実施するための形態1
以下に、発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に示す実施するための形態は例示であって、以下の実施するための形態によってこの発明が限定されるものではない。
図1から図8には、3軸直交座標系のx軸、y軸及びz軸が示されている。z軸方向を鉛直方向、z軸の正の方向及び負の方向をそれぞれ上方及び下方、y軸の正の方向及び負の方向を側方又は側面側、x軸の正の方向及び負の方向をそれぞれ正面側及び背面側とする。また、z軸に平行な方向に見ることを平面視とよぶ。
図1は本発明を実施するための形態1に係るエレベータ装置200の概略図である。図2は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100の正面図及び底面図である。図3は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100の側面図である。図4は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100の平面図である。
図1に示すように、機械室201に、主ロープ5を巻き上げる巻上機51と反らせ車52が配置されている。巻上機51の駆動シーブ及び反らせ車52には主ロープ5が巻きかけられ、主ロープ5は、エレベータかご100及び釣合おもり53に接続されている。エレベータかご100と釣合おもり53に接続されたコンペンロープ54は、滑車55及び滑車56に巻きかけられている。
図2から図4に示すように、主ロープ5によってエレベータかご100が吊り下げられている。主ロープ5の一端には、主ロープ締結部23が固定され、主ロープ5とロープ連結部品1が連結されている。かご壁2及びかご床3のそれぞれは、エレベータかご100のかご室の壁及び床を構成している。
4本の支持部材4は、かご床3を支持し、正面部品19がかご室の正面に設けられている。かご壁2は、壁面パネル11(第一の壁面パネル11−1)と壁面パネル11に接合された上梁6、下梁7及び柱12を備える。
エレベータかご100の正面上部に設けられた正面部品19は、正面壁面パネル20と、正面壁面パネル20に接合された正面上梁21及び正面下梁22で構成される。かご床3と支持部材4の固定箇所において、支持部材4の一部である締結部8に、締結部材9が取り付けられ、締結部材9とかご床3の間に支持板10が設けられている。実施するための形態1において締結部材9はナットである。
以下に、図1を参照してエレベータ装置200の構成について説明する。図1は、エレベータかご100と機械室201の間の一部が省略され、釣合おもり53と滑車55及び滑車56の間の一部が省略されて示されている。主ロープ5の一端は釣合おもり53の上部に接続され他端はエレベータかご100に接続されている。
釣合おもり53及びエレベータかご100は、昇降路202の内部に主ロープ5によって吊り下げられている。主ロープ5は巻上機51の駆動シーブ及び反らせ車52に巻きかけられている。コンペンロープ54の一端は釣合おもり53の下部に接続され、他端はエレベータかご100の下部に接続されている。
コンペンロープ54は滑車55及び滑車56に巻きかけられている。機械室201に設けられた巻上機51の駆動シーブが、駆動装置(図示せず)に駆動されて回転し、エレベータかご100が昇降路202の内部を上下方向に昇降する。次に、図2から図4を参照してエレベータかご100について説明する。
ロープ連結部品1は主ロープ5に連結され、昇降路202の内部に吊り下げられている。主ロープ5の一端には主ロープ5の一部である主ロープ締結部23があり、主ロープ締結部23はロープ連結部品1に締結されている。主ロープ5とロープ連結部品1は連結されている。
柱12は棒状の形状を有し、長手方向に内部を貫通する穴(以下、パイプ穴とよぶ)を有する。支持部材4について説明する。支持部材4はロープとロープの両端に固定された締結部8で構成されている。
支持部材4は頂点部24のそれぞれに対して各1本設けられ、図2から図4に示すエレベータかご100の構成において、支持部材4が固定されている頂点部24を、支持部材4に対応する頂点部24とよぶ。
そして、対応する頂点部24に配置されている柱12を対応する柱12とよぶ。図4のように、ロープ連結部品1に支持部材固定位置25において一端が固定された4本の支持部材4は、対応する柱12のそれぞれに向けて張り渡され、対応する柱12のパイプ穴を貫通し、対応する頂点部24を支持している。
ここで、頂点部24の範囲は、かご床3の頂点に加えて頂点の周辺を含む。図2では、かご床3は平面視で四角形であるが、頂点数が3又は5以上の凸多角形としてもよい。ここで凸多角形は、全ての内角が180°未満の多角形である。頂点は凸多角形を構成する頂点を指し、頂点部は頂点及び頂点の周辺を指すものとする。凸多角形のそれぞれの頂点部24を各支持部材4が支持している。
ロープ連結部品1と柱12の間の支持部材4の形態を、例えば、ロープ連結部品1の側が1本で柱12の側が複数本に分岐した形態としてもよい。また、ロープ連結部品1の側が複数本に分岐し、柱12の側が1本となる形態としてもよい。また、複数の支持部材4が一つの頂点部24を支持する形態としてもよい。
この実施するための形態のように、頂点部24のそれぞれに対して支持部材4を1本ずつ設ける構造とすれば、かご床3への支持部材4の締結箇所が少なく、設計、製造が容易で単純な構造とすることができる。この実施するための形態においては、支持部材4は複数の繊維があみこまれたロープと、ロープの両端に固定された締結部8を備える。
締結部8は、円柱状の形状を有し側面にねじ山が切られたねじ軸である。締結部8がロープ連結部品1に固定されることによって、支持部材4とロープ連結部品1とが連結される。支持部材4の締結部8の間の部分はロープに限定されるものではない。
締結部8とロープ連結部品1の間の固定部分は、ロープ連結部品1にねじ穴を設け、ねじ穴に締結部8を取り付けるものでもよい。また、ロープ連結部品1に上下方向に貫通する貫通穴を設け、締結部8が貫通穴から上方に突き出すように支持部材4を配置し、締結部8の突き出した部分にナットを取り付けることによって固定してもよい。
