JP2019206771A - 補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着成分を用いた補強繊維であって、ゴムとの接着性に優れる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供する。【解決手段】親水性繊維及び接着成分を含有する補強繊維であって、該親水性繊維の表面の少なくとも一部に該接着成分を有し、該接着成分が酸化した共役ジエン系ゴムを含む、補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴムとの接着性に優れる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体に関する。
一般的に、タイヤ、コンベアベルト、及びホース(例えば、自動車用オイルブレーキホース)等の工業用ゴム製品は、ビニロン及びレーヨン等の合成繊維や綿等の天然繊維を用いて補強されている。これらの製品において、ゴムが有する優れた物理的特性(例えば、高強度及び高弾性率)等を十分に発揮させるためには、繊維とゴムとを強固に接着させる必要がある。従来、かかる方法として、レゾルシン・ホルマリン樹脂とゴムラテックスとを主成分とするRFLと呼ばれる接着剤を用いる方法が広く知られている(特許文献1及び2)。
しかしながら、ホルマリンは発がん性の疑いがあり、レゾルシンは環境ホルモンの疑いがあることから代替材料の開発が望まれている。
具体的に、特許文献3には、ゴムの加硫に用いられる加硫剤と反応する不飽和炭素結合及びエポキシ基を有する接着化合物を含む接着剤を用いる技術が提案されている。特許文献4には、(ブロックド)イソシアネート化合物及び/又はアミン系硬化剤(A)と、エポキシ化合物(B)と、ゴムラテックス(C)と、を含み、レゾルシン及びホルマリンを含まない有機繊維コード用接着剤組成物を用いた接着方法が提案されている。特許文献5には、液状ゴムが付着したゴム補強用繊維として、機械的せん断力により分割・細径化する技術が提案されている。
特開昭54−4976号公報 特開昭58−2370号公報 特開2011−111563号公報 国際公開第2010/125992号 特開平10−195208号公報
特許文献3では、不飽和炭素結合及びエポキシ基を有する接着化合物を用いることで、ゴムとエポキシ基と反応する官能基を有する被着繊維を接着させている。しかし、特許文献3の接着化合物は繊維及びゴムそれぞれとの接着力が弱く、従来のRFLに比べても非常に接着力が低かった。
また、特許文献4に記載された接着剤を用いた方法は、従来のRFLを用いた方法と同等かそれ以上の接着力を有するものの、有機繊維コードの表面に接着剤層を形成した後、実質的には高温(180℃及び240℃)によって加熱処理する必要があった。補強繊維としてしばしば用いられるポリビニルアルコール系繊維等の有機繊維をかかる方法で処理した場合、劣化によって補強繊維としての性能が落ちる危険性があった。また、特許文献5に記載された技術は、ゴム補強用繊維を機械的せん断力により分割・細径化し、ゴム成型体の製造で用いるマトリックス・ゴムの基本性能を損なうことなく分散性及び補強性を向上させる技術であるが、ゴムとの接着力においては更なる改善が求められていた。
そこで、従来のRFLを用いた方法と同程度の接着力を有しながら、汎用的な繊維が劣化しない接着方法が求められていた。
本発明の課題は、前記従来の問題を鑑みてなされたものであって、レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着成分を用いた補強繊維であって、ゴムとの接着性に優れる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化した共役ジエン系ゴムを使用することで、レゾルシン及びホルマリンを使用しなくても、ゴムとの接着性に優れる補強繊維が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下[1]〜[3]に関する。
[1]親水性繊維及び接着成分を含有する補強繊維であって、
該親水性繊維の表面の少なくとも一部に該接着成分を有し、
該接着成分が酸化した共役ジエン系ゴムを含む、補強繊維。
[2]前記[1]に記載の補強繊維の製造方法。
[3]前記[1]に記載の補強繊維を用いた、成形体。
本発明は、レゾルシン及びホルマリンを含有しない接着成分を用いた補強繊維であって、ゴムとの接着性に優れる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供することができる。
[補強繊維]
本発明の補強繊維は、親水性繊維及び接着成分を含有する補強繊維であって、該親水性繊維の表面の少なくとも一部に該接着成分を有し、該接着成分が酸化した共役ジエン系ゴム(以下、「酸化共役ジエン系ゴム」とも称する)を含む。本発明によれば、前記接着成分に含まれる酸化共役ジエン系ゴムが親水性繊維の表面の少なくとも一部に存在することで、補強繊維とゴムとの濡れ性が改善され、かつ該酸化共役ジエン系ゴムの有する多重結合とゴム等とが反応し結合を形成するため、優れた接着力を有する補強繊維を得ることができる。
なお、本発明において、前記接着成分は、前記親水性繊維中に含まれていてもよいが、該親水性繊維の表面の少なくとも一部には存在するものである。
<接着成分>
本発明において用いる接着成分は、酸化共役ジエン系ゴムを含むものであれば特に制限はない。本発明によれば、酸化共役ジエン系ゴムが被着体であるゴム及び親水性繊維のそれぞれと相互作用することによって、両者を接着させる。酸化共役ジエン系ゴムは少なくとも一部に被着ゴムと似た分子構造を有するため、分子鎖が絡み合い相互作用する。また、酸化共役ジエン系ゴムと被着ゴムは加硫によって共有結合を形成することで強い凝集力が生じ、接着性が向上する。更に、酸化共役ジエン系ゴムは、後述するとおり分子内に酸化反応によって生じた酸素を含む官能基や結合を含むことで電気的に分極しており、親水性繊維と水素結合を中心とした相互作用をすることで接着性が向上すると考えられる。
ここで、水素結合とは、電気陰性度の大きな原子(O、N、S等)に結合し、電気的に陽性に分極した水素原子(ドナー)と、孤立電子対を有する電気的に陰性な原子(アクセプター)との間に形成される結合性の相互作用を意味する。
酸化共役ジエン系ゴムは、分子内に少なくとも共役ジエンに由来する単量体単位(以下、「共役ジエン単位」とも称する)を含むものであり、好ましくは、少なくとも一部の重合体鎖中に共役ジエン単位を含み、かつ、分子内に酸化によって生じた酸素を含む官能基や結合を有する。
前記共役ジエン単量体としては、例えば、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(以下、「イソプレン」とも称する)、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチルー1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレン等が挙げられる。これら共役ジエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。酸化共役ジエン系ゴムは、加硫時の反応性の観点から、分子内にイソプレン及びブタジエンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位を有することが好ましい。
酸化共役ジエン系ゴムは、接着を阻害しない程度であれば前記共役ジエン単量体以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、共役ジエン単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体や芳香族ビニル化合物が挙げられる。
前記エチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、1−ブテン、及びイソブチレン等のオレフィンなどが挙げられる。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化共役ジエン系ゴムが前記エチレン性不飽和単量体及び/又は前記芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含有する場合、その含有量は50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましい。
酸化共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、取り扱い性の観点から、150,000以下が好ましく、120,000以下がより好ましく、100,000以下が更に好ましく、75,000以下がより更に好ましく、50,000以下が特に好ましく、そして、接着性を向上させる観点から、10,000超が好ましく、20,000以上がより好ましい。
酸化共役ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、取り扱い性の観点から、120,000以下が好ましく、75,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、そして、接着性を向上させる観点から、10,000超が好ましく、20,000以上がより好ましい。
