JP2019197960A - 方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置 - Google Patents

方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置 Download PDF

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Tadashi Sadahira
匡史 貞平
吉野 浩二
Koji Yoshino
浩二 吉野
昌之 久保
Masayuki Kubo
昌之 久保
中村 秀樹
Hideki Nakamura
秀樹 中村
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Abstract

【課題】導波管に設ける開口およびその開口に対向配置する結合線路の構成を工夫することで、大量生産に対応しながらも、導波管内を伝送するマイクロ波を略同一位相で伝送波と反射波に分離しかつ低反射率の観測対象にも対応可能な方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置を提供する。【解決手段】マイクロストリップ線路113および213をクロス開口111および211の開口中央部を鳥瞰的に線路内部に包含するように配置することで、導波管内を伝送するマイクロ波の略同一位相における略同一量のマイクロ波を伝送方向分、反射方向分に分離する。更に反射抑制手段としての終端回路150および250を同一端に配してマイクロストリップ線路113および213内反射を防止することで、検波回路115および215により、それぞれ伝送波と反射波の電力量を結合線路内反射の影響を受けることなく正確に観測することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、導波管内を伝搬するマイクロ波の電力レベルを検出する方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置に関する。
導波管内を伝搬するマイクロ波の電力レベルを検出する方向性結合器は、導波管内を双方向に伝搬する進行波と反射波とを分離して検出するものであり、その検出方式は様々なものが提案され実用に供されている。検出方式としては、検出した信号を別の導波管に伝送させる方式、同軸線路に伝送させる方式およびマイクロストリップ線路に伝送させる方式がある。
別の導波管に伝送する方式の方向性結合器としては、十字形方向性結合器がある。この方式は、二つの導波管の幅広面を共通の境界面として直交配置した構成とし、共通の境界面において導波管の管軸から外した対角位置にX形の2つの開口を所定間隔で配置した構成からなる(たとえば、非特許文献1参照)。
また、同軸線路に伝送する方式は、導波管の幅広面の管軸位置に所定の長さと幅からなる開口を設け、この開口に対向して設けたマイクロ波検出部である容量板と、容量板の両端に同軸線路の中心導体を接続させた構成からなる(たとえば、特許文献1参照)。
また、マイクロストリップ線路に伝送する方式は、導波管の幅広面の管軸位置に所定の長さと幅からなる開口を設け、この開口に対向して配置したプリント基板と、プリント基板の開口に対向する面に開口と対向して配置したマイクロ波検出部である所定の長さのマイクロストリップ線路と、マイクロストリップ線路の両端にプリント基板の反対面に設けた検波回路を接続させた構成からなる(たとえば、特許文献2参照)。
また、マイクロストリップ線路に伝送する他の方式として、導波管の管軸位置に所定間隔で設けた2つの開口と、開口に対向して配置したプリント基板と、開口と反対側のプリント基板の面に設けたマイクロストリップ線路と、一端がマイクロストリップ線路に接続され他端が開口に挿入される探針とからなり、2つ探針間のマイクロストリップ線路の電気的長さを所定の長さとするようにマイクロストリップ線路を構成したものがある(たとえば、特許文献3参照)。
また、マイクロ波加熱装置に方向性結合器を備えるものもある(たとえば、特許文献4参照)。
特開平03−297202号公報 特開2004−235972号公報 特開平06−132710号公報 特開平05−190271号公報
蓮沼博、高木勝義著、「マイクロ波基礎回路の設計」オーム社、1964年12月25日発行、ページ258−260
しかしながら、従来の方向性結合器において、別の導波管に検出した信号を伝送する方式は導波管が二つ必要であり、同軸線路に伝送する方式は同軸コネクタ部材が必要であり、いずれも方向性結合器自体の構造が大きいという課題を有する。
一方、マイクロストリップ線路に伝送する方式は、方向性結合器を扁平な形状にて構成できる利点があり構造の実装空間をコンパクトにできるが、導波管に設けた開口に対向配置した容量板あるいはマイクロストリップ線路と開口のすきま寸法が信号検出電力レベルに大きな影響を与えるため、信号レベルを安定化させるために高精度な寸法管理が必要になるという課題がある。また、開口に探針を挿入する方式も、探針の挿入長さの寸法管理が必要になる。
これは、開口を導波管の管軸に配置したことが起因し、導波管の管軸の方向に導波管内を伝搬するマイクロ波の伝搬波長に相当するくらいの長いスリットの開口を設けた場合でもその開口から導波管外にマイクロ波は自由放射しない。このため、開口周辺に広がる電磁界を容量板あるいはマイクロストリップ線路に結合させる構成が必要になる。単純には、導波管の管軸方向に垂直な方向の開口の幅を容量板の幅あるいはマイクロストリップ線路の線路幅より大きくすることで結合を実現し、結合のレベルは開口との対向距離を調整して所望の性能を得る必要があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、導波管に設ける開口およびその開口に対向配置するマイクロストリップ線路の構成を工夫することで、簡単かつコンパクトな構成で大量生産に対応しながらも、導波管内を伝送するマイクロ波を略同一位相で伝送波と反射波に分離しかつ低反射率の観測対象にも対応可能な方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の方向性結合器は、導波管の壁面に設けられた第1の開口部および第2の開口部と、前記導波管の外側に設けられた第1の結合線路と第2の結合線路を備え、前記第1および第2の開口部は、管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置され、さらに平面視において開口中央部が前記導波管の管軸と交差しない位置に設けられるとともに、円偏波を放射するように形成され、前記第1の結合線路は、平面視において前記第1の開口部の中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第1の結合線路の片端に第1の反射抑制手段、もう片端に第1の検波回路を備え、 前記第2の結合線路は、平面視において前記第2の開口部を中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第2の結合線路の片端に第2の反射抑制手段、もう片端に第2の検波回路とを有した構成としている。
