JP2022040767A - 補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体 - Google Patents

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Shuhei Yorimitsu
慎一 竹本
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栄一 石田
Eiichi Ishida
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Kaname Tachibana
哲行 趙
Tetsuyuki Cho
次郎 田中
Jiro Tanaka
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Abstract

【課題】ゴムとの接着性及び耐摩耗性に優れると共に、製造設備の汚染を抑制しながら効率的に製造することができる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供する。【解決手段】繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有することを特徴とする補強繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴムとの接着性及び耐摩耗性に優れる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体に関する。
一般的に、タイヤ、コンベアベルト、及びホース(例えば、自動車用オイルブレーキホース)等の工業用ゴム製品は、ビニロン及びレーヨン等の合成繊維や綿等の天然繊維を用いて補強されている。これらの製品において、ゴムが有する優れた物理的特性(例えば、高強度及び高弾性率)等を十分に発揮させるためには、繊維とゴムとを強固に接着させる必要がある。従来、かかる方法として、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とゴムラテックスとを主成分とするRFLと呼ばれる接着剤を用いる方法が広く知られている(特許文献1及び2)。
しかしながら、ホルムアルデヒドは発がん性の疑いがあり、レゾルシンは環境ホルモンの疑いがあることから代替材料の開発が望まれている。
具体的に、特許文献3には、ゴムの加硫に用いられる加硫剤と反応する不飽和炭素結合及びエポキシ基を有する接着化合物を含む接着剤を用いる技術が提案されている。特許文献4には、(ブロックド)イソシアネート化合物及び/又はアミン系硬化剤(A)と、エポキシ化合物(B)と、ゴムラテックス(C)と、を含み、レゾルシン及びホルムアルデヒドを含まない有機繊維コード用接着剤組成物を用いた接着方法が提案されている。特許文献5には、共役ジエン系ゴムの一部に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴムを含む接着成分を用いた接着方法が提案されている。
特開昭54-4976号公報 特開昭58-2370号公報 特開2011-111563号公報 国際公開第2010/125992号 国際公開第2019/230700号
特許文献3に記載された接着剤を用いた方法は、従来のRFLを用いた方法に比べて、接着性が大きく劣っていた。また、接着力を向上させるためにブロックイソシアネートを添加するという記載もあるが、この場合、実質的には被着繊維上でブロックイソシアネートを重合させるために高温又は/かつ長時間熱処理を行う必要があり、被着繊維を劣化させるおそれがあった。
特許文献4に記載された接着剤を用いた方法は、従来のRFLを用いた方法と同等かそれ以上の接着力を有するものの、有機繊維コードの表面に接着剤層を形成した後、実質的には高温(180℃及び240℃)によって加熱処理する必要があった。補強繊維として、しばしば用いられるPVA系繊維やPET系繊維といった有機繊維をかかる方法で処理した場合、劣化によって補強繊維としての性能が落ちる危険性があった。また、特許文献5に記載された技術は、繊維表面に付着した非常に高粘度の変性共役ジエン系ゴムが加工時に脱落、または転写することでガイドやローラー等の製造設備を汚染して生産性を悪化させる危険性があった。
そこで、従来のRFLを用いた方法と同程度の接着力を有しながら、汎用的な繊維が劣化しない接着方法で、かつ製造設備の汚染が少なく効率的に生産することができる技術が求められていた。
本発明の課題は、前記従来の問題を鑑みてなされたものであって、ゴムとの接着性及び加工時の耐摩耗性に優れると共に、製造設備の汚染を抑制しながら効率的に製造することができる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、接着成分として、液状の共役ジエン系ゴム、特定の蒸気圧を有するオイル及び界面活性剤の混合物を用いることにより、ゴムとの接着性及び耐摩耗性に優れる補強繊維が得られ、かつ製造設備の汚染も抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の[1]~[13]を提供するものである。
[1]繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有することを特徴とする補強繊維。
[2]前記繊維が、ポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース系繊維、ポリエステル系繊維、及びポリアミド系繊維から選ばれる1種以上である、上記[1]に記載の補強繊維。
[3]前記液状の共役ジエン系ゴムが、分子内にブタジエン、イソプレン、及びファルネセンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位を含む、上記[1]または[2]に記載の補強繊維。
[4]前記液状の共役ジエン系ゴムが、共役ジエン系ゴムの一部に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴムである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の補強繊維。
[5]前記水素結合性官能基が、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルデヒド基、アルデヒド基のアセタール化体、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基のエステル化体、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、ボロニル基のエステル化体、シラノール基、及びシラノール基のエステル化体から選ばれる1種以上である、上記[4]に記載の補強繊維。
[6]前記界面活性剤がノニオン界面活性剤である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の補強繊維。
[7]前記ノニオン界面活性剤のHLB値が6~17である、上記[6]に記載の補強繊維。
[8]前記液状の共役ジエン系ゴム及び前記オイルの総量に対して、前記界面活性剤の含有比率〔界面活性剤/(液状の共役ジエン系ゴム+オイル)〕が、質量比で1/100~50/100である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の補強繊維。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の補強繊維の製造方法であって、前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を混合した状態で水中油滴エマルションとし、繊維に付着させる工程を有する、補強繊維の製造方法。
[10]上記[1]~[8]のいずれかに記載の補強繊維を少なくとも一部に含む、織物又は編物。
[11]上記[1]~[8]のいずれかに記載の補強繊維を用いた、成形体。
[12]更にゴム成分を含有する、上記[11]に記載の成形体。
[13]前記成形体がタイヤ、ベルト又はホースである、上記[11]又は[12]に記載の成形体。
本発明によれば、ゴムとの接着性及び耐摩耗性に優れると共に、製造設備の汚染を抑制しながら効率的に製造することができる補強繊維及びその製造方法、並びにそれを用いた成形体を提供することができる。
[補強繊維]
本発明の補強繊維は、繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有することを特徴とする。
本発明によれば、接着成分として液状の共役ジエン系ゴムを用いているためゴムとの接着性に優れる補強繊維を得ることができる。また、本発明においては、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下のオイル、及び界面活性剤を併用することで、これらの混合物をエマルションとすることができ、より均一に、かつ効率的に繊維に付着させることができるため、得られた補強繊維の耐摩耗性が優れる。また、取り扱いやすく、製造設備の汚染を抑制することができ製造効率が向上する。
本発明において、「繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有する」とは、繊維の表面の少なくとも一部に、例えば、膜や層として接着成分が存在する態様であってもよく、繊維の原料に接着成分が含まれており、繊維そのものの表面の一部に接着成分が存在する態様であってもよい。
なお、本発明において用いる接着成分は、人体に有害なホルムアルデヒド及びホルムアルデヒドを原料とした樹脂を含まなくてもゴムとの接着性に優れる補強繊維を得ることができる。本発明において、前記接着成分が仮にホルムアルデヒドを原料とした樹脂を含む場合、該樹脂としては、例えば、レゾルシン/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂及びこれらの誘導体が挙げられる。前記接着成分において、前記ホルムアルデヒド成分を含む場合、その含有量は前記液状の共役ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましく、1質量部以下がより更に好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。ホルムアルデヒドの含有量は、補強繊維から接着成分をトルエン等の溶媒で抽出した後、HPLC等を用いることで測定できる。
<液状の共役ジエン系ゴム>
本発明において用いる液状の共役ジエン系ゴムは、分子内に少なくとも共役ジエンに由来する単量体単位(以下、「共役ジエン単位」とも称する)を含むものであり、例えば、共役ジエン系ゴム中の全単量体単位中に共役ジエンに由来する単量体単位を50モル%以上含有するものが好ましい。
共役ジエン単量体としては、例えば、ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(以下、「イソプレン」とも称する)、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニルブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3,7-オクタトリエン、β-ファルネセン(以下、「ファルネセン」とも称する)、ミルセン、及びクロロプレン等が挙げられる。これら共役ジエンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状の共役ジエン系ゴムは、加硫時の反応性の観点から、ブタジエン、イソプレン及びファルネセンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位を有することがより好ましい。
なお、本明細書において「液状」とは、共役ジエン系ゴムの38℃で測定した溶融粘度が4,000Pa・s以下であることを示す。該溶融粘度は接着性を向上させる観点から、0.1Pa・s以上が好ましく、1Pa・s以上がより好ましく、10Pa・s以上が更に好ましく、30Pa・s以上がより更に好ましく、50Pa・s以上がより更に好ましく、取り扱い性の観点から、2,000Pa・s以下が好ましく、1,500Pa・s以下がより好ましく、1,000Pa・s以下が更に好ましい。前記溶融粘度が前記範囲内であると、共役ジエン系ゴムの接着性を向上させつつ、取り扱い性を良好にすることができる。
なお、液状の共役ジエン系ゴムの溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)を用いて38℃にて測定した粘度を意味する。
本発明において用いる液状の共役ジエン系ゴムは、接着を阻害しない程度であれば前記共役ジエン単量体以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、共重合可能なエチレン性不飽和単量体や芳香族ビニル化合物が挙げられる。
前記エチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、1-ブテン、及びイソブチレン等のオレフィン等が挙げられる。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N-ジエチル-4-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4-メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状の共役ジエン系ゴムが共役ジエン単量体以外の他の単量体に由来する単量体単位を含有する場合、その含有量は30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が更に好ましい。