酸化共役ジエン系ゴムのMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。
酸化共役ジエン系ゴムの分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.0が更に好ましく、1.0〜1.5がより更に好ましく、1.0〜1.3が特に好ましく、1.0〜1.2が最も好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、酸化共役ジエン系ゴムの粘度のばらつきが小さく、取り扱いが容易である。分子量分布(Mw/Mn)は、GPCの測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比を意味する。
また、酸化共役ジエン系ゴムと親水性繊維との接着性の観点から、酸化共役ジエン系ゴムは液状であることが好ましい。
本発明において「液状」とは、酸化共役ジエン系ゴムの38℃で測定した溶融粘度が0.1〜4,000Pa・sであることを示す。該溶融粘度は1〜2,000Pa・sがより好ましく、1〜1,000Pa・sが更に好ましい。酸化共役ジエン系ゴムの溶融粘度は、38℃においてブルックフィールド型粘度計により測定した値である。
酸化共役ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン単位のビニル含量、共役ジエンの種類、共役ジエン以外の他の単量体に由来する単位の含有量等によって変化し得るが、−100〜10℃が好ましく、−100〜0℃がより好ましく、−100〜−5℃が更に好ましい。Tgが前記範囲であると、高粘度化が抑制でき取り扱いが容易になる。
酸化共役ジエン系ゴムを得る方法としては、例えば、未酸化の原料共役ジエン系ゴム(以下、「原料共役ジエン系ゴム」とも称する)を酸化温度以上の温度で熱処理する方法(以下「製造方法(1)」とも称する)、原料共役ジエン系ゴムの吸収波長の光を照射することで活性化させて酸素と反応させる方法(以下「製造方法(2)」とも称する)等が挙げられる。中でも、原料共役ジエン系ゴムを酸化温度以上の温度で熱処理することで得る方法(製造方法(1))が好ましい。
原料共役ジエン系ゴムは、共役ジエン単量体及び任意で共役ジエン以外の他の単量体を、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により重合して得ることができる。
(原料共役ジエン系ゴムの製造)
前記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩等が挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
分散溶媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる原料共役ジエン系ゴムの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0〜100℃の範囲、好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウムなどが挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、重合化物を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合化物を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、原料共役ジエン系ゴムが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した原料共役ジエン系ゴムとして回収してもよい。
前記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、所定量の共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属などが挙げられる。これらアニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
前記有機アルカリ金属化合物の使用量は、原料共役ジエン系ゴムの溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体100質量部に対して、通常0.01〜3質量部の量で使用される。
前記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01〜1,000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常−80〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、原料共役ジエン系ゴムを析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより原料共役ジエン系ゴムを単離できる。
原料共役ジエン系ゴムの製造方法としては、前記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
原料共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Mw/Mn、溶融粘度及びガラス転移温度(Tg)は、前述の酸化共役ジエン系ゴムと同様の範囲が好ましい。なお、原料共役ジエン系ゴムのMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。また、原料共役ジエン系ゴムの溶融粘度は、38℃においてブルックフィールド型粘度計により測定した値である。
原料共役ジエン系ゴムのビニル含量は99モル%以下であることが好ましく、90モル%以下であることがより好ましい。本明細書において、「ビニル含量」とは、原料共役ジエン系ゴムに含まれる、共役ジエン単位の合計100モル%中、1,2−結合又は3,4−結合で結合をしている共役ジエン単位(1,4−結合以外で結合をしている共役ジエン単位)の合計モル%を意味する。ビニル含量は、1H−NMRを用いて1,2−結合又は3,4−結合で結合をしている共役ジエン単位由来に由来するシグナルと1,4−結合で結合をしている共役ジエン単位に由来するシグナルの積分値比から算出することができる。
原料共役ジエン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔酸化共役ジエン系ゴムの製造方法(1)〕
製造方法(1)は、原料共役ジエン系ゴムを酸化温度以上の温度で熱処理する方法である。該熱処理は、酸素を含む雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で行われる。
熱処理の温度は、原料共役ジエン系ゴムが酸化する温度であれば特に制限はないが、酸化の反応速度を高め、生産性を向上させる観点から、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が更に好ましい。後述のように原料共役ジエン系ゴムの酸化が親水性繊維の表面で行われる場合、繊維の劣化を防ぐという観点から、240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。
熱処理の時間は、原料共役ジエン系ゴムが劣化しない範囲であれば特に制限はないが、30分以下が好ましく、20分以下がより好ましい。
また、原料共役ジエン系ゴムに熱ラジカル発生剤を添加することにより酸化反応に必要な温度を下げることもできる。
前記熱ラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤等が挙げられる。中でも、熱ラジカル発生剤が共役ジエン系ゴムと結合し、共役ジエン系ゴムに酸素を含む構造が付加される観点から、過酸化物が好ましい。
前記過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t−ブチル、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ペルオキシオクタン酸t−ブチル、ペルオキシネオデカン酸t−ブチル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバル酸t−アミル、ペルオキシピバル酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
