JP2019196417A - 塗料組成物、塗膜及び塗装方法 - Google Patents

塗料組成物、塗膜及び塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供する。【解決手段】樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物であって、前記塗料組成物中に含まれる不揮発分のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、前記塗料組成物から厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m2・dayであることを特徴とする塗料組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物、該塗料組成物から形成される塗膜及び該塗料組成物を用いた塗装方法に関し、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物に関するものである。
屋外に建築・建設された構造物(建築物及び構築物)は、日光や雨風に曝され、このような屋外構造物の塗装に適用される塗膜は劣化が早く進むため、耐久性に優れる塗膜が求められている。例えば、屋外構造物用の塗料組成物としては、塗膜の耐剥離性(又は付着性)を向上させる観点から検討されており、塗膜の剥離応力を低減するために変性樹脂等を配合することによって剥離応力を緩和した変性エポキシ樹脂塗料(例えばエポキシ樹脂に対し変性樹脂を加えた塗料や、樹脂骨格を変性させたエポキシ樹脂を含む塗料)が提案されている。このような変性エポキシ樹脂塗料をベースに提案された屋外構造物用の塗料組成物に関する特許文献を以下に例示する。
特開2001−123111号公報(特許文献1)は、(A)エポキシ樹脂に、特定の組成からなる重合性不飽和モノマー混合物をグラフト重合又は共重合させてなる変性エポキシ樹脂と、(B)脂肪族及び/又は脂環族アミン系硬化剤とを特定の割合で含有する塗料組成物を記載し、これにより、送電用及び通信用鉄塔構造物、輸送用コンテナーなどの鋼製又は亜鉛めっきを施した鋼製構造物の防食と美観維持のために、防食性と耐候性の両方に優れた塗膜を最低限の塗装回数で形成できる塗料組成物を提供できることを記載している。
特開平5−39440号公報(特許文献2)は、ダイマー酸で変性された特定のエポキシ樹脂と、ノンタール系樹脂と、硬化剤とを特定の割合で含んでなる防食被膜組成物を記載し、該防食被膜組成物が優れた重防食用塗料として使用可能であることを記載している。
特開2009−254939号公報(特許文献3)は、送電用鉄塔、通信用鉄塔などの亜鉛めっき処理鋼構造物の塗装方法に関するものであり、ここで、亜鉛めっき処理された鋼構造物表面を、(A)エポキシ樹脂、(B)変性樹脂、(C)アミン系硬化剤、(D)リン酸系防錆顔料及び(E)体質顔料を特定の割合で含有する下塗り塗料(I)で特定の膜厚にて塗装することが記載されている。
屋外構造物の中でも、特許文献1〜3に記載の塗装対象である鋼構造物は、風雨に曝され錆の発生しやすい環境にあるため、防食性も求められている。しかしながら、上述した変性エポキシ樹脂塗料のように塗膜の耐剥離性を重視する従来の塗料組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤の硬化密度が低くなるなどの理由により、防食性が十分であるとは言えない。このため、耐剥離性と防食性を両立させた塗膜を形成させるためには、依然として改良の余地がある。
一方で、水タンクの内面や海水導入管内面のような没水部構造物用の塗料組成物としては、塗膜の耐剥離性より、防食性(より具体的には遮断性)を重視する観点から、塗膜の硬化密度を高くするために変性樹脂を配合しないエポキシ樹脂塗料(一般にはピュアーエポキシ樹脂塗料と呼ばれる)が提案されている。しかし、遮断性を重視した従来のピュアーエポキシ樹脂塗料はその塗膜の硬化密度の高さのため、剥離し易く、耐剥離性が重視される屋外構造物の塗装には不向きである。
特開2001−123111号公報 特開平5−39440号公報 特開2009−254939号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜と、該塗膜を形成する塗装方法とを提供することにある。
屋外構造物用の塗料組成物に変性エポキシ樹脂を用いる理由として、変性エポキシ樹脂は、変性樹脂の効果で硬化密度や弾性率が小さく、塗膜の内部応力を小さくすることができるため、耐剥離性に優れる塗膜を提供できることが挙げられる。しかしながら、硬化密度や弾性率の小さい塗膜は、腐食性物質に対する遮断性が低く、防食性が悪化する傾向にある。このような傾向は、例えば橋梁等の鋼構造物に対して、防食性の面から 望ましくない結果である。
そこで、本発明者は、硬化密度とは異なる特性によって塗膜の内部応力を小さくすることについて検討し、塗膜の線膨張係数に着目した。線膨張係数は、下記関係式(1)に示されるように、その値を小さくすることで応力を小さくすることができる。
Figure 2019196417
関係式(1)において、σは応力であり、αは線膨張係数であり、Eは弾性率であり、Tは低温側の温度であり、Tは高温側の温度である。
なお、特定の線膨張係数を有する塗膜を金属製構造物の表面に形成させる防食工法が提案されているが、かかる防食工法では、金属製部材の荷重や熱膨張収縮による動きに対して追従性を持たせるため、塗膜の線膨張係数が規定されている。このように被塗装物である金属との熱膨張係数の差を小さくさせることによって、塗膜の耐久性を向上させる手法は知られているものの、塗膜の内部応力を小さくする観点からの線膨張係数の検討については十分に行われていない。
線膨張係数はガラス転移温度を境にして変化するため、関係式(1)を下記関係式(2)として表すことができる。また、一般には、α<αの関係があるものの、E>>Eの関係があるため、関係式(2)の右辺におけるガラス転移温度から高温側(右辺第2項)はガラス転移温度から低温側(右辺第1項)に比べてその影響力は小さい。
Figure 2019196417
関係式(2)において、σは応力であり、αはガラス転移温度から低温側の線膨張係数であり、αはガラス転移温度から高温側の線膨張係数であり、Eはガラス転移温度から低温側の弾性率であり、Eはガラス転移温度から高温側の弾性率であり、Tはガラス転移温度であり、Tは低温側の温度であり、Tは高温側の温度である。
本発明者は更に検討したところ、ガラス転移温度から低温側の線膨張係数αを特定の範囲にまで低下させ、塗膜の内部応力を小さくすることで、塗膜の剥離を十分に防ぐことができることを見出した。また、線膨張係数に基づき塗膜の内部応力を小さくすることで、特定の樹脂に限定されず、広範な樹脂が使用可能となるため、塗膜の防食性を左右する遮断性の目安となる水蒸気透過度を同時に低下させることができ、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を提供できることも見出し、本発明を完成させるに至った。
さらに、本発明者は、上記のように線膨張係数αを特定の範囲にまで低下させた塗膜について、上記線膨張係数αも特定の範囲に低下させると、剥離防止効果がより向上することも見出した。
即ち、本発明の塗料組成物は、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物であって、
前記塗料組成物中に含まれる不揮発分のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、
前記塗料組成物から厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする。
本発明の塗料組成物の好適例においては、前記顔料が鱗片状顔料を含み、該鱗片状顔料の平均粒径が5〜600μmである。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記不揮発分中における鱗片状顔料の含有量が15〜60質量%である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記樹脂成分の一部が変性樹脂であり、前記不揮発分中における変性樹脂の含有量が0.1〜15質量%である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記変性樹脂が液状変性樹脂である。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記塗料組成物が、構造物の塗装に使用される。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記構造物が、鋼構造物である。
また、本発明の塗膜は、樹脂及び顔料を含む塗膜であって、該塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、該塗膜の厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする。
また、本発明の塗装方法は、被塗装物を、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物で塗装し、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayである塗膜を形成させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の塗料組成物によれば、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することができる。また、本発明の塗膜によれば、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を提供することができ、更に、本発明の塗装方法によれば、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成する塗装方法を提供することができる。
ヒートサイクル剥離試験の#型部塗膜欠陥評価基準を示す。
<塗料組成物>
