JP2019202554A - 車両のバックドア - Google Patents

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畠山 一樹
Kazuki Hatakeyama
一樹 畠山
鈴木 英樹
Hideki Suzuki
英樹 鈴木
毅 居蔵
Takeshi Ikura
毅 居蔵
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Abstract

【課題】車両のルーフの一部を構成する樹脂製のバックドアにおいて剛性を確保する。【解決手段】跳上げ開放式の樹脂製バックドア(1)において、車両後方に臨むバックパネル部(11)と、バックパネル部(11)の上部から車両前方に延びてルーフ(103)の一部を構成するルーフパネル部(13)と、ルーフパネル部(13)の車幅方向における両側から下方に広がりそれぞれ車両側方に臨む一対のサイドパネル部(15)とを備え、バックドア開口(109)開閉時の回転軸心(C)が、ルーフパネル部(13)の前端部周辺に設定され、サイドパネル部(15)が、バックパネル部(11)の車幅方向における両側部分と一体に設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の後部に設けられる跳上げ開放式のバックドアに関する。
この種のバックドアは、一般的に、上端部が車体後部の開口上縁部分に設けられたヒンジに連結されており、ヒンジ周りの回転動作により車体後部の開口を開閉できるようになっている。このようなバックドアでは、その開放時に下端部が車体後方へ大きく迫り出すため、完全に上方へ跳ね上げて開放するためには車体後方に広いスペースが必要となり、車体後方のスペースが狭い場合には十分に開放できない、という制約がある。
そこで、バックドアの跳上げ開放時における車両後方への迫り出し量を減少させるための車両構造に関する技術が提案されている。例えば、車体において後部からリアシートの上方に位置するルーフ部分にかけてのエリアにバックドア開口を形成し、バックドアの上部を車両前方に延出させてルーフの一部とし、その前端部を車体上部に設けられたヒンジに連結して、バックドア開口を開閉自在に覆うようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−212785号公報
ところで、近年、車両の軽量化やデザイン自由度、低コスト化に有利なことから、樹脂製のバックドアが多く採用されている。樹脂製のバックドアにおいて、上述したように上部を車両前方に延出させて車両のルーフの一部を構成すると、ルーフを構成する部分が付加される分だけバックドアが大型化するため、要求される剛性を確保するのが困難になる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂製のバックドアにおいて、車両後方のスペースが狭い場合にも十分に開放できるようにし、且つ剛性を確保することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、バックドアのうち車両のルーフの一部を構成する部分と車両後方に臨む部分とを、車幅方向における両側で車両側方に臨むサイドパネル部を設けて繋げるようにした。
具体的には、本発明は、車両上部で車幅方向に延びる回転軸心周りの上下方向への回転動作により車体後部の開口を開閉可能な樹脂製のバックドアを対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
第1の発明は、車両後方に臨むバックパネル部と、バックパネル部の上部から車両前方に延びてルーフの一部を構成するルーフパネル部と、ルーフパネル部の車幅方向における両側から下方に広がりそれぞれ車両側方に臨む一対のサイドパネル部とを備える。車両後部の開口を開閉するときのバックドアの回転軸心は、ルーフパネル部の前端部周辺に設定されている。そして、第1の発明は、サイドパネル部が、バックパネル部の車幅方向における両側部分と一体に設けられていることを特徴とする。
この第1の発明によると、バックパネル部の上部から車両前方に延びてルーフの一部を構成するルーフパネル部を設け、ルーフパネル部の前端部周辺にバックドアの回転軸心を設定するようにしたので、バックドアの回転軸心が比較的車両前方に位置し、バックドアの開放時における車両後方への迫り出し量を減少させることができ、バックドアの上方への移動が少なくても車体後部の開口を十分に開放することができる。さらに、車両後方に臨むバックパネル部とルーフパネル部とを、車幅方向における両側でそれら両パネル部と一体に設けられて車両側方に臨むサイドパネル部により繋げるようにしたので、樹脂製のバックドアの剛性を確保することができる。
