JP2019199824A - 過給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターボコンプレッサの上流側の異常を検出する技術を提供する。【解決手段】本開示の過給制御装置は、流量取得部と圧力判定部と異常判定部とを備えている。S404において流量取得部は、ターボコンプレッサの下流吸気流量を取得する。S406、S408において圧力判定部は、下流吸気流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、圧力センサが検出するターボコンプレッサの上流側圧力が、電動コンプレッサの駆動が要求されてから第1の所定圧以上に上昇し、第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化したか否かを判定する。S412、S414、S418において異常判定部は、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下するように変化していない場合、過給システムにおいてターボコンプレッサの上流側の異常であると判定する。【選択図】図2

Description

本開示は、ターボ過給機と電動コンプレッサとを備える過給システムを制御する過給制御装置に関する。
ターボ過給機による過給を開始してから過給圧が目標過給圧に達するまでの過給遅れを低減するために、過給開始時に電動コンプレッサを駆動して過給をアシストすることにより過給圧を速やかに上昇させる過給システムの技術が知られている。電動コンプレッサはターボ過給機のターボコンプレッサの上流側に設置される。
ターボコンプレッサの下流側の圧力が目標過給圧に達することを条件として電動コンプレッサの駆動を停止すると、電動コンプレッサのアシストがなくなる。その結果、ターボコンプレッサの下流側の圧力は目標過給圧よりも低下するので、ターボコンプレッサにより過給圧を目標過給圧に上昇させるまでに遅れが生じる。
この問題を解決するため、特許文献1に記載の技術では、ターボコンプレッサの下流側の圧力が目標過給圧に達すると、ターボコンプレッサによる過給圧の上昇に応じて電動コンプレッサの回転数を徐々に低下させることにより、ターボコンプレッサの下流側の圧力を目標過給圧に維持している。
そして、電動コンプレッサの回転数が低下して電動コンプレッサの下流側かつターボコンプレッサの上流側の圧力が十分に低下すると、ターボコンプレッサによる過給で目標過給圧を生成できるので、電動コンプレッサの駆動が停止される。電動コンプレッサの下流側かつターボコンプレッサの上流側の圧力は圧力センサで検出される。
特開2006−105034号公報
特許文献1に記載の技術では、圧力センサが異常になると、電動コンプレッサの下流側かつターボコンプレッサの上流側の圧力が十分に低下したことを検出できないので、電動コンプレッサを停止するタイミングを制御できない。また、過給システムにおいて、圧力センサだけでなく電動コンプレッサを含むターボコンプレッサの上流側が異常になると、電動コンプレッサによる過給を正常に制御できない。
ターボコンプレッサの上流側に設置された圧力センサおよび電動コンプレッサを含むターボコンプレッサの上流側に異常が発生すると、異常を検出して適切な処理を行う必要がある。しかし、特許文献1に記載の技術では、ターボコンプレッサの上流側の異常を検出することが考慮されていない。
本開示は、ターボコンプレッサの上流側の異常を検出する技術を提供することが望ましい。
本開示の過給制御装置(90)は、内燃機関(70)の排気通路に設置されたタービン(32)が排気ガスにより回転して吸気通路(100)に設置されたターボコンプレッサ(30)を回転させて吸気通路の吸気を過給するターボ過給機と、ターボコンプレッサの上流側に設置されて吸気を過給する電動コンプレッサ(10)と、ターボコンプレッサの上流側と電動コンプレッサの下流側との間に設置された圧力センサ(20)と、を備える過給システム(2)に適用される過給制御装置であって、流量取得部(S404)と、圧力判定部(S406、S408)と、異常判定部(S412、S414、S418)と、を備えている。
流量取得部は、ターボコンプレッサの下流側の下流吸気流量(200)を取得する。圧力判定部は、流量取得部が取得する下流吸気流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、圧力センサが検出するターボコンプレッサの上流側圧力(210)が、電動コンプレッサの駆動が要求されてから第1の所定圧以上に上昇し、第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化したか否かを判定する。
