以下、添付図面を参照して、本願の開示するレーダ装置および物標検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。なお、以下では、レーダ装置1がFCM(Fast-Chirp Modulation)方式である場合を例に挙げて説明するが、レーダ装置1は、例えばFM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式といった他の方式であってもよい。
まず、図1を用いて実施形態に係る物標検出方法の概要について説明する。図1は、実施形態に係る物標検出方法の概要を示す図である。
図1に示すように、レーダ装置1は、例えば、自車両MCのフロントグリル内等に搭載され、自車両MCの進行方向に存在する物標(例えば、先行車や、自転車や、人、ガードレールなどの静止物等)を検出する。なお、レーダ装置1の搭載箇所は、例えばフロントガラスやリアグリル、左右の側部(例えば、左右のドアミラー)等他の箇所に搭載されてもよい。なお、レーダ装置1は、車載レーダ装置以外の各種用途(例えば、飛行機や船舶の監視等)に用いられてもよい。
レーダ装置1は、送信波SWと受信波RWとに基づいた周波数スペクトルにおいてピークとなる観測値を検出する(S1)。
観測値は、物標の状態ベクトルを示す値であり、物標までの距離や相対速度といった値が含まれる。なお、観測値は、瞬時値と呼ばれることもある。また、観測値には、ノイズが含まれることがある。
レーダ装置1は、観測値から物標に対応する対応観測値を選択する(S2)。例えば、レーダ装置1は、観測値のうち、予測値から距離が最も小さい観測値を対応観測値として選択する。予測値は、前回のスキャンによって生成された前回の物標値の移動先として予測された値である。具体的には、レーダ装置1は、処理負荷が小さいαβフィルタを用いて予測値を算出する。
レーダ装置1は、対応観測値と予測値との差に基づいて、複数のフィルタの中から追尾フィルタを設定する(S3)。
例えば、レーダ装置1は、対応観測値と予測値との差が大きく、観測雑音のばらつきが大きい場合には、不規則動作を行う物標に対する追尾性能が優れたパーティクルフィルタを追尾フィルタとして設定する。
また、レーダ装置1は、対応観測値と予測値との差が小さく、観測雑音のばらつきが小さい場合には、処理負荷がパーティクルフィルタよりも小さいカルマンフィルタを追尾フィルタとして設定する。
レーダ装置1は、追尾フィルタを設定した後は、設定した追尾フィルタを用いて物標値を生成する(S4)。
レーダ装置1は、対応観測値と、予測値との差に基づいて追尾フィルタを設定し、設定した追尾フィルタを用いて物標値を生成する。これにより、レーダ装置1は、物標に対する追尾性能を向上させるとともに、処理負荷を低減することができる。
次に、実施形態に係るレーダ装置1の構成について図2を参照し説明する。図2は実施形態に係るレーダ装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
レーダ装置1は、送信部10と、受信部20と、生成部30と、処理部40とを備える。送信部10は、信号生成部11と、発振器12と、送信アンテナ13とを備える。
信号生成部11はノコギリ波状に電圧が変化する変調信号を生成し、発振器12に供給する。発振器12は、信号生成部11で生成された変調信号に基づいて、時間の経過に従って周波数が増加するチャープ信号である送信信号STを所定期間Tc(以下、チャープ期間Tcと記載する)毎に生成して、送信アンテナ13へ出力する。
送信アンテナ13は、発振器12からの送信信号STを送信波SWへ変換し、送信波SWを自車両MC(図1参照)の外部へ出力する。送信アンテナ13が出力する送信波SWは、チャープ期間Tc毎に、時間の経過に従って周波数が増加するチャープ波である。送信アンテナ13から自車両MCの前方に送信された送信波SWは、先行車などの物標で反射されて反射波となる。
受信部20は、アレーアンテナを形成する複数の受信アンテナ21を備える。各受信アンテナ21は物標からの反射波を受信波RWとして受信し、受信波RWを受信信号SRへ変換して生成部30へ出力する。なお、図2に示す受信アンテナ21の数は、4つであるが、3つ以下または5つ以上であってもよい。
生成部30は、送信信号STと受信信号SRとからビート信号SBを生成する。生成部30は、複数のミキサ31と、複数のA/D変換部32とを備える。ミキサ31およびA/D変換部32は、受信アンテナ21毎に設けられる。
受信アンテナ21から出力された受信信号SRは、不図示の増幅器(例えば、ローノイズアンプ)で増幅された後にミキサ31へ入力される。ミキサ31は、送信信号STと受信信号SRとの一部をミキシングし不要な信号成分を除去してビート信号SBを生成し、A/D変換部32へ出力する。