第2の発明は、第1の発明の車両のバックドアにおいて、車体後部の開口を閉じた状態で車内側に位置する樹脂製のインナパネルと車外側に位置する樹脂製のアウタパネルとが接合された構造を有する。アウタパネルの上半部分は、外光を車内へ採光可能な窓部を構成している。そして、第2の発明は、窓部を構成するアウタパネルは、サイドパネル部と一体に設けられ、車体後部の開口との見切りラインを垂直方向に対し傾斜した方向に形成することを特徴とする。
この第2の発明によると、アウタパネルの上半部分で窓部を構成するようにしたので、窓部を別体パネルで設ける場合に比べてバックドアの剛性を高めることができる。さらに、窓部を構成するアウタパネルが車体後部の開口との見切りラインを垂直方向に対し傾斜させているので、風切り音の発生に大きく影響する垂直方向の見切りラインを減少させることができ、風切り音を低減することができる。
上記車両のバックドアによれば、車体方向のスペースが狭い場合にも十分に開放することができ、且つ車両のルーフの一部を構成する樹脂製のバックドアにおいて剛性を確保することができる。
図1は、バックドアを閉じた状態の車両の斜視図である。 図2は、バックドアを開いた状態の車両の斜視図である。 図3は、バックドアを閉じた状態の車両の側面図である。 図4は、バックドアを開いた状態の車両の側面図である。 図5は、図3のV−V線におけるバックドアの断面図である。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。また、この実施形態に係るバックドアについて、特に開閉状態を断り書きしない場合には、車両後部のバックドア開口を閉じた状態での姿勢を前提に説明する。
図1に、この実施形態に係るバックドア1を閉じた状態の車両101の斜視図を示す。図2に、バックドア1を開いた状態の車両101の斜視図を示す。図3に、バックドア1を閉じた状態の車両101の側面図を示す。図4に、バックドア1を開いた状態の車両101の側面図を示す。また、図5に、図3のV−V線におけるバックドア1の断面図を示す。
バックドア1は、図1〜図4に示すように、車両101のルーフに左右一対に設けられたヒンジ105に連結されて、これら一対のヒンジ105がなす車幅方向に延びる回転軸心C周りに上下方向への回転動作により車体107後部のバックドア開口109を開閉可能な跳上げ式のバックドアである。この実施形態において、バックドア開口109は、車体107の後部からリアシート111の上方に位置するルーフ103部分にかけて比較的大きく形成されている。
バックドア1は、バックドア開口109を閉じると、図5に示すように、当該バックドア開口109の周縁部分との間を同部分に取り付けられたシール部材であるウェザストリップ113を挟み込んで密閉する。バックドア1とバックドア開口109の左右両側との間には、バックドア1を開ける際に所定の位置から開き方向へ付勢するダンパステー(不図示)が設けられており、ダンパステーによってバックドア1の開き動作が補助されるようになっている。
当該バックドア1は、バックドア開口109を閉じた状態で、車内側に位置する樹脂製のインナパネル3と、車外側に位置する樹脂製のアウタパネル5とを主たる構成として備えている。これらインナパネル3とアウタパネル5とは、外周縁部同士の対向箇所を含む所定の箇所で図示しない接着剤により接合されている。
インナパネル3は、射出成形などにより成形される一枚物の樹脂成形品であって、例えば、ガラス繊維入りポリプロピレン(PP−GF:Polypropylene Glass Fiber)や炭素繊維入りポリプロピレン(PP−CF:Polypropylene Carbon Fiber)などの繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなる。インナパネル3の上半部分には、車幅方向に延びる略矩形状の窓用開口7が形成されている。
アウタパネル5は、射出成形などにより成形される一枚物の樹脂成形品であって、例えば、アクリル樹脂(PMMA:Polymethyl Methacrylate)やポリカーボネート(PC:Polycarbonate)などの透明樹脂からなる。アウタパネル5の上半部分は、インナパネル3の窓用開口7を通じて外光を車内へ採光可能な略矩形状の窓部9を構成している。アウタパネル5のうち窓部9以外の部分では、その外面または内面或いは両面が他の車体外装パネルと同じ色に塗装されている。
