ところで、連結框を備えた折れ戸では、連結框と障子との間に挟まれるようにヒンジ軸心が設けられると、左右方向に沿った寸法が大きくなる。このため従来では、ヒンジ軸心の位置を室内側に設定することにより、左右方向に沿った寸法の小型化を図るようにした折れ戸も提供されている。図15及び図16は、特許文献1に記載された折れ戸を示すものである。この折れ戸でも、障子1が閉じ位置に配置された場合にヒンジ軸心Cが水密設定面PLを超えて室内側に位置しているため、連結框2と障子1との相互間隔を小さくすることができ、左右方向に沿った寸法が大きくなる事態を防止することが可能となる。
こうした折れ戸にあっても、上述した水密性の確保のため、連結框2の上下両端部を枠体の枠タイト材WTに当接させる必要がある。このため、この種の折れ戸では、連結框2の上下両端部に位置するヒンジ要素3,4を切除し、上述の問題を解決するようにしている。具体的には、プレス機械にヒンジ要素3,4をセットし、ポンチとダイスとによって該当部分のヒンジ要素3,4を切り取ることにより、連結框2の端部を枠タイト材WTに当接させるようにしている。
ここで、障子1のヒンジ要素3には、上述したように、框タイト材KTを装着するための装着溝5が設けられている。図に示した従来の折れ戸では、ヒンジ要素3に2つの溝用突条6を形成し、これら溝用突条6の相互間に装着溝5を構成するようにしている。この装着溝5は、装着された框タイト材KTの上下両端部を枠タイト材WTに当接させる必要があるため、水密設定面PLよりも室外側において、できるだけ水密設定面PLに近接して設けることが好ましい。図示の折れ戸では、室内側に設けた溝用突条6の室内に臨む側面6aが水密設定面PLに一致するように装着溝5が設けられている。
しかしながら、上述した障子1のヒンジ要素3では、図16に示すように、水密設定面PLに近接して溝用突条6が設けられている。このため、障子1のヒンジ要素3を切除する際に切断面が水密設定面PLと一致するようにポンチ及びダイスをセットすることが困難となり、切除後の連結框2に切り残しの段部7が生じることになる。この結果、障子1を閉じ位置に配置した場合にも、枠タイト材WTに対して連結框2の段部7が当接するため、互いの間に隙間が生じて室外の水が室内側に浸入する懸念がある。上述の問題は、ヒンジ要素3を切除した後に、研削加工等の後加工を施せば解決可能である。しかしながら、こうした方法は、製造の作業性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。
本発明は、上記実情に鑑みて、左右方向に沿った寸法が増大する事態を抑え、かつ製造の作業性を損なうことなく十分な水密性を確保することのできる折れ戸を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る折れ戸は、連結框に設けたヒンジ要素と障子に設けたヒンジ要素とをヒンジ軸心を中心として相対的に回転可能に連係することにより前記連結框の両側にそれぞれ障子が支持されており、2枚の障子が互いに直線上に沿って配置された閉じ位置と、互いに折れ曲がって配置された開き位置とに移動する折れ戸であって、枠体の四周には、前記閉じ位置に配置された障子の水密設定面に当接される枠タイト材が設けられ、前記ヒンジ軸心は、前記障子が前記閉じ位置に配置された場合に前記水密設定面を超えて位置するように設けられ、前記連結框には、前記閉じ位置に配置された障子に対向する部位に装着溝が設けられ、前記装着溝には、前記閉じ位置に配置された障子に当接されるとともに、上下両端部がそれぞれ前記枠タイト材に当接する框タイト材が装着されており、前記連結框において少なくとも前記枠タイト材に対向する部分には、前記框タイト材の見付け面に連続する平面で前記框タイト材の相互間を埋める当接板部を有したキャップ部材が装着されていることを特徴とする。
この発明によれば、連結框に装着溝を設けるようにしているため、障子のヒンジ要素を水密設定面に沿って容易に切除することが可能となる。従って、枠タイト材に対して当接する部分に段差が生じるおそれがなくなる。しかも、連結框については、框タイト材の相互間が連続した平面となるようにキャップ部材を配設しているため、十分な水密性を確保することができるとともに、外観品質の向上を図ることも可能となる。