以下に、本発明の塗料組成物を詳細に説明する。本発明の塗料組成物は、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物であって、前記塗料組成物中に含まれる不揮発分のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、前記塗料組成物から厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする。本発明の塗料組成物によれば、線膨張係数及び水蒸気透過度を上記特定した範囲にすることで、耐剥離性及び防食性に優れる塗膜を形成することができる。なお、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数を線膨張係数αともいう。
このように、本発明の塗料組成物により形成される塗膜は、防食性及び耐剥離性の観点から耐久性に優れるため、例えば、屋外に建築・建設された構造物(屋外構造物)の塗装(補修塗装を含む)、特には橋梁等の鋼構造物の塗装(補修塗装を含む)に使用されることが好ましい。そして、屋外構造物の塗装に使用する観点から、本発明の塗料組成物は、常温乾燥型塗料組成物や2液反応型塗料組成物であることが好ましい。
また、本発明の塗料組成物は、不揮発分の線膨張係数αを上記特定した範囲内にあるため、塗膜の内部応力が低く、厚膜塗装にも優れるが、特に、繰り返し補修を行う際に、旧塗膜を除去せずに、旧塗膜の上から好適に塗装を行うことができる。このように繰り返し補修を行う場合、1回の補修では例えば膜厚25〜500μm、好ましくは25〜150μmの塗膜の形成であっても、旧塗膜の上から繰り返し補修を行うことで、旧塗膜を含めた塗膜全体の膜厚が500μmを超えるような厚膜を形成しても、本発明の塗料組成物による繰り返し補修、特には不揮発分の線膨張係数αが3.2×10−5/K以下である本発明の塗料組成物による繰り返し補修であれば、剥離防止効果が発揮できることになる。このため、本発明の塗料組成物は、塗り替え補修のために使用されることが好ましい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分とは、水や有機溶剤等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分である。当然ながら、樹脂成分や顔料は不揮発分である。なお、本発明においては、揮発分が残存すると線膨張係数が高く出るので塗料組成物を150℃で10時間乾燥させた際に残存する成分を不揮発分として取り扱う。
上記不揮発分の線膨張係数αが低いほど、塗膜の内部応力も低くなることから、本発明の塗料組成物において、上記線膨張係数αの下限は特に制限されるものではないが、例えば、線膨張係数αを下げるために多量に顔料を添加すると、防食性、塗装作業性および塗膜の外観などが低下するという理由から、2.5×10−5/K以上であることが好ましく、3.2×10−5/K以上であることが更に好ましい。また、例えば、経年劣化により塗膜の付着性が著しく低下した構造物において、超長期にその塗膜の付着性を確保するという観点から、上記線膨張係数αは、3.2×10−5/K以下であることが好ましい。
本発明者は、上記線膨張係数αが特定の範囲(具体的には3.2×10−5/K以下)にまで低下した塗膜では、膜厚が大きいほど、剥離防止効果も大きくなることも見出した。このような効果が得られる明確な理由は現段階では不明であるが、塗膜が厚くなるほど塗膜の剛性が高くなっていることに起因しているのではないかと、考えられる。
また、不揮発分のガラス転移温度以上の温度における線膨張係数は8.0×10−5/K以下であることを例示することができるが、剥離防止効果をより向上させる観点から、不揮発分のガラス転移温度以上の温度における線膨張係数は3.9×10−5/K以下であることが好ましく、2.5×10−5/K以下であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度以上の温度における線膨張係数を線膨張係数αともいう。不揮発分のガラス転移温度以上の温度における線膨張係数が低いほど、塗膜の内部応力も低くなることから、本発明の塗料組成物において、上記線膨張係数αの下限は特に制限されるものではないが、例えば、線膨張係数αを下げるために多量に顔料を添加すると、防食性、塗装作業性および塗膜の外観などが低下するという理由から、1.0×10−5/K以上であることが好ましい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分の線膨張係数は、以下のように測定される。
参考文献1:島津熱機械分析装置TMA−60/60H取扱説明書 島津製作所、2014年5月
参考文献2:島津熱分析ワークステーションTA−60WS取扱説明書 島津製作所、2014年2月
線膨張係数測定方法
表面が清浄なブリキ板(0.3mm×75mm×150mm)に測定する塗料を塗装し、塗膜を作製する。この作業を乾燥膜厚が約6mm以上になるまで1日1回行う。その際、均一な塗膜を作製するため、塗装する方向は1回ごとに交差させる。
乾燥膜厚が6mm以上に達した塗膜をブリキ板から剥がし、約6mm×6mm×20mmの角柱になるよう紙やすり等を用いて整形した後、その質量を精秤する。その後、150℃の恒温槽に10時間加温養生した後再び精秤して、150℃恒温槽に10時間加温養生した前後の質量減量率を次式により算出する。加温養生前後の質量減少率が1%以内になるまで加温養生を繰り返す。
Figure 2019196417
加温養生した約6mm×6mm×20mmの角柱を、紙やすり(#240)を用いて、4mm×4mm×15mmの角柱に整形する。この際ノギス等を用いて計測しながら研磨作業を行い、測定用試料の誤差を4mm±0.5mm、15mm±1mm以内とする。
線膨張係数の測定は島津製作所製の島津熱機械分析装置TMA−60で行った。−50℃からの測定を行うため、低温炉LTB−60を付属品として使用した。−50℃から+120℃までの試料の温度上昇に伴う試料長の変化(線膨張量)をサンプリング間隔1秒で測定する。得られたグラフから、温度上昇と膨張率の間に比例関係が認められる区間において2点を指定し、その区間の勾配から線膨張係数αおよび線膨張係数αを得る。
なお、本明細書において不揮発分のガラス転移温度は勾配がαである直線領域と勾配がαである直線領域の交点となる温度をいう。
なお、本発明の塗料組成物において、不揮発分のガラス転移温度は、例えば30〜120℃であるものの、防食性の観点から、好ましくは35〜80℃である。
本発明の塗料組成物においては、樹脂成分の種類や顔料の種類にかかわらず、不揮発分中に占める顔料の割合を増加させることで、不揮発分のガラス転移温度以下の温度での線膨張係数を低下させることができる。この理由としては、塗料組成物に使用される樹脂と顔料を比較すると、顔料の線膨張係数の方が樹脂よりも小さいことが挙げられる。以下に、不揮発分中に占める顔料の割合と線膨張係数αの関係について、表1に示す。
Figure 2019196417
表1から分かるように、不揮発分中に占める顔料の割合を増加させることで、不揮発分の線膨張係数αを低下させることができる。また、線膨張係数αは顔料の種類にも影響されることがわかる。即ち、顔料形状が球状よりも鱗片状の方が少量で線膨張係数αを低下させる効果が大きく、更に同じ鱗片状顔料の場合でも、粒径の大きい方が線膨張係数αを低下させる効果が大きいことが分かる。
なお、線膨張係数αも同様の手法により低下させることが可能であるが、線膨張係数αと比べて、顔料の粒径の影響が大きい。このため、粒径の大きな顔料による線膨張係数αを低下させる効果は、線膨張係数αを低下させる効果よりも大きい。
塗膜の水蒸気透過度が低いほど、塗膜の防食性が向上することから、本発明の塗料組成物において、水蒸気透過度の下限は特に制限されるものではないが、例えば、厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度が0.1g/m・day以上であることを例示することができる。また、防食性の観点から、厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度は、1.4g/m・day以下であることが好ましく、1.0g/m・day以下であることが更に好ましい。
本発明において塗膜の水蒸気透過度の測定は、以下のように測定される。
水蒸気透過度測定方法
表面が清浄なポリプロピレン板(以下PP板)(5mm×100mm×150mm)に測定する塗料を刷毛塗りで乾燥膜厚が70μmになるように塗装し、塗膜を作製する。この作業を1日1回行い3回塗りする。塗装する方向は1回ごとに交差させる。塗装間の養生は50℃の恒温槽内で行い、最終塗装翌日にPP板より塗膜を剥がし、単離塗膜を50℃の恒温槽内で7日間加温養生した。
本発明の塗料組成物において、厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度は、JIS Z 0203:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠した方法によって決定される。具体的に、ガラス瓶に粒状無水塩化カルシウム(吸湿剤)を入れ、厚さ200μmの単離塗膜片をPP板側を内側にして、ガラス瓶に貼り付けて封入した後、25℃、相対湿度90%の環境下で静置し、24時間毎に秤量を行い、カップの質量増加を水蒸気の透過量として測定し、質量増加量が安定した24時間あたりの質量増加量を水蒸気透過度とした。
本発明の塗料組成物においては、例えば、鱗片状の顔料、好ましくは大きな鱗片状の顔料を用いたり、鱗片状顔料や樹脂成分の割合を調整したりすることで、上記特定した範囲を満たす線膨張係数を維持しつつ、水蒸気透過度を低下させることができる。
また、変性樹脂は、水蒸気透過度を低下させる効果が低いと考えられていたが、本発明者が検討したところ、樹脂成分の一部に変性樹脂を用いる場合、好ましくは樹脂成分の一部である変性樹脂と鱗片状顔料とを併用する場合、より好ましくは該変性樹脂が液状である場合に、水蒸気透過度の低減効果が大きくなることを見出した。
変性樹脂と鱗片状顔料の併用によって奏される相乗的な水蒸気透過度の低減効果は、鱗片状顔料の濡れ性の向上と関係があると思われ、特に液状変性樹脂である場合により相乗的な効果が得られることを見出した。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中に占める樹脂成分と顔料の合計含有量は、95質量%以上であることが好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましい。不揮発分中に占める樹脂成分と顔料の合計含有量が95質量%以上であれば、線膨張係数及び水蒸気透過度の調整が容易である。
本発明の塗料組成物中において、不揮発分の含有量は特に制限されるものではないが、塗装作業性や塗膜の仕上がり外観を向上させる観点から、不揮発分の含有量は40〜100質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることが更に好ましい。