これにより、送信信号STの周波数fST(以下、送信周波数fSTと記載する。)と受信信号SRの周波数fSR(以下、受信周波数fSRと記載する。)との差となるビート周波数fSB(=fST−fSR)を有するビート信号SBが生成される。ミキサ31で生成されたビート信号SBは、A/D変換部32でデジタルの信号へ変換された後に処理部40に出力される。
図3は、送信周波数fSTと、受信周波数fSRと、ビート周波数fSBとの関係の一例を示す図である。図3に示すように、ビート信号SBは、チャープ波毎に生成される。
また、図3に示す例では、送信周波数fSTは、チャープ波毎に、基準周波数f0から時間に伴って傾きθ(=(f1−f0)/Tm)で増加し、最大周波数f1に達すると基準周波数f0に短時間で戻るノコギリ波状である。なお、送信周波数fSTは、チャープ波毎に基準周波数f0から最大周波数f1へ短時間で到達し、最大周波数f1から時間に伴って傾きθ(=(f0−f1)/Tm)で減少するノコギリ波状であってもよい。
図2に戻り、処理部40について説明する。処理部40は、送信制御部41と、信号処理部42と、記憶部43を備える。
処理部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート等を含むマイクロコンピュータや各種回路を含み、レーダ装置1全体を制御する。
マイクロコンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、処理部40の送信制御部41および信号処理部42として機能する。なお、送信制御部41、信号処理部42の少なくともいずれか一つまたは全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
記憶部43は、履歴データ43aを記憶する。履歴データ43aは、信号処理部42が周期的に実行する物標の検出に係る一連の信号処理における処理データの履歴である。
また、記憶部43は、例えば、RAMやデータフラッシュに対応する。RAMやデータフラッシュは、履歴データ43aを記憶することができる。なお、処理部40は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
送信制御部41は、送信部10の信号生成部11を制御し、信号生成部11からノコギリ状に電圧が変化する変調信号を発振器12へ出力させる。これにより、時間の経過に従って周波数が変化する送信信号STが発振器12から送信アンテナ13へ出力される。
信号処理部42は、変換部44と、ピーク抽出部45と、距離・相対速度演算部46と、角度推定部47と、クラスタリング処理部48と、追尾処理部49とを備える。変換部44〜クラスタリング処理部48は、検出部を構成する。
変換部44は、各A/D変換部32から出力されるビート信号SBに対してそれぞれ2次元高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理(以下、FFT処理と記載する。)を行う。
変換部44は、所定期間において生成部30によって受信アンテナ21毎に生成されるビート信号SBに対して2次元FFT処理を行うことで、ビート信号SBを距離および相対速度を示す周波数スペクトルへ変換する。そして、変換部44は、周波数スペクトルをピーク抽出部45へ出力する。
ここで、周知技術ではあるが、FCM方式のレーダ装置1における物標との距離および相対速度の検出原理について簡単に説明しておく。上述したように、送信信号STに基づく送信波SWは、送信アンテナ13から送信され、送信波SWが物標で反射して反射波となり、反射波が受信波RWとして受信アンテナ21で受信されて受信信号SRとして出力される。
送信波SWが送信アンテナ13から送信されてから受信信号SRが出力されるまでの期間は、物標とレーダ装置1との間の距離に比例して増減し、ビート信号SBの周波数は、物標とレーダ装置1との間の距離(以下、物標との距離と記載する。)に比例する。
このため、ビート信号SBに対してFFT処理を行うことで物標との距離に対応する周波数ビン(以下、距離ビンと記載する場合がある。)にピークが出現する。ピークが存在する距離ビンを特定することで、物標との距離を検出することができる。
図4は、1つのビート信号SBに対してFFT処理を行った結果を示す図である。図4では、横軸を周波数として、縦軸をパワーの大きさとしている。図4に示す例では、距離ビンfr10にピークが出現しており、距離ビンfr10に対応する距離に物標が存在することを示す。
ところで、物標とレーダ装置1との間の相対速度がゼロである場合、受信信号SRにドップラ成分は生じず、各チャープ波に対応する受信信号SR間で位相は同じであるため、各ビート信号SBの位相も同じである。
