JP2019195511A - プローブ刺入デバイス、プローブ刺入デバイスの挿入方法、及び電気信号取得方法 - Google Patents

プローブ刺入デバイス、プローブ刺入デバイスの挿入方法、及び電気信号取得方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象内部の電気信号等を測定しようとする位置が従来の電極では刺入が困難な位置である場合であっても、測定対象内部の電気信号等を測定することを可能とするプローブ刺入デバイス、当該プローブ刺入デバイスを挿入する方法、及び電気信号取得方法を提供すること。【解決手段】平板形状を呈する可撓性フィルム2と、可撓性フィルム2から突出して形成されたプローブ3と、プローブ3の全体を被覆する水溶性の被覆体4と、を備え、被覆体4が溶解することによりプローブ3が露出するプローブ刺入デバイスである。プローブ3は、平板形状の平面に対して角度を有して突出している。【選択図】図1

Description

本発明は、プローブ刺入デバイス、プローブ刺入デバイスの挿入方法、及び電気信号取得方法に係り、より具体的には、被験動物の脳波等の測定対象内部の電気信号等を測定するためのプローブ刺入デバイス、当該プローブ刺入デバイスの挿入方法、及び電気信号取得方法に関する。
測定対象としての被験動物の体内組織の深部、例えば脳深部で発生する電気信号を計測するために、電極を生体に刺入する方法がある(例えば、特許文献1)。
特開2014−033851号公報
特許文献1に開示の電極を用いて、例えば脳深部で発生する電気信号を計測しようとした場合、計測可能な脳の部位が制限されることがある。電極や、電極として使用するプローブを刺入するために測定しようとする脳の部位を露出させるべく頭蓋骨の一部を取り除く開頭手術が必要となるが、生体の運動機能、生命機能等の各種機能への影響を極力低減させるためには開頭部位が制限される場合がある。特許文献1に開示の電極を用いた場合、脳の電気信号計測位置が開頭部位の近傍に限られる。そのため、生体の各種機能への影響の考慮により開頭が制限される部位の近傍においては、脳の電気信号計測が困難となる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、測定対象内部の電気信号等を測定しようとする位置が従来の電極では刺入が困難な位置である場合であっても、測定対象内部の電気信号等を測定することを可能とするプローブ刺入デバイス、当該プローブ刺入デバイスを挿入する方法、及び電気信号取得方法を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(1)平板形状を呈する可撓性フィルムと、前記可撓性フィルムから突出して形成されたプローブと、前記プローブの全体を被覆する水溶性の被覆体と、を備え、前記被覆体が溶解することにより前記プローブが露出するプローブ刺入デバイス。
(2)(1)に記載のプローブ刺入デバイスを、測定対象の開口部から含水環境にある前記測定対象内部に挿入する挿入ステップと、前記被覆体が溶解して前記プローブの先端が露出する前に、前記プローブを刺入すべき前記測定対象内部の測定位置に配置する配置ステップと、を有する、プローブ刺入デバイスの挿入方法。
(3)(2)に記載のプローブ刺入デバイスの挿入方法に基づき前記プローブ刺入デバイスを前記測定位置に配置した後に、前記測定位置において前記測定対象に刺入された前記プローブからの電気信号を、前記プローブと電気的に接続された配線を通じて取得する、電気信号取得方法。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、測定対象内部の電気信号等を測定しようとする位置が従来の電極では刺入が困難な位置である場合であっても、測定対象内部の電気信号等を測定することを可能とするプローブ刺入デバイス、当該プローブ刺入デバイスを挿入する方法、及び電気信号取得方法を提供することができる。
プローブ刺入デバイス1の概要を示す斜視図 プローブ刺入デバイス1の断面を示す模式図 被覆体4を成形する方法の一例を説明する図 プローブ刺入デバイス1の変形例1〜4を示す模式図 プローブ刺入デバイス1の変形例5を示す模式図 プローブ刺入デバイス1の変形例6、7を示す模式図 プローブ刺入デバイス1を測定対象内部へ挿入する様子の一例を説明する図 プローブ3が刺入状態へ移行する様子を説明する図 実施例1の結果を示すグラフ及び説明図 実施例2の実験方法を示す説明図 実施例2の結果を示すグラフ
[実施形態1]
<プローブ刺入デバイス1>
以下、実施形態1に係るプローブ刺入デバイス1について図面を参照しながら説明する。実施形態1に係るプローブ刺入デバイス1は、例えば、測定対象である被験動物等の内部に挿入し、被験動物の体内にある刺入対象である脳や臓器等にプローブ3を刺入することにより、脳波をはじめとする電気信号を取得するのに用いられるものである。図1は、プローブ刺入デバイス1の概要を示す斜視図である。プローブ刺入デバイス1は、平板形状を呈する可撓性フィルム2と、可撓性フィルム2から突出して形成されたプローブ3と、プローブ3の全体を被覆する被覆体4と、を備えている。
