JP2019205138A - 画像処理装置、処理方法、及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、処理方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2019205138A
JP2019205138A JP2018100855A JP2018100855A JP2019205138A JP 2019205138 A JP2019205138 A JP 2019205138A JP 2018100855 A JP2018100855 A JP 2018100855A JP 2018100855 A JP2018100855 A JP 2018100855A JP 2019205138 A JP2019205138 A JP 2019205138A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brightness
luminance
information
background
printed material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018100855A
Other languages
English (en)
Inventor
和田 聡
Satoshi Wada
聡 和田
田鹿 博司
Hiroshi Tajika
博司 田鹿
香川 英嗣
Hidetsugu Kagawa
英嗣 香川
諏訪徹哉
Tetsuya Suwa
徹哉 諏訪
慧 吉沢
Kei Yoshizawa
慧 吉沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2018100855A priority Critical patent/JP2019205138A/ja
Publication of JP2019205138A publication Critical patent/JP2019205138A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Image Processing (AREA)
  • Facsimile Image Signal Circuits (AREA)
  • Color Image Communication Systems (AREA)

Abstract

【課題】背景が異なる観察環境下において印刷物から知覚される明るさが同じ明るさになるような印刷物の見え方を実現すること。【解決手段】照明装置によって光が照射された状態で展示される印刷物の印刷に用いられる画像を処理する画像処理装置であって、撮像装置によって撮像対象を撮像して得られた撮像データであって印刷物の印刷のために用いられた撮像データを取得する第1の取得手段と、印刷物が展示される展示環境における印刷物の輝度情報を取得する第2の取得手段と、展示環境における印刷物の背景の輝度情報を取得する第3の取得手段と、展示環境における印刷物および背景の面積に関する情報を取得する第4の取得手段と、取得した各情報に基づいて、展示環境において印刷物と背景との対比が展示された印刷物の明るさに与える影響を抑制する処理を行う処理手段と、を備える。【選択図】図11

Description

本発明は、照明装置によって光が照射された状態で展示される印刷物の印刷に用いられる画像を処理する技術に関する。
プリンタは、入力画像データに対して画像処理を行い、記録媒体上に画像を印刷することで、印刷物を生成している。この画像処理は、印刷物が標準的な環境下で観察されることを前提として実行されている。従って、前提とされた環境とは異なる環境下においては、印刷物の色または明るさが、観察者にとって望ましい色または明るさに見えない場合がある。
特許文献1には、観察環境における印刷物の拡散反射光および鏡面反射光を画像出力モードごとに予測し、観察環境に適した画像出力モードを選択することで、観察環境において暗部の色をできるだけ暗く知覚させる印刷物を形成する技術が記載されている。
特開2016−054356号公報
補助的な照明装置によって印刷物に光が照射された状態で印刷物が展示されることがある。このような観察環境においては、光が照射されている印刷物自体の明るさに加えて、展示されている印刷物の背景の明るさ、および背景に占める印刷物の面積などが観察者の視覚に影響を及ぼす。この影響を、対比影響を呼ぶ。特許文献1では、対比影響について考慮がされていない。
本発明は、背景が異なる観察環境下において印刷物から知覚される明るさが同じ明るさになるような印刷物の見え方を実現することを目的とする。
本発明の一態様に係る画像処理装置は、照明装置によって光が照射された状態で展示される印刷物の印刷に用いられる画像を処理する画像処理装置であって、撮像装置によって撮像対象を撮像して得られた撮像データであって、前記印刷物の印刷のために用いられた撮像データを取得する第1の取得手段と、前記印刷物が展示される展示環境における前記印刷物の輝度情報を取得する第2の取得手段と、前記展示環境における前記印刷物の背景の輝度情報を取得する第3の取得手段と、前記展示環境における前記印刷物および前記背景の面積に関する情報を取得する第4の取得手段と、前記取得した各情報に基づいて、前記展示環境において前記印刷物と前記背景との対比が展示された前記印刷物の明るさに与える影響を抑制する処理を行う処理手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、背景が異なる観察環境下において印刷物から知覚される明るさが同じ明るさになるような印刷物の見え方を実現することができる。
展示物が展示される部屋の概念図。 輝度ダイナミックレンジを説明する図。 撮影シーンを説明する図。 異なる展示環境に展示する例を示す図。 対比影響を説明する図。 対比影響を説明する図。 対比影響の実験結果を示すグラフ。 対比影響の実験結果を示すグラフ。 画像処理装置の構成例を示す図。 画像出力装置および照明制御装置の構成例を示す図。 システム全体のブロック図。 画像処理を説明する図。 輝度変換処理を説明する図。 入力輝度レンジおよび出力輝度レンジを説明する図。 補正方法を説明する図。 フローチャートを示す図。 テーブルの一例を示す図。 近似式を説明する図。 輝度変換処理を説明する図。 照明条件を通知する表示例を示す図。 輝度変換処理を説明する図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。
<<実施形態1>>
具体的な実施形態の説明に先立って、理解を容易にするために、各種の補足説明を行う。具体的には、標準照明、輝度ダイナミックレンジを考慮した印刷処理、展示環境、対比影響、および実験結果を説明する。その後、具体的な装置構成を説明することにする。
<標準照明>
プリンタは、入力画像データに対して画像処理を行い、記録媒体上に画像を印刷することで、印刷物を生成している。インクジェットプリンタを例に挙げて、画像処理で標準的に設定されている環境を説明する。プリンタで出力するカラー画像は、一般的に国際規格で定められたsRGBなどの色域に合致させるように色設計が行われている。sRGBの色域は、CRTなどでは輝度80cd/m2、色温度5000Kで規定されている。従って、sRGBの色域に合致させてインクジェットプリンタで印刷された印刷物は、輝度80cd/m2相当の光の環境下で観察されることが望ましい。この、輝度80cd/m2、色温度5000Kの光を「標準照明」と呼ぶこととする。標準照明とは大きくかけ離れた輝度、或いは、色温度を持つ照明環境下で印刷物を観察すると、設計された所望の色とは異なる色として観察されてしまう場合がある。そこで、特許文献1に記載されているように、標準照明下以外であっても標準照明下と同様の色や明るさで印刷物を観察可能となるように印刷を行う技術が提案されている。
<輝度ダイナミックレンジについて>
デジタルカメラなどの撮像装置で撮像して得られたRAWデータは、輝度ダイナミックレンジが広いデータである。このような輝度ダイナミックレンジが広いデータが入力画像データとして画像処理装置に入力される場合には、一般的に画像処理装置では、出力可能な輝度ダイナミックレンジ内に収めるような輝度変換処理が行われている。標準照明下では、観察者が知覚する輝度は、印刷物の輝度ダイナミックレンジに、印刷物に照射される標準照明の輝度ダイナミックレンジが加算された分の輝度ダイナミックレンジの輝度となる。このように標準照明の輝度ダイナミックレンジを加算したとしても、RAWデータなどの入力画像データが持つ広い輝度ダイナミックレンジを再現するには不十分である。そこで、一つの解決策として、一般的に、標準照明に加えて別の照明(以下、「補助照明」と呼ぶ)を展示物に照射することで、入力画像データが持つ広い輝度ダイナミックレンジを再現することが行われている。
しかしながら、補助照明を展示物に照射すると、展示物と背景との間で輝度の差が生じる。このような輝度の差は、対比影響を生じさせることになる。対比影響は、光が照射されている印刷物自体の明るさに加えて、展示されている印刷物の背景が観察者の視覚に及ぼす影響のことである。具体的には、展示されている印刷物の背景の明るさが、観察者の視覚に影響を及ぼす。また、後述するように、背景の明るさだけではなく、背景に占める印刷物の面積比も対比影響に関係する。本実施形態は、このような対比影響を考慮した形態である。
<展示環境の説明>
以下、展示物が展示される展示環境の一例を説明する。なお、本実施形態では、光の強さ(照度)の単位にカンデラ(cd/m2)を用いるが、これに限らず、ルーメン(lm)やルクス(lx)を用いてもよい。また、以下では補助照明として、スポット照明のように展示物に照射する照明を例に説明するが、バックライト照明(展示物を透過する照明)が補助照明として用いられても良い。
図1は、展示物104が展示される部屋100を断面で見た概念図である。天井101には、部屋の照明102が設置されている。壁103には、後述する画像出力装置(プリンタ)で出力した印刷物が、展示物104として飾られている。部屋の照明102は、輝度80cd/m2、色温度5000Kの標準照明である。本実施形態では、プリンタで出力される印刷物は、標準照明下で観察することを前提に色設計が行われているものとする。本実施形態の展示環境では、美術館や写真展などで見られるように、部屋の照明102と補助照明105とを組み合わせて展示物(印刷物)104に光が照射された状態で、展示物104が展示される形態を想定する。
図2は、図1のような観察環境における輝度ダイナミックレンジ(以下、輝度レンジともいう)を説明する図である。図2に示すように、一般的に、カメラ等の撮像装置から入力される撮像データ(入力画像データ)の輝度レンジは、印刷物+固定照度照明の輝度レンジよりも広い。画像処理装置は、非発光物である紙などの記録媒体に対してプリンタで出力可能な輝度レンジに合わせるように入力画像データを補正する。このようにして、輝度レンジを抑える処理が行われている。これに対して、スポットライト照明などの補助照明を用いる等の照明条件の調整を行う場合、印刷物+可変照度照明の輝度レンジで入力画像データの輝度レンジを再現することが可能となる。つまり、補助照明によって不足分の輝度レンジを補うことが可能である。
