71、72は、たとえば任意の揮発性メモリまたは不揮発性メモリで構成できる。このように、バッファ71、72を備えることで、送信データおよび受信データをバッファ71、72に保持して、再送処理、フレーム種別等に応じたQoS制御、または上位処理部40への出力処理を容易に行うことができる。
このようにバッファを追加する構成は、ノードに対しても同様に実施できる。
図14に実施形態2に係るノードが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図14に示すノードは、図5に示した実施形態1に係る無線通信装置のMAC部130に、バッファ171、172を追加した構成を有する。送信部130と受信部132とにそれぞれバッファ171、172が接続されている。上位処理部140はバッファ171、172を介して送信処理部130および受信処理部132と入出力を行う。バッファ171、172は、たとえば任意の揮発性メモリまたは不揮発性メモリで構成できる。このように、バッファ171、172を備えることで、送信データおよび受信データをバッファ171、172に保持して、再送処理、フレーム種別等に応じたQoS制御、または上位処理部140への出力処理を容易に行うことができる。
(実施形態3)
図15に実施形態3に係るハブが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図15に示すハブは、図13に示した実施形態2におけるバッファ71、72、アクセス制御部33にバス73を接続し、バス73に上位インターフェース部74とプロセッサ部75を接続した形態を有する。MAC部30は、上位インターフェース部74において上位処理部40と接続されている。プロセッサ部75では、ファームウェアが動作する。ファームウェアの書き換えによって無線通信装置の機能変更を容易に行うことができる。アクセス制御部33およびチャネル制御部34の少なくとも一方の機能をプロセッサ部75で実現してもよい。
図16に実施形態3に係るノードが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図16に示すノードは、図14に示した実施形態2におけるバッファ171、172、アクセス制御部133にバス173を接続し、バス173に上位インターフェース部174とプロセッサ部175を接続した形態を有する。MAC部130は、上位インターフェース部174において上位処理部140と接続されている。プロセッサ部175では、ファームウェアが動作する。ファームウェアの書き換えによって無線通信装置の機能変更を容易に行うことができる。アクセス制御部133およびチャネル制御部134の少なくとも一方の機能をプロセッサ部175で実現してもよい。
(実施形態4)
図17に実施形態4に係るハブが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図17に示す無線通信装置は、図4に示した実施形態1に係るハブが備えるMAC部30にクロック生成部76を接続した形態を有する。クロック生成部76は、出力端子を介して外部のホスト(ここでは上位処理部40)に接続され、クロック生成部76により生成されたクロックは、MAC部30に与えられるとともに、外部のホストにも出力される。ホストをクロック生成部76から入力されるクロックによって動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側を同期させて動作させることが可能となる。この例ではクロック生成部76は、MAC部の外側に配置されているが、MAC部の内部に設けてもよい。
図18に実施形態4に係るノードが備える無線通信装置のブロック図を示す。
図18に示す無線通信装置は、図5に示した実施形態1に係るノードにおけるMAC部130にクロック生成部176を接続した形態を有する。クロック生成部176は、出力端子を介して外部のホスト(ここでは上位処理部140)に接続され、クロック生成部176により生成されたクロックは、MAC部130に与えられるとともに、外部のホストにも出力される。ホストをクロック生成部176から入力されるクロックによって動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側を同期させて動作させることが可能となる。この例ではクロック生成部176は、MAC部の外側に配置されているが、MAC部の内部に設けてもよい。
(実施形態5)
図19は、実施形態5に係るハブまたはノードの全体構成例を示したものである。この構成例は一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。ハブまたはノードは、1つまたは複数のアンテナ1〜n(nは1以上の整数)と、無線LANモジュール148と、ホストシステム149を備える。無線LANモジュール148は、第1〜第3のいずれかの実施形態に係る無線通信装置に対応する。無線LANモジュール148は、ホスト・インターフェースを備え、ホスト・インターフェースで、ホストシステム149と接続される。接続ケーブルを介してホストシステム149と接続される他、ホストシステム149と直接接続されてもよい。また、無線LANモジュール148が基板にはんだ等で実装され、基板の配線を介してホストシステム149と接続される構成も可能である。