前記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブタンニトリル)、4,4’−アゾビス(4−ペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジクロリド、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等が挙げられる。なお、前記熱ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記熱ラジカル発生剤として、レドックス系開始剤を用いてもよい。該レドックス系開始剤としては、例えば、過硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、t−ブチルハイドロパーオキサイドと酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、p−メンタンハイドロパーオキサイドと硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸ナトリウムとナトリウムホルムアルデヒドサルホキシレートとの組み合わせ物等が挙げられる。
〔酸化共役ジエン系ゴムの製造方法(2)〕
製造方法(2)は、原料共役ジエン系ゴムの吸収波長の光を照射することで活性化させて酸素と反応させる方法である。
製造方法(2)は、酸素を含む雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で行われる。使用する光の波長は原料共役ジエン系ゴムが吸収してラジカル反応を起こす波長であれば特に制限はないが、原料共役ジエン系ゴムが強く吸収する紫外線が好ましい。
また、原料共役ジエン系ゴムに光ラジカル発生剤を添加することにより酸化反応に必要な光の照射量を下げることもできる。
前記光ラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。なお、前記光ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(酸化)
本発明において、酸化共役ジエン系ゴムは、酸化反応によって生じた酸素を含む官能基や結合を分子内に含む。該官能基や結合としては、具体的には、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル結合等が挙げられる。これらの官能基や結合が多くなるにつれ、親水性繊維との相互作用が強まり、ゴムとの接着性が向上する。
前述のとおり、酸素を含む官能基や結合は、ゴム接着力と密接に相関しており、製品の品質を安定させるためにも、必要なゴム接着力が発現するように、酸化共役ジエン系ゴムは十分に酸化されていることが好ましい。酸化の確認方法としては、H−NMRや13C−NMRを用いた手法が挙げられる。中でも、測定に要する時間が短いことから、H−NMRを用いた手法が好ましい。酸化共役ジエン系ゴムのH−NMR測定により、未酸化の原料共役ジエン系ゴムのH−NMRスペクトルには存在しなかった酸素を含む官能基や結合に由来するシグナルを確認することができる。
酸化の程度を確認する方法としては、酸化共役ジエン系ゴム中の酸化によって生じたアルデヒド基及び/又はカルボキシル基の水素原子に由来するシグナルと、酸化共役ジエン系ゴム中の反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルとを用いて確認することが好ましい。
具体的には、酸化共役ジエン系ゴムを重クロロホルム中に溶解させて、室温下でH−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHClに基づく7.2ppmに検出される溶媒シグナルをリファレンスとした際の、反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルの積分値A、アルデヒド基の水素原子に由来するシグナルの積分値B、及びカルボキシル基の水素原子に由来するシグナルの積分値Cをそれぞれ測定する。そして、該アルデヒド基及び該カルボキシル基の水素原子に由来するシグナルの積分値の合計(B+C)の、該共役ジエン系ゴム中の反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルの積分値Aに対する比、すなわち該アルデヒド基及び該カルボキシル基の存在比を下記式により算出することがより好ましい。
[アルデヒド基及びカルボキシル基の存在比]=[(B+C)/A]
なお、反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルは、通常4.0〜6.0ppmの範囲に検出され、アルデヒド基の水素原子に由来するシグナル及び/又はカルボキシル基の水素原子に由来するシグナルは、通常9.0〜12.5ppmの範囲に検出される。
前記アルデヒド基及びカルボキシル基の存在比は、ゴムとの接着と繊維との接着のバランスの観点から、30,000分の1以上が好ましく、15,000分の1以上がより好ましく、5,000分の1以上が更に好ましい。品質安定性の悪化を抑制する観点から、100分の1以下が好ましく、500分の1以下がより好ましく、1,000分の1以下が更に好ましい。
酸化共役ジエン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記接着成分は、ゴムとの接着力を阻害しない範囲内で、酸化共役ジエン系ゴム以外の他の成分を含んでもよい。
前記他の成分としては、他のポリマー、酸、アルカリ、酸化防止剤、硬化剤、分散剤、顔料、染料、接着助剤、カーボンブラック、及び油剤等が挙げられる。
前記他の成分の含有量は、例えば油剤を含む場合、酸化ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは1〜10,000質量部、より好ましくは30〜5,000質量部、更に好ましくは50〜1,000質量部である。
前記接着成分中の酸化共役ジエン系ゴムの含有量は、ゴムとの接着力を向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
<親水性繊維>
本発明の補強繊維は、親水性繊維及び接着成分を含有する補強繊維であって、該親水性繊維の表面の少なくとも一部に該接着成分を有するものである。本発明に用いることができる親水性繊維としては、合成繊維、天然繊維、及び再生繊維等を挙げることができる。親水性繊維は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性の合成繊維としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミノ基のような親水性官能基、及び/又は、アミド結合のような親水性結合を有する熱可塑性樹脂で構成される合成繊維を挙げることができる。
このような熱可塑性樹脂の具体例は、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂〔ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド9C(ノナンジアミンとシクロヘキサンジカルボン酸からなるポリアミド)等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド9T(ノナンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミド)等の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成される半芳香族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリアミド等〕、ポリアクリルアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、及びポリアミド系樹脂が好ましい。親水性の合成繊維は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの親水性の合成繊維は、親水性をより高めるべく、後述する親水化処理をさらに施してもよい。
親水性の天然繊維としては、クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維が挙げられる。
親水性の再生繊維としては、レーヨン、リヨセル、キュプラ、及びポリノジック等の再生セルロース繊維が挙げられる。
これらの天然繊維及び再生繊維は、それぞれ1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの親水性の天然繊維及び再生繊維は、親水性をより高めるべく、後述する親水化処理をさらに施してもよい。
親水性繊維は、少なくとも表面が親水性を有していればよく、例えば、疎水性繊維の表面を親水化処理した繊維や、疎水性樹脂を芯部とし、鞘部を親水性樹脂とした芯鞘型複合繊維等であってもよい。鞘部を構成する親水性樹脂の例については、親水性の合成繊維についての記述が引用される。疎水性樹脂からなる疎水性繊維としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、及び全芳香族ポリエステル系繊維等が挙げられ、これらの中でもポリエステル系繊維が好ましい。
親水化処理は、化学的又は物理的に繊維表面に親水性官能基を付与する処理であれば特に限定はされないが、例えば、前記疎水性樹脂からなる疎水性繊維をイソシアネート基、エポキシ基、及びヒドロキシ基等の親水性官能基を含む化合物により修飾する方法や、電子線照射により表面を改質する方法等で行うことができる。