また本発明は、上述した折れ戸において、前記キャップ部材には、前記ヒンジ要素を覆う見込みカバー部が一体に設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、ヒンジ要素についてもキャップ部材によって覆い隠すことができ、外観品質の点でさらに有利となる。
また本発明は、上述した折れ戸において、前記障子は、四周に框材を備えて構成され、前記ヒンジ要素が設けられる框材は、断熱材を挟んで見込み方向に連結された2つの金属部分を有し、前記金属部分の一方にのみ前記ヒンジ要素が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、ヒンジ要素が設けられる框材が断熱材を挟んで2つの金属部分を有しているため、例えばヒンジ要素が設けられた金属部分が室内に配置された場合にもヒンジ要素に結露が生じる事態を招来するおそれがない。
また本発明は、上述した折れ戸において、前記障子は、左右の縦框の間に上下の横框を連結することによって構成され、前記横框の小口面及び前記縦框において前記横框の小口面に対向する側面の少なくとも一方には、前記横框の小口面を前記縦框の側面に当接した場合に前記横框が前記連結框に連結した縦框に向かうに従って漸次上方となるように傾斜させる突部が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、縦框に対して横框を取り付けた場合に、横框が連結框に連結した縦框に向けて漸次上方となるように傾斜する。従って、障子が開き位置に配置された状態においても、連結框が下方に垂れ下がる事態を防止することができる。
また本発明は、上述した折れ戸において、前記横框は、前記小口面に開口するネジ螺合部を有し、前記縦框に設けたネジ挿通孔を介して前記ネジ螺合部に取付ネジを螺合することによって前記縦框に連結されるものであり、前記縦框の側面において前記ネジ挿通孔の周囲となる部位に前記突部が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、取付ネジを螺合すれば、突部が確実に横框の小口面に当接することになり、横框を精度良く傾斜させることが可能となる。
また本発明は、上述した折れ戸において、前記連結框のヒンジ要素は、前記連結框とは別体の部品として構成され、その左右両端部にそれぞれ前記障子のヒンジ要素との連係部が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、一つの部品に左右の障子のヒンジ要素が連係されるため、2つの障子の相対位置を正確に規定することが可能となる。
本発明によれば、連結框に装着溝を設けるようにしているため、障子のヒンジ要素を水密設定面に沿って容易に切除することが可能となる。従って、枠タイト材に対して当接する部分に段差が生じるおそれがなくなる。しかも、連結框については、框タイト材の相互間が連続した平面となるようにキャップ部材を配設しているため、十分な水密性を確保することができるとともに、外観品質の向上を図ることも可能となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る折れ戸の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明の実施の形態である折れ戸を示したものである。ここで例示する折れ戸は、建物において室内外を仕切る壁の開口部に設置されるもので、枠体10の内部に2組の障子ユニット20を備えて構成してある。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みすることによって構成したものである。図には明示していないが、左右の縦枠13は、互いに対称の構成となるものを適用している。枠体10を構成するそれぞれの枠材11,12,13は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である金属枠部11A,12A,13Aと、樹脂によって成形した押し出し形材である樹脂枠部11B,12B,13Bとを備えており、金属枠部11A,12A,13Aが室外側となる状態で建物に取り付けてある。図示の例では、それぞれの金属枠部11A,12A,13Aにおいて見込み方向に直交する同一の鉛直面上に見付けヒレ部11Aa,12Aa,13Aaが設けてあり、個々の見付けヒレ部11Aa,12Aa,13Aaに樹脂枠部11B,12B,13Bがネジ14によって取り付けてある。
ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、折れ戸の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向は、上枠11や下枠12等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠13等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
図からも明らかなように、上枠11及び左右の縦枠13については、単一の部材として金属枠部11A,13Aが一体成形してある。これに対して下枠12の金属枠部12Aは、断熱材12Cを挟んで室外側部分12Dと室内側部分12Eとが連結された構成となっている。下枠12の見付けヒレ部12Aaは、室内側部分12Eに設けてある。
枠材11,12,13の樹脂枠部11B,12B,13Bには、枠タイト材15が装着してある。枠タイト材15は、四周で同一の断面形状を有するもので、見付けヒレ部11Aa,12Aa,13Aaよりも内周側となる部位の室外に臨む見付け面に配設してある。図には明示していないが、左右の縦枠13に装着した枠タイト材15には、それぞれの上端部に上枠11に装着した枠タイト材15の端部が連結してあるとともに、それぞれの下端部に下枠12に装着した枠タイト材15の端部が連結してある。つまり、枠タイト材15は、四周で一繋がり(一連)の構成となるように成形したものである。
2組の障子ユニット20は、それぞれ上下に沿って延在する連結框21の左右にそれぞれ障子22を連結することによって構成したものである。それぞれの障子ユニット20は、一方の障子22が開閉ヒンジ23によって縦枠13に支持してあり、かつ他方の障子22が開閉ヒンジ23によって可動方立枠24に支持してある。可動方立枠24は、図には明示していないが、上枠11と下枠12との間に上下方向に沿って延在し、上枠11及び下枠12の延在方向に沿って左右にスライド可能となるように配設したもので、それぞれの障子ユニット20ごとに用意してある。本実施の形態では、枠体10の枠材11,12,13と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した金属方立枠部24Aと、樹脂によって成形した樹脂方立枠部24Bとを備え、金属方立枠部24Aが室外側となる状態で障子ユニット20の相互間に並設してある。以下、障子ユニット20の構成について説明し、併せて本願発明の特徴部分について詳述する。なお、2組の障子ユニット20は、互いに左右対称の構成を有したものである。このため、以下においては室内側から見て左側に配置される一方の障子ユニット20についてのみ説明を行う。
図5〜図12に示すように、障子ユニット20の連結框21は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材から成る框筒部21aを有したものである。框筒部21aは、見込み方向に沿った寸法が枠材11,12,13よりも小さく構成した角筒状を成すもので、上下両端部が上枠11の枠タイト材15及び下枠12の枠タイト材15に対して同時に当接することのできる長さを有している。この框筒部21aには、室内に臨む見付け面に長手に沿って2つのカバー保持ヒレ部21bが設けてあり、さらにカバー保持ヒレ部21bの相互間に係合溝21cが設けてある。
カバー保持ヒレ部21bは、框筒部21aの見付け面21dから室内に向けて互いに平行となるように延在した平板状を成すもので、個々の延在縁部に係合突条21eを有している。係合突条21eは、カバー保持ヒレ部21bの延在縁部から互いに離隔する方向に突出したものである。このカバー保持ヒレ部21bには、樹脂製のカバー部材30が装着してある。カバー部材30は、見付けカバー部31と、見付けカバー部31において框筒部21aに対向する部分に設けた2つのヒレ保持突条部32とを一体に成形したものである。見付けカバー部31は、框筒部21aの見付け面21d及び後述するヒンジブラケット40を室内側から覆うためのもので、框筒部21aよりも大きな幅に成形してある。ヒレ保持突条部32は、互いの間に2つのカバー保持ヒレ部21bを挿入することのできる間隔を確保して設けた中空の突出部である。見付けカバー部31とヒレ保持突条部32との連結部分には、係合突条21eを嵌入することのできる嵌入溝32aが設けてある。上述の構成を有するカバー部材30は、カバー保持ヒレ部21bの相互間にカバー保持ヒレ部21bを挿入するとともに、嵌入溝32aに係合突条21eを挿入することによって連結框21に装着されることになる。
