JP2019195282A - 殺菌処理による死菌の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来法では集菌できなかった死菌を回収できる、死菌の回収方法を提供する。【解決手段】殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、懸濁液を遠心分離し、遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定し、死菌をメンブレンフィルターごと回収する、死菌の回収方法。【選択図】なし

Description

本発明は、殺菌処理による死菌の回収方法に関する。
食中毒の原因とならないよう、微生物学的な観点から安全性の高い飲食品を提供するには、原材料や製品に含まれる微生物の殺菌を十分に行うことが重要である。
従来の殺菌方法として、加熱殺菌が一般的に知られている。しかし、殺菌のために原材料や製品を加熱すると、変質や加熱臭が発生し、栄養成分や風味が損なわれる場合がある。
そこで、加熱殺菌に代わる殺菌方法として、電界殺菌が注目を集めている。
電界殺菌とは、原材料や製品を電極で挟み、交流高電圧を印加することで、電気的な殺菌作用により、混入した微生物を殺菌する方法である。電界殺菌方法は、従来の加熱のみによる殺菌方法に比べて、熱による変色や加熱臭の発生、栄養成分の減少を抑えることができる。
さらに、点滴や注射液など、安全性の高い液体医薬品を提供するために、電界殺菌の利用も検討されている。
一般に、飲食品の種類や混入している微生物の種類によって、電界殺菌条件を適宜設定しなければならない。そして、設定した電界殺菌条件により殺菌効果が十分であるかを確認する必要がある。さらに、殺菌や抗菌の知見を深めるためには、殺菌処理により微生物がどのように死滅したのかを解明することも重要である。
殺菌処理後の死菌を観察するには、死菌を回収する必要がある。従来の死菌の回収方法としては、死菌を含む懸濁液を遠心分離し、分離され沈降したペレットから死菌を回収する方法が一般的である。また、特許文献1には、走査型電子顕微鏡(SEM)標本作製のために、微生物試料を液体透過性膜上に採取・設置した後、少なくとも固定工程若しくは洗浄・固定工程、洗浄工程、並びに脱水工程を、液体透過性膜の下部より吸引しながら行う、微生物試料の処理方法が記載されている。
特開2008−286591号公報
従来技術や特許文献1に記載の方法などにより、生菌や加熱殺菌により死滅した死菌の回収は可能である。しかしこれまで、従来法により、電界殺菌により死滅した死菌を回収したとの報告はされていない。
そこで本発明は、従来法では集菌できなかった、電界殺菌処理などにより死滅した死菌を回収できる、死菌の回収方法の提供を課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意検討を行った。その結果、電界殺菌処理により死滅した死菌の懸濁液を従来法の条件で遠心分離しても、電界殺菌処理により死滅した死菌がペレットには移行しないことを見出した。さらに、懸濁液を従来法とは異なる条件で遠心分離した場合、電界殺菌処理により死滅した死菌が上清を浮遊することを見出した。そこで、電界殺菌処理により死滅した死菌が浮遊する遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定することにより、電界殺菌処理により死滅した死菌を特異的に回収できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成に至ったものである。
本発明は、殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、懸濁液を遠心分離し、遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定し、死菌をメンブレンフィルターごと回収する、死菌の回収方法に関する。
また本発明は、殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、懸濁液を遠心分離し、遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定し、死菌をメンブレンフィルターごと回収し、回収したメンブレンフィルターを臨界点乾燥溶液に浸漬させ、メンブレンフィルターを凍結させ、凍結したメンブレンフィルターを臨界点乾燥させ、臨界点乾燥させたメンブレンフィルターを電子顕微鏡を用いた撮像に供する、死菌の撮像方法に関する。