本発明において用いる液状の共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系ゴムの一部に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴムであることが好ましく、少なくとも一部の重合体鎖に共役ジエン単位を含み、かつ、該重合体鎖の側鎖又は末端に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴムがより好ましい。
共役ジエン系ゴムとして前記変性共役ジエン系ゴムを用いた場合、変性共役ジエン系ゴムが被着体であるゴム及び繊維のそれぞれと相互作用することによって、両者を接着させることができる。変性共役ジエン系ゴムと被着ゴムとを加硫し、共有結合を形成させた場合は、強い凝集力が生じるため、より一層接着性が向上する。
また、繊維として親水性繊維を用いた場合は、変性共役ジエン系ゴムに含まれる水素結合性官能基が親水性繊維と水素結合を形成することにより接着性が向上すると考えられる。
なお、本明細書において、「水素結合」とは、電気陰性度の大きな原子(O、N、S等)に結合し、電気的に陽性に分極した水素原子(ドナー)と、孤立電子対を有する電気的に陰性な原子(アクセプター)との間に形成される結合性の相互作用を意味する。
本発明において「水素結合性官能基」とは、前記水素結合においてドナー及びアクセプターとして機能することのできる官能基である。具体的には、ヒドロキシ基、エポキシ基、エーテル基、メルカプト基、カルボキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミダゾール基、ウレタン基、アミド基、ウレア基、イソシアネート基、ニトリル基、ボロニル基、シラノール基及びこれらの誘導体等が挙げられる。アルデヒド基の誘導体としては、そのアセタール化体が挙げられる。カルボキシ基の誘導体としては、その塩、そのエステル化体、そのアミド化体、その酸無水物が挙げられる。ボロニル基の誘導体としては、その塩、そのエステル化体が挙げられる。シラノール基の誘導体としては、そのエステル化体が挙げられる。また、カルボキシ基としては、モノカルボン酸由来の基、ジカルボン酸由来の基が挙げられる。これらの中でも、接着性を向上させる観点、液状の共役ジエン系ゴムの製造容易性の観点から、ヒドロキシ基、アルデヒド基、アルデヒド基のアセタール化体、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基のエステル化体、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、ボロニル基のエステル化体、シラノール基、及びシラノール基のエステル化体から選ばれる1種以上が好ましく、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基のエステル化体、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、及びボロニル基のエステル化体から選ばれる1種以上がより好ましく、カルボキシ基、カルボキシ基のエステル化体、エポキシ基、ボロニル基、及びボロニル基のエステル化体から選ばれる1種以上が更に好ましく、ジカルボン酸由来の基及びボロニル基がより更に好ましい。
変性共役ジエン系ゴム中の水素結合性官能基数は、ゴム接着性に優れる補強繊維を得る観点から、1分子当たりの平均で、好ましくは0.5個以上、より好ましくは2個以上、更に好ましくは3個以上、より更に好ましくは4個以上である。また、前記水素結合性官能基数は、変性共役ジエン系ゴムの粘度を適切な範囲に制御し、取り扱い性を向上させる観点から、1分子当たりの平均で、好ましくは80個以下、より好ましくは40個以下、更に好ましくは30個以下、より更に好ましくは20個以下、より更に好ましくは10個以下である。
変性共役ジエン系ゴム1分子当たりの平均水素結合性官能基数は、変性共役ジエン系ゴムの水素結合性官能基の当量(g/eq)とスチレン換算の数平均分子量Mnから、下記式に基づき算出される。変性共役ジエン系ゴムの水素結合性官能基の当量は、水素結合性官能基1個当たりに結合している共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体の質量を意味する。
1分子当たりの平均水素結合性官能基数=[(数平均分子量(Mn))/(スチレン単位の分子量)×(共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体単位の平均分子量)]/(水素結合性官能基の当量)
なお、水素結合性官能基の当量の算出方法は、水素結合性官能基の種類により適宜選択することができる。
変性共役ジエン系ゴムを得る方法としては、例えば、共役ジエン単量体の重合化物に変性化合物を付加することにより得る方法(以下、「製造方法(1)」とも称する)や、共役ジエン重合体を酸化することにより得る方法(以下、「製造方法(2)」とも称する)、共役ジエン単量体と水素結合性官能基を有するラジカル重合性化合物とを共重合することにより得る方法(以下、「製造方法(3)」とも称する)、重合活性末端を有する未変性の共役ジエン単量体の重合化物に対して重合停止剤を添加する前に該重合活性末端と反応し得る変性化合物を添加する方法(以下、「製造方法(4)」とも称する)が挙げられる。
〔変性共役ジエン系ゴムの製造方法(1)〕
製造方法(1)は、共役ジエン単量体の重合化物、すなわち未変性の共役ジエン系ゴム(以下、「未変性共役ジエン系ゴム」とも称する)に変性化合物を付加する方法である。
未変性共役ジエン系ゴムは、共役ジエン及び必要に応じて共役ジエン以外の他の単量体を、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により重合して得ることができる。
前記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、所定量の共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これらアニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4-ジリチオブタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
前記有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とする未変性共役ジエン系ゴム及び変性共役ジエン系ゴムの溶融粘度、分子量等に応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体100質量部に対して、通常0.01~3質量部の量で使用される。
前記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01~1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常-80~150℃の範囲、好ましくは0~100℃の範囲、より好ましくは10~90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、重合化物を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより未変性共役ジエン系ゴムを単離できる。
未変性共役ジエン系ゴムの製造方法としては、前記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
前記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩等が挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩等が挙げられる。
分散溶媒としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる未変性共役ジエン系ゴムの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ-テルピネン、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類等により適宜設定できるが、通常0~100℃の範囲、好ましくは0~60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、重合化物を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合化物を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、未変性共役ジエン系ゴムが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した未変性共役ジエン系ゴムとして回収してもよい。
(製造方法(1)で用いる変性化合物)
製造方法(1)で用いる変性化合物に特に制限はないが、補強繊維の接着性を向上させる観点から、水素結合性官能基を有しているものが好ましい。水素結合性官能基としては、前述と同様のものが挙げられる。それらの中でも、水素結合力の強さの観点から、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルデヒド基、アルデヒド基のアセタール化体、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基のエステル化体、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、ボロニル基のエステル化体、シラノール基、及びシラノール基のエステル化体が好ましい。補強繊維との接着性という観点では、水素結合に加えて共有結合の形成が可能な官能基がより好ましく、例えばポリエステル繊維やビニロンに対しては、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、ボロニル基のエステル化体等が挙げられる。これらの水素結合性官能基を有する変性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記変性化合物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、過プロピオン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水2,3-ジメチルマレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、シトラコン酸エステル、イタコン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸アミド、フマル酸アミド、シトラコン酸アミド、イタコン酸アミド等の不飽和カルボン酸アミド;マレイン酸イミド、フマル酸イミド、シトラコン酸イミド、イタコン酸イミド等の不飽和カルボン酸イミド;ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジメチルシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシエチルシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシエチルシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン等のシラン化合物;ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル等のボロン酸エステル等が挙げられる。
前記変性化合物の使用量は、未変性共役ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.5~50質量部、更に好ましくは1~30質量部である。
反応温度は通常0~200℃の範囲が好ましく、50~200℃の範囲がより好ましい。
また、未変性共役ジエン系ゴムに前記変性化合物をグラフト化し水素結合性官能基を導入した後、更に該官能基と反応し得る変性化合物を添加して別の水素結合性官能基を重合体中に導入してもよい。具体的には、例えば、リビングアニオン重合して得られる未変性共役ジエン系ゴムに対し、無水マレイン酸をグラフト化した後、2-ヒドロキシエチルメタクリレートやメタノール等の水酸基を有する化合物、水等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
変性共役ジエン系ゴムにおける変性化合物の付加量は、未変性共役ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5~40質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましく、1.5~20質量部が更に好ましい。なお、変性共役ジエン系ゴム中に付加された変性化合物量は、変性化合物の酸価を基に算出することもでき、また、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることもできる。
前記変性化合物を未変性共役ジエン系ゴムに付加させる方法は特に限定されず、例えば、液状の未変性共役ジエン系ゴムと、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、ボロン酸誘導体、及びシラン化合物等から選ばれる1種以上の変性化合物と、更に必要に応じてラジカル発生剤を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下に加熱する方法が挙げられる。使用するラジカル発生剤には特に制限はなく、通常市販されている有機過酸化物、アゾ系化合物、過酸化水素等が使用できる。