例えば、入力画像データの最大輝度が400cd/m2であると想定する。そして、その入力画像データが紙媒体に印刷された印刷物を固定照度照明である標準照明80cd/m2で観察した場合、紙白地の反射率を100%と仮定しても最大輝度は80cd/m2である。つまり、入力データの最大輝度に対して320cd/m2(=400cd/m2−80cd/m2)の輝度が、標準照明下では不足する。この不足分を補うのが可変照度照明(補助照明)の役割である。
<対比影響について>
次に、前述した対比影響を説明する。対比影響は、展示環境において印刷物と背景との対比が展示された印刷物の明るさに与える影響のことである。つまり、印刷物を観察する場合、その印刷物の周囲の背景が印刷物の見た目に影響を及ぼす点を説明する。
図3は、実際の撮影シーンを説明する図である。図3は、屋外で風景写真を撮像するシーンを示している。図3(a)は、実際の撮影シーンである。図3(b)は、図3(a)の点線部分に相当する画角を撮像して得られる撮像データの画像を示す図である。
図4は、図3で示した撮影シーンで撮像された画像をプリンタが記録媒体に印刷して印刷物(展示物104)を生成し、その展示物104を異なる展示環境(図4では、背景の明るさが異なる環境)に展示する例を示す図である。図4では、展示物の背景の明るさが及ぼす対比影響を説明する。
展示物104は、補助照明105から光が照射された状態で展示されている。本来的には、展示環境において展示物の背景の明るさが、図3(a)の点線外の部分の明るさ(即ち、図3(b)の画像に取り込まれていない部分の明るさ)と近い展示環境が好ましい。このため、本来的には、実際の撮影シーンの背景の明るさと近い、展示環境Aが最も好ましい。しかしながら、現実の展示環境では、背景が本来の撮影シーンと同じ明るさになってしまうと、観察者には眩し過ぎてしまう。このため、一般的は、展示環境B、C、Dのように背景を暗くした展示環境で展示物が展示される。展示環境B、C、Dは、実際の撮影シーンと比べて展示物の背景が暗くなってしまう。従って、観察者が展示物から受ける印象は、実際の撮影シーンとは異なるものになる。観察者が展示物から受ける印象を、実際の撮影シーンに接した観察者が受ける印象と同じ印象となるように、対比影響を考慮した処理が求められている。
<背景の明るさが及ぼす対比影響>
図5は、展示物の背景の明るさが展示物の見た目に影響を及ぼす例を説明する図である。即ち、背景の明るさが及ぼす対比影響の例を説明する図である。図5(a)〜(c)においては、補助照明105から同じ明るさの光が展示物104に照射されている。ただし、展示されている展示物104の背景502の明るさが異なる。ここで、背景502とは、展示物104を観察者501が観察した場合の視野角に収まる範囲の領域のことであり、展示物104を除く領域のことである。図5に示すように、ある展示物104に同じ明るさの補助照明を照射しても、その展示物104の周りの明るさ(特に、影響が大きい展示物の背景502の明るさ)によって観察者501が感じる明るさが変わる。例えば、展示物104の背景502が所定値よりも明るければ、展示物104を見た観察者501は、展示物104を暗く感じる。展示物104の背景502がその所定値よりも暗ければ、展示物104を見た観察者501は、展示物104を明るく感じる。図5の場合においては、展示物104に同じ強さの補助照明が当たっているので、観察者501が展示物104を見た場合に知覚する明るさは、図5(a)、図5(b)、図5(c)の順で暗く感じるものとなる。
<背景の大きさが及ぼす対比影響>
図6は、印刷物の大きさと背景の大きさとの関係が展示物の見た目に影響を及ぼす例を説明する図である。図6を用いて展示物の大きさとその展示物の背景の大きさとの関係、即ち、背景に占める展示物の面積比が及ぼす対比影響の例を説明する。
背景の大きさとは、前述したように、観察者501が展示物104を観察した場合の視野角に収まる範囲の領域の大きさである。図6では、観察者501の観察位置および補助照明105の照度を固定し、展示物104の大きさが、図6(a)と図6(b)とで異なる例を示している。図6に示すように、背景502に対して展示物104が占める大きさ(面積)によっても展示物104に対する観察者の明るさの感じ方が変わる。図6の場合においては、観察者が展示物104を観察した場合に、背景に対する展示物の面積比が小さい図6(b)の方が、図6(a)よりも、観察者は明るいと感じる。
<対比影響の実験結果の例>
図7及び図8は、これらの対比影響について、本発明者らが、市販のツール(商品名称:REALAPS(登録商標)、(株)ビジュアル・テクノロジー研究所)を利用して実験した結果を示す図である。このツールは、画像データの輝度値を、順応や対比を考慮できる画像変換法を用いて観察者が知覚する明るさを示す明るさ尺度値(以下、「明るさ値」という)と呼ばれる定量的な値(NB値と呼ばれる)に変換して表示する機能を有している。図5に示すように、本実験における背景輝度及び展示物輝度は、均一な輝度である。背景輝度とは、観察環境における背景の輝度のことである。展示物輝度とは、観察環境における展示物の輝度のことである。即ち、補助照明によって展示物が照射されているときの展示物の輝度のことである。ツールに取り込む画像は、展示される展示物を観察する観察者の視野角を考慮した画角としている。本実験では、展示物輝度、背景輝度、および背景に占める展示物の面積比の3つのパラメータの関連性を調べることとした。このため、1つのパラメータを固定にし、他の2つのパラメータの関連性を調べる実験を、固定するパラメータを変更して行った。
図7は、背景面積に対する展示物の面積比を10%に固定し、背景輝度と展示物輝度(補助照明の照度)とを変えながら撮像した画像をツールに取り込み、明るさ値を測定した結果を示す図である。図7では、展示物輝度が100、200、400cd/m2になるように補助照明の照度を調整して照射した例を示している。また、各補助照明の照度を固定して、背景輝度を5、10、20、40、60、80、100cd/m2と変化させた場合の結果を示している。縦軸が各条件における展示物の「明るさ値」を示している。この結果において、展示物輝度100cd/m2、かつ背景輝度20cd/m2の「明るさ値」は、ほぼ8.5を示している。また、展示物輝度200cd/m2、かつ背景輝度80cd/m2の「明るさ値」は、ほぼ同じ8.5を示している。つまり、この2条件においては、背景を含めた展示物から観察者が感じる明るさが、同じであることが図7の実験結果から読み取れる。
図8は、背景輝度を10cd/m2に固定し、補助照明の照度を変えながら明るさ値を測定した結果を示す図である。展示物輝度が100、200、400cd/m2になるように補助照明の照度を調整して照射した例を示している。また、各補助照明の照度を固定して、背景に占める展示物の面積比を、5、10、20、40、60、80%と変化させた場合の結果を示している。縦軸は、図7と同様に各条件における展示物の「明るさ値」を示している。この結果において、展示物輝度100cd/m2、かつ面積比20%の「明るさ値」は、ほぼ8.5を示している。また、展示物輝度200cd/m2、かつ面積比80%の「明るさ値」は、ほぼ同じ8.5を示している。つまり、この2条件において背景を含めた展示物から観察者が感じる明るさは、同じであることが図8の実験結果から読み取れる。
以上説明したように、展示されている展示物に補助照明を照射して観察する場合は、背景の明るさに加えて、背景に対する展示物の面積比も対比影響に関係する。従って、対比影響は、観察環境(各照明条件)に加えて、背景の明るさ、および背景の大きさに対する展示物の大きさ(面積比)を考慮する必要がある。以下では、展示環境における、背景の明るさ、展示物の明るさ、背景の大きさ(面積)、展示物の大きさ(面積)に関する情報を取得して、それら取得した情報から観察者が感じる明るさ値を決定する。そして、決定した明るさ値が、実際の撮影シーンにおいて撮影者が感じていた明るさ値と異なる場合、画像処理にフィードバックすることで対比影響を補正した印刷物を生成する形態を以下で説明する。
<装置構成>
図9は、本実施形態における画像処理装置900の構成例を示す図である。画像処理装置900は、入力部901、表示部902、記憶部903、CPU904、ROM905、RAM906、通信部907、および出力部908を有する。CPU904は、RAM906をワークメモリとして、ROM905および記憶部903に格納されたOSおよび各種プログラムを実行し、システムバス909を介して後述する構成を制御する。
入力部901は、USBなどのシリアルバスインタフェイスであり、キーボードおよびマウスなどの入力デバイス、メモリカードリーダ、デジタルカメラおよびスキャナなどの画像入力デバイスが接続される。CPU904は、入力部901を介してユーザ指示および画像データなどを入力し、モニタである表示部902にグラフィックユーザインタフェイス(GUI)、画像、処理経過、および結果などを表示する。
記憶部903は、各種プログラムおよび様々なデータが格納されるハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などの記録媒体である。記憶部903に格納されるプログラムには、後述する画像処理を実現するためのプログラムが含まれる。
通信部907は、Ethernet(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、P2Pなどの有線または無線のネットワーク910に接続するためのネットワークインタフェイスである。出力部908は、USBなどのシリアルバスインタフェイスであり、シリアルバスに接続された画像出力装置911およびメモリカードライタなどに画像データなどを出力する。
CPU904は、通信部907を経由してネットワーク910上のサーバ装置および他のコンピュータ機器と通信を行う。CPU904は、ネットワーク910上のサーバ装置および他のコンピュータ機器などから様々なプログラムおよびデータを受け取って処理を実行する。また、CPU904は、処理結果のデータをネットワーク910上のサーバ装置および他のコンピュータ機器に提供することができる。なお、通信部907を介して通信可能なコンピュータ機器には画像出力装置911も含まれ、CPU904は、通信部907を介して画像出力装置911に画像データを出力することもできる。画像処理装置900は、照明装置913を制御する照明制御装置912と通信部907を介して接続されている。
画像処理装置900は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピュータ機器とすることができる。これらのコンピュータ機器に、後述する画像処理を実現するためのプログラムを供給することで、画像処理装置900として機能することができる。画像処理装置900としてタブレットやスマートフォンが利用される場合、入力部901および表示部902は、積層されてタッチパネルとして構成される場合がある。
