JP2019207239A - 品質評価方法及び品質評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞塊の品質を非破壊で評価することを可能とする品質評価方法及び品質評価装置を提供する。【解決手段】品質評価装置100は、細胞塊3に対して近赤外光を含む測定光を照射することにより、細胞塊における測定光に対する吸光度の分布に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する取得工程と、取得された細胞塊の光強度分布情報に基づいて、細胞塊の品質を評価する評価工程と、を有する。このため、品質評価装置は、光源10、検出部20、及び分析部30を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞塊の品質評価方法及び品質評価装置に関する。
細胞の培養状態を評価する方法は種々検討されている。例えば、特許文献1では、細胞塊の複層化の状態を確認することを目的として、細胞塊の時系列画像を取得して評価を行う構成が示されている。また、特許文献2では、細胞異常等を検知することを目的として、細胞塊等の生物学的試片のスペクトル画像を得て解析を行う構成が示されている。
国際公開第2010/143420号 特表2013−535014号公報
しかしながら、細胞塊を構成する個々の細胞には異常はなく、また、層構造などの細胞塊の外観的には違いがなくても、細胞塊内部の細胞密度(凝集度)や塊全体としての活性度(塊を維持できないなど)などの細胞塊としての品質が異なる場合がある。したがって、細胞塊の活性や凝集度のような細胞塊の品質を非破壊により高い精度で評価することが望まれていた。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能な品質評価方法及び品質評価装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る品質評価方法は、
(1)細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射することにより、当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する評価工程と、
を有する品質評価方法
である。
また、本発明の一形態に係る品質評価装置は、
(2)細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射する光源と、
前記光源からの前記測定光の照射によって出射される前記細胞塊からの透過光又は拡散反射光を受光することで当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する受光部と、
前記受光部において受光された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する分析部と、
を有する品質評価装置
である。
本発明によれば、細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能な品質評価方法及び品質評価装置が提供される。
本実施形態に係る品質評価装置の概略構成図である。 ハイパースペクトル画像について説明する図である。 細胞塊の吸光度スペクトルについて説明する図である。 細胞塊の凝集度の評価について説明する図である。 細胞塊の活動状態の評価について説明する図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
本願の品質評価方法は、
(1)細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射することにより、当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する評価工程と、を有する。
上記の品質評価方法によれば、細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射して得られる光強度分布情報に基づいて品質評価を行う構成とすることで、非破壊・非侵襲で細胞塊の品質評価を行うことができる。また、吸光度分布の情報を利用することで、細胞塊の位置に応じた細胞に係る情報を利用して、細胞塊の品質に係る情報をより詳細に取得することができるため、高い精度での品質評価を実現することができる。
(2)(1)に記載の品質評価方法は、前記評価工程において、前記光強度分布情報における前記細胞塊の位置に応じた吸光度の情報を画像化した上で品質を評価する態様とすることができる。
上記の態様とすることで、光強度分布情報を視覚的に把握できると共に、パターン認識等の画像を用いた分析手法を用いて、細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能となる。
(3)(1)に記載の品質評価方法は、前記評価工程において、前記光強度分布情報における前記細胞塊の位置に応じた吸光度の情報に含まれる数値を利用して品質を評価する態様とすることができる。
