以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態の遠隔監視システムでは、設備の稼働状態を遠隔地で監視し、定期的または異常が発生した場合に保守サービスを提供する。本実施形態の遠隔監視システムでは、提供する保守サービス毎に評価項目を定め、評価項目毎に提供する品質レベルの目標値を、SLA(Service Level Agreement)契約として予め定めておく。そして、提供した保守サービスについて、各評価項目の品質レベルの実績値が目標値に満たない場合、その原因を特定するとともに、その改善策を提示する。
以下、本実施形態では、保守対象設備をエレベーターとし、提供する保守サービスを、異常発生時の復旧サービスとし、評価項目を、保守サービスを完了させるために必要な作業(イベント)時間とする場合を例にあげて説明する。具体的には、通報時間、出動時間、救出時間、復旧時間等である。品質レベルは、各評価項目の所要時間で評価される。
すなわち、本実施形態では、SLA契約において、結果を示す指標であるKGI(Key Goal Indicator)を、異常発生から保守サービスを完了するまでの全所要時間とし、過程を見る指標であるKPI(Key Performance Indicator)を、イベント毎の所要時間とする。
[遠隔監視システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る遠隔監視システム101の全体構成例を示す図である。本実施形態の遠隔監視システム101は、遠隔監視装置100と、SLA(Service Level Agreement)管理装置200と、保守拠点システム300と、エレベーター400a〜400cと、を備える。
また、エレベーター400a〜400cは、顧客施設(ビル)内に設置され、それぞれ、制御装置420、監視装置410を備える。
制御装置420は、エレベーター400の運行を制御する。例えば、乗りかごを昇降させたり、扉の開閉を制御したりする。また、運行以外にも、図示しない電磁接触器、停電灯、各種ランプなどの種々のエレベーター400が備える機器の制御も行う。
監視装置410は、制御装置420からエレベーター400の制御情報や稼働情報を読み出して監視し、エレベーター400の異常の有無を検出する。異常を検出した場合は、異常情報を生成し、広域回線網等のネットワーク510を介して遠隔監視装置100に異常情報を送信する。
監視装置410が生成して遠隔監視装置100に送信する異常情報440のデータ構成の一例を図2(a)に示す。本図に示すように、本実施形態の異常情報440は、異常が発生したエレベーター400を特定するための情報であるエレベーターID441と、異常内容を示す情報である異常内容442と、異常が検出された日時を示す情報である異常検出日時443と、を含む。
なお、本実施形態では、エレベーター400a〜400cのそれぞれが、制御装置420および監視装置410を備える構成としているが、これら各エレベーター400a〜400cを統括的に管理、監視する1台の制御装置420、1台の監視装置410を有する構成としてもよい。また、エレベーター400a〜400cは、特に区別する必要がない場合は、エレベーター400で代表する。また、エレベーター400を構成する主ロープ、釣合い錘、乗りかご、巻上機などについては、従前の構成と同様であるため、説明を省略する。
遠隔監視装置100は、管理センタ等の遠隔地においてエレベーター400を監視する。例えば、エレベーター400から異常情報440を受信した場合、当該エレベーター400の保守を担当する保守拠点システム300の保守拠点装置310に出動を要請する情報(出動要請)を送信する。また、本実施形態では、出動要請に応じて出動して行った保守サービスが契約通りになされたか否かを監視する。遠隔監視装置100の機能の詳細は、後述する。
本実施形態の出動要請190のデータ構成の一例を図2(b)に示す。本図に示すように、本実施形態の出動要請190には、異常情報440のエレベーターID441と、異常内容442と、異常検出日時443と、にそれぞれ対応するエレベーターID191、異常内容192、異常検出日時193、が含まれる。さらに、異常が発生したエレベーター400が配置されているビルを特定する情報であるビルID194が含まれていてもよい。
SLA管理装置200は、顧客毎に契約したSLAを管理する。SLA管理装置200が管理するSLAの詳細は、後述する。
保守拠点システム300は、エレベーター400の保守を行う各拠点に配置され、それぞれ、保守拠点装置310および保守端末320を備える。なお、図1では、保守拠点システム300が1つである場合を例示しているが、保守拠点システム300は、複数であってもよい。
保守拠点装置310は、遠隔監視装置100から出動要請190を受け付けると、保守作業員に出動を促す出力を行う。保守拠点装置310は、例えば、出動要請190に含まれる情報を、出力デバイスである表示装置に表示させる。保守拠点装置310と遠隔監視装置100とは、例えば、社内LAN等のネットワーク520を介して接続される。