図10(a)は、画像出力装置911として、インクジェットプリンタを想定した場合の構成例を示すブロック図である。制御部1030は、マイクロプロセッサ等のCPU1031と、RAM1032及びROM1033等のメモリとを備える。RAM1032は、CPU1031のワークエリアとして使用されると共に、画像処理装置900から受信した画像データおよび生成した記録データなどの各種データの一時保管等を行う。ROM1033は、CPU1031の制御プログラムおよび記録動作に必要なパラメータなどの各種データを格納する。
制御部1030は、インターフェース1021を介して画像処理装置900との間で画像データ等の印刷に用いられるデータおよびパラメータを入出力する処理を行う。また、制御部1030は、操作パネル1022から各種情報の入力を受け付ける処理を行う。また、制御部1030は、インターフェース1021を介して、キャリッジモータ1023及び搬送モータ1024を駆動させるためのON信号またはOFF信号をドライバ1026から出力する。さらに、制御部1030は、吐出信号等をドライバ1027に出力し、記録ヘッド1025からインクを吐出するための駆動を制御する。以上の各処理は、制御部1030がRAM1032に記憶されたプログラムを読み出すことによって実行される。
図10(b)は、照明制御装置912の構成例を示すブロック図である。図10(b)の例では、展示環境に用いられる照明装置913として、標準照明1055、背景照明1056、および補助照明105を含む例を示している。照明制御装置912は、標準照明1055、背景照明1056、および補助照明105を制御する。制御部1060は、マイクロプロセッサ等のCPU1061と、RAM1062及びROM1063等のメモリとを備える。RAM1062は、CPU1061のワークエリアとして使用されると共に、画像処理装置900から受信した照明設定条件などの各種データの一時保管等を行う。ROM1063は、CPU1061の制御プログラムおよび照明制御に必要なパラメータなどの各種データを格納する。
制御部1060は、インターフェース1051を介して画像処理装置900との間で照明設定に用いられるデータおよびパラメータを入出力する処理を行う。また、制御部1060は、操作パネル1052から各種情報、例えば、手動で各種照明の調整を行う場合などの入力を受け付ける。また、制御部1060は、インターフェース1051を介して、各照明を調整するドライバ1053を駆動して、補助照明105、標準照明1055、および背景照明1056の光量調整を行う。
尚、図9および図10(a)、(b)には、画像処理装置900、画像出力装置911及び照明制御装置912が、別体に構成された画像処理システムの例を示しているが、上記形態に限るものではない。画像処理装置900と画像出力装置911とを一体にした画像形成装置、或いは、照明制御装置912も含めて、全てを一体構成にした画像形成装置を用いても良い。また、画像出力装置の構成を画像処理装置内に取り込んで、所謂プリンタドライバーソフトとしてプリンタを制御する形態等であっても良い。
<システム構成>
図11は、図9及び図10(a)、(b)に示した画像処理装置900、画像出力装置911及び照明制御装置912のシステム全体を示すブロック図である。図11に示す処理構成は、その機能を実現するためのプログラムが画像処理装置900、画像出力装置911、照明制御装置912のそれぞれにおいて供給されており、当該プログラムを各装置が実行することで実現される。あるいは、ASICなどの専用回路を用いて構成されていても良い。
図11に示すように、画像処理装置900は、撮像データ入力部1101、撮像情報入力部1102、抑制処理部1103、背景輝度取得部1106、展示物輝度取得部1107、背景の大きさ取得部1108、および展示物の大きさ取得部1109を有する。画像出力装置911は、プリント処理部1104および記録媒体特性取得部1105を有する。照明制御装置912は、照明制御部1110を有する。
撮像データ入力部1101は、デジタルカメラ等の撮像装置によって撮像対象を撮像して得られた撮像データを入力する。入力される撮像データは、印刷物(展示物)の印刷に用いられる撮像データである。撮像情報入力部1102は、撮像データ入力部1101で入力された撮像データに関する撮像情報を入力する。撮像情報は、例えば撮像データを撮像した際の露出条件情報などの撮影時の情報および輝度ダイナミックレンジ情報等の情報を含む。前述した撮影シーンに関する「明るさ値」は、これらの入力された撮像データおよび撮像情報に基づいて決定(推定)される。
背景輝度取得部1106は、撮像データに基づいて印刷された印刷物(展示物)が、展示環境において展示された場合の背景輝度の情報を取得する。背景輝度の情報は、例えばユーザが実際の展示環境で印刷物を展示し、その背景の輝度を測定し、その測定値を入力することで取得される。展示物輝度取得部1107は、撮像データに基づいて印刷された印刷物が、展示環境において展示された場合の展示物の輝度(展示物輝度)の情報を取得する。展示物輝度の情報は、例えばユーザが実際の展示環境で印刷物を展示し、その印刷物の輝度を測定し、その測定値を入力することで取得される。背景輝度および展示物輝度は、展示環境において展示物を展示した状態で展示物および背景を含む領域を撮像して、撮像データの分析結果に基づいて取得されても良い。
背景の大きさ取得部1108は、撮像データに基づいて印刷された印刷物が展示環境において展示された場合の背景の大きさの情報を取得する。背景の大きさは、所定の観察位置から観察者が展示物を見た場合の視野角に相当する情報とすることができる。想定される観察位置に基づく背景の大きさの値をユーザが入力しても良い。また、背景の大きさの情報は、展示物の長辺に対して1.5倍の観察位置から観察者が展示物を見た場合の視野角に相当する情報としても良い。
展示物の大きさ取得部1109は、撮像データに基づいて印刷された印刷物が展示環境において展示された場合の展示物の大きさの情報を取得する。例えば印刷物の用紙サイズが展示物の大きさ情報に相当する。展示物の大きさは、ユーザが印刷物の用紙サイズを入力することで、取得される。
抑制処理部1103は、入力された撮像データおよび撮像情報を分析して、色処理などの画像処理を行う。また、抑制処理部1103は、入力された撮像データ、撮像情報、取得された背景輝度、展示物輝度、背景の大きさ、および展示物の大きさに基づいて、展示環境において観察者の見た目に影響を及ぼす対比影響が生じるかを判定する。そして、抑制処理部1103は、対比影響が生じると判定した場合、対比影響を抑制する処理を行う。
例えば、抑制処理部1103は、撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚する「明るさ値」と、実際の展示環境において観察者が知覚する「明るさ値」との差が、所定の閾値以上であるかを判定する。所定の閾値以上である場合、撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚する明るさと、実際の展示環境において観察者が知覚する明るさとが異なる。そこで、抑制処理部1103は、撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚した「明るさ値」に近づけるように、補正処理を行う。本実施形態では、撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚する「明るさ値」と、実際の展示環境において観察者が知覚する「明るさ値」との差が、所定の閾値以上である場合、展示した印刷物を再度印刷し直す。このとき、輝度変換処理に用いられる輝度レンジを補正することで、実際の展示環境において観察者が知覚する「明るさ値」が、撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚する「明るさ値」と同じになるように、画像処理を行う。即ち、入力画像データの各輝度に対して変換される各輝度を示す輝度変換情報を補正する。このように補正した輝度変換情報を用いて輝度変換処理を行って出力された印刷物が展示環境において展示されると、展示環境において観察者が知覚する「明るさ値」が、実際の撮影シーンで観察者(撮影者)が知覚する「明るさ値」とが同じになる。
なお、抑制処理部1103は、画像出力装置911側の記録媒体特性取得部1105から入力される記録媒体の反射特性を示す特性情報に基づいて、展示環境による対比影響を考慮した処理を行っても良い。画像出力装置911の記録媒体特性取得部1105は、ユーザが使用する記録媒体を選択することで、事前にデータベース化されたデータの中から、記録媒体の反射特性を示す特性情報を取得する。特性情報は、画像処理装置900の抑制処理部1103に送られる。
本実施形態では、抑制処理部1103は、輝度変換情報を補正することで対比影響を抑制する抑制処理を行う例を説明するが、抑制処理部1103は、対比影響を抑制するための照明条件に関するデータを照明制御部1110に送っても良い。そして照明制御部1110が照明を調整することで、対比影響を抑制する抑制処理が行われても良い。照明制御を行う形態については、実施形態3で後述する。
<色処理(輝度変換処理)>
図12(a)は、画像出力装置911をインクジェットプリンタと想定した場合の、カラー入力画像データを記録媒体に出力するための画像処理(色処理)を示している。画像出力装置911のプリント処理部1104は、JPEG等の一般的な画像ファイルが持つ、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色8ビット、それぞれ256階調の画像データ(輝度データ)を受け取る。複数の処理が施された後、最終的に、プリント処理部1104は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)それぞれの、インク滴の吐出の有無を示す1ビットのビットイメージデータ(記録データ)を出力する。以下に、これらの処理について説明する。
まず、画像処理装置900は、撮像装置から、R、G、B各色12bit〜16bitの輝度信号で表現されるRAWデータ(RGB画像データ)を受け取る。そして、受け取ったR、G、Bの輝度信号データに対して、色空間変換前処理1201を行う。ここでは、3次元のLUT(Look Up Table)を用いて、各色8ビットまたは各色10ビットのR’、G’、B’のデータに変換する。この色空間変換前処理1201は、入力されたR、G、Bの画像データが表わす色空間と画像出力装置911で再現可能な色空間との間の差を補正するために行われる。具体的には、色域(Gamut)マッピング処理と言われ、色空間変換であるRGB→XYZ変換の後、XYZ→R’G’B’変換が行われ、入力データの持つ色域がプリンタで表現可能な色域に変換される。ここで、入力データが持つ輝度レンジ、すなわち、XYZデータにおけるY成分は、画像出力装置が表現できる輝度レンジに変換される。この結果、画像出力装置が表現できる輝度レンジは、標準照明下における印刷物の輝度レンジに対応することになる。抑制処理部1103が輝度レンジ(輝度変換情報)を補正する場合には、この色空間変換前処理1201の輝度レンジを補正することになる。この輝度レンジの詳細については、後述する。