一方、物標とレーダ装置1との間の相対速度がゼロでない場合、受信信号SRにドップラ成分が生じ、各チャープ波に対応する受信信号SR間で位相が異なるため、時間的に連続するビート信号SB間にドップラ周波数に応じた位相の変化が現われる。
このように、物標とレーダ装置1との間の相対速度がゼロでない場合、ビート信号SB間において同一物標のピークにドップラ周波数に応じた位相の変化が現われる。そこで、各ビート信号SBをFFT処理して得られる周波数スペクトルを時系列に並べて2回目のFFT処理を行うことで、ドップラ周波数に対する周波数ビンにピークが出現する周波数スペクトルを得ることができる。ピークが出現した周波数ビン(以下、速度ビンと記載する場合がある。)を検出することで、物標との相対速度を検出することができる。
図5は、時間的に連続するビート信号SBのFFT処理結果とビート信号SB間のピークの位相変化の一例を示す図である。図5に示す例では、距離ビンfr10にピークがあり、ピークの位相が変化していることを示している。
このように、ビート信号SBに対して2回のFFT処理を行い、ピークが存在する距離ビンおよび速度ビンを検出することで、物標との距離および相対速度を検出することができる。
図2に戻り、ピーク抽出部45は、変換部44から入力される周波数スペクトルからパワーが所定値以上となるピークを観測値として抽出し、ピークに関する情報を距離・相対速度演算部46へ出力する。
距離・相対速度演算部46は、ピーク抽出部45によって抽出されたピークの距離ビンおよび速度ビンの組み合わせに基づいて物標との距離および相対速度を算出する。
角度推定部47は、所定の角度演算処理により、ピーク抽出部45において抽出されたピークの各距離ビンの信号から、同一距離ビンに存在する複数の物標についての情報を分離し、それら複数の物標それぞれの角度を推定する。
角度推定部47は、4つの受信アンテナ21の受信信号SRに基づく4つのビート信号SBの全ての周波数スペクトルにおいて同一ピーク周波数ビンの信号(以下、ピーク信号と記載する。)に注目し、それらピーク信号の位相情報に基づいて物標の角度を推定する。
角度推定部47における方位の推定は、例えば、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)、DBF(Digital Beam Forming)、または、MUSIC(Multiple Signal Classification)などの所定の方位推定方式を用いて行われる。
角度推定部47は、最新のスキャンにおける観測値を、クラスタリング処理部48へ出力する。
クラスタリング処理部48は、例えば、距離が近い、および相対速度が近いといった所定の条件を満たす観測値を1つの物標に対応する観測値として検出する。
次に、追尾処理部49について図6を参照し説明する。図6は、追尾処理部49の構成を示すブロック図である。
追尾処理部49は、追尾状態設定部50と、追尾処理設定部51と、第1フィルタ処理部52と、第2フィルタ処理部53と、第3フィルタ処理部54と、第4フィルタ処理部55とを備える。
追尾状態設定部50は、物標に対する追尾状態が、検定中航跡状態、または確定航跡状態であるか判定する。検定中航跡状態は、新規に登録された物標値(観測値)に対して追尾するべきかを検定している状態であり、仮追尾が行われる状態である。換言すれば、検定中航跡状態は、物標値が追尾対象であると確定される前の状態である。確定航跡状態は、物標値が物標に対応していると判定され、正式な追尾が行われる状態である。換言すれば、確定航跡状態は、物標値が追尾対象であると確定された状態である。
追尾状態設定部50は、物標値に紐付けられた生存カウンタに基づいて追尾状態を判定する。生存カウンタは、物標値毎に設定される値である。
生存カウンタは、新規に登録された物標値については、所定の初期値が設定される。そして、生存カウンタは、第1フィルタ処理部52による処理結果に基づいて加減される。
例えば、処理結果によって観測値に対して相関性が取れた、換言すれば連続性がとれた物標値の生存カウンタは加算され、相関性が取れず外挿となった物標値の生存カウンタは減算される。
追尾状態設定部50は、新規に登録された物標値の追尾状態を検定中航跡状態に設定する。追尾状態設定部50は、生存カウンタが予め設定された所定カウンタ値以上になると、追尾状態を確定航跡状態に設定する。所定カウンタ値は、予め設定された値であり、物標値が物標に対応していると判定可能な値である。例えば、所定カウンタ値は、数回連続して相関性が取れた場合に、生存カウンタが所定カウンタ値以上となるように設定される。これにより、追尾状態設定部50は、相関性が高い物標値の追尾状態を確定航跡状態に素早く移行させることができる。