上記の態様とすることで、画像化等の処理を行わずに細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能となる。したがって、より簡便に細胞塊の品質を評価することが可能である。
また、本願の品質評価装置は、
(4)細細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射する光源と、前記光源からの前記測定光の照射によって出射される前記細胞塊からの透過光又は拡散反射光を受光することで当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する受光部と、前記受光部において受光された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する分析部と、を有する。
上記の品質評価装置によれば、細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射して得られる光強度分布情報に基づいて品質評価を行う構成とすることで、非破壊・非侵襲で細胞塊の品質評価を行うことができる。また、吸光度分布の情報を利用することで、細胞塊の位置に応じた細胞に係る情報を利用して、細胞塊の品質に係る情報をより詳細に取得することができるため、高い精度での品質評価を実現することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係る品質評価方法及び品質評価装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本実施形態に係る品質評価装置100について図1を用いて説明する。品質評価装置100は、移動ステージ2上に載置された細胞塊3の品質を評価する装置である。本明細書において細胞塊(スフェロイド:spheroid)とは、細胞が凝集した塊であり、二次元状の塊、三次元状の塊など細胞のさまざまな形態を含むものである。細胞塊3に含まれる細胞とは、動物又はヒトから採取した幹細胞、動物又はヒトから採取した細胞を元に作製した幹細胞、或いは、幹細胞を分化した細胞で構成されているもので、一つの細胞塊に複数の細胞種が混在する場合もある。また、品質評価装置100により評価される細胞塊の「品質」とは、細胞塊に含まれる細胞の「凝集度」、又は、細胞塊に含まれる細胞の「活性度」を示すものである。これらは、細胞の秩序ある増殖等の細胞のライフサイクルを維持する能力、細胞塊としての形状を維持する能力、特定の組織細胞になる能力、細胞としての必要な機能を維持する能力、動物又はヒトの体内での組織再生能力に関連する指標である。
品質評価装置100は、近赤外光を含む測定光を細胞塊3に対して照射することにより細胞塊3から出射される透過光を受光して細胞塊における測定光に対する吸光度の分布に係る情報を含む光強度分布情報を取得し(取得工程)、その光強度分布情報に基づいて細胞塊3の品質の評価を行う(評価工程)。このため、品質評価装置100は、光源10、検出部20、及び分析部30を備える。光強度分布情報とは、細胞塊における測定光に対する吸光度の分布に係る情報を含む情報であり、例えば、透過率の分布に係る情報、透過光強度の分布に係る、拡散反射光強度の分布に係る情報等も光強度分布情報に含まれる。以下の実施形態では、測定光として近赤外光を用い、光強度分布情報として透過光のスペクトルデータの分布を示す情報を使用する場合について説明する。ただし、測定光として少なくとも近赤外光が一部含まれていればよく、例えば他の波長範囲の光が測定光に含まれていてもよい。また、光強度分布情報はスペクトルデータの分布を示す情報である必要はなく、測定光に含まれる近赤外領域の特定の波長の光に対する吸光度の分布を示す情報を光強度分布情報として用いてもよい。また、透過光のスペクトルデータに替えて拡散反射光のスペクトルデータを取得して、このスペクトルデータから光強度分布情報を求めて評価を行う構成としてもよい。
光源10は、近赤外光が含まれる測定光を、移動ステージ2上に設けられた所定の領域へ向けて照射する。光源10が照射する測定光の波長は、細胞塊3によって適宜選択される。測定光には、具体的には、波長範囲が800nm〜2500nmの光が含まれ、特に1000nm〜2300nmの光が含まれる。これらの波長域の近赤外光は、細胞の透過性が高く、且つ、物質の振動吸収(倍音、結合音)があるので、これらの特徴に基づいて、測定対象物となる細胞塊3の品質を評価することができる。近赤外光の測定光を用いる場合、水の吸収帯とは異なる波長範囲の光を用いた測定を行うことができ、例えば、1000nm〜1350nm、1500nm〜1900nmの波長範囲の光を用いることができる。また、なお、本実施形態では、ハロゲンランプからなる光源10について説明するが、光源10の種類は特に限定されない。
光源10は、近赤外光を含む測定光L1を発生させて細胞塊3が設けられる移動ステージ2の開口2Aへ向けて出射する。なお、光源10は、細胞塊3に対して測定光を照射するための光ファイバ等の導波光学系等を含んでいてもよい。