前記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n-ブタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
更に、前記方法により変性化合物を付加する反応を行う際、副反応を抑制する観点等から、老化防止剤を添加してもよい。該老化防止剤は通常市販されているものが使用でき、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(ノクラック6C)等が挙げられる。
老化防止剤の添加量は、未変性共役ジエン系ゴム100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。老化防止剤の添加量が前記範囲内であると、副反応を抑制することができ、収率よく変性共役ジエン系ゴムを得ることができる。
〔変性共役ジエン系ゴムの製造方法(2)〕
製造方法(2)としては、原料となる共役ジエン系ゴムを酸化することにより分子内に酸化反応によって生じた酸素を含む官能基や結合を有する酸化共役ジエン系ゴムを得る方法が挙げられる。該官能基や結合としては、具体的には、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合等が挙げられる。
原料共役ジエン系ゴムを酸化する方法としては、酸化温度以上の温度で熱処理する方法(以下「製造方法(2-1)」とも称する)、原料共役ジエン系ゴムの吸収波長の光を照射することで活性化させて酸素と反応させる方法(以下「製造方法(2-2)」とも称する)等が挙げられる。中でも、原料共役ジエン系ゴムを酸化温度以上の温度で熱処理することで得る方法(製造方法(2-1))が好ましい。
なお、共役ジエン系ゴムの酸化反応を行う段階は特に限定されず、共役ジエン系ゴムとオイルと界面活性剤とを混合する前に行ってもよいし、共役ジエン系ゴムとオイルと界面活性剤とを混合した後に行ってもよいし、共役ジエン系ゴムとオイルと界面活性剤とを混合した状態で繊維に付着させた後に行ってもよい。
〔酸化共役ジエン系ゴムの製造方法(2-1)〕
製造方法(2-1)は、原料共役ジエン系ゴムを酸化温度以上の温度で熱処理する方法である。該熱処理は、酸素を含む雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で行われる。
熱処理の温度は、原料共役ジエン系ゴムが酸化する温度であれば特に制限はないが、酸化の反応速度を高め、生産性を向上させる観点から、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が更に好ましい。後述のように原料共役ジエン系ゴムの酸化が親水性繊維の表面で行われる場合、繊維の劣化を防ぐという観点から、240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。
熱処理の時間は、原料共役ジエン系ゴムが劣化しない範囲であれば特に制限はないが、30分以下が好ましく、20分以下がより好ましい。
また、原料共役ジエン系ゴムに熱ラジカル発生剤を添加することにより酸化反応に必要な温度を下げることもできる。
前記熱ラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤等が挙げられる。中でも、熱ラジカル発生剤が共役ジエン系ゴムと結合し、共役ジエン系ゴムに酸素を含む構造が付加される観点から、過酸化物が好ましい。
前記過酸化物としては、例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシ安息香酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、ペルオキシネオデカン酸t-ブチル、ペルオキシイソ酪酸t-ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバル酸t-アミル、ペルオキシピバル酸t-ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
前記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ブタンニトリル)、4,4’-アゾビス(4-ペンタン酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジクロリド、2,2’-アゾビス(N,N-ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等が挙げられる。なお、前記熱ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記熱ラジカル発生剤として、レドックス系開始剤を用いてもよい。該レドックス系開始剤としては、例えば、過加硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、t-ブチルハイドロパーオキサイドと酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、p-メンタンハイドロパーオキサイドと硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸ナトリウムとナトリウムホルムアルデヒドサルホキシレートとの組み合わせ物等が挙げられる。
〔酸化共役ジエン系ゴムの製造方法(2-2)〕
製造方法(2-2)は、原料共役ジエン系ゴムの吸収波長の光を照射することで活性化させて酸素と反応させる方法である。
製造方法(2-2)は、酸素を含む雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で行われる。使用する光の波長は原料共役ジエン系ゴムが吸収してラジカル反応を起こす波長であれば特に制限はないが、原料共役ジエン系ゴムが強く吸収する紫外線が好ましい。
また、原料共役ジエン系ゴムに光ラジカル発生剤を添加することにより酸化反応に必要な光の照射量を下げることもできる。
前記光ラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。なお、前記光ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔変性共役ジエン系ゴムの製造方法(3)〕
製造方法(3)としては、共役ジエン単量体と水素結合性官能基を有するラジカル重合性化合物とを、公知の方法でランダム共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合する方法が挙げられる。
(製造方法(3)で用いる水素結合性官能基を有するラジカル重合性化合物)
製造方法(3)で用いる水素結合性官能基を有するラジカル重合性化合物は、分子内に水素結合性官能基と反応性多重結合との両方を有する化合物であれば特に制限はない。具体的には、反応性の多重結合を有するアルデヒド、該アルデヒドのアセタール化体;反応性の多重結合を有するモノカルボン酸、該モノカルボン酸の塩、該モノカルボン酸のエステル化体、該モノカルボン酸の酸無水物;反応性の多重結合を有するエポキシ;反応性の多重結合を有するジカルボン酸、該ジカルボン酸の塩、該ジカルボン酸のエステル化体、該ジカルボン酸の酸無水物;及び反応性の多重結合を有するアミン化合物等が挙げられる。
前記多重結合を有するアルデヒドのうち、反応性炭素-炭素二重結合を有するアルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、3-ブテナール、2-メチル-2-ブテナール、2-メチル-3-ブテナール、2,2-ジメチル-3-ブテナール、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-3-ブテナール、2-ペンテナール、2-メチル-2-ペンテナール、3-ペンテナール、3-メチル-4-ペンテナール、4-ペンテナール、4-メチル-4-ペンテナール、2-ヘキセナール、3-ヘキセナール、4-ヘキセナール、5-ヘキセナール、7-オクテナール、10-ウンデセナール、2-エチルクロトンアルデヒド、3-(ジメチルアミノ)アクロレイン、ミリストレインアルデヒド、パルミトレインアルデヒド、オレインアルデヒド、エライジンアルデヒド、バクセンアルデヒド、ガドレインアルデヒド、エルカアルデヒド、ネルボンアルデヒド、リノールアルデヒド、シトロネラール、シンナムアルデヒド、及びバニリン等の炭素数3~30のアルケナール、好ましくは炭素数3~25のアルケナール;2,4-ペンタジエナール、2,4-ヘキサジエナール、2,6-ノナジエナール、及びシトラール等の炭素数5~30のアルカジエナール、好ましくは炭素数5~25のアルカジエナール;リノレンアルデヒド、エレオステアリンアルデヒド等の炭素数7~30のアルカトリエナール、好ましくは炭素数7~25のアルカトリエナール;ステアリドンアルデヒド、アラキドンアルデヒド等の炭素数9~30のアルカテトラエナール、好ましくは炭素数9~25のアルカテトラエナール;エイコサペンタエンアルデヒド等の炭素数11~30のアルカペンタエナール、好ましくは炭素数11~25のアルカペンタエナール;等の不飽和アルデヒド等が挙げられる。なお、前記アルデヒドにおいてシス-トランス異性体が存在するものは、シス体及びトランス体の両方を含む。これらのアルデヒドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多重結合を有するアルデヒドのアセタール化体のうち、反応性炭素-炭素二重結合を有するアルデヒドのアセタール化体としては、前記アルデヒドのアセタール化体、具体的には2-メチル-3-ブテナールのアセタール化体である3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-3-メチル-1-プロペン、3-メチル-3-ブテナールのアセタール化体である3-(1,3-ジオキサラン-2-イル)-2-メチル-1-プロペン等が挙げられる。
前記多重結合を有するアルデヒド及び該アルデヒドのアセタール化体のうち、反応性炭素-炭素三重結合を有するアルデヒド及びそのアセタール化体としては、プロピオルアルデヒド、2-ブチン-1-アール、及び2-ペンチン-1-アール等の炭素-炭素三重結合を有するアルデヒド、及び該アルデヒドのアセタール化体等が挙げられる。
前記多重結合を有するアルデヒド及び該アルデヒドのアセタール化体の中でも、反応性炭素-炭素二重結合を有するアルデヒドが好ましく、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、3-ブテナール、2-メチル-2-ブテナール、2-メチル-3-ブテナール、2,2-ジメチル-3-ブテナール、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-3-ブテナール、2-ペンテナール、2-メチル-2-ペンテナール、3-ペンテナール、3-メチル-4-ペンテナール、4-ペンテナール、4-メチル-4-ペンテナール、2-ヘキセナール、3-ヘキセナール、4-ヘキセナール、5-ヘキセナール、7-オクテナール、2-エチルクロトンアルデヒド、3-(ジメチルアミノ)アクロレイン、及び2,4-ペンタジエナールから選ばれる1種以上が好ましい。中でも、共重合時の反応性が良好であることから、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、及び3-ブテナールから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記多重結合を有するエポキシとしては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシド、1,4-シクロペンタジエンモノエポキシド等が挙げられ、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
前記多重結合を有するモノカルボン酸、該モノカルボン酸の塩、該モノカルボン酸のエステル化体、及び該モノカルボン酸の酸無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩、(メタ)アクリル酸のカリウム塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシルブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシルブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシルブチル、(メタ)アクリル酸ビニル、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、2-トリフルオロメチルアクリル酸メチル、2-トリフルオロメチルアクリル酸エチル、2-トリフルオロメチルアクリル酸プロピル、2-トリフルオロメチルアクリル酸2-ブチル、2-トリフルオロメチルアクリル酸2-ヒドロキシルエチル、2-トリフルオロメチルアクリル酸ビニル、けい皮酸メチル、けい皮酸ビニル、クロトン酸メチル、クロトン酸ビニル、3-メチル-3-ブテン酸メチル、3-メチル-3-ブテン酸ビニル、4-ペンテン酸メチル、4-ペンテン酸ビニル、2-メチル-4-ペンテン酸メチル、2-メチル-4-ペンテン酸ビニル、5-ヘキセン酸メチル、5-ヘキセン酸ビニル、3,3-ジメチル-4-ペンテン酸メチル、3,3-ジメチル-4-ペンテン酸ビニル、7-オクテン酸メチル、7-オクテン酸ビニル、trans-3-ペンテン酸メチル、trans-3-ペンテン酸ビニル、trans-4-デセン酸メチル、trans-4-デセン酸ビニル、3-メチル-3-ブテン酸エチル、4-ペンテン酸エチル、2-メチル-4-ペンテン酸エチル、5-ヘキセン酸エチル、3,3-ジメチル-4-ペンテン酸エチル、7-オクテン酸エチル、trans-3-ペンテン酸エチル、trans-4-デセン酸エチル、10-ウンデセン酸メチル、10-ウンデセン酸ビニル、(メタ)アクリル酸無水物、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、けい皮酸無水物、クロトン酸無水物、3-メチル-3-ブテン酸無水物、4-ペンテン酸無水物、2-メチル-4-ペンテン酸無水物、5-ヘキセン酸無水物、3,3-ジメチル-4-ペンテン酸無水物、7-オクテン酸無水物、trans-3-ペンテン酸無水物、trans-4-デセン酸無水物、3-メチル-3-ブテン酸無水物、4-ペンテン酸無水物、2-メチル-4-ペンテン酸無水物、及び10-ウンデセン酸無水物等の反応性炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸、該カルボン酸の塩、該カルボン酸のエステル化体、及び該カルボン酸の酸無水物;プロピオール酸、プロピオール酸メチル、プロピオール酸エチル、プロピオール酸ビニル、テトロール酸、テトロール酸メチル、テトロール酸エチル、及びテトロール酸ビニル等の反応性炭素-炭素三重結合を有するカルボン酸及び該カルボン酸のエステル化体が挙げられる。