本発明に用いられる親水性繊維としては、補強繊維として用いられる観点から、合成繊維及び再生繊維が好ましく、中でもポリビニルアルコール系樹脂を原料とするポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース繊維、疎水性繊維の表面を親水化処理した繊維が好ましい。
本発明においては、親水性繊維を用いることにより接着成分に含まれる酸化共役ジエン系ゴムと親水性繊維とが強い親和効果を発現し、接着成分と該親水性繊維が強固に結びつくことから、ゴムに対する接着力をより優れたものとすることができる。
なお、ポリビニルアルコール系繊維としては、本発明の補強繊維を自動車用ホース、特に自動車用ブレーキオイルホースに好適に用いる観点から、株式会社クラレから商品名「ビニロン」として市販されており、単糸繊度が0.1〜30dtex程度のものを好適に用いることができる。
[補強繊維の製造方法]
本発明の補強繊維の製造方法は、親水性繊維の表面の少なくとも一部に前記接着成分を付着又は含有させる工程を含むものであれば特に制限はない。
親水性繊維に前記接着成分を付着させる際には、該接着成分の他に溶媒として、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、メタノール、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及び酢酸エチル等を用いてもよい。溶媒を用いる場合、その使用量は、接着成分と溶媒との合計中、好ましくは50〜99.9質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、更に好ましくは70〜99.0質量%である。
本発明の製造方法において、ゴムとの接着力の観点から、親水性繊維の表面に前記接着成分からなる接着層を形成する方法(I)、又は前記接着成分を原料の一部として含有する繊維として製造する方法(II)が好ましい。
〔方法(I)〕
方法(I)としては、親水性繊維の表面に前記接着成分からなる接着層を形成する方法であれば特に制限はないが、前記接着成分を親水性繊維の表面に付着させる工程を含む方法(I−1)、原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分(以下、単に「接着前駆成分」とも称する)を親水性繊維の表面に付着させた後、該原料共役ジエン系ゴムを酸化する方法(I−2)等が挙げられる。
前記接着成分又は前記接着前駆成分を親水性繊維に付着させる方法に特に制限はない。例えば、酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴムを水中油滴型エマルションにして付着させる方法、酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴムを溶媒に溶かして付着させる方法、酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴムが液状である場合には、粘度を調整してそのまま付着させる方法等が挙げられる。
前記接着成分又は前記接着前駆成分を付着させる方法として、浸漬、ロールコーター、ノズル(スプレー)塗布、及び刷毛塗り等が挙げられ、これらの中から1種以上の方法により行うことが好ましい。
水中油滴型エマルションや溶媒に溶かして付着させる場合には、水又は溶媒を風乾等の乾燥処理により揮発させることが好ましい。
方法(I−2)を用いる場合、下記工程1−1及び工程1−2を含むことが好ましい。
工程1−1:原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分を親水性繊維の表面に付着させる工程
工程1−2:工程1−1で得られた前記接着前駆成分が付着した親水性繊維を熱処理する工程
工程1−1では前述のいずれかの付着方法により前記接着前駆成分を、親水性繊維の表面に付着させればよい。
工程1−2の熱処理は、好ましくは150〜240℃の処理温度で0.1秒〜2分の処理時間で行うことが好ましい。これにより、原料共役ジエン系ゴムが酸化され、本発明の補強繊維を製造することができる。
熱処理の温度は、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、そして、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。熱処理の温度が前記範囲内であると、酸化共役ジエン系ゴム中の反応性多重結合量が減少することなく、接着力を向上させることができ、更に繊維の劣化も抑制し、着色等の品質も良好となる。
酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴムを水に分散させて水中油滴型エマルションとして用いる場合、機械的方法又は化学的方法により接着成分又や接着前駆成分のエマルション(ラテックス)を予め調製し、希釈等により所定の濃度で使用することが好ましい。
機械的方法としてはホモジナイザー、ホモミキサー、ディスパーサーミキサー、コロイドミル、パイプラインミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機等が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用できる。
化学的方法としては、反転乳化法、D相乳化法、HLB温度乳化法、ゲル乳化法及び液晶乳化法等種々の方法が挙げられ、簡便に粒子径の細かいエマルションが得られる観点から反転乳化法が好ましい。また粒子径の細かいエマルションを得るためには、酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴムの粘度を下げる目的で適当な温度(例えば30〜80℃)で加熱しながら前記作業を実施することが好ましい場合もある。エマルション調製の際はエマルションの安定性向上の観点から、固形分濃度20〜80質量%で調製することが好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
酸化共役ジエン系ゴム又は共役ジエン系ゴムを水に分散させて水中油滴型エマルションとして用いる場合は、乳化剤を使用することが好ましい。乳化剤としてはオレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のカリウム又はナトリウム塩等の脂肪酸石鹸、ロジン、不均化ロジン等のカリウム又はナトリウム塩等の樹脂石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸やアルキルナフタレンスルホン酸等のナトリウム又はカリウム塩等のスルホン酸石鹸、オレイル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル等のナトリウム塩等の硫酸エステル石鹸、ヘキサデシルフォスフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルフォスフェート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルフォスフェート、ポリオキシエチレンノニルフェニルフォスフェート等のリン酸塩石鹸等のアニオン石鹸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールオレエート等のノニオン石鹸、ドデシルアミン塩酸塩等の脂肪族アミン塩酸塩、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルオクチルアンモウニウム塩、ドデシルピリジウムクロライド等のアルキルピリジウム塩等のカチオン石鹸などが挙げられる。これらは単独でも混合して用いてもよい。
前記乳化剤の使用量は酸化共役ジエン系ゴム又は原料共役ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部である。該乳化剤の使用量が前記上限以下であると、エマルションの安定性に影響を与えることなく、過剰の乳化剤の使用を抑制できるため、経済的に有利であると共に、接着力等が良好となる。また、該乳化剤の使用量が前記下限以上であると、エマルション粒子径の増大を抑制し、クリーミングや分離現象の発生を抑制することができる。安定なエマルションを得る観点から、エマルション粒子径は、好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmに調整することが好ましい。エマルションの安定性を高める目的で、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン類のようなアルカリ性物質を添加し、pHを調整して使用することもできる。
前記接着成分の付着量は、補強繊維とゴムとの接着性を向上させる観点から、補強繊維に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、そして、製造コストと効果とのバランスの観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
〔方法(II)〕
本発明の補強繊維の製造方法は、前記接着成分を原料の一部として含有する繊維として製造する方法(II)であってもよい。