本発明によれば、従来法では集菌できなかった、電界殺菌処理などにより死滅した死菌を回収することができる。
さらに本発明では、電界殺菌処理などにより死滅した死菌をメンブレンフィルターに吸着及び固定し、目的の死菌をメンブレンフィルターごと回収する。回収したメンブレンフィルターは、所定の処理を行うことで電子顕微鏡での撮像に供することができる。そのため、本発明により回収した死菌の撮像を容易に行うことができる。
図1(A)は、本発明の死菌の回収方法により回収した、電界殺菌処理後の黄色ブドウ球菌の死菌の電子顕微鏡写真である。図1(B)は、本発明の死菌の回収方法により回収した、電界殺菌処理後の別の黄色ブドウ球菌の死菌の電子顕微鏡写真である。図1(C)は、本発明の死菌の回収方法により回収した、電界殺菌処理後の大腸菌の死菌の電子顕微鏡写真である。
本発明の死菌の回収方法は、電界殺菌処理などにより細胞の構造が大きく変化(崩壊)した死菌を回収の対象とする。以下、回収の対象とする死菌について、電界殺菌処理により死滅した死菌を具体例として図1(A)〜(C)を参照しながら説明する。しかし本発明は、細胞の構造が大きく変化(崩壊)した死菌である限り、電界殺菌処理により死滅した死菌に限定するものではない。
電界殺菌処理後の死菌は、他の殺菌方法(例えば、加熱殺菌、アルコール殺菌)により死滅した死菌とは大きく異なる、特徴的な形状を有する(図1(A)〜(C)参照)。
具体的には、細胞表層は、約0.01〜0.5μmの細孔状であり、かつ突起構造を有する。また、ひだ状の突起が、細胞表層の全体にわたり存在するのも、電界殺菌処理後の死菌特有の特徴である。図1(A)〜(C)に示す死菌はいずれも、これらのような構造が細胞表層の全体にわたり存在し、表面が粗面化している。
さらに、電界殺菌処理後の死菌の多くは断片化され、細胞表層に孔が存在する(図1(A)〜(C)参照)。この孔から、細胞内物質が細胞外に漏洩している。
さらに、電界殺菌処理後の死菌は、電界殺菌処理前の生菌よりも細胞径は小さくなる傾向がある。例えば、電界殺菌処理前の黄色ブドウ球菌の生菌の細胞径は約0.8〜1.0μmである。これに対して、電界殺菌処理後の黄色ブドウ球菌の死菌の細胞径は、約0.4〜1.0μmであり、その多くは約0.4〜0.5μmである(図1(A)〜(C)参照)。
本発明で回収対象とする死菌の殺菌条件に特に制限はなく、食品の原材料や製品などの種類、菌種などに応じて、常法から適宜設定することができる。
懸濁液の調製に用いる溶媒に特に制限はなく、適宜選択することができる。例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Polyoxyethylene Sorbitan Monooleate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Polyoxyethylene sorbitan monolaulate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(Polyoxyethylene sorbitan monopalmitate)、モノパルミタートモノステアラート(monopalmitate monostearate)及びモノステアラートモノオレアート(monostearate monooleate)からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する水溶液が挙げられる。
また、死菌を遠心分離後の上清に移行させるために、溶媒の濃度を適宜設定することが好ましい。例えば、0.05〜0.2質量%が好ましい。
調製した懸濁液を遠心分離し、上清を回収する。上清には、前述のように細胞形状が大きく変化した死菌が含まれている。
細胞形状が大きく変化した死菌を分離できれば、遠心分離条件に特に制限はなく、遠心分離により細胞が損傷を受けて崩壊しない範囲で適宜設定することができる。例えば、7000〜15000Gで5〜15分間遠心分離することが好ましく、10000〜15000Gで10〜15分間することがより好ましく、15000Gで15分間することがさらに好ましい。懸濁液を冷却しながら遠心分離を行うことが好ましいこの遠心分離条件は、例えば特開2008−286591号公報等に示される従来法における条件(10,000Gで10分間程度)よりも、遠心分離の度合いが大きい。このような条件を採用することにより、細胞形状が大きく変化した死菌を上清中に移行させることができる。