異常判定部は、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下するように変化していないと圧力判定部が判定すると、過給システムにおいてターボコンプレッサの上流側の異常であると判定する。
本開示の過給制御装置が適用される過給システムにおいて、圧力センサおよび電動コンプレッサを含むターボコプレッサの上流側が正常であれば、電動コンプレッサの駆動が要求されて電動コンプレッサが作動することにより、ターボコンプレッサの上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇することを圧力センサが検出できる。
そして、下流吸気流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、ターボコンプレッサによる過給圧の上昇、ならびに電動コンプレッサをバイパスするバイパス通路にバイパス弁が設置されている場合にはバイパス弁を開弁することの少なくともいずれか一方により、上流側圧力が第2の所定圧以下に低下していることを圧力センサが検出できる。
これに対し、ターボコンプレッサの上流側に異常が発生すると、下流吸気流量が所定流量になってから所定時間が経過したときに、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下するように変化していないか、変化したことを圧力センサが検出できない。ターボコンプレッサの上流側の異常原因は、電動コンプレッサが正常に作動しないか、あるいは圧力センサが上流側圧力を正常に検出できないかなどである。
そこで、本開示の過給制御装置では、下流吸気流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、電動コンプレッサの駆動が要求されてから、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化したか否かを判定する。
これにより、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下するように変化していない場合、過給システムにおいてターボコンプレッサの上流側に異常が発生したと判定できる。
尚、この欄および特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
本実施形態の過給システムを示すブロック図。 異常判定処理を示すフローチャート。 正常時のスロットル流量の変化と上流側圧力の変化とを示すタイムチャート。 異常時のスロットル流量の変化と上流側圧力の変化とを示すタイムチャート。 異常時の他のスロットル流量の変化と上流側圧力の変化とを示すタイムチャート。
以下、本開示の実施形態を図に基づいて説明する。
[1.構成]
図1に示す過給システム2は、例えばガソリンエンジン70に適用した例を示している。以下、ガソリンエンジンを単にエンジンとも言う。
電動コンプレッサ10は、電動モータで駆動され、吸気通路100の吸気を過給する。バイパス通路102は、電動コンプレッサ10をバイパスして電動コンプレッサ10の上流側から下流側に吸気を流す通路である。
バイパス弁12はバイパス通路102に設置されている。後述するECU90によりバイパス弁12が開閉されバイパス弁12の開度が制御されることにより、電動コンプレッサ10をバイパスしてバイパス通路102を流れる吸気流量が制御される。これにより、電動コンプレッサ10を流れる吸気流量が制御される。
圧力センサ20は、電動コンプレッサ10の下流側、かつ後述するターボコンプレッサ30の上流側の吸気通路100に設置されている。
ターボコンプレッサ30とタービン32とは図示しないシャフトにより結合されている。ターボコンプレッサ30は電動コンプレッサ10の下流側でかつバイパス通路102の下流側に設置されている。
タービン32は、排気通路110に設置されており、排気弁80が開弁してエンジン70のシリンダ72内から排気通路110に排出される排気ガスの排気圧により回転する。タービン32が回転することによりターボコンプレッサ30が回転し、吸気通路100の吸気が過給される。
排気バイパス通路112は、タービン32をバイパスしてタービン32の上流側から下流側に排気ガスを流す通路である。
WGV40は排気バイパス通路112に設置されている。WGVはWaste Gate Valveの略である。ECU90によりWGV40の開度が制御されることにより、タービン32をバイパスして排気バイパス通路112を流れる排気流量が制御される。これにより、タービン32を流れる排気流量が制御される。
インタークーラ50はターボコンプレッサ30の下流側に設置されており、ターボコンプレッサ30が過給する吸気を冷却する。