支持部材4は、柱12のパイプ穴を通すことが可能な形状を有し、荷重の最大値(許容最大荷重)に耐える強度を有し、張力を伝達可能であることが望ましい。ここで、張力を伝達可能とは、支持部材4にかかる張力に対する支持部材4の伸び(変形)が一定の基準内であることを意味する。
例えば、エレベータかご100へ錘を載せて積載荷重試験を実施し、規定された荷重条件に対してエレベータかご100の変形、移動量及び傾きが一定の範囲内に収まるようにこの基準を定めてもよい。以上述べたように、エレベータかご100の積載重量、自重、寸法等を考慮して支持部材4の材質、形状を選択することができる。
例えば、支持部材4として予め所定の形状に屈曲成形した棒を用いることもできる。次に、かご床3について説明する。図2の底面図に示すように、かご床3は平面視で四角形の形状を有する。かご床3の形状は、四角形に限定されるものではなく、平面視で頂点の数が3以上の多角形、さらに好適には凸多角形であればよい。
かご床3は、各頂点部24を支持部材4によって支持される。かご床3の上で積載物の配置が変化した場合でも、積載物の重心の位置は、平面視で頂点部24を頂点とする凸多角形の内部にあるため、偏荷重に起因して柱12に作用する曲げモーメントを低減することができる。
かご床3には、突起、へこみ、穴等を設けてもよい。また、かご床3の形状は多角形と異なっていてもよい。例えば、頂点の角にコーナーラジウス(corner radius)等とよばれる丸みが施されていてもよく、頂点の間を結ぶ線が直線と異なっていてもよい。
さらには、かご床3の形状を凸多角形と異なる形状としてもよい。例えば、かご床3を、円形、楕円等の形状とし、かご床3の面上に頂点部24が凸多角形の頂点を構成するように頂点部24を配置する。さらに好適には、頂点部24をかご床3の端又は端に近い部分である周縁部に配置する。
このような構造とすれば、かご床3の上で積載物の配置が変化した場合でも、積載物の重心の位置を、平面視で頂点部24を頂点とする凸多角形の内部に入れるという条件を満たすことが可能である。上記条件を満たす範囲で、頂点部24の配置される周縁部には、かご床3の内部の点を含んでもよい。
図2のように、かご床3の形状が凸多角形であり、かご床3の頂点に頂点部24がある構造とすれば、かご床3のほとんどの部分が頂点部24を頂点とする凸多角形の内部となる。そのため、積載物の配置に依存せず、積載物の重心の位置を、より確実に平面視で頂点部24を頂点とする凸多角形の内部に入れることが可能となり、さらに好適である。
次に、かご床3と支持部材4の固定部分について説明する。図6は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100の一部を拡大した図である。図6は図2のA部の拡大図である。頂点部24には、上下方向にかご床3を貫通する穴であるかご床貫通穴14が設けられている。
図6において、かご床貫通穴14の鉛直上方に柱12のパイプ穴が位置するように柱12が配置されている。柱12はかご床3の面に垂直である。以下ではかご床3の面に垂直であることをかご床3に垂直とよぶ。図6において、柱12はかご床3の上に直接設けられているが、柱12の下端がかご床3の上面に対向して配置されていればよく、間に振動吸収材等を挟んで配置してもよい。
支持部材4は、柱12のパイプ穴、かご床3のかご床貫通穴14及び支持板10の支持板貫通穴15を貫通している。締結部8の最大径は、かご床貫通穴14及び支持板貫通穴15の最小径より小さい。ここで、径とは図6のxy面内における締結部8、かご床貫通穴14及び支持板貫通穴15の径を意味する。
かご床3の下面側に突出した支持部材4の締結部8には締結部材9が締結され、締結部材9とかご床3の間には支持板10が配置されている。支持板10を設けない構成とすることもできる。支持部材4からかご床3に作用する力は、かご床3に対して下面の側から作用する。図6の締結部材9はナットである。
締結部材9は、かご床3の下面から下側に突出した締結部8に装着され、かご床3に対して、直接又は間接的に力を加え、エレベータかご100及びその積載物の重量を受け止める部材であり、ナットに限定されるものではない。また、締結部8と締結部材9との連結方法はねじの締結に限定されるものではない。
例えば、締結部材9を、締結部8に装着することが可能で、支持板貫通穴15を通り抜けることがなく、作用する重量に耐える強度を有する金属部材とすることもできる。締結部8と締結部材9との連結方法は、例えば、ねじ止め、溶接、リベット、フック掛け又はこれらの組み合わせでもよい。
図6では、かご床貫通穴14及び支持板貫通穴15の最小径より締結部材9の外形の最大径が大きい。例えば、支持板10の外形の最大径をかご床貫通穴14の最小径より大きくし、締結部材9の外形の最大径を支持板貫通穴15の最小径より大きくし、締結部材9の外形の最大径をかご床貫通穴14の最小径より小さくしてもよい。
この実施するための形態においては、支持部材4がかご床貫通穴14を上面から下面に貫通し、下面からかご床3を支持することができる。しかしながら、かご床3と支持部材4の固定の形態は、このようなものに限定されるものではなく、かご床3の上側の面に支持部材4が固定される形態でもよい。
支持部材4は、柱12によって柱12の上端から下端までガイドされるため、支持部材4をガイドする部材を別途設ける必要がない。そのため、エレベータかご100を軽量化することができる。ここで、支持部材4とかご床3との固定方法は図6に示す形態に限定されるものではなく、支持部材4が頂点部24でかご床3を支持していればよい。
例えば、支持部材4がかご床貫通穴14を上面から下面に貫通し、支持部材4がかご床3の下面の連結位置に連結され、連結位置が頂点部24から離れた位置にあってもよい。そして、かご床貫通穴14から連結位置まで支持部材4が張り渡され、支持部材4とかご床3が頂点部24で接触し、この接触箇所で支持部材4がかご床3を支持してもよい。
