JP2019203804A - ハンドセンサ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
下記特許文献1には、対象物体に対して人間の手指が能動的に作用する時に、人間の手指が感じている微妙な反力を物理量として測定するための感圧グローブが提案されている。この感圧グローブは、指の腹部及び手掌部にフィルム型感圧センサを配置しており、各感圧センサの配線を行う手甲側フレキシブルプリント基板を含んでいる。
下記特許文献2には、人間の手指及び掌の操作力分布を測定する装置が提案されている。この装置は、マトリクス状に成形した複数の電極と感圧導電材とを重ねた荷重センサと、その荷重センサの各電極に作用する圧力を感圧導電材の抵抗値に変換させる操作力分布検出センサと、走査回路とを有している。その操作力分布検出センサを人間の手に装着して対象物を操作することで、その操作力分布検出センサの各検出点における抵抗値が走査回路の走査方式により順次測定される。
下記特許文献3には、産業現場で勤労者が作業する際、手に加えられる力を測定する装置が提案されている。この装置は、手のひら面に複数のFSR(Force Sensing Resistor)センサを備える手袋と、バンドを備えるケースと、このケースに設置され当該FSRセンサが測定した信号を受信して記録する貯蔵器とを含んでいる。
本明細書において「手のひら」とは、手首から先の、握ったときに内側になる部位を指し示すものとし、手指の腹側も含む意味で用いられる。
本発明の一側面はハンドセンサ装置に関し、当該一側面に係るハンドセンサ装置は、加圧により電気特性が変化する感圧部と、感圧部の電気特性及び感圧部が配置される被験者の手の部位情報を用いて、当該手に掛かる荷重値を検知する検知部と、を備える。
本センサ装置は、少なくとも、加圧により電気特性が変化する感圧部と、被験者の手に掛かる荷重値を検知する検知部とを有している。
本センサ装置では、後述するように、感圧導電性エラストマセンサが感圧部として利用されている。
詳細は後述するが、本発明者らにより、人の手のひらの硬度は部位によって異なっており、感圧部の感度がその感圧部が置かれる部位の硬度に影響を受けることが見出されている。
そこで、検知部は、感圧部の電気特性とその感圧部が配置される被験者の手の部位の硬度との関係性から、手のひらのその部位に掛かる圧力値(荷重値)を高精度に検知することができる。
但し、検知部が利用する手の部位情報は、手の部位の硬度を示す具体的な値でなくてもよい。例えば、手の各部位に対応するように、感圧部の電気特性と検知されるべき荷重値との関係式や対応表がそれぞれ設けられており、このような関係式や対応表を用いることが「感圧部の電気特性及びその感圧部が配置される被験者の手の部位情報を用いて」いることに該当する。
以下、本実施形態に係るハンドセンサ装置についてより具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係るハンドセンサ装置1のハードウェア構成を概念的に示すブロック図である。図1に示されるように、本センサ装置1は、主に、センサグローブ5、接続モジュール20、及びコンピュータ30から構成される。
接続モジュール20は、増幅器やAD変換器などを有しており、各感圧部10へ電圧を印加すると共に、各感圧部10の電気特性(例えば、電気抵抗値)のアナログ信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、コンピュータ30へ出力する。また、接続モジュール20は、感圧部10の電気特性を示すアナログ信号をコンピュータ30へ出力してもよい。
接続モジュール20は、コンピュータ30から電力の供給を受けて動作してもよいし、外部電源からの電力で動作してもよい。
接続モジュール20は、コンピュータ30のプロセッサ等と同一基板上に実装される、或いはコンピュータ30のプロセッサが搭載された基板に電気的に接続される他の基板上に実装されてコンピュータ30内に内蔵されてもよい。
更に言えば、接続モジュール20は、センサグローブ5に組み込まれてもよい。この場合、接続モジュール20は、柔軟性を持つフレキシブル基板で実装されてもよい。また、接続モジュール20は、センサグローブ5の手の背側(手のひらの反対側)に設けられれば、柔軟性を持たない基板で実装されてもよい。