スロットル装置52は、インタークーラ50の下流側に設置されている。ECU90がスロットル装置52の開度を制御することにより、スロットル装置52を流れる吸気流量であるスロットル流量が制御される。そして、スロットル流量が制御されることにより、吸気通路100からエンジン70のシリンダ72内に吸入される吸気流量が制御される。
インタークーラ50とスロットル装置52との間には、過給圧センサ54が設置されている。過給圧センサ54は、ターボコンプレッサ30の下流側の吸気圧である過給圧を検出する圧力センサである。
吸気圧センサ60はインテークマニホールド62に設置されており、吸気弁82が開弁してシリンダ72内に吸入される吸気の圧力を検出する。
吸気弁82が開弁してシリンダ72内に吸入される吸気は、図示しないインジェクタが噴射する燃料と混合する。吸気と燃料との混合気は、点火プラグ84により点火されてシリンダ72内で燃焼する。
ECU90は、CPU92と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ94とを備えるマイクロコンピュータを中心に構成されている。ECUは、Electronic Control Unitの略である。以下、半導体メモリを単にメモリとも言う。ECU90は1つのマイクロコンピュータを搭載してもよいし、複数のマイクロコンピュータを搭載してもよい。
ECU90の各種機能は、CPU92が非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ94が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。このプログラムをCPU92が実行することで、プログラムに対応する方法が実行される。
ECU90の各種機能を実現する手法は、ソフトウェアに限るものではなく、一部の要素または全部の要素を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いてもよい。
ECU90は、圧力センサ20、過給圧センサ54、吸気圧センサ60、大気圧センサ96等のセンサ群からエンジン運転状態を取得する。ECU90は、センサ群から取得するエンジン運転状態に基づいて、電動コンプレッサ10、バイパス弁12、WGV40、スロットル装置52、点火プラグ84、図示しないインジェクタ等の作動を制御する。
[2.処理]
ECU90が実行する異常判定処理について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
図2に示す異常判定処理のフローチャートは、ECU90により所定時間間隔で常時実行される。
S400においてECU90は、圧力センサ20、過給圧センサ54、吸気圧センサ60、大気圧センサ96等のセンサ群から検出値を取得する。
S402においてECU90は、電動コンプレッサ10に対する駆動要求がオンになっているか否かを判定する。例えばアクセルペダルが踏み込まれ車両に対して加速要求がある場合、あるいは自動追尾制御で前方車両を追尾するために加速要求がある場合、電動コンプレッサ10に対する駆動要求はオンになる。
S402の判定がNoである、つまり電動コンプレッサ10に対する駆動要求がオフの場合、本処理は終了する。
S402の判定がYesである、つまり電動コンプレッサ10に対する駆動要求がオンの場合、S404においてECU90は、電動コンプレッサ10とターボコンプレッサ30との過給により、スロットル装置52を流れるスロットル流量が所定流量以上になったことがあるか否かを判定する。
S404において、ECU90は、スロットル装置52の開度と、スロットル装置52の上流側の圧力と、下流側の圧力と、に基づいてスロットル流量を算出して取得する。スロットル装置52の上流側の圧力は過給圧センサ54により検出され、スロットル装置52の下流側の圧力は吸気圧センサ60により検出される。
ECU90は、目標過給圧と大気圧センサ96が検出する大気圧との比、ならびにWGV40の目標開度を入力パラメータとして、図示しない特性マップからS404の判定で使用する所定流量を取得する。特性マップは、過給システム2を車両に搭載した状態において、想定される車両の運転状態の範囲内で入力パラメータの値を変化させたときに、ターボコンプレッサ30の下流側の圧力が目標過給圧になるために必要な所定流量を予め測定して作成されている。
S404の判定がNoである、つまり電動コンプレッサ10の駆動要求がオンになってから、まだスロットル流量が所定流量以上になったことがない場合、本処理は終了する。