カバー保持ヒレ部21b及びこれに装着したカバー部材30は、框筒部21aの上下両端部に位置する部分が切除してある。従って、上枠11の枠タイト材15及び下枠12の枠タイト材15に対しては、カバー保持ヒレ部21bやカバー部材30が干渉することなく、框筒部21aを近接して対向配置することが可能である。
係合溝21cは、框筒部21aの筒内部に膨出する部分に内部空間を有する凹部であり、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dには開口が設けられるのみである。すなわち、カバー保持ヒレ部21bが切除された上下両端部においては、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dが見込み方向に直交する鉛直面に沿って平坦であり、その中央部に上下に沿って係合溝21cが開口した構成となる。係合溝21cの左右に沿った開口の幅は、内部空間の幅よりも小さい寸法に形成してある。
この係合溝21cには、カバー保持ヒレ部21bを切除した上下両端部にそれぞれヒンジブラケット40が装着してある。ヒンジブラケット40は、連結框21のヒンジ要素となるもので、連結框21とは別部品として構成してある。本実施の形態では、基準板部41、係合突起部42、2つのヒンジアーム部43を鋼材等の金属によって一体に成形した左右対称形状のヒンジブラケット40を適用している。基準板部41は、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dに当接することのできる幅を有した平板状を成すものである。係合突起部42は、基準板部41において框筒部21aに対向する表面から突出したもので、先端部が係合溝21cの内部空間に嵌合する幅を有し、かつ基端部が係合溝21cの開口に挿通可能となる幅を有している。ヒンジアーム部43は、基準板部41の両端部から室内に向けて延在するに従って、漸次相互間隔が大きくなるように傾斜したものである。ヒンジアーム部43の延在縁部には、それぞれ框側ヒンジ孔(連係部)44が貫通している。框側ヒンジ孔44は、それぞれが上下方向に沿って延在する断面円形の貫通孔であり、互いに同一の内径となるように構成してある。
このヒンジブラケット40は、係合突起部42を係合溝21cに挿入することによって連結框21に取り付けられた状態に維持される。連結框21に取り付けられたヒンジブラケット40は、それぞれの框側ヒンジ孔44が、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dから室内側に向けて互いに等距離だけ突出し、かつ框筒部21aを左右に二等分する仮想の鉛直面に対して互いに等距離となる位置に配置される。ヒンジブラケット40が取り付けられる箇所は、上枠11の枠タイト材15よりも下方であり、下枠12の枠タイト材15よりも上方である。上下のヒンジブラケット40で框側ヒンジ孔44がそれぞれ同一の軸心(ヒンジ軸心)C上に配置されるのはいうまでもない。
また框筒部21aには、左右の外側面にそれぞれ長手に沿って装着溝21fが設けてある。装着溝21fは、それぞれ框筒部21aの外側面に設けた2つの溝用突条21gの相互間に構成してある。溝用突条21gは、個々の先端縁部が互いに近接する方向に向けて屈曲しており、互いの間に構成される開口幅が内部空間よりも狭幅となっている。室内側の溝用突条21gは、室内に臨む見付け面が、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dよりもわずかだけ室内側に突出するように構成してある。
この装着溝21fには、それぞれの全長にわたる部位に框タイト材50が装着してある。框タイト材50は、硬質樹脂から成る取付部51と、軟質樹脂から成る圧接部52とを二色成形によって構成したもので、取付部51を介して装着溝21fに取り付けてある。左右の框タイト材50は、それぞれの圧接部52が室外側に向けて延在する向きに装着してあり、装着溝21fの外部に露出した部分がそれぞれ室内側の溝用突条21gよりもさらに室内側に突出している。