保守端末320は、保守作業員により携帯される、通信機能を備える携帯型情報処理装置である。本実施形態では、例えば、ネットワーク510を介して遠隔監視装置100に接続され、遠隔監視装置100が保持する各種の情報の参照や登録を行う。
保守端末320は、遠隔監視装置100にアクセスし、情報を参照したり登録したりするための、例えば、Webブラウザ等が導入されていてもよい。なお、本実施形態では、保守端末320から遠隔監視装置100にアクセスし、直接情報を登録するよう構成しているが、例えば、登録する情報を、通信データとして、遠隔監視装置100に送信するよう構成してもよい。
[遠隔監視装置およびSLA管理装置の機能ブロック]
図3は、本実施形態の遠隔監視装置100と、SLA管理装置200との機能ブロック図である。
[遠隔監視装置]
本図に示すように、本実施形態の遠隔監視装置100は、通信部121と、データベース(DB)アクセス制御部122と、契約順守支援部123と、登録支援部124と、を備える。契約順守支援部123は、実績値生成部131と、監視部132と、原因特定部133と、提示部134と、を備える。
また、遠隔監視装置100は、マスタDB170と、実績DB140と、改善策DB150と、作業登録DB160と、を備える。
通信部121は、ネットワーク510を介して監視装置410および保守端末320との通信を行う。また、ネットワーク520を介して、保守拠点装置310との通信を行う。
DBアクセス制御部122は、遠隔監視装置100に保持される各種DBを操作する。DBアクセス制御部122は、各DBに対し、例えば、規定のSQL文を発行し、データの検索、更新、レコードの登録や削除を行う。
登録支援部124は、保守端末320および保守拠点装置310が、遠隔監視装置100が管理するデータを閲覧したり、遠隔監視装置100にデータを登録したりすることを支援する。本実施形態では、保守端末320が、後述する作業登録DB160に、イベント毎の完了日時を登録することを支援する。
登録支援部124は、例えば、Webサーバの機能を有するユニットであってもよい。この場合、登録支援部124は、保守端末320に導入されているWebブラウザからの要求に従い、完了日時を登録する登録画面等をHTML(HyperText Markup Language)などのマークアップ言語を用いて生成する。また、登録支援部124は、保守端末320および保守拠点装置310で動作する、画面制御用のスクリプトを生成する。画面やスクリプトは、遠隔監視装置100が保持する各種のDBからデータを取得して生成される。
実績値生成部131は、異常情報440に応じて保守作業員が提供した保守サービスについて、イベント毎に、その所要時間の実績値を登録する。
本実施形態では、実績値生成部131は、監視装置410から異常情報440を受信すると、当該異常情報440の発信元のエレベーター400の保守を担当する保守拠点システム300の保守拠点装置310に出動要請190を出力する。また、作業登録DB160および実績DB140に、当該異常情報440に対応する新たなレコードを生成する。そして、保守端末320を介して作業登録DB160に登録されたデータを用いて、実績DB140のレコードを完成させる。実績値生成部131の機能、動作については、後述のフローチャートに従って説明する。
監視部132は、異常が発生した際、その異常への対処が、サービス契約を満たしたものであるか否かを監視する。
本実施形態では、異常情報440を受信すると、経過時間のカウントを開始する。そして、経過時間が、サービス契約で規定した時間を超えたか否かを判定し、超えている場合、遅延が発生していると判定する。
遅延が発生している場合、監視部132は、通信部121を介して保守拠点装置310および保守端末320に警告を出力する。警告を出力する保守拠点装置310は、その異常の発生したエレベーター400の保守を担当する装置である。また、警告を出力する保守端末320は、実際に保守作業を行っている保守作業員が保持する端末である。監視部132による、監視処理および改善策提案処理の詳細は、後述する。
原因特定部133は、提供した保守サービスに遅延が発生している場合、その原因を特定する。本実施形態では、原因特定部133は、遅延が発生した場合、各イベントの所要時間を参照し、いずれのイベントへの対処に、遅延の原因があるかを突き止める。
提示部134は、原因特定部133が特定した原因(遅延原因)を、その改善策とともに、保守を担当した保守拠点装置310および保守端末320に出力する。本実施形態では、改善策は、イベント毎に改善策が格納されている改善策DB150から抽出する。
