JP2019199404A - 不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷の大きな廃棄物を副生する重金属酸化剤、有機過酸化物などの酸化剤や、反応液に溶け込んでしまい再使用が出来ない錯体触媒を使用することなく、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、安全に、比較的高収率で製造することのできる製造方法の提供。【解決手段】周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容された触媒カートリッジ1に、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類と、過酸化水素水を導入し、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物類を連続的に製造する。【選択図】図1
Description
本発明は、周期律表第8〜10族の金属元素を有効成分として含む触媒が収容された触媒カートリッジに、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類と過酸化水素水を導入し、連続的にα,β−不飽和ケトン化合物を製造する方法に関する。
α,β−不飽和ケトン化合物の合成反応は、香料、樹脂、医薬品や農薬の製造における基盤的な反応として知られている。
α,β−不飽和ケトン化合物類をアリルアルコール類から酸化反応により製造する方法としては、二酸化マンガンを酸化剤として用いるもの(非特許文献1)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン触媒存在下、過ヨウ素酸を再酸化剤として用いるもの(非特許文献2)、過マンガン酸ナトリウムを酸化剤として用いるもの(非特許文献3)、過マンガン酸銅を酸化剤として用いるもの(非特許文献4)、セレン化合物を促進剤とし過酸化−t−ブチルを酸化剤として用いるもの(非特許文献5)、過マンガン酸バリウムを酸化剤として用いるもの(非特許文献6)等が一般的に用いられている。
α,β−不飽和ケトン化合物類をアリルアルコール類から酸化反応により製造する方法としては、二酸化マンガンを酸化剤として用いるもの(非特許文献1)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン触媒存在下、過ヨウ素酸を再酸化剤として用いるもの(非特許文献2)、過マンガン酸ナトリウムを酸化剤として用いるもの(非特許文献3)、過マンガン酸銅を酸化剤として用いるもの(非特許文献4)、セレン化合物を促進剤とし過酸化−t−ブチルを酸化剤として用いるもの(非特許文献5)、過マンガン酸バリウムを酸化剤として用いるもの(非特許文献6)等が一般的に用いられている。
また、酸化剤として、安価で腐食性がなく、反応後の副生物が水であるため環境負荷が低く、工業的に利用するのに優れている過酸化水素を用いたα,β−不飽和ケトン化合物類を製造する方法としては、アンモニウム塩を含むタングステン触媒を用いる反応(非特許文献7)、マンガン触媒を用いる反応(非特許文献8)、安価な鉄錯体を用いる反応(特許文献1)が知られている。
さらに、酸化剤として上述の優れた過酸化水素を用い、入手容易で回収再使用可能な固体触媒を用いたα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法として、白金黒などの周期律表第8〜10族に属する金属化合物を触媒として用いる反応が知られている(特許文献2)。
J.Org.Chem.1961,26,2973.
Synthesis,1987,848.
Tetrahedron Lett.1981,22,1655.
J.Org.Chem.1982,47,2790.
J.Org.Chem.1982,47,837.
Bull.Chem.Soc.Jpn.1983,56,914.
Bull.Chem.Soc.Jpn.1999,72,2287.
Org.Lett.2015,17,54.
本発明者らは、α,β−不飽和ケトン化合物類をアリルアルコール類から酸化反応により製造する従来の製造方法について検討したが、それぞれ、次の(1)〜(3)のような問題点を有することを認識した。
(1)非特許文献1〜6に記載された一般に用いられている重金属酸化剤や有機過酸化物を用いる方法は、毒性の高い副生物の発生や酸化剤の腐食性の点で環境に与える負荷が大きく、また副生物の分離と処理に多大なコストがかかるため、省エネルギーと品質の両面から工業的に優れた方法ではない。
(2)酸化剤として過酸化水素を使用し、タングステン触媒、マンガン触媒、鉄錯体などを用いる反応では、触媒が一回の反応で反応溶液に溶け込んでしまい、再使用が不可能であるし、タングステン触媒、マンガン触媒を用いる場合では、エポキシ化も同時に進行するため、α,β−不飽和ケトン化合物類が選択的に得られない。また、過酸化水素の急速な反応進行による爆発の危険性を回避するため、過酸化水素の添加を滴下により行う必要があり、工業的製造方法としては効率が非常に低い。
(3)前記特許文献2の固体触媒を用いる反応は、反応液をろ過等の分離操作と触媒の水洗浄による触媒の回収再使用が比較的容易であり、収率も比較的高いという利点を有するが、反応容器に原料、酸化剤、触媒を導入して混合する方法であり、高価な白金黒などの触媒を用いると、単位製品量当たりの触媒コストが大きくなりすぎ、経済的でない。また、過酸化水素を一気に加えると反応容器内で過酸化水素の急速な反応進行による選択性の低下や爆発の危険性があるため、過酸化水素を滴下する必要があり、工業的製造方法としては効率が非常に低い。さらに、非水溶性のアリルアルコール類の油性溶液と過酸化水素水溶液の不均一溶液系で反応させるため、激しく攪拌して基質、過酸化水素、触媒が接触する効率を高める必要がある。
(1)非特許文献1〜6に記載された一般に用いられている重金属酸化剤や有機過酸化物を用いる方法は、毒性の高い副生物の発生や酸化剤の腐食性の点で環境に与える負荷が大きく、また副生物の分離と処理に多大なコストがかかるため、省エネルギーと品質の両面から工業的に優れた方法ではない。
(2)酸化剤として過酸化水素を使用し、タングステン触媒、マンガン触媒、鉄錯体などを用いる反応では、触媒が一回の反応で反応溶液に溶け込んでしまい、再使用が不可能であるし、タングステン触媒、マンガン触媒を用いる場合では、エポキシ化も同時に進行するため、α,β−不飽和ケトン化合物類が選択的に得られない。また、過酸化水素の急速な反応進行による爆発の危険性を回避するため、過酸化水素の添加を滴下により行う必要があり、工業的製造方法としては効率が非常に低い。
(3)前記特許文献2の固体触媒を用いる反応は、反応液をろ過等の分離操作と触媒の水洗浄による触媒の回収再使用が比較的容易であり、収率も比較的高いという利点を有するが、反応容器に原料、酸化剤、触媒を導入して混合する方法であり、高価な白金黒などの触媒を用いると、単位製品量当たりの触媒コストが大きくなりすぎ、経済的でない。また、過酸化水素を一気に加えると反応容器内で過酸化水素の急速な反応進行による選択性の低下や爆発の危険性があるため、過酸化水素を滴下する必要があり、工業的製造方法としては効率が非常に低い。さらに、非水溶性のアリルアルコール類の油性溶液と過酸化水素水溶液の不均一溶液系で反応させるため、激しく攪拌して基質、過酸化水素、触媒が接触する効率を高める必要がある。
本発明者らは、前記特許文献2の固体触媒を用いる反応の上記利点等に着目し、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物類の製造に適用することを検討したが、収率が著しく低下することが判明した。本発明者らは収率の低下の原因について詳細に検討し、原料のアリルアルコール類の不飽和結合の還元や、生成物であるα,β−不飽和ケトン化合物類の分解等の副反応が進行することを見出した。そこで本発明者らは、用いる固体触媒や有機溶媒、過酸化水素濃度等の検討を試みたが、好ましい結果は得られなかった。
本発明は、上述のような従来技術やそれらについて本発明者らが認識した問題点などを背景としてなされたものであり、環境負荷の大きな廃棄物を副生する重金属酸化剤、有機過酸化物などの酸化剤や、反応液に溶け込んでしまい再使用が出来ない錯体触媒を使用することなく、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、安全に、比較的高収率で得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容された触媒カートリッジに、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類(以下、「基質」ということがある。)と過酸化水素水とを送液ポンプ等により導入することにより、種々の不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物類を連続的、安全に、比較的高収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