図1では、プローブ3を含むプローブ刺入デバイス1の末端部近傍の一部において被覆体4を省いた部分断面図として示している。これにより、図1においては、プローブ3と可撓性フィルム2の一部が露出している。また、図1中、プローブ3の部分拡大図を枠内に示す。プローブ刺入デバイス1は、図1に示す挿入方向D(図1中の矢印Dの方向)に沿って測定対象内部に挿入することができる。プローブ刺入デバイス1の挿入方向Dの後方(図1の紙面上左方)に、コネクタ5が接続されている。
プローブ刺入デバイス1の全体形状(概形)は、図1に示すように、平板形状を有する可撓性フィルム2における当該平板形状の平面が広がる方向に沿って広がる偏平形状又は略平板形状とすることができる。
プローブ刺入デバイス1の全体形状(概形)が偏平形状であることにより、幅が狭い空隙部へも好適に挿入することができる。すなわち、偏平形状を有するプローブ刺入デバイス1の全体形状(概形)の厚さ(偏平形状又は略平板形状の偏平面の間の長さ)が薄いため、プローブ刺入デバイス1の厚さ方向を空隙部の幅方向に合わせるようにして、プローブ刺入デバイス1を幅が狭い空隙部へ好適に挿入することができる。測定対象内部の空隙部の幅が、プローブ刺入デバイス1の厚さよりも小さい場合であっても、刺入対象が生体組織等のように弾性を有する場合、プローブ刺入デバイス1を空隙部の奥の方へ押込み、弾性を有する刺入対象を押し広げることで、プローブ刺入デバイス1を空隙部へ挿入することができる。
たとえば、プローブ刺入デバイス1を図1に示す挿入方向Dに沿って、幅が狭い空隙部へ挿入することができる。なお、プローブ刺入デバイス1の全体形状(概形)が略平板形状であるとは、プローブ刺入デバイス1の概形が、平板形状に近い形状であることを意味し、プローブ刺入デバイス1が「2つの平坦面を有する平板形状(縦、横、高さの寸法のうち1つが他と比較して短い直方体形状)」を必ずしも有することを意味するものではない。
プローブ刺入デバイス1の全体形状は、プローブ刺入デバイス1の空隙部への挿入を更に容易とするため、略平板形状の角部が削られ、丸みを帯びた形状であることが好ましい。プローブ刺入デバイス1は、末端部からプローブ3が配設されている部位にかけて徐々にその厚さが増大するように傾斜して形成されていてもよい。すなわち、プローブ刺入デバイス1は、末端部に向けて徐々に厚さが減小するように形成されていてもよい。たとえば、プローブ刺入デバイス1の末端部は、流線形状や流面形状を呈していてもよい。
挿入方向Dは、図1に示す方向に限定されず、プローブ刺入デバイス1における略平板形状が広がる方向、すなわち、可撓性フィルム2が有する平板形状の平面が広がる方向に平行な方向とすることができる。
<可撓性フィルム2>
可撓性フィルム2は、平板形状を呈しており、プローブ3を支持する基材としての機能を有する。図2は、プローブ刺入デバイス1の断面を示す模式図である。図2では、可撓性フィルム2の全体と、プローブ3の全体が被覆体4で被覆されている。プローブ3は、支持材25を介して、可撓性フィルム2によって支持されている。支持材25は、可撓性フィルム2に埋設されたシリコン基材、酸化珪素基材等とすることができる。
可撓性フィルム2には、プローブ3からの電気信号を伝達するための配線として、導体23が埋設されており、プローブ3と導体露出部24とが導体23を介して電気的に接続されている。プローブ3は、導体23に被覆されている。導体23は、プローブ3、及び導体露出部24において、可撓性フィルム2から露出している。すなわち、可撓性フィルム2は、プローブ3及び導体露出部24を被覆していない。プローブ3の先端部分を除く部分は、プローブ3を被覆する導体23の外側から可撓性フィルム2を構成する材料と同様の材料で被覆されていてもよい。当該材料(プローブ3の先端部分を除く部分を導体23の外側から被覆する材料)は、可撓性フィルム2と一体的に形成されていてもよい。導体露出部24には、コネクタ5の接点52が接触しており、プローブ3によって検出された電気信号等を、コネクタ5を介して伝達することができる。
導体23の材料としては、高い導電性を有する限り特に制限されず、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、イリジウム、チタン、ニッケル、タングステン、白金−イリジウム合金、銀−塩化銀等を挙げることができる。
可撓性フィルム2は可撓性を有しており、被覆体4が溶解して除去された場合、刺入対象の表面形状に沿って変形可能である。例えば、刺入対象が脳組織である場合、脳の表面の凹凸に追従して変形することができる。
可撓性フィルム2は、可塑性を有する樹脂等で構成されたFPC(Flexible Printed Circuit)とすることができる。刺入対象が生体組織である場合には、可撓性フィルム2を構成する材料は、生体適合性を有する材料、すなわち、生体に対して毒性や拒否反応等を示しにくい材料であることが好ましい。可撓性フィルム2の材料として、具体的には、例えば、パリレンC(クロロ−パラ−キシリレン重合体)、パリレンN(パラ−キシリレン重合体)、ポリパラキシリレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン等)等を用いることができる。
可撓性フィルム2の厚さは、可撓性フィルム2の可撓性や凹凸追従性を実現することができる限り特に制限されないが、1〜20μmであることが好ましく、2〜15μmであることが更に好ましく、2〜10μmであることが特に好ましい。このような範囲とすることで、可撓性を有しつつ、必要な強度を有する可撓性フィルム2とすることができる。可撓性フィルム2の全体形状は、平板形状を呈している限り、特に制限されず、平板面の形状は、多角形、円形、だ円形、その他不定形であってもよい。実施形態1において、可撓性フィルム2の全体形状として、平板形状以外の形状を排除するものではない。