本発明において、遠心分離前の懸濁液には、電界殺菌などにより細胞形状が大きく変化した死菌に加え、細胞のサイズが大きい生菌や死菌、微生物の細胞片などが含まれる。このような懸濁液に対して、遠心分離を行わずに後述するメンブレンフィルターを用いたろ過を行うと、容易に目詰まりが起きてしまい、死菌の回収効率が大きく低下する。これに対して、メンブレンフィルターを用いたろ過を行う前に懸濁液の遠心分離を行うことで、細胞のサイズが大きい生菌や死菌、微生物の細胞片等の夾雑物の多くはペレットとして分離できる。その結果、後段のメンブレンフィルターを用いたろ過を効率的に行うことができる。さらに、従来法における条件よりも遠心分離の度合いを高めることで、生菌などの夾雑物の大部分が上清に残らず、死菌と生菌との識別能を上げることができる。そのため、残渣の少ない鮮明な死菌画像の撮像を行うことができる。
遠心分離後の上清に対してメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、ろ液中の死菌をメンブレンフィルターに吸着させる。本発明においてメンブレンフィルターの孔径は、殺菌処理前後の細胞のサイズを比較し、適宜設定することができる。
具体的には、黄色ブドウ球菌の生菌の細胞径は約0.8〜1.0μmである。これに対して、電界殺菌処理後の死菌をSEMで観察したところ、細胞形状が大きく変化しており、死菌の多くは、約0.4〜0.5μmである。よって、細胞形状が大きく変化した死菌の大きさが生菌の約半分程度であることを考慮して、メンブレンフィルターの孔径を設定することが好ましい。具体的には、メンブレンフィルターの孔径は、0.1〜0.45μmが好ましい。
本発明において、メンブレンフィルターを用いたろ過を行う前に、上清に含まれる細胞形状が大きく変化した死菌を、細胞のサイズが大きい生菌や死菌、微生物の細胞片などと分離するために、除塵処理を行うことが好ましい。除塵処理とメンブレンフィルターを用いたろ過とを段階的に行うことで、メンブレンフィルターの目詰まりを抑制し、目的の死菌をメンブレンフィルターに吸着させるために要する時間を短縮することができる。
除塵処理は、通常の除塵目的のフィルター、例えばストマフィルター等のデプスタイプのフィルターを用いて行うことができる。除塵処理に用いることができるフィルターは、遠心処理でも落としきれなかったサイズの大きい残渣や、一部生菌の透過を阻止するが、粒径が小さい本発明で回収する死菌は透過できるよう、適宜選択することができる。
上述の工程を経ることで、細胞形状が大きく変化した死菌をメンブレンフィルターに吸着させることができる。そして、吸着した死菌をメンブレンフィルターに固定し、死菌が固定されたメンブレンフィルターごと回収することで、目的の死菌を回収することができる。
さらに本発明の死菌の回収方法では、死菌をメンブレンフィルターごと回収する。そのため、メンブレンフィルターをSEMなどの電子顕微鏡で観察することで、目的の死菌の撮像も容易に行うことができる。
メンブレンフィルターに吸着した死菌を固定する方法に特に制限はない。例えば、グルタールアルデヒドなどの固定液に、目的の死菌が吸着したメンブレンフィルターを浸漬し、メンブレンフィルターに死菌を固定する。そして、脱水溶液を滴下し、メンブレンフィルターに固定した死菌を脱水する。脱水処理後、メンブレンフィルターを回収する。
より具体的には、ろ過後のメンブレンフィルターに前固定(予備固定)として2%グルタールアルデヒドを通液し、その後、100mM HEPESを用いてメンブレンフィルター及び吸着した死菌を洗浄する。その後、メンブレンフィルターをディスポーサブルディッシュに菌体を吸着させた表面が上になるように、かつ死菌がはがれ落ちないように極力静かに、メンブレンフィルターの下面が空気を巻き込まないように設置する。空気を巻き込んでしまった場合は、適宜ピンセットで空気抜きを行う。その後、4℃に冷却した2%グルタールアルデヒドを、メンブレンフィルター表面の菌がはがれないように、ディスポーサブルディッシュの壁面に当たるように、緩やかに4〜5mL滴下する。その後、4℃で18時間以上固定する。固定の際、メンブレンフィルターが浮き上がり、メンブレンフィルターに菌体(死菌)が固定されないことがあるため、一定時間毎にメンブレンフィルターが固定液(グルタールアルデヒド)に完全に浸漬されているかを確認する。メンブレンフィルターが浮かび上がっている場合は、メンブレンフィルター外周部をピンセットで押さえつけ、完全に固定液に浸漬させる。そして、メンブレンフィルターに固定した死菌に対して50〜100容量%の数段階の濃度区の脱水溶液(エタノール上昇系が好ましい)を低濃度から段階的に順次滴下し、メンブレンフィルターに固定した死菌を脱水する。脱水処理後、メンブレンフィルターを回収する。
