JP2019199225A - 地絡検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】既存設備を活用することができ導入コストを抑えることができる地絡検出システムを提供すること。【解決手段】地絡検出システム400は、電力供給施設である変電所50から所定領域内への電力供給量に関する電力情報を取得する電力監視部101,104と、所定領域内に存在する列車30の走行状態を含む運行情報を保持する運行情報部101,105と、電力監視部からの電力情報と運行情報部からの運行情報とに基づいて、所定領域内における高抵抗地絡の可能性を判断する地絡判定部101とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、構造物の介しての高抵抗地絡を検出する地絡検出システムに関し、特に電力供給量を監視するタイプの地絡検出システムに関する。
電車線支持柱をはじめとする構造物を介して発生する高抵抗地絡(以下、単に「地絡」とも呼ぶ)は、放置すると現場機器に過度の電流が流れて故障を生じさせるおそれがあり、通常通りの運行が妨げられる可能性もある。このため、高抵抗地絡が発生した場合、これを速やかに検知する必要性が高い。しかしながら、高抵抗地絡による故障電流は、電車の運行電流よりも小さく、変電所側での検出は容易でない。
高抵抗地絡を検出する装置として、下記特許文献1、2に開示されたシステムが存在する。これらのシステムは、地絡検出用の回路素子を含む検出部からなる新たな設備を導入するものであり、設備導入のコストが高くなり、設備専用の個別メンテナンスも必要となる。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、既存設備を活用することができ導入コストを抑えることができる地絡検出システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る地絡検出システムは、電力供給施設から所定領域内への電力供給量に関する電力情報を取得する電力監視部と、所定領域内に存在する列車の走行状態を含む運行情報を保持する運行情報部と、電力情報と運行情報とに基づいて、所定領域内における高抵抗地絡の可能性を判断する地絡判定部とを備える。
上記地絡検出システムでは、地絡判定部がの電力情報と運行情報とに基づいて所定領域内における高抵抗地絡の可能性を判断するので、既存設備を活用しつつ信頼性を高めた地絡検出が可能になる。
本発明の具体的な側面では、電力供給施設は、複数の分担領域に電力をそれぞれ供給する複数の変電所を含む。この場合、変電所ごとの地絡検出が可能になり、各変電所の分担領域を特定した地絡検出が可能になる。
本発明の別の側面では、複数の分担領域のうち隣接する一対の分担領域間に重複部分を有する。この場合、地絡検出が分担領域の重複部分かそうでないかを判断する処理が可能になる。
本発明のさらに別の側面では、運行情報部は、特定の分担領域内に存在する個々の列車の走行状態から総計の電力消費予想値を算出し、当該電力消費予想値と特定の分担領域に対する電力供給量との差が所定の閾値を超えた場合に、当該特定の分担領域内で高抵抗地絡が生じていると判断する。この場合、電力消費予想値を利用して確度の高い地絡検出が可能になる。
本発明のさらに別の側面では、電力監視部は、電力供給施設と通信を行う第1通信部を有する。この場合、第1通信部によって電力情報の直接的取得が可能になる。第1通信部については既存設備を利用することができる。
本発明のさらに別の側面では、運行情報部は、線路上の列車を検出する列車検出装置から所定領域内に列車が存在するか否かに関する情報を取得する。この場合、既存の列車検出装置を利用して所定領域内の列車の存否を判定できる。
本発明のさらに別の側面では、運行情報部は、所定領域内に存在する列車との間で走行状態に関する通信を行う第2通信部を有する。この場合、第2通信部によって運行情報の直接的取得が可能になる。
本発明のさらに別の側面では、走行状態は、力行情報を含む。力行情報は電力消費を近似的に反映するものであり、単純ながら確度の高い地絡検出が可能になる。
以下、図1等を参照して、本発明の一実施形態に係る地絡検出システムについて説明する。地絡検出システム400は、詳細は後述するが、鉄道システム10に組み込まれたものとなっている。