本実施形態では、コンピュータ30は、特徴の概要として上述した検知部に相当し、メモリに格納されるコンピュータプログラムがプロセッサにより実行されることで、当該検知部に相当する各種処理を実行することができる。
また、上述したとおり、コンピュータ30は、手の部位ごとの荷重値と手のひら全体に掛かる荷重値との関係性を予め保持しておくことにより、手の各部位についてそれぞれ算出された荷重値から手のひら全体に掛かる荷重値を算出してもよい。
コンピュータ30は、算出された荷重値をそれぞれコンピュータ30に接続される表示装置に表示させてもよいし、他の処理に利用してもよいし、他の機器に出力してもよい。コンピュータ30による算出された荷重値の利用形態については何ら制限されない。
図2は、本実施形態に係るハンドセンサ装置1のセンサグローブ5を模式的に示す図である。
図2に示されるように、センサグローブ5は、人の手に脱着自在な手袋体であり、その手のひら側に複数の感圧部10を有している。図2では、破線で示される箇所L1、L3、L4及びL5に感圧部10が設けられている。
これにより、被験者は、本センサ装置1のセンサグローブ5を手に装着した状態で対象物に触る、或いは対象物を持つことで、その際に手のひらに掛かる荷重値が検知(測定)される。
そこで、センサグローブ5の一部又は全部は、センサグローブ5が手に装着された状態において当該複数の感圧部10のそれぞれが手のひらの所定部位に配置されるように、薄膜状かつ伸縮可能に形成されていることが望ましい。
特に、センサグローブ5における感圧部10が設けられている箇所は、全体的に薄膜状となることが好ましい。これにより、荷重値の検知精度を高めることができるからである。これは、センサグローブ5における感圧部10が設けられている箇所を、薄膜状の感圧部10のみで形成する、或いは、薄膜状の感圧部10と薄膜状のセンサグローブ5の素材とで形成することで実現することができる。
被験者の手の大きさに関わらず、感圧部10をこのような所定部位に配置することで、屈曲による感圧部10の感度の低下を防ぐことができると共に、感圧部10が配置される手の部位の硬度を適切に利用することができるため、コンピュータ30(検知部)による荷重値の検知精度を維持することができる。
ここで「5指の先端腹部」とは、手のひらにおける、人差し指(示指)、中指、薬指、及び小指の第一関節(DIP(遠位指節間関節))、並びに親指(母指)の第一関節(IP(指節間関節))から先の部位を指し示し、各指の先端部(爪の先端よりも手のひら側)を含む。図1の例では、各指の先端部周辺を除く5指の先端腹部の一部(符号L1)に感圧部10が設けられている。
「指尖球」とは、手のひらにおける、人差し指の付け根から小指の付け根までの部位を指し示す。図1の例では、指尖球(符号L4)にも感圧部10が設けられている。
「母指球」とは、手のひらにおける、親指の付け根の部位を指し示す。図1の例では、母指球(符号L3)にも感圧部10が設けられている。
「小指球」とは、手のひらにおける、指尖球における小指の付け根の部分の下から手首にかけての部位を指し示す。図1の例では、小指球(符号L5)に感圧部10が設けられている。
このように、感圧部10は、手のひらにおける、手を握った状態で屈曲の少ない位置のみ、例えば、5指の先端腹部、指尖球、母指球、及び小指球の中の全部又は一部のみに設けられることが好ましい。ここでの「全部」及び「一部」は、上述のように定義した「先端腹部」、「指尖球」、「母指球」及び「小指球」の各領域の全て又は一部、並びに、「5指の先端腹部」、「指尖球」、「母指球」及び「小指球」のいずれか一つ、いずれか複数又は全部も含む。
これにより感圧部10が屈曲するのを防ぎ、感圧部10の感度を高精度に保つことができる。
また、感圧部10は、センサグローブ5における手のひらに接触する内側に設けられてもよいし、外側に設けられてもよい。更に言えば、感圧部10は、センサグローブ5の素材と重ね合わされるのではなく、センサグローブ5の一部を形成していてもよい。
ここで、上述したコンピュータ30における荷重値の検知(算出)手法の詳細について説明する。上述したとおり、コンピュータ30は、メモリに格納されるコンピュータプログラムがプロセッサで実行されることで、次のような処理を実現することができる。
但し、この例において、電気特性−荷重変換式と電気特性補正式とを別々に保持するのではなく、それらを一体化した式、即ち、感圧部10が配置される手の部位の硬度をパラメータとして用いて感圧部10の電気特性値から荷重値を算出する荷重算出式が予め保持されてもよい。
