以下、図1〜図11を用いて、本発明の実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1と受信側ファクシミリ装置2を含むファクシミリ通信システム100を説明する。以下の説明では、送信側ファクシミリ装置1と受信側ファクシミリ装置2が複合機である場合を説明する。また、以下の実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(ファクシミリ通信システム100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係るファクシミリ通信システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係るファクシミリ通信システム100の一例を示す図である。
図1に示すファクシミリ通信システム100は、送信側ファクシミリ装置1と受信側ファクシミリ装置2を含む。各ファクシミリ装置は複数の機能を併せ持つ。例えば、各ファクシミリ装置は、ファクシミリ通信機能、印刷機能、スキャン送信機能を有する。各ファクシミリ装置はITU−T勧告T.30の規格に準拠して通信を行う。また、各ファクシミリ装置は、ITU−T勧告T−4 Annex Aに準拠したECM(Error Correction Mode)機能に基づく送受信を行う。送信側ファクシミリ装置1は、読み取りで得た原稿の画像データに基づく画像データ(メッセージ6、画像信号)を、受信側ファクシミリ装置2に送信する。受信側ファクシミリ装置2はこれを受信する。
送信側ファクシミリ装置1は、送信側VoIPアダプター3と接続される。受信側ファクシミリ装置2は、受信側VoIPアダプター4と接続される。各VoIPアダプターは、VoIP技術を用いて、ネットワーク5(インターネット、IPネットワーク)を利用して、ファクシミリ通信を可能にするアダプターである。
送信側VoIPアダプター3は、送信側ファクシミリ装置1から送信された信号(音声信号)をデータ(パケット)に変換する。送信側VoIPアダプター3は、変換したデータを受信側VoIPアダプター4に送信する。受信側VoIPアダプター4は、受信したデータを送信側ファクシミリ装置1が送信した信号の波形に戻す。受信側VoIPアダプター4は、波形を戻した信号を受信側ファクシミリ装置2に入力する。
また、受信側VoIPアダプター4は、受信側ファクシミリ装置2から送信された信号(音声信号)をデータ(パケット)に変換する。受信側VoIPアダプター4は、変換したデータを送信側VoIPアダプター3に送信する。送信側VoIPアダプター3は、受信したデータを受信側ファクシミリ装置2が送信した信号の波形に戻す。送信側VoIPアダプター3は、波形を戻した信号を送信側ファクシミリ装置1に入力する。
なお、送信側ファクシミリ装置1を受信側ファクシミリ装置2として用いることができる。また、受信側ファクシミリ装置2を送信側ファクシミリ装置1として用いることもできる。送信側と受信側の動作は異なる。説明の便宜上、画像データ(メッセージ6、画像信号)を送信する装置を送信側ファクシミリ装置1と称する。画像データを受信する装置を受信側ファクシミリ装置2と称する。なお、各ファクシミリ装置は、同じ機種でもよいし、異なる機種でもよい。また、各ファクシミリ装置は複合機に限られない。送信側又は受信側のファクシミリ装置の一方、又は、両方は、ファクシミリ通信専用機でもよい。
また、送信側ファクシミリ装置1を受信側ファクシミリ装置2は、電話回線を用いてファクシミリ通信できる。VoIPアダプターを用いないでファクシミリ通信を行うこともできる。
(送信側ファクシミリ装置1)
次に、図2を用いて、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1の一例を説明する。図2は、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1の一例を示す図である。
送信側ファクシミリ装置1は、送信側制御部10(制御部に相当)、送信側記憶部11、送信側操作パネル12、送信側読取部13、送信側印刷部14、送信側通信部15(通信部に相当)を含む。送信側制御部10は、制御回路10aや、画像処理回路10bを含む。制御回路10aは、例えば、CPUである。制御回路10aは、送信側記憶部11に記憶される制御用のプログラムやデータに基づき、演算や制御を行う。画像処理回路10bは、受信側ファクシミリ装置2に送信する画像データ(画像信号)を生成できる。送信側記憶部11は、ROM、フラッシュROM、RAM、HDDを含む。送信側制御部10は、送信側操作パネル12、送信側読取部13、送信側印刷部14、送信側通信部15の動作を制御する。
送信側操作パネル12は、表示パネル12a、タッチパネル12b、ハードキー12cを含む。表示パネル12aは、メッセージ6や設定用画面を表示する。タッチパネルは表示パネル12aに対して設けられる。使用者は、タッチパネル12bとハードキー12cを用いて、ファクシミリ送信に関する設定を行える。例えば、宛先、送信サイズを設定することができる。送信側操作パネル12はファクシミリ送信の設定を受け付ける。
送信側読取部13は、原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。送信側読取部13は、搬送される原稿や、原稿台にセットされた原稿を読み取る。送信側印刷部14は、給紙部14a、用紙搬送部14b、画像形成部14c、定着部14dを含む。印刷のとき、送信側制御部10は、給紙部14aに給紙を行わせる。送信側制御部10は、機内で用紙を用紙搬送部14bに搬送させる。送信側制御部10は、トナー像の形成と用紙へのトナー像の転写を画像形成部14cに行わせる。送信側制御部10は、用紙へのトナー像の定着を定着部14dに行わせる。