輝度変換処理を含む色空間変換前処理1201が施されたR’、G’、B’各色のデータは、画像処理装置900から画像出力装置911に送られる。画像出力装置911のプリント処理部1104は、色空間変換前処理1201が施されたR’、G’、B’各色のデータに対し、3次元LUTを用いて、K、C、M、Yの各色10ビットのデータに変換する色変換処理1202を行う。色変換処理1202では、輝度信号で表現される入力系のRGB系画像データが、画像出力装置911で用いるK、C、M、Yの各インクに対応するインク色データに色変換される。
次に、プリント処理部1104は、色変換処理1202が施されたK、C、M、Yの各色10ビットのインク色データに対し、それぞれの色に対応した1次元LUTを用いて、出力γ処理1203を行う。図12(b)は、出力γ処理1203で使用されるガンマカーブ(S次γ)の一例を示したものである。通常、記録媒体の単位面積当たりに付与されるインク滴(ドット)の数と、印刷された画像を測定して得られる反射濃度などの印刷特性との関係は、線形関係にはならない。そのため、K、C、M、Yの各色10ビットの入力階調レベルと、それによって印刷される画像の濃度レベルとが線形関係となるように、4色それぞれの入力階調レベルを補正する処理が行われる。すなわち、γ処理の目的は、画像出力装置911で印刷物を出力する場合に、入力画像データをより忠実に再現することにある。一般的に、画像出力装置において、入力画像データにリニア処理を行ってそのまま出力したとしても、記録媒体の特性によって印刷物の結果が入力画像と線形の関係にはならない。そのため、事前に使用する記録媒体の特性を測定し、入力と出力とがより線形な関係になるガンマカーブが設計される。
図12(a)に戻る。プリント処理部1104は、出力γ処理1203が施されたインク色データに対し、ディザもしくはED(誤差拡散処理)等の量子化処理1204を行う。具体的には、K、C、M、Y各色10ビットのデータが、インク滴の吐出または非吐出を示す各色1ビットの2値データに変換される。変換された2値データに基づいて、記録ヘッド1025からインク滴が吐出され、印刷物が出力される。
<補助照明なしの場合のプリントデータ処理>
図13は、色空間変換前処理1201において行われる輝度変換処理における、入力輝度レンジと出力輝度レンジとの関係を説明する図である。まず、補助照明を用いない場合の一般的なプリントデータ処理を説明する。図13は、入力画像データの各輝度に対して変換される各輝度(出力画像データの各輝度)を示す輝度変換情報である。図13(a)は、入力輝度レンジが出力輝度レンジにリニアに変換される理想的な場合を示している。印刷物の出力輝度レンジが入力輝度レンジを十分表現できる場合には、図13(a)の実線1301に示すように、入力に対してリニアな出力となるような変換を行えば良い。
しかしながら、紙等の非発光物に印刷された印刷物が標準照明下で表現できる輝度レンジは、入力輝度レンジよりも狭くなるのが一般的である。紙上での出力輝度、すなわち紙白での最大輝度は、それを観察する環境において、印刷物に照射される照明の強度によって決まる。一般に、インクジェットプリンタにおける色設計がsRGB色空間である場合、輝度ダイナミックレンジ(輝度レンジ)は、0〜80cd/m2を想定して行われている。従って、入力された画像データの輝度レンジが0〜80cd/m2の範囲内であれば、リニアな変換処理が施される。しかし、0〜80cd/m2の範囲を超えた輝度レンジの入力画像データに対しては、出力側、すなわち記録媒体上で表現できる輝度レンジの範囲内に収まるように変換処理が行われる。
図13(b)は、紙等の記録媒体に印刷する場合に、通常処理、すなわち標準照明下で観察されることを想定して、実際に行われる変換処理を示す図である。図13(b)は、輝度レンジが0〜200%(反射率)である入力画像データをインクジェットプリンタによって出力するための輝度変換(ガンマカーブ)を示す一例である。ここでは、入力輝度レンジの範囲が出力輝度レンジの範囲を超えているので、破線1302のようなリニアな変換ではなく、実線1303のようにカーブした変換処理が施される。
非発光体である紙などの記録媒体に画像を出力する場合、反射率の最大値は100%である。ここでは、光沢紙の白地(以下、紙白領域と呼ぶ)の輝度を反射率が100%とする。先に説明したsRGBの場合は、紙白領域の輝度を80cd/m2と規定している。従って、光沢紙の紙白領域の輝度80cd/m2が、反射率100%に相当する。標準照明下で観察されることを想定した通常処理において、0〜200%のダイナミックレンジを持った入力画像データは、実線1303のように変換される。つまり、出力輝度が0〜100%の範囲に収まるように、輝度変換が行われる。なお、人間の肌色の反射率に近い、いわゆる18%グレーの反射率は、入力画像データの輝度と同様の出力輝度を維持するのが一般的である。このため、一般的には、図13(b)に示すように、入力画像データが所定値以下、即ち、0〜18%の範囲においては実線1303が破線1302と重なるようなガンマカーブが用いられる。なお、カーブの形状は設計者の意図によって変えることが可能である。
<補助照明ありの場合のプリントデータ処理>
次に、本実施形態における画像処理装置900における抑制処理部1103での具体的な処理方法について説明する。即ち、補助照明がある場合におけるプリントデータ処理を説明する。先述のように、本実施形態は、展示物(印刷物)を鑑賞する際に展示物に補助照明を照射することで、撮影シーンのダイナミックレンジを展示物上で再現する。そして、展示環境に由来する対比影響を抑制して、撮影したシーンと同じ見え方を再現する。本実施形態では、前述したように、入力画像データ(撮像データ)の輝度ダイナミックレンジは、輝度80cd/m2の標準照明を印刷物に照射した場合のダイナミックレンジよりも広いことを前提としている。
本実施形態において、画像処理装置900の撮像データ入力部1101に入力される入力画像データ(撮像データ)は、RAWデータをリニア現像したRGB画像データである。RAWデータは、カメラ内部で様々な処理が施されてJPEGデータに変換される前の、未処理状態の画像データである。また、RAWデータの輝度ダイナミックレンジは、JPEGデータの輝度ダイナミックレンジに比べて広い。本実施形態においてRAWデータ用いる理由は、RAWデータはリニア処理が可能であり、さらに、印刷物に補助照明を照射しても18%グレーの画像が保持されるため、撮影シーンの適正露出での画像が再現できるからである。また、RAWデータは、1画素の諧調数が12bit〜16bitと高いため、画像処理を行っても滑らかな諧調の画像が得られ、画質の劣化が少ないという利点がある。
撮像データ入力部1101にRAWデータが入力されると共に、撮像情報入力部1102に露出条件などのRAWデータの撮像情報が入力される。撮像情報は、デジタルカメラのExif(Exchangeable image file format)データとして受け取ることができる。Exifデータには、画像データのダイナミックレンジと、撮影時の露出状態、いわゆる露出補正値が含まれる。本実施形態では、露出補正値として負の値、つまりアンダー露出の画像データを想定している。
前述したように、抑制処理部1103は、入力画像データであるRGB画像データをRGB→XYZ変換し、さらに、XYZ→R’G’B’変換し、各画素の画素値を決定する。このときの輝度変換処理において、対比影響を考慮したプリントデータ処理が行われる。以下では、まず、理解を容易にするために、対比影響を考慮しない場合のプリントデータ処理を説明し、その後に、対比影響を考慮したプリントデータ処理を説明する。
<対比影響を考慮しない場合のプリントデータ処理について>
図14は、入力輝度ダイナミックレンジ(入力輝度レンジ)と出力輝度ダイナミックレンジ(出力輝度レンジ)との関係を示す図である。図14を用いて、まず、対比影響を考慮しない場合の処理を説明する。撮像情報入力部1102に入力された情報が、例えば、RAWデータが0〜200%のダイナミックレンジを持ったデータであり、且つ、露出補正値=−1、すなわち1段アンダーを意味する情報である場合について説明する。ここで、露出補正値が−1である場合には、画像処理装置900は、適正露出(露出補正値が0)の出力輝度が、入力輝度の1/2となるように輝度変換を行う。従って、この場合、入力輝度0〜200%の輝度が、出力輝度0〜100%に収まるように、破線1404に示すリニア変換が行われる。なお、撮像データ入力部1101に入力されるRGBデータは、カメラ側でリニア現像されているデータであるため、装置側でRGB→XYZ変換で求めた輝度データ(Y)もリニアなデータとなっている。本実施形態では、輝度80cd/m2を想定した標準照明よりも高い照度の光が補助照明によって照射されることで、実際に展示される展示物の輝度は、破線1404の輝度から実線1406に示す輝度に持ち上がることになる。即ち、実際の展示環境における展示物の輝度は、0〜200%の輝度となる。
同様に、入力画像データが0〜400%の輝度ダイナミックレンジを持つRAWデータであり、且つ、露出補正値=−2、すなわち2段アンダーを示す情報が入力された場合、実質的に1/4の輝度データに変換する必要がある。従って、画像処理装置900は、入力輝度0〜400%の輝度が、出力輝度0〜100%に収まるように、破線1405に示すリニア変換を行う。そして、輝度80cd/m2を想定した標準照明よりも高い照度の光が補助照明によって照射されることで、実際の展示環境における展示物の輝度は、破線1405の輝度から実線1406に示す輝度に持ち上がることになる。即ち、実際の展示環境における展示物の輝度は、0〜400%の輝度となる。なお、このように補助照明が照射されることを前提としてリニア変換した印刷物を標準照明下で観察すると、図13(b)に示した通常処理で出力された印刷物に比べて、非常に暗い画像に見える。
本実施形態では、記録媒体が光沢紙の場合を例に挙げて説明する。光沢紙では、補助照明として更に80cd/m2を照射して、標準照明と合わせて160cd/m2となれば、紙面上での出力輝度(展示物輝度)は200%となり、図14における破線1404と実線1406との関係が実現されることになる。同様に、補助照明として240cd/m2を照射して、標準照明と合わせて320cd/m2とすれば、紙面上で出力輝度は400%となり、図14における破線1405と実線1406との関係が実現されることになる。以上が対比影響を考慮しない場合に、実際の展示環境における補助照明を考慮して行われるプリントデータ処理の関係である。
なお、本実施形態では、記録媒体は光沢紙である場合を前提に説明するが、記録媒体の特性によって標準照明80cd/m2の反射率は異なる。例えば、光沢紙などは、ほぼ100%で紙面上(白地)の輝度が80cd/m2になるが、マット紙や普通紙になれば紙面上の輝度は80cd/m2よりも低くなる。このため、使用する記録媒体の表面条件によっては、反射率100%とする紙白領域の輝度値が、80cd/m2より低くなる。例えば、マット紙の紙白領域の輝度値は、60cd/m2、普通紙の紙白領域の輝度値は、40cd/m2である。入力画像データの輝度レンジに相当する不足分を補うためには、記録媒体の輝度によって必要な補助照明の強さが異なる。このため、記録媒体の種類毎に、どのような条件で変換するかを示すデータをROM等の記憶部に保存しておき、使用する記録媒体が選択されたタイミングで、対応するデータを取得すればよい。
