JP2019204732A - シールドケーブル - Google Patents

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聡 岡野
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Abstract

【課題】シールド導体の断線を防止するシールドケーブルを提供する。【解決手段】導体断面積が0.05(mm2)〜1.2(mm2)の中心導体2、絶縁体3、横巻きシールド導体7および外被8を配したシールドケーブル1である。横巻きシールド導体は、横巻き方向が同じで巻きピッチが同じの2層(内側の横巻き導体5、外側の横巻き導体6で例示)で形成され、横巻きシールド導体を形成する1層目および2層目の横巻き導体の素線径は、0.05(mm)〜0.18(mm)である。【選択図】図1

Description

本発明は、シールドケーブルに関し、詳細には、中心導体、絶縁体、シールド導体および外被を配したシールドケーブルに関する。
従来、この種のシールドケーブルには、信号漏洩や外部電波の侵入を防止するために、シールド導体を絶縁体と外被との間に配置した構造が知られている。例えば、特許文献1には、シールド導体を金属線の編組導体で形成した構造が開示されている。
特開平8−102222号公報
しかしながら、編組導体のように、金属線を互いに異なる方向で巻いた場合には、金属線同士がケーブルの径方向で交差して上下に重なるため、下側に配された金属線の上面と上側に配された金属線の下面との交差部分が擦れ合って、この交差部分で断線しやすいという問題がある。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、シールド導体の断線を防止するシールドケーブルを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るシールドケーブルは、導体断面積が0.05(mm2)〜1.2(mm2)の中心導体、絶縁体、横巻きシールド導体および外被を配したシールドケーブルであって、前記横巻きシールド導体は、横巻き方向が同じで巻きピッチが同じの2層で形成され、前記横巻きシールド導体を形成する1層目および2層目の横巻き導体の素線径は、0.05(mm)〜0.18(mm)である。
上記によれば、断線し難くなり、耐屈曲性の向上を図ることができる。
本発明の一態様に係るシールドケーブルの概略を説明する図である。 シールドケーブルのシールド導体の構成を説明する図である。 シールドケーブルの評価結果を示す表である。 他の実施例によるシールドケーブルの断面図である。 他の実施例によるシールドケーブルの断面図である。 他の実施例によるシールドケーブルの断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明に係るシールドケーブルは、(1)導体断面積が0.05(mm2)〜1.2(mm2)の中心導体、絶縁体、横巻きシールド導体および外被を配したシールドケーブルであって、前記横巻きシールド導体は、横巻き方向が同じで巻きピッチが同じの2層で形成され、前記横巻きシールド導体を形成する1層目および2層目の横巻き導体の素線径は、0.05(mm)〜0.18(mm)である。横巻きシールド導体を、1層目の横巻きと2層目の横巻きを同じ巻き方向、かつ、同じ巻きピッチの2重の横巻きで形成したので、1層目の上面と2層目の下面との交差部分が擦れ合わなくなり、断線し難くなる。よって、耐屈曲性の向上を図ることができる。
(2)本発明のシールドケーブルの一態様では、前記2層目の横巻き導体の素線径が、前記1層目の横巻き導体の素線径よりも太くされている。2層目の横巻き導体を厚くすれば、ノイズ耐性の向上を図ることができる。
(3)本発明のシールドケーブルの一態様では、ケーブル軸方向に直交する横断線に対する角度を巻き角度としたとき、前記1層目および2層目の横巻き導体の巻き角度が55°〜75°である。横巻き導体の巻き角度が55°未満の場合、横巻き導体に多くの材料が必要になるため、ケーブルの製造コストを下げられない。一方、横巻き導体の巻き角度が75°を超えた場合、コネクタ等への接続の端末加工時にバラけ易くなる。このため、横巻き導体の巻き角度が55°〜75°にすれば、端末加工時のバラけを防止し、コスト的にも安価なものにすることができる。