従来の殺菌方法で死滅する死菌は、懸濁液を遠心分離すると、死菌はペレットに移行する。これに対し、本発明の死菌の回収方法では、懸濁液の遠心分離後の上清をろ過し、死菌が吸着したメンブレンフィルターを回収することで、死菌を回収する。したがって、本発明の死菌の回収方法により回収した、特定の死菌が吸着、固定されたメンブレンフィルターは、所定の処理を行うことで電子顕微鏡での撮像に供することができる。本発明の死菌の撮像方法によれば、従来法では撮像できない死菌を撮像することができる。
電子顕微鏡を用いた撮像方法に特に制限はなく、常法により行うことができる。以下、死菌の撮像方法について具体的に説明する。しかし本発明は、これに制限するものではない。
例えば、脱水処理後のメンブレンフィルターをディスポーサブルディッシュに移し、t-ブタノール(試薬特級)などの臨界点乾燥溶液に完全に浸漬させ、凍結させる。その後、凍結したメンブレンフィルターをディスポーサブルディッシュごと臨界点乾燥器に設置し臨界点乾燥を行う。臨界点乾燥前にメンブレンフィルターを臨界点乾燥溶液に浸漬させることで、死菌の細胞表層の微細構造(鞭毛や繊毛など)を保護ないし維持したまま、乾燥させることができる。本発明において臨界点乾燥は、常法により行うことができる。なお本発明において「臨界点乾燥」とは、脱水後の試料を液化炭酸ガスと共に圧力容器中に入れて加温する方法であり、常法により行うことができる。
臨界点乾燥溶液を完全に揮散させた後、メンブレンフィルターをSEM試料台に観察面が上になるように載置し、イオンスパッターで白金バナジウムを蒸着させる。その後、常温SEMやクライオ(FIB)SEMなどにより、死菌を撮像することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の死菌の回収方法並びに死菌の撮像方法を開示する。
<1>殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、懸濁液を遠心分離し、遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定し、死菌をメンブレンフィルターごと回収する、死菌の回収方法。
<2>殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、懸濁液を遠心分離し、遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、メンブレンフィルターに死菌を固定し、死菌をメンブレンフィルターごと回収し、回収したメンブレンフィルターを臨界点乾燥溶液に浸漬させ、メンブレンフィルターを凍結させ、凍結したメンブレンフィルターを臨界点乾燥させ、臨界点乾燥させたメンブレンフィルターを電子顕微鏡を用いた撮像に供する、死菌の撮像方法。
<3>前記臨界点乾燥溶液がt-ブタノールである、前記<1>又は<2>項記載の方法。
<4>メンブレンフィルターを固定液で処理して目的の死菌を固定し、脱水溶液を用いてメンブレンフィルターに固定した死菌を脱水し、死菌をメンブレンフィルターごと回収する、前記<1>〜<3>のいずれか1項記載の方法。
<5>遠心分離後の上清に対して除塵処理を行い、除塵処理後の上清に対して前記メンブレンフィルターを用いてろ過を行う、前記<1>〜<4>のいずれか1項記載の方法。
<6>デプスタイプのフィルターを用いて前記除塵処理を行う、前記<5>項記載の方法。
<7>前記除塵処理により、上清に含まれる細胞形状が大きく変化した死菌を、細胞径の大きい生菌及び死菌、並びに微生物の細胞片などと分離する、前記<5>又は<6>項記載の方法。
<8>メンブレンフィルターの孔径が0.1〜0.45μmである、前記<1>〜<7>のいずれか1項記載の方法。
<9>前記懸濁液を7000〜15000Gで5〜15分間、好ましくは10000〜15000Gで10〜15分間、より好ましくは15000Gで15分間遠心分離する、前記<1>〜<8>のいずれか1項記載の方法。
<10>前記溶媒が、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、モノパルミタートモノステアラート及びモノステアラートモノオレアートからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する水溶液である、前記<1>〜<9>のいずれか1項記載の方法。