<対比影響を考慮した場合のプリントデータ処理について>
次に、対比影響を考慮した場合に、抑制処理部1103で行われる抑制処理について説明する。本実施形態では、実際の撮影シーンをターゲットにし、理想的な明るさ値を実際の撮影シーンで得られる明るさ値とする。そして、その理想的な明るさ値と実際の展示環境における展示物の明るさ値とを比較し、必要に応じて抑制処理が行われる。
まず、全体的な処理を説明する。本実施形態においては、まず、上述した対比影響を考慮しない場合のプリントデータ処理によって、撮像データに基づいて第1の印刷物が出力される。そして第1の印刷物を実際の展示環境に展示し、実際の展示環境における対比影響に関する情報を、例えばユーザが測定することで取得する。ユーザは、その情報を画像処理装置900に入力することで、画像処理装置900は、対比影響に関する情報を取得する。画像処理装置900は、対比影響に関する情報を用いて対比影響を判定する。以下、具体例を参照して説明する。
まず、画像処理装置900は、撮像データを参照して撮像データの最大輝度を取得する。撮像データの最大輝度は、撮像データに付随する例えばExif情報のダイナミックレンジに基づいて取得しても良いし、撮像データを分析して撮像データ中の最大輝度を取得しても良い。そして、撮像データの最大輝度が400cd/m2である場合、補助照明と合わせて400cd/m2となるように、画像処理装置900は、輝度変換処理を含む色空間変換前処理1201を行い画像出力装置911に画像データを出力する。画像出力装置911は、出力された画像データに基づいて、第1の印刷物を出力する。
ユーザは、このように出力された第1の印刷物を実際の展示環境に展示し、前述のように、対比影響に関する情報を取得して、画像処理装置900に入力する。画像処理装置900の抑制処理部1103は、取得した対比影響に関する情報に基づいて、実際の展示環境における展示物(第1の印刷物)の明るさ値を求める。また、画像処理装置900は、第1の印刷物を出力した際に用いた撮像データとその撮像データに付随する撮像情報とに基づいて、撮影シーンにおける観察者(撮影者)が感じる明るさ値を求める。そして、撮影シーンにおける明るさ値と展示環境における明るさ値との差が所定の閾値以上である場合、画像処理装置の抑制処理部1103は、撮影シーンにおける観察者(撮影者)が感じる明るさ値に近づけるように輝度変換処理を行う。そして画像処理装置900は、画像出力装置911に第2の印刷物を出力させる。このようにして出力された第2の印刷物が実際の展示環境に展示されると、展示物を観察する観察者は、撮影シーンにおける観察者(撮影者)が感じる明るさと同じ明るさを感じることができる。
以下では、具体的な条件を例に挙げて説明する。画像処理装置900に入力される撮像データおよび画像処理装置が取得する対比影響に関する情報は、以下であるとして説明する。
<対比影響に関する情報の例>
(1)撮影シーンの背景輝度:100cd/m2
(2)(デジタルカメラ等で)撮り込んだ撮像画像の最大輝度:400cd/m2
(3)展示環境の背景輝度:20cd/m2
(4)展示物の輝度:平均輝度で200cd/m2
但し、白地の最大輝度は400cd/m2(=標準照明:80cd/m2+補助照明:320cd/m2)
(5)背景の大きさに占める展示物の大きさ(面積比):10%(=展示面積÷背景面積×100)
ここで、情報(1)に示されている撮影シーンの背景輝度は、撮像データ入力部1101に入力された撮像データを分析して得ることができる。例えば、撮像データの端部(例えば四辺)には背景が含まれており、撮影シーンにおいてはその端部が伸びているとの仮定に従い、撮像データの端部の輝度を、撮影シーンの背景輝度として取得することができる。あるいは、撮像データをユーザに提示し、ユーザから背景に対応する領域を指定させ、指定された領域の輝度を、撮影シーンの背景輝度としても良い。
情報(2)に示されている撮り込んだ撮像画像の最大輝度は、例えばExif情報に含まれるダイナミックレンジの情報に基づいて取得しても良い。あるいは、撮像データ入力部1101に入力された撮像データを分析して、最も高い輝度を、撮り込んだ撮像画像の最大輝度として取得しても良い。
情報(3)に示されている展示環境の背景輝度は、展示物の背景の輝度であり、環境照明が当てられた背景の輝度である。実際の展示環境で輝度計などで測定した値をユーザが入力することで、背景輝度取得部1106が取得することができる。
情報(4)に示されている展示物の輝度は、上述した第1の印刷物を実際の展示環境に展示し、(2)で得られている最大輝度に対応する照度で第1の印刷物に光を照射した状態において、その第1の印刷物を測定して得られる値である。上述した例では、撮り込んだ画像の最大輝度が400cd/m2である。この最大輝度を展示物で再現するためには、先述の通り、紙白地の輝度が400cd/m2になるように照明を当てる必要がある。標準照明:80cd/m2であれば、補助照明として320cd/m2を当てていることになる。しかしながら、この400cd/m2は、最も明るい(紙白地)の輝度を400cd/m2にすべく照明を照射しているに過ぎない。実際の第1の印刷物は、紙白地の均一ではなく、画像が出力されており、展示物の輝度は、最大輝度400cd/m2よりも低い値となる。従って、補助照明を照射している状態の第1の印刷物を輝度計などで測定して得られた値をユーザが画像処理装置900に入力することで、展示物輝度取得部1107が展示物輝度を取得することができる。第1の印刷物の個々の画素の輝度は異なるものであるが、離れた位置で観察した場合には平均輝度としてみなすことができる。情報(4)に示されている平均輝度の200cd/m2は、このように実際の展示物から得られた輝度である。
なお、本実施形態では、以降の明るさ値の算出において撮像画像の平均輝度を用いるが、撮像画像の平均輝度は展示物の平均輝度と同じとして扱う。図14で示したように、第1の印刷物は、リニアな輝度変換がされているからである。なお、撮像データを解析して、撮像データの平均輝度から撮像画像の平均輝度を求めても良い。
情報(5)に示されている背景の大きさに占める展示物の大きさ(面積比)については、ユーザが背景の大きさを入力することで、背景の大きさ取得部1108が背景の大きさの情報を取得する。ユーザが展示物の大きさを入力することで、展示物の大きさ取得部1109が展示物の大きさの情報を取得する。そして、取得した背景の大きさと展示物の大きさから、背景に占める展示物の面積比が求められる。
このような条件において、展示物を実際の撮影シーンと同じ見え方となるように再現する例を説明する。なお、本実施形態では、実際の撮影シーンの背景に占める撮像画像の面積比は、展示環境における背景に占める展示物の面積比と同じものとして扱う。実際の展示環境における見え方を撮影シーンの見え方と同じにするためである。
図7に示した対比影響の実験結果から、まず、撮影シーンの「明るさ値」を導出する例を説明する。つまり、撮影シーンにおいて撮像画像と当該撮像画像に写っていない背景との両方を一つの対象とした場合に撮像画像が与える明るさを示す値を導出する例を説明する。背景に占める撮像画像の面積比は、10%である。撮像画像の平均輝度は、情報(4)に示されている展示物の平均輝度200cd/m2と同じである。図7の対比影響の実験結果を参照すると、展示物(撮像画像)の平均輝度200cd/m2、かつ撮影シーンの背景輝度100cd/m2の場合における「明るさ値」は、8.4であることがわかる。
次に、実際の展示環境の「明るさ値」を図7の対比影響の実験結果から求める。つまり、展示環境において印刷物と背景との両方を一つの対象とした場合に印刷物が与える明るさを示す値を求める例を説明する。展示物輝度200cd/m2、かつ背景輝度20cd/m2の場合における「明るさ値」は、9.3であることがわかる。つまり、対比影響により、実際の展示環境で展示物を見た観察者は、撮影シーンの観察者(撮影者)が感じる本来の明るさに比べて、より明るく感じてしまうことになる。
本実施形態では、抑制処理部1103は、照明条件は変更せずに、輝度変換処理で用いる輝度変換情報を補正し、補正した輝度変換情報を用いて新たに印刷物(第2の印刷物)を画像出力装置911に出力させる。これにより、実際の展示環境における展示物の明るさを撮影シーンの明るさに合わせられることになる。図7の対比影響の実験結果を参照して、背景輝度20cd/m2において、明るさ値がほぼ8.4になる条件を探すと、展示物輝度100cd/m2が該当することがわかる。この結果から、標準照明と補助照明とを合わせて400cd/m2の照明を当てた時に、展示物の平均輝度が100cd/m2になるように、入力画像データを補正すれば良いことがわかる。つまり、第1の印刷物よりも展示物輝度を暗くした第2の印刷物を出力すれば良い。抑制処理部1103は、このように、明るさ値を参照して、補正条件を決定することができる。
なお、この例は、背景に占める展示物の面積比が10%の場合の例を説明したが、前述したように面積比が異なれば明るさ値も異なることになる。従って、背景に占める展示物の面積比に応じてターゲットとなる明るさ値も異なるので、入力画像データの補正条件も異なるものとなる。つまり、背景に占める展示物の面積比に応じて輝度変換情報の補正内容が異なるものとなり得る。
<対比影響の抑制方法の説明>
図15は、抑制処理部1103による抑制処理を説明する図である。前述したように、抑制処理部1103は、色空間変換前処理1201における輝度変換処理を変更することで、抑制処理を行う。即ち、入力輝度レンジに対する出力輝度レンジを、対比影響が抑制されるように変更する。
図15では説明のため、図14と異なり、縦軸及び横軸をそれぞれ出力画像データ輝度(cd/m2)、入力画像データ輝度(cd/m2)としている。既に説明したように、対比影響を考慮しなければ、入力画像データ輝度400cd/m2を再現するために、出力画像データは、最大輝度が標準照明下80cd/m2において破線1502のようにリニアな輝度変換処理が実施されれば良い。そして、実際の展示環境では、そのようにして出力された印刷物に補助照明320cd/m2を当てることで最大輝度が400cd/m2になり、結果として、展示物の輝度(出力輝度)は、実線1501となる。
次に、対比影響を考慮して補正を行う場合を説明する。前述したように、対比影響を考慮した補正は、400cd/m2の照明下において、展示物の平均輝度を、当初の200cd/m2に対して100cd/m2とする補正となる。即ち、輝度を50%低減するような補正となる。これは、照明条件を変更せず、紙白地(最大輝度)が400cd/m2だった画像を、紙白地(最大輝度)が200cd/m2である画像に変更することに相当する。従って、入力画像データR、G、Bの輝度値をそれぞれ50%減らして、破線1503のようにリニアに変換するように輝度変換を行う。即ち、入力画像データの各輝度値を出力画像データの各輝度値に変換する輝度変換情報(変換テーブル)を、出力画像データの輝度値が50%低減する変換テーブルに補正する。この補正された輝度変換情報(変換テーブル)を用いて輝度変換処理が行われると、最大輝度が400cd/m2の照明が印刷物に照射されたとしても、展示物の輝度(出力輝度)は、最大輝度が半分の200cd/m2になる。このように、照明条件を変えずに入力画像データR、G、Bの輝度値をそれぞれ50%減らすと、観察者が受ける視覚効果的には、実質的に照明条件を暗くした場合と同等の展示物輝度(出力輝度)が得られることになる。