(4)本発明のシールドケーブルの一態様では、前記外被がノンハロゲン樹脂で形成されている。外被をノンハロゲン樹脂で形成すれば、常温よりも低い低温雰囲気下においても、耐屈曲性が低下しない。
(5)本発明のシールドケーブルの一態様では、前記シールドケーブルが、前記中心導体、前記絶縁体、前記横巻きシールド導体および前記外被を同軸構造で配した同軸ケーブルである。例えば車載部品の屈曲部分に使用できて、高い耐屈曲性を有した同軸ケーブルを提供することができる。
(6)本発明のシールドケーブルの一態様では、前記絶縁体と前記横巻きシールド導体との間に、シールド部材が配されている。絶縁体の周囲をシールド部材で覆い、その外側を横巻きシールド導体で覆うので、高い電気特性を有することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
<実施例1>
以下、添付図面を参照しながら、本発明によるシールドケーブルの好適な実施の形態について説明する。図1は、本発明の一態様に係るシールドケーブルの概略を説明する図であり、図1(A)はシールドケーブルの断面図、図1(B)はシールドケーブルの外観斜視図である。また、図2は、シールドケーブルのシールド導体の構成を説明する図である。
図1(A),(B)、図2に示したシールドケーブルは、同軸ケーブル(非平衡ケーブルともいう)であり、中心導体2を絶縁体3で囲い、その外側に縦添えシールド導体4を配している。また、縦添えシールド導体4の外側に2層の横巻き導体5,6からなる横巻きシールド導体7を配し、その外側を外被8で被覆して構成される。中心導体2、絶縁体3、縦添えシールド導体4、横巻きシールド導体7および外被8は、ケーブル全長に亘って同軸形状に形成され、特性インピーダンスが均一になるように形成される。
中心導体2は、単線または撚り線で形成することができ、撚り線の場合は通常7本撚りで形成される。単線の場合は、撚り線に比べて導体断面積を同じにすると、線径が多少細くなり、より細径化することができ、また、コネクタ等の接点部に半田付けしやすいという利点がある。他方、撚り線は単線と比べると可撓性が優れ、断線しにくいという利点がある。本発明は、その用途に応じて、単線または撚り線のいずれにも適用することができる。
中心導体2は、導体断面積で0.05(mm2)〜1.2(mm2)程度で、AWG(American Wire Gauge)の#16〜#30に相当する導線を用いている。中心導体2の線材には、例えば錫めっき軟銅線が用いられており、外径0.18(mm)の素線を7本撚った場合には、外径0.54(mm)の中心導体が形成される。
絶縁体3は、例えば架橋ポリエチレンが用いられ、所定の特性インピーダンスを得るために、例えば絶縁体3の厚さは0.58(mm)、絶縁体3の外径は1.68(mm)とされる。なお、絶縁体3は、フッ素樹脂、架橋ポリオレフィンなど、公知の材料を用いてもよい。
縦添えシールド導体4は、絶縁体3と横巻きシールド導体7との間に配されており、例えば、両面にアルミニウムを貼り付けたポリエステルテープで形成され、絶縁体3の周囲を縦添えで覆う。なお、縦添えシールド導体4は、外面だけに銅を貼り付けたポリエステルテープであってもよい。また、縦添えシールド導体4が本発明のシールド部材に相当するが、本発明は、縦添えシールド導体4を省略した構造にも適用可能である。
横巻きシールド導体7は、表面カバー率や遮蔽厚みを編組導体と同等にするために、2層の横巻き(螺旋状に巻く形態)導体で形成され、内側の横巻き導体5と外側の横巻き導体6から構成される。内側の横巻き導体5が本発明の1層目の横巻き導体に、外側の横巻き導体6が本発明の2層目の横巻き導体にそれぞれ相当する。
内側の横巻き導体5と外側の横巻き導体6は、横巻き方向が同じで巻きピッチが同じになるように巻き付けられる。なお、横巻き方向は、右巻きあるいは左巻きであるかは任意である。
横巻きシールド導体7による表面カバー率は例えば85〜98%を想定する。表面カバー率は、主に内側の横巻き導体5で調整できる。内側の横巻き導体5および外側の横巻き導体6は、例えば、中心導体2と同様な錫めっき軟銅線が用いられている。内側の横巻き導体5および外側の横巻き導体6の素線径は、0.05(mm)〜0.18(mm)が用いられており、例えば素線径が0.1(mm)のものを数十本(例えば80本位)並列状にして巻き付けられている。