また、支持部材4を次のような配置とすることもできる。支持部材4の一端をロープ連結部品1に固定し、ロープ連結部品1から柱12(第一の柱12−1とする)の上端まで張り渡す。さらに、第一の柱12−1のパイプ穴を上端から下端へ貫通するような形状とし、第一の柱12−1の配置された頂点部24においてかご床貫通穴14を上面から下面へ貫通させる。
次に、かご床3の下側において、上記の支持部材4を第一の柱12−1の配置された頂点部24から別の柱12(第二の柱12−2とする。)のある頂点部24へと張り渡し、第二の柱12−2のある頂点部24において、かご床貫通穴14を下面から上面へ貫通させる。さらに、上記の支持部材4を第二の柱12−2のパイプ穴を下端から上端に貫通させる。
そして、第二の柱12−2のパイプ穴から延びた上記の支持部材4の他方の端をロープ連結部品1に固定する。このように、両端がロープ連結部品1に固定された1つの支持部材4によってかご床3の2箇所の頂点部24を支持する構造とすることもできる。
次に、図2から図5を参照してかご壁2について説明する。図5は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100のかご壁2を示す三面図である。かご壁2は、エレベータかご100の側面及び背面に配置され、扉が配置される正面側には設けられていない。かご壁2は、かご床3に対して垂直に配置されている。
壁面パネル11は、長方形の形状を有し2つの辺がかご床3に対して垂直となるように配置されている。壁面パネル11の一方の面に、かご床3に垂直な2つの辺にそって2本の柱12が接合されている。別の表現をすると、2本の柱12は壁面パネル11の一方の面の縁に、かご床3に垂直な二つの辺に平行に接合されている。
壁面パネル11に接合された柱12は、各頂点部24に設けられている柱12のうち、隣り合う頂点部24に配置されている2本である。ここで、隣り合う頂点部24とは頂点部24の構成する凸多角形の一辺を間にはさんで隣り合う頂点部24である。
図5のように、壁面パネル11の柱12が接合された側の面には、かご床3に平行な上側及び下側の辺にそって、上梁6及び下梁7が接合されている。
別の表現をすると、上梁6及び下梁7は壁面パネル11の一方の面の縁に、かご床3に平行な上側の辺及びかご床3に平行な下側の辺に平行に接合されている。強度を増すため、柱12、上梁6及び下梁7を互いに接合してもよい。
壁面パネル11と、柱12、上梁6及び下梁7との接合方法は、材料に応じて接着、溶接、ねじ止め等から選択することができる。図5に示すかご壁2は、柱12、上梁6及び下梁7が壁面パネル11の各辺にそって接合されているため、壁面パネル11の各辺を折り曲げるように屈曲させる力に対して、強度および剛性が高い構成となっている。
図2の背面側の頂点部24のように、1箇所の頂点部24に2本以上の柱12を配置してもよい。壁面パネル11をかご床3に締結し、壁面パネル11の下部を補強してもよい。部材を新たに設け、壁面パネル11の上部又は下部を補強し、上梁6又は下梁7を省いた構造とすることもできる。
また、かご壁2とかご床3の間又は隣り合う2つのかご壁2の間を、接着、溶接、ねじ止め等によって固定してもよい。この実施するための形態のエレベータかご100は、かご床3を下方から支持するため、かご壁2とかご床3の間又は隣り合う2つのかご壁2の間の締結構造の補強による重量の増加を抑制することができる。
壁面パネル11の形態は、長方形に限定されるものではなく、かご床3に垂直であって、隣り合う頂点部24に配置されている2本の柱12が一方の面に接合されていればよい。このような構成においては、かご床3に平行な上梁6又及び下梁7を、壁面パネル11の柱12の接合された面に接合してもよい。
図2から図4の構造では、壁面パネル11の形状を長方形とし、柱12を壁面パネル11の辺にそって接合したため、壁面パネル11に対して2本の柱12を、はみ出し、干渉等なく壁面パネル11の縁の部分に接合できる。そのため、少ない部材で効率的にかご壁2の強度及び剛性を高めることができる。
壁面パネル11に対して、かご床3に平行な上梁6又及び下梁7を接合することにより、補強部材の量を抑制しつつ、かご壁2に作用する力に対してかご壁2を補強することができる。以上により、補強部材の量を抑制しつつ効果的にエレベータかご100の強度を増し、耐荷重性能が高く軽量なエレベータかご100を提供することができる。
上梁6及び下梁7に代えて、かご壁2を補強する部材を壁面パネル11に接合してもよい。例えば、長方形の壁面パネル11に対し、壁面パネル11の対角線にそって棒状の補強部材を追加してもよい。また、棒状の部材を、壁面パネル11に接合せず2本の柱12に接合してかご壁2を補強してもよい。
次に、柱12、上梁6、下梁7及び壁面パネル11の形状及び材質についてより詳しく説明する。この実施するための形態のように、柱12として、外形及びパイプ穴の断面が四角形の角パイプ材を用いてもよい。上梁6及び下梁7は棒状の形状であればよく、パイプ穴を有するものでなくてもよい。
柱12、上梁6及び下梁7以外に、棒状の補強部材を壁面パネル11に接合してもよい。上梁6及び下梁7及び補強部材としては、パイプ材、Lアングル材、C形材、I形材等を使用することができる。Lアングル材、C型材及びI形材はそれぞれ、断面形状がL字形、C字形及びI字形に近い形状の棒材である。
また、図4の柱12の外形又はパイプ穴の断面形状を、丸、三角、楕円、多角形等の形状としてもよい。柱12には、補強、他部材との接合、軽量化等のために、突起、へこみ、貫通穴、接合面等が設けられていてもよい。また、断面の太さ及び形状が、長手方向の位置に依存して異なっていてもよい。
図4の柱12は、長手方向に全体にわたって、柱12の内部をパイプ穴が貫通しているが、支持部材4を拘束してガイドする機能を有する範囲で柱12の長手方向の一部が、溝部となっていてもよい。溝部の設けられた柱12においては、支持部材4が溝部からはずれることを防ぐため、長手方向の一部に、パイプ穴が内部を貫通する構造、留具等を設けてもよい。