図16は、これまで説明してきた画像処理装置900の処理のフローチャートを示す図である。図16のフローチャートを用いて本実施形態の画像処理装置900の処理を説明する。図16のフローチャートで示される一連の処理は、CPU904が記憶部903に記憶されているプログラムコードをRAM906に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、図16におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
なお、ここでは、前述したように、撮像データに基づいて第1の印刷物を印刷して実際の展示環境に展示し、その第1の印刷物の展示物輝度(平均輝度)および背景輝度等をユーザが測定済みである状態であるものとする。
S1601で抑制処理部1103は、撮像データ入力部1101に入力された撮像データを分析する。撮像データを分析することにより、実際の撮影シーンの情報を得る。例えば、撮像画像の最大輝度、撮像画像の平均輝度、及び背景に相当する部分の輝度などを取得する。なお、この情報は、先に第1の印刷物を印刷した際に撮像データを解析することで得られている場合には、その解析済みの情報を取得する処理としても良い。
続いて、実際の展示環境において第1の印刷物に照明を照射して得られた各種の情報等を取得する。S1602で展示物輝度取得部1107は、展示環境における展示物輝度の情報を取得する。即ち、実際の展示環境において補助照明を照射した状態の展示物(第1の印刷物)の輝度情報を取得する。ここで取得する展示物輝度は、展示物の平均輝度である。S1603で背景輝度取得部1106は、展示環境における背景の輝度情報を取得する。S1604で展示物の大きさ取得部1109は、展示物の大きさ情報を取得する。S1605で背景の大きさ取得部1108は、展示物を展示する背景の大きさを取得する。
S1606で抑制処理部1103は、それぞれ取得した情報に基づいて、その展示環境において対比影響があるかを判定する。対比影響が無いと判定した場合には、実際の展示環境において第1の印刷物を展示した場合の見え方が、撮影シーンの見え方と同じであるとみなすことができる。従って、抑制処理を行う必要はない。その第1の印刷物を引き続き展示すれば良い。一方、対比影響有りと判定された場合には、S1607に進む。S1607において抑制処理部1103は、対比影響を抑制する処理を行う。具体的には、上述したように補正した輝度変換情報を用いて輝度変換を行う処理を含む画像処理を行う。
<対比影響判定処理の説明>
ここでは、S1606の対比影響判定処理を説明する。S1606で抑制処理部1103は、撮影シーン(理想の展示照明環境下)で観察者(撮影者)が展示物(撮像画像)から知覚する「明るさ値」と、実際の展示照明環境下で観察者が展示物から知覚する「明るさ値」とを比較する。そして、その差が事前に設定した閾値N以上であれば、抑制処理部1103は、補正を実行する。対比影響を厳密に排除するためには、閾値Nの値は小さければ小さいほど良い。ただし、人間の目の感度は、明るさに対してある程度の幅を持っていることが知られている。実験で用いた市販ツールREALAPS(登録商標)が出力する「明るさ値」を用いた主観評価では、0.3程度の差は明るさとしてほぼ同程度であるという感覚である。従って、本実施形態では、閾値Nを0.3と設定する。そして、この閾値以上乖離している「明るさ値」となっている場合に、S1607に進み、抑制処理部1103が抑制処理を実行すれば良い。
以上説明した例では、展示環境の背景に対する展示物の面積比が10%である場合を例に挙げて説明した。このため、図7では、面積比が10%である場合の実験結果を提示した。面積比が異なれば、「明るさ値」が異なることは前述した通りであり、展示環境の面積比に応じた明るさ値決定テーブルを用いて上述した処理を行えば良い。
図17は、本実施形態で用いる明るさ値決定テーブルの一例を示す図である。図17(a)は、展示物輝度と面積比とで求まる条件を決定するテーブルである。図17(b)は、所定の面積比(ここでは10%の面積比)において、背景輝度の値を変えた場合に求まる「明るさ値」を示すテーブルである。S1601〜S1605で得られる情報は、前述した情報(1)〜情報(5)である場合の例を説明する。情報(1)〜情報(5)を再掲する。
<対比影響に関する情報の例>
(1)撮影シーンの背景輝度:100cd/m2
(2)(デジタルカメラ等で)撮り込んだ撮像画像の最大輝度:400cd/m2
(3)展示環境の背景輝度:20cd/m2
(4)展示物の輝度:平均輝度で200cd/m2
但し、白地の最大輝度は400cd/m2(=標準照明:80cd/m2+補助照明:320cd/m2)
(5)背景の大きさに占める展示物の大きさ(面積比):10%(=展示面積÷背景面積×100)
面積比10%、展示物の平均輝度200cd/m2の場合、抑制処理部1103は、図17(a)のテーブルを参照して、条件Bを選択する。次に、抑制処理部1103は、図17(b)のテーブルの条件Bを参照して、理想の背景輝度100cd/m2での明るさ値が8.4であることを決定する。一方、図17(b)のテーブルの条件Bを参照して、抑制処理部1103は、実際の展示環境の背景輝度20cd/m2での明るさ値が9.3であることを決定する。この場合、S1606で対比影響ありと判定され、S1607で抑制処理部1103は、抑制処理を実行する。抑制処理部1103は、背景輝度20cd/m2で「明るさ値」が8.4に近い条件を図17(b)のテーブルを参照して探索する。すると、条件Aの8.5が該当する。条件Aは、図17(a)のテーブルを参照すると、展示物の輝度が100cd/m2であることが分かる。従って、抑制処理部1103は、展示物の輝度が100cd/m2となるように前述したように輝度変換情報を補正する抑制処理を行うことになる。
図17に示す明るさ決定テーブルは、画像処理装置900のROM905または外部装置に格納されていれば良く、抑制処理部1103は、格納されているテーブルを参照して対比影響判定処理と補正処理とを行う。なお、図17に示す明るさ決定テーブルは一例に過ぎず、これに限られるものではない。他の形式のテーブルを用いても良い。
<近似式による抑制方法>
これまでは、実験結果で得られた明るさ値決定テーブルを参照して、適切な明るさ値を決定し、当該明るさ値を実現するための画像補正処理(輝度変換処理)を行う例を説明した。以下では、図7で示した実験結果から導出される近似式を用いて抑制処理を行う形態を説明する。
図18は、近似式を説明する図である。図18は、図7で説明した3つの実験結果の近似式をそれぞれ記載している。面積比:10%において、近似式は、以下の通りである。
展示物輝度100cd/m2の場合 Y=−0.566ln(X)+10.117 (式1)
展示物輝度200cd/m2の場合 Y=−0.564ln(X)+10.935 (式2)
展示物輝度400cd/m2の場合 Y=−0.565ln(X)+11.758 (式3)
ここで、Y:「明るさ値」、X:背景輝度、ln( )は自然対数である。
また、S1601〜S1605で得られる情報は、前述した情報(1)〜情報(5)であるものとする。
面積比10%の場合において展示物の平均輝度200cd/m2、かつ背景輝度20cd/m2での「明るさ値」は、上記の式(2)を用いて、X=20cd/m2とすることで、Y=9.25(≒9.3)と計算される。
一方、面積比10%の場合において展示物の平均輝度200cd/m2、かつ背景輝度100cd/m2での明るさ値は、上記の式(2)を用いて、X=100cd/m2とすることで、Y=8.33(≒8.4)と計算される。ここで、実際の展示環境と理想の環境(撮影シーン)との明るさ値には、0.9(=9.3−8.4)の差がある。従って、抑制処理部1103は、S1606の対比影響判定処理において、閾値0.3を超えていることから、対比影響ありと判定し、S1607で抑制処理を実行することになる。
本実施形態では、照明条件は変更しないので、抑制処理部1103は、実際の展示環境の背景輝度20cd/m2において、「明るさ値」が理想の環境(撮影シーン)の明るさ値8.4に近い展示物輝度を、式(1)〜(3)から求める。すると、式(1)においてX=20cd/m2とすると、明るさ値Yは8.42と計算される。従って、この結果に基づいて、抑制処理部1103は、展示物の平均輝度が100cd/m2となるように輝度変換情報の補正を実行する。
このように近似式に基づいて対比影響の判定および補正処理を行う場合、例えば近似式を画像処理装置900のROM905または外部の他の装置等に格納しておけば良い。今回のREALAPS(登録商標)の実験では、面積比は5、10、20、30、40、50、60、70、80、90%で測定する。背景輝度は、5、10、20、30、50、60、70、80、90、100cd/m2(上限は展示環境によって決まるが刻みは10cd/m2で十分)で測定する。展示物の輝度は、現実的な展示環境を考慮して100、200、300、400、500、600、・・・1000cd/m2の100cd/m2刻みで測定する。そして、これらの測定したデータから近似式を導出すれば良い。明るさ値で0.3程度の差は、観察者には知覚されないので、明るさ値で0.3を超えるようなデータを用いて、近似式を導出して、ROM905等に格納しておけば良い。なお、このように近似式を求める際には、例えば、背景及び展示物輝度は、均一な状態で測定すれば良い。
以上説明したように、本実施形態においては、対比影響を考慮した処理が行われる。即ち、展示物の輝度およびその背景の輝度に加えて、背景に占める展示物の面積比を考慮した明るさ値を用いる。実際の展示環境における明るさ値と、撮影シーンの明るさ値との差が所定の閾値以上ある場合、対比影響が生じると判定される。つまり、実際の展示環境において展示物を観察した観察者が知覚する展示物の明るさと撮影シーンにおいて観察者(撮影者)が知覚する撮像画像の明るさとが異なっていることになる。このような場合に、対比影響を抑制する抑制処理を行うことで、実際の展示環境において観察者が知覚する展示物の明るさを、撮影シーンにおいて観察者(撮影者)が知覚する撮像画像の明るさに近づけることができる。このような対比影響を考慮した処理を行うことで、異なる観察環境下においても同じ明るさで印刷物の見え方を実現することができる。
<<実施形態2>>
実施形態1では、実際の展示環境での明るさ値を、撮影シーンの明るさ値に合わせる形態を説明した。本実施形態では、展示環境間で明るさ値が同じになるように対比影響を抑制する形態を説明する。即ち、同一の展示物(印刷物)を複数の展示環境で展示する場合、各展示環境での明るさ値が同じになるように抑制処理を行う。例えば、図4において展示環境B、C、Dの何れにおいても観察者が展示物から受ける明るさを同じにする。