ホストシステム149は、任意の通信プロトコルに従って、無線LANモジュール148およびアンテナ1〜nを用いて、外部の装置と通信を行う。通信プロトコルは、TCP/IPと、それより上位の層のプロトコルとを含んでもよい。または、TCP/IPは無線LANモジュール148に搭載し、ホストシステム149は、それより上位層のプロトコルのみを実行してもよい。この場合、ホストシステム149の構成を簡単化できる。本ノードは、例えば、移動体ノード、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルハブ、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダハブ、ポータブル装置、ハンドヘルド装置等でもよい。
図20は、無線LANモジュールのハードウェア構成例を示す。この構成は、無線通信装置がハブおよびノードのいずれに搭載される場合にも適用可能である。つまり、図4および図5に示した無線通信装置の具体的な構成の一例として適用できる。この構成例では、アンテナは1本のみであるが、2本以上のアンテナを備えていてもよい。この場合、各アンテナに対応して、送信系統(216、222〜225)、受信系統(232〜235)、PLL242、水晶発振器243およびスイッチ245のセットが複数配置され、各セットがそれぞれ制御回路212に接続されてもよい。
無線LANモジュール(無線通信装置)は、ベースバンドIC(Integrated Circuit)211と、RF(Radio Frequency)IC221と、バラン225と、スイッチ245と、アンテナ247とを備える。
ベースバンドIC211は、ベースバンド回路(制御回路)212、メモリ213、ホスト・インターフェース214、CPU215、DAC(Digital to Analog Conveter)216、およびADC(Analog to Digital Converter)217を備える。
ベースバンドIC211とRF IC221は同じ基板上に形成されてもよい。また、ベースバンドIC211とRF IC221は1チップで構成されてもよい。DAC216およびADC217の両方またはいずれか一方が、RF IC221に配置されてもよいし、別のICに配置されてもよい。またメモリ213およびCPU215の両方またはいずれか一方が、ベースバンドICとは別のICに配置されてもよい。
メモリ213は、ホストシステムとの間で受け渡しするデータを格納する。またメモリ213は、ノードまたはハブに通知する情報、またはノードまたはハブから通知された情報、またはこれらの両方を格納する。また、メモリ213は、CPU215の実行に必要なプログラムを記憶し、CPU215がプログラムを実行する際の作業領域として利用されてもよい。メモリ213はSRAM、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、NAND、MRAM等の不揮発メモリでもよい。
ホスト・インターフェース214は、ホストシステムと接続するためのインターフェースである。インターフェースは、UART、SPI、SDIO、USB、PCI Expressなど何でも良い。
CPU215は、プログラムを実行することによりベースバンド回路212を制御するプロセッサである。ベースバンド回路212は、主にMAC層の処理および物理層の処理を行う。ベースバンド回路212、CPU215またはこれらの両方は、通信を制御する通信制御装置、または通信を制御する制御部に対応する。
ベースバンド回路212およびCPU215の少なくとも一方は、クロックを生成するクロック生成部を含み、当該クロック生成部で生成するクロックにより、内部時間を管理してもよい。
ベースバンド回路212は、送信するフレームに、物理層の処理として、物理ヘッダの付加、符号化、暗号化、変調処理など行い、例えば2種類のデジタルベースバンド信号(以下、デジタルI信号とデジタルQ信号)を生成する。
DAC216は、ベースバンド回路212から入力される信号をDA変換する。より詳細には、DAC216はデジタルI信号をアナログのI信号に変換し、デジタルQ信号をアナログのQ信号に変換する。なお、直交変調せずに一系統の信号のままで送信する場合もありうる。複数のアンテナを備え、一系統または複数系統の送信信号をアンテナの数だけ振り分けて送信する場合には、アンテナの数に応じた数のDAC等を設けてもよい。
RF IC221は、一例としてRFアナログICあるいは高周波IC、あるいはこれらの両方である。RF IC221は、フィルタ222、ミキサ223、プリアンプ(PA)224、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)242、低雑音増幅器(LNA)、バラン235、ミキサ233、およびフィルタ232を備える。これらの要素のいくつかが、ベースバンドIC211または別のIC上に配置されてもよい。フィルタ222、232は、帯域通過フィルタでも、低域通過フィルタでもよい。