光源10から出力された測定光L1は、開口2A上の容器3A内に収容された細胞塊3を透過する。そして、その一部が、透過光L2として検出部20に入射する。
検出部20は、2次元に配置されたセンサによってハイパースペクトル画像を取得するハイパースペクトルセンサとしての機能を有する。ここで、本実施形態におけるハイパースペクトル画像について図2を用いて説明する。図2は、ハイパースペクトル画像についてその概略を説明する図である。図2に示すように、ハイパースペクトル画像とは、N個の単位領域P〜Pにより構成されている画像である。図2ではそのうちの一例として2個の単位領域P及びPについて具体的に示している。単位領域P及びPには、それぞれ複数の強度データからなるスペクトル情報S及びSが含まれている。この強度データとは、特定の波長(又は波長帯域)におけるスペクトル強度を示すデータであり、図2では、15個の強度データがスペクトル情報S及びSとして保持されていて、これらを重ね合わせた状態で示している。このように、ハイパースペクトル画像Hは、画像を構成する単位領域(画素)毎に複数の強度データを持つという特徴から、画像としての二次元的要素と、スペクトルデータとしての要素をあわせ持った三次元的構成のデータである。なお、本実施形態では、ハイパースペクトル画像Hとは、1画素あたり少なくとも5つの波長帯域における強度データを保有している画像のことをいう。
図2では細胞塊3もあわせて示している。すなわち、図2においてPは細胞塊3を撮像した単位領域(画素)であり、Pは背景(例えば、容器3A)上の単位領域(画素)である。このように、検出部20では、細胞塊3だけでなく背景を撮像した画像も取得される。
図1に戻り、本実施形態に係る検出部20は、対物レンズ21と、スリット22と、分光素子23と、受光部24と、を備える。対物レンズ21とスリット22との間には鏡筒25が設けられる。
スリット22は、一の方向(紙面に対して交差する方向)に開口が設けられる。検出部20の対物レンズ21から鏡筒25内を通過し、スリット22に入射した透過光L2は、分光素子23へ入射する。
分光素子23は、スリット22の長手方向に対して垂直な方向に透過光L2を分光する。分光素子23により分光された光は、受光部24によって受光される。
受光部24は、複数の受光素子が2次元に配列された受光面を備え、各受光素子が光を受光する。これにより、受光部24が移動ステージ2上のスリット22の延在方向に沿った領域において、細胞塊3を透過した透過光L2の各波長の光を、スリット22の延在方向に対して直交する方向に配列された受光素子において、それぞれ受光することとなる。各受光素子は、受光した光の強度に応じた信号を位置と波長とからなる二次元平面状の一点に関する情報として出力する。この受光部24の受光素子から出力される信号が、ハイパースペクトル画像に係る単位領域(画素)毎のスペクトルデータとして、検出部20から分析部30に送られる。本実施形態では、このハイパースペクトル画像に係る単位領域(画素)毎のスペクトルデータが光強度分布情報となる。
分析部30は、入力された信号により透過光L2のスペクトルデータを取得し、このスペクトルデータを用いて、細胞塊3の品質に係る評価を行う。評価した結果は、分析部30からモニタやプリンタ等の出力装置を介して出力することができる。
この分析部30は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、検出部20等の他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、分析部30としての機能が発揮される。
上記の品質評価装置100は、一度の撮像によって、スリットの延在方向に沿った領域についての所謂1次元のスペクトル画像を取得することができる。したがって、細胞塊3が載置された移動ステージ2を移動するか、又は、品質評価装置100による撮像領域を移動させることによって、細胞塊3全体についての画素毎のスペクトルデータを取得することができる。
分析部30では、細胞塊3に係るスペクトルデータの測定とは別に、細胞塊3がない状態での光源10からの測定光が検出部20に入射することで得られる入射光スペクトルを予め取得し、入射光スペクトルと細胞塊3の透過光L2のスペクトルデータとの差分から細胞塊3に由来する透過光に係るスペクトルデータ(透過光スペクトル)を求めることができる。透過光スペクトルは細胞塊3を透過した光に係るスペクトルであるが、入射光スペクトルと透過光スペクトルとに基づき、細胞塊3により吸収された光の強度を示す吸光度スペクトルを算出することができる。入射光スペクトルとして背景を撮像した画像のスペクトルを用いると、効率が良く、精度も得られる。本実施形態では、この吸光度スペクトルを算出した上で細胞塊3の評価が行われる。
なお、分析部30には、上述したように背景を撮像した画像データも送られる。そこで、分析部30では、まず、検出部20から送られるスペクトルデータのうち、細胞塊3を撮像した画素に係るスペクトルデータを抽出する。細胞塊3を撮像した画素に係るスペクトルデータの抽出方法は特に限定されないが、予め定められた基準(例えば、特定波長における吸光度が閾値以下である、等)に基づいてスペクトルデータが細胞塊3を撮像した画素に係るものであるか否かを判定する態様とすることができる。