なお、遅延原因および改善策は、提示部134によらず、登録支援部124のWebサーバ機能により、保守拠点装置310および保守端末320に表示させてもよい。また、提示部134は、遅延原因および改善策を、さらに、遠隔監視装置100のユーザに提示してもよい。
マスタDB170は、本実施形態の遠隔監視装置100による遠隔監視に必要な各種のマスタデータを管理する。本実施形態では、顧客マスタテーブル171と、保守拠点マスタテーブル172と、保守端末マスタテーブル173等が管理される。
顧客マスタテーブル171は、顧客毎のエレベーター400を管理する。顧客マスタテーブル171で管理される各レコードのデータ構成を図4(a)に示す。本図に示すように、顧客マスタテーブル171では、顧客を一意に識別するための顧客ID171aと、ビルを一意に識別するためのビルID171bと、エレベーターを一意に識別するためのエレベーターID171cとの各情報が、1つのレコードに対応づけて記憶される。
保守拠点マスタテーブル172は、保守拠点システム300毎の保守を担当するエレベーター400または顧客を管理する。保守拠点マスタテーブル172で管理される各レコードのデータ構成を図4(b)に示す。本図に示すように、保守拠点マスタテーブル172では、保守拠点装置310を一意に識別する識別情報である保守拠点ID172aと、ビルID172bと、エレベーターID172cとが、1つのレコードに対応づけて管理される。
保守端末マスタテーブル173は、保守拠点システム300が管理する1台以上の保守端末320を管理する。保守端末マスタテーブル173で管理される各レコードのデータ構成を図4(c)に示す。本図に示すように、保守端末マスタテーブル173では、保守拠点ID173aと、保守端末を一意に識別する識別情報である保守端末ID173bとが、1つのレコードに対応づけて管理される。
改善策DB150には、イベント毎の改善策が管理される。改善策DB150は、図4(d)に示すように、イベント151毎に、改善策152が1つのレコードに対応づけて管理される。なお、イベント毎の改善策は、複数登録されていてもよい。
本実施形態では、例えば、通報時間に対する改善策として、「通信手段変更」が登録されている。これは、例えば、無線通信を使用して監視している場合、より通信速度の速い有線通信に変更するといった改善策である。また、出動時間に対する改善策として、「出動経路見直しおよび発生時間に応じて複数の出動経路を用意」が登録されている。これは、周辺環境や出動ルートの交通事情について再確認を促したりする改善策である。そして、救出時間および復旧時間に対する改善策として「要員増」が登録されている。これは、保守作業員の追加の提案である。
作業登録DB160は、保守端末320からサービス提供情報として送信される、保守サービスの各イベントの完了日時が蓄積される。
作業登録DB160には、異常情報440毎に、実績値生成部131により、1つのレコードが生成されて登録される。各レコードには、図5(a)に示すように、異常情報440から得たエレベーターID161、異常内容162および異常検出日時163と、保守端末ID164、到着日時165、救出完了日時166、および復旧完了日時167とが登録される。
保守端末ID164は、保守サービスを担当する保守作業員が保持する保守端末320を一意に識別する情報である。保守端末ID164は、例えば、最初に保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスした際、登録される。
到着日時165、救出完了日時166、および復旧完了日時167は、それぞれ、保守作業員がこれらのイベント(作業)を完了した際、保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスし、登録する。例えば、保守作業員は、遠隔監視装置100にアクセスし、自身の保守端末ID164が登録されているレコードで、これらの情報が未登録のレコードを抽出し、登録する。
実績DB140には、異常情報440で通知された異常に対する保守サービスの、評価項目毎の品質レベルの実績値が蓄積される。本実施形態では、保守サービスのイベント毎の所要時間の実績値が登録される。
実績DB140には、異常情報440毎に、実績値生成部131により、1つのレコードが生成されて登録される。各レコードには、図5(b)に示すように、エレベーターID141と、異常内容142と、異常検出日時143と、保守端末ID144と、通報時間実績値145と、出動時間実績値146と、救出時間実績値147と、復旧時間実績値148と、警告フラグ149と、が登録される。
エレベーターID141は、異常が発生したエレベーター400を特定する情報である。エレベーターID141と、異常内容142と、異常検出日時143とには、遠隔監視装置100が受信した異常情報440に含まれる同名の情報がそのまま登録される。通報時間実績値145は、通報時間の実績値である。異常検出日時143と、異常情報440の受信時刻とに基づいて算出され、登録される。