本発明の塗料組成物において、樹脂成分には、樹脂そのものの他、塗装時の硬化により樹脂を形成する物質も含まれる。例えば、塗料組成物が1液型であれば、多くの場合、後述するような樹脂それ自体を含む塗料組成物が使用されるが、2液型の塗料組成物には、ポリオール化合物を含む主剤と、イソシアネート化合物を含む硬化剤とから構成される塗料組成物であって、塗装時の硬化によりウレタン樹脂を形成する塗料組成物等も知られている。このような塗料組成物においては、ウレタン樹脂を形成する物質であるポリオール化合物及びイソシアネート化合物が、塗装時の硬化により樹脂を形成する物質に相当する。また、紫外線硬化型塗料組成物には、アクリレートモノマーやオリゴマーを含む塗料組成物であって、塗装時の硬化によりアクリル樹脂を形成する塗料組成物等も知られている。このような塗料組成物においては、アクリル樹脂を形成する物質であるアクリレートモノマーやオリゴマーが、塗装時の硬化により樹脂を形成する物質に相当する。
本発明の塗料組成物において、樹脂成分として使用できる樹脂や塗装時の硬化により樹脂成分から形成される樹脂としては、特に限定されるものではなく、水系、溶剤系、無溶剤系を問わず、塗料業界において通常使用されている樹脂を例示することができ、具体的には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を一種単独で用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシ樹脂や、水酸基を複数有するアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂及びポリエステル樹脂(水酸基を複数有する樹脂をポリオール樹脂とも称する)が好ましい。具体的には、樹脂成分としてエポキシ樹脂とアミン化合物とを含む反応硬化型の塗料組成物や、樹脂成分として上述のようなポリオール樹脂とイソシアネートとを含む反応硬化型の塗料組成物が好ましい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分は、ガラス転移温度が35〜80℃あることが好ましい。上記ガラス転移温度が35℃以上であると、塗膜の水蒸気透過度を低減させる効果が得られ、防食性を向上させることができる。一方、上記ガラス転移温度が80℃以下であれば、不揮発分の線膨張係数が上記特定した範囲内にあることで、所望の耐剥離性を達成することができる。ここで、不揮発分のガラス転移温度は、上記した線膨張係数の測定方法において説明したように、勾配がαである直線領域と勾配がαである直線領域の交点となる温度をいう。
なお、上記例示した樹脂のうち、エポキシ樹脂としては、例えば、JER1001、JER1004、JER1007、JER806、JER807、JER1001×75、JER168V70、JER152、JER154、JERW2801、JERW1155R55、JER−W3435R67(三菱ケミカル社製)、エポトートYD―127、エポトートYDPN―638(新日鉄住金化学社製)、EPICLON830、EPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON1055、EPICLON HP―7200、EPICLON HP―7200L、EPICLON HP―4770、EPICLON HP―820、EPICLON 5500―60、EPICLON 5900−60、EPICLON N−680、EPICLON N―770 (DIC社製)、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4500、アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−505、アデカレジンEM−101−50(ADEKA社製)、ハリポールEP-450、ハリポールEP-497、ハリポールEP-528(ハリマ化成社製)、エポジール748、エポジール759(エアプロダクツアンドケミカルズ社製)、カードライトNX4764(カードライト社製)、カージュラE10(HEXION Specialty Chemicals社製)、エポルジョンEA1、2、3、7、12、20、55及びHD2(ヘンケルジャパン社製)、ユカレジンKE−002、KE−116、E−1022、KE−301C(吉村油化学社製)、Beckpox EP2381(オルネクス社製)、EPI−REZ6530−WH−53(モメンティブ社製)等が使用できる。
更に好ましくは、旧塗膜の上に塗装した場合にも旧塗膜のリフティングを発生させることの無い、脂肪族炭化水素系溶剤および高沸点芳香族炭化水素系溶剤などの弱溶剤にも溶解可能な変性エポキシ樹脂とアミン樹脂とを含む塗料組成物が好ましい。このような弱溶剤に溶解可能な変性エポキシ樹脂としては、アルキルフェノール変性エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、アルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。
このような変性エポキシ樹脂の市販品名としては、エピコート168V70(三菱ケミカル社製)、エピクロン5900−60、エピクロンHP−820(DIC社製)、エポジール748、エポジール759(エアプロダクツアンドケミカルズ社製)、カードライトNX4764(カードライト社製)、ハリポールEP−450、ハリポールEP−497(ハリマ化成グループ社製)、カージュラE10(HEXION Specialty Chemicals社製)、アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−505(ADEKA社製)等を挙げることができる。
また、旧塗膜の上に塗装した場合にも旧塗膜のリフティングを発生させることが無く、更にVOC等の環境問題を考慮する場合には、水性エポキシ樹脂を含む水系塗料組成物が好ましい。
上記エポキシ樹脂のうち、水系塗料に適用できるものとしては、JERW2801、JERW1155R55、JER−W3435R67、エポルジョンEA1、2、3、7、12、20、55及びHD2、ユカレジンKE−002、KE−116、E−1022、KE−301C、アデカレジンEM−101−50、Beckpox EP2381;EPI−REZ6530−WH−53等が挙げられる。
一方、エポキシ樹脂等の硬化剤として使用可能なアミン系化合物(樹脂に分類されるものも含まれる)の市販品名としては、ラッカマイドWN−405、ラッカマイドWN−620、ラッカマイドWH−614、ラッカマイドF4、ラッカマイドWH−650(DIC社製)、トーマイド215−70X、トーマイド225−X、トーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935、フジキュアー4011、フジキュアー4025、フジキュアー4030(T&K TOKA社製)、バーサミン340 1N、バーサミン551、バーサミン552(BASFジャパン社製)、サンマイド150−65、サンマイドWH―910、アンカミン2280、アンカミン2643、アンカマイド350A、(エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、JERキュアXD#639、JERキュアST11、JERキュアST12、JERキュアST13、JERキュアSL11、JERキュアWD11M60(三菱ケミカル社製)、アデカハードナーEH−235R−2、アデカハードナーEH−4163X(商品名、ADEKA社製)、ベジケムグリーンV115、ベジケムグリーンV125、ベジケムグリーンV140、ベジケムグリーンG747(築野食品工業製)、ジェファーミンD-230、ジェファーミンT−403(ハンツマン社製)、ニューマイド511−55、ニューマイド3510(ハリマ化成製)、ダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020、ダイトクラールX−5663H、ダイトクラールX−6102(大都産業社製)、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA(サーフェース・スペシャリティージャパン社製)等を挙げることができる。上記アミン系化合物のうち、弱溶剤系塗料に使用できるものとしては、JERキュアXD#639、アデカハードナーEH−235R−2等がある。また、上記アミン系化合物のうち、水系塗料に適用できるものとしては、トーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935、サンマイドWH―910、JERキュアWD11M60、アデカハードナーEH−4163X、ダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020、ダイトクラールX−5663H、ダイトクラールX−6102、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA等が挙げられる。
また、耐剥離性を高める観点、または外観の良好な塗膜を得る等の観点から、塗膜の遮断性、防食性を維持できる範囲で変性樹脂を用いることができる。変性された樹脂を用いる場合、顔料の分散安定性が向上する傾向があり、顔料の濡れを改善し、塗膜の緻密性及び塗膜の外観を向上させることができる。また、変性された樹脂は、線膨張係数を下げる効果を付与することもできる。尚、エポキシ樹脂やポリオール樹脂の変性例としては、例えば、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等が挙げられる。また、変性された硬化剤を使用することもでき、アミン化合物、イソシアネートの変性例としては、例えば、エポキシ変性、フェノール変性、マンニッヒ変性、アクリルポリオール変性、ポリエーテルポリオール変性、ポリエステルポリオール変性、ポリエステルポリオール変性等が挙げられる。
また、上記変性樹脂を用いる方法とは別に、2種類以上の樹脂をブレンドして用いてもよい。例えば、上記エポキシ樹脂やポリオール樹脂に炭化水素樹脂をブレンドすることが好ましい。
例えば、炭化水素樹脂としては、キシレン樹脂等の芳香族系炭化水素樹脂や脂肪族系炭化水素樹脂が使用できる。また、フェノール等で変性された炭化水素樹脂も使用することができる。炭化水素樹脂としては、例えば、ニカノールL、ニカノールLL、ニカノールLLL、ニカノールY−50、ニカノールY−100(フドー社製)、Necires EPX−L、Necires EPX−L2 (Nevcin社製)、Hirenol PL−1000S (KOLONケミカル社製)、日石ネオポリマーE−100、日石ネオポリマーE−130、日石ネオポリマー130S (JX日鉱日石エネルギー社製)等が使用できる。