周期律表第8〜10族に属する金属元素の群から選択される金属元素を有効成分とする触媒を用いるアリルアルコール類の過酸化水素水による酸化反応においては、上記のとおり、過酸化水素をゆっくり加えないと、過酸化水素の急速な反応進行による選択性の低下や爆発の危険性がある。また、触媒と原料のアリルアルコール類または生成物のα,β−不飽和ケトン化合物の過剰な接触による副反応を回避するため、アリルアルコール類が触媒に対して大量に存在する反応場を形成することが常識であった。
そのような従来技術やその問題点に対し、本発明においては、触媒カートリッジにアリルアルコール類や過酸化水素を連続的に導入し、触媒カートリッジ内に存在するアリルアルコール類と過酸化水素の混合溶液量に比して触媒の金属元素がモル数の観点から大量に存在する反応場が形成されることにより、従来の常識的な技術的知見とは異なり、対応するα,β−不飽和ケトン化合物が連続的、安全に、比較的高収率で製造できることを見出した。
そのような従来技術やその問題点に対し、本発明においては、触媒カートリッジにアリルアルコール類や過酸化水素を連続的に導入し、触媒カートリッジ内に存在するアリルアルコール類と過酸化水素の混合溶液量に比して触媒の金属元素がモル数の観点から大量に存在する反応場が形成されることにより、従来の常識的な技術的知見とは異なり、対応するα,β−不飽和ケトン化合物が連続的、安全に、比較的高収率で製造できることを見出した。
また、従来、溶液反応においては、原料同士、または原料と酸化剤、反応促進剤などの反応試薬が相溶性を持たない場合、反応を円滑に進めるために原料と反応試薬が相互に溶解する溶媒を用いて両者の均一な溶液を予め調製した後に反応させる、または、不均一な反応溶液を激しく攪拌して基質、過酸化水素、触媒が接触する効率を高めると、選択性、収率などの点で有利であるとされていた。
本発明者らは、触媒カートリッジを活用した酸化反応について、様々な研究、実験、理論的な考察を行った結果、過酸化水素を酸化剤とする非水溶性のアリルアルコール類の酸化反応は、従来の技術常識とは異なり、非水溶性のアリルアルコール類と水溶性の過酸化水素水とを、それぞれ独立に送液ポンプなどで触媒カートリッジに導入して反応させた場合に、α,β−不飽和カルボニル化合物類が不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するものであっても、比較的高収率で生成することを知見した。このような知見は、従来の技術常識では到底予期できるものではなく、本発明者の弛まぬ実験研究の積み重ねによって見出された現象である。
本発明者らは、触媒カートリッジを活用した酸化反応について、様々な研究、実験、理論的な考察を行った結果、過酸化水素を酸化剤とする非水溶性のアリルアルコール類の酸化反応は、従来の技術常識とは異なり、非水溶性のアリルアルコール類と水溶性の過酸化水素水とを、それぞれ独立に送液ポンプなどで触媒カートリッジに導入して反応させた場合に、α,β−不飽和カルボニル化合物類が不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するものであっても、比較的高収率で生成することを知見した。このような知見は、従来の技術常識では到底予期できるものではなく、本発明者の弛まぬ実験研究の積み重ねによって見出された現象である。
本発明は、上記のような知見に基づくものであり、本件では、以下のような発明が提供される。
〈1〉周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容された触媒カートリッジに、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類(基質)と過酸化水素水を導入し、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的に製造するα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈2〉前記金属元素を含む触媒が、パラジウム/炭素、パラジウム黒、白金/炭素、白金黒、ルテニウム/炭素、ルテニウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項1に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈3〉前記触媒は、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記触媒カートリッジに収容されている、〈1〉または〈2〉に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈4〉前記触媒カートリッジを等体積量の基質または基質溶液と過酸化水素水で満たした場合の、前記触媒カートリッジに収容されている周期律表第8〜10族の金属元素のモル数と、前記触媒カートリッジ内に存在する基質のモル数との比率が、10:1〜1:10である〈1〉または〈2〉に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈5〉前記過酸化水素水における過酸化水素の濃度が1〜60質量パーセントである、〈1〉〜〈4〉のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈6〉前記過酸化水素水における過酸化水素は、基質に対し0.5〜15.0当量である〈1〉〜〈5〉のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
〈1〉周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容された触媒カートリッジに、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類(基質)と過酸化水素水を導入し、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的に製造するα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈2〉前記金属元素を含む触媒が、パラジウム/炭素、パラジウム黒、白金/炭素、白金黒、ルテニウム/炭素、ルテニウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項1に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈3〉前記触媒は、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記触媒カートリッジに収容されている、〈1〉または〈2〉に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈4〉前記触媒カートリッジを等体積量の基質または基質溶液と過酸化水素水で満たした場合の、前記触媒カートリッジに収容されている周期律表第8〜10族の金属元素のモル数と、前記触媒カートリッジ内に存在する基質のモル数との比率が、10:1〜1:10である〈1〉または〈2〉に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈5〉前記過酸化水素水における過酸化水素の濃度が1〜60質量パーセントである、〈1〉〜〈4〉のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
〈6〉前記過酸化水素水における過酸化水素は、基質に対し0.5〜15.0当量である〈1〉〜〈5〉のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本発明の製造方法によれば、重金属酸化剤や有機過酸化物などの環境負荷の大きな廃棄物を副生する酸化剤、および、反応液に溶け込んでしまい再使用が出来ない遷移金属錯体を使用することなく、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、安全に、比較的高収率で製造することができる。