<プローブ3>
プローブ3は、可撓性フィルム2に支持され、可撓性フィルム2から突出して形成された構造体である。プローブ3は、可撓性フィルム2内に埋設された支持材25によって可撓性フィルム2に固定されている。プローブ3は、導体23によって被覆されており、更にその表面の一部が樹脂によって被覆されていてもよい。プローブ3の先端部分は、導体23のみによって被覆され、樹脂は被覆されない。これにより、被覆体4が溶解して除去された場合に、プローブ3は刺入対象へと刺入され、プローブ3の先端部分の導体23を通じて、刺入対象の内部の電気信号等を検出することができる。図2中、矢印Iは、プローブ3が刺入対象に刺入していく方向(刺入方向I)を示している。
プローブ3の形状は、特に制限されないが、刺入する際の抵抗が小さい形状であることが好ましく、直線状(棒状)に伸びたプローブ3の伸長方向に直交する断面が円形、だ円形、又は円形やだ円形に近似した形状であることが好ましい。プローブ3の伸長方向に直交する断面における最大長さ(断面が円形の場合は直径、だ円形の場合は長径)は、0.1〜1000μmであることが好ましく、1〜300μmであることが更に好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。プローブ3の形状は、棒状に限定されないが、刺入する際の抵抗が過大にならない範囲で、途中で折れ曲がった形状又は湾曲した形状であってもよい。
プローブ3の伸長方向における長さは、刺入対象の内部の電気信号を検出することができる限り制限されず、所望の長さとすることができる。例えば、刺入対象が脳である場合、プローブ3の伸長方向における長さとしては、10〜5000μmであることが好ましく、100〜2000μmであることが更に好ましく、200〜1000μmであることが特に好ましい。
プローブ3の材料は、刺入対象に刺入する際の物理的圧力に耐え得る強度を有している限り限定されない。プローブ3の材料としては、珪素、二酸化珪素、タングステン、ガラス、パリレン等の樹脂等を用いることができる。
プローブ3の先端部分には、導体23の被覆の外側に、導電性を向上させるための金属めっきが施されていてもよい。金属めっきとしては、例えば、白金めっき、金めっき、銅めっき、イリジウムめっき、インジウムめっき、金黒めっき等を挙げることができる。
図1や図2に示すプローブ刺入デバイス1は、プローブ3が1つだけ形成されている場合を示しているが、プローブ刺入デバイス1に設けられるプローブ3の数は、1つに制限されない。プローブ3は、平板形状の可撓性フィルム2の一方の面(表面)に複数形成されていてもよい。プローブ3は、可撓性フィルム2の一方の面(表面)だけでなく、他方の面(裏面)にプローブ3が形成されていてもよい。また、プローブ3は、可撓性フィルム2の両方の面(表面及び裏面)に形成されていてもよい。可撓性フィルム2にプローブ3が複数形成されている場合、プローブ3の配置は特に制限されず、刺入対象へと刺入しようとする位置に適した、所望の配置とすることができる。測定対象内部の空隙部のより深い場所に位置する部位において刺入するためには、プローブ3は、可撓性フィルム2の挿入方向Dにおける前方の末端部に近い位置に配設されていることが好ましい。
平板形状の可撓性フィルム2が一定程度の厚さを有している場合には、平板形状の厚さ方向に平行な面(平板形状を形成する2つの平面(表面、裏面)以外の面、すなわち側面)にプローブ3が形成されていてもよい。その場合、プローブ3は、可撓性フィルム2の挿入方向Dにおける最前部に、挿入方向Dに沿った方向に延びるよう形成することができる。これにより、測定対象内部の空隙部がポケット状であった場合に、空隙部の底部分にプローブ3を刺入することができる。たとえば、刺入対象が脳であった場合に、脳のしわ等の凹部にプローブ刺入デバイス1を挿入し、その挿入方向における最前部にプローブ3を挿入方向Dに平行に延びるように形成することで、凹部の底部(最深部)にプローブ3を刺入することができる。
<被覆体4>
被覆体4は、可撓性フィルム2の少なくとも一部と、プローブ3の全体と、を被覆する構造体である。被覆体4は、可撓性フィルム2の一部のみを被覆するものであってもよいし、可撓性フィルム2の全体を被覆するものであってもよい。被覆体4は、可撓性フィルム2に接続されたコネクタ5の一部を被覆するものであってもよい。
被覆体4は、水溶性であり、水、水溶液等に接触することで溶解する材料で形成されている。刺入対象が生体組織である場合、被覆体4は、組織液や、間質液、生理食塩水に溶解する材料で形成されていることが好ましい。また、刺入対象が生体組織である場合、すなわち測定対象が生体である場合には、被覆体4の材料は、生体組織に対して毒性等を有さない生体適合性を有する材料であることが好ましい。
被覆体4の材料としては、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等のポリアルキレングリコール、シルクフィブロイン等を挙げることができる。