これら框タイト材50の相互間となる部分には、キャップ部材60が装着してある。キャップ部材60は、樹脂によって成形したもので、当接板部61及び見込みカバー部62を有している。当接板部61は、框筒部21aの室内に臨む見付け面21dにおいて框タイト材50の相互間となる部位を覆う板状部分である。当接板部61の室内に臨む表面は、後述する障子22の水密設定面22Aに一致する平面であり、框タイト材50において溝用突条21gから突出する部分に連続し、かつ互いに同一の平面上に位置するように構成してある。以下、当接板部61の室内に臨む見付け面を連結框21の水密設定面21Aという。
障子ユニット20の障子22は、矩形状を成す面材71の四周に上框(横框)72、下框(横框)73及び左右の縦框74,75を装着することによって構成したものである。連結框21を介して連結される2枚の障子22は、左右で対称となるように構成してある。障子22を構成するそれぞれの框材72,73,74,75は、上述した枠材11,12,13と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した金属框部72A,73A,74A,75Aと、樹脂によって成形した樹脂框部72B,73B,74B,75Bとを備えており、金属框部72A,73A,74A,75Aがいずれも室外側となる状態で框組を構成している。さらに、上框72及び左右の縦框74,75には、樹脂によって成形した押縁部72C,74C,75Cが設けられている。本実施の形態では、連結框21の長手寸法とほぼ同一となるように、左右の縦框74,75の長手寸法が設定してある。面材71は、例えば2枚のガラス板によって構成した複層ガラスであり、四周の縁部が金属框部72A,73A,74A,75Aと樹脂框部73Bや押縁部72C,74C,75Cとの間に構成される収容溝72D,73D,74D,75Dに収容してある。
框材72,73,74,75の樹脂框部72B,73B,74B,75Bは、それぞれの金属框部72A,73A,74A,75Aの室内に臨む部分の全面を覆うものである。それぞれの樹脂框部72B,73B,74B,75Bにおいて、枠タイト材15に対向する部分は、もっとも室内側に突出した見付け面となっている。それぞれの見付け面は、見込み方向に直交する同一の鉛直面上に位置する平面であり、障子22の水密設定面22Aを構成している。
上框72の金属框部72A及び下框73の金属框部73Aは、互いに上下で対称となる断面形状を有したものである。本実施の形態では、角筒状を成す框基部72Aa,73Aaを有した金属框部72A,73Aを適用している。框基部72Aa,73Aaにおいて外周側の水平壁部72Ab,73Ab及び内周側の水平壁部72Ac,73Acには、それぞれビスホール(ネジ螺合部)76が設けてある。ビスホール76は、それぞれの水平壁部72Ab,73Ab,72Ac,73Acの内周面において互いに対向する部位に設けたもので、金属框部72A,73Aの長手に沿った全長に形成してある。図からも明らかなように、本実施の形態では、金属框部72A,73Aを見込み方向に二等分する仮想の中心面に対して室内側に片寄った位置、つまり樹脂框部72B,73Bに近接した位置にビスホール76が設けてある。
一方、上框72の両端部及び下框73の両端部が連結される左右の縦框74,75は、図3及び図4に示すように、縦枠13もしくは可動方立枠24に連結される縦框(以下、区別する場合に第1縦框74という)と、連結框21に連結される縦框(以下、区別する場合に第2縦框75という)とで、金属框部74A,75Aが互いに異なる断面形状を有するように構成してある。具体的には、第1縦框74は、金属框部74Aが単一の部材として一体成形してあり、第2縦框75の金属框部75Aは、断熱材75Eを挟んで室外側金属部分75Fと室内側金属部分75Gとが見込み方向に連結された構成となっている。図からも明らかなように、第2縦框75は、面材71よりも室外側となる部分にのみ室外側金属部分75Fが設けてあり、見込み方向に沿った寸法において室内側金属部分75Gの占める割合が大きい。
これら第1縦框74の金属框部74A及び第2縦框75の室内側金属部分75Gは、面材71の両側端面に対向する見込み側面(側面)74Aa,75Aaが見込み方向に沿った平面状を成しており、上枠11のビスホール76に対向する部位及び下枠12のビスホール76に対向する部位にそれぞれネジ挿通孔77が設けてある。図13(a)、(b)及び図14に示すように、第1縦框74においては、上方のネジ挿通孔77が見込み側面74Aaに設けてある一方、下方のネジ挿通孔77が突部77Aの中心に設けてある。逆に、第2縦框75においては、上方のネジ挿通孔77が突部77Aの中心に直接設けてある一方、下方のネジ挿通孔77が見込み側面75Aaに設けてある。突部77Aは、ネジ挿通孔77の周囲に突き出し加工を施すことによって構成したもので、縦框74,75の小口面に向けて突出している。