本発明のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法は、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するアリルアルコール類と過酸化水素水を、例えば、それぞれ独立して送液ポンプ等で触媒カートリッジ内に送液することによって、数分程度の短時間で酸化反応を完結させて製品として不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的に製造することを特徴とする。ここで用いる触媒カートリッジは、周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容されたものである。
本発明の製造方法において用いられる各種アリルアルコール類は、種々のものが使用できるが、通常、下記一般式(1)で示される不飽和結合を炭素鎖の端部に有する第二級アリルアルコール類および一般式(2)で示される不飽和結合を環状部に有する第二級アリルアルコール類が用いられる。
前記一般式(1)において、R1およびR2が置換基を有していてもよいアルキル基の場合のアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。具体例としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-オクチル基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよいシクロアルキル基の場合のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基が挙げられ、より具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよいアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜20、好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよいアラルキル基の場合のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜20、好ましくは7〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよいアルコキシ基の場合のアルコキシ基としては、具体例として、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の場合のアルコキシカルボニル基としては、具体例として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
R1およびR2が置換基を有していてもよい複素環基の場合の複素環基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する3〜15員環、好ましくは3〜10員環であって、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基などの炭素環式基と縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式のものが挙げられ、より具体的には、例えば、オキシラニル基、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、キノリル基、ピリミジル基等が挙げられる。
本発明においては、このような一般式(1)で示される不飽和結合を炭素鎖の端部に有する第二級アリルアルコール類としては、例えば、1−オクテン−3−オールなどが例示される。
前記一般式(2)において、R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいアルキル基の場合のアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-オクチル基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいシクロアルキル基の場合のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基が挙げられ、より具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいアリール基の場合のアリール基としては、例えば、炭素数6〜20、好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいアラルキル基の場合のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜20、好ましくは7〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいアルコキシ基の場合のアルコキシ基としては、具体例として、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の場合のアルコキシカルボニル基としては、具体例として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
R3、R4、R5およびR6が置換基を有していてもよい複素環基の場合の複素環基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する3〜15 員環、好ましくは3〜10員環であって、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基などの炭素環式基と縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式のものが挙げられ、より具体的には、例えば、オキシラニル基、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、キノリル基、ピリミジル基等が挙げられる。
本発明においては、このような一般式(2)で示される不飽和結合を環状部に有する第二級アリルアルコール類としては、例えば、2−シクロヘキセン−1−オールなどが例示される。
本発明の製造方法において酸化剤として用いられる過酸化水素水溶液における過酸化水素濃度には特に制限はなく、濃度に応じてアリルアルコール類との反応は生起するが、一般的には1〜60質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲から選ばれる。
本発明の製造方法において用いられる過酸化水素水溶液の使用量に制限はなく、使用量に応じてアリルアルコール類との反応は生起するが、一般的にはアリルアルコール類に対して0.5〜15.0当量、好ましくは0.9〜10.0当量、さらに好ましくは1.0〜5.0当量の範囲から選ばれる。
本発明の製造方法において用いられるアリルアルコール類は、そのまま使用しても良いが、溶媒に溶解して用いても良い。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルエン等が挙げられるが、特にt−アミルアルコールまたはトルエンが望ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。その使用量は基質のアリルアルコール類に対して質量比0.1〜1000倍、好ましくは1〜100倍の範囲から選ばれる。
本発明の製造方法においては、連続的にアリルアルコール類と過酸化水素水のポンプ等による送液と、流路の結合等によるそれら化学品の混合、そして触媒カートリッジと呼ぶ反応容器への導入と製品としてのα,β−不飽和ケトンを含む反応生成物の取り出しが連続的に行われる。そのような連続的製造方法を説明するための製造装置の全体的模式図は図1に、触媒カートリッジの模式図は図2に、それぞれ示される。
本発明の製造方法における、アリルアルコール類と過酸化水素水のポンプ等による送液の速度は、アリルアルコール類と過酸化水素水が接触、反応する際の単位時間当たりのモル比に直結するため、それぞれの濃度とバランスをとって決定することが望ましい。アリルアルコール類を含む疎水性の溶液と過酸化水素水の溶液は、別々の流速でも構わないが、混合容積を一致させるように流速を一致させると反応成績が向上することがある。流速としては、製造規模にも依存するが、実験装置サイズでは、0.1ml/分〜5.0ml/分が用いられ、より好適には、0.2ml/分〜2.0ml/分である。