被覆体4が溶解し、プローブ3が露出するまでの時間や、プローブ3が刺入対象の所定の深さまで刺入されるまでの時間を、被覆体4の材料の溶解速度によって調節することができる。たとえば、被覆体4を形成する材料がポリエチレングリコール(PEG)の場合、ポリエチレングリコール(PEG)の平均分子量を増加させることで、被覆体4の溶解速度を低下させることができ、平均分子量を減小させることで、被覆体4の溶解速度を上昇させることができる。なお、プローブ3が露出するまでの時間や、プローブ3が刺入対象の所定の深さまで刺入されるまでの時間は、プローブ3を被覆する被覆体4の厚さ(プローブ3の先端から被覆体4の外表面までの長さ等)によっても調節することができる。当然ながら、プローブ3が露出するまでの時間や、プローブ3が刺入対象の所定の深さまで刺入されるまでの時間を、被覆体4の材料の溶解速度及び被覆体4の厚さの組み合わせによって調節することもできる。
被覆体4の形状は、プローブ刺入デバイス1の全体形状(概形)と同様、図1に示すように、平板形状を有する可撓性フィルム2における当該平板形状の平面が広がる方向に沿って広がる偏平形状又は略平板形状とすることができる。被覆体4は、プローブ刺入デバイス1の空隙部への挿入を更に容易とするため、偏平形状又は略平板形状の角部が削られ、丸みを帯びた形状であることが好ましい。被覆体4は、末端部からプローブ3が配設されている部位にかけて徐々にその厚さが増大するように傾斜して形成されていてもよい。すなわち、被覆体4は、末端部に向けて徐々に厚さが減小するように形成されていてもよい。たとえば、被覆体4の末端部は、流線形状や流面形状を呈していてもよい。
被覆体4は、図3に示すような(a)〜(e)の各工程を経ることによって成形することができる。図3は、被覆体4を形成する方法の一例を説明する図である。図3では、プローブ3を含む断面を示している。
被覆体4が形成されていない状態のプローブ刺入デバイス1は、可撓性フィルム2及びプローブ3が露出した状態にある(図3(a))。図3においては、コネクタ5が可撓性フィルム2に接続された状態を示している。被覆体4が形成されていない状態のプローブ刺入デバイス1に、熱可塑性の被覆材47を付着させる(図3(b))。このとき、熱可塑性の被覆材47を所定温度以上に加熱しておくことで、可撓性フィルム2やプローブ3、コネクタ5へ付着、又は塗布し易くすることができる。
可撓性フィルム2、プローブ3、コネクタ5に被覆材47が塗布された状態では、可撓性フィルム2が広がる方向に垂直な断面における被覆材47の長さは、所望のプローブ刺入デバイス1の厚さT(偏平形状における厚さ)よりも長い場合がある(図3(c))。そこで、水等を含ませたスポンジ49を、被覆材47の表面に接触させ、表面の被覆材47を水に溶解させることにより(図3(d))、被覆材47を所望の形状に成形し、被覆体4を形成することができる(図3(e))。
被覆体4を成形する方法は、上記スポンジ49による成形に限定されない。たとえば、成形型を用いた成型や、切削加工、レーザ加工、熱加工等によっても、被覆体4を成形することができる。
<コネクタ5>
コネクタ5は、図2に示すように、可撓性フィルム2の導体露出部24と、接点52を通じて電気的に接続された導体51と、導体51の周囲を保護する保護材53と、を備える構造体である。図2には図示しないが、コネクタ5の接点52の反対側の端子は増幅器等に接続され、プローブ刺入デバイス1によって検知された電気信号等を増幅することができる。
コネクタ5は、プローブ刺入デバイス1の、挿入方向Dにおける後方に配設されていることが好ましい。プローブ刺入デバイス1の挿入方向Dにおける後方に配置されていることにより、コネクタ5部分を指やピンセット、鉗子等を用いて把持し、コネクタ5部分を挿入方向Dに向けて押し込むことで、プローブ刺入デバイス1を測定対象内部の空隙部に挿入させることができる。
導体51の材料としては、高い導電性を有する限り特に制限されず、例えば、金、白金、銀、銅、イリジウム、鉄、ニッケル、クロム、及びそれらの合金等を挙げることができる。
保護材53の材料としては、導体51と外部との絶縁性を保つことができるものである限り制限されず、非導電性の樹脂、ゴム、シリコーン、ガラス等を挙げることができる。
以下、プローブ刺入デバイス1の変形例1〜7について説明する。図4は、プローブ刺入デバイス1の変形例1〜4を示す模式図である。図5は、プローブ刺入デバイス1の変形例5を示す模式図である。図6は、プローブ刺入デバイス1の変形例6、7を示す模式図である。図4、図5、図6の各図においては、いずれも、プローブ3を含む断面を示している。なお、以下の各変形例について、それぞれ独立に説明するが、所望の特性を得るために、各変形例のうち、2つ以上を組み合わせることもできる。
<変形例1>
プローブ刺入デバイス1の被覆体4は、図4(a)に示すように、挿入方向Dにおける末端部が突端に近づくに連れて細くなった被覆体41aであってもよい。このように、末端部が細くなっていることにより、プローブ刺入デバイス1を挿入する際の抵抗を減らすことができる。また、刺入対象が生体組織であった場合に、プローブ刺入デバイス1の末端部による生体組織への圧力を減小させ、生体へのダメージを軽減することができる。
<変形例2>