また、送信側制御部10は送信側通信部15と接続される。送信側制御部10は送信側通信部15の通信処理を制御する。送信側通信部15は受信側ファクシミリ装置2と通信を行う回路である。送信側通信部15は、受信側ファクシミリ装置2に画像データ(メッセージ6、画像信号)を送信する(ファクシミリ送信)。また、送信側通信部15は、コンピューターや他のファクシミリ装置からのデータも受信できる。受信したデータに基づき、送信側制御部10は送信側印刷部14に印刷を行わせる(プリンター機能、ファクシミリ受信機能)。また、送信側通信部15は送信側モデム16を含む。送信側モデム16は複数の通信モードを有する(詳細は後述)。
(受信側ファクシミリ装置2)
次に、図3を用いて、実施形態に係る受信側ファクシミリ装置2の一例を説明する。図3は、実施形態に係る受信側ファクシミリ装置2の一例を示す図である。
受信側ファクシミリ装置2は、受信側制御部20、受信側記憶部21、受信側操作パネル22、受信側読取部23、受信側印刷部24、受信側通信部25を含む。受信側制御部20は、制御回路20aや、画像処理回路20bを含む。制御回路20aは、例えば、CPUである。制御回路20aは、受信側記憶部21に記憶される制御用のプログラムやデータに基づき、演算や制御を行う。画像処理回路20bは、他のファクシミリ装置に送信する画像データ(画像信号)を生成できる。受信側記憶部21は、ROM、フラッシュROM、RAM、HDDを含む。受信側制御部20は、受信側操作パネル22、受信側読取部23、受信側印刷部24、受信側通信部25の動作を制御する。
受信側操作パネル22は、表示パネル22a、タッチパネル22b、ハードキー22cを含む。表示パネル22aは、メッセージ6や設定用画面を表示する。タッチパネルは表示パネル22aに対して設けられる。使用者は、タッチパネル22bとハードキー22cを用いて、ファクシミリ送信に関する設定を行える。例えば、宛先、送信サイズを設定することができる。受信側操作パネル22もファクシミリ送信の設定を受け付け得る。
受信側読取部23は、原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。受信側読取部23は、搬送される原稿や、原稿台にセットされた原稿を読み取る。受信側印刷部24は、給紙部24a、用紙搬送部24b、画像形成部24c、定着部24dを含む。印刷のとき、受信側制御部20は、給紙部24aに給紙を行わせる。受信側制御部20は、機内で用紙を用紙搬送部24bに搬送させる。受信側制御部20は、トナー像の形成と用紙へのトナー像の転写を画像形成部24cに行わせる。受信側制御部20は、用紙へのトナー像の定着を定着部24dに行わせる。
また、受信側制御部20と受信側通信部25は接続される。受信側制御部20は受信側通信部25の通信処理を制御する。受信側通信部25は、送信側ファクシミリ装置1と通信を行う回路である。受信側通信部25は、送信側ファクシミリ装置1からの画像データ(メッセージ6、画像信号)を受信する(ファクシミリ受信)。また、受信側通信部25は、コンピューターや他のファクシミリ装置からのデータを受信できる。受信したデータに基づき、受信側制御部20は受信側印刷部24に印刷を行わせる(プリンター機能、ファクシミリ受信)。また、受信側通信部25は受信側モデム26を含む。受信側モデム26は複数の通信モードを有する(詳細は後述)。
(ファクシミリ通信の流れ)
次に、図4を用いて、実施形態に係るファクシミリ通信システム100でのファクシミリ通信の基本的な流れを説明する。図4は、実施形態に係るファクシミリ通信の流れの一例を示す図である。
以下、図4を用いて、ECM機能を用いたファクシミリ通信の基本的な流れの一例を説明する。なお、送信側VoIPアダプター3と受信側VoIPアダプター4の図示を図4では省略している。送信側通信部15は、ネットワーク5を介して、信号を送信側VoIPアダプター3に入力する。送信側VoIPアダプター3は、データ化した信号(パケット)を受信側VoIPアダプター4に送信する。受信側VoIPアダプター4はデータ化された信号を復元する。受信側VoIPアダプター4は復元した信号を受信側通信部25に入力する。また、受信側通信部25は、信号を受信側VoIPアダプター4に入力する。受信側VoIPアダプター4は、ネットワーク5を介して、データ化した信号を送信側VoIPアダプター3に送信する。送信側VoIPアダプター3はデータ化された信号を復元する。送信側VoIPアダプター3は復元した信号を送信側通信部15に入力する。送信側VoIPアダプター3と受信側VoIPアダプター4は、電話回線における交換機として機能する。
まず、送信側操作パネル12は、受信側ファクシミリ装置2を宛先にする設定を受け付ける。設定後、送信側操作パネル12は、ファクシミリの送信開始指示を受け付ける。送信開始指示に基づき、送信側制御部10は、受信側ファクシミリ装置2に向けて、CNG信号(Calling Tone)を送信側通信部15に送信させる。CNG信号は発呼トーン信号である。CNG信号は、自分がファクシミリ装置であることを通知するための信号である(ステップ♯1)。
受信側通信部25がCNG信号を受信したとき、受信側制御部20は、送信側通信部15に向けて、CED信号(CallED signal)を受信側通信部25に送信させる(ステップ♯2)。CED信号は、被呼側が送信する応答信号である。CED信号は送信側ファクシミリ装置1に、ファクシミリ通信を行えることを伝えるための信号である。