この場合、柱12の上端と下端に2箇所の留具を設けてもよい。また、かご床貫通穴14を留具として機能させてもよい。長手方向に全体にわたって内部をパイプ穴が貫通している構造は、長手方向の一部が溝部の形成された構造に比べて、柱12に直交する面内において方向に依存しない強度を有する。
また、図4の柱12においては、パイプ穴が柱12の断面の中心部分に位置するため、強度が高く強度に異方性のない軽量な構造を実現できる。さらに、柱12を一体成形とすれば、強度が高く製造が容易な構造とすることができる。特に、繊維強化プラスチックを材料とした場合、強度が高く製造が容易な構造とすることができる。
上梁6、下梁7、壁面パネル11及び柱12の材料は鉄、アルミ等の金属でもよい。また、炭素繊維、ガラス繊維等の繊維で強化された繊維強化プラスチック(以下、繊維強化プラスチックをFRP(FRP:Fiber Reinforced Plastics)とよぶ)でもよい。また、金属、炭素繊維及びガラス繊維を含む複合材でもよい。
次に、扉の設けられる正面側に配置された正面部品19について説明する。図2から図4に示すように、正面壁面パネル20は長方形の形状を有し、2つの辺がかご床3に垂直である。正面壁面パネル20のかご床3に垂直な2つの辺にそって正面側の隣接する2本の柱12が接合されている。
また、正面壁面パネル20の柱12が接合された面のかご床3に平行な上側及び下側の辺にそって、正面上梁21及び正面下梁22が接合されている。強度を増すために、正面上梁21、正面下梁22及び柱12を互いに接合してもよい。また、正面部品19の構造は図2から図4に示す構造に限定されるものではない。
この実施するための形態においては、正面側に扉等の部品(図示せず)を設けてもよい。この扉等の部品によって、エレベータかご100の強度及び剛性を高める等の正面部品19の機能が代替される場合、正面部品19の部品の一部又は全部を省くこともできる。
次に、柱12の上端の部分について説明する。図7は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100の一部を拡大した図である。図7は図4のB部の拡大図であり、平面図と側面図が示されている。柱12の上端には支持部材拘束部品13が設けられている。
支持部材拘束部品13の外形は、柱12の上端のパイプ穴にはめこむことができるように形成されており、接着、ねじ止め等によって柱12に固定されている。支持部材拘束部品13は柱12の外形を覆うように装着してもよい。支持部材拘束部品13には支持部材4が内部を貫通する貫通穴が設けられ、支持部材拘束部品13の貫通穴の断面は柱12のパイプ穴の断面より小さい。
そのため、支持部材拘束部品13を装着することによって、柱12の上端において支持部材4の水平方向(xy面内の方向)の可動範囲が小さくなり、エレベータかご100の揺れが低減される。支持部材拘束部品13として、支持部材4の断面寸法を考慮して成形された固形部品を用いることができる。
支持部材拘束部品13として、エレベータかご100の振動を吸収する防振ゴムなどの弾性材料を用いてもよい。支持部材拘束部品13を設けない構成としてもよい。支持部材拘束部品13の貫通穴を締結部8の外径より大きくしておき、支持部材4のロープの部分に締結部8を固定した後に、支持部材拘束部品13に支持部材4を挿入してもよい。
また、支持部材4の製造工程において、支持部材4のロープの部分に締結部8を固定する前に、支持部材4のロープの部分を支持部材拘束部品13の貫通穴に貫通させ、図7のように、支持部材拘束部品13の貫通穴を締結部8の外径より小さくしてもよい。
また、支持部材拘束部品13の固定位置は柱12の上端が好適であるが、柱12の長手方向の下端、中心等、他の場所でもよい。以上のように、図7に示した支持部材拘束部品13は、柱12に装着され、柱12のパイプ穴より小さい貫通穴を有し、支持部材拘束部品13の貫通穴を支持部材4が貫通している。
以下に、ロープ連結部品1の構造について説明する。図2から図4に示すロープ連結部品1は主ロープ5に吊り下げられ、柱12の上端より上方に設けられている。かご床3に垂直な方向から見て、すなわち、平面視で、支持部材4のロープ連結部品1への固定位置である支持部材固定位置25が頂点部24の構成する凸多角形の外部にあってもよいが、内部にあることが望ましい。
別の表現をすると、支持部材固定位置25からかご床3を含む平面に対して垂線を下ろした場合に頂点部24の構成する凸多角形と交わるのが望ましい。平面視で支持部材固定位置25が頂点部24の構成する凸多角形の内部にある場合、エレベータかご100及び積載物の重量によって支持部材4に発生した張力は、柱12に対して頂点部24を頂点とする凸多角形の内側の方向に作用する。
そのため、複数のかご壁2の間には互いに押し付けられる向きに力が働く。そして、エレベータかご100の重量及び積載物の重量による力は、複数のかご壁2をより強く結束させる方向に作用する。このような構造では、かご壁2の間の締結部分の補強をより少なくすることが可能となり、エレベータかご100を軽量化することができる。
比較のため、支持部材固定位置25が、平面視で頂点部24の構成する凸多角形の外部にある構造について述べる。この構造では、支持部材4に発生した張力がかご壁2を互いに引き離す方向に作用し、前述の場合に比較して、かご壁2の間の締結部分の補強による重量が増加する。
以上に述べたように、図2から図4に示したエレベータかご100は、かご床3と、柱12とを備える。柱12は、長手方向に内部を貫通するパイプ穴が形成され、下端がかご床3の上面に対向し、かご床3の面上にある凸多角形の頂点を構成する頂点部24のそれぞれにかご床3と垂直に配置される。
さらに、図2から図4に示したエレベータかご100は、かご床3に垂直に配置され、隣りあう2つの頂点部24に配置された2本の柱12が一方の面に接合された壁面パネル11と、支持部材4とを備える。支持部材4は、柱12のパイプ穴を貫通し、柱12の下端側においてパイプ穴の内部から外部へ延びる部分がかご床3の頂点部24を支持する。
さらに、図2から図4に示したエレベータかご100は、柱12の上端側においてパイプ穴の内部から外部へ延びる支持部材4の一端が固定され、柱12の上端より上方に主ロープ5によって吊り下げられたロープ連結部品1を備える。