この構成において、第1および第2の開口部の開口中央部は、導波管の管軸を外して配置されているので、導波管内を伝搬するマイクロ波を、容易に導波管外に放射させることができる。また、開口中央部が管軸にない開口から放射されるマイクロ波の電界の向きは、電界の向きを導波管の幅広面に平行な成分と垂直な成分に分けて考えると、平行な成分は開口中央部を中心に回転する成分をもち、これは電界が回転するいわゆる円偏波の成分を持つことになる。円偏波は、導波管内を伝搬するマイクロ波の方向(伝送方向、反射方向)に応じて、電界の回転方向が逆向きになる特徴を有している。開口から放射されるこれらのマイクロ波は、開口部の中央に対して対称性を持って横切るように配置された第1および第2の結合線路に結合する。結合によって、第1および第2の結合線路の両端には、回転する電磁界の回転方向に対応したマイクロ波が伝送される。すなわち、導波管内を所定方向に伝送する伝送波と、それと反対方向に伝送する反射波とが分離されて、第1お
よび第2の結合線路の両端に伝送される。ここで、第1の開口部と第2の開口部は管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置されているため、開口から放射されるマイクロ波は平面視における回転方向が異なる以外は略同量、略同質となる。したがって、開口部と結合する第1の結合線路および第2の結合線路は、導波管内を伝送するマイクロ波の略同一位相における略同一量のマイクロ波を伝送方向分、反射方向分に分離することができる。更に第1および第2の反射抑制手段を同一端(例えば開口中央から管軸方向を見た時の結合線路左端)に配して結合線路内反射を防止することで、第1の検波回路と第2の検波回路は、それぞれ伝送波と反射波の電力量を結合線路内反射の影響を受けることなく正確に観測することができる。したがって、本発明の構成により、導波管内を双方向に伝搬するマイクロ波の電力量のレベルをそれぞれ分離して正確に検出できる。
本発明の方向性結合器によれば、導波管の壁面に、管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状の第1および第2の開口を、開口中央部が前記導波管の管軸と交差しない位置に設けることで、導波管を伝送するマイクロ波の一部を導波管外に円偏波として回転放射させる構成とし、さらにその回転放射したマイクロ波の電磁界の回転方向に対して導波管内を双方向に伝搬するマイクロ波を分離して結合できる第1および第2の結合線路を組み合わせ、第1および第2の反射抑制手段で結合線路内反射を防止しつつ第1および第2の検波回路で電力量を観測することで、簡単かつコンパクトで実装上の構造精度が緩やかで、高精度観測可能な導波管対応の方向性結合器を提供できるので、構造の大きさの制約がある民生用のマイクロ波利用機器、たとえば電子レンジ、オーブンレンジなどはもとより産業用のマイクロ波応用機器にも利用できる方向性結合器を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器の斜視構成図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器におけるプリント基板を透過したときの斜視構成図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器のクロス開口を示す構成図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器のプリント基板の回路構成図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器の方向性結合器における反射波電力検出ポートの特性を示す特性図 本発明に準じる他のマイクロストリップ線路構成における反射電力検出ポートの特性を示す特性図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器の方向性結合器における進行波電力検出ポートの特性を示す特性図 本発明の第2の実施の形態に関わるマイクロ波加熱装置の構成図 本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器の有用性を説明する図
第1の発明に基づく方向性結合器は、導波管の壁面に設けられた第1の開口部および第2の開口部と、前記導波管の外側に設けられた第1の結合線路と第2の結合線路を備え、前記第1および第2の開口部は、管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置され、さらに平面視において開口中央部が前記導波管の管軸と交差しない位置に設けられるとともに、円偏波を放射するように形成され、 前記第1の結合線路は、平面視において前記第1の開口部の中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第1の結合線路の片端に第1の反射抑制手段、もう片端に第1の検波回路を備え、 前記第2の結合線路は、平面視において前記第2の開口部を中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第2の結合線路の片端に第2の反射抑制手段、もう片端に第2の検波回路と、を有した構成としている。
この構成において、第1および第2の開口部の開口中央部は、導波管の管軸を外して配置しているので、導波管内を伝搬するマイクロ波を容易に導波管外に放射させることができる。また開口中央部が管軸にない開口から放射されるマイクロ波の電界の向きは、電界の向きを導波管の幅広面に平行な成分と垂直な成分に分けて考えると、平行な成分は開口中央部を中心に回転する成分をもち、これは電界が回転するいわゆる円偏波の成分を持つことになる。円偏波は、導波管内を伝搬するマイクロ波の方向(伝送方向、反射方向)に応じて、電界の回転方向が逆向きになる特徴を有している。開口から放射されるこれらのマイクロ波は開口部の中央に対して対称性を持って横切るように配置された第1および第2の結合線路に結合する。結合によって、第1および第2の結合線路の両端には、回転する電磁界の回転方向に対応したマイクロ波が伝送される。すなわち、導波管内を所定方向に伝送する伝送波とそれと反対方向に伝送する反射波とが分離されて第1および第2の結合線路の両端に伝送される。ここで第1の開口部と第2の開口部は管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置されているため、開口から放射されるマイクロ波は平面視における回転方向が異なる以外は略同量、略同質となる。したがって開口部と結合する第1の結合線路および第2の結合線路は、導波管内を伝送するマイクロ波の略同一位相における略同一量のマイクロ波を伝送方向分、反射方向分に分離することができる。更に第1および第2の反射抑制手段を同一端(例えば開口中央から管軸方向を見た時の結合線路左端)に配して結合線路内反射を防止することで、第1の検波回路と第2の検波回路は、それぞれ伝送波と反射波の電力量を結合線路内反射の影響を受けることなく正確に観測することができる。したがって、本発明の構成により、導波管内を双方向に伝搬するマイクロ波の電力量のレベルをそれぞれ分離して正確に検出できる。