本実施形態に係る品質評価装置100では、細胞塊3の吸光度スペクトルに含まれる情報に基づいて、塊単位で品質を評価することを特徴とする。1つの細胞塊3は、複数の画素によって撮像されると考えられるため、同一の細胞塊3を撮像した複数の画素から取得される吸光度スペクトルを用いて細胞塊3における測定対象の光に係る吸光度の分布に係る情報を得る。そして、この情報を利用して、細胞塊3の品質を評価する。
細胞塊3は、上述したように複数の細胞の集合体である。この細胞塊3の塊単位での品質は、細胞塊3に含まれる個々の細胞の品質に由来するものであると考えられる。しかしながら、細胞塊3に含まれる一部の細胞の品質を個別に評価したとしても、その結果と細胞塊3の品質とは関連性がない場合がある。また、細胞塊3の品質とは、上述したように、細胞塊の凝集度や活性度を指すものであり、細胞塊3を構成する多数の細胞がそれぞれ活動した結果を示すものである。そのため、細胞塊3において細胞が均質ではない場合も多く存在する。そこで、細胞塊3の品質を塊単位で評価する際には、細胞塊3内の偏りを評価することも有用であると考えられる。本実施形態に係る品質評価装置100では、細胞塊3における吸光度の分布が細胞塊3の品質に関係することに着目し、細胞塊3における偏りを示す情報として光強度分布情報を利用している。
光強度分布情報には、細胞塊3における位置毎の吸光度に係る情報が複数含まれる。細胞塊3における位置毎の吸光度に係る情報とは、細胞塊3における位置を示す情報と、当該位置を示す情報に対応付けられた吸光度に係る情報と、の組である。光強度分布情報に含まれる位置毎の吸光度に係る情報として、画素毎に取得される吸光度スペクトルを利用することができるが、隣接する複数の画素に対応する複数の吸光度スペクトルから求められる吸光度スペクトルを利用してもよい。例えば、隣接する複数の画素に対応する吸光度スペクトルを平均化したスペクトルを、隣接する複数の画素に対応する領域における吸光度に係る情報として利用することもできる。このように、画素毎の吸光度スペクトルではなく、複数の画素の吸光度スペクトルから求められる吸光度スペクトルを、細胞塊3における位置毎の吸光度に係る情報として利用してもよい。
ここで、図3を参照しながら、細胞塊3から得られる吸光度スペクトルについて説明する。図3では、間葉系幹細胞に係る複数の細胞塊3に対して近赤外光を照射した際に得られる吸光度スペクトルを示している。複数のスペクトルの各々は、培養時間が同じ複数の細胞塊のほぼ同じ部分からのスペクトルである。細胞塊3から得られる吸光度スペクトルは、細胞塊3の培養時間に応じて、変化することが知られている。これは、細胞塊3に含まれる細胞群の配置(形状)や、培養により増加もしくは成熟する細胞の内部物質又は代謝物質に応じて変化するものである。したがって、本実施形態では、吸光度スペクトルに含まれる波長に対する吸光度に係る情報を利用して細胞塊の品質に係る評価を行う。また、図3に示すように、細胞塊3から得られる吸光度スペクトルには、吸収ピーク(吸光度が高いピーク)が存在する波長領域A1と、吸収ピーク(吸光度が高いピーク)が存在しない波長領域A2と、が含まれる。発明者の知見によれば、波長領域A1における吸光度スペクトルの変化(強度及び波長)は、細胞塊3の構造、すなわち細胞塊3における細胞の凝集度、及び、細胞塊3における細胞の活動に由来する細胞の内部物質又は代謝物質によって変化する。また、波長領域A2における吸光度スペクトルの変化は、細胞塊3の構造、すなわち細胞塊3における細胞の凝集度に由来する。したがって、これらの波長領域A1,A2の光に対する吸光度の分布を得ることで、細胞塊3の品質に係る情報、すなわち、凝集度及び活性度に係る情報を得ることができる。
次に、図4及び図5を参照しながら、光強度分布情報を用いることで細胞塊3の品質が評価できることについて説明する。
図4では、吸光度スペクトルに含まれる情報から細胞塊の凝集度を評価した結果を示している。具体的には、図4では、2つの細胞塊(サンプルA,B)について、上記の品質評価装置100を用いて光強度分布情報として取得された透過光スペクトルから、細胞塊に係る吸光度スペクトルを画素毎に算出し、波長領域A2における所定の波長(波長1684nm)の光に対する吸光度を画素毎にグレースケールにて表示している。図4(A)に示すサンプルAでは、細胞塊の中央部の凝集度が高く、周辺部では凝集度が低くなっていることが確認できる。また、図4(B)に示すサンプルBでは、サンプルAと同様に、細胞塊の中央部の凝集度が高く周辺部では凝集度が低くなっていることが確認できるが、中央部及び周辺部の双方での凝集度がサンプルAよりも低い。つまり、サンプルBはサンプルAよりも凝集度が低いことが分かる。したがって、サンプルBは、サンプルAよりも成熟が遅いという判断をすることができる。