本発明の塗料組成物は、樹脂成分の一部が変性樹脂であることが好ましく、該変性樹脂が液状の変性樹脂であることが好ましい。樹脂成分の一部として変性樹脂を含むことにより、水蒸気透過度を低下させる効果が大きくなる。
また、本発明の塗料組成物は、樹脂成分の一部である変性樹脂を、鱗片状顔料と併用することで、水蒸気透過度を低下させる効果がより一層大きくなる。
本明細書において「変性樹脂」には、変性された樹脂と、変性作用を有する樹脂とが含まれ、これらは単独で使用してもよいし、併用してもよいが、水蒸気透過度の低減効果の観点から、好ましくは変性作用を有する樹脂、より好ましくは変性作用を有する液状の樹脂を用いることである。
ここで、「変性された樹脂」の具体例としては、アルキル変性、アルキルエーテル変性、アルキルフェノールノボラック変性、アクリル変性、脂肪酸変性、ウレタン変性、アミノ変性、イソシアネート変性、シリコーン変性、その他アリル基を利用したグラフト変性等の変性がされている樹脂(好ましくはエポキシ樹脂、ポリオール樹脂等)が挙げられる。
また、「変性作用を有する樹脂」とは、樹脂改質剤や樹脂変性剤とも呼ばれる樹脂であり、エポキシ樹脂やポリオール樹脂等の樹脂を変性することが可能な樹脂であり、その具体例としては、上述の炭化水素樹脂の他、特開2009−254939号公報に記載されるような樹脂(C4系〜C12系石油樹脂又はこれらの混合物、ケトン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、クロマン系樹脂、キシレン系樹脂、トルエン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、インデン系樹脂)等が挙げられる。
本発明の塗料組成物中において、樹脂成分の含有量は、例えば5〜70質量%であることが好ましい。また、本発明の塗料組成物において、不揮発分中における変性樹脂の含有量は、水蒸気透過度の低減効果を向上させる観点から、好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは3〜8質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物に用いる顔料は、特に限定されるものではなく、塗料業界において通常使用されている顔料を使用できる。具体例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス等の光輝顔料や、ガラスフレーク、黒鉛等の鱗片状顔料、その他針状、繊維状の顔料等が挙げられる。用いる顔料は塗膜の線膨張係数を低くする顔料が好ましく、同じ組成であれば粒径の大きい顔料の方が好ましい。これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の塗料組成物において、顔料は、防食性の観点から、防錆顔料や鱗片状の顔料であることが好ましい。このため、屋外構造物の塗装に使用する観点から、本発明の塗料組成物に用いる顔料は、防錆顔料及び鱗片状の顔料の少なくとも一方を含むことが好ましく、水蒸気透過度と線膨張係数の両立の観点からは、鱗片状顔料を含むことが好ましい。
上記防錆顔料としては、例えば、Heucophos ZPA、Heucophos ZPO、Heucophos ZMP、Heucophos ZAPP、Heucophos SAPP、Heucophos SRPP、Heucophos ZAMplus、Heucophos ZCPplus(Heubach社製)、K−WHITE#82、K−WHITE#84、K−WHITE#84S、K−WHITE#85、K−WHITE#105、K−WHITE#140W、K−WHITEG105、K−WHITE#450H、K−WHITECa650(テイカ社製)、LFボウセイZP−DL、LFボウセイP−WF、LFボウセイZP−50S、 LFボウセイZP−SB、LFボウセイZP−HS、LFボウセイCP−Z、LFボウセイMZP−500、LFボウセイPMG、LFボウセイMP−620、LFボウセイZP−600、LFボウセイM−PSN、LFボウセイMC−400WR、LFボウセイPM−300、LFボウセイPM−300C、 LFボウセイPM−308(キクチカラー社製)等を使用できる。
上記体質顔料としては、例えば、タルクにクラウンタルクP、クラウンタルクR、クラウンタルクSC、クラウンタルクC、クラウンタルクZ、クラウンタルクHS、クラウンタルク3S(松村産業社製)、Pタルク、PSタルク、TTKタルク、TTタルク、Tタルク(竹原化学工業社製)KHP−25、KHP−25B、KHP−20、KHP−20B、KHP−125、KHP−125B、KHP−400、KHP−400B(林化成社製)、タルクML110、タルクML112、タルクML115、タルクMG113、タルクMG115、タルクMS410、タルクMS412、タルクRL119、タルクRL217、タルクRG319、タルクRH415、タルクRS415、タルクRS515、タルクRS613(富士タルク工業社製)、タルク85、タルク83、タルクH、タルクD(山陽クレー工業社製)、マイカに100M、300M、1000M(大阪マイカ工業社製)、マイカA−21S、マイカAB−25S、マイカA−41S、マイカYM−21S、マイカYM−31S、マイカSYA−21R、マイカSB−061R(ヤマグチマイカ社製)、Suzoraite350−PO、Suzoraite 325−PO、Suzoraite325−HK、Suzoraite325−S、Suzoraite80−SF、Suzoraite200−PO、Suzoraite200−S、Suzoraite200−HK、Suzoraite150−NY、Suzoraite150−PO、Suzoraite150−S(イメリススペシャリティーズジャパン社製)、MICA WG−160、MICA WG−325、4−K MICA、MICA C−1000、MICA C−3000、MICA C−4000(Kings Mountain Minerals社製)、レプコマイカS−200HG、レプコマイカS−325、レプコマイカS−400、レプコマイカM−200、レプコマイカM−325、レプコマイカM−400(レプコ社製)、ミクロマイカMK−200、ミクロマイカMK−200K、ミクロマイカMK−300、ミクロマイカMK−300K、ミクロマイカKM(片倉コープアグリ社製)を使用できる。カオリンにEckalite1、EckaliteED(イメリススペシャリティーズジャパン社製)、ASPG90、ASP170、ASP200、ASP400P、ASP600(BASF社製)を使用できる。鱗片状酸化鉄にAM−200P、BM−200P(チタン工業社製)、MIOX SG、MIOX Micro50、MIOX Micro40、MIOX Micro30、MIOX Micro20、MIOX Micro15、MIOX Micro10(カントナー社製)、アルミニウムペーストにアルペースト1950M、アルペースト1100M、アルペーストHS−2、アルペースト1100MA、アルペースト1700NL、アルペースト1200M(東洋アルミニウム社製)等を使用できる。
炭酸カルシウムに、「スーパーS」、「スーパーSSS」、「ナノコートS−25」、「MCコートS−10」(以上、商品名、丸尾カルシウム社製、)、「ネオライトSS」、「ネオライトSA−200」(以上、商品名、竹原工業社製)を使用することができる。硫酸バリウムに「硫酸バリウム100」、「バリタBF−1」(以上、商品名、堺化学工業社製)を使用できる。ガラスフレークとしては、たとえば「RCF−600」、「RCF−160」、「RCF−015」、「RCF−2300」(以上、商品名、日本板硝子社製)、 ECR Type Glass flake GF750シリーズ、ECR Type Glass flake GF500シリーズ、ECR Type Glass flake GF300シリーズ、ECR Type Glass flake GF200シリーズ、ECR Type Glass flake GF100シリーズ、ECR Type Glass flake GF300M、ECR Type Glass flake GF750nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF500nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF350nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF100nmシリーズ、Type Glass flake GF750Cシリーズ(GLASS FLAKE社製)等を使用できる。
着色顔料としては、たとえば、「A−190」、「A−197」、「R−25」、「R−21」、「R−32」、「R−7E」、「R−5N」、「GTR−100」、「R−62N」、「R−650」、「D−918」、「D−2667」、「D−970」、「R−42」、「R−45M」、「R−38L」(以上、商品名、堺化学工業社製)、「CR−50」、「CR−50−2」、「CR−63」、「CR−57」、「CR−58」、「CR−58−2」、「CR−Super70」、「CR−80」、「CR−90」、「CR−90−2」、「CR−93」、「CR−95」、「CR−97」、「CR−953」、「R−630」、「R−780」、「R−780−2」「R−820」、「R−830」、「R−930」、「R−980」、「UT771」、「PF−736」(以上、商品名、石原産業社製)、「JR−301」、「JR−403」、「JR−405」、「JR−600A」、「JR−605」、「JR−600E」、「JR−603」、「JR−701」(以上、商品名、テイカ社製)、「ベンガラ100ED」、「ベンガラ120ED」、「ベンガラ130ED」、「ベンガラ140ED」、「ベンガラ160ED」、「ベンガラ180ED」、「ベンガラ190ED」、「KN−R」、「KN−V」、「ベンガラ130R」、「ベンガラ515R」、「「ベンガラ580R」、「ベンガラTSY−1」、「ベンガラTSY−2」、「ベンガラTSY−3」、「ベンガラTSY−4」、「ベンガラY−50N」、「ベンガラTSY−1H」、「ベンガラKN−370」、「ベンガラHR−390H」(以上、商品名、戸田工業社製)、「#2650」、「#2350」、「#1000」、「#970」、「MA8」、「MA100」、「MA230」、「#25」、「#10」、「#5」、「MA220」(以上商品名、三菱ケミカル社製)等が使用できる。