続いて、受信側制御部20は、送信側通信部15に向けて、NSF信号(Non−Standard Facilities)、DIS信号(Digital Identification Signal)、CSI信号(Called Subscriber Identification)を受信側通信部25に送信させる(ステップ♯3)。
NSF信号は、受信側ファクシミリ装置2が有する機能であって、ITU−T勧告で非標準の機能を知らせる信号である。DIS信号は、ITU−T勧告の標準機能で受信側ファクシミリ装置2が持つ機能(受信能力)を送信側ファクシミリ装置1に知らせる信号である。例えば、受信側ファクシミリ装置2は、DIS信号により、モデムの通信速度、記録紙の幅、対応する圧縮方式を送信側ファクシミリ装置1に知らせる。また、受信側制御部20は、DIS信号により、ECM機能が利用可能であることを受信側通信部25に通知させる。CSI信号は、被呼端末を識別するため情報を送信するための信号である。CSI信号は、例えば、受信側ファクシミリ装置2で登録されたファクシミリ番号である。
次に、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けて、NSS信号(Non−Standard facilities Set−up)、TSI信号(Transmitting Subscriber Identification)、DCS信号(Digital Command Signal)を受信側通信部25に送信させる(ステップ♯4)。NSS信号は、ITU−T勧告で非標準の機能を用いることを知らせる信号である。NSS信号は、非標準機能の使用を受信側ファクシミリ装置2に設定させるための信号である。
TSI信号は、送信端末を識別するため情報を受信側ファクシミリ装置2に通知するための信号である。TSI信号は、例えば、送信側ファクシミリ装置1で予め登録されたファクシミリ番号である。DCS信号は、受信したDIS信号に応じて送信条件を受信側ファクシミリ装置2に命令する信号である。言い換えると、DCS信号は、実際に利用する機能を受信側ファクシミリ装置2に伝える信号である。例えば、送信側ファクシミリ装置1は、DIS信号により、画像データ(画像信号)送信時の通信速度、送信する画像データ(記録紙)の幅、用いる圧縮方式を送信側ファクシミリ装置1に知らせる。また、送信側制御部10は、DCS信号により、ECM機能を利用することを送信側通信部15に通知させる。これにより、送信側ファクシミリ装置1と受信側ファクシミリ装置2での画像データ(メッセージ6)の送信にECM機能が利用される。
続いて、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けて、TCF信号(Training Check)を送信側通信部15に送信させる(ステップ♯5)。TCF信号はDCS信号で伝えた速度で通信できるか否かのトレーニングのための信号である。
受信側通信部25がTCF信号を受信したとき、受信側制御部20は、トレーニング結果(TCF信号の受信結果)に基づき、受信側通信部25で画像データ(画像信号)を受信できるか否かを確認する。言い換えると、受信側制御部20は、正しくTCF信号を受信できたか否かを確認する。受信側通信部25で画像データを受信できると判定したとき、受信側制御部20は、送信側通信部15に向けて、CFR信号(Confirmation to Receive)を受信側通信部25に送信させる(ステップ♯6)。CFR信号は、現在の条件で画像データを受信できることを送信側ファクシミリ装置1に通知する信号である。
CFR信号を受信したとき、送信側制御部10は受信側通信部25に向け画像データ(メッセージ6、画像信号)の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯8)。全ページの送信が完了すると、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けてPPS−EOP信号(Partial Page Signal End Of Procedure)を送信側通信部15に送信させる(ステップ♯9)。
PPS−EOP信号を受信したとき、エラーがなければ、受信側制御部20は、送信側通信部15に向けて、MCF信号(Message Confirmation)を受信側通信部25に送信させる。MCF信号は正常受信を知らせる信号である。最後に、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けて、DCN信号(Disconnect)を送信側通信部15に送信させる。DCN信号は回線切断を指示する信号である。DCN信号の送受信により、ファクシミリ通信が終了する。
ここで、送信側モデム16と受信側モデム26は、いずれも第1モードまたは第2モードで動作する。第1モードは半二重方式で画像データ(メッセージ6、画像信号)を送受信するモードである。例えば、第1モードは、ITU−T勧告V.17、V.29、V.27terに準拠して動作するモードである。ITU−T勧告V.21、V.17、V.29、V.27terに準拠して動作するモードは、画像データを送信するためのモードである。TCF信号(トレーニング信号)と画像データが、ITU−T勧告V.17、V.29、又は、V.27terに準拠して動作するモードで送受信される。