出動時間実績値146と、救出時間実績値147と、復旧時間実績値148とは、それぞれ、出動時間、救出時間、復旧時間の、実績値である。それぞれ、作業登録DB160を参照し、必要に応じて演算を行い、得られた値が登録される。
なお、保守端末ID144は、送信元の保守端末320のIDである。また、警告フラグ149は、警告がなされた場合に、監視部132により登録される。
[SLA管理装置]
SLA管理装置200は、図3に示すように、通信部221と、DBアクセス制御部222と、サービス契約管理部223と、SLADB230と、を備える。
通信部221およびDBアクセス制御部222は、遠隔監視装置100の同名の構成と同様の機能を備える。ただし、本実施形態では、通信部221は、遠隔監視装置100の通信部121とデータの送受信を行う。
サービス契約管理部223は、顧客と結んだ保守サービス契約(SLA)を管理する。本実施形態では、SLA契約内容を、DBアクセス制御部222を介してSLADB230に登録して管理する。
SLADB230には、顧客毎の契約内容が蓄積される。本実施形態では、エレベーター400毎に、異常内容に応じて提供する保守サービスが登録される。また、保守サービスを構成するイベント毎に、最大許容時間が目標値として登録される。さらに、提供された保守サービスが目標値を満たさなかった場合のペナルティが登録される。ペナルティは、例えば、達成度に応じた費用が登録される。
SLADB230で管理されるレコード例を図6に示す。本図に示すように、各レコードは、エレベーターID231と、異常内容232と、保守サービス233と、その保守サービス全体の最大許容時間である規定時間目標値234と、各イベントの最大許容時間(目標値)と、ペナルティ239と、を備える。本実施形態では、各イベントの目標値として、通報時間目標値235と、出動時間目標値236と、救出時間目標値237と、復旧時間目標値238とが格納される。なお、規定時間目標値234は、本実施形態では、他のイベントの目標値の合計である。各データは、契約に基づいて、登録される。
本図に示すように、エレベーターID231が「12345678」のエレベーター400においては、異常内容232が閉じ込めの場合、提供する保守サービス233は、救出である。通報時間目標値235は1分、出動時間目標値236は20分、救出時間目標値237は10分、復旧時間目標値238は30分、ペナルティ239には、1分の遅延当たり、100円が格納される。
なお、異常内容232が、起動不能および安全操作動作の場合は、提供する保守サービス233は、復旧であり、救出作業がないため、救出時間目標値237は0分が格納される。
[ハードウェア構成]
図7に、本実施形態の遠隔監視装置100のハードウェア構成の一例を示す。本図に示すように、本実施形態の遠隔監視装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random access memory)112と、ROM(Read only memory)113と、ネットワークインタフェース(N/W I/F)114と、ハードディスク等の記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)115と、入力I/F116と、出力I/F117とを備える。
CPU111は、ROM113やHDD115に記憶されているプログラムを、RAM112に展開し、演算実行する処理装置である。CPU111は、プログラムを演算実行することで、遠隔監視装置100内部の各ハードウェアを統括的に制御する。RAM112は、揮発性メモリであり、CPU111が処理する際のワークメモリである。RAM112は、CPU111がプログラムを演算実行している間、必要なデータを一時的に記憶する。
ROM113は、不揮発性メモリであり、遠隔監視装置100の起動の際にCPU111で実行されるBIOS(Basic Input/Output System)や、ファームウェアを記憶している。
HDD115は、データを不揮発的に記憶する補助記憶装置である。HDD115は、CPU111が演算実行するプログラムや、制御データを記憶する。本実施形態では、通信部121、DBアクセス制御部122、契約順守支援部123の各部の機能を実現するプログラムやデータベースが事前に導入、構築されている。CPU111は、これらのプログラムをRAM112にロードして実行することにより、上記各機能を実現する。また、上記各DBは、HDD115またはROM113に記憶される。
ネットワークI/F114は、外部機器との間で行われるデータ通信の制御を担うインターフェイスボードである。
入力I/F116は、入力デバイス106との間で信号の入出力を制御するインターフェイスである。出力I/F117は、CPU111から指示を受けて、出力デバイス107に、例えば、画像を描画させる。