第2の発明は、特に第1の発明において、1つまたは複数のプリント基板を更に備え、前記第1および第2の結合線路は、前記プリント基板において前記第1および第2の開口部と対向する面に形成された構成としたものであり、プリント基板の厚みは、通常、ごく僅かであるので、前記第1および第2の結合線路をプリント基板における前記第1および第2の開口部と対向する面に形成することで、装置の大型化を抑えることができる。
第3の発明は、特に第外面上で支持し2の発明において、 前記1つまたは複数のプリント基板を前記導波管の前記結合線路の信号の取出し部を有するとともに、平面視において前記第1の開口部を包囲するように配置された導電性を有する第1の支持部と、前記第2の開口部を包囲するように配置された導電性を有する第2の支持部を更に備え、前記1つまたは複数のプリント基板の前記第1または第2の開口部に対向しない面には、マイクロ波反射部材が形成された構成としたものであり、この構成をとることにより、プリント基板を透過して不要輻射されるマイクロ波をプリント基板で反射させ、第1および第2の開口部から放射されるマイクロ波を導波管と第1および第2の支持部とプリント基板で囲まれた空間に閉じ込めることができ、不要輻射電力レベル規制値を満たし、周辺の電気部品や制御信号ラインなどへの不要輻射を抑制し、誤動作を回避させることができる。
第4の発明は、特に第3の発明において、前記第1および第2の結合線路が有する第1および第2の反射抑制手段と、第1および第2の検波回路は、前記第1および第2の支持部の外側に配置される構成としたものであり、第1および第2の支持部内のマイクロ波の影響を受けることなく、第1および第2の検波回路によりマイクロ波を観測することができる。
第5の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記マイクロ波発生手段が発生するマイクロ波を前記加熱室に伝送する導波管と、前記導波管を伝送するマイクロ波を前記加熱室に放射させる放射手段とを有し、特に第1〜第4の発明のいずれか一つの方向性結合器を、前記マイクロ波発
生手段と前記放射手段との間の導波管に設けたものであり、これにより被加熱物の加熱に伴う物理的変化によって変化する反射電力変化を検知して、被加熱物の加熱進行状態を把握でき、また被加熱物の種類や量を把握でき、利便性の高いマイクロ波加熱装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態に関わる方向性結合器の斜視構成図、図2は図1のプリント基板を透視化した斜視構成図、図3は図1の導波管に設けた第1の開口部および第2の開口部(スリット状の長方形穴2つを直交させて構成した開口としており、形状イメージから実施の形態説明ではクロス開口と呼称する)であるクロス開口の構成図、図4は図1のプリント基板の回路構成図である。
図1〜図4において、本実施の形態の方向性結合器は、導波管10の幅広面10aに設けたX形状のクロス開口111および211、クロス開口111および211に対向し導波管10の外側に設けたプリント基板112および212、プリント基板112および212のクロス開口111および211に対面する面においてプリント基板112および212からクロス開口111および211を鳥瞰したとき、クロス開口111および211の開口が存在するクロス開口領域111aおよび211a(図3参照)に対面する領域に所定の結合線路形状にて構成した第1の結合線路としてのマイクロストリップ線路113および第2の結合線路としてのマイクロストリップ線路213、プリント基板112および212を導波管10の幅広面10aより支持固定するとともにクロス開口111および211から放射したマイクロ波を内部に閉じ込める導電材料から構成した支持部114および214とで構成される。
マイクロストリップ線路113は、線路113a、113b、113c、113d、113eで構成され、マイクロストリップ線路213は、線路213a、213b、213c、213d、213eで構成されるものとする。
クロス開口111および211は、導波管10の幅広面10aにおいて導波管10の管軸L1から寸法D1だけ外れた位置(寸法D1は、たとえば導波管10の幅寸法の1/4の寸法)をクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cとしたX形状の開口で構成している。ここで、クロス開口111および211は、管軸に対して対称性を備えた位置とし、更にクロス開口111および211を略同一形状として配置することで、2つの開口から放射されるマイクロ波は、平面視における回転方向が異なる以外は略同量、略同質となるように構成されることとなる。
なお、クロス開口111および211の開口形状は、導波管10の幅寸法と高さ寸法、導波管を伝送させる電力レベルやその周波数帯域、クロス開口から放射させる電力レベルなどの条件に基づいて決定する。たとえば、導波管10の幅寸法が100mm、高さ寸法が30mm、導波管の壁面材の厚さが0.6mm、電力レベルの最大が1000W、周波数帯域が2450MHz、放射させる電力レベルの最大が約10mWとすると、クロス開口111および211の長さ111wおよび211wと幅111dおよび211dは、長さが20mm、幅が2mm程度にて構成される。クロス開口111および211の交差角度は約90度としているが、これに限定する必要はなく、たとえば60度(120度)のように変更して構わない。
なお、クロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを導波管1
0の管軸上に一致させてしまうと電界は回転せずに伝送方向に往復するだけの直線偏波になってしまう。開口中央部111cおよび211cが管軸L1から少しでもずれていれば電界は回転するが、開口中央部111cおよび211cが管軸L1に近ければ近いほど(D1が0に近づくにつれて)回転がいびつになって楕円状の楕円偏波となる。一方、本実施の形態のように、寸法D1を導波管10の幅寸法の1/4程度に選べば、最もきれいな回転の円偏波になるので、回転方向がより明確になり、精度よく伝送波と反射波を分離して検出することができる。
プリント基板112および212は、クロス開口111および211に対面していない側のプリント基板A面112aおよび212aは、全面をマイクロ波反射部材としての銅張とし、クロス開口111および211に対面する側のプリント基板B面112bおよび212bにマイクロストリップ線路113および213を配している。マイクロストリップ線路113および213は、特性インピーダンスが略50オームの伝送線路で構成している。プリント基板112および212からクロス開口111および211側を鳥瞰したとき、クロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを取り囲むようにマイクロストリップ線路113および213を配置させている。