方法(II)としては、酸化共役ジエン系ゴムを含む接着成分と原料樹脂との混合物を紡糸して繊維を形成する方法(II−1)、原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分と原料樹脂との混合物を紡糸して繊維を形成した後、該繊維に含まれる原料共役ジエン系ゴムを酸化する方法(II−2)等が挙げられる。
前記補強繊維が前記接着成分又は前記接着前駆成分を原料の一部として含有する場合の該接着成分及び該接着前駆成分以外の原料について特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、トリアセテート、ジアセテート、ポリアミド、及びこれらの混合物が挙げられ、中でも、該接着成分又は該接着前駆成分との混合容易性、及び補強繊維の強度の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記補強繊維が前記接着成分又は前記接着前駆成分を原料の一部として含有する場合、繊維原料中の前記接着成分又は前記接着前駆成分の含有量は、補強繊維とゴムとの接着性を向上させる観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、製造コストと効果とのバランスの観点から、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
方法(II)において、該繊維の形成方法に特に制限はなく、一般的な合成繊維の製造方法にしたがって形成することができる。例えば、重合度1,500以上及び鹸化度99モル%以上のポリビニルアルコール及び前記接着成分又は前記接着前駆成分を、水又は有機溶媒に溶解又は半溶融させて、湿式、乾式又は乾湿式紡糸する方法が挙げられる。
方法(II−2)を用いる場合、下記工程2−1及び工程2−2を含むことが好ましい。
工程2−1:原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分と原料樹脂との混合物を紡糸して繊維を得る工程
工程2−2:工程2−1で得られた繊維を熱処理する工程
工程2−1では前述のいずれかの方法により繊維を形成すればよい。
工程2−2の熱処理は、好ましくは150〜240℃の処理温度で0.1秒〜2分の処理時間で行うことが好ましい。これにより、原料共役ジエン系ゴムが酸化され、本発明の補強繊維を製造することができる。
熱処理の温度は、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、そして、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。熱処理の温度が前記範囲内であると、酸化共役ジエン系ゴム中の反応性多重結合量が減少することなく、接着力を向上させることができ、更に繊維の劣化も抑制し、着色等の品質も良好となる。
また、紡糸の際の延伸と熱処理は同時であってもよい。
前記補強繊維は、前記親水性繊維及び前記接着成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、架橋剤、酸、塩基、無機塩、有機塩、顔料、染料、酸化防止剤、可塑剤等が挙げられる。
前記補強繊維中の前記親水性繊維及び前記接着成分の合計含有量は、ゴムとの接着力の向上及び補強強度の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
<補強繊維の物性>
本発明の補強繊維は、単糸繊度が0.1dtex以上30dtex以下のマルチフィラメントであることが好ましい。単糸繊度は0.1dtex未満であってもよいが工業的に製造することが難しいことから0.1dtex以上が好ましい。また、単糸繊度が30dtex以下であると、補強繊維とした場合における繊維の表面積が大きくなるため、ゴムとの接着性が向上する。当該観点から、前記補強繊維は、単糸繊度がより好ましくは0.3dtex以上、更に好ましくは0.5dtex以上、より更に好ましくは1dtex以上であり、そして、より好ましくは20dtex以下、更に好ましくは15dtex以下、より更に好ましくは10dtex以下であるマルチフィラメントであることが好ましい。
本発明の補強繊維について、JIS L 1013:2010に従って測定した初期引張抵抗度が70cN/dtex以上であることが好ましい。前記初期引張抵抗度が70cN/dtex以上であると、補強繊維とゴムとを接着した際の補強強度が向上する。当該観点から、前記初期引張抵抗度は、100cN/dtex以上がより好ましく、130cN/dtex以上が更に好ましく、160cN/dtex以上がより更に好ましく、190cN/dtex以上が特に好ましく、200cN/dtex以上が最も好ましい。前記初期引張抵抗度の上限に特に制限はないが、通常、1,000cN/dtex以下である。
本発明の補強繊維は、任意の形状で使用することができるが、該補強繊維を少なくとも一部に含む、繊維コード、織物、編物等の形態で使用することが好ましく、該補強繊維を少なくとも一部に含む、織物又は編物として使用することがより好ましい。例えば、後述するとおりゴムに接着する編物として使用することができる。また、樹脂やセメント等に埋め込む補強繊維として使用することもできる。
[成形体]
本発明の成形体は、前記補強繊維を用いたものであれば特に限定されない。中でも、前記補強繊維がゴムとの優れた接着性を有することから、特に前記補強繊維とゴム成分とを用いた成形体(以下、「ゴム成形体」とも称する)が好ましい。前記ゴム成形体に用いられる補強繊維は、ゴムの形態保持という観点からは、該補強繊維を少なくとも一部に含む織物又は編物として用いられることが好ましく、該補強繊維を少なくとも一部に含む織物又は編物からなる補強層とゴム層とを積層した積層体として用いられることがより好ましい。
前記ゴム成形体は、例えば自動車用タイヤ等のタイヤ、コンベアベルト、タイミングベルト等のベルト、ホース、及び防振ゴム等のゴム製品の部材として使用することができ、中でも、タイヤ、ベルト、又はホースとして用いることがより好ましい。
前記自動車用タイヤとしては、例えばベルト、カーカス プライ、ブレーカー、ビードテープ等の補強繊維とゴム成分との複合材からなる各種部材に使用できる。
前記ホースとしては、種々の用途における各種流体の輸送を目的に使用することができ、例えば、自動車用の流体輸送用ホースに好適であり、特に、自動車用の液体燃料用ホース、自動車用のブレーキオイルホース、及び冷媒用ホースに用いることが好ましく、自動車用のブレーキオイルホースに用いることがより好ましい。
前記ゴム成形体は、前記補強繊維と、ゴム成分に通常ゴム業界で用いられる配合剤を配合したゴム組成物とを用いて成形されることが好ましい。
ゴム成分としては、特に限定はされないが、例えば、NR(天然ゴム)、IR(ポリイソプレンゴム)、BR(ポリブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、EPM(エチレン−プロピレン共重合体ゴム)EPDM(エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム)、IIR(ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム、CR(クロロプレンゴム)等が挙げられる。これらの中でも、NR、IR、BR、SBR、EPDM、CRを用いることが好ましく、EPDMを用いることがより好ましい。また、これらのゴム成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。タイヤ用途においては、タイヤ工業において一般的に用いられるものが使用できる。中でも、天然ゴム単独、あるいは天然ゴムとSBRを組み合わせて使用することが好ましい。天然ゴムとSBRを組み合わせる際は、ゴムの加硫戻りによる物性低下を抑制する観点から、天然ゴムとSBRとの質量比(天然ゴム/SBR)を50/50〜90/10の範囲とすることが好ましい。
前記天然ゴムとしては、例えばSMR(マレーシア産TSR)、SIR(インドネシア産TSR)、STR(タイ産TSR)等のTSR(Technically Specified Rubber)やRSS(Ribbed Smoked Sheet)等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。
前記SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、15〜35質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
前記SBRの重量平均分子量(Mw)は100,000〜2,500,000であることが好ましく、150,000〜2,000,000であることがより好ましく、200,000〜1,500,000であることが更に好ましい。前記の範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。なお、SBRの重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
前記SBRとしては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