入力デバイス106は、例えば、キーボードやマウスなどであり、出力デバイス107は、例えば、平面モニターやディスプレイである。なお、入力デバイス106や出力デバイス107は、タッチパネルディスプレイで実現されてもよい。
本実施形態の監視装置410、保守拠点装置310、保守端末320、SLA管理装置200も基本的に同様のハードウェア構成を有する。
[実績値生成登録処理]
次に、本実施形態の実績値生成部131による、実績値生成登録処理の流れを説明する。図8は、本実施形態の実績値生成登録処理の処理フローである。ここでは、保守端末320による処理も併せて説明する。なお、本処理は、監視装置410から異常情報440を受信したことを契機に開始される。
以下、各処理フローの説明において、各種のDBへのアクセスは、DBアクセス制御部122を介して行われるが、ここでは、その説明を省略する。
以下、異常内容が閉じ込めである場合を例にあげて、処理の流れを説明する。この場合、保守サービスでは、エレベーター400の利用者が乗りかご内に閉じ込められているかを確認し、閉じ込められている場合は、利用者を乗りかごの外に救出した後で、故障復旧作業を行う。
実績値生成部131は、監視装置410から異常情報440を受信すると(ステップS1101)、異常情報440の送信元のエレベーター400の保守を担当する保守拠点システム300を特定する(ステップS1102)。
ここでは、異常情報440を解析し、異常情報440の送信元のエレベーター400のエレベーターID441を抽出する。そして、保守拠点マスタを参照し、保守拠点ID172aを抽出することにより、当該エレベーター400の保守を担当する保守拠点システム300の保守拠点装置310を特定する。
遠隔監視装置100の実績値生成部131は、特定した保守拠点システム300の保守拠点装置310に出動要請190を送信するとともに、実績DB140および作業登録DB160の新レコード(実績値レコード140rおよび作業レコード160r)をそれぞれ生成し、登録する(ステップS1103)。
なお、出動要請190を受信した保守拠点装置310は、受信した出動要請190を、例えば、表示装置に表示する。これを見て、保守作業員は、保守端末320を携帯して異常が発生したエレベーター400へ出動する。このとき、保守端末320は、保守拠点装置310から、出動要請190に含まれる情報を取得する。取得する情報は、具体的には、エレベーターID441、異常内容442、および、異常検出日時443である。
また、このとき、実績値生成部131は、実績値レコード140rおよび作業レコード160rに、異常情報440に格納されたエレベーターID441、異常内容442および異常検出日時443を、それぞれ、エレベーターID141、161、異常内容142、162、異常検出日時143、163として登録する。
実績値生成部131は、実際に通報に要した時間を算出し、実績DB140の実績値レコード140rの通報時間実績値145として登録する(ステップS1104)。ここでは、異常情報440を受信した日時から、異常情報440に格納される異常検出日時443を減算し、通報時間実績値145とする。
例えば、図5(b)の例では、異常情報440を2018年2月28日の18時01分に受信した場合、異常検出日時が同日の18時であるため、実通報時間は、1分と算出される。
保守作業員は、異常情報送信元のエレベーター400(以下、作業対象エレベーターと呼ぶ)に到着すると、保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスし、到着日時を登録する(ステップS1201)。本実施形態では、保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスし、作業登録DB160を呼びだす。そして、出動要請190に含まれるエレベーターID161、異常内容162および異常検出日時163に対応する作業レコード160rを特定し、当該作業レコード160rに、到着日時165を登録する。
なお、このとき、保守端末320の識別情報である保守端末ID164も併せて登録してもよい。なお、保守端末ID164は、保守端末320から遠隔監視装置100にアクセスした際、自動的に登録されるよう構成してもよい。
実績値生成部131は、保守端末320を介して、到着日時165が登録されると、実出動時間を算出し、実績DB140の該当する実績値レコード140rの出動時間実績値146に登録する(ステップS1105)。
ここでは、まず、到着日時165が登録された作業レコード160rのエレベーターID161、異常内容162および異常検出日時163に対応する情報が登録されている実績値レコード140rを特定する。そして、その実績値レコード140rの出動時間実績値146に、算出した出動時間実績値146を登録する。出動時間実績値146は、異常情報440を受信した日時から、到着日時165を減算した値とする。
図5(a)および図5(b)の例では、作業レコード160rに登録された到着日時165は、18時31分である。異常情報440を受信した日時は、18時01分であるため、出動時間実績値146は、30分と算出される。