そして、クロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを線路内部に包含するマイクロストリップ線路113および213は、少なくとも導波管10の管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bを有し、前記略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bは、クロス開口111および211が存在するクロス開口領域111aおよび211aに対向しクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cの両側に設けている。また、略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bの一端は、導波管10の管軸L1に略平行な線路113cおよび213cで接続している。
この管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bと略平行な線路113cおよび213cはクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを取り囲むように配置させている。管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bのそれぞれの他端は管軸L1に略平行な線路113dおよび213d、線路113eおよび213eを接続し、クロス開口領域111aおよび211aの外まで線路を延在させている。この管軸L1に略平行な線路113dおよび213d、線路113eおよび213eの他端からマイクロストリップ線路の出力部131および231、出力部132および232に至る線路は出力部の配設位置に応じて適当にマイクロストリップ線路を配置する。マイクロストリップ線路の出力部131および231、出力部132および232は、支持部114および214の外側に配置させる。
マイクロストリップ線路113および213片端の出力部131および231には、検出したマイクロ波レベルを制御信号として取り扱うための処理回路である検波回路115および215が接続され、もう片端の出力部132および232には反射抑制手段としての終端回路150および250が接続される。
図4は、検波回路115および215と反射抑制手段としての終端回路150および250の一例を示したもので、出力部131および231のマイクロ波信号は、チップ抵抗116および216、ショトキーダイオード117および217を経て整流され、平滑回路(チップ抵抗、チップコンデンサにて構成)を経て検波出力部118および218に直流電圧を出力する。出力部132および232には第1および第2の結合線路であるマイクロストリップ線路113および213における片端からの反射を防ぐ構成としての終端回路120および220が取り付けられている。マイクロストリップ線路113および2
13の特性インピーダンスと同一の抵抗器を取り付けることで、出力部132および232に到達したマイクロ波を抵抗器で全て吸収することで反射抑制を行い、出力部131および231側への不要な回り込みを防ぐことができる。
クロス開口111および211に対面するプリント基板B面112bおよび212bにおいて、プリント基板取付用穴120aおよび220a、プリント基板取付用穴120bおよび220b、プリント基板取付用穴120cおよび220c、プリント基板取付用穴120dおよび220dの周辺部の銅張部と、ピンフォール121aおよび121a、121bおよび121bを設けた銅張部はグランド面とし、プリント基板112および212のクロス開口111および212に対面しないプリント基板A面112aおよび212aと同電位としている。
プリント基板112および212は、プリント基板取付用穴120aおよび220a、プリント基板取付用穴120bおよび220b、プリント基板取付用穴120cおよび220c、プリント基板取付用穴120dおよび220dを用いて、支持部114および214に、ネジ1201aおよび2201a、ネジ1201bおよび2201b、ネジ1201cおよび2201c、ネジ1201dおよび2201dによって組立固定される。支持部114および214には、ネジ1201aおよび2201a、ネジ1201bおよび2201b、ネジ1201cおよび2201c、ネジ1201dおよび2201dを組立固定する突出しネジ部1202aおよび2202a、突出しネジ部1202bおよび2202b、突出しネジ部1202cおよび2202c、突出しネジ部1202dおよび2202dを設けている。
また、支持部114および214には、マイクロストリップ線路113および213を伝送するマイクロ波を支持部114および214の外に位置させたマイクロストリップ線路113および213の両端の出力部131および231、出力部132および232にマイクロ波信号を伝送させて取り出す取出し部141および241、取出し部142および242を備える。この取出し部141および241、取出し部142および242は、図2に図示したように、プリント基板112および212を支持部114および214にネジ組立する支持部114および214のフランジ面をプリント基板112および212と反対側に凸絞りした構成し、マイクロストリップ線路113および213を伝送するマイクロ波の伝送を阻害しない構成としている。
なお、図1および図2には、図4に示した検波出力部118および218に実装させるコネクタ部118aおよび218aを図示している。
次に、以上の構成からなる本実施の形態の方向性結合器の動作と作用について説明する。
まず、図9に示すような、1つのクロス開口901に1つのマイクロストリップ線路902を対向させて進行波と反射波を同時に検出する構成ではなく、クロス開口111とクロス開口211の2つを導波管10の管軸L1に対して対称性を備えた位置に設けることで進行波と反射波の検出同時性を確保し、進行波検出用のクロス開口111と片端に終端回路150を備えたマイクロストリップ線路113と、反射波検出用のクロス開口211と片端に終端回路250を備えたマイクロストリップ線路213を用いて、進行波と反射波を別々に検出する構成を必要とする理由を説明する。その理由は、簡単に言うと低反射率を正確に測定可能な構成を量産対応可能とするためであり、一見すると単なる設計事由に過ぎないように思われる内容である。しかしながら、この内容が単純な設計事由に留まるレベルではなく、マイクロ波現象特有のインピーダンス不整合による不要反射に対応するための内容であることを、導波管10が伝送する先に3%の反射するような対象がある
場合を例にとって、反射波用検出回路920に必要とされる精度を計算で示すことにより説明する。
マイクロストリップ線路の特性インピーダンスを50Ωとして作成する場合、進行波用検出回路910および反射波用検出回路920も接続端で50Ωを呈するように検出回路を構成できていないと接続端で反射が起こり一定の跳ね返り量が発生してしまう(以下、検出回路端部での反射量を跳ね返り量と呼ぶ)。通常、マイクロ波電力を検出する場合には、図4に示しているように、ショトキーダイオードやチップ抵抗等を組み合わせて利用するが、実現できるのは15[dB](3.2[%]反射)程度であり、ネットワークアナライザ等の計測機器を活用して、スミスチャート上でインピーダンス変化を確認しつつ詳細に調整を行うと20[dB](1.0[%]反射)程度まで調整できる。ここでは検出回路に詳細調整を行い20[dB]を行ったものとする。