図2に示すように、内側の横巻き導体5の巻き付け角度(以下、巻き角度という)をθ1、外側の横巻き導体6の巻き角度をθ2とした場合、内側の横巻き導体5および外側の横巻き導体6は、例えば、θ1=θ2=55°〜75°で巻き付けて形成することができる。なお、「巻き角度」とは、ケーブルの軸方向に直交する横断線との角度をいうものとする。
横巻き導体5,6の巻き角度が55°未満の場合、横巻き導体5,6に多くの材料が必要になるため、ケーブルの製造コストを下げられない。一方、横巻き導体5,6の巻き角度が75°を超えた場合、コネクタ等への接続の端末加工時にバラけ易くなる。このため、横巻き導体5,6の巻き角度が55°〜75°に設定し、端末加工時のバラけを防止し、コスト的にも安価なものにすることができる。本実施例では、より好ましい形態として、横巻き導体5,6の巻き角度θ1=θ2=70°とし、巻きピッチ14(mm)程度で巻き付けている。
外被8は、押出機による押出し成形により形成することができ、外被材料には、例えば難燃ハロゲンフリー樹脂(ノンハロゲン樹脂ともいう)を用い、1層で形成することができる。また、外被8の外径が例えば3.0(mm)の場合、外被8の厚みは例えば0.53(mm)とすることができる。
次に、シールドケーブルの試験結果を説明する。上述した本実施例(試料1)と、編組シールドによる従来品(試料2)について、マンドレルを用いた屈曲試験を行い、高い耐屈曲性を有するものをA評価とし、高い耐屈曲性を有しないものをB評価とした。
具体的には、試料1および試料2のいずれも、中心導体2は、外径0.18(mm)の錫めっき軟銅線を7本撚って外径0.54(mm)とし、絶縁体3は、厚み0.58(mm)で外径1.68(mm)の架橋ポリエチレンを用い、縦添えシールド導体4は、両面にアルミニウムを貼り付けたポリエステルテープを縦添えした。
試料1では、上述した2層の横巻きシールド導体7を用いており、錫めっき軟銅線を用いた素線径0.1(mm)のものが、同じ巻き方向で同じ巻きピッチで2重に巻き付けられている。そして、外被8は、難燃ハロゲンフリー樹脂で外径3.0(mm)となるように押出し成形で形成した。
一方、試料2では、1層の編組シールドで形成されており、錫めっき軟銅線を用いた素線径0.1(mm)のものが、互いに異なる巻き方向で同じ巻きピッチで巻き付けられている。外被8は、ポリ塩化ビニル(PVC)で外径3.0(mm)となるように押出し成形で形成した。
そして、ケーブルの両側はマンドレル(半径R=6(mm))で挟み付けられ、ケーブルの一端には荷重(500g)がかけられている。このケーブルの他端を、常温下で、ケーブルの長手方向を基準にして例えば90°ずつ屈曲させた。屈曲回数が1500回に到達した時点でケーブルを観察したところ、図3に示すように、試料2では、断線本数が30本に達しており、全素線本数の4割近くも断線したため、B評価となった。
これに対し、試料1では、断線本数が1本だけしか観察されず、殆ど断線しなかったので、A評価となった。
このように、横巻きシールド導体7を、1層目の横巻きと2層目の横巻きを同じ巻き方向、かつ、同じ巻きピッチの2重の横巻きで形成したので、1層目の上面と2層目の下面との交差部分が擦れ合わなくなり、断線し難くなる。よって、耐屈曲性の向上を図ることができる。
また、シールドケーブル1の外径を同じにした場合には、中心導体2を太くできるので、通信特性の高いシールドケーブルを提供することができる。
そして、2層の横巻きシールド導体7を用いれば、高い耐屈曲性を有した同軸ケーブルを提供することができ、例えば車載部品の屈曲部分に使用することができる。
また、上記の屈曲試験を常温よりも低い低温雰囲気下(−40℃)で実施したところ、試料2では、外被8の破断が確認されたのに対し、試料1では、外被8の破断が確認されなかった。このように、外被8を難燃ハロゲンフリー樹脂で形成すれば、常温よりも低い低温雰囲気下(−40℃)においても、耐屈曲性が低下しないシールドケーブルを提供することができる。
<実施例2>
上記実施例1では、内側の横巻き導体5および外側の横巻き導体6をいずれも同じ素線径のものを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明は、この例に限定されない。例えば、外側の横巻き導体6は内側の横巻き導体5の外側で円形に巻き付けられるので、図4に示すように、外側の横巻き導体6の素線径を、内側の横巻き導体5の素線径よりも太くしてもよい。外側の横巻き導体6を厚くすれば、ノイズ耐性の向上を図ることができる。
また、上記実施例1,2では、シールドケーブル1として同軸ケーブルの例を挙げて説明したが、本発明の横巻きシールド導体は、差動ケーブル(平衡ケーブルともいう)にも適用可能である。