本発明の製造方法における、アリルアルコール類と過酸化水素水の流路を結合し、混合する部分については、二本の流路を1本に束ねる機構であれば制限は無く、接続部分に撹拌する機構としてミキサーを含むブロックを使用しても良いし、単純にT字、ないしはY字に流路を収束させるだけでも良い。また、触媒カートリッジ内の流入部に混合部を形成することもできる。
本発明において使用される触媒カートリッジは、管状体と、管状体両端のフィルターおよび管状体内の両フィルター間に収容された触媒等(触媒、または触媒と酸化物との混合物)から構成される。管状体の形や材質に制限はないが、円形断面のガラス管で、断面の直径が0.5cm程度、肉厚が1mm程度、管状体の長さが10cm程度以上あれば、問題なく用いられる。フィルターは、使用する溶媒、水、触媒粉末等によって腐食等の損傷を受けにくい材質であり、かつ、内包する触媒粉末等が流れ出ない孔サイズを有するものであればどのようなものでも使用できる。
本発明において使用される触媒カートリッジに内包される触媒は、反応を活性化させる周期律表8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を有効成分として含むものである。前記金属元素は、好ましくは、ルテニウム、パラジウム、白金などである。
前記金属元素を含む触媒は、金属粉末、金属酸化物の粉末、金属を活性炭などに担持させた形態での粉末などのどのような状態でも良く、白金/炭素、白金黒、パラジウムブラック、パラジウム/炭素、ルテニウムブラック、ルテニウム/炭素からなる群から選択される1種類または2種類以上が好ましく、パラジウムブラック、パラジウム/炭素が特に好ましい。
前記触媒は、触媒を最適な比率に分散させて安定化させ寿命向上を担う酸化物との混合物として触媒カートリッジに内包されることが好ましい。そのような酸化物としては、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアなどからなる群から選択される1種類または2種類以上など、広範に用いることが可能だが、過酸化水素を分解しない材料であることが求められ、好適にはシリカが用いられる。その使用量は、前記周期律表8〜10族の金属元素を有効成分として含む上述の触媒1mgに対して0.1〜1000mg、好ましくは1〜100mgの範囲から選ばれる。使用する触媒は、基質に対し反応が良好に進行する程度まで大量に存在させることが重要であり、例えば、後述の実施例の装置サイズで送液量を含めた反応条件を考慮した場合には、触媒における金属:基質のモル比が10:1から1:10程度の間に収まる触媒の使用量で反応を行うことが好ましい。また、この際に、触媒における金属元素:基質のモル比が1:10とは、バッチ反応でいうところの触媒金属元素量10モル%であることを指し、バッチ反応においては爆発危険性とコスト面から極めて不利な条件とみなせる。本発明では、触媒カートリッジを用いるフロー装置(連続的製造装置)にすることで、バッチ反応では設定しえない反応容器の環境を構築できる。
本発明の製造方法においては、触媒カートリッジを用いるフロー装置を空気中で運転しても反応は十分に進行するが、装置全体ないし一部を窒素やアルゴンなどの不活性ガス存在下で運転しても問題ない。
本発明の触媒カートリッジを納め、実質の反応容器の役割を果たすものとしては、触媒カートリッジ全体を一定の温度に調節できる機構で、かつ、送液されてくるアリルアルコール類と過酸化水素水の混合液を漏れることなく触媒カートリッジ内へと導入でき、さらに触媒カートリッジから生成されるα,β−不飽和ケトン化合物類を採集可能な機構を備えていればよい。
本発明方法の反応条件には、特に制約はないが、通常、反応は10〜100℃、好ましくは50〜90℃の範囲で行われる。
本発明の製造方法における反応時間は、ポンプの流速、用いる触媒の量や反応温度等により左右され、必要量のα,β−不飽和ケトン化合物を得るまで連続的に運転する。従って反応時間を一概に定めることはできないが、通常は0.5〜20時間の範囲で、好ましくは1〜6時間の範囲で行われる。24時間以上の連続運転を行なっても構わない。
本発明方法で得られる不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物は、例えば、1−オクテン−3−オン、2−シクロヘキセン−1−オンなどが例示される。
本発明の実施態様の製造方法に用いる一般的な製造装置は、反応温度調整槽内に設けられた触媒カートリッジに、送液ポンプと接続部品によってアリルアルコール類と過酸化水素水の混合溶液を導入し、所定の温度で連続的に反応を行うものである。反応終了後、蒸留、クロマト分離、再結晶や昇華等の通常の方法によって、得られたα,β−不飽和ケトン化合物を取り出すことができる。また、反応後、反応液を精製することなく、そのまま次反応に用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの調製
バイアル瓶にパラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、和光純薬工業製)80mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち1024mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し触媒Aカートリッジを作成した。この触媒Aカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.0349mmolである。また、この触媒Aカートリッジの空隙体積は、水を0.3ml/分で30分間導入し、触媒Aカートリッジ内の両フィルター間に水を満たした状態の触媒Aカートリッジの重量と水を導入する前の重量の差から1.28cm3、すなわち1.28mlであると計算した。
なお、触媒Aカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は、以下の計算式により計算した。
パラジウムのモル数(mmol)=[(パラジウム/炭素の重量)×(触媒カートリッジに詰めた混合物の重量/(パラジウム/炭素の重量+シリカゲルの重量)×4.9/100]/パラジウムの原子量
バイアル瓶にパラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、和光純薬工業製)80mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち1024mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し触媒Aカートリッジを作成した。この触媒Aカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.0349mmolである。また、この触媒Aカートリッジの空隙体積は、水を0.3ml/分で30分間導入し、触媒Aカートリッジ内の両フィルター間に水を満たした状態の触媒Aカートリッジの重量と水を導入する前の重量の差から1.28cm3、すなわち1.28mlであると計算した。
なお、触媒Aカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は、以下の計算式により計算した。
パラジウムのモル数(mmol)=[(パラジウム/炭素の重量)×(触媒カートリッジに詰めた混合物の重量/(パラジウム/炭素の重量+シリカゲルの重量)×4.9/100]/パラジウムの原子量
実施例触媒Bを収容した触媒Bカートリッジの調製
バイアル瓶にパラジウム黒(エヌイー・ケムキャット製)80mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち1026mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し、触媒Bカートリッジを作成した。この触媒Bカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.714mmolである。また、触媒Aカートリッジと同様にして求めた触媒Bカートリッジの空隙体積は1.24mlであった。
バイアル瓶にパラジウム黒(エヌイー・ケムキャット製)80mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち1026mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し、触媒Bカートリッジを作成した。この触媒Bカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.714mmolである。また、触媒Aカートリッジと同様にして求めた触媒Bカートリッジの空隙体積は1.24mlであった。