図9に示すように、1つのクロス開口901と1つマイクロストリップ線路902の両端に進行波用検出回路910、反射波用検出回路920が接続されている時、進行波に対応してマイクロストリップ線路902に発生するマイクロ波をT、Tが進行波用検出回路910に入射する際に発生する跳ね返り量をTr、反射波に対応してマイクロストリップ線路902に発生するマイクロ波をR、Rが反射波用検出回路920に入射する際に発生する跳ね返り量をRrとして以下の説明を行う。
さて、導波管10内を伝送するマイクロ波電力量に対して、既述したX形状のクロス開口111および211から放射されるマイクロ波電力量は、導波管形状とクロス開口の形状寸法によって決定され、上記した形状とすると、その比は、約1/10000(約−50dB)である。これは図9におけるクロス開口901も同様である。例えば進行波が1000[W]の場合、本説明の前提は既述の通り3%の反射を行う対象の観測であるので、反射波は30[W](1000[W]の3%)となる。この場合、進行波30に対応してマイクロストリップ線路902に発生する進行波対応マイクロ波量Tは10[mW](1000[W]の−50[dB](1/10000))となり、反射波に対応してマイクロストリップ線路902に発生するマイクロ波電力量Rは0.3[mW](30[W]の−50[dB](1/10000))となる。
上記詳細調整を行った想定の20[dB]の特性を持つ進行波用検出回路910および反射波用検出回路920で発生する跳ね返り量TrおよびRrはそれぞれTr=0.1[mW](10[mW]の1%)、Rr=0.003[mW](0.3[mW]の1%)となる。Trがマイクロストリップ線路902を伝わって反射波用検出回路920に至ってノイズ成分となってしまう動作は原理的に発生してしまうため、反射波用検出回路920で観測される反射波は((R−Rr)+Tr)=((0.3[mW]−0.003[mW])+0.1[mW])=0.397[mW]となる。
検出したいのはR=0.3[mW]であるので、この時に発生する検出誤差は32.3[%](=(100−(0.397)/0.3*100))と非常に大きな誤差となってしまう。よって、誤差3%程度の正確な測定をしたい場合は、進行波用検出回路910における跳ね返りを30dB程度以上(30[dB]の跳ね返り量は0.01[mW])に抑えることが必要であり、例えば、30[dB]とした場合の検出誤差は3.23[%]=(100−(0.3[mW] −0.0003[mW]+0.01[mW]/0.3[mW]))に抑えることができる。一方で、入射波用検出回路910、反射波用検出回路920に用いる検出回路をこれほど高精度に検出回路を調整するのは量産レベルでは非常に困難であるため、本発明の構成のように終端回路150および250を導入して跳ね返りの原因となるマイクロ波を吸収してしまうことで、誤差要因を取り除く構成が非常に有効に働く。なお、終端回路150および250のインピーダンス調整は高精度のチップ抵抗を用いることで、
ショットキーダイオードや抵抗器を組み合わせて構成する検出回路の調整に比べれば難易度が非常に低いことは明らかである。
次に、検出方法について説明を行う。導波管10内を伝送するマイクロ波において、進行波の方向を矢印30(以下、進行波30と称する)、反射波を矢印31(以下、反射波31と称する)とする。進行波30の導波管10内の伝送に対して、クロス開口111および211を形成する長さ111wおよび211w方向の2つの開口が順次励起され、クロス開口111から放射されるマイクロ波は反時計回りの回転放射312、クロス開口211から放射されるマイクロ波は時計回り322(図3参照)となって、導波管10の外側に放射される。反射波31に対しては、それぞれ反対方向の回転放射となる。
この回転放射したマイクロ波は、対面するマイクロストリップ線路113および213に結合する。進行波30に対してクロス開口111から放射されたマイクロ波は、マイクロストリップ線路113と結合され、出力部131に大部分出力させるように、クロス開口111と対面させるマイクロストリップ線路113の構成を調整する。
ここで、進行波30に対して出力部131に出力されずに終端回路150側の出力部132へ出力されてしまうマイクロ波と、反射波31に対してマイクロストリップ線路113と結合して、終端回路150側の出力部132に出力されるマイクロ波は、終端回路150で吸収する構成としている。この構成によって、終端回路150側に出力されたマイクロ波が片端で反射して出力部131側に回り込むことを防ぎ、検波回路115による進行波に対応したマイクロ波量検出を正確に行うことが可能とする。
また、反射波31に対してクロス開口211から放射されたマイクロ波は、マイクロストリップ線路213と結合され、出力部231に大部分出力させるように、クロス開口111と対面させるマイクロストリップ線路213の構成を調整する。
ここで、反射波31に対して出力部231に出力されずに終端回路250側の出力部232へ出力されてしまうマイクロ波と、進行波30に対してマイクロストリップ線路213と結合して、終端回路250側の出力部232に出力されるマイクロ波は終端回路250で吸収する構成としている。この構成によって、終端回路250側に出力されたマイクロ波が片端で反射して出力部231側に回り込むことを防ぎ、検波回路215による反射波に対応したマイクロ波量検出を正確に行うことが可能とする。
クロス開口111および211と、プリント基板112および212上に構成されたマイクロストリップ線路113および213を対面させる相対位置を検討した結果、プリント基板112および212からクロス開口111および211側を鳥瞰したときにクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを取り囲むようにマイクロストリップ線路113および213を配置する構成で達成できた。すなわち、開口中央部111cおよび211cを取り囲むマイクロストリップ線路113および213は、導波管10の管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bと、略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bのそれぞれの一端を接続する導波管10の管軸L1に略平行な線路113cおよび213cにより構成している。また、略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bは、クロス開口111および211を形成する長さ111wおよび211w方向の2つの開口のそれぞれに対面する長さとし、略平行な線路113cおよび213cは、クロス開口111および211の開口に対面しないように構成する。
この構成により、進行波30に対してクロス開口111から放射されたマイクロ波とマイクロストリップ線路113が結合することで発生するマイクロ波のうちで、進行波30