プローブ刺入デバイス1の被覆体4は、図4(b)に示すように、水等への溶解速度が小さい被覆体41bが、水等への溶解速度が大きい被覆体41cを覆った二重構造となっていてもよい。これにより、刺入対象へと刺入しようとする位置が、空隙部の深部に位置していた場合であっても、被覆体41cの溶解速度を下げることなく、プローブ刺入デバイス1の挿入距離を延ばすことができる。すなわち、プローブ3の刺入速度を上昇させることなく、プローブ刺入デバイス1の挿入距離を延ばすことができる。
<変形例3>
プローブ刺入デバイス1の被覆体4は、図4(c)に示すように、水等への溶解速度が小さい被覆体41eの表面を、水等への溶解速度が大きい被覆対41dが覆う二重構造となっていてもよい。これにより、プローブ刺入デバイス1を測定位置が、空隙部の浅い位置であったとしても、挿入した後のプローブ3の刺入速度を適宜調節することができる。
変形例2及び変形例3では、被覆体4が二重構造である場合を示しているが、三重構造以上の多重構造であってもよい。三重構造以上である場合、各被覆体の層の溶解速度の大きさは、内側から外側に向けて順に大きくなってもよく、小さくなってもよく、溶解速度が大きい層と、小さい層とが交互に形成されていてもよく、また、使用形態に応じて、各層の溶解速度を任意の溶解速度とすることもできる。
<変形例4>
プローブ刺入デバイス1の被覆体4は、図4(d)に示すように、プローブ刺入デバイス1の挿入方向Dの末端部において、水等への溶解速度が小さい被覆体41fで形成されていてもよい。当該末端部分以外の部分は、被覆体41fよりも水等への溶解速度大きい被覆体41gで形成されていてもよい。これにより、プローブ刺入デバイス1を測定対象内部の空隙部へ挿入する際の圧力大きい場合であっても、プローブ3が曲げられたり、折れたりすることを抑制することができる。プローブ刺入デバイス1の挿入方向Dにおける末端部の方が、それ以外の部分よりも、水等への溶解速度が大きい材料で形成されていてもよい。
<変形例5>
プローブ刺入デバイス1の可撓性フィルム2は、その一部が湾曲し、挿入方向Dの前方の末端部分が傾斜した可撓性フィルム21aであってもよい。末端部分が傾斜する角度は特に制限されないが、刺入対象の刺入しようとする位置の周辺の形状に応じて、調節することができる。図5においては、可撓性フィルム21aの末端部分は、プローブ3が配設されている側に傾斜されている。傾斜角度は、刺入方向Iが、刺入対象である脳Bの刺入部位表面に対して略垂直に刺入する角度とされている。
可撓性フィルム21aは、図5(b)に示すように、プローブ刺入デバイス1を形成するために被覆体4を塗布する際、可撓性フィルム21aの可撓性を利用して、湾曲部を真っ直ぐに伸ばした状態で、被覆体4を形成することができる。これにより、プローブ刺入デバイス1としての厚さTを減小させ、プローブ刺入デバイス1の挿入抵抗を小さくすることができる。
プローブ刺入デバイス1が測定対象内部の所定の測定位置まで挿入され、被覆体4が溶解するに連れて、被覆体4によって真っ直ぐに伸ばされた状態にあった可撓性フィルム21aは、徐々に、元のように、挿入方向Dの前方の末端部分が傾斜した形状となる。これにより、空隙部が湾曲していたとしても、刺入対象の刺入部位表面に対して略垂直にプローブ3を刺入させることができる。
<変形例6>
被覆体4には、薬剤43aを含有させることができる。図6(a)に示すように、薬剤43aを被覆体4中に分散させて含有させることができる。これにより、被覆体4が溶解するに連れて、薬剤43aも含水環境にある測定対象内部の空隙部内へと分散していく。刺入対象が生体組織である場合、プローブ3の刺入直前に、測定位置周辺に局所的に薬剤43aを投与することができるため、薬剤43aの局所的直前投与による効果を測定することができることになる。
<変形例7>
図6(b)に示すように、被覆体4内に、薬剤43bを局在させることもできる。図6(b)においては、薬剤43bを、可撓性フィルム2のプローブ3が配設されている側の表面上に局在させている。プローブ3の根元(可撓性フィルム2に近い部分)は薬剤43bに埋没しているが、プローブ3の先端部分は、薬剤43bに埋没しておらず、被覆体4のみに覆われている。これにより、プローブ3が刺入対象に刺入し始めた後に、薬剤43bが測定対象内部の空隙部へと拡散する。そのため、薬剤43bの投与前から、薬剤43bの効果が出現し始める様子を含め、測定することができることになる。
[実施形態2]
<プローブ刺入デバイス1の挿入方法>
プローブ刺入デバイス1は、図7に示す挿入方向Dの向きに測定対象内部の空隙部Gへと挿入することができる。プローブ刺入デバイス1としては、上述の実施形態1において説明したプローブ刺入デバイス1を用いることができる。
測定対象としては、内部に空隙部G及び刺入対象を有しているものである限り特に制限されず、例えば、生体、摘出臓器、スライス組織、培養組織、植物、微生物集合体等を挙げることができる。測定対象が生体である場合、刺入対象としての生体組織は、脳、筋肉、脊髄、神経線維、臓器等の体内組織とすることができる。プローブ刺入デバイス1は、プローブ3を刺入対象の所定の刺入部位に刺入することにより、刺入対象の内部の電位変化等を電気信号として検出することができる。
また、測定対象が生体である場合、測定対象内部の空隙部Gとしては、例えば、脳と硬膜の間、筋繊維と筋膜の間、内臓と腹膜の間、皮膚と筋肉の間、眼球と結膜の間、眼の強膜と網膜の間等の狭小空間を挙げることができる。以下の説明において、プローブ刺入デバイス1の刺入対象として、脳を例に説明するが、プローブ刺入デバイス1のプローブ3の刺入対象は、脳に限定されるものではない。