なお、このとき、出動時間実績値146の算出および登録時に用いた作業レコード160rに登録されている保守端末ID164を、実績値レコード140rの保守端末ID144に登録してもよい。
保守作業員は、作業対象エレベーターにおいて、救出処理を完了すると、保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスし、作業登録DB160の、同じ保守端末ID164が登録されている作業レコード160rの救出完了日時166に救出が完了した日時を登録する(ステップS1202)。
実績値生成部131は、保守端末320を介して救出完了日時166が登録されると、実救出時間を算出し、実績DB140の該当する実績値レコード140rの救出時間実績値147に登録する(ステップS1106)。ここでは、作業レコード160rの到着日時165から救出完了日時166までの時間を、救出時間実績値147として算出する。そして、実出動時間算出時と同様の手法で実績値レコード140rを特定し、特定された実績値レコード140rに登録する。
図5(a)および図5(b)の例では、作業レコード160rに登録された救出完了日時166は、18時36分である。また、到着日時165は、18時31分である。従って、救出時間実績値147は、5分と算出される。
保守作業員は、作業対象エレベーターにおいて、復旧処理を完了すると、保守端末320を介して遠隔監視装置100にアクセスし、作業登録DB160の作業レコード160rの復旧完了日時167にその日時を登録する(ステップS1203)。
実績値生成部131は、保守端末320を介して復旧完了日時167が登録されると、実復旧時間を算出し、実績DB140の該当する実績値レコードの復旧時間実績値148に登録する(ステップS1107)。ここでは、救出完了日時166から復旧完了日時167までの時間を、復旧時間実績値148と算出する。そして、実出動時間算出時と同様の手法で実績値レコード140rを特定し、特定された実績値レコード140rに登録する。
図5(a)および図5(b)の例では、作業レコード160rに登録された復旧完了日時167は、19時26分である。また、救出完了日時166は、18時36分である。従って、復旧時間実績値148は、50分と算出される。
以上により、異常情報440を受信した際、当該異常に対する保守サービスの実績値が、実績値レコード140rとして実績DB140に登録される。
[監視処理]
次に、本実施形態の監視部132による監視処理の流れを説明する。図9は、本実施形態の監視処理のフローチャートである。
実績DB140を監視し、新たな実績値レコード140rが登録されると(ステップS1301)、監視部132は、まず、当該異常に対する保守サービスの契約内容を把握する。
具体的には、まず、新たに登録された実績値レコード140rのエレベーターID141、異常内容142および異常検出日時143を抽出する(ステップS1302)。
そして、抽出したエレベーターID141および異常内容142に、エレベーターID231および異常内容232が合致するSLAレコード230rを、SLADB230から取得する(ステップS1303)。
次に、目標規定時間までの残時間をカウントするタイマ(残時間タイマ)を作動させる(ステップS1304)。ここでは、現在時刻と異常検出日時143と規定時間目標値234とを用い、異常検出日時143に規定時間目標値234を加えた日時から現在時間を減算し、残時間の初期値を算出し、カウントを開始する。
残時間が0、すなわち残時間タイマが満了した場合(ステップS1305)、監視部132は、保守サービスが完了しているか否かを判別する。具体的には、監視部132は、再度実績DB140を参照し、ステップS1301で新たに登録された実績値レコード140rが完成しているか否かを判別する(ステップS1306)。ここでは、例えば、当該実績値レコード140rの復旧時間実績値148が登録されていれば、完成していると判別する。
登録されていれば、その保守サービスは、契約内容を満たしていると判断し、そのまま処理を終了する。
一方、登録されていない場合、まず、その保守サービスを提供した保守作業員の保守端末320と保守拠点とを特定する(ステップS1307)。ここでは、当該実績値レコード140rの保守端末ID144を抽出し、さらに、保守拠点マスタテーブル172を参照し、当該保守端末ID144を管理する保守拠点システム300の保守拠点装置310を特定する。
そして、特定した、保守端末320と保守拠点装置310とに、通信部121を介して警告を通知する(ステップS1308)。また、実績値レコード140rに警告フラグ149を設定し(ステップS1309)、処理を終了する。
[原因特定処理]
次に、原因特定部133および提示部134による、遅延原因を特定する原因特定処理の流れを説明する。図10は、本実施形態の原因特定処理の処理フローである。本処理は、実績値レコード140rが完成後、実行される。