フィルタ222は、DAC216から入力されるアナログI信号およびアナログQ信号のそれぞれから所望帯域の信号を抽出する。PLL242は、水晶発振器243から入力される発振信号を用い、発振信号を分周または逓倍またはこれらの両方を行うことで、入力信号の位相に同期した、一定周波数の信号を生成する。なお、PLL242は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を備え、水晶発振器243から入力される発振信号に基づき、VCOを利用してフィードバック制御を行うことで、当該一定周波数の信号を得る。生成した一定周波数の信号は、ミキサ223およびミキサ233に入力される。PLL242は、一定周波数の信号を生成する発信装置の一例に相当する。
ミキサ223は、フィルタ222を通過したアナログI信号およびアナログQ信号を、PLL242から供給される一定周波数の信号を利用して、無線周波数にアップコンバートする。プリアンプ(PA)は、ミキサ223で生成された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号を、所望の出力電力まで増幅する。バラン225は、平衡信号(差動信号)を不平衡信号(シングルエンド信号)に変換するための変換器である。RF IC221では平衡信号が扱われるが、RF IC221の出力からアンテナ247までは不平衡信号が扱われるため、バラン225でこれらの信号変換を行う。
スイッチ245は、送信時は、送信側のバラン225に接続され、受信時は、受信側のバラン234またはRF IC221に接続される。スイッチ245の制御はベースバンドIC211またはRF IC221により行われてもよいし、スイッチ245を制御する別の回路が存在し、当該回路からスイッチ245の制御を行ってもよい。
プリアンプ224で増幅された無線周波数のアナログI信号およびアナログQ信号は、バラン225で平衡−不平衡変換された後、アンテナ247から空間に電波として放射される。
アンテナ247は、チップアンテナでもよいし、プリント基板上に配線により形成したアンテナでもよいし、線状の導体素子を利用して形成したアンテナでもよい。
RF IC221におけるLNA234は、アンテナ247からスイッチ245を介して受信した信号を、雑音を低く抑えたまま、復調可能なレベルまで増幅する。バラン235は、低雑音増幅器(LNA)234で増幅された信号を、不平衡−平衡変換する。ミキサ233は、バラン235で平衡信号に変換された受信信号を、PLL242から入力される一定周波数の信号を用いてベースバンドにダウンコンバートする。より詳細には、ミキサ233は、PLL242から入力される一定周波数の信号に基づき、互いに90°位相のずれた搬送波を生成する手段を有し、バラン235で変換された受信信号を、互いに90°位相のずれた搬送波により直交復調して、受信信号と同位相のI(In−phase)信号と、これより90°位相が遅れたQ(Quad−phase)信号とを生成する。フィルタ232は、これらI信号とQ信号から所望周波数成分の信号を抽出する。フィルタ232で抽出されたI信号およびQ信号は、ゲインが調整された後に、RF IC221から出力される。
ベースバンドIC211におけるADC217は、RF IC221からの入力信号をAD変換する。より詳細には、ADC217はI信号をデジタルI信号に変換し、Q信号をデジタルQ信号に変換する。なお、直交復調せずに一系統の信号だけを受信する場合もあり得る。
複数のアンテナが設けられる場合には、アンテナの数に応じた数のADCを設けてもよい。ベースバンド回路212は、デジタルI信号およびデジタルQ信号に基づき、復調処理、誤り訂正符号処理、物理ヘッダの処理など、物理層の処理等を行い、フレームを得る。ベースバンド回路212は、フレームに対してMAC層の処理を行う。なお、ベースバンド回路212は、TCP/IPを実装している場合は、TCP/IPの処理を行う構成も可能である。
上述した各部の処理の詳細は、図4および図5の説明から自明であるため、重複する説明は省略する。
(実施形態6)
図21(A)および図21(B)は、それぞれ実施形態6に係る無線通信端末(無線機器)の斜視図である。図21(A)の無線機器はノートPC301であり、図21(B)の無線機器は移動体端末321である。それぞれ、端末(基地局および子局のいずれとして動作してもよい)の一形態に対応する。ノートPC301および移動体端末321は、それぞれ無線通信装置305、315を搭載している。無線通信装置305、315として、これまで説明してきた無線通信装置を用いることができる。無線通信装置を搭載する無線機器は、ノートPCや移動体端末に限定されない。例えば、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置等にも搭載可能である。
また、無線通信装置は、メモリーカードにも搭載可能である。当該無線通信装置をメモリーカードに搭載した例を図22に示す。メモリーカード331は、無線通信装置355と、メモリーカード本体332とを含む。メモリーカード331は、外部の装置との無線通信のために無線通信装置335を利用する。なお、図22では、メモリーカード331内の他の要素(例えばメモリ等)の記載は省略している。
(実施形態7)
実施形態7では、実施形態1〜6のいずれかに係る無線通信装置の構成に加えて、バス、プロセッサ部、および外部インターフェース部を備える。プロセッサ部および外部インターフェース部は、バスを介してバッファと接続される。プロセッサ部ではファームウェアが動作する。このように、ファームウェアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウェアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。