追尾状態設定部50は、生存カウンタが消去値以下になった物標値を消去する。すなわち、追尾状態設定部50は、生存カウンタが消去値以下になった物標値を、失探であると判定し、追尾対象から外す。消去値は、予め設定された値であり、初期値よりも小さい値、例えば、「0」である。
追尾状態設定部50は、追尾状態が検定中航跡状態である物標値の生存カウンタが消去値以下になると、追尾状態を確定航跡状態とすることなく、物標値を消去する。これにより、レーダ装置1は、ノイズに対応する物標値を消去することができ、処理負荷を低減することができる。
追尾状態設定部50は、追尾状態を確定航跡状態に設定した後は、生存カウンタが所定カウンタ値よりも小さくなった場合であっても、追尾状態を確定航跡状態に維持する。なお、追尾状態設定部50は、追尾状態を確定航跡状態に設定した後であっても、生存カウンタが消去値以下になった場合には、物標値を消去する。これにより、レーダ装置1は、観測値に対して相関性が取れなくなった物標値を消去し、処理負荷を低減することができる。
追尾処理設定部51は、追尾状態が検定中航跡状態から確定航跡状態に変更された物標値に対し、対応観測値と予測値との差に基づいて物標に対する追尾処理を設定する。追尾処理設定部51は、物標値が追尾対象であると確定された時に、対応観測値と予測値との差に基づいて追尾フィルタを設定する。追尾処理設定部51は、設定部を構成する。
具体的には、追尾処理設定部51は、詳しくは後述する第1フィルタ処理部52における第1追尾処理で用いられた対応観測値と予測値との差の平均値に基づいて追尾フィルタを設定する。これにより、追尾処理設定部51は、対応観測値と予測値との差のばらつきの影響を低減し、追尾フィルタを正確に設定することができ、追尾性能を向上させることができる。
追尾処理設定部51は、平均値が第1所定値以下である場合には、追尾処理を第2追尾処理に設定する。第2追尾処理は、線形フィルタである線形カルマンフィルタを用いて物標値を生成する処理である。すなわち、追尾処理設定部51は、追尾フィルタを線形カルマンフィルタに設定する。第1所定値は、予め設定された値であり、観測雑音のばらつきが小さく、不規則な動作が少ない物標であると判定できる値である。
平均値が第1所定値以下である場合には、例えば、物標が車両であると推定される。なお、線形フィルタは、線形カルマンフィルタに限られず、例えば、αβフィルタであってもよく、処理負荷が小さいフィルタであればよい。
追尾処理設定部51は、平均値が第1所定値よりも大きく、かつ第2所定値以下である場合には、追尾処理を第3追尾処理に設定する。第3追尾処理は、非線形フィルタである無香カルマンフィルタを用いて物標値を生成する処理である。すなわち、追尾処理設定部51は、追尾フィルタを無香カルマンフィルタに設定する。第2所定値は、第1所定値よりも大きく、予め設定された値である。第2所定値は、観測雑音のばらつきが大きく、不規則な動作が生じる可能性がある物標であると判定できる値である。
第2所定値は、予め設定された値であり、第1所定値よりも大きい値である。平均値が第1所定値よりも大きく、かつ第2所定値以下である場合には、例えば、物標が自転車であると推定される。なお、非線形フィルタは、無香カルマンフィルタに限られない。例えば、非線形フィルタは、拡張カルマンフィルタであってもよく、処理負荷がパーティクルフィルタよりも小さく、不規則な動作を行う可能性がある物標を追尾可能なフィルタであればよい。
追尾処理設定部51は、平均値が第2所定値よりも大きい場合には、追尾処理を第4追尾処理に設定する。第4追尾処理は、非線形フィルタであるパーティクルフィルタを用いて物標値を生成する処理である。すなわち、追尾処理設定部51は、追尾フィルタをパーティクルフィルタに設定する。
平均値が第2所定値よりも大きい場合には、例えば、物標が人であると推定される。パーティクルフィルタは、不規則な動作を行う可能性が高い物標を追尾可能なフィルタである。
なお、追尾処理設定部51は、追尾状態が検定中航跡状態である物標値については、追尾処理を第1追尾処理に設定する。第1追尾処理は、αβフィルタを用いて物標値を生成する処理である。
次に、第1フィルタ処理部52について図7を参照し説明する。図7は、第1フィルタ処理部52の構成を示すブロック図である。
第1フィルタ処理部52は、予測処理部52aと、ゲーティング処理部52bと、連結処理部52cと、物標値生成部52dとを備える。
第1フィルタ処理部52は、追尾状態が検定中航跡状態である物標値に対して第1追尾処理を行う。第1フィルタ処理部52は、線形フィルタであるαβフィルタを用いたフィルタ処理によって物標値を生成する。第1追尾処理で用いられるフィルタは、非線形フィルタよりも処理負荷が小さい線形フィルタである。第1追尾処理で用いられるフィルタは、レーダ装置1で用いられるフィルタの中で最も処理負荷が小さいフィルタである。なお、線形フィルタは、αβγフィルタや、線形カルマンフィルタであってもよい。αβフィルタは、検定中予測フィルタの一例である。