実施例触媒Cを収容した触媒Cカートリッジの調製
バイアル瓶にパラジウム黒(エヌイー・ケムキャット製)20mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち900mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し触媒Cカートリッジを作成した。この触媒Cカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.182mmolである。また、触媒Aカートリッジと同様にして求めた触媒Cカートリッジの空隙体積は1.38mlであった。
バイアル瓶にパラジウム黒(エヌイー・ケムキャット製)20mgとシリカゲル(和光純薬製)1000mgを加えたのち、良く混合した。得られた混合物のうち900mgを、触媒カートリッジ内(内径5.0mm、長さ100mm)の両端フィルター間に封入し触媒Cカートリッジを作成した。この触媒Cカートリッジに含まれるパラジウムのモル数は0.182mmolである。また、触媒Aカートリッジと同様にして求めた触媒Cカートリッジの空隙体積は1.38mlであった。
実施例1
図1に示す製造装置を用い、実施例触媒Aを備えた触媒Aカートリッジを接続した。1−オクテン−3−オール(濃度98質量%、1.31g、10.0mmol、東京化成工業製)をt−アミルアルコールに溶解させて調製した濃度0.4Mの溶液(基質溶液)25mlと、濃度30質量%の過酸化水素水(関東化学製)を純水で希釈することで調製した濃度6質量%の過酸化水素水25mlをそれぞれ、基質溶液容器2、過酸化水素水容器3に収容した。基質溶液と過酸化水素水をそれぞれ流速0.3ml/分で各容器から、混合部6を介して、温度制御手段8により90℃に設定された反応温度調整槽7内の触媒Aカートリッジ1に導入し、触媒Aカートリッジ1からの流出物を採取容器9で連続的に採取した。なお、この流速で触媒Aカートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:7.33、基質の滞留時間は2.13分である。採取容器9に採取した流出物を分析した結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は96%、1−オクテン−3−オンの収率は95%、1−オクテン−3−オンの選択性は99%、触媒の時間当たり回転率(TOF)は195.8、空間あたりの生産量(STY)は44.0であった。
図1に示す製造装置を用い、実施例触媒Aを備えた触媒Aカートリッジを接続した。1−オクテン−3−オール(濃度98質量%、1.31g、10.0mmol、東京化成工業製)をt−アミルアルコールに溶解させて調製した濃度0.4Mの溶液(基質溶液)25mlと、濃度30質量%の過酸化水素水(関東化学製)を純水で希釈することで調製した濃度6質量%の過酸化水素水25mlをそれぞれ、基質溶液容器2、過酸化水素水容器3に収容した。基質溶液と過酸化水素水をそれぞれ流速0.3ml/分で各容器から、混合部6を介して、温度制御手段8により90℃に設定された反応温度調整槽7内の触媒Aカートリッジ1に導入し、触媒Aカートリッジ1からの流出物を採取容器9で連続的に採取した。なお、この流速で触媒Aカートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:7.33、基質の滞留時間は2.13分である。採取容器9に採取した流出物を分析した結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は96%、1−オクテン−3−オンの収率は95%、1−オクテン−3−オンの選択性は99%、触媒の時間当たり回転率(TOF)は195.8、空間あたりの生産量(STY)は44.0であった。
なお、触媒の金属元素:基質のモル比および基質の滞留時間は、以下の計算式により計算した。
触媒の金属元素:基質のモル比=触媒の金属元素のモル数:(基質濃度/2)×触媒カートリッジの空隙体積
滞留時間(分)=(触媒カートリッジの空隙体積/2)/基質の流速
また、転化率、収率、選択性はガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1−残存した基質のモル数/使用した基質のモル数)×100
収率 (%)=(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択性(%)=(目的化合物の収率/原料の転化率)×100
さらに、TOF、STYは、目的化合物のモル数や生成量を元に、以下の計算式により計算した。
TOF(/h)=(目的化合物のモル数/触媒のモル数)/反応時間
STY((g/h)/dL)=(目的化合物の生成量/反応時間)/触媒カートリッジ内の両フィルター間容積
触媒の金属元素:基質のモル比=触媒の金属元素のモル数:(基質濃度/2)×触媒カートリッジの空隙体積
滞留時間(分)=(触媒カートリッジの空隙体積/2)/基質の流速
また、転化率、収率、選択性はガスクロマトグラフィー(GC)により分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1−残存した基質のモル数/使用した基質のモル数)×100
収率 (%)=(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択性(%)=(目的化合物の収率/原料の転化率)×100
さらに、TOF、STYは、目的化合物のモル数や生成量を元に、以下の計算式により計算した。
TOF(/h)=(目的化合物のモル数/触媒のモル数)/反応時間
STY((g/h)/dL)=(目的化合物の生成量/反応時間)/触媒カートリッジ内の両フィルター間容積
実施例2
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Bを収容した触媒Bカートリッジを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒Bカートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は2.88:1である。反応の結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は99%、1−オクテン−3−オンの選択性は99%、TOFは9.98、STYは45.4であった。
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Bを収容した触媒Bカートリッジを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒Bカートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は2.88:1である。反応の結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は99%、1−オクテン−3−オンの選択性は99%、TOFは9.98、STYは45.4であった。
実施例3
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Cを収容した触媒Cカートリッジを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒カートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:1.51である。反応の結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は100%、1−オクテン−3−オンの選択性は100%、TOFは39.5、STYは46.2であった。
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Cを収容した触媒Cカートリッジを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒カートリッジ内が等体積量の1−オクテン−3−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:1.51である。反応の結果、1時間後の1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は100%、1−オクテン−3−オンの選択性は100%、TOFは39.5、STYは46.2であった。
比較例1