(実施形態8)
実施形態8では、実施形態1〜6のいずれかに係る無線通信装置の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
(実施形態9)
実施形態9では、実施形態1〜6のいずれかに係る無線通信装置の構成に加えて、電源部、電源制御部、および無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
(実施形態10)
実施形態10では、実施形態9に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、例えば、無線通信装置における任意のブロック要素、例えばアクセス制御部、ベースバンドIC等と接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
(実施形態11)
実施形態11では、実施形態7に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
(実施形態12)
実施形態12では、実施形態1〜6に係る無線通信装置の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、例えば、例えば、無線通信装置における任意のブロック要素、例えばアクセス制御部、ベースバンドIC等と接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態を、ユーザに容易に通知することが可能となる。
(実施形態13)
実施形態13では、実施形態1〜6のいずれかに係る無線通信装置の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、例えば、無線通信装置における任意のブロック要素、例えばアクセス制御部、ベースバンドIC等と接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態を、ユーザに容易に通知することが可能となる。
(実施形態14)
実施形態14では、実施形態1〜6のいずれかの実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、ディスプレイを含む。ディスプレイは、図示しないバスを介して、無線通信装置における任意のブロック要素、例えばアクセス制御部、ベースバンドIC等と接続されてもよい。このようにディスプレイを備える構成とし、無線通信装置の動作状態をディスプレイに表示することで、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
(実施形態15)
図23は、実施形態15に係る無線通信システムの全体構成を示す。この無線通信システムは、ボディエリアネットワークの例である。無線通信システムは、ノード401、402を含む複数のノードと、ハブ451とを含む。各ノードおよびハブは人体に装着され、各ノードはハブ451と無線通信を行う。人体に装着とは、人体に直接接触する形態、服の上から装着する形態、首からかけた紐に設ける形態、ポケットの収容する形態など、人体に近接した位置に配置するあらゆる場合を含んでよい。ハブ451は、一例として、スマートフォンや携帯電話、タブレット、ノート型PCなどの端末である。
ノード401は、生体センサ411と無線通信装置412を備える。生体センサ411として、例えば、体温、血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、尿糖、または血糖等をセンシングするセンサを用いることができる。ただし、これら以外の生体データをセンシングするセンサを用いてもかまわない。無線通信装置412は、これまで述べた実施形態のいずれかの無線通信装置である。無線通信装置412は、ハブ451の無線通信装置453と無線通信を行う。無線通信装置412は、生体センサ411でセンシングされた生体データ(センシング情報)を、ハブ451の無線通信装置453に無線送信する。ノード401はタグ状の装置として構成されてもよい。
ノード402は、生体センサ421と無線通信装置422を備える。生体センサ421と無線通信装置422は、ノード401の生体センサ411と無線通信装置412と同様であるため、説明を省略する。
ハブ451は、通信装置452と無線通信装置453とを備える。無線通信装置453は、各ノードの無線通信装置と無線通信を行う。無線通信装置453は、これまで述べた実施形態のいずれかの無線通信装置である。通信装置452は、有線または無線によりネットワーク471と接続される。ネットワーク471は、インターネットや無線LAN等のネットワークでもよいし、有線ネットワークと無線ネットワークとのハイブリッドネットワークでもよい。通信装置452は、無線通信装置453により各ノードから収集されたデータを、ネットワーク471上の装置に送信する。無線通信装置453から通信装置へのデータの受け渡しは、CPUやメモリ、補助記憶装置等を介して、行われてもよい。ネットワーク471上の装置は、具体的に、データを保存するサーバ装置でもよいし、データ解析を行うサーバ装置でもよいし、その他のサーバ装置でもよい。ハブ451も、ノード401、402と同様に生体センサを搭載してもよい。この場合、ハブ451は、当該生体センサで取得したデータも、通信装置452を介してネットワーク471上の装置に送信する。ハブ451にSDカード等のメモリーカードを挿入するインターフェースを搭載し、生体センサで取得したデータまたは各ノードから取得したデータを、メモリーカードに保存してもよい。また、ハブ451に、ユーザが各種指示を入力するユーザ入力部、およびデータ等を画像表示する表示部を搭載してもよい。