本発明の塗料組成物に用いる顔料は、例えば、平均粒径が1〜1500μmの範囲内の顔料を使用することができる。ここで、平均粒径が1〜500μmの場合においては、平均粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、その結果得られた50%平均粒径(体積基準で累計50%となる粒子径、メジアン値)を意味する。
平均粒径が500μmを超え1500μm以下の場合においては、光学顕微鏡で顔料を観察し、任意の粒子50個の粒径の平均値を求め、その値を平均粒径とする。
尚、鱗片状顔料の平均粒径は、光学顕微鏡で顔料を観察し、任意の粒子50個の長径の平均値を求め、その値を平均粒径とする。なお、長径とは、光学顕微鏡で観察された粒子の最も長い方向における長さである。ここで、鱗片状顔料の平均粒径は、好ましくは5〜800μmであり、より好ましくは5〜600μmであり、外観、塗装性や遮断性を考慮すると、更に好ましくは10〜200μm、特に好ましくは30〜160μmである。
本発明の塗料組成物に用いる顔料は、例えば、アスペクト比が1〜750の範囲内の顔料を使用することができる。ここで、顔料のアスペクト比は、平均粒径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)で求められる。顔料の平均厚み(T)は、SEM(走査電子顕微鏡)又は光学顕微鏡を用いて顔料の厚みを測定し、任意の50個の粒子を対象にして平均値を求めることにより得られる。
本発明の塗料組成物中において、顔料の含有量は、例えば15〜75質量%であることが好ましい。本発明の塗料組成物において、不揮発分中における鱗片状顔料の含有量は、塗装性、外観、遮断性等を考慮して適宜調整されるものであるが、例えば15〜60質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物には、上記樹脂成分および顔料以外に、水、有機溶剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、シランカップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
本発明の塗料組成物は、弱溶剤を含むことが好ましく、弱溶剤系塗料であることが好ましい。本明細書において、弱溶剤とは炭化水素系溶剤を指し、弱溶剤系塗料とは主溶媒が弱溶剤である塗料を意味する。
弱溶剤系塗料の調製においては脂肪族炭化水素系溶剤および高沸点芳香族炭化水素系溶剤が好ましいが、具体例としてはVM&Pナフサ、ミネラルスピリット、ソルベント灯油、芳香族ナフサ、ソルベントナフサ、などの比較的溶解力の小さな脂肪族系又は芳香族系炭化水素類;n−ブタン、n−ヘキサン、n−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの脂肪族炭化水素類などが用いられる。
市販品名としては、「スワゾール1000」、「スワゾール1500」、「スワゾール1800」(以上商品名、丸善石油社製)、「ミネラルスピリットA」、「T−SOL100」、「T−SOL150」、「T−SOL−3040」、「T−SOL AN45」(以上商品名、JXTGエネルギー社製)、「エッソナフサNo.6」、「エクソールD30」及び「ペガゾール3040」(以上商品名、エクソンモービル化学社製)、「IPソルベント」、「イプゾール100」、「イプゾール150」、「イプゾールTP」(以上商品名、出光興産社製)、「リニアレン10」及び「リニアレン12」(以上、出光石油化学社製)等が挙げられる。
また、本発明の塗料組成物が水系塗料(主溶媒が水である塗料)である場合については、塗膜の成膜性を高めるために、水の他に有機溶剤を配合することも可能である。このような有機溶剤の例を挙げると、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノi−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノi−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノi−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノi−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノi−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノi−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート及び2,2,4−トリメチルペンタンジオールジイソブチレート等がある。これらは、単独もしくは複数種を組み合わせて使用される。
分散剤としては、例えば、ANTI−TERRA−U、ANTI−TERRA−U100、ANTI−TERRA−204、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−108、DISPERBYK−110、DISPERBYK−111、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−164、ANTI−TERRA−U250、DISPERBYK、DISPERBYK−102、DISPERBYK−180、DISPERBYK−184、DISPERBYK−185、DISPERBYK−187、DISPERBYK−190、DISPERBYK−191、DISPERBYK−192、DISPERBYK−193、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2015、DISPERBYK−2060、DISPERBYK−2061、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2013、DISPERBYK−2055、DISPERBYK−2152、DISPERBYK−P104、DISPERBYK−P104S、DISPERBYK−P105、DISPERBYK−9076、DISPERBYK−9077 (ビックケミージャパン社製)、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−15BHFS、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−35、フローレンG−600、フローレンG−700、フローレンG−700AMP、フローレンG−700DMEA、フローレンWK−13E、フローレンGW−1500、フローレンG−1604(共栄社化学社製)、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース41090(以上、アビシア社製),TEGO Dispers 610、TEGO Dispers 628、TEGO Dispers 630、TEGO Dispers 655、TEGO Dispers 670、TEGO Dispers 685、TEGO Dispers 700 ,TEGO Dispers 715W,TEGO Dispers 740W,TEGO Dispers 750W,TEGO Dispers 755W,TEGO Dispers 757W,TEGO Dispers 760W,TEGO Dispers 761W,TEGO Dispers 765W(エボニック社製)、ディスパロン1850、ディスパロンDA−1401、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンAQ−320、ディスパロンAQ−340、ディスパロンAQ−360、ディスパロンAQ−380(楠本化成社製)、SNディスパーサント4215、SNディスパーサント2010、SNディスパーサント5034(サンノプコ社製)、EFKA−1501、EFKA−4540、EFKA−4550(BASF社製)等を使用できる。沈降防止剤にディスパロン4200−20、ディスパロンPF−911、ディスパロンPF−930、ディスパロン4401−20、ディスパロンAQ−607、ディスパロンAQ−610、ディスパロンAQ−630、ディスパロンAQ−870、ディスパロンAQH−800(楠本化成社製)、ターレン7200−20、ターレンM−1021B、フローノンRCM−210、フローノンRCM−220、フローノンSA−300H、フローノンSD−700(共栄社化学社製) 等が使用でき、たれ止め剤にディスパロン6900−20X、ディスパロンA603−20X、ディスパロンA670−20M、ディスパロン6810−20X、ディスパロン6820−20M、ディスパロン6700(楠本化成社製)、A−S−A T250F、A−S−A T−380−20BS、A−S−A TS−823 (伊藤製油社製)、BYK−405、BYK−410、BYK−415、BYK−420、BYK−425、BYK−430、BYK−431、TIXOGEL MP、CLAYTON E40(ビックケミージャパン社製)、ターレンVA−750B、ターレンBA−600、ターレン1450、チクゾールK−130B,チクゾールK−502、チクゾールW−300,チクゾールW−310P,チクゾールW−400LP(共栄社化学社製)等が使用できる。
また、良好な塗膜外観の観点から、アクリルポリマー系、ポリエーテルポリマー系、ポリエステルポリマー系、ウレタンポリマー系、不飽和カルボン酸系、ポリエステル酸塩系、変性シリコーン系の分散剤や、アクリルポリマー系、アルキル変性シリコーン系、ポリエーテル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系などの表面調整剤を用いることが好ましい。また、良好な塗装作業性の観点から、アクリルポリマー系、ポリエーテルポリマー系、ポリエステルポリマー系、ウレタンポリマー系、不飽和カルボン酸系、ポリエステル酸塩系、変性シリコーン系の分散剤や、アクリルポリマー系、ビニルエーテルポリマー系、ブタジエンポリマー系、オレフィンポリマー系、シリコーン系、ふっ素変性シリコーン系などの消泡剤を用いることが好ましい。