前記ゴム組成物は、前記ゴム成分に加えて、更にフィラーを含有してもよい。該フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機フィラー;樹脂粒子、木粉、及びコルク粉等の有機フィラーなどが挙げられる。このようなフィラーがゴム組成物に含まれることにより、機械強度、耐熱性、又は耐候性等の物性の改善、硬度の調整、ゴムの増量が可能となる。
機械強度の向上等の物性の改善などの観点からは、前記フィラーの中でも、カーボンブラック及びシリカが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等が挙げられる。架橋速度や機械強度向上の観点からは、これらカーボンブラックの中でも、ファーネスブラックが好ましい。
前記カーボンブラックの平均粒径は、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、5〜70nmが更に好ましい。なお、前記カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
前記シリカとしては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらシリカの中でも、湿式シリカが好ましい。
前記シリカの平均粒径は、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましい。
なお、前記シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
前記ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部に対する前記フィラーの含有量は20〜150質量部が好ましく、25〜130質量部がより好ましく、25〜110質量部が更に好ましい。
また、前記フィラーとして、シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを用いる場合には、その含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、20〜120質量部が好ましく、20〜90質量部がより好ましく、20〜80質量部が更に好ましい。
これらフィラーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、前記ゴム成分を架橋するために、更に架橋剤を含有していてもよい。該架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、及びシラン化合物等が挙げられる。これら架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤は、架橋物の力学物性の観点から、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.8〜5質量部含有される。
前記ゴム組成物は、例えば前記ゴム成分を架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫促進剤を含有していてもよい。該加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、及びキサンテート系化合物等が挙げられる。これら加硫促進剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤は、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部含有される。
前記ゴム組成物は、例えば前記ゴム成分を架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫助剤を含有していてもよい。該加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これら加硫助剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤は、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜15質量部、好ましくは1〜10質量部含有される。
前記ゴム組成物では、フィラーとしてシリカを含有する場合は、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。該シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記シランカップリング剤は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、更に好ましくは1〜15質量部含有される。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性が向上する。
前記ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual AromaticExtracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分を軟化剤として含有してもよい。前記ゴム組成物が前記プロセスオイルを軟化剤として含有する場合には、その含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
前記ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、ワックス、酸化防止剤、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。これら添加剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム成形体の製造方法としては、例えば、前記補強繊維を未加硫の前記ゴム組成物に埋設し、該ゴム組成物を加硫処理することにより、親水性繊維とゴム成分とが前記接着成分を介して接着された成形体を得ることができる。
前記自動車用のブレーキオイルホースとしては、例えば、内側ゴム層と外側ゴム層とを有し、内側ゴム層と外ゴム層との間に1層又は2層の前記補強繊維からなる補強層を有するものが挙げられる。
内側ゴム層と外側ゴム層を構成するゴム成分としては、前述のものが挙げられる。中でも、内側ゴム層を構成するゴム成分としては、EPDM、SBR等が挙げられ、外側ゴム層を構成するゴム成分としては、EPDM、CR等が挙げられる。前記補強層は、補強繊維を編組して形成することができる。
前記ブレーキオイルホースの製造方法としては、内側ゴム層の外表面上に、前記補強繊維を編組した補強層(第1補強層)を形成する。2層の補強層を形成する場合には、第1補強層の外表面上に更に中間ゴム層を形成し、該中間ゴム層の外表面上に、前記補強繊維を編組した補強層(第2補強層)を形成してもよい。そして、補強層(第1補強層又は第2補強層)の外表面上に外側ゴム層を形成し、加硫することにより製造することができる。
加硫温度は、ブレーキオイルホースの各層の構成材料の種類等により適宜選択できるが、ゴムと補強繊維の劣化を抑制し、ゴムと補強繊維との接着力を向上させる観点から、200℃以下であることが好ましい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例等により何ら限定されない。
<原料共役ジエン系ゴムの製造>
・下記式(1a)で表される単量体単位を有する液状ポリイソプレン(LIR)の製造
製造例1:液状ポリイソプレン(LIR)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1200g及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)26.2gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、イソプレン1200gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ポリイソプレン(LIR)(Mw:32,000、Mn:28,000、Mw/Mn:1.1、溶融粘度:74Pa・s)を得た。
・下記式(1b)で表される単量体単位を有する液状ポリブタジエン(LBR)の製造
製造例2:液状ポリブタジエン(LBR)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1260g及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)36.3gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1260gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、液状ポリブタジエン(LBR)(Mw:27,000、Mn:26,000、Mw/Mn:1.0、溶融粘度:40Pa・s)を得た。
なお、原料共役ジエン系ゴムの各物性の測定方法及び算出方法は以下の通りである。
(重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布の測定方法)