このような両パネル3,5の接合体を主体とするバックドア1は、車両後方に臨むバックパネル部11と、バックパネル部11の上部から前方に延びてルーフ103の一部を構成するルーフパネル部13と、ルーフパネル部13の車幅方向における両側から下方に広がりそれぞれ車両側方に臨む一対のサイドパネル部15とを備えている。
バックパネル部11は、バックドア1を閉じた状態で、車両101後部の上下方向における中程でバックドア開口109の左右両側に設けられた外側リアランプ115と一体的なデザインをなす内側リアランプ17が車幅方向における両側に設けられた構造を有している。このバックパネル部11は、内側リアランプ17よりも上側に位置するアッパー部19と、内側リアランプ17が設けられた部分を含めてアッパー部19の下側に位置するロア部21とを備えている。
アッパー部19は、車体後方に向かって下方に延びて後ろ下がりに傾斜している。このアッパー部19の大部分は上述した窓部9とされ、アッパー部19には窓部9を取り囲む枠状部23が設けられている。枠状部23は、アウタパネル5の塗装された部分とインナパネル3の窓用開口7の周縁部分とで構成されている。枠状部23の左右両側を構成するピラー部分25は、窓部9から車幅方向における外側に延びた後に前方下向きに延びて車外側に凸面をなすように湾曲しており、バックドア開口109の周縁部分と前方下向きの端面で対向するようになっている。
ロア部21は、アッパー部19に対して垂直方向寄りの姿勢となるように角度を付けて設けられている。ロア部21には、図示しないがライセンスプレート(ナンバープレート)が取り付けられる。ロア部21の下端部にはラッチ27が装着されている。ラッチ27は、リアバンパー117上に位置するバックドア開口109の下縁部に設けられたストライカ119に着脱自在に係合する装置であって、ストライカ119と協働してバックドア1を閉じた状態で車体107にロックするロック装置を構成する。
ルーフパネル部13は、前後方向に延びてアウタパネル5の外面が上方に臨むように設けられており、荷室121の天井部分を構成する。ルーフパネル部13の外周部のうち前端縁を除く部分にはスポイラ29が設けられている。スポイラ29は、ルーフパネル部13の後端部に設けられたリアスポイラ部31と、ルーフパネル部13の車幅方向における両側部に設けられたサイドスポイラ部33とを備え、これら両スポイラ部31,33が一続きとなるように一体化された構造とされている。スポイラ29は、アウタパネル5の一部によって構成され、バックドア1の剛性確保にも寄与する。
ルーフパネル部13の前端部は、ヒンジ105を介して車体側のルーフ部分104の後端部と連結されており、車体側のルーフ部分104との間に見切り線であるオープニングライン123を形成する。このようにバックドア1の開閉動作での回転軸心Cは、ルーフパネル部13の前端部周辺の前方位置にてリアシート111の上方位置という比較的前方の位置に設定されている。このような構成によれば、バックドア1の開放時における車体後方への迫り出し量を減少させることができ、バックドア1の上方への移動が少なくてもバックドア開口109を十分に開放することができる。
サイドパネル部15は、バックパネル部11のうちアッパー部19の車幅方向における両側部分、つまり枠状部23がなす湾曲部分とそれぞれ一体に設けられており、それらアッパー部19とルーフパネル部13とを繋げて補強している。このような構成によれば、車両101のルーフ103の一部を構成するために大型化したバックドア1の剛性を確保することができる。サイドパネル部15は、車体107のリアピラー124を部分的に覆い、車両101のサイドドア125上部の後端との間に前端で見切りライン127を形成する。
サイドパネル部15の下端は、前後方向に延びており、バックドア開口109との見切りライン129を水平方向に寝かせたように形成する。また、アウタパネル5のアッパー部19は、サイドパネル部15と一体に設けられ、バックドア開口109との見切りライン131をアッパー部19の傾斜姿勢に倣って垂直方向に対し傾斜した方向に形成する。このような構成によれば、風切り音の発生に大きく影響する垂直方向の見切りラインを減少させることができ、風切り音を低減することができる。
この実施形態に係るバックドア1によると、バックドア1の開放時における車両101後方への迫り出し量を減少させ、その回転動作時に上方への移動が少なくてもバックドア開口109を十分に開放できるようになるから、車体後方のスペースが狭い場合にも十分に開放することができる。そして、車両101後方に臨むバックパネル部11と車両101のルーフ103の一部を構成するルーフパネル部13とを、車幅方向における両側で車両101側方に臨むサイドパネル部15により繋げるようにしたので、樹脂製のバックドア1の剛性を確保することができる。