なお、本明細書において、前記「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」との総称を意味する。
前記多重結合を有するジカルボン酸、該ジカルボン酸の塩、該ジカルボン酸のエステル化体、及び該ジカルボン酸の酸無水物としては、例えば、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム塩、マレイン酸カリウム塩、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸メチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ハイミック酸、ハイミック酸メチル、ハイミック酸ジメチル、及び無水ハイミック酸等の反応性炭素-炭素二重結合を有するジカルボン酸、該ジカルボン酸の塩、該ジカルボン酸のエステル化体、及び該ジカルボン酸の酸無水物が挙げられる。
前記多重結合を有するモノカルボン酸、該モノカルボン酸の塩、該モノカルボン酸のエステル化体、該モノカルボン酸無水物、前記多重結合を有するジカルボン酸、該ジカルボン酸の塩、該ジカルボン酸のエステル化体、及び該ジカルボン酸の酸無水物としては、反応性炭素-炭素二重結合を有する化合物が好ましく、中でも、共重合時の反応性が良好であることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸無水物、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸無水物、けい皮酸無水物、クロトン酸無水物、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、イタコン酸メチル、イタコン酸ジメチル、及び無水イタコン酸から選ばれる1種以上がより好ましい。
前記多重結合を有するアミン化合物のうち、反応性炭素-炭素二重結合を有するアミン化合物としては、例えば、アリルアミン、3-ブテニルアミン、4-ペンテニルアミン、5-ヘキセニルアミン、6-ヘプテニルアミン、7-オクテニルアミン、オレイルアミン、2-メチルアリルアミン、4-アミノスチレン、4-ビニルベンジルアミン、2-アリルグリシン、S-アリルシステイン、α-アリルアラニン、2-アリルアニリン、ゲラニルアミン、ビガバトリン、4-ビニルアニリン、及び4-ビニロキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、共重合時の反応性が良好であることから、アリルアミン、3-ブテニルアミン、及び4-ペンテニルアミンから選ばれる1種以上が好ましい。
〔変性共役ジエン系ゴムの製造方法(4)〕
製造方法(4)は、重合活性末端を有する未変性の共役ジエン単量体の重合化物(未変性共役ジエン系ゴム)に対して、重合停止剤を添加する前に該重合活性末端と反応し得る変性化合物を添加する方法である。重合活性末端を有する未変性共役ジエン系ゴムは、前記製造方法(1)と同様に、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により共役ジエン単量体及び必要に応じて共役ジエン以外の他の単量体を重合して得ることができる。
製造方法(4)において用いることができる変性化合物としては、例えば、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4-トリレンジイソシアネート、二酸化炭素、酸化エチレン、無水コハク酸、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル等のボロン酸エステル、ボロン酸無水物基、フェニルボロン酸無水物等のボロン酸無水物、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N-ビニルピロリドン、N-メチルピロリドン、4-ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の変性剤、又は特開2011-132298号公報に記載のその他の変性剤が挙げられる。
製造方法(4)における前記変性化合物の使用量は、例えば有機アルカリ金属化合物を用いて重合する場合、該有機アルカリ金属化合物に対して、好ましくは0.01~100モル等量の範囲である。反応温度は通常-80~150℃であり、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃の範囲である。
また、重合停止剤を添加する前に前記変性化合物を添加し未変性共役ジエン系ゴムに水素結合性官能基を導入した後、更に該官能基と反応し得る変性化合物を添加して別の水素結合性官能基を重合体中に導入してもよい。
変性共役ジエン系ゴムは、接着を阻害しない程度であれば前記共役ジエン単量体及び水素結合性官能基を有するラジカル重合性化合物以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、共重合可能なエチレン性不飽和単量体や芳香族ビニル化合物が挙げられ、具体的な化合物及び含有量は前記と同様である。
変性共役ジエン系ゴムの製造方法に特に制限はないが、生産性の観点から、製造方法(1)又は(2)又は(3)により製造することが好ましく、製造方法(1)又は(3)により製造することがより好ましく、製造方法(1)により製造することが更に好ましい。
〔液状の共役ジエン系ゴムの物性〕
液状の共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に制限はないが、接着性を向上させる観点から、2,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましく、15,000以上がより更に好ましく、20,000以上がより更に好ましく、25,000以上が特に好ましく、取り扱い性の観点から、150,000以下が好ましく、120,000以下がより好ましく、100,000以下が更に好ましく、75,000以下がより更に好ましく、50,000以下がより更に好ましい。
液状の共役ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に制限はないが、接着性を向上させる観点から、2,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましく、15,000以上がより更に好ましく、20,000以上がより更に好ましく、25,000以上が特に好ましく、そして、取り扱い性の観点から、120,000以下が好ましく、75,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、45,000以下がより更に好ましい。
液状の共役ジエン系ゴムのMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量である。
液状の共役ジエン系ゴムの分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~5.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.0が更に好ましく、1.0~1.5がより更に好ましく、1.0~1.3が特に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、液状の共役ジエン系ゴムの粘度のばらつきが小さく、取り扱いが容易である。分子量分布(Mw/Mn)は、GPCの測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比を意味する。
液状の共役ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン単位のビニル含量、共役ジエンの種類、共役ジエン以外の他の単量体に由来する単位の含有量等によって変化し得るが、-100~10℃が好ましく、-100~-10℃がより好ましく、-100~-20℃が更に好ましい。Tgが前記範囲内であると、高粘度化が抑制でき取り扱いが容易になる。
<オイル>
本発明においては、20℃における蒸気圧が10Pa以下である、いわゆる不揮発性のオイルを用いる。オイルの20℃における蒸気圧が10Paを超えると、接着成分を繊維の表面に塗布した後にオイルが揮発することで補強繊維が摩耗するおそれがある。また、接着成分の塗り斑が生じやすくなり、接着成分の接着性を低下させ、更に製造時の製造設備を汚染するおそれがある。この観点から、20℃におけるオイルの蒸気圧は、5Pa以下が好ましく、1Pa以下がより好ましく、1.0×10-1Pa以下が更に好ましく、1.0×10-2Pa以下がより更に好ましく、1.0×10-5Pa以下がより更に好ましい。
なお、本発明において20℃におけるオイルの蒸気圧は、気体流通法により測定した測定値にアントワン(Antoine)式を適用して得られた最適曲線によって算出した値をいう。
本発明において用いることができる20℃における蒸気圧が10Pa以下のオイルとしては、液状の共役ジエン系ゴムと相溶するものであれば特に限定はされないが、例えば、天然油、及び合成油が挙げられる。天然油としては例えば鉱物油、及び植物油が挙げられる。
鉱物油としては、溶剤精製、水添精製等の通常の精製法により得られた、パラフィン系鉱物油、芳香族系鉱物油及びナフテン系鉱物油、更にフィッシャートロプシュプロセス等により製造されたワックス(ガストゥリキッドワックス)、ワックスを異性化することによって製造された鉱物油等が挙げられる。
パラフィン系鉱物油の市販品としては、出光興産株式会社製の「ダイアナプロセスオイル」シリーズ、JXエネルギー株式会社製の「スーパーオイル」シリーズ等が挙げられる。
植物油としては例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、紅花油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、綿実油、ココヤシ油、パーム核油、米ぬか油等が挙げられる。
合成油としては、炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油等が挙げられる。炭化水素系合成油としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、及びエチレン-プロピレン共重合体等のα-オレフィンオリゴマー又はその水素化物、アルキルベンゼン、及びアルキルナフタレン等が挙げられる。エステル系合成油としては、トリグリセリン脂肪エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、モノアルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。エーテル系合成油としては、ポリオキシアルキレングリコール、及びポリフェニルエーテル等が挙げられる。
合成油の市販品としては、出光興産株式会社製の「リニアレン」シリーズ、ANDEROL製、「FGC32」、「FGC46」、「FGC68」、花王株式会社製の「エキセパールTGO」等が挙げられる。
オイルは、前記天然油及び合成油から選ばれる1種を用いたものでも、天然油の2種以上、合成油の2種以上、又は天然油及び合成油のそれぞれの1種以上を混合したものでもよい。
本発明において用いるオイルの引火点は、安全性の観点から70℃以上が好ましい。この観点から、オイルの引火点は、100℃以上がより好ましく、130℃以上が更に好ましく、140℃以上がより更に好ましい。オイルの引火点の上限値に特に制限はないが、320℃以下が好ましく、260℃以下がより好ましく、200℃以下が更に好ましい。
<界面活性剤>