一方、第2モードは、全二重方式で画像データを送受信するモードである。ITU−T勧告V.17又はV.29に準拠したモードである。例えば、第2モードは、例えば、ITU−T勧告V.34に準拠して動作するモードである。
なお、送信側モデム16と受信側モデム26は、制御信号の送受信するためのモードでも動作する。例えば、ITU−T勧告V.21に準拠して動作するモードである。このモードでの通信速度は、300bpsである。予め定められた制御信号(バイナリコード)がITU−T勧告V.21に準拠して動作するモードで伝送される。上記の信号のうち、CED信号、NSF信号、DIS信号、CSI信号、NSS信号、TSI信号、DCS信号、CFR信号、PPS−EOP信号、MCF信号、DCN信号がITU−T勧告V.21に準拠して動作するモードで送受信できる。ITU−T勧告V.21に準拠して動作するモードで送受信する信号の種類が予め定められている。
(画像データの送受信)
次に、図5〜図7を用いて、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1での画像データの送信手順の一例を説明する。図5は、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1での画像データの送信手順の一例を示す図である。図6は、実施形態に係るファクシミリ通信でのフレーム7の一例を示す図である。図7は、実施形態に係る受信側ファクシミリ装置2のエラーチェックの処理の流れの一例を示す図である。
図5に示すように、送信側制御部10は、CFR信号を受信すると、メッセージ6を生成する。1つのメッセージ6は、同期信号61、符号化データ部62(Facsimile coded data)、RCPフレーム63を含む。順番は、同期信号61、符号化データ部62、RCPフレーム63の順である。同期信号61は、送信側通信部15と受信側通信部25間の信号の送受信の同期をとるための信号である。同期信号61の基準長さ(時間的長さ)は、予め定められている。ファクシミリ通信規格での推奨値を基準長さとすることができる。RCPフレーム63はメッセージ6の伝送の終了を知らせるための信号である。
送信側制御部10は、複数のフレーム7を符号化データ部62に含ませる。1つのメッセージ6に含めることができるフレーム7の最大個数は、例えば、256個である。図6は、符号化データ部62に含まれるフレーム7の1つを例示する(n番目、nは0〜255のうち何れかの整数)。フレーム7は、F(フラグシーケンス)、A(アドレスフィールド)、C(制御フィールド)、FCDフレーム、フレーム番号、データフィールド、FCS(フレームチェックシーケンス)を含む。
F、A、C、FCDフレーム、フレーム番号は、1バイトのデータである。FCSは、2バイトである。データフィールドは256バイトである。従って、1つのフレーム7は264バイトとなる。データフィールドには、ページの画像データの一部が格納される。
送信側制御部10は、1つのメッセージ6で1ページを送信できないとき、画像データを複数のブロックに分割する。1ブロックのサイズは1メッセージに含める画像データのサイズとなる。送信側制御部10は分割したブロックの画像データを更に分割し、分割した画像データを各フレーム7に含ませる。言い換えると、送信側制御部10は、画像データを複数に分割して、分割した画像データを各フレーム7のデータフィールドに含める。
また、送信側制御部10は、各フレーム7にFCSを含める。FCSは、フレーム7に含まれるデータに誤りがあるか否かをチェックするためのデータである。送信側制御部10は、フレーム7に含まれるデータを用いて、所定の演算を行う。所定の演算により、送信側制御部10は、2バイト(16ビット)の値を求める。送信側制御部10は、求めた値を誤り検出用の値としてFCSに埋め込む。なお、受信側制御部20によるチェックの詳細は後述する。
1つのメッセージ6の送信が終わったとき、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けて、PPS−NULL信号、PPS−MPS信号、又は、PPS−EOP信号を送信側通信部15に送信させる。1ページのうち、未送信のブロックがあるとき、送信側制御部10は、PPS−NULL信号を送信側通信部15に送信させる。ファクシミリ送信で複数ページを送信する場合、最後以外のページの最終ブロックの送信が終わったとき(ページの境界を知らせるとき)、送信側制御部10は、PPS−MPS信号を送信側通信部15に送信させる。全ページの送信が終わったとき、PPS−EOP信号を送信側通信部15に送信させる。
1つのメッセージ6の送信の終了を知らせる信号を受信側通信部25が受信したとき、受信側制御部20は、受信したメッセージ6に含まれるそれぞれのフレーム7について、エラー(誤り)の有無のチェックを行う。受信側は、何らかのエラーにより正しくないデータに化けたフレーム7を検出する。
図7を用いて、エラーチェックの流れの一例を説明する。図7のスタートは、1つのメッセージ6の送信の終了を知らせる信号を受信側通信部25が受信した時点である。
まず、受信側制御部20はnに1を代入する(ステップ♯11)。そして、受信側制御部20は、n番目のフレーム7にエラーがあるか否かを判定する(ステップ♯12)。具体的に、受信側制御部20は、受信したn番目のフレーム7のデータを用いて所定の演算を行う。受信側制御部20は、送信側制御部10がFCSを求めるために行った演算と同じ演算を行う。データ化け(エラー)が無ければ、受信側制御部20が求めた値と、FCSの値が一致する(ステップ♯12)。受信側制御部20が求めた値とFCSの値が一致したとき、受信側制御部20は、n番目のフレーム7にエラーはないと判定する。