予測処理部52aは、予測処理を行い、今回の予測値を予測する。具体的には、予測処理部52aは、検定中予測処理を行う。検定中予測処理は、追尾状態設定部50によって追尾状態が確定航跡状態に設定される前、すなわち、追尾状態が検定中航跡状態である場合に行われる予測処理である。換言すれば、検定中予測処理は、物標値が追尾対象であると確定する前に行われる予測処理である。予測処理部52aは、前回の物標値を前回の物標値の速度で観測間時間分(前回観測時点/今回観測時点間)移動させて今回の予測値を予測する。
ゲーティング処理部52bは、ゲーティング処理を行い、検出された観測値の一部を、対応観測値の候補から除外する。ゲーティング処理部52bは、予測値からの距離が、所定距離よりも大きい観測値を、対応観測値の候補から除外する。すなわち、ゲーティング処理部52bは、予測値からの距離が、所定距離以下の観測値を、対応観測値の候補とする。所定距離は、予め設定された距離であり、物票に対応する観測値が存在すると判定可能な最大距離である。
また、ゲーティング処理部52bは、前回の対応観測値と今回の観測値との相対速度差を算出し、相対速度差が所定速度差よりも大きい観測値を、対応観測値の候補から除外する。すなわち、ゲーティング処理部52bは、相対速度差が所定速度差以下の観測値を、対応観測値の候補とする。所定速度差は、予め設定された速度差であり、観測値がノイズに対応する観測値であると判定可能な速度差である。
追尾対象となる物標が、例えば、一定の相対速度で移動している場合には、図8において実線で示すように、物標の相対速度は、誤差を含めて所定の速度幅内で変化する。図8は、追尾対象となる物標の相対速度の変化を示す図である。
これに対し、ノイズに対応する観測値は、図8において破線で示すように、相対速度の変化が大きく、所定の速度幅から外れて変化する。
そのため、前回の対応観測値と今回の観測値との相対速度差が大きい観測値は、ノイズであると判定することができる。従って、ゲーティング処理部52bは、相対速度差が所定速度差よりも大きい観測値を、対応観測値の候補から除外することで、ノイズに対応する観測値を除外することができ、追尾性能を向上させることができる。
さらに、ゲーティング処理部52bは、前回の対応観測値と今回の観測値との受信電力差、すなわちパワー差を算出し、受信電力差が所定電力差よりも大きい観測値を、対応観測値の候補から除外する。ゲーティング処理部52bは、受信電力差が所定電力差以下の観測値を、対応観測値の候補とする。所定電力差は、予め設定された電力差であり、観測値がクラッタに対応する観測値であると判定可能な電力差である。
例えば、物標が自車両MCに対して近づいてくる場合には、図9において実線で示すように、物標の受信電力は、誤差を含めて所定の電力幅内で時間の経過とともに大きくなる。これに対して、地面などのクラッタの受信電力は、時間の経過に対して所定のクラッタ電力幅内で変化する。図9は、追尾対象となる物標の受信電力の変化を示す図である。
そのため、前回の対応観測値と今回の観測値との受信電力差が大きい観測値は、クラッタであると判定することができる。従って、ゲーティング処理部52bは、受信電力差が所定電力差よりも大きい観測値を、対応観測値の候補から除外することで、クラッタに対応する観測値を除外することができ、追尾性能を向上させることができる。
このように、ゲーティング処理部52bは、観測値の中から、上記条件に基づいて、追尾対象の物標に対応しない観測値を除外する。
連結処理部52cは、連結処理を行い、ゲーティング処理部52bによって除外されなかった観測値の中から、対応観測値を選択する。具体的には、連結処理部52cは、観測値と、予測値との差を算出する。そして、連結処理部52cは、差が最も小さい観測値、すなわち、観測値の中から、予測値に最も近い観測値を、対応観測値として選択する。連結処理部52cは、選択部を構成する。
物標値生成部52dは、物標値生成処理を行い、対応観測値と予測値との差に所定のフィルタ定数を乗算した値を予測値に加算し、物標値を生成する。物標値生成部52dは、生成部を構成する。なお、対応観測値と予測値との差は、上記した追尾処理設定部51によって使用されるため、記憶部43に記憶される。
次に、第2フィルタ処理部53について図10を参照し説明する。図10は、第2フィルタ処理部53の構成を示すブロック図である。
第2フィルタ処理部53は、予測処理部53aと、ゲーティング処理部53bと、連結処理部53cと、物標値生成部53dとを備える。
第2フィルタ処理部53は、追尾状態が確定航跡状態である物標値に対して第2追尾処理を行う。第2フィルタ処理部53は、線形カルマンフィルタを用いたフィルタ処理によって物標値を生成する。