また、図2から図4に示したエレベータかご100は、頂点部24のそれぞれに対応して支持部材4が1つずつ設けられている。そして、支持部材4は対応する頂点部24を支持し、柱12の下端側においてパイプ穴の内部から外部へと延びる支持部材4の他端がかご床3に固定されている。
また、図2から図4に示したエレベータかご100においては、かご床3は、平面視で凸多角形の形状を有し、かご床3の各頂点に頂点部24が位置している。
また、図2から図4に示したエレベータかご100においては、壁面パネル11は、二つの辺がかご床3に垂直な長方形の形状を有する。そして、隣りあう頂点部24にそれぞれ配置された2つの柱12が壁面パネル11の一方の面の二つの辺にそって接合されている。
また、図2から図4に示したエレベータかご100においては、棒状の上梁6及び下梁7をさらに備える。上梁6は、壁面パネル11の一方の面のかご床3に平行な上側の辺にそって接合され、下梁7は、壁面パネル11の一方の面のかご床3に平行な下側の辺にそって接合されている。
また、図2から図4に示したエレベータかご100においては、かご床3に垂直な方向から見た平面視で、ロープ連結部品1と支持部材4との固定位置である支持部材固定位置25が、頂点部24が頂点を構成する凸多角形の内部にある。
また、図2から図4に示したエレベータかご100においては、柱12のパイプ穴の鉛直下方にかご床3の上面から下面に至るかご床貫通穴14が設けられている。そして、かご床貫通穴14を支持部材4が貫通し、支持部材4のかご床3の下面側に突出した部分に締結部材9が装着されている。
このようなエレベータかご100においては、かご床3を支持部材4と締結部材9によって下から支持することができる。また、かご床3と支持部材4の固定をより強固なものとすることができる。さらに、かご床3と支持部材4の固定作業を容易なものとし、エレベータかご100の昇降路202への設置作業を容易なものとすることができる。
この実施するための形態のエレベータかご100は、積載荷重及びエレベータかご100の自重が支持部材4の間に分配され、支持部材4とかご床3との締結部分への負荷が軽減される。さらに、支持部材4によってかご床3を支持したため、かご床3と支持部材4の間を除き、エレベータかご100の構成部品の間の締結部分に荷重が作用しない。
さらに、エレベータかご100の積載荷重の重心位置が、平面視で頂点部24の構成する凸多角形の内部に位置するため、柱12にかかる曲げモーメントが低減される。さらに、柱12によって支持部材4をガイドすることができるため、ガイド部材及びガイド部材を支持する部材を別途設ける必要がない。
以上により、この実施するための形態の発明によれば、従来のエレベータかごに比べて、自重、積載荷重及び曲げモーメントに耐えるための補強に起因する重量の増加を抑制することが可能となり、耐荷重性能が高く軽量なエレベータかご100を提供することができる。
次に、図8を用いて、かご壁2を構成する部品の材料をFRPとした場合の繊維の配向方向の一例について説明する。図8は本発明を実施するための形態1に係るエレベータかご100のかご壁2の繊維の配向方向を示す正面図及び側面図である。図8(a)はかご壁2の正面図であり、図8(b)はかご壁2の側面図である。繊維の配向方向は矢印で示されている。
図8には座標軸が示されている。かご壁2はxz面に平行に図示されている。柱12はz軸に平行、上梁6及び下梁7はx軸に平行に図示されている。壁面パネル11にはFRPを材料とするパネル材が用いられている。図8(a)に示すように、壁面パネル11は、4方向の配向方向を有する多軸積層板である。
4方向とは、縦軸方向(z軸方向)、横軸方向(x軸方向)、第一の斜め方向及び第二の斜め方向である。第一の斜め方向及び第二の斜め方向はxz面と平行であり、縦軸方向に対して傾き角θだけ傾いている。傾き角θは90度より小さく0度より大きい角度であり、30度から60度の範囲が好適である。傾き角θを45度とすればさらに好適である。
パネル材の配向方向をこのように構成することによって、強度及び剛性が力の作用する方向に大きく依存しないパネル材を得ることができる。
さらに、例えば、単一の配向方向で構成される部分を2n層(nは1以上の整数)ずつ設け、パネル材全体を合計8n層の積層構造とする。そして、パネル材の面(図8(a)のxz面)に平行な対称面を設け、この対称面に関して積層構造が対称となるようにパネル材を構成することができる。
このような積層構造とすれば、z軸方向の特性とx軸方向の特性の差異に起因して発生する変形(反り)の量が小さい壁面パネル11を得ることができる。ここで、特性とは、膨張率、剛性等である。
ここで、図8には、FRPのみで構成される壁面パネル11を示したが、例えば、FRPと金属、セラミックス、樹脂等を組み合わせた複合材としてもよい。次に、柱12、上梁6及び下梁7は、長手方向に作用する力に対して、高い強度及び剛性を持つことが望ましい。
図8(a)及び図8(b)に示すように、上梁6、下梁7及び柱12に、繊維がパイプ軸方向に配向された材料である一方向材を用いることができる。ここで、パイプ軸方向とは、柱12のパイプ穴の貫通方向と平行な方向であり長手方向である。柱12等に用いる一方向材のパイプ材は、引抜成形法によって製造してもよい。
また、上梁6、下梁7及び柱12に、繊維がパイプ軸方向に配向されたFRPと金属、セラミックス、樹脂等の複合材を用いてもよい。引抜成形法は、長手方向に繊維が配向した同一断面の長尺部材の成形に適した製造方法であり、同一断面の長尺部材を効率的に製造することができる。
上述のような繊維配向方向を有するパネル材で形成された壁面パネル11とパイプ材で形成された上梁6、下梁7及び柱12とを組み合わせることで、x軸方向の力とz軸方向の力の両方に対して、強度、剛性等の特性が近いかご壁2を得ることができる。また、耐荷重性能の高いかご壁2を得ることができる。