なお、以下の実施例3〜6では、中心導体2の記載を簡略化しているが、実施例1,2のような撚り線でも単線でもよい。また、横巻きシールド導体7の記載も簡略化しているが、横巻き方向が同じで巻ピッチが同じの2層構造であれば、実施例1のように、1,2層目の素線径が同じでも、実施例2のように、2層目の素線径が1層目よりも太くてもよい。
<実施例3>
詳しくは、図5(A)に示したシールドケーブル1は、並列に配置した2本の絶縁電線10a,10bを収容している。絶縁電線10a,10bは、縦添えシールド導体4の内周面に接触するように覆われている。絶縁電線10a,10bは差動伝送用の信号線であり、中心導体2と絶縁体3で形成されている。また、縦添えシールド導体4の外側に2層の横巻きシールド導体7を配し、その外側を外被8で被覆して構成される。
<実施例4>
また、図5(B)に示したシールドケーブル1は、信号線となる絶縁電線10a,10bの他、電源線となる絶縁電線11a,11bを収容している。計4本の絶縁電線10a,10b,11a,11bは、縦添えシールド導体4の内周面に接触するように覆われている。縦添えシールド導体4の外側には2層の横巻きシールド導体7が配されており、その外側が外被8で被覆されている。
<実施例5>
図6(A)に示したシールドケーブル1には、信号線となる絶縁電線10a,10bと、電源線となる絶縁電線11a,11bとの計4本収容されているが、2本の絶縁電線10a,10bは縦添えシールド導体4aで覆われている(シールド付きペアともいう)。シールド付きペアは2層の横巻きシールド導体7の内周面に接触するように覆われ、2本の絶縁電線11a,11bも横巻きシールド導体7の内周面に接触するように覆われており、横巻きシールド導体7の外側が外被8で被覆されている。
<実施例6>
図6(B)に示したシールドケーブル1には、信号線となる絶縁電線10a,10bと、電源線となる絶縁電線11a〜11gが計15本収容されている。2本の絶縁電線10a,10bは、縦添えシールド導体(例えばアルミニウム製)4bで覆われており(アルミ遮蔽付きツイストペアともいう)、4組のツイストペアが収容されている。なお、各ツイストペアには、ドレイン線12が、並列した絶縁電線10a,10bの間の凹部分に配置されている。また、計7本の絶縁電線11a〜11gがツイストペアの周囲に配されており、その周囲には、抑え巻きテープ20が例えば横巻きに巻き付けられている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…シールドケーブル、2…中心導体、3…絶縁体、4,4a,4b…縦添えシールド導体、5…内側の横巻き導体、6…外側の横巻き導体、7…横巻きシールド導体、8…外被、10a,10b…絶縁電線、11a〜11g…絶縁電線、12…ドレイン線、20…抑え巻きテープ。

Claims (6)

  1. 導体断面積が0.05(mm2)〜1.2(mm2)の中心導体、絶縁体、横巻きシールド導体および外被を配したシールドケーブルであって、
    前記横巻きシールド導体は、横巻き方向が同じで巻きピッチが同じの2層で形成され、前記横巻きシールド導体を形成する1層目および2層目の横巻き導体の素線径は、0.05(mm)〜0.18(mm)である、シールドケーブル。
  2. 前記2層目の横巻き導体の素線径が、前記1層目の横巻き導体の素線径よりも太くされている、請求項1に記載のシールドケーブル。
  3. ケーブル軸方向に直交する横断線に対する角度を巻き角度としたとき、前記1層目および2層目の横巻き導体の巻き角度が55°〜75°である、請求項1または2に記載のシールドケーブル。
  4. 前記外被がノンハロゲン樹脂で形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドケーブル。
  5. 前記シールドケーブルが、前記中心導体、前記絶縁体、前記横巻きシールド導体および前記外被を同軸構造で配した同軸ケーブルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシールドケーブル。
  6. 前記絶縁体と前記横巻きシールド導体との間に、シールド部材が配されている、請求項5に記載のシールドケーブル。
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