図5では、吸光度スペクトルに含まれる情報から細胞塊の活動状態(活性度)を評価した結果を示している。具体的には、図5では、2つの細胞塊(サンプルC,D)について、上記の品質評価装置100を用いて光強度分布情報として取得された透過光スペクトルから、細胞塊に係る吸光度スペクトルを画素毎に算出し、波長領域A1における所定の波長(波長1615nm)の光に対する吸光度を、それぞれ波長領域A2における所定の波長(波長1684nm)の光に対する吸光度を用いて規格化した後、その結果を画素毎にグレースケールにて表示している。図5(A)に示すサンプルCでは、細胞塊の中央部の活動状態が高く、周辺部では中央部よりは活動状態が低いもののある程度高い状態であることが確認できる。また、図5(B)に示すサンプルDでは、サンプルCと比較して全体的に活動状態が低く、特に、周辺部における活動状態が低くなっていることが確認できる。つまり、サンプルDはサンプルCよりも活動状態が低く、活性度が低いと判断することができる。
上記に示したように、細胞塊における光強度分布情報を用いることで、細胞塊の品質を評価することができる。
なお、細胞塊に係る光強度分布情報を用いて、細胞塊の品質を評価する方法としては、大きく分けて2つの手法が有る。第1の方法は、図4,5に示すように、光強度分布情報を画像化した後に評価をする方法である。また、第2の方法は、画像化を行わずに評価を行う方法である。
第1の方法では、品質評価装置100の分析部30において、光強度分布情報に含まれる細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報を画像化し、図4及び図5等に示すような画像を作成する。その後、当該画像を用いて品質の評価を行う。画像を用いた品質の評価には種々の手法を適用することができる。例えば、画像における色の配置等を利用しパターン認識を活用して品質を評価することができる。パターン認識の方法としては多変量データの分析手法である統計的判別分析(主成分分析、回帰分析、因子分析など)や以前に取得されたデータを経験的に学習し、新たに取得したデータについて学習結果を基に解釈する手法である機械学習(サポートベクターマシン(SVM)、カーネル法、ベイジアンネットワーク法など)が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの品質評価の手法を用いる場合には、品質が既知である細胞塊から取得される光強度分布情報を参照情報として、判定基準が準備される。上記の手法は、細胞塊の品質を3つ以上のランクで評価するような構成にも適用することができる。なお、図4では、特定波長の光に係る吸光度に係る情報について、規格化等の処理を行った後に画像化しているが、図5に示すように、吸光度スペクトルに含まれる複数の波長の光に係る吸光度に係る情報を利用して、細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報を画像化してもよい。このように、光強度分布情報に含まれる細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報を画像化する際に、光強度分布情報に含まれる情報全てを利用して画像化をしなくてもよい。また、規格化等の前処理は適宜追加することができる。
第1の方法のように、光強度分布情報に含まれる細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報を画像化した上で品質を評価する構成とした場合、パターン認識等の画像を用いた分析手法を用いて、細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能となる。また、細胞塊の品質評価に用いられる画像は、ユーザが細胞塊の状況を視覚的に認識する際にも利用することができる。
第2の方法では、品質評価装置100の分析部30において、光強度分布情報に含まれる細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報に含まれる数値を利用して、品質の評価を行う。具体的には、吸光度に係る情報に含まれる数値とは吸光度の計測値もしくは必要に応じて平均化処理等を行った後に得られる数値であって、細胞塊の各位置に対応する数値が所定の範囲に含まれるか等の判定基準を予め設定しておき、この判定基準に基づいて品質を評価する。判定基準は適宜設定することができる。判定基準としては、例えば、同一の細胞塊に係る光強度分布情報に含まれる各位置に対応する数値のうち、所定の範囲に含まれる数値の数が所定値を超えた場合に、細胞塊の品質が良状態であると判定する、というような設定が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、品質の3つ以上のランクで評価する場合には、各ランクについて、予め判定基準を設ければよい。また、規格化等の前処理は適宜追加することができる。
第2の方法のように、光強度分布情報に含まれる細胞塊の位置に応じた吸光度に係る情報に含まれる数値を利用して品質を評価する構成とした場合、画像化等の処理を行わずに細胞塊の品質を非破壊で評価することが可能となる。したがって、より簡便に細胞塊の品質を評価することが可能であるともいえる。