原因特定部133は、実績値レコード140rが完成した場合、当該実績値レコード140rの保守サービスに対し、警告が出力されたか否かを判別する(ステップS1401)。ここでは、当該実績値レコード140rの警告フラグ149が設定されているか否かを判別する。
警告フラグ149が登録されていない場合は、警告がなされていないため、規定時間内にサービスを終えたため、遅延原因を特定する必要はなく、そのまま処理を終了する。
一方、警告フラグ149が登録されている場合、すなわち、警告が出力された場合、この保守サービスは、契約した規定時間目標値234内にサービスを終えることができなかったものである。従って、遅延原因を特定する必要がある。
原因特定部133は、まず、当該実績値レコード140rと、当該実績値レコード140rとエレベーターID141および異常内容142を同じくするSLAレコード230rとを抽出する(ステップS1402)。
そして、イベント毎に、登録されている所要時間(実績値と目標値)を比較し(ステップS1403)、実績値レコード140rの値の方が大きいイベントを原因として特定する(ステップS1404)。ここでは、実績値と目標値とを比較し、実績値が目標値を超えるイベントを遅延原因として特定する。具体的には、通報時間実績値145と通報時間目標値235とを、出動時間実績値146と出動時間目標値236とを、救出時間実績値147と救出時間目標値237とを、復旧時間実績値148と復旧時間目標値238とを、それぞれ、比較し、遅延原因を特定する。
原因特定部133は、遅延原因として特定されたイベントに対応づけて、改善策DB150に登録されている改善策を抽出し(ステップS1405)、提示部134が抽出された改善策を提示し(ステップS1406)、処理を終了する。
なお、提示部134による提示先は、前述のように、保守サービスを担当した保守拠点の保守端末320および保守拠点装置310である。このとき、原因および改善策は、遠隔監視装置100の出力デバイス107に出力されてもよい。
このとき、表示される原因改善策表示画面610の一例を図11(a)に示す。本図に示すように、原因改善策表示画面610は、異常が発生したエレベーター400を特定する情報と、異常内容、発生日時を特定する情報を表示する異常表示領域611と、遅延原因となった項目および考えられる改善策を表示する原因改善策表示領域612と、を備える。異常表示領域611には、遅延が発生した保守サービスの元となった異常情報440に含まれる情報が表示される。
ユーザは、異常表示領域611の表示を見て、どの異常情報440に対する保守サービスに遅延が発生したかを把握できる。また、原因改善策表示領域612を見ることにより、遅延発生の原因となる作業、および、今後の改善方針を知ることができる。
なお、原因特定処理は、監視処理中、ステップS1308の警告通知処理に続いて行われてもよい。この場合、ステップS1309およびステップS1401の処理はなくてもよい。
また、監視処理は行わなくてもよい。すなわち、本実施形態では、監視部132により、異常発生時からの経過時間を計測し、保守サービスの規定時間を超えた場合、警告を行い、遅延原因を特定しているが、これに限定されない。例えば、実績値生成部131が、イベント毎の実績値を算出する毎に、原因特定部133は、対応するイベントの目標値と実績値とを比較し、実績値が目標値を満たしていない場合、当該イベントを遅延原因と特定してもよい。なお、実績値と目標値との比較は、実績値レコード140rが完成後に行ってもよい。
また、SLA契約の評価項目が1つである場合、原因特定処理は行わなくてもよい。
また、遅延原因を特定後、改善策とともにユーザに提示しているが、遅延原因のみ提示するように構成してもよい。
このとき、改善策は、ユーザから受け付けるように構成してもよい。この場合、提示部134は、原因改善策表示画面610において、原因改善策表示領域612に遅延原因のみ表示し、改善策は、ユーザが入力可能とする。
以上説明したように、本実施形態では、提供する保守サービス毎に、各イベントの所要時間の目標値をSLADB230に管理するサービス契約管理部223と、保守サービスを提供する保守作業員が保持する保守端末320から送信される完了日時に基づいて、イベント毎の所要時間の実績値を生成して実績DB140に記憶する実績値生成部131と、各イベントについて目標値と実績値とを比較し、実績値が目標値を満足しない場合、そのイベントが遅延原因と特定する原因特定部133と、遅延原因をユーザに提示する提示部134と、を備える。
このため、本実施形態によれば、保守拠点等のユーザは、どのような異常に対する保守サービスで、SLA契約不順守、すなわち、遅延が発生したかを、原因となる作業(イベント)とともに、確実に把握できる。これにより、保守拠点等のユーザは、改善すべき作業を容易に把握できる。把握した作業を、SLA契約を満たすよう改善することにより、SLA契約の順守率を向上させることができ、その結果、ペナルティも低減できる。また、SLA契約の順守率が向上するため、顧客満足度も向上する。