に対応するマイクロ波は、出力部131に大部分出力させることができた。また、反射波31に対してクロス開口211から放射されたマイクロ波とマイクロストリップ線路213が結合することで発生するマイクロ波のうちで、反射波31に対応するマイクロ波は、出力部231に大部分出力させることができた。
また、導波管の使用される環境の下で、進行波と反射波とが反対となる環境下でも通用させるために、マイクロストリップ線路113および213の開口中央部111cおよび211cを取り囲む配置は、対称性を持たせる必要がある。したがって、マイクロストリップ線路113および213の導波管10の管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bは、開口中央部111cおよび211cから略等距離に配置させている。
次に解決すべき課題は、進行波と反射波とによって導波管10内に形成される定在波の影響を解消し、進行波と反射波との検出分離度を確保することである。
図5〜図7を用いて、これを説明する。図5は略垂直な線路113aおよび213aと線路113bおよび213bとの間隔113gおよび213g(図4参照)を4mmとした場合の方向性結合器における反射波電力検出ポートの特性を示す図、図6はその間隔113gおよび213gを2mmとした場合の特性を示す図、図7は図5の条件における方向性結合器の進行波電力検出ポートの特性を示す図である。
これらの特性図は、導波管10の一端にマイクロ波入力端、導波管10の他端に反射波のレベルと位相を変化できる負荷を接続し、導波管10の一端のマイクロ波入力端からマイクロ波信号を入力し、導波管他端の負荷を調整し反射波のレベルと位相を変化させてマイクロストリップ線路113の出力部131(進行波検知)、231(反射波検知)が検出するマイクロ波量をS21、S31としてネットワークアナライザを用いて測定し、S31−S21を計算してスミスチャートの極座標表示上に展開して得られた特性図である。
導波管10、クロス開口111および211の形状は、上記したものを使用した。なお、図5〜図7に示す基準面50(基準面は、進行波のすべてが完全反射し、位相が180度変化する面である)は、負荷の入力端を基準として示している。
極座標表示の中心は、反射波の電力が零、極座標表示の最外郭の円周上は、進行波のすべてが反射波になる。したがって、極座標表示の中心から最外郭の方向に外れるほど、反射波の電力量が増すのでS31が大きくなり、S31−S21はその値が小さくなる(図5、図6はdB表記しているので、値のマイナス数値は小さくなる)。
また、極座標表示の円周方向は、位相に関するもので、方向性結合器を配置した位置における反射波の位相を示す(但し、図5〜図7は負荷の入力面を基準面としているので、位相は相対表示である)。極座標表示における等しい円周上では、反射波の電力レベルは同じで、位相が違うだけである。したがって、S31−S21を極座標上に展開した場合、その等高線は、同心状になるのが理想特性である。
この観点で図5および図6の特性を分析すると、略垂直な線路113aおよび213aと線路113bおよび213bとの間隔113gおよび213gが4mmの場合は、等高線がほぼ同心状であり、間隔113gおよび213gが2mmの場合は、等高線が極座標表示の中心から偏心した特性である。さらに図示していないが、間隔113gおよび213gを8mmにすると2mmとほぼ同様の特性になることを確認した。
間隔113gおよび213gの上述した関係から、定在波に対する課題の解消に間隔113gおよび213gを最適化すればよいことが認められた。以下、この現象について推察する。
クロス開口111および211から回転放射するマイクロ波の伝搬方向は、導波管10内の伝送方向に対して略50度であることが知られており、略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bをこの略50度で回転放射する位置に配置させることで実現できると推察する。すなわち、これは略垂直な線路113aおよび213aと線路113bおよび213bとの間隔113gおよび213gと、導波管10の幅広面10aとプリント基板112および212のマイクロストリップ線路113および213を配するプリント基板B面112bおよび212bとの距離とを最適化させることである。
略垂直な線路113aおよび213aと113bおよび213bはクロス開口111および211の開口に対面させる必要があり、導波管10の幅広面10aとプリント基板112および212のマイクロストリップ線路113および213を配するプリント基板B面112bおよび212bとの距離は、5〜7mmの適当な寸法を選択して解決できることを確認した。
この結果、導波管10に実装する方向性結合器として小型実装を実現させることができる。
以上より、本実施の形態の方向性結合器は、その一例として周波数帯域が2450MHzにおいて、導波管10の幅寸法が100mm、高さ寸法が30mm、X形状のクロス開口111の幅111dおよび211d寸法が2mm、長さ寸法111wおよび211wが20mm、クロス開口111および211に対面するプリント基板112および212までの隙間距離を6mm、マイクロストリップ線路113および213の導波管10の管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bの間隔113gおよび213gを4mm、管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bの長さをクロス開口111および211の長さ111wおよび211wの2つの開口のそれぞれに対面するような長さを持たせる構成により、マイクロストリップ線路113の出力部131から進行波に対応したマイクロ波を取り出し検波回路115により観測し、マイクロストリップ線路213の出力部231から反射波に対応したマイクロ波を取り出し検波回路215により観測することで、マイクロストリップ線路113および213内での不要反射を防ぎつつ進行波と反射波とを分離して正確に検出することを可能にし、大量生産に対応して新規な導波管実装用のコンパクト形状からなる方向性結合器を提供することができる。
なお、上述の方向性結合器の進行波に対応した信号を検出するマイクロストリップ線路113の出力部131の特性を図7に示す。同特性は、上述したS21に基づく特性を極座標表示として示したものである。極座標全領域に対して、負荷変動を考慮した進行波検出のばらつきは最大で約3dBであった。
以上のように本実施の形態の方向性結合器によれば、導波管10の幅広面10aに第1の開口部および第2の開口部としてのX形状のクロス開口111および211を、管軸L1に対し対称性を備えるように管軸を外した位置に設け、更にクロス開口111および211を略同一形状として配置することで、クロス開口111および211から略同量かつ所定の電力レベルのマイクロ波を導波管10外に放射させる。この放射電力レベルは、導波管10およびクロス開口111および211の形状と配置に基づいて規定できる。さらに、管軸L1に対して対称性を備えた2つのクロス開口としたことで、放射するマイクロ波は平面視における回転方向が互いに異なる回転放射とし、その放射方向を規定できる。
これらの作用を利用し、導波管実装の方向性結合器として、実装構成の高精度な管理を不要とするコンパクト形状の方向性結合器を実現させることを可能にしている。