<11>前記溶媒の濃度が0.05〜0.2質量%である、前記<1>〜<10>のいずれか1項記載の方法。
<12>前記死菌の形状が、他の殺菌方法(好ましくは加熱殺菌又はアルコール殺菌)により死滅した死菌の形状とは大きく異なる、前記<1>〜<11>のいずれか1項記載の方法。
<13>前記死菌が、細胞表層を細孔状とし、かつ細胞表層に突起構造を有する粗面化死菌である、前記<1>〜<12>のいずれか1項記載の方法。
<14>前記死菌の細胞表層の細孔のサイズが約0.01〜0.5μmである、前記<13>項記載の方法。
<15>前記死菌が、細胞表層にひだ状の突起を有する、前記<1>〜<14>のいずれか1項記載の方法。
<16>前記死菌の細孔状かつ突起構造、及び/又はひだ状の突起が、細胞表層の全体にわたり存在する、前記<13>〜<15>のいずれか1項記載の方法。
<17>前記殺菌処理により細胞が断片化され、細胞表層に孔が存在する、前記<1>〜<16>のいずれか1項記載の方法。
<18>前記死菌の細胞内物質が、前記孔から細胞外に漏洩している、前記<17>項記載の方法。
<19>前記死菌の細胞径が約0.4〜1.0μm、好ましくは約0.4〜0.5μmである、前記<1>〜<18>のいずれか1項記載の方法。
<20>前記死菌が、電界殺菌処理により死滅した死菌である、前記<1>〜<19>のいずれか1項記載の方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)供試菌の調製
黄色ブドウ球菌 NBRC 12732及び大腸菌 ATCC 8739をそれぞれ液体培地(ニュートリエントブロス)10mLに1白金耳量接種し、37℃、120rpmで24時間振盪培養を行った。その後、培養液100μLを液体培地(ニュートリエントブロス)10mLに接種し、37℃、120rpmで2〜4時間振盪培養(本培養)を行った。
本培養菌液を20倍に希釈したニュートリエントブロスを用いて、菌数を1〜3×105CFU/mLになるように調整し、菌液を調製した。
(2)殺菌試験
圧電性ポリ乳酸で作成したニットを伸長させると電界が発生する。この電界で菌を死滅させられることが知られている。
圧電性ポリ乳酸で作成したニットを引張機に150g加重で設置した。設置後、前記菌液200μLを10〜15スポット試験布上及びJIS L 1902指定の普通布に接種した。その後圧電性ポリ乳酸製ニットは引張機により10mmのストロークで、普通布は静置条件において、37℃で18時間培養した。
培養後の各試験布は抽出液を用いて、布上の菌を回収し、培養法にて生菌数を測定した。
(3)死菌の回収
0.2〜0.05質量%Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)水溶液20mLに、電界殺菌処理後の菌を懸濁した。そして、高速冷却遠心機(ヤマト科学)及びアングルローターF-35-6-30を用いて、15000Gで15分間、4℃に冷却しながら懸濁液を遠心分離した。
遠心分離後の上清を回収し、ストマフィルター(アズワン)でろ過し、除塵処理を行った。その後、ポアサイズ0.2μmのアイソポアGTTP04700及びディスポーサブルシリンジを用いて全量ろ過し、死菌をメンブレンフィルター上に吸着させた。
ろ過後のメンブレンフィルターに0.1MHEPES1mLを通液してメンブレンフィルターを洗浄し、さらに2%グルタールアルデヒド1mLを通液し前固定を行った。通液後のメンブレンフィルターを、ろ過面が上になるようにディスポーザブルディッシュに設置した。メンブレンフィルターに直接固定液がかからないようにディスポーザブルディッシュの壁面に2%グルタールアルデヒド4mLを滴下し、メンブレンフィルターが浮かび上がらないようにピンセットなどで押さえながら、4℃で18時間固定した。
その後、固定液全量を回収廃棄した後、フィルター表面に直接かからないようにしながら、エタノール上昇系(50、70、80、90、95、100(1回目)、100(2回目)%)で各30分間4℃で脱水した。
(4)死菌の撮像
脱水処理後のメンブレンフィルターは4mlのt-ブタノールに完全に浸漬させてディスポーサブルディッシュごと−20℃で30分以上凍結させた。凍結後のディスポーサブルディッシュ及びメンブレンフィルターは臨界点乾燥器ES-2030(日立)を用いて臨界点乾燥を行った。乾燥後のメンブレンフィルターはSEM試料台(日新EM)に固定し、イオンスパッターE-1030(日立)を用いて30mAで80秒白金蒸着した。白金蒸着後のメンブレンフィルターはSEM S-4300E(日立)を用いて観察及び撮影を行った。