また、上述した通り、コンピュータ30は、手の各部位についてそれぞれ算出された荷重値に基づいて、手のひら全体に掛かる荷重値を算出する式を予め保持し、この式を用いて、手のひら全体に掛かる荷重値を算出してもよい。
しかしながら、これでは、本センサ装置1を利用するまでに時間がかかり過ぎ、利便性が悪い。
一方で、本発明者らにより、人の手のひらの硬度は、部位によって異なるが、指の違いによる差異はそれ程大きくないことが確認されている。
そこで、先端腹部、基端腹部、指尖球、母指球、及び小指球のそれぞれについて、複数の被験者からサンプル硬度データを予め取得し、それら各部位について硬度の代表値(例えば、平均値や中間値など)を予め算出しておいてもよい。
但し、指の違いを加味して、各指の先端腹部及び各指の基端腹部についてそれぞれ硬度の代表値が予め取得されていてもよい。この場合であっても、各指の先端腹部、各指の基端腹部、指尖球、母指球、及び小指球のそれぞれについて予め取得されている硬度の代表値を用いて、それら部位ごとに上述の電気特性補正式又は荷重算出式を予め求めておくことができる。
そこで、被験者の属性に対応する係数を予め取得しておき、この係数を上述のように算出された荷重値に掛け合わせる、或いは上述の電気特性補正式又は荷重算出式に用いることで、被験者の属性に応じて荷重値を高精度に算出することができる。もちろん、被験者の属性ごとに上述の電気特性補正式及び荷重算出式を予めそれぞれ生成し、保持しておいてもよい。
これにより、手のひらの各部位の硬度の被験者ごとの違いを反映させて、感圧部10の電気特性から荷重値を算出することができるため、より高精度に手に掛かる荷重値を検知することができる。
上述の本センサ装置1は、本発明を実施する形態の一例であるため、部分的に適宜変形されてもよいし、少なくとも一部を省いてもよいし、更なる構成を加えてもよい。
接続モジュール20が上述したコンピュータ30の処理の一部を実行する場合、例えば、接続モジュール20は、感圧部10の電気特性値をその感圧部10が配置される手の部位の硬度を用いて補正し、補正された電気特性値を出力し、コンピュータ30がこの補正された電気特性値から荷重値に変換する処理を行ってもよい。
また、接続モジュール20が上述したコンピュータ30の処理の全てを実行する場合、接続モジュール20は、上述した手法で各感圧部10の電気特性値から荷重値を算出し、算出された荷重値を出力する。この場合、本センサ装置1において、コンピュータ30は必ずしも必要ではなく、接続モジュール20が表示装置にその荷重値を表示させるべく出力してもよいし、他の機器へ荷重値を出力してもよい。
この場合、センサグローブ5は、複数の圧力センサを有し、センサグローブ5を手に装着した際に各圧力センサの感圧部10が上述した所定部位に配置されるように、各圧力センサが配設される。そして、各圧力センサは、感圧部10の電気特性及び感圧部10が配置された手の部位の硬度を用いて検知された荷重値をそれぞれ出力することができる。
また、各圧力センサは、感圧部10の電気特性を手の部位の硬度を用いて補正し、補正された電気特性値を出力するように構成されてもよい。この場合、各圧力センサは、AD変換器をそれぞれ有することで、補正された電気特性値をデジタル信号で出力してもよいし、AD変換器を有することなく、感圧部10の電気特性を、手の部位の硬度を用いて補正した後の電気特性となるように変化させる回路を有することで、手の部位の硬度を用いて補正した後の電気特性と同様の電気特性が外部で検出できるように構成されてもよい。
この場合、コンピュータ30がこの変換テーブルを用いて手に掛かる荷重値を検知してもよいし、接続モジュール20がこの変換テーブルを用いて手に掛かる荷重値を検知してもよい。
先端腹部=5度、指尖球=15度、母指球=5度
なお、先端腹部の指ごとの硬度の違いは大きくなかったため、ここでは表記していない。
この感度評価において、感圧部10としてイナバゴム社製のイナストマー(型式:SF−5−LT)が利用され、圧縮試験機を用いて荷重値と感圧部10の抵抗値とが計測された。圧縮試験機としては、島津製作所社製のオートグラフ精密万能試験機が利用された。