図3及び図4に示すように、第2縦框75の金属框部75Aにはさらに、ヒンジヒレ部78が一体に設けてある。ヒンジヒレ部78は、障子22のヒンジ要素となるものである。本実施の形態では、室内側金属部分75Gにおいて外周側となる部位にヒンジヒレ部78が設けてある。ヒンジヒレ部78は、見込み方向に沿って直線状に延在し、樹脂框部75Bを超えて室内側に延在した平板状を成すもので、延在縁部に障子側ヒンジ孔(連係部)79を有している。障子側ヒンジ孔79は、上下方向に沿って延在する断面円形の貫通孔であり、連結框21に設けたヒンジブラケット40の框側ヒンジ孔44とほぼ同じ内径に構成してある。障子側ヒンジ孔79の軸心(ヒンジ軸心)Cから室内側金属部分75Gの外周側に位置する見込み面75Gaまでの距離は、連結框21においてヒンジブラケット40に設けた框側ヒンジ孔44の軸心Cから框タイト材50の突出端縁までの距離よりも短くなるように設定してある。
図には明示していないが、このヒンジヒレ部78は、カバー保持ヒレ部21bと同様、第2縦框75の上下両端部に位置する部分が切除してある。より具体的には、切除した部分の鉛直方向に沿う端面が樹脂框部75Bの室内に臨む見付け面、つまり水密設定面22Aと同一の平面上となるようにヒンジヒレ部78が切断してある。従って、上枠11の枠タイト材15及び下枠12の枠タイト材15に対しては、ヒンジヒレ部78が干渉することなく、第2縦框75を近接して対向配置することが可能である。
上記のように構成した框材72,73,74,75は、縦框74,75の相互間に上框72及び下框73を連結することによって框組を構成している。具体的には、縦框74,75に形成したネジ挿通孔77を介して上框72及び下框73のビスホール76に取付ネジSを螺合するようにしている。
ここで、上述したように、第1縦框74には下方のネジ挿通孔77の周囲に突部77Aが設けてあり、第2縦框75には上方のネジ挿通孔77の周囲に突部77Aが設けてある。このため、上框72及び下框73は、それぞれの小口面が縦框74,75の見込み側面74Aa,75Aaに当接した際にこれらの突部77Aによって第2縦框75に向けて漸次上方となるように傾斜した姿勢となり、この姿勢を維持した状態で縦框74,75に取り付けられることになる。上框72及び下框73の傾斜角度は、突部77Aの突出量によって調整可能である。本実施の形態では、上框72及び下框73のそれぞれが0.34°の傾斜角度をもつように突部77Aの突出量を設定するようにしている。突部77Aの突出量については、プレス機械によって突き出し加工をする際にポンチの位置を調整するだけで良いため、縦框74,75の製造作業が煩雑化するおそれはない。
連結框21に対して、ヒンジヒレ部78の障子側ヒンジ孔79と、ヒンジブラケット40の框側ヒンジ孔44とが同一の軸心C上に位置した状態でヒンジ軸80を挿通させれば、障子22が回転可能に支持された障子ユニット20が構成されることになる。
上記のように構成した障子ユニット20においては、単一のヒンジブラケット40に框側ヒンジ孔44を2つ形成するようにしているため、障子22の回転中心となる框側ヒンジ孔44の軸心Cが連結框21に対して所望の相対位置に正確に配置されることになる。従って、2枚の障子22が連結框21を挟んで互いに直線上に沿って配置された場合(以下、閉じ位置という)には、一方の障子22の水密設定面22Aと、他方の障子22の水密設定面22Aとが、連結框21の水密設定面21Aに正確に合致した位置に配置された状態となる。またこのとき、それぞれの障子22において第2縦框75の外周側となる見込み面75Gaに対して連結框21の框タイト材50が同一の押圧力で当接された状態となる。
しかも、上述の障子ユニット20によれば、障子22が閉じ位置に配置された状態においてヒンジ軸80の軸心Cが水密設定面21A,22Aを超えて室内側に位置することになる。従って、障子22と連結框21との間にヒンジ軸80の軸心Cを配置したものに比べて障子22と連結框21とを近接して連結することができ、左右方向に沿った寸法の小型化を図ることができる。