以上のように、図8に示す柱12は繊維強化プラスチックを含み、柱12に含まれる繊維強化プラスチックの繊維の配向方向が、柱12の長手方向に平行である。また、図8に示すかご壁2を使用したエレベータかご100の壁面パネル11は、繊維の配向方向が壁面パネル11に平行な繊維強化プラスチックを含む。さらに、上梁及び下梁が繊維強化プラスチックを含み、上梁及び下梁に含まれる繊維強化プラスチックの繊維の配向方向が、上梁及び下梁の長手方向に平行である。
さらに、繊維の配向方向は、以下の4方向で構成される。4方向とは、かご床3に垂直な方向である縦方向、かご床3に平行な方向である横方向、縦方向に対して90度以下の角度である傾き角だけ傾いた第一の斜め方向及び縦方向に対して傾き角だけ第一の斜め方向と逆側に傾いた第二の斜め方向である。
この実施するための形態のエレベータかご100においては、支持点となる頂点部24が、平面視でかご床3の3箇所以上に設けられ、積載荷重及びエレベータかご100の自重が3以上の支持部材4に分配される。そのため、支持部材4及び支持部材4とかご床3の間の連結部分の補強による重量の増加を抑制できる。
また、支持部材4によってエレベータかご100の下部にあるかご床3を支持したため、部材間の締結部分のうち、荷重が作用する部分、すなわち荷重に耐えるための補強が必要な部分を減らすことができる。
また、かご床3の上にある凸多角形の頂点を構成する頂点部24でかご床3を支持したため、頂点部24を頂点とする凸多角形の内部に積載物の重心位置を保つことが可能となり、偏心荷重に起因する曲げモーメントが低減される。そのため、柱12の補強による重量の増加を抑制することができる。
また、この実施するための形態によれば、柱12によって支持部材4がガイドされる。そのため、支持部材4のガイド部材を別途設ける必要がなく、耐荷重性能が高く軽量なエレベータかご100を提供することができる。
また、平面視で支持部材固定位置25を頂点部24が頂点を構成する凸多角形の内部に設けた場合、かご壁2に互いに押し付けられる向きに力が働き、かご壁2の間の締結部分の補強による重量の増加を抑制できる。
以上述べた内容により、この実施するための形態によれば、従来の構造に対して、補強部材、追加部材等による重量の増加を抑制し、かつエレベータかご100本体及び積載物の重量、偏荷重等に耐えることが可能なエレベータかごを提供することができる。
以上のように、この実施するための形態において説明した発明によれば、耐荷重性能が高く、軽量なエレベータかご100を提供することができる。
実施するための形態2.
実施するための形態2に係るエレベータかご100aは、実施するための形態1のかご壁2に代えてサンドイッチ構造のかご壁2aを備える。かご壁2aは、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間にコア材16が配置された構造を有している。図9は本発明を実施するための形態2のかご壁2aを示す三面図である。
図10は、本発明を実施するための形態2に係るエレベータかご100aのかご壁2aの断面図である。図10は、図9のCC面による断面図である。実施するための形態2のかご壁2aは、実施するための形態1のかご壁2に対してさらに、第二の壁面パネル11−2を備える。実施するための形態2では、実施するための形態1に記載の壁面パネル11を第一の壁面パネル11−1とよぶ。
かご壁2に代えてかご壁2aが用いられている点を除き、実施するための形態2のエレベータかご100aは、実施するための形態1のエレベータかご100と同じである。実施するための形態2において、実施するための形態1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第二の壁面パネル11−2は長方形の形状を有し、2つの辺がかご床3に垂直である。図9、図10に示すように、上梁6、下梁7及び柱12は、実施するための形態1の図5と同様に、第一の壁面パネル11−1の一方の面に接合されている。上梁6、下梁7及び柱12は、第二の壁面パネル11−2の一方の面にも接合されている。
2本の柱12は、第二の壁面パネル11−2に対し、かご床3に垂直な2つの辺にそって接合されている。さらに、第二の壁面パネル11−2の2本の柱12が接合された面に、上梁6及び下梁7が接合されている。上梁6及び下梁7は、第二の壁面パネル11−2のかご床3に平行な下側の辺及び上側の辺にそって接合されている。
第二の壁面パネル11−2は、上梁6、下梁7及び柱12に対して、第一の壁面パネル11−1が接合された側の反対の側に接合され、上梁6、下梁7及び柱12は、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2の間にはさまれている。
さらに、図10に示すように、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間にコア材16が配置され、コア材16は、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2に接合されている。コア材16は長方形の形状を有する。
コア材16をさらに、上梁6、下梁7、及び柱12に接合してかご壁2aを補強してもよい。かご壁2aは第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2を表皮材とするサンドイッチ構造となっている。
製造、設置、設計が容易であるため、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2はかご壁2aに垂直な面内において同一の形状を有することが望ましいが、同一の形状に限定されるものではない。また、形状は製造が容易な長方形が好適であるが、長方形以外の形状とすることもできる。
長方形以外の形状とした場合、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2をかご床3に垂直としてもよい。そして、隣り合う頂点部24に配置された2本の柱12を第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2に接合してもよい。