第2フィルタ処理部53は、追尾状態が検定中航跡状態から確定航跡状態に変更された場合には、第1フィルタ処理部52によって生成された物標値を引き継いで追尾処理を行う。なお、第3フィルタ処理部54、および第4フィルタ処理部55においても、同様である。
予測処理部53aは、予測処理を行い、今回の予測値を予測する。具体的には、予測処理部53aは、確定予測処理を行う。確定予測処理は、追尾状態設定部50によって追尾状態が確定航跡状態に設定された後に行われる処理である。換言すれば、確定予測処理は、物標値の連続性がとれていると確定した後に行われる処理である。予測処理部53aは、前回の物標値を線形運動モデルである等速直線モデルなどに従って移動させて今回の予測値を予測する。
ゲーティング処理部53bは、ゲーティング処理を行い、第1フィルタ処理部52のゲーティング処理部52bと同様に、検出された観測値の一部を、対応観測値の候補から除外する。なお、ここでは、マハラノビス距離に基づいて観測値の一部を除外する。マハラノビス距離は、観測値、および予測値の複数のパラメータを用いて表される距離であり、観測値、および予測値に関する相関性から計算される統計的なばらつきを考慮した距離である。
連結処理部53cは、連結処理を行い、ゲーティング処理部53bによって除外されなかった観測値の中から、対応観測値を選択する。具体的には、連結処理部53cは、予測値に対してマハラノビス距離が最も小さい観測値を、対応観測値として選択する。連結処理部53cは、選択部を構成する。
物標値生成部53dは、物標生成処理を行い、今回の観測値および前回の物標値双方に誤差が含まれると仮定し、前回の物標値を等速直線モデルに従って移動させた場合に、誤差が最小となる最適カルマンゲインを算出する。そして、物標値生成部53dは、対応観測値と予測値との差に最適カルマンゲインを乗算した値を予測値に加算し、物標値を生成する。物標生成部53dは、生成部を構成する。
次に、第3フィルタ処理部54について、図11を参照し説明する。図11は、第3フィルタ処理部54の構成を示すブロック図である。
第3フィルタ処理部54は、予測処理部54aと、ゲーティング処理部54bと、連結処理部54cと、物標値生成部54dとを備える。
第3フィルタ処理部54は、追尾状態が確定航跡状態である物標値に対して第3追尾処理を行う。第3フィルタ処理部54は、無香カルマンフィルタを用いたフィルタ処理によって物標値を生成する。
予測処理部54aは、予測処理、具体的には、確定予測処理を行い、今回の予測値を予測する。予測処理部54aは、前回の物標値を非線形モデルであり、急加減速・急旋回における状態遷移式を示す運動モデルに従って移動させて今回の予測値を予測する。
ゲーティング処理部54bは、ゲーティング処理を行い、第1フィルタ処理部52のゲーティング処理部52bと同様に、検出された観測値の一部を、対応観測値の候補から除外する。なお、ゲーティング処理部54bは、第2フィルタ処理部53のゲーティング処理部53bと同様に、マハラノビス距離に基づいて観測値の一部を除外する。
連結処理部54cは、連結処理を行い、ゲーティング処理部54bによって除外されなかった観測値の中から、対応観測値を選択する。具体的には、連結処理部54cは、予測値に対してマハラノビス距離が最も小さい観測値を、対応観測値として選択する。連結処理部54cは、選択部を構成する。
物標値生成部54dは、物標生成処理を行い、今回の観測値および前回の物標値双方に誤差が含まれると仮定し、前回の物標値を運動モデルに従って移動させた場合に、誤差が最小となる最適カルマンゲインを算出する。そして、物標値生成部54dは、対応観測値と予測値との差に最適カルマンゲインを乗算した値を予測値に加算し、今回の物標値を生成する。物標生成部54dは、生成部を構成する。
次に、第4フィルタ処理部55について、図12を参照し説明する。図12は、第4フィルタ処理部55の構成を示すブロック図である。
第4フィルタ処理部55は、予測処理部55aと、ゲーティング処理部55bと、割り当て部55cと、重み付け部55dと、リサンプリング部55eと、物標値生成部55fとを備える。
第4フィルタ処理部55は、追尾状態が確定航跡状態である物標値に対して第4追尾処理を行う。第4フィルタ処理部55は、パーティクルフィルタを用いたフィルタ処理によって物標値を生成する。
予測処理部55aは、予測処理、具体的には、確定予測処理を行い、今回の予測値を予測する。予測処理部55aは、前回の粒子データにおける分布状態から今回の粒子データにおける分布状態を予測する。具体的には、予測処理部55aは、前回の粒子データにおける確率密度関数に基づいて粒子をサンプリングし、前回の粒子データの速度に基づいて各粒子を移動させる。