プローブ刺入デバイス1の挿入方法は、測定対象の開口部から含水環境にある測定対象内部に挿入する挿入ステップと、被覆体4が溶解してプローブ3の先端部分が露出する前に、プローブ3を測定対象内部の測定位置に配置する配置ステップとを有する。以下、各ステップについて、具体的に説明する。
<挿入ステップ>
図7は、プローブ刺入デバイス1を測定対象内部へ挿入する様子の一例を説明する図である。図7において、刺入対象は脳Bであり、測定対象内部の空隙部Gは、脳Bと、頭蓋骨S及び硬膜との間の狭小空間である。なお、図7では、簡単のため、硬膜は描かれていない。
プローブ刺入デバイス1は、頭蓋骨Sに開けられた開口部である開頭部S0から(図7(a))、測定対象内部の空隙部Gに、脳Bの表面及び頭蓋骨S(及び硬膜)の表面に沿って挿入される(図7(b))。
測定対象内部の空隙部Gは、含水状態である。すなわち、水、水溶液等で満たされている。生体の場合、空隙部Gは、例えば、組織液や、間質液、脳脊髄液、血液、汗、分泌液等で満たされている。図7のように、刺入対象が脳Bである場合には、空隙部Gは、脳脊髄液で満たされている。
<配置ステップ>
測定対象内部の空隙部Gに挿入されたプローブ刺入デバイス1は、プローブ3を刺入すべき測定対象内部の測定位置にまで、挿入され、当該測定位置に配置される。このとき、プローブ刺入デバイス1のプローブ3の先端部分は、プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置するまで露出していない。すなわち、プローブ刺入デバイス1の被覆体4が溶解してプローブ3の先端部分が露出する前に、プローブ刺入デバイス1は測定位置に配置される。
プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されるまでプローブ3の先端部分を露出させないようにするためには、上述のように、被覆体4の厚さを調節したり、被覆体4の材料を適宜調製することにより溶解速度を調節したりすることができる。
次に、プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置された後(配置ステップ後)、プローブ3が刺入対象内部へと刺入される様子について説明する。図8は、プローブ3が刺入状態へ移行する様子を説明する図である。図8においては、脳Bの深部における電気信号を測定するために、プローブ刺入デバイス1を脳Bと頭蓋骨Sとの間の空隙部Gへと挿入し、プローブ3を脳Bの深部へ刺入する場合を示している。
プローブ刺入デバイス1は、測定対象内部の空隙部Gへと、挿入方向Dに沿って挿入される(図8(a))。プローブ刺入デバイス1が空隙部Gの測定位置まで挿入され(挿入ステップ)、当該測定位置に配置される(配置ステップ)(図8(b))。空隙部Gに満たされている脳脊髄液によって被覆体4が徐々に溶解していくと、プローブ3の先端部分が被覆体4から露出する。露出したプローブ3は、脳Bの弾性力や、頭蓋骨Sによる押圧によって、脳Bの内部へと刺入される(図8(c))。脳脊髄液による被覆体4の溶解は更に進行し、被覆体4の全部が溶解する(図8(d))。図8(d)においては、プローブ3の先端部分が脳B内の所定位置にまで刺入された刺入状態を示している。
[実施形態3]
<電気信号取得方法>
実施形態3に係る電気信号取得方法は、上述の実施形態2に係るプローブ刺入デバイス1の挿入方法に基づき、プローブ刺入デバイス1を測定位置に配置した後に、測定位置において測定対象に刺入されたプローブ3からの電気信号を、プローブ3と電気的に接続された配線を通じて取得する方法である。
プローブ3によって検出された電気信号は、可撓性フィルム2に埋設された導体23を通じて、コネクタ5の導体51へと伝達される。導体23や導体51は、プローブ3と電気的に接続されており、配線として機能する。導体23と導体51とは、導体露出部24と、コネクタ5の接点52との接触により、電気的に接続されている。コネクタ5の導体51に伝達された電気信号は、例えば、コネクタ5の接点52ではないもう一方の端部において、増幅器に接続されることで、増幅することができる。このようにして得られた電気信号は、例えば、電子計算機等により波形データとして返還することができる。
以下、実施形態1、実施形態2、及び実施形態3の更なる具体例について実施例1、2を用いて説明する。実施形態1、実施形態2、及び実施形態3は、これら本実例1、2に記載の範囲や用途に限定されるものではない。
プローブ刺入デバイス1を生理食塩水W中に浸漬し、プローブ3によって検出されるインピーダンス変化を計測した。プローブ刺入デバイス1として、図9(b)に示すような、可撓性フィルム2と、プローブ3と、被覆体4と、を備えるプローブ刺入デバイス1を用いた。図9は、実施例1の結果を示すグラフ及び説明図である。
被覆体4として、平均分子量が2000のポリエチレングリコール(PEG2000)、平均分子量が3000のポリエチレングリコール(PEG3000)、平均分子量が4000のポリエチレングリコール(PEG4000)の材料を用いてそれぞれ形成された3種類のプローブ刺入デバイス(プローブ刺入デバイス1−1、1−2、1−3)について計測を行った。なお、PEG3000としては、PEG2000とPEG4000とを等量配合した材料を準備し、それを平均分子量が3000のポリエチレングリコール(PEG3000)として用いてプローブ刺入デバイス1−2を作成した。