鉄道システム10は、軌条20、列車30、架線40、変電所50、及び列車運行管理システム80を備える。鉄道システム10は、上記要素の他に駅、踏切、信号装置等を含むが、地絡検出システム400との直接の関連性が低いので図示を省略している。
実施形態の地絡検出システム400は、列車運行管理システム80の一部として実現されている。地絡検出システム400又は列車運行管理システム80は、本体設備側装置100と通信回線200とを有している。
図2を参照して、列車30に搭載された車両制御部31は、主制御部31aと移動型通信装置31bと有する。主制御部31aは、走行用のプログラムを搭載したコンピューターを有し、当該コンピューターは、演算処理部、記憶部、入出力部等で構成される。主制御部31aは、列車30の走行及び運行に関する各種動作制御を担っており、例えば列車30の運行状況の監視を行っている。列車30の運行状況には、力行状態、制動状態、速度等の各種情報が含まれる。
主制御部31aは、列車30の各部と接続されている。具体的には、主制御部31aは、列車30を加速するためのモーター等からなる駆動装置32と、列車30を減速するためのブレーキ装置33と、列車30の現在速度を検出する車速検出装置34と、線路の軌条20に設けた地上子との間で通信を行って軌条20上の列車30の位置を検出する車上子35と、乗客等に向けて各種情報を伝達するための報知手段であるスピーカーや表示部といった車内出力部36と、空調装置37と、照明装置38とに接続されている。主制御部31aは、運転手等の指示に基づいて列車30の各部を動作させ、列車30の適切な速度での走行や適切なタイミングでの停止を可能にするとともに、緊急時の自動列車停止機能を有する。主制御部31aは、車速検出装置34及び車上子35を利用して列車30の現在位置を把握している。列車30の現在位置は、軌条20又は線路に沿った精密な位置に限らず、軌道回路の区間を特定するものであってもよい。主制御部31aは、駆動装置32、ブレーキ装置33、車内出力部36、空調装置37、照明装置38等の監視に基づいて、列車30の電力消費量を計算することもできる。
移動型通信装置31bは、図1に示す列車運行管理システム80又は地絡検出システム400との間でデジタル又はアナログのデータ通信を可能にする。移動型通信装置31bは、無線アンテナ31d経由で列車運行管理システム80に設けた通信回線200との間で無線信号の送受信を行う。通信回線200には、軌条20又は線路に沿って所定間隔で複数の固定型通信装置210が接続されており、列車30の位置に関わらず列車30と列車運行管理システム80との間で常時の無線通信を可能にしている。
図3に示すように、変電所50は、電力供給施設であり、制御設備51と、変圧装置52と、開閉装置53と、通信装置54とを備える。制御設備51は、変圧装置52及び開閉装置53の動作状態を監視する部分であり、通信装置54を介して本体設備側装置100との間で管理情報のやり取りを行っている。変圧装置52は、上位の変電所や発電所から供給された電力を列車30への電力供給に適するものとして架線40等に供給する。変圧装置52は、架線40等に供給している電圧及び電流を検出する計測機52aを有している。変圧装置52は、単に変圧を行うだけでなく、鉄道システム10で採用しているき電方式等に応じて、交流を直流に変化させることもできる。開閉装置53は、変圧装置52を構成する回路の開閉を行う配電盤である。
図1に戻って、変電所50は、軌条20又は線路に沿った近隣の複数箇所に設けられるが、図示のように3箇所に限らず、2箇所又は4箇所以上に設けることができる。各変電所50は、軌条20又は線路に沿った電力供給領域に関して固有の分担領域を有しており、図1中の変電所50Aは、分担領域21Aに電力を供給し、変電所50Bは、分担領域21Bに電力を供給し、変電所50Cは、分担領域21Cに電力を供給する。複数の分担領域21A〜21Cについては、隣接する一対の分担領域間に重複部分A1,A2を有するのが通常であるが、重複部分A1,A2を有しない場合もある。重複部分A2に列車30が存在する場合、この列車30には、変電所50B,50Cからの電力が状況に応じた配分で供給される。一方、分担領域21A〜21Cのうち重複部分A1,A2でない固有部分B1〜B3では、各変電所50が単独で電力を供給している。