原料共役ジエン系ゴムのMw、Mn及びMw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(溶融粘度の測定方法)
原料共役ジエン系ゴムの38℃における溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
<原料共役ジエン系ゴムのエマルションの調製>
調製例1:液状ポリイソプレン(LIR)のエマルションの調製
製造例1で得られた液状ポリイソプレン(LIR)250gに乳化剤(ポリオキシエチレンアルキル(C=12〜15)エーテルフォスフェート)(商品名「フォスファノールRS−710」、東邦化学工業株式会社製)15gを加えて20分間撹拌した。続いて撹拌しながら水177gを少しずつ添加した。所定量の水を添加後、20分撹拌することで、液状ポリイソプレン(LIR)のエマルションを得た。
調製例2:液状ポリブタジエン(LBR)のエマルションの調製
製造例2で得られた液状ポリブタジエン(LBR)250gに乳化剤(ポリオキシエチレンアルキル(C=12〜15)エーテルフォスフェート)(商品名「フォスファノールRS−710」、東邦化学工業株式会社製)15gを加えて20分間撹拌した。続いて撹拌しながら水177gを少しずつ添加した。所定量の水を添加後、20分撹拌することで、液状ポリブタジエン(LBR)のエマルションを得た。
<接着成分付着量の測定>
補強繊維約10gを試料として採取し、その質量Xを測定した。試料から接着成分を抽出し、抽出質量Yを測定した。抽出には溶媒にトルエンを用い、ソックスレー抽出器で3時間抽出を行った。接着成分付着量を下記式により算出した。
補強繊維に対する接着成分の付着量(質量%)=(Y/X)×100
<実施例1、2>
実施例1及び2として、繊維表面の少なくとも一部に接着成分からなる接着層を有する補強繊維を製造し、以下のとおり評価した。
実施例1では、製造例1で得られた液状ポリイソプレン(LIR)を200mlのガラスビーカーに4.0g測り取り、200℃の空気の熱風中で15分間熱処理することで酸化させて、酸化した液状ポリイソプレン(1)(酸化LIR(1))を得た。
実施例2では、同様に製造例1で得られた液状ポリイソプレン(LIR)を200℃の空気の熱風中で10分間熱処理することで、酸化した液状ポリイソプレン(2)(酸化LIR(2))を得た。
次いで、それぞれの酸化LIRを固形分濃度が4質量%となるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、この溶液中に親水性繊維としてポリビニルアルコール系繊維であるビニロン繊維(株式会社クラレ製「クラロン1239」、総繊度1330dtex、単糸繊度6.65dtex)を浸漬した後、引き上げてドラフト内で風乾させた。このようにして接着成分を付着させたビニロンを撚り数80T/mで撚って繊維コードを作製した。なお、接着成分の付着量は前述した測定方法により測定した。結果を表1に示す。
酸化LIRは下記の条件でH−NMRを測定して、アルデヒド基及びカルボキシル基の水素原子に由来するシグナルの積分値の合計と反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルの積分値との比を求めた。結果を表1に示す。
H−NMR測定条件>
装置名:超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「Lambda500」)
観測周波数 :500MHz
溶媒 :重クロロホルム
ポリマー濃度 :4質量%
測定温度 :25℃
積算回数 :600回
パルス遅延時間:3.836秒
サンプル回転速度:10Hz〜12Hz
パルス幅(90°パルス):6.75μsec
<解析方法>
得られたH−NMRスペクトルにおいて、反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナル(通常、4.0〜6.0ppmで観察される)の積分値A、アルデヒド基の水素原子に由来するシグナル(通常、9.0〜10.5ppmで観察される)の積分値B、及びカルボキシル基の水素原子に由来するシグナル(通常、10.0〜12.5ppmで観察される)の積分値Cをそれぞれ測定して、下記式より比を求めた。
[アルデヒド基及びカルボキシル基の存在比]=[(B+C)/A]
<比較例1>
接着成分を付着させずに、ビニロン繊維(株式会社クラレ製「クラロン1239」、総繊度1330dtex、単糸繊度6.65dtex)を用いて、撚り数80T/mで撚って繊維コードを作製した。
<比較例2>
実施例1において、ビニロン繊維の代わりに疎水性のポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)、を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
<比較例3>
実施例1において、接着成分として酸化のための熱処理を行っていない液状ポリイソプレン(LIR)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
<評価用シートの作製>
前述の実施例及び比較例で作製した繊維コードを、繊維コード同士が重ならないようにスダレ状にマスキングテープ上に並べて固定した後、これと、別途EPDMゴム(住友化学株式会社製「エスプレン501A」)を用い、下記配合組成により調製したEPDMゴムを主成分とする未加硫のゴム組成物(以下、「EPDM未加硫ゴム」とも称する)(幅25.4mm、長さ240mm)とを重ね合わせた(繊維コードとEPDM未加硫ゴムとの重ね合わせた部分の長さは190mmであった)。次いで、150℃、圧力20kg/cmの条件で30分間プレス加硫することにより評価用シートを作製した。
<EPDM未加硫ゴムの配合組成>
EPDMゴム :100質量部
フィラー(カーボンブラック) : 60質量部
軟化剤(パラフィン系プロセスオイル) : 20質量部
架橋剤(硫黄粉) :1.5質量部
加硫助剤(亜鉛華2種、ステアリン酸) : 6質量部
加硫促進剤(チアゾール系、チウラム系) :1.5質量部
<ゴム接着力の測定>
得られた評価用シートについて、繊維コードをゴムからT型剥離させるときに要した力(N/25.4mm)を測定し、ゴム接着力として評価した。結果を表1に示す。ゴム接着力の評価結果は、数値が大きいほど補強繊維とゴムとの接着力が大きいことを示す。
<初期引張抵抗度の測定>
得られた評価用シートの初期引張抵抗度を、測定機(インストロン3365)を使用してJIS L 1013:2010に従って測定した。剥離速度50mm/minで200mm動かして剥離試験を行い、繊維コードとゴムとを剥離した。
チャートに現れる最初のピークから10mmと最後のピークから10mmを除いた範囲で現れる多数のピークから最高点5点と最低点5点を取り出して平均した値を繊維とゴムの初期引張抵抗度とした。なお、ピーク同士が2mm以上離れているもののみから値を採取した。結果を表1に示す。 初期引張抵抗度の評価結果は、数値が大きいほど補強繊維とゴムとを接着した際の補強強度が高いことを示す。
<実施例3>
実施例3として、繊維表面の少なくとも一部に接着成分からなる接着層を有する補強繊維を製造し、以下のとおり評価した。
調製例1で得られた液状ポリイソプレン(LIR)のエマルションからなる接着前駆成分を、固形分濃度が4質量%となるように、それぞれ水に分散させた。この分散液に対してポリビニルアルコール系繊維であるビニロン繊維(株式会社クラレ製「クラロン1239」、総繊度1330dtex、単糸繊度6.65dtex)を浸漬した後、ローラーで搾液した。次いで、得られた繊維を120℃で30秒間乾燥処理し、更に200℃で30秒間熱処理することで接着層を酸化させた。このようにして接着成分を付着させたビニロンを撚り数80T/mで撚って繊維コードを作製した。なお、実施例3における接着成分の付着量は前述した測定方法により測定した。
<実施例4>
実施例3において、液状ポリイソプレン(LIR)のエマルションの代わりに、調製例2で得られた液状ポリブタジエン(LBR)のエマルションを用いたこと以外は実施例3と同様の方法で繊維コードを作製した。
<比較例4>
実施例3において、120℃で30秒間乾燥処理した後、200℃での熱処理を行わなかったこと以外は実施例3と同様の方法で繊維コードを作製した。
<参考例1>
参考例1は、ビニロン繊維(株式会社クラレ製「クラロン1239」、総繊度1330dtex、単糸繊度6.65dtex)に、付着量が3.0質量%となるように公知のRFL処理を施した。このようにして接着成分を付着させたビニロンを撚り数80T/mで撚って繊維コードを作製した。なお、使用したRFLは下記の方法にて調製した。
<RFL液の調製>
A液 水 :300質量部
レゾルシン : 22質量部
ホルムアルデヒド(有効分37質量%) : 33質量部
水酸化ナトリウム水溶液(有効分10質量%) : 7質量部
上記A液を25℃の温度で6時間熟成した。
B液 SBRラテックス(有効分40質量%) : 43質量部
ビニルピリジン変性SBRラテックス(有効分40質量%):244質量部
上記B液を熟成済みのA液と混合した後、25℃の温度で16時間熟成してRFL液を製造した。なお、繊維への付着量を調整するために上記操作後に水で2倍に希釈した。