上梁6、下梁7、柱12及びコア材16の、かご壁2aに垂直な方向のサイズを同じとし、構成部品の間の隙間が小さくなるように接合することによって、かご壁2aの強度を高めてもよい。
第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2を長方形以外の形状とした場合、かご床3に平行な上梁6及び下梁7を第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2に接合してもよい。
次にかご壁2aの部品の材料について説明する。かご壁2aに作用する荷重は、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2の両方に均等に作用するのが好適である。そのため、コア材16が一定の剛性を有することが好適である。
また、コア材16として、第一の壁面パネル11−1又は第二の壁面パネル11−2の一方に作用する荷重を他方に伝達できる材質及び構造を選択するのが好適である。例えば、アルミ、紙などを原料とするハニカム材、発泡性樹脂を原料とするフォーム材を用いることができる。
実施するための形態1と同様に、上梁6及び下梁7を省いた構造とすることもできる。また、コア材16は、必ずしも長方形の形状とする必要はなく、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2に接合され、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間に配置されていればよい。
また、上梁6、下梁7及び柱12に加えて、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間に補強材を設けることもできる。例えば、長方形の第一の壁面パネル11−1の対角線にそって補強材を設け、上梁6、下梁7、柱12及び補強材の間の空間を埋めるようにコア材16を設けてもよい。かご壁2aに平行な面内におけるコア材16の形状を三角形としてもよい。
以上述べたように、この実施するための形態に説明したエレベータかご100aは、かご床3に垂直な第二の壁面パネル11−2をさらに備え、第一の壁面パネル11−1に接合された二本の柱12が第二の壁面パネル11−2の一方の面に接合されている。
この実施するための形態に説明したエレベータかご100aは、コア材16をさらに備え、コア材16は、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間に配置され、第一の壁面パネル11−1及び第二の壁面パネル11−2の両方に接合されている。
以上述べた内容により、この実施するための形態によれば、従来の構造に対して、補強部材、追加部材等による重量の増加を抑制し、かつエレベータかご100a本体及び積載物の重量、偏荷重等に耐えることが可能なエレベータかごを提供することができる。
この実施するための形態に説明した発明によれば、耐荷重性能が高く、軽量なエレベータかご100aを提供することができる。さらに、かご壁2aを、第一の壁面パネル11−1と第二の壁面パネル11−2の間にコア材16を設けたサンドイッチ構造としたため、強度及び剛性の高いかご壁2a及びエレベータかご100aを提供することができる。
実施するための形態3.
実施するための形態3に係るエレベータかご100bは、実施するための形態1に係るエレベータかご100の構成に加えて、かご床3の下面と支持板10の間に配置された弾性部材17を備える。図11は、本発明を実施するための形態3に係るエレベータかご100bの正面図及び底面図である。
図12は、本発明を実施するための形態3に係るエレベータかご100bの一部を拡大した図である。図12は、図11のD部の拡大図である。実施するための形態3に係るエレベータかご100bは、ロープ連結部品1、かご壁2、かご床3、支持部材4及び正面部品19を備える。
そして、支持部材4の一端はロープ連結部品1に接続され、他端はかご床3に接続されている。実施するための形態3に係るエレベータかご100bは、実施するための形態1に係るエレベータかご100の構成に加えて、かご床3の下面と支持板10の間に挿入された弾性部材17を備える。
図12の弾性部材17は防振ゴムである。弾性部材17が配置されている点を除き、実施するための形態3のエレベータかご100bは、実施するための形態1のエレベータかご100と同じである。実施するための形態3の説明において、実施するための形態1と同じ部品については同じ符号を付し詳細な説明を省略する。
以下に、図12を参照して、支持部材4とかご床3の接続部分について説明する。支持部材4は、柱12のパイプ穴、かご床3のかご床貫通穴14、支持板貫通穴15及び弾性部材17の貫通穴を貫通している。実施するための形態1の図6と同様に、締結部8のねじ山に締結部材9が締結されている。
締結部8の最大径は、弾性部材17の貫通穴の最小径よりも小さい。支持部材4からかご床3への力は、弾性部材17を介してかご床3へ加えられる。支持部材4からかご床3へ伝わる振動が弾性部材17によって吸収され、エレベータかご100bの振動が低減される。
例えば、弾性部材17として、防振ゴムに代えて板ばね、圧縮ばね、ゴム以外の樹脂材料を使用してもよい。また、上記の材料を組み合わせて使用することもできる。また、弾性部材17の位置は、締結部材9とかご床3の間であれば、支持板10の上でも下でもよい。また、支持板10を省くこともできる。
以上述べた内容により、この実施するための形態によれば、従来の構造に対して、補強部材、追加部材等による重量の増加を抑制し、かつエレベータかご100b本体及び積載物の重量、偏荷重等に耐えることが可能なエレベータかごを提供することができる。
以上のように、この実施するための形態に説明した発明によれば、耐荷重性能が高く、軽量なエレベータかご100bを提供することができる。さらに、支持部材4とかご床3の間に弾性部材17を配置し、支持部材4からかご床3に伝達される振動を吸収する構造としたため、エレベータかご100bの乗り心地をより良くすることができる。
以上に説明した実施するための形態は、適宜組み合わせて使用することができる。
実施するための形態4.