各変電所50は、電力供給量が所定の基準値を超えた場合、地絡として電力供給を停止するが、構造物を介して発生する高抵抗地絡の場合、電力供給量が基準値を超えず、電力供給を停止しない場合も生じ得る。しかしながら、高抵抗地絡(「地絡」とも呼ぶ)については、放置すると現場機器に過度の電流が流れて沿線設備に故障を生じさせるおそれがあり、早期発見及び早期対処が望ましい。このため、各変電所50は、本体設備側装置100から高抵抗地絡が生じているとの判断情報を得た場合、制御設備51側の判断で分担領域21A〜21Cへの電力供給を一時的に遮断することができ、或いは本体設備側装置100からの指令に基づいて分担領域21A〜21Cへの電力供給を一時的に遮断することができる。各変電所50は、電力情報を含む自身の動作状態を管理情報として本体設備側装置100に逐次通報しており、各変電所50が分担領域21A〜21Cへの電力供給を遮断した場合、本体設備側装置100は、変電所50の電力供給の遮断状況をリアルタイムで把握することができる。
図4に示すように、本体設備側装置100は、信号処理装置として、演算処理部101と、記憶部102と、入出力部103と、第1通信部104と、第2通信部105とを備える。本体設備側装置100は、具体的には、運行管理用のプログラムを搭載したコンピューターを含み、運行管理用のプログラムには、一般的管理プログラムのほかに地絡検出用のプログラムが付加されている。本体設備側装置100は、列車30の運行状態の管理を基本的な役割又は動作とするものであるが、以下では、本体設備側装置100を主に地絡検出機能の側面から説明する。
本体設備側装置100のうち、演算処理部101は、記憶部102に保管されたプログラムやデータに基づいて動作し、入出力部103や第1及び第2通信部104,105から得た情報に基づいて処理を行い、処理の経過や結果を記憶部102に保管するとともに入出力部103に提示する。また、演算処理部101は、プログラム等に基づいて第1通信部104及び無線通信設備300(図1参照)を介して変電所50との間で通信を行って、架線40やその付帯設備に供給される電力供給量に関する電力情報を監視している。さらに、演算処理部101は、プログラム等に基づいて第2通信部105及び通信回線200(図1参照)を介して列車30との間で通信を行って、列車30の位置及び走行状態を含む運行情報を監視している。ここで扱う走行状態には、加速に関する力行情報、減速に関する制動情報等を含めることができる。力行情報には、具体的には力行の段階又はレベルが含まれる。なお、本明細書では、図1に示す通信回線200を、第2通信部105の一部として取り扱うことがあり、無線通信設備300を、第1通信部104の一部として取り扱うことがある。
演算処理部101は、電力供給施設である変電所50から分担領域21A〜21C内への電力供給量に関する電力情報を取得する電力監視部として機能する。演算処理部101は、記憶部102と協働して、分担領域21A〜21C内に存在する列車30の走行状態を含む運行情報を取得し保持する運行情報部として機能する。また、演算処理部101は、電力情報と運行情報とに基づいて分担領域21A〜21C内における高抵抗地絡の可能性を判断する地絡判定部として機能する。
電力情報を収集するための第1通信部104は、演算処理部101とともに電力監視部を構成する。第1通信部104は、LoRa等のLPWA(Low Power, Wide Area)の規格による無線通信方式を利用した既存の設備が存在する場合、LoRa等による既存無線設備を利用したものとすることができる。また、電力情報を収集するための第1通信部104は、無線通信装置に限らず有線通信装置とすることができ、例えば光ケーブルその他を利用した既設のネットワーク通信システムに接続するための通信端末装置とすることができる。
運行情報を収集するための第2通信部105は、演算処理部101とともに運行情報部を構成する。第2通信部105は、線路上の列車30と連携して演算処理部101とともに線路上の列車30を検出する列車検出装置でもある。第2通信部105は、既存のデジタル通信ネットワークが存在する場合、このデジタル通信ネットワークを利用したものとすることができる。また、センサーメンテナンスネットワークのようなセンサーに付随するマイクロコンピューターに通信機能を持たせたモニター装置が存在る場合、第2通信部105は、このモニター装置を利用したものとすることができる。この場合、例えばSHDSL(Single pair High bit rate Digital Subscriber Line)その他の既存回線を利用した手法により固定型通信装置210と本体設備側装置100との間で信号の伝送が行われるが、モニター装置に中継機能を持たせることで既存回線を不要とすることもできる。また、軌条20に沿って配置された地上子を利用して運行情報を収集することもできる。