以上のように、本発明に係る技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明に係る技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施形態では、サイドパネル部15の前端がサイドドア125上部の後端との間に見切りライン127を形成するとしたが、本発明はこれに限らない。サイドパネル部15の前端は、サイドドア125上部の後端近傍に位置しているだけでもよく、サイドドア125との間に他の車体外装パネルが設けられていても構わない。
また、上記実施形態では、ルーフパネル部13の前端部がヒンジ105を介して車体側のルーフ部分104の後端部と連結されているとしたが、本発明はこれに限らない。バックドア1は、バックドア開口109を開閉するための上下方向への回転動作を実現するものであれば、バックドア1を回転可能に支持するリンク機構などの他の回転支持機構によって車体107上部に連結されていてもよい。
こうした回転支持機構によるバックドア1の支持箇所は、バックドア開口109の周辺部分に任意に設定可能である。回転支持機構は、車体107との干渉を避けるようにバックドア1を回転可能に構成されていればよく、例えばバックドア1を上方に持ち上げた後に上下方向へ回転させるような機構であってもよい。バックドア1の回転軸心Cは、ルーフパネル部13の前端部周辺であれば任意の箇所に設定可能である。要は、バックドア1が、車両101上部で車幅方向に延びる回転軸心C周りに上下方向への回転動作によりバックドア開口109を開閉可能とされていればよい。さらに、バックドア1は、電動で開閉されるようになっていてもよい。
また、上記実施形態では、アウタパネル5が一枚物の樹脂成形品からなり、窓部9がアウタパネル5の一部によって構成されているとしたが、本発明はこれに限らない。アウタパネル5は、アッパー部19に相当するアッパパネルと、ロア部21に相当するロアパネルに分割されていてもよい。また、窓部9は、アウタパネル5とは別体のパネルによって設けられていてもよい。
以上説明したように、本発明は、車両の後部に設けられる跳上げ開放式の樹脂製バックドアについて有用である。
1 バックドア
3 インナパネル
5 アウタパネル
7 窓用開口
9 窓部
11 バックパネル部
13 ルーフパネル部
15 サイドパネル部
17 内側リアランプ
19 アッパー部
21 ロア部
23 枠状部
25 ピラー部
27 ラッチ
29 スポイラ
31 リアスポイラ
33 サイドスポイラ
101 車両
103 ルーフ
104 車体側のルーフ部分
105 ヒンジ
107 車体
109 バックドア開口
111 リアシート
113 ウェザストリップ
115 外側リアランプ
117 リアバンパー
119 ストライカ
121 荷物室
123 オープニングライン
124 リアピラー
125 サイドドア
127,129,131 見切りライン

Claims (2)

  1. 車両(101)上部で車幅方向に延びる回転軸心(C)周りに上下方向への回転動作により車体(107)後部の開口(109)を開閉可能な樹脂製のバックドアであって、
    車両(101)後方に臨むバックパネル部(11)と、
    前記バックパネル部(11)の上部から車両(101)前方に延びてルーフ(103)の一部を構成するルーフパネル部(13)と、
    前記ルーフパネル部(13)の車幅方向における両側から下方に広がりそれぞれ車両側方に臨む一対のサイドパネル部(15)と、を備え、
    前記回転軸心(C)は、前記ルーフパネル部(13)の前端部周辺に設定されており、
    前記サイドパネル部(15)は、前記バックパネル部(11)の車幅方向における両側部分と一体に設けられている
    ことを特徴とする車両のバックドア。
  2. 請求項1に記載された車両のバックドアにおいて、
    車体(107)後部の開口を閉じた状態で車内側に位置する樹脂製のインナパネル(3)と車外側に位置する樹脂製のアウタパネル(5)とが接合された構造を有し、
    前記アウタパネル(5)の上半部分は、外光を車内へ採光可能な窓部(9)を構成しており、
    前記窓部(9)を構成するアウタパネル(5)は、前記サイドパネル部(15)と一体に設けられ、車体(107)後部の開口(109)との見切りライン(131)を垂直方向に対し傾斜した方向に形成する
    ことを特徴とする車両のバックドア。
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