説明のため、本実施形態においてもS1601〜S1605で得られる情報は、前述した情報(1)〜情報(5)であるものとする。情報(1)〜情報(5)を再掲する。ただし、情報(3)の展示環境は、展示環境Dであるものとする。
<対比影響に関する情報の例>
(1)撮影シーンの背景輝度:100cd/m2
(2)(デジタルカメラ等で)撮り込んだ撮像画像の最大輝度:400cd/m2
(3)展示環境Dの背景輝度:20cd/m2
(4)展示物の輝度:平均輝度で200cd/m2
但し、白地の最大輝度は400cd/m2(=標準照明:80cd/m2+補助照明:320cd/m2)
(5)背景の大きさに占める展示物の大きさ(面積比):10%(=展示面積÷背景面積×100)
なお、本実施形態では、展示環境間での見え方を判定する処理であるので、S1602〜S1605は、各展示環境での値が取得される。なお、撮像データの最大輝度は、前述のように、400cd/m2である。従って、各展示環境において、展示物には400cd/m2の照明が当たっており、その際の展示物の平均輝度は、各展示環境において共通で、前述のとおり200cd/m2であるものとする。
3つの展示環境の背景輝度が、展示環境Bが80cd/m2、展示環境Cが60cd/m2、展示環境Dが20cd/m2と異なっているものとする。背景に占める展示物面積(面積比)は、何れも10%とする。本実施形態においても、対比影響の抑制方法は、実施形態1と同じである。明るさ値を合わせるターゲットとなる観察環境が、撮影シーンから所定の展示環境に変わる点が相違する。以下では、展示環境Cおよび展示環境Dの見え方を、展示環境Bの見え方に合わせる場合を説明する。本実施形態でも、図7の実験結果を用いて説明する。
図7の実験結果から、展示物の平均輝度200cd/m2、かつ背景輝度80cd/m2での「明るさ値」は、およそ8.5である。一方、背景輝度60cd/m2では「明るさ値」は、8.6である。背景輝度20cd/m2では、「明るさ値」は、9.3である。実施形態1で説明した対比影響判定で用いた閾値0.3を用いると、展示環境Bの明るさ値と0.1(=8.6−8.5)の差の明るさ値である展示環境Cは、抑制処理の必要はないと判定される。一方、展示環境Dは、明るさ値で0.8(=9.3−8.5)の差があるので抑制処理が必要と判定されて、抑制処理が実行される。具体的な処理としては、図7の結果から、背景輝度20cd/m2において、明るさ値8.5は、展示物の平均輝度:100cd/m2に場合にほぼ相当している。つまり、展示環境Dでは、展示物の平均輝度が100cd/m2となるように、抑制処理部1103は、入力画像の各画素が持つR、G、Bの輝度データの補正処理を行う。補正方法は、実施形態1で説明したものと同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、同一の展示物(印刷物)を複数の展示環境で展示する場合、各展示環境での明るさ値が同じになるように調整することができる。
<<実施形態3>>
実施形態1および2では、展示環境の照明が固定されている(照度を変更することができない)ものとして、展示する印刷物を印刷する際の画像処理(輝度変換処理)で補正を行う形態を説明した。本実施形態では、照明の照度が変更可能な場合において、補助照明の照明条件を変更することで対比影響を抑制する形態を説明する。即ち、抑制処理部1103は、照明制御部1110に、対比影響を抑制するための制御信号を送信することで、照明条件の変更を通知する。照明制御部1110は、制御信号に基づいて補助照明の明るさを調整する。
本実施形態でも、実施形態1と同様に、S1601〜S1605で得られる情報は、前述した以下の情報(1)〜情報(5)である場合の例を説明する(再掲する)。また、実施形態1と同様に、実際の展示環境における見え方が撮影シーンにおける見え方と同じになるように抑制処理を行う。
(1)撮影シーンの背景輝度:100cd/m2
(2)(デジタルカメラ等で)撮り込んだ撮像画像の最大輝度:400cd/m2
(3)展示環境の背景輝度:20cd/m2
(4)展示物の輝度:平均輝度で200cd/m2
但し、白地の最大輝度は400cd/m2(=標準照明:80cd/m2+補助照明:320cd/m2)
(5)背景の大きさに占める展示物の大きさ(面積比):10%(=展示面積÷背景面積×100)
ここで、図7の実験結果から、撮影シーンの背景輝度100cd/m2、かつ撮像画像(展示物画像)の平均輝度200cd/m2での明るさ値8.4と同等の明るさ値となる展示物の平均輝度を求める。情報(3)に示されているように、展示環境の背景輝度20cd/m2であるので、この展示環境の背景輝度20cd/m2において明るさ値8.4と同等の明るさ値になる展示物の平均輝度は、実施形態1と同様に100cd/m2であることが分かる。つまり、背景輝度と面積比まで考慮した対比影響では、展示物の平均輝度が100cd/m2になれば実際の撮影シーンと同じ明るさ値を観察者に与えることができることを意味している。
図19は、本実施形態における輝度変換の例を示している。図15と異なり、図19では、抑制処理部1103は、入力画像データの最大輝度が標準照明80cd/m2(紙白100%)となるように、破線1902のようにリニアに輝度変換する処理を実施する。これは、対比影響を考慮しないプリントデータ処理と同等の処理である。本実施形態では、抑制処理部1103は、対比影響を考慮して、照明制御部1110に制御信号を送る。具体的には、対比影響を考慮して補助照明を120cd/m2とする制御信号を送る。照明制御部1110は、この制御信号に基づいて補助照明を展示物に照射する。この補助照明によって、最大輝度が200cd/m2(=標準照明:80cd/m2+補助照明:120cd/m2)に引き上げられることになる。この結果、実線1906の展示物の出力輝度が実現されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、対比影響を考慮して照明条件を変更することで、実際の展示環境における見え方が、撮影シーンにおける見え方と同じになるように補正することができる。実際の展示環境で展示している最中に、何らかの事情で背景輝度が変わった場合などにも、本実施形態は有用である。
なお、本実施形態では、補助照明の照度を変更する例を説明したが、これに限られるものではない。標準照明または背景輝度を変えることで対比影響を抑制しても良い。この場合も、図17のテーブルや図18の関係式を用いて目標となる「明るさ値」の値になるように標準照明または背景輝度を調整すれば良い。
また、実施形態1では、画像データの輝度レンジの補正を説明し、実施形態3では、照明の照度を調整することで補正を行う形態を説明した。これらを組み合わせた形態を採用しても良い。即ち、画像データの輝度レンジを補正し、かつ照明の照度を調整することで、対比影響を抑制する補正を行っても良い。
<<実施形態4>>
実施形態3では、抑制処理部1103が照明制御部1110に制御信号を送り、照明制御部1110は、制御信号に基づいて照度を変更する形態を説明した。本実施形態では、抑制処理部1103は、照明条件を利用者に提示し、利用者が各照明を調整する形態を説明する。
本実施形態では、抑制処理部1103は、対比影響を抑制する処理として、決定した照明条件を、画像処理装置900の表示部902に表示する処理を行う。あるいは、抑制処理部1103は、対比影響を抑制する処理として、決定した照明条件を照明制御装置に912送る処理を行う。照明制御装置912は、送られた照明条件を操作パネル1052に表示する。
図20は、利用者に調整する照明条件を通知する表示の例を示す図である。図20(a)は、補正に必要な補助照明の条件を表示する例である。図20(b)は、標準照明条件および背景輝度の少なくとも一方を調整して補正する場合の照明条件の表示の例である。ここでは、標準照明条件および背景輝度の両方を表示する例としているが、個別に表示しても良い。
<<その他の実施形態>>
実施形態1では、画像データの輝度変換を行う場合に、RAWデータに対してリニアに変換する処理を説明したが、輝度変換は、リニア変換に限定されるものではない。図21の破線2107に示すように若干のガンマカーブをかけた変換処理を行ってもよい。これにより、印刷物の輝度は実線2108に示すように持ち上がる。前述したように、印刷物に照射する照明を制御しない、いわゆる通常処理においては、18%グレーの反射率を保つために0〜18%の範囲はリニア変換が施され、それよりも高い輝度の範囲では、ガンマカーブをかけた変換処理が施される。このように、若干のガンマカーブをかけた変換処理を行うと、適切なコントラストを得ることができる。
また、実施形態1では、展示環境において撮像データを用いて印刷された第1の印刷物の平均輝度をユーザが輝度計などを用いて測定して画像処理装置900に入力することで、印刷物の輝度情報が取得される例を説明したが、これに限られない。例えば、何も印刷されていない紙白の用紙を展示環境において展示して得られた輝度(つまり展示環境での展示物の最大輝度に相当する)をユーザが画像処理装置900に入力する形態でも良い。例えば、紙白の用紙を展示環境において展示して得られた輝度(つまり展示環境での展示物の最大輝度)は、図14に示す入力の最大輝度値に対する出力の輝度値を補助照明で補完した値に対応する。つまり、展示環境での補助照明の輝度増分がわかる。画像処理装置900は、印刷に用いられる輝度変換後の画像データに、輝度増分を加えた輝度の平均を求めることで、展示環境における印刷物の輝度情報を取得しても良い。つまり、実際に印刷物を印刷せずに、展示環境における印刷物の輝度情報を推定して取得しても良い。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
900 画像処理装置
1101 撮像データ入力部
1102 撮像情報入力部
1103 抑制処理部
1106 背景輝度取得部
1107 展示物輝度取得部
1108 背景の大きさ取得部
1109 展示物の大きさ取得部

Claims (16)

  1. 照明装置によって光が照射された状態で展示される印刷物の印刷に用いられる画像を処理する画像処理装置であって、
    撮像装置によって撮像対象を撮像して得られた撮像データであって、前記印刷物の印刷のために用いられた撮像データを取得する第1の取得手段と、
    前記印刷物が展示される展示環境における前記印刷物の輝度情報を取得する第2の取得手段と、
    前記展示環境における前記印刷物の背景の輝度情報を取得する第3の取得手段と、
    前記展示環境における前記印刷物および前記背景の面積に関する情報を取得する第4の取得手段と、
    前記取得した各情報に基づいて、前記展示環境において前記印刷物と前記背景との対比が展示された前記印刷物の明るさに与える影響を抑制する処理を行う処理手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記処理手段は、
    前記印刷物の輝度情報、前記印刷物の背景の輝度情報、ならびに、前記印刷物および前記背景の面積に関する情報に基づいて前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報を決定し、