S404の判定がYesである、つまり電動コンプレッサ10の駆動要求がオンになってからスロットル流量が所定流量以上になったことがある場合、S406においてECU90は、ターボコンプレッサ30の上流側圧力が第1の所定圧以上になったことがあるか否かを判定する。ターボコンプレッサ30の上流側圧力を、単に上流側圧力とも言う。
スロットル流量が最初に所定流量以上になってS404の判定がYesになると、次回以降のS404の判定はYesになる。図1では、スロットル流量Q1をスロットル装置52の下流側で取得することが図示されているが、スロットル装置52の上流側でスロットル流量を取得してもよい。スロットル装置52を流れるスロットル流量はスロットル装置52の上流側と下流側とで同じである。
なお、ECU90は、S404においてスロットル流量が最初に所定流量以上になったと判定したときに、スロットル流量が所定流量以上になってからの経過時間のカウントを計測カウンタ等により開始する。
S406において上流側圧力と比較する第1の所定圧は、電動コンプレッサ10に対する駆動要求がオンになり電動コンプレッサ10が作動するときに、吸気温度等に基づいて設定される、上流側圧力が上昇するときの最低圧力である。
S406の判定がNoである、つまり上流側圧力が第1の所定圧以上になったことがない場合、処理はS414に移行する。
S406の判定がYesである、つまり上流側圧力が第1の所定圧以上になったことがある場合、S408においてECU90は、上流側圧力が第2の所定圧以下であるか否かを判定する。
ここで、電動コンプレッサ10および圧力センサ20を含むターボコンプレッサ30の上流側が正常であれば、図3に示すように、電動コンプレッサ10の駆動要求がオンになり電動コンプレッサ10が作動を開始することにより、スロットル流量200と上流側圧力210とは上昇する。
そして、上流側圧力210が第1所定圧以上に上昇した後、電動コンプレッサ10の回転数が一定になることにより上流側圧力210が第1の所定圧以上の一定圧になることを圧力センサ20が検出する。電動コンプレッサ10の回転数が一定になると、電動コンプレッサ10による過給圧は一定になる。
ECU90は、電動コンプレッサ10とターボコンプレッサ30との過給によりスロットル流量200が所定流量以上になると、バイパス弁12に開弁を要求して電動コンプレッサ10を流れる吸気流量を低減することにより、ターボコンプレッサ30の下流側の圧力を目標過給圧に制御する。
バイパス弁12を開弁して電動コンプレッサ10を流れる吸気流量を低減することにより電動コンプレッサ10による過給アシストが低減すると、上流側圧力210は低下する。さらに、ターボコンプレッサ30による過給圧が上昇することにより、上流側圧力210は低下する。
前述した第2の所定圧は、例えば、バイパス弁12の開度とターボコンプレッサ30による過給圧とのうち少なくとも一方に応じて設定される、上流側圧力210が低下するときの最大圧力である。
その結果、図3に示すように、第1の所定圧以上に上昇した上流側圧力210は、第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下する。この場合、ECU90は、電動コンプレッサ10による過給アシストが低減しているので、電動コンプレッサ10の駆動を停止してもターボコンプレッサ30による過給で目標過給圧を生成できると判断する。
したがって、S408の判定がYesである、つまり、図3に示すように、スロットル流量200が所定流量以上になっているときに、第1の所定圧以上に上昇した上流側圧力210が第2の所定圧以下になっていると、ECU90は、電動コンプレッサ10とバイパス弁12と圧力センサ20とを含むターボコンプレッサ30の上流側は正常であると判断する。
この場合、ECU90は、電動コンプレッサ10を停止してもターボコンプレッサ30だけで目標過給圧を生成できると判断し、S410において電動コンプレッサ10の駆動を停止し、本処理を終了する。
S412においてECU90は、バイパス弁12に対し開弁を要求しているか否かを判定する。S414の判定がNoである、つまりバイパス弁12に対し開弁を要求していない場合、ECU90は、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下していないのはバイパス弁12に開弁を要求していないためだと判断し、本処理を終了する。
S412の判定がYesである、つまり、上流側圧力が第1の所定圧以上になりバイパス弁12に対し開弁を要求している場合、処理はS414に移行する。
S414においてECU90は、スロットル流量が所定流量以上になってから所定時間が経過しているか否かを判定する。