本発明において用いる界面活性剤は、特に限定されず、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。中でも、接着成分とゴムの相溶性の観点から、ノニオン界面活性剤が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤を挙げることができる。これらのノニオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノニオン界面活性剤の市販品としては、株式会社ADEKA製の「アデカトールPC-6」、「アデカトールPC-8」、「アデカトールPC-10」、「アデカトールSO-80」等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム酢酸塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類、オキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が挙げられる。これらの陽イオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリアルキレングリコールエーテル硫酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸等のホルマリン縮合物、α-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、スルホ琥珀酸ジエステル塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等を挙げることができる。これらの陰イオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、必要に応じて、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を組み合わせてもよい。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシベタイン類等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値は、6~17が好ましい。HLB値が前記範囲内であると、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイルとの相溶性がよく、ゴムとの接着性が良好な補強繊維を得ることができる。また、接着成分は使用環境の安全性と操作性の観点から、水中油滴エマルションとして繊維に塗布することが好ましい。水中での貯蔵安定性の観点から、HLB値の下限は8以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。接着成分の相溶性とゴムとの接着性の観点から、HLB値の上限は16以下がより好ましく、14以下が更に好ましい。
なお、HLB値は、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、0から20までの値で表現され、例えば、グリフィン法に基づき下記式(I)により算出することができる。
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量 (I)
ノニオン界面活性剤の同定はマススペクトルを用いて分子量及び構成単位を検出測定し、H及び13C-NMRを用いて構造を検出測定し、これらに基づき構造を同定することができるため、同定した情報を元に式(I)を用いてHLB値を求めることが可能である。なお、接着成分中からノニオン界面活性剤を分離する方法としては例えば、逆相液体クロマトグラフィーにより分画し、分取する方法が挙げられる。
<接着成分の30℃における粘度>
前記接着成分は30℃で測定した粘度が、10.0Pa・s以下であることが好ましい。前記粘度が前記範囲内であると、繊維に対して接着成分を効率的に付着させることができると共に、製造設備に接着成分が付着しにくくなるため、製造設備の汚染を抑制することができる。この観点から、接着成分の30℃で測定した粘度は、8.0Pa・s以下がより好ましく、6.0Pa・s以下が更に好ましく、4.0Pa・s以下がより更に好ましい。なお、前記粘度は低ければ低いほど、取扱い性や工程汚染度合いは良好になる。
なお、接着成分の30℃における粘度は、ブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)を用いて30℃にて測定した粘度を意味する。測定を行う際のローター及び回転数は、フルスケールに近くなるように適宜設定する。
<接着成分の組成>
前記接着成分中の液状の共役ジエン系ゴムの含有量は、ゴムとの接着力を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。接着成分中の液状の共役ジエン系ゴムの含有量が前記範囲内であると、十分な接着力を得つつ、接着成分の粘度が極端に高くなることを防ぐことができる。
前記接着成分中のオイルの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。接着成分中のオイルの含有量が前記範囲内であると、接着成分の粘度が極端に高くなることを防ぎ、製造設備の汚染を抑制することができる。
前記接着成分中の界面活性剤の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2.5質量%以上であり、更に好ましくは4質量%以上である。前記界面活性剤の含有量が1質量%以上であると接着成分を水中油滴型エマルションとする際に安定なエマルションを作製することができる。界面活性剤は一定量以上あればエマルションの安定性を得るには十分であるため、コスト面から15質量%以下とすることが好ましい。
また、前記液状の共役ジエン系ゴム及び前記オイルの総量に対して、前記界面活性剤の含有比率〔界面活性剤/(液状の共役ジエン系ゴム+オイル)〕は、質量比で1/100~50/100であることが好ましく、3/100~30/100であることがより好ましく、5/100~10/100であることが更に好ましい。前記界面活性剤の含有比率が前記範囲内であると、接着成分を水中油滴型エマルションとする際に安定なエマルションを作製することができる。
前記液状の共役ジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記オイルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に本発明における接着成分は、ゴムとの接着力を阻害しない範囲内で、液状の共役ジエン系ゴム、オイル及び界面活性剤以外の他の成分を含んでもよい。
前記他の成分としては、他のポリマー(例えば未変性共役ジエン系ゴム)、酸、アルカリ、酸化防止剤、硬化剤、分散剤、顔料、染料、接着助剤、カーボンブラック等が挙げられる。
前記接着成分が他の成分を含有する場合、その含有量は、液状の共役ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは10,000質量部以下であり、より好ましくは1,000質量部以下であり、更に好ましくは100質量部以下であり、より更に好ましくは50質量部以下であり、より更に好ましくは25質量部以下であり、より更に好ましくは10質量部以下である。
<繊維>
本発明の補強繊維に用いる繊維に特に制限はないが、前記接着成分との親和性の観点から、親水性繊維が好ましい。なお、本発明において「繊維」とは、単繊維や長繊維だけでなく、不織布、織物、編物、フェルト及びスポンジ等の形態を含むものとする。
親水性の合成繊維としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基のような親水性官能基、及び/又は、アミド結合のような親水性結合を有する熱可塑性樹脂で構成される合成繊維を挙げることができる。
このような熱可塑性樹脂の具体例は、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂〔ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド9C(ノナンジアミンとシクロヘキサンジカルボン酸からなるポリアミド)等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド9T(ノナンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミド)等の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成される半芳香族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリアミド等〕、ポリアクリルアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、及びポリアミド系樹脂が好ましい。親水性の合成繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの親水性の合成繊維は、親水性をより高めるべく、後述する親水化処理を更に施してもよい。
親水性の天然繊維としては、クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維が挙げられる。
親水性の再生繊維としては、レーヨン、リヨセル、キュプラ、及びポリノジック等の再生セルロース系繊維が挙げられる。
これらの天然繊維及び再生繊維は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの親水性の天然繊維及び再生繊維は、親水性をより高めるべく、後述する親水化処理を更に施してもよい。
親水性繊維は、少なくとも表面が親水性を有していればよく、例えば、疎水性繊維の表面を親水化処理した繊維や、疎水性樹脂を芯部とし、鞘部を親水性樹脂とした芯鞘型複合繊維等であってもよい。鞘部を構成する親水性樹脂の例については、親水性の合成繊維についての記述が引用される。疎水性樹脂からなる疎水性繊維としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、及び全芳香族ポリエステル系繊維等が挙げられ、これらの中でもポリエステル系繊維が好ましい。
親水化処理は、化学的又は物理的に繊維表面に親水性官能基を付与する処理であれば特に限定はされないが、例えば、前記疎水性樹脂からなる疎水性繊維をイソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エーテル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基及びウレタン基等の親水性官能基を含む化合物又はその誘導体により修飾する方法や、電子線照射により表面を改質する方法等で行うことができる。
本発明に用いられる繊維としては、補強繊維として用いられる観点から、合成繊維及び再生繊維が好ましく、中でもポリビニルアルコール系樹脂を原料とするポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース系繊維、ポリエステル系繊維、及びポリアミド系繊維から選ばれる1種以上が好ましい。なお、ポリエステル系繊維は、前述の親水化処理を施すことが好ましい。
本発明においては、親水性繊維を用いることにより接着成分に含まれる液状の共役ジエン系ゴムと親水性繊維とが強い親和効果を発現し、接着成分と該親水性繊維が強固に結びつくことから、ゴムに対する接着力をより優れたものとすることができる。
なお、ポリビニルアルコール系繊維としては、本発明の補強繊維を自動車用ホース、特に自動車用ブレーキオイルホースに好適に用いる観点から、株式会社クラレから商品名「ビニロン」として市販されており、単糸繊度が0.1~30dtex程度のものを好適に用いることができる。
なお、本発明において、繊維は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[補強繊維の製造方法]
本発明の補強繊維の製造方法は、前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を混合した状態で水中油滴エマルションとし、繊維に付着させる工程を有する方法であれば特に制限はない。前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を混合し水中油滴エマルションとすることで、高粘度化が抑制でき取り扱い性が向上する。また、前記水中油滴エマルションを繊維に付着させることにより、繊維に対して前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を含む接着成分をより均一に、かつ効率的に付着させることができると共に、製造設備の汚染を抑制することができる。
前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を混合する順番は特に限定されず、前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を同時に混合してもよく、前記液状の共役ジエン系ゴム、及び前記オイルを混合し、得られた混合液に前記界面活性剤を混合してもよい。
前記水中油滴エマルションは20℃で測定した粘度が、3.0×10-1Pa・s以下であることが好ましく、1.0×10-1Pa・s以下であることがより好ましく、6.0×10-2Pa・s以下であることが更に好ましく、3.0×10-2Pa・s以下であることがより更に好ましい。前記粘度が前記範囲内であると、繊維に対して接着成分をより均一に、かつ効率的に付着させることができると共に、製造設備に接着成分が付着しにくくなるため、製造設備の汚染を抑制することができる。
なお、水中油滴エマルションの20℃における粘度は、ブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)を用いて20℃にて測定した粘度を意味する。測定を行う際のローター及び回転数は、フルスケールに近くなるように適宜設定する。
前記接着成分を繊維に付着させる方法として、浸漬、ロールコーター、オイリングローラー、オイリングガイド、ノズル(スプレー)塗布、及び刷毛塗り等から選ばれる1種以上により行うことが好ましい。
前記接着成分の付着量は、補強繊維とゴムとの接着性を向上させる観点から、繊維100質量%に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、そして、製造コストと効果とのバランスの観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
本発明においては、液状の共役ジエン系ゴム、特定のオイル及び界面活性剤を併用していることから、接着成分を繊維に付着させた後、20℃程度の室温で3日~10日程度なじませることにより本発明の補強繊維を得ることができるが、場合によっては、前記接着成分を繊維に付着させた後、該繊維に熱処理を行ってもよい。