    前記撮像データならびに前記印刷物および前記背景の面積に関する情報に基づいて撮影シーンにおける明るさに関する情報を決定し、
    前記決定した前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報と前記撮影シーンにおける明るさに関する情報とに基づいて前記影響を抑制する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記撮影シーンにおける明るさに関する情報は、前記撮像データの画像と当該画像に写っていない背景との両方を一つの対象とした場合に当該画像が与える明るさを示す値であり、
    前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報は、前記印刷物と前記印刷物の背景との両方を一つの対象とした場合に前記印刷物が与える明るさを示す値であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記展示環境における明るさを示す値と、前記撮影シーンにおける明るさを示す値との差が所定の閾値以上である場合に、前記処理手段は、前記抑制する処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記展示環境における明るさを示す値と、前記撮影シーンにおける明るさを示す値との差が所定の閾値以上でない場合には、前記処理手段は、前記抑制する処理を行わないことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  6. 前記処理手段は、前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報が、前記撮影シーンにおける明るさに関する情報に近づくように、前記撮像データの輝度を補正することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 前記撮像データの輝度レンジを、前記照明装置によって光が照射された状態の印刷物で再現される輝度レンジに変換するための輝度変換情報を用いて前記撮像データの輝度変換を行う変換手段をさらに備え、
    前記処理手段は、前記輝度変換情報を、前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報が、前記撮影シーンにおける明るさに関する情報に近づくように補正することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記輝度変換情報は、入力の輝度を出力の輝度にリニアに変換する情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記輝度変換情報は、入力の輝度が所定値以下の輝度値を出力の輝度にリニアに変換し、前記所定値よりも高い入力の輝度を出力の輝度にガンマをかけて変換する情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  10. 前記処理手段は、前記展示環境における前記印刷物の明るさに与える影響に関する情報が、前記撮影シーンにおける明るさに関する情報に近づくように、前記照明装置の照明条件の変更を通知することを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  11. 前記撮影シーンにおける明るさに関する情報は、
    前記撮像データの端部の輝度と、前記第2の取得手段で取得した輝度情報と、前記第4の取得手段で取得した面積に関する情報とに基づいて決定されることを特徴とする請求項2から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  12. 前記第2の取得手段で取得される前記印刷物の輝度情報は、前記撮像データに基づいて生成され、かつ前記照明装置によって光が照射された状態で展示されている前記印刷物の平均輝度であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  13. 前記撮像データは、RAWデータであることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  14. 前記背景の大きさは、前記印刷物を観察する観察者の視野角に応じた大きさであることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  15. 照明装置によって光が照射された状態で展示される印刷物の印刷に用いられる画像を処理する処理方法であって、
    撮像装置によって撮像対象を撮像して得られた撮像データであって、前記印刷物の印刷のために用いられた撮像データを取得する第1の取得ステップと、
    前記印刷物が展示される展示環境における前記印刷物の輝度情報を取得する第2の取得ステップと、
    前記展示環境における前記印刷物の背景の輝度情報を取得する第3の取得ステップと、
    前記展示環境における前記印刷物および前記背景の面積に関する情報を取得する第4の取得ステップと、
    前記取得した各情報に基づいて、前記展示環境において前記印刷物と前記背景との対比が展示された前記印刷物の明るさに与える影響を抑制する処理を行う処理ステップと、
    を備えることを特徴とする処理方法。
  16. コンピュータを、請求項1から14のいずれか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
JP2018100855A 2018-05-25 2018-05-25 画像処理装置、処理方法、及びプログラム Pending JP2019205138A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018100855A JP2019205138A (ja) 2018-05-25 2018-05-25 画像処理装置、処理方法、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018100855A JP2019205138A (ja) 2018-05-25 2018-05-25 画像処理装置、処理方法、及びプログラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019205138A true JP2019205138A (ja) 2019-11-28

Family

ID=68727420

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018100855A Pending JP2019205138A (ja) 2018-05-25 2018-05-25 画像処理装置、処理方法、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019205138A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9056485B2 (en) Color medical imaging on film
CN112954131B (zh) 信息处理装置、图像处理系统和信息处理方法
JP2019096928A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム、並びに画像表示装置
US10896358B2 (en) Image processing apparatus, display system, image processing method and storage medium for projecting a moving image onto printed matter in an overlapping manner
US20110032380A1 (en) Printing system and method
US10764469B2 (en) Image processing apparatus, image processing method, and storage medium that convert an input luminance signal included in image data into an output signal for printing by using a conversion parameter
JP4788393B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
JP2022048321A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
US20140168669A1 (en) High density ink-jet printing on a transparency
JP4788394B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
JP2019205138A (ja) 画像処理装置、処理方法、及びプログラム
US20130100157A1 (en) Method and system to modify a color lookup table
US10992842B2 (en) Information processing apparatus, control system, image processing system, and information processing method to derive illumination condition based on exposure condition
JP2005215353A (ja) 複数の階調特性で再生可能な画像データを生成する画像データ生成装置、および、これに対応する画像再生装置
US11700346B2 (en) Image processing apparatus, image processing method, and storage medium for generating preview image data to be displayed on a display
JP2001309405A (ja) イメージング・システムを校正する方法
US11675990B2 (en) Image processing apparatus, image processing method, and storage medium
JP2006203758A (ja) 階調補正方法とその方法を用いたカラープリント装置
JP2021044765A (ja) 画像処理装置、画像出力装置、画像処理方法、及びプログラム
US8699107B2 (en) High density ink-jet printing on a transparency in a cielab colorspace
JP2020057999A (ja) 情報処理装置及びプログラム
JP2010041205A (ja) 画像補正方法および画像処理装置
JP2018005054A (ja) 画像処理装置およびその制御方法