表面調整剤としては、ポリフローNo.36、ポリフローNo.56、ポリフローNo.85HF、ポリフローKL−400HF、ポリフローKL−402、ポリフローKL−406,ポリフローWS,ポリフローWS−314,ポリフローKL−100,ポリフローKL−401,ポリフローKL−403,ポリフローKL−404,ポリフローKL−900(共栄社化学社製)、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−342、BYK−345、BYK−350、BYK−354、BYK−370、BYK−377、BYKETOL−OK(BYK社製)、ディスパロン1970、ディスパロンLF−1980、ディスパロンLF−1982(楠本化成社製),TEGO Flow 300,TEGO Flow 370,TEGO Flow 425,TEGO Flow ATF2,TEGO Glide 100,TEGO Glide 110,TEGO Glide 130,TEGO Glide 406,TEGO Glide 410,TEGO Glide 415,TEGO Glide 440,TEGO Glide 450,TEGO Glide 482,TEGO Glide ZG 400(エボニック社製)等が使用できる。
消泡剤、抑泡剤としては、ダッポーSN−348、ダッポーSN−352、ダッポーSN−359、ダッポーSN−368(サンノプコ社製)、フローレンAC−202、フローレンAC−262H、フローレンAC−300、フローレンAC−300HF、フローレンAC−326F、フローレンAC−901、フローレンAC−901HF、フローレンAC−902、フローレンAC−903、フローレンAC−903HF、フローレンAC−950、フローレンAC−1160、フローレンAC−1160HF、フローレンAC−2000、フローレンAC−2000HF、フローレンAC−2200HF、フローレンAO−82、フローレンAO−98、フローレンAO−108,アクアレン8020、アクアレン8021N,アクアレンSB−520、アクアレンSB−630、アクアレンHS−01,フローレンAO−5(共栄社化学社製)、BYK−051N、BYK−052N、BYK−055、BYK−065、BYK−077、BYK−081、BYK−088、BYK−354、BYK−1752、BYK−011、BYK−012、BYK−014、BYK−017、BYK−021、BYK−022、BYK−024、BYK−025、BYK−044、BYK−093、BYK−1610、BYK−1640、BYK−1650、BYK−1785(BYK社製)、ディスパロンOX−880EF、ディスパロンOX−70、ディスパロンOX−77EF、ディスパロンOX−710、ディスパロンOX−66、ディスパロンOX−66EF、ディスパロン1952、ディスパロン1958、ディスパロン1930N、ディスパロン1934(楠本化成社製),TEGO Airex 910,TEGO Airex 920,TEGO Airex 931,TEGO Airex 940,TEGO Airex 950,TEGO Airex 901W,TEGO Airex 902W,TEGO Airex 904W、TEGO Foamex 800,TEGO Foamex 815N,TEGO Foamex 840,TEGO Foamex 1488,TEGO Foamex 1495,TEGO Foamex 8030(エボニック社製)等が使用できる。
また、乾燥後の塗膜の被塗物に対する付着性を向上させる観点から、アミノ基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、スチリル基、エポキシ基、メルカプト基などの官能基をもつシランカップリング剤を使用することが好ましく、中でもアミノ基、エポキシ基、メルカプト基をもつシランカップリング剤を使用することがより好ましい。シランカップリング剤として、例えば、Z−6610、Z−6011、Z−6020、Z−6094、Z−6040、Z−6043、Z−6044、Z−6062、Z−6883、Z−6032、Z−6075、Z−6300、Z−6519、Z−6825、Z−6030、Z−6033、Z−6062(以上商品名、東レ・ダウコーニング社製)、KBM−1003、KBE−1003、KBM−1403、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−502、KBE−502、KBM−503、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−9659、KBE−585、KBM−802、KBM−803、KBE−9007(以上商品名、信越化学工業社製)、GENIOSIL GF 91、GENIOSIL GF 95、GENIOSIL GF 80、GENIOSIL GF 82(以上商品名、旭化成ワッカーシリコーン社製)等が市販されている。
また、塗料の特性として、塗料の各物性値、塗装時の乾燥前の各物性値、および硬化塗膜の各物性値を調整することで、外観、作業性等を調整、改善することができる。
上記の物性値としては、塗料粘度、塗料密度、チクソトロピックインデックス(Ti)値、顔料体積濃度(PVC)、鉛筆硬度、引張強度、引張弾性率、伸び率等があげられる。
各物性値の好ましい範囲を具体的にあげると、塗料粘度1〜8Pa・s(23℃)、塗料密度1.2〜1.6グラム/mL(23℃)、Ti値3.0〜6.0、PVC25〜40%、鉛筆硬度2B〜3H、引張強度5.0〜20.0N/mm、引張弾性率500〜1500N/mm、伸び率0.1〜5.0%であることが望ましい。
本発明の塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。
<塗膜>
次に、本発明の塗膜を詳細に説明する。本発明の塗膜は、該塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、該塗膜の厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする。本発明の塗膜によれば、水蒸気透過度及び線膨張係数を上記特定した範囲にすることで、防食性及び耐剥離性に優れる塗膜を形成することができる。
このように、本発明の塗膜は、防食性及び耐剥離性の観点から耐久性に優れるため、例えば、屋外に建築・建設された構造物(屋外構造物)の塗装(補修塗装を含む)、特には橋梁等の鋼構造物の塗装(補修塗装を含む)に使用されることが好ましい。また、本発明の塗膜は、内部応力が低く、厚膜として適用してもよいし、繰り返し補修を行う際に、旧塗膜を除去せずに、旧塗膜の上に形成させることもできる。
また、本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物により形成できる塗膜であり、本発明の塗膜中に含まれる樹脂及び顔料と、必要に応じて含まれ得る配合剤は、上述した本発明の塗料組成物の説明において記載されたとおりである。また、本発明の塗膜において説明される塗膜の水蒸気透過度、塗膜の線膨張係数、及び塗膜のガラス転移温度も、上述した本発明の塗料組成物において説明された塗膜の水蒸気透過度、不揮発分の線膨張係数、及び不揮発分のガラス転移温度と同様に測定できる。
本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様に、例えば、線膨張係数αを下げるために多量に顔料を添加すると、防食性、塗装作業性および塗膜の外観などが低下するという理由から、該塗膜の線膨張係数αが2.5×10−5/K以上であることが好ましく、3.2×10−5/K以上であることが更に好ましい。また、本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様に、例えば、経年劣化により塗膜の付着性が著しく低下した構造物において、超長期にその塗膜の付着性を確保するという観点から、該塗膜の線膨張係数αが3.2×10−5/K以下であることが好ましい。
また、本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様の理由から、該塗膜の線膨張係数αが例えば8.0×10−5/K以下であり、3.9×10−5/K以下あることが好ましく、2.5×10−5/K以下であることがより好ましい。また、本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様の理由から、上記線膨張係数αが1.0×10−5/K以上であることが好ましい。
また、本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における水蒸気透過度と同様の理由から、厚さが200μmである場合の塗膜の水蒸気透過度が1.4g/m・day以下であることが好ましく、1.0g/m・day以下であることが更に好ましい。一方で、本発明の塗膜において、水蒸気透過度の下限は特に制限されるものではないが、例えば、厚さが200μmである場合の塗膜の水蒸気透過度は0.1g/m・day以上であることを例示することができる。
本発明の塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分のガラス転移温度と同様の理由から、該塗膜のガラス転移温度は35〜80℃であることが好ましい。
本発明の塗膜中において、樹脂と顔料の合計含有量は、95質量%以上であることが好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましい。樹脂と顔料の合計含有量が95質量%以上であれば、線膨張係数及び水蒸気透過度の調整が容易である。また、塗膜を形成する観点から、塗膜中における樹脂の含有量は5質量%以上であることが望ましい。
また、本発明の塗膜は、1回の塗装工程で得られる膜厚が25〜500μmの範囲内であることが好ましい。本発明の塗膜によれば、内部応力が低いため、その塗装工程を繰り返すことによって500μmを超える厚さを持つ塗膜であってもよい。
<塗装方法>
次に、本発明の塗装方法を詳細に説明する。本発明の塗装方法は、被塗装物を、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物で塗装し、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayである塗膜を形成させる工程を含むことを特徴とする。本発明の塗装方法によれば、水蒸気透過度及び線膨張係数が上記特定した範囲にある塗膜を形成させることで、防食性及び耐剥離性を向上させることができる。
このように、本発明の塗装方法により形成される塗膜は、防食性及び耐剥離性の観点から耐久性に優れるため、例えば、屋外に建築・建設された構造物(屋外構造物)の塗装(補修塗装を含む)、特には橋梁等の鋼構造物の塗装(補修塗装を含む)に使用されることが好ましい。そして、屋外構造物の塗装に適用する観点から、本発明の塗装方法に用いる塗料組成物は、常温乾燥型塗料組成物や2液反応型塗料組成物であることが好ましい。