受信側制御部20が求めた値とFCSの値が一致しないとき、受信側制御部20は、n番目のフレーム7にエラーがあると判定する(ステップ♯12)。エラーがあると判定したとき、制御部は、エラーがあると判定したフレーム7(誤りフレーム)のフレーム番号を受信側記憶部21に記憶させる。
次に、受信側制御部20は、nが最大値に到達したか否かを確認する(ステップ♯13)。言い換えると、受信側制御部20は、全フレーム7のチェック(判定)が完了したか否かを確認する。全フレーム7の判定を終えていないとき(ステップ♯13のNo)、受信側制御部20は、nに1を加算する(ステップ♯14)。そして、フローはステップ♯12に戻る。一方、全フレーム7の判定を終えたとき(ステップ♯13のYes)、受信側制御部20は、受信したメッセージ6に誤りフレームがあったか否かを確認する(ステップ♯15)。
受信したメッセージ6に誤りフレームがあったとき(ステップ♯15のYes)、受信側制御部20は、送信側通信部15に向けて、PPR信号(Partial Page
Request)を受信側通信部25に送信させる(ステップ♯16)。ステップ♯16の後、又は、受信したメッセージ6に誤りフレームがなかったとき(ステップ♯15のNo)、受信側制御部20は、本フローに関する処理を終了する(エンド)。
PPR信号は、誤りフレームの再送を要求する信号である。受信側制御部20は、PPR信号に、誤りフレームのフレーム番号を含める。これにより、送信側通信部15(送信側制御部10)にエラーのあったフレーム7を通知できる。送信側通信部15がPPR信号を受信したとき、送信側制御部10は、受信側通信部25に向けて、誤りフレームに対応するフレーム7(誤りフレームとフレーム番号が同じフレーム7)の再送を送信側通信部15に行わせる。
(PPR信号受信時の処理)
次に、図5、図8〜図11を用いて、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1の処理の一例を説明する。図8、図9は、実施形態に係る送信側ファクシミリ装置1の処理の一例を示す図である。図10は、実施形態に係る再送メッセージ8の一例を示す図である。図11は、実施形態に係る再送フレーム9の送信タイミングの一例を示す図である。
一般に、ファクシミリ装置では、エコー信号によって、画像データ(フレーム)のエラーが生ずることが確認されている。エコー信号の原因は、インピーダンスの不整合である。送信側のファクシミリ装置の入力インピーダンスと、送信側のファクシミリ装置に接続される機器の出力インピーダンスの不整合がエコー信号の原因となり得る。インピーダンスの差が大きいとき、反射によって、大きなエコー信号が受信側のファクシミリ装置に送り返される。
通常、公衆回線(電話回線)や交換機のインピーダンスのマッチングするように、ファクシミリ装置のインピーダンスが設定される。近年、VoIPアダプターが用いられることが多くなっている。VoIPアダプターの中には、ファクシミリ装置のインピーダンスと整合がとれていないものがある。そのため、ファクシミリによる伝送では、従来よりもエコー信号によってエラーが発生する確率が高まりつつある。
そして、CFR信号(メッセージの送信直前に受信する信号)のエコー信号がメッセージ内の一部のフレームと重なってエラーが生ずる場合があることが確認されている。ファクシミリ装置の使用者からエラー発生の情報が製造者(出願人)によせられることがある。よせられた情報に基づき、調査が行われることがある。調査では、受信側のファクシミリ装置に入力される音声信号を録音することがある。画像信号とCFR信号が重なった録音が得られたことがある。このように、CFR信号のエコー信号が画像データ(メッセージ内のフレーム)に重なり、エラーが生ずることが確認されている。
CFR信号のエコー信号とフレームが重なる原因は、様々であると考えられている。例えば、電話回線の構成と、電話回線に接続される回路(素子)が原因となることがある。電話回線には、2線式回線と4線式回線とがある。そして、2線式回線を4線式回線に接続するとき、電話回線にトランスのような機器を接続することがある。この機器の接続により、エコー(4線式回線の受信信号から4線式回線の送信側回線への回り込み)の発生を防いでいる。ところが、2線と4線を接続する接続機器と2線式回線のインピーダンスを完全に一致させられないことがある。そして、音声信号が、接続機器を経由し時間遅れを伴って送信側の回線に還流される(流れ込む)場合がある。その結果、エコー信号が一部のフレームと重なることがあり得る。また、その他の原因でも、エコー信号がフレームと重なる場合があり得る。
CFR信号を受信するとメッセージ(フレーム、画像データ)の送信が開始される。CFR信号のエコー信号によるエラーが生じているとき、受信側ファクシミリ装置2からの信号であるPPR信号に基づき再送するフレーム(再送フレーム)の送受信でも、再度、エラーが生ずる可能性が高い。言い換えると、CFR信号と同様に、PPR信号のエコー信号が再送フレームに重なるおそれがある。その結果、再送フレーム9もエラー(誤りフレーム)と判定されるおそれがある。その結果、フレームの再送とエラー判定が繰り返されるおそれがある。そこで、送信側ファクシミリ装置1は、PPR信号のエコー信号が再送フレーム9と重ならないように、再送フレーム9の送信開始タイミングをずらす。
図8のスタートは、CFR信号を受信した時点である。送信側制御部10は、エラー発生、再送フレーム9の送信に備える。送信側制御部10は、CFR信号を受信したときから準備を開始する。