図5は、図1等に示す地絡検出システム400の具体的動作を説明するフローチャートである。図4に示す本体設備側装置100の演算処理部101は、第1通信部104を利用して、各変電所50から架線40等へ供給している電力供給量を電力情報として取得し、この電力情報を記憶部102に保管する(ステップS11)。ここで、演算処理部101と第1通信部104とは、電力監視部として動作する。電力情報のデータについては、瞬時のものに限らず、例えば数秒といった時間間隔の平均値とすることができ、この場合、データのノイズを低減する効果がある。
ステップS11での処理と並行して、演算処理部101は、第2通信部105を利用して、監視の対象地域である路線又は軌条20に現在存在する列車30の位置及び走行状態を含む運行情報を取得し、この運行情報を記憶部102に保管する(ステップS12)。ここで、演算処理部101と記憶部102と第2通信部105とは、運行情報部として動作する。運行情報のうち位置に関するものは、路線に存在する1以上の列車30の現在位置又は軌道回路区間を示す位置情報である。また、運行情報のうち走行状態に関するものは、加速に関する力行情報を基本とするが、ブレーキ動作に関する制動情報等を含めたものとすることができる。運行情報は、列車30が提供するものであり、列車30が計算又は計測した電力消費量であってもよい。この場合、運行情報には、力行情報が間接的に含まれるものと考える。運行情報のデータは、電力情報のデータと同期したタイミングで取得したものとする。運行情報のデータも、電力情報のデータと同様に瞬時のものに限らず、例えば数秒といった時間間隔の平均値とすることができ、この場合、データのノイズを低減する効果がある。
次に、演算処理部101は、ステップS12で記憶部102に保管した列車30の運行情報に基づいて、各変電所50が電力を供給する分担領域21ごとに在線する列車30を抽出する(ステップS13)。列車30の抽出に際しては、列車30のID、在線する分担領域21の区分が抽出情報として利用される。一対の隣接する分担領域21間に重複部分A1,A2がある場合もあるので、分担領域21の区分は、1つに限らず複数となることもある。次に、演算処理部101は、ステップS12で記憶部102に保管した列車30の運行情報に基づいて、各分担領域21内に存在する個々の列車30の走行状態から分担領域21ごとに総計の電力消費予想値を算出する(ステップS14)。例えば特定の分担領域21に2組の列車30が存在する場合、第1及び第2の列車30について得た一対の力行情報つまり各列車30に力行の段階から2組の列車30による合計の電力消費予想値を概算として算出することができる。運行情報として力行情報のみを利用する場合、列車30のタイプと力行又は動力供給の段階から電力消費予想値を計算することができる。また、運行情報として力行情報及び制動情報を利用する場合、列車30のタイプと力行の段階及びブレーキの強さから電力消費予想値を計算することができる。ブレーキ装置33が回生タイプである場合、制動情報も加味して電力消費予想値を計算する。次に、演算処理部101は、ステップS11で得た各分担領域21ごとの実際の電力供給量(以下、実際値とも呼ぶ)からステップS14で算定した電力消費予想値(以下、予想値とも呼ぶ)を減算して、この差が所定の閾値を超えるか否かを判断する(ステップS15)。閾値は、一般的には適宜のマージンを考慮した正の値となるが、各種誤差要因、加減速以外の消費電力を考慮して設定され、負の値となる場合もある。この種の加減速以外の消費電力として、例えば走行中又は停車中に空調、照明等に起因するものがある。実際値と予想値との差が閾値を超えるか否かの判断については、特定時刻に対応する単一のデータに限らず複数時刻に対応する複数のデータに基づいて行うことができる。この際、実際値と予想値との差の変動を経時的に追って監視し、当該差の変動が継続的に閾値を超える又は当該差の変動が所定以上の頻度で閾値を超える場合に、実際値と予想値との差が閾値を超えると判定するといった統計的な処理が可能である。さらに、列車30が存在しない分担領域21A〜21Cを選択して、このような分担領域21A〜21Cにおいて実際値と予想値との差が所定の閾値を超えるか否かを判断することもできる。この場合、列車30の影響を排除した地絡判定が可能になる。