上述の障子ユニット20は、室内側から見て左側に配置される障子22の第1縦框74を室内側から見て左側に配置される縦枠13に対して開閉ヒンジ23を介して取り付け、かつ室内側から見て右側に配置される障子22の第1縦框74を可動方立枠24に対して開閉ヒンジ23を介して取り付けることにより、折れ戸を構成する。開閉ヒンジ23は、縦枠13及び可動方立枠24に対して障子22が室内側に向けて突出するように回転可能とするものである。
上記のようにして、それぞれの障子ユニット20を枠体10に取り付けた状態においては、図1及び図3に示すように、2枚の障子22が閉じ位置に配置された場合に、枠体10の開口部が閉塞されることになる。このとき、それぞれの障子ユニット20において水密設定面21A,22Aが見込み方向に対して直交し、かつ四周の枠タイト材15に対して同時に当接される位置に配置される。なお、本実施の形態では、枠体10に2組の障子ユニット20を配設するようにしているため、一方の障子ユニット20に対しては、上枠11、下枠12及び一方の縦枠13に配設した3方の枠タイト材15が当接されることになる。もう一方の障子ユニット20に対しては、上枠11、下枠12及び他方の縦枠13に配設した3方の枠タイト材15が当接されることになる。
また、連結框21の框タイト材50は、上下両端部が枠タイト材15に当接した状態で圧接部52が第2縦框75の外周側となる見込み面75Gaに当接される。しかも、上述したように、第2縦框75のヒンジヒレ部78は、平板状を成す部分を切除している。従って、例えばプレス機械においてポンチ及びダイスを水密設定面22Aに合致させて切断することが可能となり、樹脂框部75Bの室内に臨む見付け面との間に切り残しの段部が生じるおそれがない。これらの結果、枠タイト材15が隙間無く当接されることになり、雨水等の室外の水が枠体10と障子ユニット20との間を通じて室内に浸入する事態を確実に防止することが可能となる。また、室外の空気が室内に進入する事態を防止することも可能である。さらに、連結框21においては框筒部21aの見付け面21dにキャップ部材60を装着しているため、室内側において外部に露出する金属部分が切断したヒンジヒレ部78の切断面のみとなり、外観品質の点でも有利となる。
上述の閉じ位置から連結框21を室外側に押し操作すると、それぞれの障子22がヒンジ軸80の軸心Cを中心として回転するとともに、可動方立枠24が左側の縦枠13に近接する方向にスライドする。この結果、図4に示すように、2枚の障子22が互いに折れ曲がって配置された状態(以下、開き位置という)となり、枠体10の開口部を開放することが可能となる。
ここで、この開き位置においては、それぞれの障子22が縦枠13もしくは可動方立枠24を介して片持ちの状態となり、第1縦框74に対して第2縦框75が垂れ下がった位置に配置される懸念がある。しかしながら、この折れ戸によれば、障子22の上框72及び下框73が予め第2縦框75に向けて漸次上方となるように傾斜させてある。つまり、第1縦框74に対して予め第2縦框75が上位となるように障子22が組み立ててある。従って、仮に開き位置に配置された際に第2縦框75が垂れ下がったとしても、第1縦框74に対して第2縦框75が下方に配置される事態を防止することが可能となる。しかも、互いに断面形状が異なる第1縦框74及び第2縦框75に突部77Aを形成することによって上框72及び下框73を傾斜させるようにしているため、障子22を組み立てる際に上框72及び下框73の傾斜の方向が逆になるおそれがなく、上述の効果を容易、かつ確実に得ることが可能である。
なお、上述した実施の形態では、障子ユニット20が2組の折れ戸を例示しているが、障子ユニットの数はこれに限定されない。また、ヒンジ軸80によって互いに連結されるヒンジ要素40,78を例示しているが、これに限定されず、形材蝶番のようにヒンジ軸を有していないヒンジ要素を適用したものであっても構わない。さらに、上框72及び下框73としてビスホール76を2つ有したものを例示しているが、ビスホールの数は2つに限らない。またさらに、ネジ挿通孔77の周囲に突部77Aを設けるようにしているが、突部の位置は上框や下框の小口面に当接する部位であれば、その他の部位に設けても良い。
また、上述した実施の形態では、ヒンジ要素78が設けられる枠材75として、断熱材75Eを挟んで室外側金属部分75Fと室内側金属部分75Gとが見込み方向に連結されたものを例示しているため、実施の形態のようにヒンジ要素78が室内側に配置された場合にも当該ヒンジ要素78に結露が生じる事態を招来するおそれがない。しかしながら、本発明は、必ずしもこれに限定されない。