まず、送信側制御部10は、第1時刻T1を送信側記憶部11に記憶させる(ステップ♯21、図5参照)。第1時刻T1は、送信側通信部15がCFR信号の受信を開始した時刻である。送信側制御部10は時計回路10cを含む(図2参照)。例えば、時計回路10cは時刻(年、月、日、時、分、秒、1/100秒)を測ることができる回路である。送信側制御部10は、時計回路10cの出力に基づき、時刻を認識できる。
そして、送信側制御部10はCFR信号の受信終了を認識する(ステップ♯22)。そして、送信側制御部10は、メッセージ6の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯23)。このとき、同期信号61から送信が開始される。基準長さの同期信号61の送信後、送信側制御部10は、最初のメッセージ6の最初のフレーム7の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯24)。
送信側制御部10は第2時刻T2を送信側記憶部11に記憶させる(ステップ♯25、図5参照)。第2時刻T2は、メッセージ6の符号化データ部62のフレーム7のうち、送信側通信部15が先頭のデータフレーム7(第0フレーム7)の送信を開始した時刻である。そして、送信側制御部10は、メッセージ6の送信が完了したとき、PPR信号を受信したか否かを確認する(ステップ♯26)。
PPR信号を受信しなかったとき(ステップ♯26のNo)、送信側制御部10は、本フローを終了する(エンド)。PPR信号を受信したとき、送信側制御部10は、第3時刻T3を送信側記憶部11に記憶させる(ステップ♯27、図5参照)。第3時刻T3は、送信側通信部15がPPR信号の受信を開始した時刻である、さらに、送信側制御部10は、第4時刻T4を送信側記憶部11に記憶させる(ステップ♯28、図5参照)。第4時刻T4は、送信側通信部15がPPR信号の受信を終了した時刻である。
次に、送信側制御部10は、第5時刻T5を求める(ステップ♯29、図5参照)。第5時刻T5は、誤りフレームの送信が開始された時刻である。誤りフレームが複数ある場合、送信側制御部10は、送信時点が最も早い(順番が最も小さい)誤りフレームの送信開始時刻を求める。なお、送信側制御部10は、送信時点が最も遅い(順番が最も大きい)誤りフレームの送信開始時刻を第5時刻T5として求めてもよい。
第5時刻T5の求め方の一例を説明する。具体的に、送信側制御部10は、誤りフレームのフレーム番号を認識する。誤りフレームが複数ある場合、送信側制御部10は、いずれか1つのフレーム番号を選択する。そして、送信側制御部10は乗算値を求める。乗算値は、誤りフレームのフレーム番号にフレーム7のサイズを乗じた値である。次に、送信側制御部10は除算値を求める。除算値は、乗算値をメッセージ6の送信速度で除した値である。送信側制御部10は、第2時刻T2に除算値を加算して第5時刻T5を求める。
例えば、誤りフレームのフレーム番号が3である場合を説明する。この場合、3に264バイト(1フレーム7のサイズ)を乗ずる。乗算値は、792となる。1バイト=8ビットである。メッセージ6の送信速度が14400bpsの場合、メッセージ6の送信速度は、14400÷8=1800バイト/秒となる。除算値は、792÷1800=0.44(秒)となる。送信側制御部10は、第2時刻T2に0.44秒を加算して、第5時刻T5を求める。
そして、送信側制御部10は、第1所要時間B1を求める(ステップ♯210)。第1所要時間B1は、第1時刻T1から第5時刻T5までの時間である(図5において、白抜矢印の時間)。第1所要時間B1は、CFR信号を受信してから誤りフレームの送信を開始するまでの時間である。次に、送信側制御部10は、第2所要時間B2を求める(ステップ♯211)。第2所要時間B2は、第3時刻T3から第4時刻T4までの時間である。第2所要時間B2は、PPR信号の受信開始から終了までの時間である。
さらに、送信側制御部10は、第1所要時間B1と第2所要時間B2の和を再送待ち時間B3と定める(ステップ♯212、図11参照)。CFR信号を受信してから誤りフレームの送信を開始するまでの時間に、PPR信号の受信に要する時間が追加される。そして、送信側制御部10は、再送メッセージ8を生成し、再送メッセージ8の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯213)。具体的に、送信側制御部10は、同期信号61の送信を送信側通信部15に開始させる。
送信側制御部10は、PPR信号を受信すると、再送メッセージ8を生成する。再送メッセージ8は、再送フレーム9を送信するためのメッセージ6である。図10に示すように、再送メッセージ8は、メッセージ6と同様の構造を有する。再送メッセージ8は、同期信号61、符号化データ部62(Facsimile coded data)、RCPフレーム63を含む。順番は、同期信号61、符号化データ部62、RCPフレーム63の順である。
そして、送信側制御部10は、誤りフレームに対応するフレーム7のみを再送メッセージ8(符号化データ部62)に含める。送信側制御部10は、直前に送信したメッセージ6に含まれるフレーム7のうち、誤りフレームと同じフレーム番号のフレーム7のみを再送フレーム9とする。再送フレーム9の内容は、誤りフレームに対応するフレーム7と同じである。