前記熱処理は、好ましくは100~200℃の処理温度で0.1秒~2分の処理時間で行うことが好ましい。前記接着成分に含まれる液状の共役ジエン系ゴムは反応性多重結合を有しているため、酸素存在下での熱処理は200℃以下であることが好ましく、175℃以下であることがより好ましい。熱処理の温度が前記範囲内であると、液状の共役ジエン系ゴム中の反応性多重結合量が減少することなく、接着力を向上させることができ、更に繊維の劣化も抑制し、着色等の品質も良好となる。
前記補強繊維は、前記親水性繊維及び前記接着成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、架橋剤、酸、塩基、無機塩、有機塩、顔料、染料、酸化防止剤、重合開始剤、可塑剤等が挙げられる。
前記補強繊維中の前記親水性繊維及び前記接着成分の合計含有量は、ゴムとの接着力の向上及び補強強度の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
<補強繊維の物性>
前記補強繊維は、単糸繊度が0.1dtex以上30dtex以下のマルチフィラメントであることが好ましい。単糸繊度は0.1dtex未満であってもよいが工業的に製造することが難しいことから0.1dtex以上が好ましい。また、単糸繊度が30dtex以下であると、補強繊維とした場合における繊維の表面積が大きくなるため、ゴムとの接着性が向上する。当該観点から、本発明の補強繊維は、単糸繊度がより好ましくは0.3dtex以上、更に好ましくは0.5dtex以上、より更に好ましくは1dtex以上であり、そして、より好ましくは20dtex以下、更に好ましくは15dtex以下、より更に好ましくは10dtex以下であるマルチフィラメントであることが好ましい。
本発明の補強繊維のゴム接着力は、15N/25.4mm以上が好ましく、20N/25.4mm以上がより好ましく、25N/25.4mm以上が更に好ましく、30N/25.4mm以上がより更に好ましく、通常、200N/25.4mm以下である。補強繊維のゴム接着力が前記下限値以上であると、補強強度に優れた織物、編み物及び成形体を得ることができる。
なお、補強繊維のゴム接着力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の補強繊維について、JIS L 1013:2010に従って測定した初期引張抵抗度が60cN/dtex以上であることが好ましい。前記補強繊維の初期引張抵抗度が60cN/dtex以上であると、補強繊維とゴムとを接着した際の補強強度が向上する。当該観点から、前記初期引張抵抗度は、100cN/dtex以上がより好ましく、130cN/dtex以上が更に好ましく、160cN/dtex以上がより更に好ましく、200cN/dtex以上が特に好ましい。前記初期引張抵抗度の上限に特に制限はないが、通常、1,000cN/dtex以下である。
本発明の補強繊維は、任意の形状で使用することができるが、該補強繊維を少なくとも一部に含む、繊維コード、織物、編物等の形態で使用することが好ましく、該補強繊維を少なくとも一部に含む、織物又は編物として使用することがより好ましい。例えば、後述するとおりゴムに接着する編物として使用することができる。また、樹脂やセメント等に埋め込む補強繊維として使用することもできる。
[成形体]
本発明の成形体は、前記補強繊維を用いたものであれば特に限定されない。中でも、前記補強繊維がゴムとの優れた接着性を有することから、特に前記補強繊維とゴム成分とを用いた成形体(以下、「ゴム成形体」とも称する)が好ましい。前記ゴム成形体に用いられる補強繊維は、ゴムの形態保持という観点からは、該補強繊維を少なくとも一部に含む織物又は編物として用いられることが好ましく、該補強繊維を少なくとも一部に含む織物又は編物からなる補強層とゴム層とを積層した積層体として用いられることがより好ましい。
前記ゴム成形体は、例えば自動車用タイヤ等のタイヤ、コンベアベルト、タイミングベルト等のベルト、ホース、及び防振ゴム等のゴム製品の部材として使用することができ、中でも、タイヤ、ベルト、又はホースとして用いることがより好ましい。
前記自動車用タイヤとしては、例えばベルト、カーカス プライ、ブレーカー、ビードテープ等の補強繊維とゴム成分との複合材からなる各種部材に使用できる。
前記ホースとしては、種々の用途における各種流体の輸送を目的に使用することができ、例えば、自動車用の流体輸送用ホースに好適であり、特に、自動車用の液体燃料用ホース、自動車用のブレーキオイルホース、及び冷媒用ホースに用いることが好ましく、自動車用のブレーキオイルホースに用いることがより好ましい。
前記ゴム成形体は、前記補強繊維と、ゴム成分に通常ゴム業界で用いられる配合剤を配合したゴム組成物とを用いて成形されることが好ましい。
ゴム成分としては、特に限定はされないが、例えば、NR(天然ゴム)、IR(ポリイソプレンゴム)、BR(ポリブタジエンゴム)、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、EPM(エチレン-プロピレン共重合体ゴム)、EPDM(エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合体ゴム)、IIR(ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム、CR(クロロプレンゴム)等が挙げられる。これらの中でも、NR、IR、BR、SBR、EPDM、CRを用いることが好ましく、EPDMを用いることがより好ましい。これらのゴム成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。タイヤ用途においては、タイヤ工業において一般的に用いられるものが使用できる。中でも、天然ゴム単独、あるいは天然ゴムとSBRとを組み合わせて使用することが好ましい。天然ゴムとSBRとを組み合わせる際は、ゴムの加硫戻りによる物性低下を抑制する観点から、天然ゴムとSBRとの質量比(天然ゴム/SBR)は、50/50~90/10の範囲とすることが好ましい。
前記天然ゴムとしては、例えばSMR(マレーシア産TSR)、SIR(インドネシア産TSR)、STR(タイ産TSR)等のTSR(Technically Specified Rubber)やRSS(Ribbed Smoked Sheet)等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。
前記SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1~70質量%のものが好ましく、5~50質量%のものがより好ましく、15~35質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1~60質量%のものが好ましく、0.1~55質量%のものがより好ましい。
前記SBRの重量平均分子量(Mw)は100,000~2,500,000であることが好ましく、150,000~2,000,000であることがより好ましく、200,000~1,500,000であることが更に好ましい。前記範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。なお、SBRの重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
前記SBRとしては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記ゴム組成物は、前記ゴム成分に加えて、更にフィラーを含有してもよい。該フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機フィラー;樹脂粒子、木粉、及びコルク粉等の有機フィラー等が挙げられる。このようなフィラーがゴム組成物に含まれることにより、機械強度、耐熱性、又は耐候性等の物性の改善、硬度の調整、ゴムの増量が可能となる。
機械強度の向上等の物性の改善等の観点からは、前記フィラーの中でも、カーボンブラック及びシリカが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等が挙げられる。架橋速度や機械強度向上の観点からは、これらカーボンブラックの中でも、ファーネスブラックが好ましい。
前記カーボンブラックの平均粒径としては、5~100nmが好ましく、5~80nmがより好ましく、5~70nmが更に好ましい。なお、前記カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
前記シリカとしては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等を挙げることができる。これらシリカの中でも、湿式シリカが好ましい。
前記シリカの平均粒径は、0.5~200nmが好ましく、5~150nmがより好ましく、10~100nmが更に好ましい。
なお、前記シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
前記ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部に対する前記フィラーの含有量は20~150質量部が好ましく、25~130質量部がより好ましく、25~110質量部が更に好ましい。
また、前記フィラーとして、シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを用いる場合には、その含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、20~120質量部が好ましく、20~90質量部がより好ましく、20~80質量部が更に好ましい。
これらフィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物は、前記ゴム成分を架橋するために、更に架橋剤を含有していてもよい。該架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、及びシラン化合物等が挙げられる。これら架橋剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記架橋剤は、架橋物の力学物性の観点から、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1~10質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.8~5質量部含有される。
前記ゴム組成物は、例えば前記ゴム成分を架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫促進剤を含有していてもよい。該加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド-アミン系化合物、アルデヒド-アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、及びキサンテート系化合物等が挙げられる。これら加硫促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤は、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1~15質量部、好ましくは0.1~10質量部含有される。
前記ゴム組成物は、例えば前記ゴム成分を架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫助剤を含有していてもよい。該加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これら加硫助剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤は、前記ゴム成分100質量部に対し、通常0.1~15質量部、好ましくは1~10質量部含有される。
前記ゴム組成物がフィラーとしてシリカを含有する場合は、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。該シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
これらシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記シランカップリング剤は、シリカ100質量部に対して好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~20質量部、更に好ましくは1~15質量部含有される。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性が向上する。
前記ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual AromaticExtracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分を軟化剤として含有してもよい。前記ゴム組成物が前記プロセスオイルを軟化剤として含有する場合には、その含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
前記ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、ワックス、酸化防止剤、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。老化防止剤としては、例えば、アミン-ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム成形体の製造方法としては、例えば、前記補強繊維を未加硫の前記ゴム組成物に埋設し、該ゴム組成物を加硫処理することにより、親水性繊維とゴム成分とが前記接着成分を介して接着された成形体を得ることができる。