演算処理部101は、ステップS15で実際値(実際の電力供給量)と予想値(電力消費予想値)との差が所定の閾値を超えると判断した場合、入出力部103を介して、可視的な表示又は音声により地絡の警報を出力する(ステップS16)。ここで、演算処理部101は、地絡判定部として動作する。警報の出力に際しては、地絡が生じていると推定される分担領域21の区分を特定するとともに、地絡の程度を表示又は提示する。地絡の程度は、実際値と予想値との差が閾値からどの程度離れているかに基づいて判断される。地絡が推定される分担領域21については、同時地絡が生じたか否かも参酌され、この場合、固有部分B1〜B3及び重複部分A1,A2のいずれで地絡が生じているかの判定も可能になる。具体的には、隣接する一対の変電所50B,50Cの分担領域21Bと分担領域21Cとの双方で地絡が生じていると判定された場合、重複部分A2で地絡が生じていると推定でき、分担領域21Bのみで地絡が生じていると判定された場合、固有部分B2で地絡が生じていると推定できる。
なお、演算処理部101は、ステップS15で実際値と予想値との差が所定の閾値以下であると判断した場合、処理を終了するが、ステップS11〜ステップS15として説明した地絡検出動作は、例えば10分ごとといった所定の時間間隔で行うことができ、或いは運行日において予め設定された定期的なタイミングで行うことができる。
図6(A)は、電力消費予想値(予想値)を例示するチャートであり、横軸は時間を示し、縦軸は消費電力を示す。この例では、3つの変電所50A〜50Cが検出対象となっており、3通りの電力消費予想値が示されている。図6(B)は、実際の電力供給量(実際値)を例示するチャートであり、横軸は時間を示し、縦軸は消費電力を示す。図6(A)及び6(B)を比較することで明らかなように、変電所50A,50Cに関しては、図6(B)に示す実際値からノイズ成分を除けば、図6(A)に示す予想値に近いパターンが生じていることが分かる。
図7(A)は、検出対象地域全体について、実際の電力供給量と電力消費予想値との差を例示するチャートであり、図6(B)の全系の実際値から図6(A)の全系の予想値を減算した差分に対応する。また、図7(B)は、各変電所50A〜50Cについて、実際の電力供給量と電力消費予想値との差を例示するチャートであり、図6(B)の各変電所50A〜50Cについての実際値から図6(A)の各変電所50A〜50Cについての予想値を減算した差分値に対応する。図7(A)の差分や図7(B)の差分については、適宜の閾値が設定されており、一定の確度で地絡を検出できることが分かる。なお、図7(B)に示す例では、特定時刻以後に変電所50Bの差分値が急増しており、変電所50Bが受け持つ分担領域21B(特に固有部分B2)で地絡が発生していることが推定される。
以上では、地絡検出のため演算処理部101において列車30が提供する運行情報を利用したが、地絡検出のために記憶部102に保管した運行図表等のデータを利用することもでき、この場合、運行に大きな遅延等が無ければ、第2通信部105を利用しなくても、対象の路線又は軌条20に現在存在する列車30の位置及び走行状態を含む運行情報を把握し保持することができ、変電所50からの電力情報と合わせることで地絡を検出することができる。この場合、運行図表等のデータから速度パターンを作成し、この速度パターンから力行状態に関するデータを推定することができる。
以上で説明した第1実施形態の地絡検出システム400では、地絡判定部として機能する演算処理部101が、電力監視部として機能する演算処理部101及び第1通信部104からの電力情報と、運行情報部として機能する演算処理部101及び第2通信部105からの運行情報とに基づいて所定領域内における高抵抗地絡の可能性を判断するので、既存設備を活用しつつ信頼性を高めた地絡検出が可能になる。