その結果を図1に示す。図1に示すように、遠心分離後の上清から回収した電界殺菌処理後の菌は、グラム陽性、グラム陰性に関わらず細胞が断片化されている。また細胞表層が粗面化し、細胞を覆うようにひだ状の構造物(突起)が露出している。さらに、生菌では認められない細胞表層の細孔(ポア)が認められ、細胞内物質が細胞外に漏洩している。細胞表層のひだ状構造は、それ以外の部位と比較して盛り上がった状態であり、細胞骨格様の構造として存在している。
さらに、黄色ブドウ球菌の死菌は、ブドウの房状の連結が認められなくなる(図1(A)及び(B)参照)。
以上のように、本発明によれば、従来法では集菌できなかった、電界殺菌処理などにより死滅した死菌を回収することができる。
さらに、目的の死菌を吸着及び固定したメンブレンフィルターごと回収するため、回収したメンブレンフィルターを電子顕微鏡での撮像に供することで、目的の死菌の撮像も容易に行うことができる。

Claims (14)

  1. 殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、
    懸濁液を遠心分離し、
    遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、
    メンブレンフィルターに死菌を固定し、
    死菌をメンブレンフィルターごと回収する、
    死菌の回収方法。
  2. 殺菌処理後の菌を溶媒で懸濁し、
    懸濁液を遠心分離し、
    遠心分離後の上清をメンブレンフィルターを用いてろ過して死菌をメンブレンフィルターに吸着し、
    メンブレンフィルターに死菌を固定し、
    死菌をメンブレンフィルターごと回収し、
    回収したメンブレンフィルターを臨界点乾燥溶液に浸漬させ、
    メンブレンフィルターを凍結させ、
    凍結したメンブレンフィルターを臨界点乾燥させ、
    臨界点乾燥させたメンブレンフィルターを電子顕微鏡を用いた撮像に供する、
    死菌の撮像方法。
  3. 前記臨界点乾燥溶液がt-ブタノールである、請求項2記載の方法。
  4. メンブレンフィルターを固定液で処理して目的の死菌を固定し、脱水溶液を用いてメンブレンフィルターに固定した死菌を脱水し、死菌をメンブレンフィルターごと回収する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 遠心分離後の上清に対して除塵処理を行い、除塵処理後の上清に対して前記メンブレンフィルターを用いてろ過を行う、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. メンブレンフィルターの孔径が0.1〜0.45μmである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記懸濁液を7000〜15000Gで5〜15分間遠心分離する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記死菌が、細胞表層を細孔状とし、かつ細胞表層に突起構造を有する粗面化死菌である、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記死菌の細胞表層の細孔のサイズが約0.01〜0.5μmである、請求項8記載の方法。
  10. 前記死菌が、細胞表層にひだ状の突起を有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記死菌の細孔状かつ突起構造、及び/又はひだ状の突起が、細胞表層の全体にわたり存在する、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記殺菌処理により細胞が断片化され、細胞表層に孔が存在する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記死菌の細胞径が約0.4〜1.0μmである、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 前記死菌が、電界殺菌処理により死滅した死菌である、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。




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