図24は、図23に示したノード401またはノード402のハードウェア構成例を示したブロック図である。CPU512、メモリ513、補助記憶装置516、無線通信装置514、および生体センサ515がバス511に接続されている。ここでは1つのバスに各部512〜516が接続されているが、チップセット等を介して複数のバスを設け、各部512〜516が複数のバスに分かれて接続されてもよい。無線通信装置514は、図23の無線通信装置412、422に対応し、生体センサ515は、図23の生体センサ411、421に対応する。CPU512は、無線通信装置514および生体センサ514を制御する。補助記憶装置516は、SSD、ハードディスク等のデータを永続的に記憶する装置である。補助記憶装置516は、CPU512が実行するプログラムを格納している。また、補助記憶装置516は、生体センサ515により取得されたデータを格納してもよい。CPU512は、補助記憶装置516からプログラムを読み出して、メモリ513に展開して実行する。メモリ513は、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、MRAM等の不揮発メモリでもよい。CPU512は、生体センサ515を駆動し、生体センサ515により取得されたデータをメモリ513または補助記憶装置516に格納し、当該データを、無線通信装置514を介してハブに送信する。CPU512は、MAC層より上位の通信プロトコルやアプリケーション層の処理を実行してもよい。
図25は、図23に示したハブ451のハードウェア構成例を示したブロック図である。CPU612、メモリ613、補助記憶装置616、通信装置614、無線通信装置615、入力部616および表示部617が、バス611に接続されている。ここでは1つのバスに各部612〜617が接続されているが、チップセット等を介して複数のバスを設け、各部612〜617が複数のバスに分かれて接続されてもよい。生体センサまたはメモリカードインタフェースが、さらにバス611に接続されてもよい。入力部616は、各種指示の入力をユーザから受けて、入力された指示の信号をCPU612に出力する。表示部617は、CPU612により指示されたデータ等を画像表示する。通信装置614および無線通信装置615は、図23のハブが備える通信装置452および無線通信装置453にそれぞれ対応する。CPU612は、無線通信装置615および通信装置614を制御する。補助記憶装置616は、SSD、ハードディスク等のデータを永続的に記憶する装置である。補助記憶装置616は、CPU612が実行するプログラムを格納しており、また、各ノードから受信したデータを格納してもよい。CPU612は、補助記憶装置616からプログラムを読み出して、メモリ613に展開して実行する。メモリ613は、DRAM等の揮発性メモリでもよいし、MRAM等の不揮発メモリでもよい。CPU612は、無線通信装置615で各ノードから受信したデータをメモリ613または補助記憶装置616に格納し、当該データを、通信装置614を介してネットワーク471に送信する。CPU612は、MAC層より上位の通信プロトコルやアプリケーション層の処理を実行してもよい。
本実施形態で用いられる用語は、広く解釈されるべきである。例えば用語“プロセッサ”は、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシンなどを包含してもよい。状況によって、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路 (PLD)などを指してもよい。“プロセッサ”は、複数のマイクロプロセッサのような処理装置の組み合わせ、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサを指してもよい。
別の例として、用語“メモリ”は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を包含してもよい。“メモリ”は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージを指してもよく、これらはプロセッサによって読み出し可能である。プロセッサがメモリに対して情報を読み出しまたは書き込みまたはこれらの両方を行うならば、メモリはプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。メモリは、プロセッサに統合されてもよく、この場合も、メモリは、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。