15ml試験管に1−オクテン−3−オールの濃度0.4Mのt−アミルアルコール溶液(0.639ml、基質0.256mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、80mg、Pd0.0368mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:6.96であった。この混合溶液を90℃で加熱し、さらにそこへ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(0.639ml、過酸化水素1.15mmol)を入れて2.13分間攪拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は96%、1−オクテン−3−オンの収率は21%、1−オクテン−3−オンの選択性は22%、TOFは41.1、STYは14.9であった。
15ml試験管に1−オクテン−3−オールの濃度0.4Mのt−アミルアルコール溶液(0.639ml、基質0.256mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、80mg、Pd0.0368mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:6.96であった。この混合溶液を90℃で加熱し、さらにそこへ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(0.639ml、過酸化水素1.15mmol)を入れて2.13分間攪拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は96%、1−オクテン−3−オンの収率は21%、1−オクテン−3−オンの選択性は22%、TOFは41.1、STYは14.9であった。
比較例2
15ml試験管に1−オクテン−3−オールの濃度0.4Mのt−アミルアルコール溶液(1.8ml、基質0.72mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、8.0mg、Pd0.00368mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:196であった。この混合溶液を90℃で加熱し、さらにそこへ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(1.8ml、過酸化水素3.24mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は69%、1−オクテン−3−オンの選択性は69%、TOFは135.0、STYは1.77であった。
15ml試験管に1−オクテン−3−オールの濃度0.4Mのt−アミルアルコール溶液(1.8ml、基質0.72mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、8.0mg、Pd0.00368mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:196であった。この混合溶液を90℃で加熱し、さらにそこへ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(1.8ml、過酸化水素3.24mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は69%、1−オクテン−3−オンの選択性は69%、TOFは135.0、STYは1.77であった。
比較例3
シリカゲル100mgを加えた以外は比較例2と同様の条件で反応を行なった。その結果、1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は66%、1−オクテン−3−オンの選択性は66%、TOFは129.1、STYは1.69であった。
シリカゲル100mgを加えた以外は比較例2と同様の条件で反応を行なった。その結果、1−オクテン−3−オールの転化率は100%、1−オクテン−3−オンの収率は66%、1−オクテン−3−オンの選択性は66%、TOFは129.1、STYは1.69であった。
参考例1
15ml試験管に1−オクテン−3−オール(130.8mg、1.00mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、21.8mg、Pd0.01mmol)、t−アミルアルコール0.5mlを入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:100であった。90℃で10分間撹拌した後、その混合溶液へ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(0.63ml、過酸化水素1.1mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。さらに90℃で2時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は47%、1−オクテン−3−オンの収率は27%、1−オクテン−3−オンの選択性は57%、TOFは9.0、STYは0.88であった。
15ml試験管に1−オクテン−3−オール(130.8mg、1.00mmol)、パラジウム/炭素(Pd濃度4.9質量%、21.8mg、Pd0.01mmol)、t−アミルアルコール0.5mlを入れた。この時、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は、1:100であった。90℃で10分間撹拌した後、その混合溶液へ濃度6質量%の過酸化水素水溶液(0.63ml、過酸化水素1.1mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。さらに90℃で2時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は47%、1−オクテン−3−オンの収率は27%、1−オクテン−3−オンの選択性は57%、TOFは9.0、STYは0.88であった。
参考例2
t−アミルアルコールを入れなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行った。その結果、1−オクテン−3−オールの転化率は38%、1−オクテン−3−オンの収率は18%、1−オクテン−3−オンの選択性は47%、TOFは6.0、STYは0.97であった。
t−アミルアルコールを入れなかった以外は参考例1と同様の条件で反応を行った。その結果、1−オクテン−3−オールの転化率は38%、1−オクテン−3−オンの収率は18%、1−オクテン−3−オンの選択性は47%、TOFは6.0、STYは0.97であった。
参考例3
15ml試験管に1−オクテン−3−オール(130.8mg、1.00mmol)、白金黒(5.87mg、Pt0.03mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pt):基質のモル比は、1:33であった。90℃で10分間撹拌した後、その混合溶液へ10%過酸化水素水溶液(0.37ml、過酸化水素1.1mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。さらに90℃で2時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は17%、1−オクテン−3−オンの収率は8%、1−オクテン−3−オンの選択性は47%、TOFは0.89、STYは0.43であった。
15ml試験管に1−オクテン−3−オール(130.8mg、1.00mmol)、白金黒(5.87mg、Pt0.03mmol)を入れた。この時、触媒の金属元素(Pt):基質のモル比は、1:33であった。90℃で10分間撹拌した後、その混合溶液へ10%過酸化水素水溶液(0.37ml、過酸化水素1.1mmol)を1時間かけて徐々に滴下した。さらに90℃で2時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をGCで測定したところ、1−オクテン−3−オールの転化率は17%、1−オクテン−3−オンの収率は8%、1−オクテン−3−オンの選択性は47%、TOFは0.89、STYは0.43であった。
実施例4