送信側制御部10は、求めた再送待ち時間B3が上限値17以下か否かを確認する(ステップ♯214)。上限値17は予め定められる(図2参照)。上限値17は、エラーの原因がエコー信号か否かを判定するための値である。エコー信号は反射波なので、メッセージ6の送信開始から比較的早い時点でフレーム7と重なるはずである。メッセージ6の後半や最後のフレーム7で誤りフレームが生じた場合、エコー信号が原因でない可能性が高い。上限値17は適宜定めることができる。上限値17は、0よりも大きい時間とできる。例えば、上限値17は、固定の値でもよい。また、上限値17は、CFR信号を受信してから最初のメッセージ6の送信完了までに要した時間の1/2程度でもよい。
求めた再送待ち時間B3が上限値17以下のとき(ステップ♯214のYes)、送信側制御部10は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過すると再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯215)。一方、求めた再送待ち時間B3が上限値17を超えるとき(ステップ♯214のNo)、PPR信号の受信終了後、再送待ち時間B3の経過を待たずに、再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる(ステップ♯216)。ステップ♯215、ステップ♯216により、本フローは終了する。
図11を用いて、再送待ち時間B3だけ待つときと待たないときの再送フレーム9の送信タイミングの違いの一例を説明する。図11のうち、上方の図は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過するまで再送フレーム9の送信開始を待つ場合を示す。図11のうち、下方の図は、再送フレーム9の送信開始を待たない場合を示す。
再送待ち時間B3が経過するまで待つ、待たないを問わず、PPR信号の受信終了後、送信側制御部10は、再送メッセージ8の送信を速やかに送信側通信部15に開始させる。再送メッセージ8の送信開始時、送信側制御部10は、最初に同期信号61を送信側通信部15に送信させる。再送待ち時間B3が経過するまで待たない場合、送信側制御部10は、基準長さの同期信号61を送信した後、再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる(図11の下方の図)。
再送待ち時間B3が経過するまで待つ場合、送信側制御部10は、再送待ち時間B3が経過するまで、同期信号61の送信を送信側通信部15に継続させる(図11の上方の図)。同期信号61の継続時間は、基準長さを超える。送信側制御部10は、再送待ち時間B3から再送フレーム9の送信が開始されるように、同期信号61の送信を繰り返す時間の長さを調整する。図11に示すように、再送待ち時間B3が経過するまで待つ場合の同期信号61の送信時間1は、再送待ち時間B3が経過するまで待たない場合の同期信号61の送信時間2(基準長さ)に比べ、送信継続時間が明らかに長くなる。同期信号61は、同期をとるために用いられるので、送信時間が長くなっても問題がない。
なお、第1モードで動作させて通信をモデム(送信側モデム16)に行わせるときのみ、送信側制御部10は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過してから再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始するようにしてもよい。第2モードで動作させて通信をモデムに行わせるとき、送信側制御部10は、同期信号61の長さを基準長さとする。送信側制御部10は、再送待ち時間B3の経過を待たずに、再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させてもよい。エコー信号に強い通信モードでは、再送待ち時間B3待たないようにしてもよい。
このようにして、実施形態に係るファクシミリ装置(送信側ファクシミリ装置1)は、送信側通信部15、送信側制御部10を含む。送信側通信部15は、ファクシミリ通信を行うための送信側モデム16を含み、画像データを受信させる受信側ファクシミリ装置2と送受信を行う。送信側制御部10は、画像データを複数に分割する。送信側制御部10は符号化データ部62を含むメッセージ6を生成する。送信側制御部10は、符号化データ部62に複数のフレーム7を含ませる。送信側制御部10は、分割した画像データをフレーム7に含ませる。送信側制御部10は、それぞれのフレーム7にフレーム番号を付す。送信側制御部10はメッセージ6を送信側通信部15に送信させる。送信側制御部10は、送信側通信部15が受信側ファクシミリ装置2からのCFR信号を受信した後、メッセージ6の送信を送信側通信部15に開始させる。送信側制御部10は、受信側ファクシミリ装置2から、メッセージ6に含まれるフレーム7のうち、エラーを含む誤りフレームのフレーム番号を通知するPPR信号を送信側通信部15が受信したとき、CFR信号の受信開始から誤りフレームの送信開始までの第1所要時間B1を求める。送信側制御部10は、第1所要時間B1よりも長い時間を再送待ち時間B3と定める。送信側制御部10は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過すると誤りフレームに対応するフレーム7である再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる。