計測にあたり、手のひらに感圧部10を装着した状態を模擬するため、圧縮試験機の圧子と感圧部10との間に硬度が異なる(4度、15度、20度、30度)、厚さ5mmの緩衝材(シリコンゴム)が配置された。また、試験条件として、圧子の降下速度は、1.6mm/分とし、各計測が2回ずつ行われた。
図3のグラフでは、横軸に感圧部10に加えた荷重値(Force)(単位:N)が示され、縦軸に感圧部10の抵抗値(Resistance)(単位:kΩ)が示されている。
この測定結果により、図3に示されるように、緩衝材の硬度が低くなるにつれて荷重値に対して抵抗値が下がりきらず、感度が低下していることが実証された。
逆に、緩衝材の硬度20度及び30度では感度にほとんど差異がなかった。このため、硬度20度以上では緩衝材の硬度による影響はほとんどないことが分かった。
なお、2回の測定結果にばらつきはなかった。
結果として、ストローク量が緩衝材のばね定数の2乗に比例することが分かった。
これにより、感圧部10の抵抗値をRとし、荷重値が無限大時における抵抗値の漸金値をR∞とし、緩衝材の硬度をHとしたとき、感圧部10の補正後の抵抗値CRは、次の(式1)で表すことができる。但し、上述したとおり、硬度20度以上では影響が少ないため、Hは20度以下となる。
図4のグラフにおいても、図3と同様に、横軸に感圧部10に加えた荷重値(Force)(単位:N)が示され、縦軸に感圧部10の抵抗値(Resistance)(単位:kΩ)が示されている。
図4に示されるように、上記(式1)により、硬度4度及び15度に関する荷重値と抵抗値との関係性を硬度20度及び30度におけるその関係性と一致させることができることが実証された。
これにより、センサグローブ5に設けられた感圧部10の電気特性値を上記(式1)のような電気特性補正式により補正することで、被験者の手に掛かる荷重値を高精度に推定できることが実証された。更に、上記(式1)のような電気特性補正式を用いない他の手法でも、感圧部10の電気特性に加えて、感圧部10が配置される手の部位の硬度を直接的又は間接的に用いることで、被験者の手に掛かる荷重値を高精度に推定できることが分かった。
Claims (5)
- 加圧により電気特性が変化する感圧部と、
前記感圧部の電気特性及び前記感圧部が配置される被験者の手の部位情報を用いて、該手に掛かる荷重値を検知する検知部と、
を備えるハンドセンサ装置。 - 前記検知部が用いる、被験者の手の前記部位情報は、被験者の手の部位の硬度である、
請求項1に記載のハンドセンサ装置。 - 複数の感圧部を含み、人の手に脱着自在な手袋体、
を更に備え、
前記手袋体の一部又は全部は、前記手袋体が手に装着された状態において前記複数の感圧部のそれぞれが手のひらの所定部位に配置されるように、薄膜状かつ伸縮可能に形成されている、
請求項1又は2に記載のハンドセンサ装置。 - 前記所定部位は、5指の先端腹部及び基端腹部、指尖球、母指球、並びに小指球の中の全部又は一部である、
請求項3に記載のハンドセンサ装置。 - 前記被験者の属性情報を取得する取得部、
を更に備え、
前記検知部は、前記取得された属性情報を更に用いて、前記被験者の手に掛かる荷重値を検知する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のハンドセンサ装置。
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JP2022067015A (ja) * | 2020-10-19 | 2022-05-02 | 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター | 身体負荷推定装置及び身体負荷推定方法 |
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JP2003302296A (ja) * | 2002-04-11 | 2003-10-24 | Nagoya Industrial Science Research Inst | 床反力測定方法及び装置 |
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2018
- 2018-05-24 JP JP2018099391A patent/JP7075589B2/ja active Active
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