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。なお、この時に触媒Aカートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:7.33である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は94%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は68%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は72%、TOFは140.3、STYは24.0であった。また、フェノールが6%副生した。
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。なお、この時に触媒Aカートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:7.33である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は94%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は68%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は72%、TOFは140.3、STYは24.0であった。また、フェノールが6%副生した。
実施例5
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Bを収容した触媒Bカートリッジを用いた以外は実施例4と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒Bカートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は2.88:1である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は99%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は66%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は67%、TOFは6.65、STYは24.0であった。また、フェノールが13%副生した。
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Bを収容した触媒Bカートリッジを用いた以外は実施例4と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒Bカートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は2.88:1である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は99%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は66%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は67%、TOFは6.65、STYは24.0であった。また、フェノールが13%副生した。
実施例6
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Cを収容した触媒Cカートリッジを用いた以外は実施例4と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒カートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:1.51である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は99%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は69%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は70%、TOFは27.2、STYは24.6であった。また、フェノールが13%副生した。
実施例触媒Aを収容した触媒Aカートリッジの代わりに実施例触媒Cを収容した触媒Cカートリッジを用いた以外は実施例4と同様の条件で反応を行なった。なお、この触媒カートリッジ内が等体積量の2−シクロヘキセン−1−オール溶液と過酸化水素水で満たされると仮定した場合の、触媒の金属元素(Pd):基質のモル比は1:1.51である。反応の結果、1時間後の2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は99%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は69%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は70%、TOFは27.2、STYは24.6であった。また、フェノールが13%副生した。
参考例4
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は100%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は0%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は0%、TOFは0、STYは0であった。また、シクロヘキサノンが42%、シクロヘキサノールが22%、フェノールが15%副生した。
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例1と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は100%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は0%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は0%、TOFは0、STYは0であった。また、シクロヘキサノンが42%、シクロヘキサノールが22%、フェノールが15%副生した。
参考例5
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例2と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は100%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は0%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は0%、TOFは0、STYは0であった。また、シクロヘキサノンが42%、シクロヘキサノールが23%、フェノールが9%副生した。
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例2と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は100%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は0%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は0%、TOFは0、STYは0であった。また、シクロヘキサノンが42%、シクロヘキサノールが23%、フェノールが9%副生した。
参考例6
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例3と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は93%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は49%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は53%、TOFは5.44、STYは3.27であった。また、シクロヘキサノンが4%、シクロヘキサノールが10%、フェノールが4%副生した。
1−オクテン−3−オールの代わりに、2−シクロヘキセン−1−オールを用いた以外は参考例3と同様の条件で反応を行なった。その結果、2−シクロヘキセン−1−オールの転化率は93%、2−シクロヘキセン−1−オンの収率は49%、2−シクロヘキセン−1−オンの選択性は53%、TOFは5.44、STYは3.27であった。また、シクロヘキサノンが4%、シクロヘキサノールが10%、フェノールが4%副生した。