実施するための形態4に係るエレベータかご100cは、実施するための形態1に係るエレベータかご100の構成に加えて、かご壁2の上部にかご天井300をさらに備える。図13は、本発明を実施するための形態4に係るエレベータかご100cの正面図及び上面図である。図14は、本発明を実施するための形態4に係るかご天井300の正面図及び上面図である。図15は、かご天井300の一部を拡大した図である。つまり、図15は、図14のかご天井300の頂点部であるE部を拡大した斜視図である。実施するための形態4に係るかご天井300は、第一の天井パネル301及び天井梁302から構成されている。
第一の天井パネル301は、かご床3と同一の凸多角形の形状である。天井梁302は、第一の天井パネル301を構成する凸多角形の各辺に沿って配置され、第一の天井パネル301の上面に接合されている。天井梁302としては、パイプ材、Lアングル材、C形材、I形材等を使用することができる。
図14及び図15において、第一の天井パネル301は、頂点部の角をとった形状となっている。これにより、支持部材4がかご天井300を貫通することができる。第一の天井パネル301の頂点部で、必ずしも角を全てとる必要はなく、例えば支持部材4が貫通するのに十分な大きさの穴を空けてもよい。
第一の天井パネル301及び天井梁302の材料は、第1の天井パネル301の上面に直接作用する荷重(例えば据え付け作業者の体重など)に耐え得る材質であればよく、特に限定されない。第一の天井パネル301の材料は鉄、アルミ等の金属でもよい。また、炭素繊維、ガラス繊維等の繊維で強化されたFRPでもよい。また、金属、炭素繊維及びガラス繊維を含む複合材でもよい。軽量化の観点から、第一の天井パネル301及び天井梁302の材料は、FRPが特に好適である。第一の天井パネル301及び天井梁302の材料は、FRPの場合は、繊維の配向方向は第一の天井パネルに平行であり、さらに前記第一の天井パネルの材料特性は、前記第一の天井パネルの面内方向について等方的である。天井梁302の材料がFRPの場合は、天井梁302に含まれるFRPの繊維の配向方向が、天井梁302の長手方向に平行である。さらに、かご天井300は、上梁6と一体に締結されている。締結方法は、例えばボルト・ナット締結によるものであるが、特に限定されない。
実施するための形態1に係るエレベータかご100の構成の場合、支持部材4を介して上梁6に圧縮荷重が作用する。積載荷重が大きくなると、これに比例して圧縮荷重も大きくなり、上梁6が座屈破壊する危険性が高くなる。
上梁6の座屈破壊を防止するには、第1の方法としては上梁6自体の太さを太くする方法が考えられる。しかし、上梁6の寸法の上限値は他の部材や昇降路の寸法との関係で決められるため、座屈破壊のみを基準として寸法を決定することはできない。また、上梁6を太くすることで重量増となり、軽量化効果が低減してしまう、という課題がある。
実施するための形態4に係るエレベータかご100cでは、かご天井300と上梁6が一体に締結されている。このような構成とすることで、かご天井300が上梁6に対してガセットの機能を担い、上梁6の座屈破壊を防止することができる。さらに、天井梁302がFRPを含み、天井梁302に含まれるFRPの繊維の配向方向が、天井梁302の長手方向に平行である構成とすることで、繊維が座屈荷重を支え、構造全体を補強することができる。
実施するための形態5.
実施するための形態5に係るエレベータかごは、実施の形態4と同様にかご天井300を備えており、かご天井300は、実施するための形態4に係るかご天井300にさらに加えて、隣り合う天井梁302の間にガセット部品303を備える。図16は、実施するための形態5に係るかご天井300の頂点部を拡大した斜視図である。また、図17は、図16とは異なる形状のガセット部品303を備える実施するための形態5に係るかご天井300の頂点部を拡大した斜視図である。図16は、実施するための形態4における図15に相当する。
実施するための形態5に係るガセット部品303は、第一の天井パネル301及び隣り合う2本の天井梁302と接合されている。このような構成とすることで、ガセット部品303が第1の天井パネル301が担うガセットの機能を補強し、第一の天井パネル301及び天井梁302に作用する荷重を相互に伝達することができる。これにより、第1の天井パネル301の厚みを第一の天井パネル301の上面に直接作用する荷重(例えば据え付け作業者の体重など)に耐え得る最低限の厚みとすることができ、過度に第一の天井パネル301の厚みを厚くすることなく、上梁6の座屈破壊を防止することができる。
図16に示すガセット部品303は、内部が中空の三角形状であるが、第一の天井パネル301及び隣り合う2本の天井梁302に接合可能で、第1の天井パネル301及び天井梁302に作用する荷重を相互に伝達可能な形状であれば良く、特に三角形状に限定されない。ガセット部品303の形状は、例えば四角形以上の多角形状でも良く、また図17に示すように、天井梁302と同一断面の棒材を連結部品304で接合した形状でも良い。ガセット部品303の内部は、軽量化の観点から中空とすることが望ましい。
実施するための形態6.
実施するための形態6に係るかご天井300は、実施するための形態4に係るかご天井300にさらに加えて、コア材305及び第二の天井パネル306を備える。図18は、実施するための形態6に係るかご天井300の正面図、上面図及び断面図である。図19は、実施するための形態6に係るかご天井300の頂点部を拡大した斜視図である。図19は、実施するための形態4における図15に相当する。
実施するための形態6に係るコア材305は、第一の天井パネル301と接合され、望ましくは全ての天井梁302と接合されている。また、実施するための形態6に係る第二の天井パネル306は、全ての天井梁302及びコア材305と接合されている。コア材305として、第一の天井パネル301または第二の天井パネル306の一方に作用する荷重を他方に伝達できる材質及び構造を選択するのが好適である。例えば、アルミ、紙などを原料とするハニカム材、発泡性樹脂を原料とするフォーム材を用いることができる。
このような構成とすることで、かご天井300は第一の天井パネル301及び第二の天井パネル306を表皮材とするサンドイッチ構造となり、かご天井300としての剛性を向上することができる。