<ゴム接着力及び初期引張抵抗度の測定>
実施例3、4、比較例4及び参考例1で得られた繊維コードについて、前記と同様の方法でゴム接着力及び初期引張抵抗度を評価した。結果を表2に示す。
<実施例5>
実施例3において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、再生セルロース系繊維であるレーヨン繊維(Cordenka製「Cordenka700」、総繊度1840dtex、単糸繊度1.84dtex)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で繊維コードを作製した。
<実施例6>
実施例3において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、後述の親水化処理を行ったポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で繊維コードを作製した。
<比較例5>
比較例4において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、再生セルロース系繊維であるレーヨン繊維(Cordenka製「Cordenka700」、総繊度1840dtex、単糸繊度1.84dtex)を用いたこと以外は比較例4と同様の方法で繊維コードを作製した。
<比較例6>
比較例4において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、後述の親水化処理を行ったポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)を用いたこと以外は比較例4と同様の方法で繊維コードを作製した。
<参考例2>
参考例1において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、再生セルロース系繊維であるレーヨン繊維(Cordenka製「Cordenka700」、総繊度1840dtex、単糸繊度1.84dtex)を用いたこと以外は参考例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
<参考例3>
参考例1において、親水性繊維としてビニロン繊維の代わりに、後述の親水化処理を行ったポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)、を用いたこと以外は参考例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
<親水化処理>
下記の組成に調製した親水化処理剤中にポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)を浸漬した後、ローラーで搾液した。次いで、得られた繊維を130℃で60秒間乾燥処理し、更に240℃で60秒間熱処理して巻き取ることで、親水化処理を行ったPET繊維を作製した。
<親水化処理剤の調製>
水 :96.96質量部
メイカノートDM−3031 CONC: 22質量部
デナコールEX−614B : 7質量部
親水化処理剤にはブロックドイソシアネートとエポキシ樹脂を用いて調製した。なお、ブロックドイソシアネートとして、明成化学工業株式会社製の「メイカノートDM−3031 CONC」を、エポキシ樹脂として、ナガセケムテックス株式会社製の「デナコールEX−614B」を用いた。
<ゴム接着力及び初期引張抵抗度の測定>
実施例5、6、比較例5、6及び参考例2、3で得られた繊維コードについて、前記と同様の方法でゴム接着力及び初期引張抵抗度を評価した。結果を表3に示す。
<実施例7>
実施例7として、繊維が接着成分を原料の一部として含有する補強繊維を以下のとおり製造し、評価した。
ポリビニルアルコール単独重合体(以下、「PVA」とも称する)(粘度平均重合度:1,700、鹸化度:99モル%以上)2.4kgを水に浴解した後、調製例1で得られた液状ポリイソプレン(LIR)のエマルション472gを加えて、PVAとLIRとの純分質量比が90:10の水溶液を作製した。更に前記水溶液100質量部に対してホウ酸を2質量部の割合で添加して原液を調製した。
次いで、水酸化ナトリウム20g/L、及び硫酸ナトリウム320g/Lの割合で水に浴解した70℃の凝固浴(一浴)中へ該原液を湿式紡糸し、ローラー延伸、中和、湿熱延伸、水洗、乾燥した。
次いで、240℃で乾熱延伸を行ってボビンに巻取ることによりPVA系繊維(総繊度2000dtex、単糸繊度2.00dtex)を得た。得られた繊維を80T/mで撚糸して繊維コードを作製した。
<比較例7>
実施例7において、PVAのみを用いて固形分濃度12重量%になるよう原液を調製したこと以外は実施例7と同様にしてPVA系繊維からなる繊維コードを得た。
<ゴム接着力>
実施例7及び比較例7で得られた繊維コードについて、前記と同様の方法でゴム接着力を評価した。結果を表4に示す。
実施例及び比較例の結果より明らかなように、本発明の補強繊維はレゾルシン・ホルマリン樹脂とゴムラテックスとを主成分とする接着剤を用いることなく、ゴムとの接着性に優れる補強繊維を得ることができる。

Claims (16)

  1. 親水性繊維及び接着成分を含有する補強繊維であって、
    該親水性繊維の表面の少なくとも一部に該接着成分を有し、
    該接着成分が酸化した共役ジエン系ゴムを含む、補強繊維。
  2. 前記親水性繊維が、ポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース系繊維、及び疎水性繊維の表面を親水化処理した繊維から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の補強繊維。
  3. 前記疎水性繊維がポリエステル系繊維である、請求項2に記載の補強繊維。
  4. 前記補強繊維が、単糸繊度が0.1dtex以上30dtex以下のマルチフィラメントである、請求項1〜3のいずれかに記載の補強繊維。
  5. 前記共役ジエン系ゴムが、分子内にイソプレン及びブタジエンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の補強繊維。
  6. 前記共役ジエン系ゴムが、液状である、請求項1〜5のいずれかに記載の補強繊維。
  7. 前記接着成分の付着量が、前記補強繊維に対して、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の補強繊維。
  8. 前記共役ジエン系ゴムが、酸化によって生じたアルデヒド基及び/又はカルボキシル基を分子内に含み、該共役ジエン系ゴムを重クロロホルム中に溶解させて、室温下でH−NMRを測定し、重クロロホルム中のCHClに基づく溶媒シグナル(7.2ppm)をリファレンスとしたときにおける、該アルデヒド基及び該カルボキシル基の水素原子に由来する9.0〜12.5ppmの範囲内にあるシグナルの積分値の合計が、該共役ジエン系ゴム中の反応性の二重結合を形成する炭素原子に結合している水素原子に由来するシグナルの積分値に対して、30,000分の1以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の補強繊維。
  9. 前記共役ジエン系ゴムが、150℃〜240℃の範囲で熱処理により酸化されてなる、請求項1〜8のいずれかに記載の補強繊維。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維の製造方法であって、下記工程1−1及び工程1−2を含む、補強繊維の製造方法。
    工程1−1:未酸化の原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分を親水性繊維の表面に付着させる工程
    工程1−2:工程1−1で得られた前記接着前駆成分が付着した親水性繊維を150℃以上で熱処理する工程
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維の製造方法であって、下記工程2−1及び工程2−2を含む、補強繊維の製造方法。
    工程2−1:未酸化の原料共役ジエン系ゴムを含む接着前駆成分と原料樹脂との混合物を紡糸して繊維を得る工程
    工程2−2:工程2−1で得られた繊維を150℃以上で熱処理する工程
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維の製造方法であって、前記接着成分を親水性繊維の表面に付着させる工程を含む、補強繊維の製造方法。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維を少なくとも一部に含む、織物又は編物。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の補強繊維を用いた、成形体。
  15. 更にゴム成分を用いた、請求項14に記載の成形体。
  16. 前記成形体がタイヤ、ベルト又はホースである、請求項15に記載の成形体。
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