以上の実施例や比較例などの結果をまとめると、以下のようなことが言える。
(1)不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類を過酸化水素水に作用させて酸化反応を進め、α,β−不飽和ケトン化合物を得る製造方法において、周期律表第8〜10族から選択される金属元素を含む触媒を用いたバッチ反応では、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、効率的に製造することはできないが、図1に示されるような触媒カートリッジを備えた製造装置を利用することで、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、安全に、比較的高収率で製造することができる。
(2)触媒カートリッジに封入する触媒有効成分として周期律表第8〜10族の金属元素を選択し、かつ、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物を混合して使用すると、60%以上の収率、5.0以上のTOF、20以上のSTYを実現可能であり、望ましい。
(3)図1に示す製造装置において、基質または基質溶液と過酸化水素水の流速を0.1〜0.4ml/分にし、かつ基質と過酸化水素のモル比を基質:過酸化水素 = 1:2〜1:10で接触させる条件が連続的かつ安全なα,β−不飽和ケトン化合物の製造に特に適している。
(4)周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される金属元素を有効成分として含む触媒としては、パラジウム/炭素、パラジウム黒、白金/炭素、白金黒、ルテニウム/炭素、ルテニウム黒のうちで、特に、パラジウム/炭素、パラジウム黒が好ましく、最も好ましいのは、パラジウム/炭素である。
(5)周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択され触媒の有効成分として使用される金属元素の量については、基質に対し反応が良好に進行する程度まで過剰に存在させることが重要である。金属元素:基質のモル比が10:1から1:10程度の間に収まる程度の金属元素の使用量で反応を行う場合に、効率的にα,β−不飽和ケトン化合物を製造することができるが、連続的製造方法において触媒カートリッジを反応容器として用いることにより、そのような金属元素・基質モル比を容易かつ安全に実現することができる。
(1)不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類を過酸化水素水に作用させて酸化反応を進め、α,β−不飽和ケトン化合物を得る製造方法において、周期律表第8〜10族から選択される金属元素を含む触媒を用いたバッチ反応では、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、効率的に製造することはできないが、図1に示されるような触媒カートリッジを備えた製造装置を利用することで、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的、安全に、比較的高収率で製造することができる。
(2)触媒カートリッジに封入する触媒有効成分として周期律表第8〜10族の金属元素を選択し、かつ、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物を混合して使用すると、60%以上の収率、5.0以上のTOF、20以上のSTYを実現可能であり、望ましい。
(3)図1に示す製造装置において、基質または基質溶液と過酸化水素水の流速を0.1〜0.4ml/分にし、かつ基質と過酸化水素のモル比を基質:過酸化水素 = 1:2〜1:10で接触させる条件が連続的かつ安全なα,β−不飽和ケトン化合物の製造に特に適している。
(4)周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される金属元素を有効成分として含む触媒としては、パラジウム/炭素、パラジウム黒、白金/炭素、白金黒、ルテニウム/炭素、ルテニウム黒のうちで、特に、パラジウム/炭素、パラジウム黒が好ましく、最も好ましいのは、パラジウム/炭素である。
(5)周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択され触媒の有効成分として使用される金属元素の量については、基質に対し反応が良好に進行する程度まで過剰に存在させることが重要である。金属元素:基質のモル比が10:1から1:10程度の間に収まる程度の金属元素の使用量で反応を行う場合に、効率的にα,β−不飽和ケトン化合物を製造することができるが、連続的製造方法において触媒カートリッジを反応容器として用いることにより、そのような金属元素・基質モル比を容易かつ安全に実現することができる。
不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物は、医農薬品の中間体や、香料、樹脂の原料などとして工業的に重要である。そして、本発明によれば、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類を原料として、触媒カートリッジを連続生産が可能な反応容器として用い、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物類を効率的かつ安全に製造できるため、本発明は、医農薬品の中間体や、香料、樹脂の原料などの分野を中心に幅広く活用することができると考えられる。
1 触媒カートリッジ
2 基質溶液容器
3 過酸化水素水容器
4 送液ポンプ
5 送液ポンプ
6 混合部
7 反応温度調整槽
8 温度制御手段
9 採取容器
10 直管
11 触媒粉末等
12 フィルター
13 フィルター
L1〜L6 配管
2 基質溶液容器
3 過酸化水素水容器
4 送液ポンプ
5 送液ポンプ
6 混合部
7 反応温度調整槽
8 温度制御手段
9 採取容器
10 直管
11 触媒粉末等
12 フィルター
13 フィルター
L1〜L6 配管
Claims (6)
- 周期律表第8〜10族の金属元素の群から選択される1種類または2種類以上の金属元素を含む触媒が収容された触媒カートリッジに、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有する第二級アリルアルコール類(以下、「基質」ということがある。)と過酸化水素水を導入し、不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物を連続的に製造するα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
- 前記金属元素を含む触媒が、パラジウム/炭素、パラジウム黒、白金/炭素、白金黒、ルテニウム/炭素、ルテニウム黒からなる群から選択される1種類または2種類以上である、請求項1に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
- 前記触媒は、シリカ、アルミナ、珪藻土(主成分が二酸化ケイ素)、チタニア、ジルコニアからなる群から選択される1種類または2種類以上の酸化物との混合物の状態で前記触媒カートリッジに収容されている、請求項1または2に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
- 前記触媒カートリッジを等体積量の基質または基質溶液と過酸化水素水とで満たした場合の、前記触媒カートリッジに収容されている周期律表第8〜10族の金属元素のモル数と、前記触媒カートリッジ内に存在する基質のモル数との比率が、10:1〜1:10である、請求項1または2に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
- 前記過酸化水素水における過酸化水素の濃度が1〜60質量パーセントである請求項1〜4のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
- 前記過酸化水素水における過酸化水素は、基質に対し0.5〜15.0当量である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018093065A JP2019199404A (ja) | 2018-05-14 | 2018-05-14 | 不飽和結合を炭素鎖の端部または環状部に有するα,β−不飽和ケトン化合物の製造方法 |
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