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、演算処理部101等が電力監視部として変電所50A〜50Cから電力情報を取得しているが、変電所50A〜50Cの上位の変電所や発電所から電力情報を取得することもできる。
以上では、鉄道システム10に地絡検出システム400を組み込んで地絡検出を行う場合を説明したが、路面電車のような交通システムに上記地絡検出システム400と同様のものを組み込むことができる。
以上の実施形態では、地絡検出システム400を主に既存の鉄道システム10に組み込むことを前提としているが、本発明の地絡検出システムは、既存の鉄道システムに限らず新規な鉄道システムに組み込むことができ、既存の鉄道システムに組み込む際に既存の鉄道システムの構成を部分的に変更することもできる。
以上の実施形態では、変電所50の単位で電力情報と運行情報とを得ているが、複数の変電所50を組み合わせたセットとして電力情報と運行情報とを得ることもできる。
21,21A-21C…分担領域、 50A-50C…変電所、 10…鉄道システム、 20…軌条、 30…列車、 31…車両制御部、 31a…主制御部、 31b…移動型通信装置、 31d…無線アンテナ、 32…駆動装置、 33…ブレーキ装置、 34…車速検出装置、 35…車上子、 40…架線、 50,50A-50B…変電所、 51…制御設備、 52…変圧装置、 52a…計測機、 54…通信装置、 80…列車運行管理システム、 100…本体設備側装置、 101…演算処理部、 102…記憶部、 103…入出力部、 104…第1通信部、 105…第2通信部、 200…通信回線、 210…固定型通信装置、 300…無線通信設備、 400…地絡検出システム、 A1,A2…重複部分、 B1-B3…固有部分、 B2…固有部分
Claims (8)
- 電力供給施設から所定領域内への電力供給量に関する電力情報を取得する電力監視部と、
前記所定領域内に存在する列車の走行状態を含む運行情報を保持する運行情報部と、
前記電力情報と前記運行情報とに基づいて、前記所定領域内における高抵抗地絡の可能性を判断する地絡判定部とを備える地絡検出システム。 - 前記電力供給施設は、複数の分担領域に電力をそれぞれ供給する複数の変電所を含む、請求項1に記載の地絡検出システム。
- 前記複数の分担領域のうち隣接する一対の分担領域間に重複部分を有する、請求項2に記載の地絡検出システム。
- 前記運行情報部は、特定の分担領域内に存在する個々の列車の走行状態から総計の電力消費予想値を算出し、当該電力消費予想値と前記特定の分担領域に対する電力供給量との差が所定の閾値を超えた場合に、当該特定の分担領域内で高抵抗地絡が生じていると判断する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の地絡検出システム。
- 前記電力監視部は、前記電力供給施設と通信を行う第1通信部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の信号用の地絡検出システム。
- 前記運行情報部は、線路上の列車を検出する列車検出装置から前記所定領域内に列車が存在するか否かに関する情報を取得する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の地絡検出システム。
- 前記運行情報部は、前記所定領域内に存在する列車との間で前記走行状態に関する通信を行う第2通信部を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の地絡検出システム。
- 前記走行状態は、力行情報を含む、請求項7に記載の地絡検出システム。
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CN113173110A (zh) * | 2021-04-23 | 2021-07-27 | 重庆中车长客轨道车辆有限公司 | 双流制车辆无电区切换失败应急系统 |
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2018
- 2018-05-18 JP JP2018096052A patent/JP2019199225A/ja active Pending
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