また、個々の構成要件として、導波管10の幅広面10aにおいて管軸L1を外して配置したX形状のクロス開口111および211と、クロス開口111および211に対向し導波管の外側に配置したプリント基板112および212と、プリント基板112および212のクロス開口111および211に対向する面に設けクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを鳥瞰的に線路内部に包含するとともに片端に反射抑制手段としての終端回路120および220、もう片端に検波回路115および215を有する結合線路としてのマイクロストリップ線路113および213を有した構成とした。
これにより、クロス開口111および211は、導波管の管軸L1を外して配置しているので、導波管10内からクロス開口111および211を通して放射されるマイクロ波は、回転する電磁界である円偏波となる。ここでクロス開口111と211は管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置されているため、開口から放射されるマイクロ波は平面視における回転方向が異なる以外は略同量、略同質となる。クロス開口111および211から放射されるこれらのマイクロ波はプリント基板112および212に設けたマイクロストリップ線路113および213に結合する。このマイクロストリップ線路113および213をクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを鳥瞰的に線路内部に包含するように配置することで、導波管内を伝送するマイクロ波の略同一位相における略同一量のマイクロ波を伝送方向分、反射方向分に分離することができる。更に、反射抑制手段としての終端回路120および220を同一端(例えば開口中央から管軸方向を見た時のマイクロストリップ線路113および213の左端)に配してマイクロストリップ線路113および213内反射を防止することで、検波回路115および215は、それぞれ伝送波と反射波の電力量を結合線路内反射の影響を受けることなく正確に観測することができる。
また、プリント基板112および212のクロス開口111および211に対面しない面は、全面をマイクロ波反射部材としての銅張とし、前記プリント基板112および212を前記導波管10に支持し、マイクロストリップ線路113および213の信号を取り出すための取出し部141、142、241、242を除けば、クロス開口111および211から放射するマイクロ波をほぼシールドする導電性の支持部114および214を備えることで、プリント基板112および212を透過して不要輻射されるマイクロ波をプリント基板112および212で反射させ、クロス開口111および211から放射されるマイクロ波を導波管10と支持部114および214とプリント基板112および212とで囲んだ空間に閉じ込め、不要輻射電力レベル規制値を満たし、周辺の電気部品や制御信号ラインなどへの不要輻射を抑制し、誤動作を回避させることができる。
また、方向性結合器の支持部114および214に、マイクロストリップ線路113および213の信号を取り出す取出し部141、142、241、242を設けたことによりクロス開口111および211から放射したマイクロ波を支持部114および214を含む空間内に閉じ込め、マイクロストリップ線路113および213が検出した信号のみを支持部114および214外に取り出すことができる。
また、方向性結合器のクロス開口111および211の開口中央部111cおよび211cを鳥瞰的に線路内部に包含するマイクロストリップ線路113および213は、少なくとも導波管10の管軸L1に略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bを有し、略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bは、鳥瞰的にクロス開口111および211に対向しクロス開口111および211の開
口中央部111cおよび211cの両端に設けた構成として、導波管10内を双方向に伝送するマイクロ波の分離精度において、導波管10に接続される負荷のインピーダンスの影響を緩和し、マイクロ波の分離検出度を高く維持させることができる。
略垂直な線路113aおよび213a、線路113bおよび213bは、それぞれの一端が鳥瞰的にクロス開口111および211に対面するクロス開口領域111aおよび211aにおいて導波管10の管軸L1方向に対して略平行な線路113cおよび213cで連結した構成としたことにより、導波管10内を双方向に伝搬するマイクロ波の分離検出度を高めることができるとともにマイクロストリップ線路113および213の構造を定性化でき、実用構造の設計が容易となる。
また、本実施の形態の方向性結合器は、その支持部114および214の外側にマイクロストリップ線路113および213の出力部131および231の信号を受け取る検波回路115および215と反射抑制手段としての終端回路120および220を配置したことにより導波管10に設けたクロス開口111および211から放射されるマイクロ波の影響を受けることなくマイクロストリップ線路113および213が検出した信号の処理を行うことができる。
なお、検波回路115および215や終端回路120および220は、マイクロストリップ線路113および213と同一面に同じプリント基板112および212を用いて構成することで、マイクロストリップ線路113および213と検波回路115および215と終端回路120および220を作製するプリント基板の構成が単純化され信頼性を高く維持することができる。
なお、線路113aおよび213a、線路113bおよび213b、線路113cおよび213cで囲まれる領域は、クロス開口領域111aおよび211aより小さくするのが望ましい。特に、本実施の形態の図4のように、線路113aおよび213a、線路113bおよび213bを開口中央部111cおよび211cとクロス開口領域111aおよび211aの端部(図4の左右の端部)の中ほどに配置し、線路113cおよび213cを開口中央部111cおよび211cとクロス開口領域111aおよび211aの端部(図4の上の端部)の中ほどに配置すれば、伝送波と反射波を精度よく分離して検出できる。
なお、本実施の形態における開口は、二つの長孔が交差するX字型のクロス開口を用いて説明したが、開口の形状はこれに限る物ではない。導波管10の管軸L1に対して異なる角度に傾斜した二つ以上の長孔を内包するものであればよく、公差位置が長孔の中心からずれていても良い。たとえば、公差位置を中心から端にずらしていくと、X字型というよりもL字型やT字型に近い形状も考えられるし、長孔を三つ以上組み合わせることも考えられる。ちなみに、X字型で交差角度を直交からずらしていった場合、30度程度傾けても電界が回転することは確認済みである。ただし、本実施の形態のように、X字型にして二つの長孔の中心同士で直交させると、最もきれいな(真円に近い)回転の円偏波を放射することができる。