以下、S414の判定で使用される所定時間がどのように設定されるかを説明する。所定時間は、吸気管遅れ時間と燃焼遅れ時間と過給遅れ時間との合計時間で設定される。ECU90は、吸気管遅れ時間と燃焼遅れ時間と過給遅れ時間とを次のように各種パラメータに基づいて設定する。
(1)吸気管遅れ時間
ECU90は、吸気管時定数から吸気管遅れ時間を算出する。ECU90は、吸気圧センサ60が検出するインテークマニホールド62内の吸気圧と、排気圧と、スロットル装置52を通過してからシリンダ72内に吸入されるまでに吸気が通過する各種吸気装置の状態とを入力パラメータとして、図示しないマップから吸気管遅れ時間を取得する。吸気装置の状態とは、例えば吸気弁82の開度である。
ECU90は、本実施形態のように排気圧センサが設置されていない過給システム2では、スロットル流量とエンジン回転数とWGV40の開度とから排気圧を推定してもよい。
(2)燃焼遅れ時間
燃焼遅れ時間は、吸気弁82からシリンダ72内に吸入された吸気が燃料と混合して燃焼し、排気弁80から排出されるまでの時間である。つまり、燃焼遅れ時間は、吸入行程の開始から排気行程の終了までの時間である。ECU90は、入力パラメータとしてエンジン回転数から燃焼遅れ時間を算出する。
(3)過給遅れ時間
ECU90は、シリンダ72内から排出される排気流量と現在のWGV40の開度とを入力パラメータとして、図示しない車両特性マップからタービン32を流れる排気流量であるタービン流量を取得する。ECU90は、過給圧センサ54が検出する過給圧と大気圧センサ96が検出する大気圧との比と、WGV40の開度とから、シリンダ72内から排出される排気流量を算出する。
タービン流量を取得するための車両特性マップは、過給システム2を車両に搭載した状態で想定される車両の運転状態の範囲内で、シリンダ72内から排出される排気流量とWGV40の開度とを変化させたときのタービン流量を予め測定して作成されている。
ECU90は、車両特性マップから取得するタービン流量と、排気圧と大気圧との比とを入力パラメータとして、図示しない過給機特性マップからタービン32の回転数を取得する。過給機特性マップは、ターボコンプレッサ30とタービン32とを備えるターボ過給機単体で、想定される車両の運転状態の範囲内で排気圧と大気圧とタービン流量とを変化させたときのタービン回転数を予め測定して作成されている。
ECU90は、車両特性マップから取得するタービン流量と、過給機特性マップから取得するタービン回転数とを入力パラメータとして、図示しない他の車両特性マップから過給遅れ時間を取得する。過給遅れ時間を取得するための車両特性マップは、過給システム2を車両に搭載した状態で想定される車両の運転状態の範囲内で、タービン回転数とタービン流量とを変化させたときの過給遅れ時間を予め測定して作成されている。
S414の判定がNoである、つまりスロットル流量が所定流量以上になってから所定時間が経過していない場合、ECU90は、まだターボコンプレッサ30の上流側の異常を判定するタイミングではないと判断し、本処理を終了する。
S414の判定がYesである、つまりスロットル流量が所定流量以上になってから所定時間が経過している場合、ターボコンプレッサ30の上流側が正常であれば、図3に示すように、スロットル流量200が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、上流側圧力210は、第1の所定圧以上に上昇し、第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化している筈である。
ここで、S414が実行されるのは、S406の判定がNoの場合か、あるいはS408の判定がNoであり、かつS412の判定がYesの場合である。
S406の判定がNoであり、かつS414の判定がYesであることは、図4に示すように、スロットル流量200が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、ターボコンプレッサ30の上流側圧力210が第1の所定圧以上になったことがないことを表している。この場合、ターボコンプレッサ30の上流側は異常であると考えられる。
また、S408の判定がNoであり、かつS412の判定がYesであり、かつS414の判定がYesであることは、図5に示すように、スロットル流量200が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、上流側圧力210が第1の所定圧以上に上昇してから、バイパス弁12に開弁が要求されているのに上流側圧力210が第2の所定圧以下に低下していないことを表している。
この場合、ターボコンプレッサ30の上流側であるバイパス弁12または圧力センサ20の異常であると考えられる。