ゲーティング処理部55bは、ゲーティング処理を行い、第1フィルタ処理部52のゲーティング処理部52bと同様に、検出された観測値の一部を、対応観測値の候補から除外する。なお、ゲーティング処理部55bは、第2フィルタ処理部53のゲーティング処理部53bと同様に、マハラノビス距離に基づいて観測値の一部を除外する。
割り当て部55cは、割り当て処理を行い、ゲーティング処理部55bによって除外されなかった観測値を、予測した今回の粒子データへ割り当てる。
重み付け部55dは、重み付け処理を行い、割り当てられた観測値に基づいて今回の粒子データそれぞれに対して重み付けを行う。重み付け部55dは、今回の粒子データのうち、観測値に近い粒子の重みを大きくし、今回の観測値から遠い粒子の重みを小さくする。
リサンプリング部55eは、リサンプリング処理を行い、今回の粒子データそれぞれの重みに基づいて粒子データを再配置(リサンプリング)する。リサンプリング部55eは、重みが小さい粒子データを観測値の近くへ移動させる。
物標値生成部55fは、物標生成処理を行い、リサンプリング部55eによって再配置された今回の粒子データの平均に基づいて物標値を生成する。物標値生成部55fは、確率密度関数の平均に基づいて物標値を生成する。なお、物標値生成部55fは、粒子データの各パラメータの中央値に基づいて物標値を生成してもよく、確率密度関数の重心に基づいて物標値を生成してもよい。物標生成部55fは、生成部を構成する。
次に、実施形態に係る追尾状態設定処理について図13を参照し説明する。図13は、追尾状態設定処理を説明するフローチャートである。なお、ここでは、物標の追尾状態が検定中航跡状態であるものとする。また、この処理は、物標値毎に実行される。
レーダ装置1は、物標値の生存カウンタが消去値以下であるか否かを判定する(S10)。レーダ装置1は、生存カウンタが消去値以下である場合には(S10:Yes)、物標値を消去する(S11)。
レーダ装置1は、生存カウンタが消去値よりも大きい場合には(S10:No)、生存カウンタが所定カウンタ値以上であるか否かを判定する(S12)。
レーダ装置1は、生存カウンタが所定カウンタ値よりも小さい場合には(S12:No)、今回の処理を終了する。
レーダ装置1は、生存カウンタが所定カウンタ値以上である場合には(S12:Yes)、追尾状態を確定航跡状態に設定する(S13)。そして、レーダ装置1は、追尾フィルタを設定する(S14)。
次に、実施形態に係る追尾フィルタ設定処理について、図14を参照し説明する。図14は、追尾フィルタ設定処理を説明するフローチャートである。
レーダ装置1は、第1フィルタ処理部52における処理で算出された対応観測値と、予測値との差の平均値が第1所定値以下であるか否かを判定する(S20)。レーダ装置1は、平均値が第1所定値以下である場合には(S20:Yes)、追尾フィルタを線形カルマンフィルタに設定する(S21)。
レーダ装置1は、平均値が第1所定値よりも大きい場合には(S20:No)、平均値が第2所定値以下であるか否かを判定する(S22)。レーダ装置1は、平均値が第2所定値以下である場合(S22:Yes)、すなわち、平均値が第1所定値よりも大きく、かつ第2所定値以下である場合には、追尾フィルタを無香カルマンフィルタに設定する(S23)。
レーダ装置1は、平均値が第2所定値よりも大きい場合には(S22:No)、追尾フィルタをパーティクルフィルタに設定する(S24)。
次に、実施形態に係る第1フィルタ処理部52によって実行される第1フィルタ処理について図15を参照し説明する。図15は、第1フィルタ処理を説明するフローチャートである。
レーダ装置1は、予測処理を行い、予測値を予測する(S30)。レーダ装置1は、ゲーティング処理を行い、観測値の一部を対応観測値の候補から除外する(S31)。
レーダ装置1は、連結処理を行い、対応観測値を選択する(S32)。レーダ装置1は、物標値生成処理を行い、物標値を生成する(S33)。
なお、第2フィルタ処理部53によって実行される第2フィルタ処理、および第3フィルタ処理部54によって実行される第3フィルタ処理においても、同様の手順で処理が行われる。そのため、処理を説明するフローチャートは省略する。
次に、実施形態に係る第4フィルタ処理部55によって実行される第4フィルタ処理について図16を参照し説明する。図16は、第4フィルタ処理を説明するフローチャートである。
レーダ装置1は、予測処理を行い、今回の粒子データにおける分布状態を予測する(S40)。レーダ装置1は、ゲーティング処理を行い、観測値の一部を対応観測値の候補から除外する(S41)。
レーダ装置1は、割り当て処理を行い、除外されなかった観測値を、予測した今回の粒子データへ割り当てる(S42)。レーダ装置1は、重み付け処理を行い、今回の粒子データそれぞれに対して重み付けを行う(S43)。