また、本発明の塗装方法により形成される塗膜は、内部応力が低く、剥離防止効果に優れるため、本発明の塗装方法は、厚膜塗装にも優れるが、特に、繰り返し補修を行う際に、旧塗膜を除去せずに、旧塗膜の上から好適に塗装を行うことができる。このように繰り返し補修塗装を行う場合、1回の補修塗装では例えば膜厚25〜150μmの塗膜の形成であっても、旧塗膜の上から繰り返し補修塗装を行うことで、旧塗膜を含めた塗膜全体の膜厚が500μmを超えるような厚膜を形成してもよい。本発明の塗装方法は、塗り替え補修塗装のために使用されることが好ましい。
本発明の塗装方法に用いる塗料組成物は、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物であるが、塗装後に形成される塗膜が、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであるため、上述した本発明の塗料組成物を用いることができる。このため、本発明の塗装方法に用いる塗料組成物中に含まれる樹脂成分及び顔料と、必要に応じて含まれ得る配合剤は、上述した本発明の塗料組成物の説明において記載されたとおりである。また、本発明の塗装方法により形成される塗膜において説明される塗膜の水蒸気透過度、塗膜の線膨張係数、及び塗膜のガラス転移温度も、上述した本発明の塗料組成物において説明された塗膜の水蒸気透過度、不揮発分の線膨張係数、及び不揮発分のガラス転移温度と同様に測定できる。
本発明の塗装方法により形成される塗膜は、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kである塗膜である。上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様に、例えば、線膨張係数αを下げるために多量に顔料を添加すると、防食性、塗装作業性および塗膜の外観などが低下するという理由から、本発明の塗装方法により形成される塗膜の線膨張係数αは、2.5×10−5/K以上であることが好ましく、3.2×10−5/K以上であることが更に好ましい。一方で、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分の線膨張係数αと同様に、例えば、経年劣化により塗膜の付着性が著しく低下した構造物において、超長期にその塗膜の付着性を確保するという観点から、本発明の塗装方法により形成される塗膜の線膨張係数αは、3.2×10−5/K以下であることが好ましい。
また、本発明の塗装方法により形成される塗膜は、上述した本発明の塗膜の説明において記載されたように、ガラス転移温度以上の温度における線膨張係数αが例えば8.0×10−5/K以下であり、3.9×10−5/K以下あることが好ましく、2.5×10−5/K以下であることがより好ましく、一方で、線膨張係数αは1.0×10−5/K以上であることが好ましい。
また、本発明の塗装方法により形成される塗膜は、厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayである塗膜であり、上述した本発明の塗膜の説明において記載されたように、厚さが200μmである場合の塗膜の水蒸気透過度は、1.4g/m・day以下であることが好ましく、1.0g/m・day以下であることが更に好ましい。一方で、本発明の塗装方法により形成される塗膜において、水蒸気透過度の下限は特に制限されるものではないが、例えば、厚さが200μmである場合の塗膜の水蒸気透過度は0.1g/m・day以上であることを例示することができる。
本発明の塗装方法により形成される塗膜は、上述した本発明の塗料組成物における不揮発分のガラス転移温度と同様の理由から、該塗膜のガラス転移温度は35〜80℃であることが好ましい。
本発明の塗装方法により形成される塗膜中において、樹脂と顔料の合計含有量は、95質量%以上であることが好ましく、98〜100質量%であることが更に好ましい。樹脂と顔料の合計含有量が95質量%以上であれば、塗膜の線膨張係数及び塗膜の水蒸気透過度の調整が容易である。また、塗膜を形成する観点から、塗膜中における樹脂の含有量は5質量%以上であることが望ましい。
本発明の塗装方法において、被塗装物は特に制限されるものではないが、本発明の塗装方法により形成される塗膜が、防食性及び耐剥離性の観点から耐久性に優れることから、本発明の塗装方法は、被塗装物が、建築物や構築物といった屋外に建築・建設された構造物(屋外構造物)である場合に有用である。本発明において、建築物とは、人間が居住又は滞在する目的で建築された構造物を意味し、例えば住宅やビル、工場等が挙げられ、構築物とは、人間が居住又は滞在する目的以外のために建設された構造物を意味し、例えば橋梁、タンク、プラント配管、煙突等が挙げられる。特に、本発明の塗装方法は、被塗装物が、橋梁等の鋼構造物である場合に有用である。なお、被塗装物は、その表面に防食処理等のプライマー処理が施されていてもよいし、表面の少なくとも一部に旧塗膜(本発明の塗装方法を実施する際に既に形成されている塗膜)が存在していてもよい。
本発明の塗装方法において、塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装、コテ塗装、ヘラ塗装等が利用できる。
本発明の塗装方法において、塗膜の乾燥や硬化の手段は特に制限されるものではなく、使用する塗料組成物の種類に応じて適宜選択される。例えば、加熱による乾燥や、加熱又は紫外線照射等による硬化を行ってもよいし、また、自発的に硬化反応が進む塗料組成物(例えば2液型塗料組成物)や自然乾燥が可能な塗料組成物(例えば揮発性溶剤系塗料組成物)であれば特別な乾燥や硬化手段を採用しなくてもよい。
本発明の塗装方法は、補修塗装方法として利用可能であり、上記特定した範囲内にある水蒸気透過度及び線膨張係数αを有する塗膜を形成する工程(以下、塗膜形成工程ともいう)を、補修塗装の度に繰り返し行うことが好ましい。なお、塗膜形成工程を行う際に既に被塗装物上に形成されている塗膜(旧塗膜)や、亜鉛めっき処理等の防食処理部分については、ケレン作業等の除去作業を行ってもよいが、本発明の塗装方法によれば、旧塗膜や防食処理部分が残ったままの状態で塗膜形成工程を行うことも可能である。なお、旧塗膜についても、上記塗膜形成工程から形成された塗膜であることが好ましい。
上記塗膜形成工程において形成される塗膜は、1回あたりの塗装で乾燥膜厚が25〜500μm、好ましくは25〜150μmの範囲内であることが好ましい。上記塗膜形成工程において形成される塗膜は、内部応力が低く、剥離防止効果に優れるため、旧塗膜を含めた塗膜全体の膜厚が500μmを超えるような厚膜を形成する場合であっても、上記塗膜形成工程を繰り返し行うことが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜7(実−1〜実−7)、比較例1〜4(比−1〜比−4)のエポキシ樹脂塗料組成物の配合を表2に示す。
各エポキシ樹脂塗料組成物の製造は以下の方法で行った。主剤については、ガラスフレークを除く各成分を表2の配合比率に従って混合した後、ガラスビーズ充填のもと、卓上サンドミルを用いて十分に分散させ製造した。ガラスフレークを含む塗料については、卓上サンドミルで十分に分散したベースに表2の配合比率に従ってガラスフレークを加え、ディスパー分散機により均一に撹拌混合して製造した。
得られた主剤を表2に示した配合比率(質量割合)で硬化剤と混合して、各エポキシ樹脂塗料組成物を製造した。
Figure 2019196417
(注1)JER1001X75:商品名 三菱ケミカル社製 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、不揮発分75質量%、エポキシ当量450〜500g/eq
(注2)ニカノールLLL:商品名、フドー社製 キシレン樹脂
(注3)ディスパロンD4200−20X:商品名、楠本化成社製、分散剤
(注4)ディスパロンOX−66:商品名、楠本化成社製、消泡剤
(注5)KBM403:商品名、信越化学社製、シランカップリング剤
(注6)K−WHITE#82:商品名、テイカ社製 縮合リン酸アルミニウム、平均粒径:3.5μm
(注7)クラウンタルク3S:商品名、松村産業社製 タルク、平均粒径:11.9μm
(注8)ベンガラ130R:商品名、戸田工業社製 酸化鉄、平均粒径:0.2μm
(注9)RCF−015:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径小(平均粒径:15μm)
(注10)RCF−160:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径中(平均粒径:160μm)
(注11)RCF−600:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径大(平均粒径:600μm)
(注12)サンマイド150−65:商品名、エアープロダクツアンドケミカルズ社製、変性脂肪族ポリアミドアミン、不揮発分65質量%、アミン価 62mgKOH/g
実施例1〜7及び比較例1〜4により得られた各エポキシ樹脂塗料組成物について以下の試験に供した。結果を表2に示す。
(1)塗膜の線膨張係数(α・α)及びガラス転移温度の測定
実施例1〜7及び比較例1〜4により得られた各エポキシ樹脂塗料組成物について、線膨張係数(α・α)及びガラス転移温度の測定は、上記「線膨張係数測定方法」に記載した方法で行った。測定結果を表2に示す。
塗膜の作製方法について、具体的には、表面が清浄なブリキ板(0.3mm×75mm×150mm)に測定する塗料を刷毛で塗装し、23℃で硬化養生させた。この作業を乾燥膜厚が約6mm以上になるまで1日1回行った。その際、刷毛塗りする方向は1回ごとに交差させた。乾燥膜厚が約6mm以上に達した塗膜を、ブリキ板ごと50℃に保持した恒温槽内で1昼夜養生を行い、測定用塗膜を準備した。
(2)塗膜の水蒸気透過度の測定
実施例1〜7及び比較例1〜4により得られた各エポキシ樹脂塗料組成物について、水蒸気透過度の測定は、上記「水蒸気透過度測定方法」に記載した方法で行った。結果を表2に示す。
塗膜の作製方法について、具体的には、表面が清浄なポリプロピレン板(以下PP板)(5mm×100mm×150mm)に測定する塗料を刷毛塗りで乾燥膜厚が70μmになるように塗装し、塗膜を作製した。この作業を1日1回行い3回塗りした。塗装する方向は1回ごとに交差させた。塗装間の養生は50℃の恒温槽内で行い、最終塗装翌日にPP板より塗膜を剥がし、単離塗膜を50℃の恒温槽内で7日間加温養生した。