これら被覆体4の材料を用いて作成したプローブ刺入デバイス1の厚さは2mmとした。なお、プローブ刺入デバイス1の厚さは、少なくともプローブ3が配設されている位置における厚さであり、プローブ3の先端部分は、被覆体4によって覆われている。
図9(a)は、各プローブ刺入デバイス1によって計測されたインピーダンス変化を示すグラフである。当該グラフにおいて、横軸は、各プローブ刺入デバイス1を生理食塩水W中に浸漬させた時点からの経過時間(秒)を示し、縦軸は、各プローブ刺入デバイス1によって計測されたインピーダンス(Ω)を示す。
実施例1の系においては、PEG2000、PEG3000、PEG4000が生理食塩水Wに溶解することによって、プローブ3の先端部分が露出すると、インピーダンス値が下降する。図9(b)は、インピーダンス値が下降する前のプローブ刺入デバイス1の状態を示す模式図であり、プローブ3は、その全体が被覆体4によって覆われている。図9(c)は、インピーダンス値が下降した後の状態であり、プローブ3は、生理食塩水Wに露出している。
図9(a)において、プローブ刺入デバイス1−1(PEG2000)は約200秒経過後に、プローブ刺入デバイス1−2(PEG3000)は約400秒経過後に、プローブ刺入デバイス1−3(PEG4000)は約600秒経過後に、それぞれインピーダンス値が下降している。このことから、プローブ刺入デバイス1−1、1−2、1−3のそれぞれにおいて、被覆体4の溶解速度が異なっていることが分かる。そして、各プローブ刺入デバイスにおけるインピーダンス値の下降時期と、各被覆体4の形成に用いたポリエチレングリコールの平均分子量と、の間に相関関係があると言える。この相関関係に基づき、ポリエチレングリコールの平均分子量を調節することによって、被覆体4の溶解速度を調節することができることになる。
測定対象としてマウス71を用い、マウス71の内部へプローブ刺入デバイス1を挿入して、マウスの大脳皮質感覚野(バレル野)における脳B内の電気信号を観測した。図10は、実施例2の実験方法を示す説明図である。
まず、マウス71の頭部を固定具79を用いて固定した後、マウス71の大脳皮質第一次視覚野が開放されるようマウス71を開頭した開頭部S0から、プローブ刺入デバイス1を脳Bと硬膜との間に挿入方向Dに沿って挿入した。プローブ刺入デバイス1は、被覆体4としてのポリエチレングリコールで覆われた、厚さ1mm以下のものを用いた。プローブ刺入デバイス1を大脳皮質第一次視覚野から更に滑り込ませて挿入し、測定位置である大脳皮質感覚野(バレル野)に配置した。ここでポリエチレングリコールからなる被覆体4が溶解し、プローブ3を大脳皮質感覚野(バレル野)の脳Bの深部へと刺入させた。
プローブ刺入デバイス1は、コネクタ5を介して増幅器77へと接続されている。プローブ刺入デバイス1によって検出された電気信号を、増幅し、図11に示す各波形データとして処理した。図11は、実施例2の結果を示すグラフである。図11に示す16個のグラフは、最上段である1段目の4つが、LFP(Local Field Potential)(μV)、2段目の4つが、スパイク(μV)、3段目の4つがラスター画像、4段目(最下段)の4つが、3段目のラスター画像の積み上げグラフ(カウント)である。図11に示す16個のグラフは、最左列である1列目の4つから、2列目の4つ、3列目の4つ、4列目(最右列)の4つの順に、プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されてからの経過時間0分、10分、35分、50分における電気信号の測定結果を示している。
図11に示す16個のグラフすべてについて、横軸は、刺激時刻を0秒とする時間軸であり、−0.1秒〜0.2秒の間を示している。刺激時刻とは、マウス71のひげ73に、刺激装置75を用いて振動刺激を与えた時刻である。マウスのひげに刺激を与えると、大脳皮質感覚野(バレル野)における脳深部に、刺激時刻から約20ミリ秒後に所定のしきい値を超えるスパイク信号が得られることが知られている。図11の2段目の4つのグラフ中に、しきい値を水平線で示す。図11の3段目のラスター画像は、2段目のスパイク信号が、刺激時刻−0.1秒〜0.2秒の間で、しきい値を超えた場合にプロットした画像である。試行回数は100回である。
図11中、1段目のLFPを示すグラフから、プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されてから10分後には、プローブ3の先端部分が露出し、電気信号を検出していることが分かる。しかしながら、プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されてから10分後の時点では、スパイク信号を得ることができず、プローブ3が脳Bに刺入していないことが分かる。プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されてから35分後の時点では、スパイク信号が表れ始めた。プローブ刺入デバイス1が測定位置に配置されてから50分後の時点で、明確なスパイク信号が表れ、プローブ3が大脳皮質感覚野(バレル野)の脳深部の電気信号を検出していることが分かる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本発明は以下の趣旨を含むものとする。