前記自動車用のブレーキオイルホースとしては、例えば、内側ゴム層と外側ゴム層とを有し、内側ゴム層と外側ゴム層との間に1層又は2層の前記補強繊維からなる補強層を有するものが挙げられる。
内側ゴム層と外側ゴム層を構成するゴム成分としては、前述のものが挙げられる。中でも、内側ゴム層を構成するゴム成分としては、EPDM、SBR等が挙げられ、外側ゴム層を構成するゴム成分としては、EPDM、CR等が挙げられる。前記補強層は、補強繊維を編組して形成することができる。
前記ブレーキオイルホースの製造方法としては、内側ゴム層の外表面上に、前記補強繊維を編組した補強層(第1補強層)を形成する。2層の補強層を形成する場合には、第1補強層の外表面上に更に中間ゴム層を形成し、該中間ゴム層の外表面上に、前記補強繊維を編組した補強層(第2補強層)を形成してもよい。そして、補強層(第1補強層又は第2補強層)の外表面上に外側ゴム層を形成し、加硫することにより製造することができる。
加硫温度は、ブレーキオイルホースの各層の構成材料の種類等により適宜選択できるが、ゴムと補強繊維の劣化を抑制し、ゴムと補強繊維との接着力を向上させる観点から、200℃以下であることが好ましい。
以下、実施例等により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例等により何ら限定されない。
[変性共役ジエン系ゴムの製造]
・下記式(1a)で表される単量体単位を有する変性共役ジエン系ゴムの製造
Figure 2022040767000001
製造例1:変性共役ジエン系ゴム(A-1)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1260g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)36.3gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1260gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ポリブタジエン(A’-1)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリブタジエン(A’-1)500gを仕込み、無水マレイン酸25gとN-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業株式会社製)0.5gを添加し、170℃で24時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン(A”-1)を得た。
得られた無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン(A”-1)500gに対し、メタノールを8.1g添加し、80℃で6時間反応させて、マレイン酸モノメチル変性液状ポリブタジエン(A-1)を得た。
・下記式(1b)で表される単量体単位を有する変性共役ジエン系ゴムの製造
Figure 2022040767000002
製造例2:変性共役ジエン系ゴム(A-2)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1200g及びn-ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)26.2gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、イソプレン1200gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ポリイソプレン(A’-2)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリイソプレン(A’-2)500gを仕込み、無水マレイン酸25gとブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)0.5gを添加し、170℃で15時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(A”-2)を得た。
得られた無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(A”-2)500gに対し、メタノールを8.1g添加し、80℃で6時間反応させて、マレイン酸モノメチル変性液状ポリイソプレン(A-2)を得た。
・下記式(1c)で表される単量体単位を有する変性共役ジエン系ゴムの製造
Figure 2022040767000003
製造例3:変性共役ジエン系ゴム(A-3)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1500g及びsec-ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)18.2gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調整したブタジエン(a)900gとファルネセン(b)600gとの混合物(ブタジエン(a)とファルネセン(b)とをボンベ内で混合)1500gを10ml/分で加えて、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で12時間真空乾燥することにより、未変性液状ポリファルネセンポリブタジエン共重合体(A”-3)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリファルネセンポリブタジエン共重合体(A”-3)500gを仕込み、無水マレイン酸25gとN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業株式会社製)0.5gを添加し、170℃で24時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリファルネセンポリブタジエン共重合体(A’-3)を得た。さらに得られた無水マレイン酸変性液状ポリファルネセンポリブタジエン共重合体(A’-3)300gに対し、メタノールを5.6g添加し、80℃で6時間反応させて、マレイン酸モノメチル変性液状ポリファルネセンポリブタジエン共重合体(A-3)を得た。
・下記式(1d)で表される分子末端に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴム(A-4)の製造
Figure 2022040767000004
製造例4:変性共役ジエン系ゴム(A-4)の製造
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1200gおよびsec-ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)54g、TMEDA2.06gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1300gを10ml/分で逐次添加した。ブタジエン添加後1時間加熱して重合を完了した。得られた重合液にホウ酸トリイソプロピル16.6gを添加して重合末端にボロン酸を導入した(末端導入率95%)。得られた重合体溶液にイオン交換水を添加して撹拌し、重合体溶液を洗浄した。重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、重合体溶液相を回収して、90℃で12時間減圧乾燥することにより、ボロン酸変性液状ポリブタジエン(A-4)を得た。
なお、変性共役ジエン系ゴム等の各物性の測定方法及び算出方法は以下のとおりである。結果を表1に示す。
<重量平均分子量、数平均分子量及び分子量分布の測定方法>
変性共役ジエン系ゴムのMw、Mn及びMw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算値として求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI-8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
<溶融粘度の測定方法>
変性共役ジエン系ゴムの38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
<ガラス転移温度の測定方法>
変性共役ジエン系ゴム10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
<1分子当たりの平均水素結合性官能基数>
変性共役ジエン系ゴム1分子当たりの平均水素結合性官能基数は、変性共役ジエン系ゴムの水素結合性官能基の当量(g/eq)とスチレン換算の数平均分子量Mnから、下記式より算出した。
1分子当たりの平均水素結合性官能基数=[(数平均分子量(Mn))/(スチレン単位の分子量)×(共役ジエン及び必要に応じて含まれる共役ジエン以外の他の単量体単位の平均分子量)]/(水素結合性官能基の当量)
なお、水素結合性官能基の当量の算出方法は、水素結合性官能基の種類により適宜選択することができる。
マレイン酸モノメチル変性共役ジエン系ゴム、及びボロン酸変性共役ジエン系ゴムの1分子当たりの平均水素結合性官能基数の算出は、マレイン酸モノメチル変性共役ジエン系ゴム、及びボロン酸変性共役ジエン系ゴムの酸価を求め、該酸価から水素結合性官能基の当量(g/eq)を算出することにより行った。
変性反応後の試料をメタノールで4回洗浄(試料1gに対して5mL)して酸化防止剤等の不純物を除去した後、試料を80℃で12時間、減圧乾燥した。変性反応後の試料3gにトルエン180mL、エタノール20mLを加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定し、下記式より酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(A-B)×F×5.611/S
A:中和に要した0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
B:試料を含まないブランクでの0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
F:0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液の力価
S:秤量した試料の質量(g)
酸価から、下記式によりマレイン酸モノメチル変性共役ジエン系ゴム、及びボロン酸変性共役ジエン系ゴム1g当たりに含まれる水素結合性官能基の質量を算出し、更にマレイン酸モノメチル変性共役ジエン系ゴム、及びボロン酸変性共役ジエン系ゴム1g当たりに含まれる官能基以外の質量(重合体主鎖質量)を算出した。そして、以下の式より水素結合性官能基の当量(g/eq)を算出した。
〔1g当たり水素結合性官能基質量〕=〔酸価〕/〔56.11〕×〔水素結合性官能基分子量〕/1000
〔1g当たり重合体主鎖質量〕=1-〔1g当たり水素結合性官能基質量〕
〔水素結合性官能基の当量〕=〔1g当たり重合体主鎖質量〕/(〔1g当たり水素結合性官能基質量〕/〔水素結合性官能基分子量〕)
Figure 2022040767000005
<エマルションの調製>
調製例1:変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-1)の調製
まず、液状の共役ジエン系ゴムとして変性共役ジエン系ゴム(A-1)と、オイルとして2-エチルヘキサン酸トリグリセライド(以下、「EHTG」とも称する)(商品名「エキセパールTGO」、花王株式会社製、20℃における蒸気圧:1.7×10-7Pa)とを質量比1:3の割合で混合し、50℃に加温した状態で24時間撹拌して変性共役ジエン系ゴム(A-1)の油剤稀釈液を調製した。次に前記油剤稀釈液150gに界面活性剤として第1級アルコールエトキシレート(商品名「アデカトールPC-8」、株式会社ADEKA製、HLB値:12.4)9gを加えて5分間撹拌した。続いて、撹拌しながら0.09mol/L水酸化ナトリウム水溶液371gを少しずつ添加し、20分間撹拌することで、変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-1)を得た。
調製例2:変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-2)の調製
油剤稀釈液中の変性共役ジエン系ゴム(A-1)とEHTGとの質量比を2:3としたこと以外は調製例1と同様の方法で変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-2)を調製した。
調製例3:変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-3)の調製
界面活性剤として、アデカトールPC-8の代わりに特殊フェノールエトキシレート(商品名「アデカトールPC-10」、株式会社ADEKA製、HLB値:13.5)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法で変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-3)を調製した。
調製例4:変性共役ジエン系ゴム(A-2)のエマルション(E-4)の調製
液状の共役ジエン系ゴムとして、変性共役ジエン系ゴム(A-2)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法で変性共役ジエン系ゴム(A-2)のエマルション(E-4)を調製した。
調製例5:変性共役ジエン系ゴム(A-3)のエマルション(E-5)の調製