S416においてECU90は、ターボコンプレッサ30の上流側の過給システム2に異常が発生しているので、電動コンプレッサ10の駆動を停止する。そして、ステップ418においてECU90は、異常判定フラグをオンにし、本処理を終了する。
異常判定フラグがオンになることにより、電動コンプレッサ10の駆動を停止する以外の適切な異常処理が実行される。
[3.効果]
以上説明した本実施形態によると、以下の効果(1)、(2)を得ることができる。
(1)スロットル流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、ターボコンプレッサ30の上流側圧力が、第1の所定圧以上に上昇してから第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化したか否かを判定する。
ターボコンプレッサ30の上流側圧力が、第1の所定圧以上に上昇してから第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化すると、過給システム2においてターボコンプレッサ30の上流側は正常に作動していると判定できる。
これに対し、上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから第2の所定圧以下に低下するように変化していない場合、過給システム2においてターボコンプレッサ30の上流側の異常であると判定できる。
(2)スロットル流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したタイミングで、ターボコンプレッサ30の上流側が異常であるか否かを判定している。所定時間は、吸気圧、排気圧、エンジン回転数、WGV40の開度等のパラメータに基づいて変化する吸気管遅れ時間と燃焼遅れ時間と過給遅れ時間との合計として可変に設定される。
したがって、例えば、吸気管遅れ時間と燃焼遅れ時間と過給遅れ時間との合計の最大値を固定値として所定時間に設定する場合に比べ、ターボコンプレッサ30の上流側が異常であることを極力早いタイミングで判定できる。
以上説明した本実施形態において、ターボコンプレッサ30とタービン32とがターボ過給機に対応し、エンジン70が内燃機関に対応し、ECU90が過給制御装置に対応し、スロットル流量がターボコンプレッサ30の下流側の下流吸気流量に対応する。
また、S404が流量取得部の処理に対応し、S406、S408が圧力判定部の処理に対応し、S412、S414、S418が異常判定部の処理に対応し、S416が駆動制御部の処理に対応する。
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)上記実施形態の図2のS414で実行される、スロットル流量が所定流量以上なってから所定時間が経過したか否かの判定を、図2の位置からS404とS406との間の位置に移動して実行してもよい。この場合、S414の判定がYesであればS406が実行され、S414の判定がNoであれば処理が終了される。
(2)上記実施形態では、バイパス弁12の開度を制御して電動コンプレッサ10を流れる吸気流量を制御することにより、電動コンプレッサ10の過給圧を制御した。
これに対し、電動コンプレッサ10の回転数を電流制御できるのであれば、電動コンプレッサ10を電流制御することにより電動コンプレッサ10の過給圧を制御してもよい。この場合、過給システムは、バイパス通路102とバイパス弁12とを備えていない構成でもよい。
(3)上記実施形態では、目標過給圧を生成するために必要な吸気流量として、スロットル装置52を流れるスロットル流量を取得した。スロットル流量以外にも、目標過給圧を生成するために必要な吸気流量として、ターボコンプレッサ30の下流側の吸気通路100であればどの位置の吸気流量を取得してもよい。
この場合、吸気通路100にスロットル装置が設置されていない構成でもよい。スロットル装置が設置されていない場合、吸気管遅れ時間として、吸気流量を取得する位置から吸気がシリンダ内に吸入されるまでの時間が算出される。
(4)内燃機関は、上記実施形態で例示したガソリンエンジン70に限るものではなく、ディーゼルエンジンであってもよい。
(5)上記実施形態における一つの構成要素が有する複数の機能を複数の構成要素によって実現したり、一つの構成要素が有する一つの機能を複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を一つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される一つの機能を一つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。尚、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