なお、第1の方法による評価結果と第2の方法による評価結果とを組み合わせて総合判定を行う構成としてもよい。品質の評価の手法は上記のように種々考えられるので、これらを適宜組み合わせることができる。
なお、上記実施形態では、細胞塊の品質を評価する際に光強度分布情報を利用する構成について説明したが、上記の手法に加えて、細胞塊の透過スペクトルを経過時間毎(例えば6〜10時間毎に36〜48時間程度)に取得し、光強度分布情報の経時変化にも基づいて細胞塊の品質を評価する構成としてもよい。この場合には、細胞塊の経時変化を光強度分布情報から確認することができるため、品質の評価を精度よく行うことができる。このように、細胞塊の透過スペクトルに基づいて、その品質を評価する方法は種々存在するので、評価対象の細胞塊の種類や状態等に応じて適宜選択することができる。
このように、本発明に係る品質評価方法及び品質評価装置によれば、細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射して得られる光強度分布情報に基づいて品質評価を行う構成とすることで、非破壊・非侵襲で細胞塊の品質評価を行うことができる。近赤外光を用いることで、細胞塊の内部の情報を取得することができると共に、その吸光度分布の情報を取得することで、細胞塊の位置に応じた細胞に係る情報を利用して、細胞塊の品質に係る情報をより詳細に取得することができる。したがって、高い精度での品質評価を実現することができる。
なお、本発明に係る品質評価装置及び品質評価方法は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態のように品質評価装置が光源10、検出部20及び分析部30を備えている構成には限定されず、その構成は適宜変更することができる。
また、細胞塊に係る光強度分布情報を得るための光源10及び検出部20についても適宜変更することができる。上記実施形態では、検出部20が分光素子23を備えていて、細胞塊からの光を分光して検出する場合について説明したが、分光手段を備えない構成としてもよい。例えば、光源10として特定の波長の光を出射可能なLD(Laser Diode:レーザダイオード)を複数準備し、測定光を出射するLDを切り替えることで光源10から出射する測定光の波長を変化することができる。このように、光源10から出射する光を制御すると、検出部20が分光手段を備えていなくても特定の波長の光に対する吸光度の分布に係る情報を得ることができる。また、上記の複数のLDに代えて、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)と複数のバンドパスフィルタとを組み合わせて光源10を構成することで、光源10から出射する測定光の波長を変化することができる。このように、光源10及び検出部20の構成は上記実施形態に限定されない。
また、上記実施形態では、品質評価装置100において、2次元配置された複数の画素が第1の方向に配列する画素についてはそれぞれ波長情報を割り当てると共に、第1の方向に対して直交する第2の方向に配列する画素についてはそれぞれ測定対象物の位置情報を割り当てて、第2の方向に沿った各単位領域のスペクトルデータをそれぞれ取得する態様とすることができる、所謂ハイパースペクトル画像を取得する構成について説明したが、他の装置構成であってもよい。
2…移動ステージ、3…細胞塊、10…光源、20…検出部、30…分析部、100…品質評価装置。

Claims (4)

  1. 細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射することにより、当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程において取得された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する評価工程と、
    を有する品質評価方法。
  2. 前記評価工程において、前記光強度分布情報における前記細胞塊の位置に応じた吸光度の情報を画像化した上で品質を評価する請求項1に記載の品質評価方法。
  3. 前記評価工程において、前記光強度分布情報における前記細胞塊の位置に応じた吸光度の情報に含まれる数値を利用して品質を評価する請求項1に記載の品質評価方法。
  4. 細胞塊に対して近赤外光を含む測定光を照射する光源と、
    前記光源からの前記測定光の照射によって出射される前記細胞塊からの透過光又は拡散反射光を受光することで当該細胞塊の位置に応じた当該測定光に対する吸光度に係る情報であって、細胞塊における偏りを示す情報である光強度分布情報を取得する受光部と、
    前記受光部において受光された前記光強度分布情報に基づいて、前記細胞塊の品質を評価する分析部と、
    を有する品質評価装置。

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