液状の共役ジエン系ゴムとして、変性共役ジエン系ゴム(A-3)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法で変性共役ジエン系ゴム(A-3)のエマルション(E-5)を調製した。
調製例6:変性共役ジエン系ゴム(A-4)のエマルション(E-6)の調製
液状の共役ジエン系ゴムとして、変性共役ジエン系ゴム(A-4)を、オイルとして鉱物油(純度99.9%以上、引火点158℃、20℃における蒸気圧:1.1×10-6Pa)を、界面活性剤として第2級アルコールエトキシレート(商品名「アデカトールSO-80」、株式会社ADEKA製、HLB値:8.0)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法で液状の共役ジエン系ゴム(A-4)のエマルション(E-6)を調製した。
なお、前記調製例1~6で得られたエマルション(E-1)~(E-6)について表2に示す。
Figure 2022040767000006
[実施例1]
実施例1として、繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有する補強繊維を製造し、以下のとおり評価した。
水を加えて、接着成分の濃度が10質量%になるように調製した変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-1)を、後述の前処理を施したビニロン繊維にオイリングガイドを用いて付与し、150℃の熱ローラーで1秒間乾燥させた後巻き取った。このようにして接着成分を付着させたビニロン繊維を、撚り数80T/mで撚って繊維コードを作製した。
〔ビニロン繊維の前処理〕
下記の組成に調製した水溶液中にポリビニルアルコール系繊維であるビニロン繊維(株式会社クラレ製「クラロン1239」、総繊度1330dtex、単糸繊度6.65dtex)を浸漬した後、ローラーで搾液した。次いで、得られた繊維を130℃で20秒間乾燥処理し、更に240℃で20秒間熱処理して巻き取ることで、前処理を施したビニロン繊維を作製した。
〔ビニロン繊維の前処理剤組成〕
水 :96.96質量部
メイカノートDM-3031 CONC : 22質量部
デナコールEX-614B : 7質量部
親水化処理剤は、ブロックドイソシアネートとエポキシ樹脂とを用いて調製した。
なお、ブロックドイソシアネートとして、明成化学工業株式会社製の「メイカノートDM-3031 CONC」を、エポキシ樹脂として、ナガセケムテックス株式会社製の「デナコールEX-614B」を用いた。
[実施例2~7]
液状の共役ジエン系ゴムのエマルション、エマルション中の接着成分の濃度、繊維への接着成分の付着量を表3のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
[実施例8]
繊維として後述の前処理を施したPET繊維を用い、接着成分の濃度が30質量%になるように調製した変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルション(E-1)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
〔PET繊維の前処理〕
下記の組成に調製した水溶液中にポリエステル系繊維であるPET繊維(東レ株式会社製「702C」、総繊度1670dtex、単糸繊度5.80dtex)を浸漬した後、ローラーで搾液した。次いで、得られた繊維を130℃で30秒間乾燥処理し、更に240℃で30秒間熱処理して巻き取ることで、前処理を施したPET繊維を作製した。
〔PET繊維の前処理剤組成〕
水 :96.96質量部
メイカノートDM-3031 CONC : 22質量部
デナコールEX-614B : 7質量部
親水化処理剤は、ブロックドイソシアネートとエポキシ樹脂を用いて調製した。
なお、ブロックドイソシアネートとして、明成化学工業株式会社製の「メイカノートDM-3031 CONC」を、エポキシ樹脂として、ナガセケムテックス株式会社製の「デナコールEX-614B」を用いた。
[比較例1]
前記変性共役ジエン系ゴム(A-1)250gに、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキル(C=12~15)エーテルフォスフェート(東邦化学工業株式会社製、商品名「フォスファノールRS-710」)15gを加えて20分間撹拌した。続いて撹拌しながら0.7mol/L水酸化ナトリウム水溶液180gを少しずつ添加した。更に水2205mLを添加後、20分撹拌することで、比較例1のエマルションを得た。得られたエマルションを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
[比較例2]
液状の共役ジエン系ゴムを混合せずに、EHTG150gに第1級アルコールエトキシレート(PC-8)を9g加えて5分間撹拌した。続いて撹拌しながら0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液341gを少しずつ添加した。さらに、水1090mLを添加後、20分間撹拌することで、比較例2のエマルションを得た。得られたエマルションを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で繊維コードを作製した。
[比較例3]
界面活性剤を混合せずに、調製例1と同様の方法で変性共役ジエン系ゴム(A-1)のエマルションを調製して使用を試みたが、エマルションの安定性が悪く繊維に付与することができなかった。
<20℃におけるオイルの蒸気圧>
合成油及び鉱物油の20℃における蒸気圧は、気体流通法により測定した測定値に基づき、アントワン(Antoine)式:log10P=A-(B/(T+C))の定数A、定数B、定数Cを算出した上で算出した。
<接着成分含有エマルションの20℃における粘度>
各実施例及び比較例で得られたエマルションの20℃における粘度は、20℃に温調した部屋に1晩保管した前記エマルションを用いて、回転式B型粘度計(東機産業株式会社製、TVB-10)(回転数100rpm)で測定した。
<接着成分の30℃における粘度>
接着成分の30℃における粘度は、恒温槽を用いて予め30℃に加温しておいた液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を表3に記載の質量比で混合した混合物を用いて、回転式B型粘度計(東機産業株式会社製、TVB-10)(回転数100rpm)で測定した。
<エマルションの安定性>
調製後のエマルションを静置し、目視により下記の評価基準で判定した。
・基準
G(good):10分以内に相分離が見られず、安定性に優れる
B(bad):10分以内に相分離が見られ、安定性に乏しい
<接着成分付着量の測定>
接着成分の付着量は、以下の測定方法により測定した。
補強繊維約10gを試料として採取し、その質量Xを測定した。試料から接着成分を抽出し、抽出質量Yを測定した。抽出には溶媒にトルエンを用い、ソックスレー抽出器で3時間抽出を行った。接着成分の付着量を下記式により算出した。
補強繊維に対する接着成分の付着量(質量%)=(Y/X)×100
また、接着成分中の共役ジエン系ゴム含有量(質量%)は、接着成分における固形分中の共役ジエン系ゴムの質量比から算出した。
<ゴム接着力の測定>
実施例1~8及び比較例1、2で得られた繊維コードについて、下記方法で評価用シートを作成し、繊維コードをゴムからT型剥離させるときに要した力(N/25.4mm)を測定し、ゴム接着力として評価した。結果を表3に示す。ゴム接着力の評価結果は、数値が大きいほど補強繊維とゴムとの接着力が大きいことを示す。
なお、接着用シートは下記の様に作製した。
・評価用シートの作製
前述の実施例1~5、7、8及び比較例1、2で作製した繊維コードを、繊維コード同士が重ならないようにスダレ状にマスキングテープ上に並べて固定した後、これと、別途EPDMゴム(住友化学株式会社製「エスプレン501A」)を用い、下記配合組成により調製したEPDMゴムを主成分とする未加硫のゴム組成物(以下、「EPDM未加硫ゴム」とも称する)(幅25.4mm、長さ240mm)とを重ね合わせた(繊維コードとEPDM未加硫ゴムとの重ね合わせた部分の長さは190mmであった)。次いで、150℃、圧力20kg/cmの条件で30分間プレス加硫することにより評価用シートを作製した。
(EPDM未加硫ゴムの配合組成)
EPDMゴム :100質量部
フィラー(カーボンブラック) : 60質量部
軟化剤(パラフィン系プロセスオイル) : 20質量部
架橋剤(硫黄粉) :1.5質量部
加硫助剤(亜鉛華2種、ステアリン酸) : 6質量部
加硫促進剤(チアゾール系、チウラム系) :1.5質量部
前述の実施例6で作製した繊維コードを、繊維コード同士が重ならないようにスダレ状にマスキングテープ上に並べて固定した後、これと、別途NR(「RSS#3」)とSBR(日本ゼオン株式会社製、「Nipol(登録商標)1502」)を用い、下記配合組成により調製したNR/SBRゴムを主成分とする未加硫のゴム組成物(以下、「NR/SBR未加硫ゴム」とも称する)(幅25.4mm、長さ240mm)とを重ね合わせた(繊維コードとNR/SBR未加硫ゴムとの重ね合わせた部分の長さは190mmであった)。次いで、150℃、圧力20kg/cmの条件で30分間プレス加硫することにより評価用シートを作製した。
(NR/SBR未加硫ゴムの配合組成)
NR : 50質量部
SBR : 50質量部
フィラー(カーボンブラック) : 45質量部
軟化剤(パラフィン系プロセスオイル) : 5質量部
架橋剤(硫黄粉) :2.4質量部
加硫助剤(亜鉛華2種、ステアリン酸) : 7質量部
加硫促進剤(チアゾール系、チウラム系) :2.0質量部
<工程汚染度合い>
実施例1~8及び比較例1、2において、エマルションを各例記載のとおり各繊維に付与し、5kg分の補強繊維を巻き取った後、補強繊維が通過した保持ローラーの汚染度合い(ガムアップ)を下記の評価基準で判定した。
・基準
G(good):ガムアップによるローラー汚染がない、又は汚染が少なく、製糸操業性に問題がない。
P(poor):ガムアップによるローラー汚染があり、製糸操業性に劣る。
B(bad):ガムアップによるローラー汚染が著しく、製糸時に単糸取られ、捲き付きがあり、製糸操業性に問題がある。
<耐摩耗性(撚合せ摩耗)>
補強繊維を採取後、室温(20℃)で1ヵ月保管した後に以下の方法で耐摩耗性を評価した。補強繊維を80t/mZ方向に撚をかけて輪を作成したあと、輪の中央部で3回S方向に撚をかけ、3kgの荷重を加えながら、室温で上下に繊維同士を摩耗させ、切断する時の回数を読み、下記の評価基準で判定した。
G(good):500回以上の摩耗に耐え、加工時の工程通過性に優れる。
P(poor):100回以上、500回未満の摩耗により断糸し、加工時の工程通過性に劣る。
B(bad):100回未満の摩耗で断糸し、加工時の工程通過性に問題がある。
Figure 2022040767000007
本発明の補強繊維は、ゴムとの接着性及び耐摩耗性に優れる。また、本発明によれば、製造設備の汚染を抑制しながら補強繊維を効率的に製造することができる。

Claims (13)

  1. 繊維の表面の少なくとも一部に、液状の共役ジエン系ゴム、20℃における蒸気圧が10Pa以下であるオイル、及び界面活性剤を含有する接着成分を有することを特徴とする補強繊維。
  2. 前記繊維が、ポリビニルアルコール系繊維、再生セルロース系繊維、ポリエステル系繊維、及びポリアミド系繊維から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の補強繊維。
  3. 前記液状の共役ジエン系ゴムが、分子内にブタジエン、イソプレン、及びファルネセンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位を含む、請求項1または2に記載の補強繊維。
  4. 前記液状の共役ジエン系ゴムが、共役ジエン系ゴムの一部に水素結合性官能基を有する変性共役ジエン系ゴムである、請求項1~3のいずれかに記載の補強繊維。
  5. 前記水素結合性官能基が、ヒドロキシ基、エポキシ基、アルデヒド基、アルデヒド基のアセタール化体、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、カルボキシ基のエステル化体、カルボキシ基の酸無水物、ボロニル基、ボロニル基の塩、ボロニル基のエステル化体、シラノール基、及びシラノール基のエステル化体から選ばれる1種以上である、請求項4に記載の補強繊維。
  6. 前記界面活性剤がノニオン界面活性剤である、請求項1~5のいずれかに記載の補強繊維。
  7. 前記ノニオン界面活性剤のHLB値が6~17である、請求項6に記載の補強繊維。
  8. 前記液状の共役ジエン系ゴム及び前記オイルの総量に対して、前記界面活性剤の含有比率〔界面活性剤/(液状の共役ジエン系ゴム+オイル)〕が、質量比で1/100~50/100である、請求項1~7のいずれかに記載の補強繊維。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の補強繊維の製造方法であって、前記液状の共役ジエン系ゴム、前記オイル及び前記界面活性剤を混合した状態で水中油滴エマルションとし、繊維に付着させる工程を有する、補強繊維の製造方法。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載の補強繊維を少なくとも一部に含む、織物又は編物。
  11. 請求項1~8のいずれかに記載の補強繊維を用いた、成形体。
  12. 更にゴム成分を含有する、請求項11に記載の成形体。
  13. 前記成形体がタイヤ、ベルト又はホースである、請求項11又は12に記載の成形体。
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