レーダ装置1は、リサンプリング処理を行い、粒子データを再配置する(S44)。レーダ装置1は、物標値生成処理を行い、物標値を生成する(S45)。
以上の実施形態では、物標値に対する追尾状態が確定追尾状態に設定された時に、その物標に対して追尾フィルタを設定し、以後、確定追尾状態が継続している間、当該設定された追尾フィルタと同じ追尾フィルタを適用した。しかしながら、確定追尾状態に設定された後でも毎回あるいは所定スキャン数毎に予測値と対応観測値との差に基づき追尾フィルタを設定し直すようにしてもよい。これにより、予測値と対応観測値との差に基づいて物標に応じた追尾フィルタに設定することができる。そのため、毎回あるいは所定スキャン数毎に、適用する追尾フィルタを見直し、観測雑音のばらつきに応じて追尾フィルタを設定することができる。
次に、実施形態に係るレーダ装置1の効果について説明する。
レーダ装置1は、対応観測値と、前回の物標値から予測される予測値との差、具体的には差の平均値に基づいて、追尾フィルタを設定し、設定した追尾フィルタを用いて物標値を生成する。
これにより、レーダ装置1は、観測雑音のばらつきに応じて追尾フィルタを設定することができる。そのため、レーダ装置1は、物標の追尾性能を向上させつつ、観測雑音のばらつきが小さい物標に対して、処理負荷が大きい追尾フィルタが適用されることを抑制し、処理負荷を低減することができる。
レーダ装置1は、平均値が第1所定値以下である場合には、追尾フィルタを線形フィルタに設定する。具体的には、レーダ装置1は、追尾フィルタを線形カルマンフィルタに設定する。
これにより、レーダ装置1は、不規則な動作が少ない物標に対して、非線形フィルタよりも処理負荷が小さい線形カルマンフィルタを用いて追尾処理を行い、メモリ使用量および処理負荷を低減することができる。
また、レーダ装置1は、平均値が第1所定値よりも大きく、かつ第2所定値以下である場合には、追尾フィルタを非線形フィルタである無香カルマンフィルタに設定する。
これにより、レーダ装置1は、不規則な動作を行う物標に対する追尾性能を向上させることができ、また、パーティクルフィルタを用いる場合よりも、メモリ使用量および処理負荷を低減することができる。
また、レーダ装置1は、平均値が第2所定値よりも大きい場合には、追尾フィルタをパーティクルフィルタに設定する。
これにより、レーダ装置1は、不規則な動作が多い物標に対する追尾性能を向上させることができる。
レーダ装置1は、追尾状態が検定中航跡状態である場合には、非線形フィルタや、パーティクルフィルタなどの追尾フィルタよりも処理負荷が小さく、レーダ装置1で用いられるフィルタの中で最も処理負荷が小さいαβフィルタを用いて予測値を予測する。
これにより、レーダ装置1は、メモリ使用量および処理負荷を低減することができる。また、レーダ装置1はαβフィルタで使用されるゲイン係数(所定のフィルタ定数)をパラメータとして事前設定することで、観測誤差が大きい物標に対しても一定の追尾性能を担保することができる。
レーダ装置1は、前回の対応観測値との相対速度差が所定速度差よりも大きい観測値を、今回の観測値の候補から除外する。
これにより、レーダ装置1は、ノイズに対応した観測値を、対応観測値の候補から除外することができ、追尾性能を向上させることができる。
レーダ装置1は、前回の対応観測値との受信電力差が所定電力差よりも大きい観測値を、今回の観測値の候補から除外する。
これにより、レーダ装置1は、クラッタに対応した観測値を、対応観測値の候補から除外することができ、追尾性能を向上させることができる。
また、レーダ装置1は、各フィルタ処理部52〜55において、前回の対応観測値との相対速度差や、前回の対応観測値との受信電力差に基づいたゲーティング処理を行う。
これにより、レーダ装置1は、各フィルタ処理において追尾性能を向上させることができる。
変形例に係るレーダ装置1は、追尾状態が検定中航跡状態である場合に、予め設定された所定スキャン内の生存カウンタが所定カウンタ値以上とならない物標値を消去してもよい。これにより、変形例に係るレーダ装置1は、例えば、ノイズに対応した観測値が、物標値として生成された場合に、ノイズに対応した物標値を素早く消去することができる。
変形例に係るレーダ装置1は、各フィルタ処理部52〜55において、距離(またはマハラノビス距離)に基づいたゲーティング処理に加えて、前回の対応観測値との相対速度差、および前回の対応観測値との受信電力差のいずれか一方のみのゲーティング処理を行ってもよい。
なお、実施形態に係るレーダ装置1は、各フィルタ処理部51〜55を異なる構成としたが、各フィルタ処理部51〜55は統合されてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。