この構成によれば、PPR信号の受信後、速やかに再送フレーム9の送信を開始するのではなく、再送待ち時間B3が経過するまで待つ。フレーム7を再送するとき、CFR信号の受信開始から誤りフレームの送信を開始するまでの時間よりも、PPR信号の受信から再送フレーム9の送信を開始するまでの時間を長くすることができる。再送フレーム9の送信開始タイミングを遅らせることができる。PPR信号の受信から再送フレーム9の送信開始までの時間を意図的に広げることで、PPR信号のエコー信号が再送フレーム9に重なることを防ぐことができる。従って、エラーが生じたフレーム7を再送するとき、正しく再送フレーム9を送受信することができる。VoIP環境でも、エコー信号の影響が出ないように再送フレーム9を送信することができる。
ファクシミリ装置(送信側ファクシミリ装置1)は、送信側記憶部11を含む。送信側制御部10は、送信側通信部15がCFR信号の受信を開始した時刻である第1時刻T1を送信側記憶部11に記憶させる。送信側制御部10は、メッセージ6に含まれるフレーム7のうち、送信側通信部15が先頭のフレーム7の送信を開始した時刻である第2時刻T2を送信側記憶部11に記憶させる。送信側制御部10は、送信側通信部15がPPR信号の受信を開始した時刻である第3時刻T3を送信側記憶部11に記憶させる。送信側制御部10は、送信側通信部15がPPR信号の受信を終了した時刻である第4時刻T4を送信側記憶部11に記憶させる。送信側制御部10は、第2時刻T2と誤りフレームのフレーム番号に基づき、誤りフレームの送信が開始された第5時刻T5を求める。送信側制御部10は、第1時刻T1から第5時刻T5までの時間である第1所要時間B1を求める。送信側制御部10は、第3時刻T3から第4時刻T4までの時間である第2所要時間B2を求める。送信側制御部10は、第1所要時間B1と第2所要時間B2の和を再送待ち時間B3と定める。CFR信号の受信開始から誤りフレームの送信開始までの時間に、PPR信号の受信開始から受信終了までの時間を加えた時間を再送待ち時間B3とすることができる。PPR信号のエコー信号が再送フレーム9に混入しない時点まで、再送フレーム9の送信開始タイミングを遅らせることができる。PPR信号のエコー信号の影響が出ないように、再送フレーム9を送信することができる。
送信側制御部10は、フレーム番号に1つのフレーム7のサイズを乗じた値である乗算値を求める。送信側制御部10は、乗算値をメッセージ6の送信速度で除した除算値を求める。送信側制御部10は、第2時刻T2に除算値を加算して第5時刻T5を求める。第5時刻T5を正確に求めることができる。PPR信号のエコー信号の影響が出ないように、再送待ち時間B3を定めることができる。
送信側制御部10は、PPR信号の受信後、再送フレーム9の送信開始前に再送メッセージ8の送信を送信側通信部15に開始させる。再送メッセージ8の送信開始から再送フレーム9の送信開始までの間、送信側制御部10は、同期信号61を送信側通信部15に送信させる。再送待ち時間B3から再送フレーム9の送信が開始されるように、送信側制御部10は、同期信号61の送信を繰り返す時間の長さを調整する。再送フレーム9の送信前に同期をとるための信号を送信することができる。同期信号61の送信を繰り返す時間を調整するだけで、再送フレーム9の送信開始時点を調整することができる。受信側ファクシミリ装置2が、PPR信号の送信後、応答なし(タイムアウト)と判断することを防ぐことができる。
再送待ち時間B3が長すぎるとき、エラーの原因はエコー信号ではない可能性が高い。そこで、求めた再送待ち時間B3が予め定められた上限値17以下のとき、送信側制御部10は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過すると再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる。求めた再送待ち時間B3が上限値17を超えるとき、送信側制御部10は、PPR信号の受信終了後、再送待ち時間B3の経過を待たずに、再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる。エラーの原因がエコー信号と考えられる場合のみ、再送フレーム9の送信タイミングを遅らせることができる。エラーの原因がエコー信号と考えられない場合、再送フレーム9の送信タイミングを遅らせないようにすることができる。必要がないのに再送フレーム9の送信タイミングを遅らせないようにすることができる。
モデム(送信側モデム16と受信側モデム26)は複数の通信モードで動作可能である。送信側モデム16を第1モードで動作させてメッセージ6の送信を行わせるとき、送信側制御部10は、PPR信号の受信開始から再送待ち時間B3が経過すると再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる。送信側モデム16を第2モードで動作させてメッセージ6の送信を行わせるとき、送信側制御部10は、PPR信号の受信終了後、再送待ち時間B3の経過を待たずに、再送フレーム9の送信を送信側通信部15に開始させる。モデムの通信モードが特定のモードのときだけ、再送フレーム9の送信タイミングを遅らせることができる。
本発明に係るファクシミリ通信システム100は送信側ファクシミリ装置1と受信側ファクシミリ装置2を含む。送信側ファクシミリ装置1は、上述のファクシミリ装置である。受信側ファクシミリ装置2は、受信したメッセージ6に含まれるそれぞれのフレーム7にエラーがあるか否かを判定する。受信側ファクシミリ装置2は、受信したフレーム7にエラーがあると判定したとき、PPR信号を送信側ファクシミリ装置1に送信する。エコー信号によるエラーなしに、再送フレーム9を送受信可能なファクシミリ通信システム100を提供することができる。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。