さらに付け加えると、開口の形状は、円や多角形でも良い。前述の通り、開口の形状は、導波管10の管軸L1に対して異なる角度に傾斜した二つ以上の長孔を内包する形状であれば良いと考えられるので、多くの長孔を少しずつ角度を変えて重ねて構成される円でもよく、X字型の長孔の4つの頂点を結んだ正方形でも良い。さらにそれらの形状を押しつぶしたような楕円や長方形や台形はもちろんのこと、四角形以外の多角形や、入りくんだ形状のハート型や星形など、いろいろな形状が考えられる。ここで、特に円や四角形などの場合は、X字型などの入りくんだ形状と比べると変形しにくい効果がある。
(実施の形態2)
次に、図8を用いて本発明の第2の実施の形態のマイクロ波加熱装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態2に関わるマイクロ波加熱装置の構成図である。
図8において、本実施の形態のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室100と、加熱室100に供給するマイクロ波を発生するたとえばマグネトロンのようなマイクロ波発生手段101と、マイクロ波発生手段101が発生するマイクロ波を加熱室100に伝送する導波管102と、導波管102を伝送するマイクロ波を加熱室100に放射させる放射手段103とを有し、マイクロ波発生手段101と放射手段103との間の導波管102の幅広面に実施の形態1で示した方向性結合器104を設けたものである。
方向性結合器104は、導波管102をマイクロ波発生手段101から放射手段103が配置された方向に伝送する進行波に対応する進行波検知信号104aと、加熱室100を含む放射手段103からマイクロ波発生手段101に導波管102内を伝送する反射波に対応する反射波検知信号104bとをそれぞれ検出し、それら検出信号を制御手段105に送る。駆動電源106はマイクロ波発生手段101を動作させる電力を供給するものであり、制御手段105からの信号に基づいて動作する。制御手段105は、マイクロ波加熱装置を用いる使用者が入力した加熱条件や装置が付帯する重量、蒸気量などをセンシングするセンサの信号などの動作情報107に基づき、駆動電源106や放射手段103を回転駆動させるモータ108にその動作指令を送信し、加熱室100内の載置台109上に載置した被加熱物(図示していない)の加熱状態を使用者が所望する状態に加熱制御する。
以上の構成において、方向性結合器104は、被加熱物の加熱に伴う被加熱物自身の物理的変化による反射電力の時間的変化を検知することで、被加熱物内部の状態変化を含めた被加熱物の加熱進行状態を把握でき、また被加熱物の種類や量を把握でき、利便性の高いマイクロ波加熱装置を提供できる。
以上のように本発明に係る方向性結合器およびそれを用いたマイクロ波加熱装置は、コンパクトで実装上の構造精度が緩やかで、高精度観測可能な導波管対応の方向性結合器を提供できるので、構造の大きさの制約がある民生用のマイクロ波利用機器、たとえば電子レンジ、オーブンレンジなど、はもとより産業用のマイクロ波応用機器にも利用可能な方向性結合器を提供することができる。
10、102 導波管
10a 幅広面
100 加熱室
101 マイクロ波発生手段
103 放射手段
104 方向性結合器
104a 進行波検知信号
104b 反射波検知信号
105 制御手段
106 駆動電源
107 動作情報
108 モータ
109 載置台
111 クロス開口
111a クロス開口領域
111c 開口中央部
112 プリント基板
112a プリント基板A面
112b プリント基板B面
113 マイクロストリップ線路
113a、113b 略垂直な線路
113c 略平行な線路
114 支持部
115 検波回路
118 検波出力部
131、132 出力部
141、142 取出し部
150 終端回路
211 クロス開口
211a クロス開口領域
211c 開口中央部
212 プリント基板
212a プリント基板A面
212b プリント基板B面
213 マイクロストリップ線路
213a、213b 略垂直な線路
213c 略平行な線路
214 支持部
215 検波回路
218 検波出力部
231、232 出力部
241、242 取出し部
250 終端回路
901 クロス開口
902 マイクロストリップ線路
910 進行波用検出回路
920 反射波用検出回路
T マイクロストリップ線路に発生するマイクロ波
Tr 進行波用検出回路に入射する際に発生する跳ね返り量
R マイクロストリップ線路に発生するマイクロ波
Rr 反射波用検出回路に入射する際に発生する跳ね返り量
L1 管軸

Claims (5)

  1. 導波管の壁面に設けられた第1の開口部および第2の開口部と、前記導波管の外側に設けられた第1の結合線路と第2の結合線路、を備える方向性結合器であって、
    前記第1および第2の開口部は、管軸に対して対称性を備えた位置に略同一形状として配置され、さらに平面視において開口中央部が前記導波管の管軸と交差しない位置に設けられるとともに、円偏波を放射するように形成され、
    前記第1の結合線路は、平面視において前記第1の開口部の中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第1の結合線路の片端に第1の反射抑制手段、もう片端に第1の検波回路を備え、
    前記第2の結合線路は、平面視において前記第2の開口部を中央に対して対称性をもって横切るように配置され、前記第2の結合線路の片端に第2の反射抑制手段、もう片端に第2の検波回路を備えた
    方向性結合器。
  2. 1つまたは複数のプリント基板を更に備え、
    前記第1および第2の結合線路は、前記プリント基板において前記第1および第2の開口部と対向する面に形成されている、請求項1に記載の方向性結合器。
  3. 前記1つまたは複数のプリント基板を前記導波管の外面上で支持し前記結合線路の信号の取出し部を有するとともに、平面視において前記第1の開口部を包囲するように配置された導電性を有する第1の支持部と、前記第2の開口部を包囲するように配置された導電性を有する第2の支持部を更に備え、
    前記1つまたは複数のプリント基板の前記第1または第2の開口部に対向しない面には、マイクロ波反射部材が形成されている、請求項2に記載の方向性結合器。
  4. 前記第1および第2の結合線路が有する第1および第2の反射抑制手段と、前記第1および第2の検波回路は、前記第1および第2の支持部の外側に配置される、請求項3に記載の方向性結合器。
  5. 被加熱物を収納する加熱室と、
    前記加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
    前記マイクロ波発生手段が発生するマイクロ波を前記加熱室に伝送する導波管と、
    前記導波管を伝送するマイクロ波を前記加熱室に放射させる放射手段と、を有するマイクロ波加熱装置において、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性結合器を前記マイクロ波発生手段と前記放射手段との間の導波管に設けたマイクロ波加熱装置。
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