(6)上述したECU90の他、当該ECUを構成要素とする過給システム2、当該ECU90としてコンピュータを機能させるための過給制御プログラム、この過給制御プログラムを記録した記録媒体、過給制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
2:過給システム、10:電動コンプレッサ、12:バイパス弁、20:圧力センサ、30:ターボコンプレッサ(ターボ過給機)、32:タービン(ターボ過給機)、52:スロットル装置、70:エンジン(内燃機関)、72:シリンダ、90:ECU(過給制御装置)、100:吸気通路、102:バイパス通路、110:排気通路、200:スロットル流量(下流吸気流量)、210:上流側圧力

Claims (5)

  1. 内燃機関(70)の排気通路(110)に設置されたタービン(32)が排気ガスにより回転して吸気通路(100)に設置されたターボコンプレッサ(30)を回転させて吸気通路の吸気を過給するターボ過給機と、前記ターボコンプレッサの上流側に設置されて吸気を過給する電動コンプレッサ(10)と、前記ターボコンプレッサの上流側と前記電動コンプレッサの下流側との間に設置された圧力センサ(20)と、を備える過給システム(2)に適用される過給制御装置(90)であって、
    前記ターボコンプレッサの下流側の下流吸気流量(200)を取得するように構成された流量取得部(S404)と、
    前記流量取得部が取得する前記下流吸気流量が所定流量以上になってから所定時間が経過したときに、前記圧力センサが検出する前記ターボコンプレッサの上流側圧力(210)が、前記電動コンプレッサの駆動が要求されてから第1の所定圧以上に上昇し、前記第1の所定圧よりも低い第2の所定圧以下に低下するように変化したか否かを判定するように構成された圧力判定部(S406、S408)と、
    前記上流側圧力が第1の所定圧以上に上昇してから前記第2の所定圧以下に低下するように変化していないと前記圧力判定部が判定すると、前記過給システムにおいて前記ターボコンプレッサの上流側の異常であると判定するように構成された異常判定部(S412、S414、S418)と、
    を備える過給制御装置。
  2. 請求項1に記載の過給制御装置であって、
    前記所定時間は、前記下流吸気流量が前記所定流量以上になってから前記流量取得部が前記下流吸気流量を取得する位置の吸気がシリンダ(72)内に吸入されるまでの吸気管遅れ時間と、吸気が前記シリンダ内に吸入されてから燃料と燃焼して排気ガスとして排出されるまでの燃焼遅れ時間と、排気ガスにより前記タービンが回転するまでの過給遅れ時間との合計時間である、
    過給制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の過給制御装置であって、
    前記異常判定部は、前記下流吸気流量が前記所定流量以上になってから前記所定時間が経過したときに、前記電動コンプレッサの駆動が要求されてから前記上流側圧力が前記第1の所定圧以上に上昇したことがないと前記圧力判定部が判定すると、前記ターボコンプレッサの上流側の異常であると判定するように構成されている、
    過給制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の過給制御装置であって、
    前記過給システムは、前記電動コンプレッサをバイパスして吸気を流すバイパス通路(102)と、前記バイパス通路に設置され、開閉することにより前記電動コンプレッサを流れる吸気流量を制御するバイパス弁(12)とを備えており、
    前記異常判定部(S412)は、前記下流吸気流量が前記所定流量以上になってから前記所定時間が経過したときに、前記電動コンプレッサの駆動が要求されてから前記上流側圧力が前記第1の所定圧以上に上昇した後、前記第2の所定圧以下に低下せず、さらに、前記バイパス弁の開弁が要求されている場合、前記ターボコンプレッサの上流側の異常であると判定するように構成されている、
    過給制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の過給制御装置であって、
    前記異常判定部が前記ターボコンプレッサの上流側の異常であると判定すると、前記電動コンプレッサを停止するように構成された駆動制御部(S416)をさらに備える、
    過給制御装置。
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