JIS Z 0203:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠した方法について、具体的には、ガラス瓶に粒状無水塩化カルシウム(吸湿剤)を入れ、厚さ200μmの単離塗膜片をPP板側を内側にして、ガラス瓶に貼り付けて封入した後、25℃、相対湿度90%の環境下で静置し、24時間毎に秤量を行い、カップの質量増加を水蒸気の透過量として測定し、質量増加量が安定した24時間あたりの質量増加量を水蒸気透過度とした。
(3)耐剥離性の評価(ヒートサイクル剥離試験)
ヒートサイクル付着試験は下記の方法で行った。結果を表2に示す。
表面を溶剤脱脂した磨き鋼板[JIS G 3141 (SPCC〜SD) 冷間圧延鋼板 3.2mm×70mm×150mm]に予めメチルイソブチルケトン77質量部に塩化ビニル樹脂粉末(ソルバインC:塩ビ/酢ビ=87/13(質量比)の共重合物、日信化学工業社製)23質量部を溶解したクリヤー塗料液を、塗付量95g/mで1回目の刷毛塗りを行い、23℃で3時間養生する。次いで塗付量143g/mで2回目の刷毛塗りを行い、23℃で1昼夜養生する。
供試塗料中の溶剤で塗装した塩化ビニル膜が影響を受けないように組成中の溶剤が弱溶剤である弱溶剤系変性エポキシ樹脂塗料下塗(エポオールスマイル:大日本塗料社製)を塩化ビニル塗膜の上に塗付量130g/mで1回刷毛塗りする。試験片端部からの溶剤の影響を防止するよう、端部も塗装する。23℃で1昼夜養生した後、50℃で15時間加温養生し、23℃にて放冷する。
放冷した試験片に実施例1〜7及び比較例1〜4により得られた各エポキシ樹脂塗料組成物を表2に規定のとおりに塗装する。例えば、表中の「60×1」は乾燥膜厚60μm×1回塗りを意味し、「60×3」は乾燥膜厚60μm×3回塗りを意味する。塗装は刷毛で行い、規定膜厚に必要な塗付量は下式で求めた理論塗付量を用いた。
Figure 2019196417
各エポキシ樹脂塗料組成物を規定の膜厚に塗装した後、23℃で2日間養生を行い、試験片の中央部上下2箇所にPカッターを用いて、素地(鋼板面)に達する#型(一辺20mm、中心部10mm×10mmの正方形)の切傷を入れる。その後23℃で更に3日間養生を行う。
養生が終了した試験片をヒートサイクル剥離試験に供する。試験片を50℃に設定した恒温槽に入れ2時間保持する。その後恒温槽から取り出して23℃で1時間放置し、−30℃の低温槽に2時間保持する。その後低温槽から取り出し、23℃で1時間放置する。このサイクルを1サイクルとし、繰り返し実施する。夜間および休日では、−30℃の条件で保持する。
ヒートサイクル剥離試験の評価は#型に切傷を入れた部位からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれ(総称して塗膜の欠陥という)を観察して行い、図1を基準にして評価点をつける。塗膜の欠陥が基準図の間にある状態では、例えば「4〜3」の様に評価点をつける。各評価点の切傷からの塗膜の欠陥の程度は下記の通りである。
評価点5:まったく変化が無い。
評価点4:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が1mm未満
評価点3:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が2mm未満
評価点2:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が4mm未満
評価点1:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が10mm未満
評価点0:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が10mm以上
ヒートサイクル試験10サイクル(60μm×1回塗り)を行った後の評価点が3以上であれば、従来の屋外構造物用のエポキシ樹脂塗料組成物と同等以上の耐剥離性を備える品質である。
(4)防食性の評価
JIS K 5551:2008の7.16(サイクル腐食性)に準拠して試験片を作製した。但し、乾燥膜厚60μm×2回塗りにより、試験片の乾燥膜厚は120μmであった。そして、作製した試験片に対して、JIS K 5600−7−9:2006の7.5(切り込みきずの付け方)に準じて、素地に達する交差状の切り込みきずを付け、JIS K 5600−7−9「サイクル腐食試験方法」に規定されるサイクル腐食性試験(サイクルDにて480サイクル)に供した。
試験後の一般部(カット部以外の部分)及びカット部について、下記の基準により目視評価した。
<一般部>
○:錆の発生が認められない。
×:錆の発生が認められる。
<カット部>
◎:切り込みきずからの塗膜変状幅が2.0mm未満
○:切り込みきずからの塗膜変状幅が2.0〜4.0mm
×:切り込みきずからの塗膜変状幅が4.0mmを超える。
(結果・考察)
・実施例1〜7の結果より、線膨張係数αが2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、厚さ200μmの水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayである塗膜は、耐剥離性と防食性の両立が達成できることが分かる。
・実施例1、2、4の比較により、ガラスフレーク(RCF160)の配合量を多くするとそれに連れて、線膨張係数αが小さくなり、ヒートサイクル剥離試験10サイクル、30サイクルの結果が良くなり、耐剥離性が向上する。また、水蒸気透過度も小さくなり、防食性も良くなる。
・実施例2、3の比較により、ガラスフレークとタルクの配合比率が同じ時、配合比率が高い(実施例3)と、線膨張係数が小さくなり、ヒートサイクル剥離試験10サイクル、30サイクルの結果が良くなり、耐剥離性が向上する。また、水蒸気透過度も小さくなり、防食性も良くなる。
・実施例2、5の比較により、よりサイズの大きいガラスフレークに変えると、線膨張係数が小さくなり、ヒートサイクル剥離試験10サイクル、30サイクルの結果が良くなり、耐剥離性が向上する。また、水蒸気透過度も小さくなり、防食性も良くなる。
・実施例2、6、7の比較により、ガラスフレーク(RCF160)を入れた場合には、変性樹脂ニカノールを5質量部、10質量部として配合量を多くすると、線膨張係数が若干ではあるが、樹脂が柔らかくなるため小さくなり、水蒸気透過度は予想外の結果で、0質量部より5質量部の方が小さく、一方で10質量部になると、また、高くなり、最適値が見られる。
・比較例1、2の比較により、アスペクト比の小さいタルクでは、変性樹脂を入れても、線膨張係数を小さくする効果は見られず、また、水蒸気透過度も、これまでの知見通り、むしろ悪くなり、全体に防食性に劣る。変性樹脂を入れると、付着性は良くなる傾向があるが、防食性は悪くなる傾向がある。
・実施例1と比較例3の比較により、ガラスフレーク(RCF160)の添加量が少なすぎると、線膨張係数が大きくなり、耐剥離性が低下する上、水蒸気透過度も、良くないので、防食性に劣る。
・実施例2と比較例4の比較により、ガラスフレークのサイズを小さくすると、線膨張係数が大きくなり、耐剥離性が低下する上、水蒸気透過度も、良くないので、防食性に劣る。
以上の結果より、以下のことが言える。
・従来の変性エポキシ塗料では、付着性を良くしようとして、防食性を犠牲にして、変性樹脂を添加するが、それ程の効果はなく、線膨張係数を小さくすることの方が耐剥離性を良くできる。
・耐剥離性を良くする(線膨張係数を小さくする)には大きな鱗片状顔料を沢山入れることが効果的である。
・タルクの場合、変性樹脂ニカノールを入れた方が、耐剥離性は若干向上するが、防食性が低下している。
・大きな鱗片状顔料の場合、変性樹脂ニカノールを適量入れた方が、相乗効果で水蒸気透過度が低下し、防食性が向上する上、耐剥離性も良好である。
・従来の変性エポキシ塗料では、防食性を犠牲にして変性樹脂を入れ、付着性を確保していたが、大きな鱗片状顔料を使う事によって、防食性と耐剥離性の双方を良くすることができ、また、変性樹脂を若干加えることが相乗効果で、水蒸気透過度を下げ、防食性を良くできる。

Claims (9)

  1. 樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物であって、
    前記塗料組成物中に含まれる不揮発分のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、
    前記塗料組成物から厚さ200μmの塗膜を形成させた場合の該塗膜の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記顔料が鱗片状顔料を含み、該鱗片状顔料の平均粒径が5〜600μmであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記不揮発分中における鱗片状顔料の含有量が15〜60質量%であることを特徴とする請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 前記樹脂成分の一部が変性樹脂であり、前記不揮発分中における変性樹脂の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 前記変性樹脂が液状変性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の塗料組成物。
  6. 前記塗料組成物が、構造物の塗装に使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. 前記構造物が、鋼構造物であることを特徴とする請求項6に記載の塗料組成物。
  8. 樹脂及び顔料を含む塗膜であって、該塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、該塗膜の厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayであることを特徴とする塗膜。
  9. 被塗装物を、樹脂成分及び顔料を含む塗料組成物で塗装し、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数が2.5×10−5/K〜5.4×10−5/Kであり、厚さが200μmである場合の水蒸気透過度が0.1〜1.4g/m・dayである塗膜を形成させる工程を含むことを特徴とする塗装方法。
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