(趣旨1)平板形状を呈する可撓性フィルムと、前記可撓性フィルムから突出して形成されたプローブと、前記プローブの全体を被覆する水溶性の被覆体と、を備え、前記被覆体が溶解することにより前記プローブが露出するプローブ刺入デバイスを第1の趣旨とする。
これによれば、測定対象内部の電気信号等を測定しようとする位置が従来の電極では刺入が困難な位置である場合であっても、測定対象内部の電気信号等を測定することができる。
(趣旨2)前記プローブが、前記平板形状の表面又は裏面の少なくともいずれかの平面において、前記表面又は裏面に対して角度を有して突出したものであってもよい。
(趣旨3)前記可撓性フィルムが、前記プローブと電気的に接続された配線を有しており、前記プローブが、前記可撓性フィルムの末端部近傍に配置されると共に前記可撓性フィルムに支持されており、前記被覆体が、前記可撓性フィルムの一部を覆っており、前記末端部から前記プローブにかけて徐々にその厚さを増大するように傾斜して形成されたものであってもよい。
(趣旨4)前記プローブの先端が露出するまでの時間に応じて、前記先端から前記被覆体の外表面までの最小厚さ、及び/又は、前記被覆体を構成する高分子材料の分子量が決定されるものであってもよい。
(趣旨5)前記被覆体が、溶解速度の異なる複数の領域を有するものであってもよい。
(趣旨6)前記被覆体が、薬剤を含有するものであってもよい。
(趣旨7)趣旨1から趣旨6のうちいずれかに記載のプローブ刺入デバイスを、測定対象の開口部から含水環境にある前記測定対象内部に挿入する挿入ステップと、前記被覆体が溶解して前記プローブの先端が露出する前に、前記プローブを刺入すべき前記測定対象内部の測定位置に配置する配置ステップと、を有する、プローブ刺入デバイスの挿入方法を第2の趣旨とする。
(趣旨8)趣旨7のプローブ刺入デバイスの挿入方法に基づき前記プローブ刺入デバイスを前記測定位置に配置した後に、前記測定位置において前記測定対象に刺入された前記プローブからの電気信号を、前記プローブと電気的に接続された配線を通じて取得する、電気信号取得方法を第3の趣旨とする。
1:プローブ刺入デバイス 2:可撓性フィルム
3:プローブ 4:被覆体
5:コネクタ 21a,21b:可撓性フィルム
23:導体 24:導体露出部
25:支持材
41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g:被覆体
43a,43b:薬剤 47:被覆材
49:スポンジ 51:導体
52:接点 53:保護材
71:マウス 73:ひげ
75:刺激装置 77:増幅器
79:固定具 S:頭蓋骨
S0:開頭部 B:脳
G:空隙部 W:水溶液
D:挿入方向 I:刺入方向
T:厚さ

Claims (8)

  1. 平板形状を呈する可撓性フィルムと、
    前記可撓性フィルムから突出して形成されたプローブと、
    前記プローブの全体を被覆する水溶性の被覆体と、
    を備え、
    前記被覆体が溶解することにより前記プローブが露出するプローブ刺入デバイス。
  2. 前記プローブが、前記平板形状の表面又は裏面の少なくともいずれかの平面において、前記表面又は裏面に対して角度を有して突出している請求項1に記載のプローブ刺入デバイス。
  3. 前記可撓性フィルムが、前記プローブと電気的に接続された配線を有しており、
    前記プローブが、前記可撓性フィルムの末端部近傍に配置されると共に前記可撓性フィルムに支持されており、
    前記被覆体が、前記可撓性フィルムの一部を覆っており、前記末端部から前記プローブにかけて徐々にその厚さを増大するように傾斜して形成されている、請求項1又は請求項2に記載のプローブ刺入デバイス。
  4. 前記プローブの先端が露出するまでの時間に応じて、前記先端から前記被覆体の外表面までの最小厚さ、及び/又は、前記被覆体を構成する高分子材料の分子量が決定される、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のプローブ刺入デバイス。
  5. 前記被覆体が、溶解速度の異なる複数の領域を有する、請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のプローブ刺入デバイス。
  6. 前記被覆体が、薬剤を含有する、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のプローブ刺入デバイス。
  7. 請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のプローブ刺入デバイスを、測定対象の開口部から含水環境にある前記測定対象内部に挿入する挿入ステップと、
    前記被覆体が溶解して前記プローブの先端が露出する前に、前記プローブを刺入すべき前記測定対象内部の測定位置に配置する配置ステップと、
    を有する、プローブ刺入デバイスの挿入方法。
  8. 請求項7に記載のプローブ刺入デバイスの挿入方法に基づき前記プローブ刺入デバイスを前記測定位置に配置した後に、
    前記測定位置において前記測定対象に刺入された前記プローブからの電気信号を、前記プローブと電気的に接続された配線を通じて取得する、電気信号取得方法。
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