さらに、遅延原因とともに、改善策が提示される場合、その改善策に従って保守サービスを改善することができる。
さらに、遅延が発生する保守サービスおよびその原因の把握を積み重ねることにより、現状の保守サービス体制におけるSLA契約条項の適否を判別できる。そして、不適切な契約であれば、SLA契約の契約条項を見直したり、保守サービスの体制を再構築したり対策を講じることができる。例えば、特定の設備において、SLA契約不順守が頻発する場合、そのSLA契約条項自体を見直したり、その設備への保守体制を強化したりすることができる。
これにより、より順守率の高い、適切なSLA契約の締結を支援できる。また、順守率が向上することにより、高い確度で顧客の期待に応じた保守サービスが提供でき、顧客満足度もさらに高まる。
また、保守サービス全体の所要時間が規定時間以内であっても、個々のイベントについて遅延の有無を判断するよう構成されている場合、保守サービス自体に遅延が発生していなくても、遅延が発生しがちなイベント(作業)を把握することができる。これにより、例えば、当該顧客との契約更改時や、他顧客との新規契約時に、SLAの各イベント(評価項目)の所要時間の配分を見直すためのデータを蓄積できる。
<変形例>
改善策とともに、改善策により増加するコスト(費用)も併せて登録するように構成してもよい。この場合、遠隔監視装置100は、図12に示すように、費用対効果算出部135を、さらに備えてもよい。費用対効果算出部135は、改善策により増加するコストと、低減するコストとから、総コストの変化額を、費用対効果として算出する。
例えば、遅延原因として、複数のイベントが特定された場合、それぞれのイベントに応じて改善策が考えられる。費用対効果算出部135は、改善策と、その追加費用が登録される毎に、その改善策による費用対効果を算出し、ユーザに提示する。
また、改善策DB150に、イベント毎に複数の改善策およびその改善策による追加コストが用意されている場合、費用対効果算出部135は、ユーザがその中から改善策を選択する毎に、その改善策による費用対効果を算出し、ユーザに提示するよう構成してもよい。
この場合に表示される原因改善策表示画面620の例を、図11(b)に示す。原因改善策表示画面620は、改善策入力領域621と、確認ボタン622と、対策前費用内訳表示領域623と、対策後費用内訳表示領域624と、効果表示領域625と、を備える。原因改善策表示画面620は、改善策の入力を受け付ける受付画面としても機能する。なお、原因改善策表示画面620も、原因改善策表示画面610と同様に、異常表示領域611を備えてもよい。
改善策入力領域621は、遅延原因とされたイベント毎に、改善策および追加費用の選択または入力を受け付ける領域である。本領域を介して、ユーザは、改善策および追加費用を選択または入力する。
確認ボタン622は、ユーザによる、改善策および追加費用の費用対効果算出指示を受け付ける。費用対効果算出部135は、確認ボタン622の押下を受け付けた際、改善策入力領域621に表示されている改善策および追加費用に基づき、後述する対策後費用内訳と、総ペナルティと、費用対効果とを算出する。
対策前費用内訳表示領域623は、改善策による対策を行う前、すなわち、現状のペナルティの内訳を表示する領域である。費用対効果算出部135は、遅延原因が特定された場合、遅延原因とされた各イベントの所要時間の実績値と目標値との差を算出し、ペナルティ239を参照し、内訳と総ペナルティ金額を算出し、内訳を、対策前費用内訳表示領域623に、例えば、グラフ化して表示する。
対策後費用内訳表示領域624は、確認ボタン622の押下により決定された改善策による、対策後のペナルティの内訳を表示する領域である。費用対効果算出部135は、上述のように、対策後費用内訳と、総ペナルティとを算出し、内訳を、対策後費用内訳表示領域624に、例えば、グラフ化して表示する。
効果表示領域625は、改善策による費用対効果を表示する領域である。費用対効果算出部135は、先に算出した対策後の総費用から対策前の総費用を減算し、その結果を効果表示領域625に表示する。
例えば、図11(b)の例では、通報時間、出動時間、救出時間、復旧時間、それぞれに遅延が発生している。そして、改善策として出動時間の遅延に対し、出動経路見直し、および、追加費用として、経路が延長することによる燃料費の追加分として300円が入力される。例えば、多少遠回りであっても、信号が少なく、制限速度が速い幹線道路を通る経路等に変更する例である。
対策前は、通報の遅延に起因するペナルティが150円、出動の遅延に起因するペナルティが900円、救出の遅延に起因するペナルティが100円、復旧の遅延に起因するペナルティが450円であり、総ペナルティは1600円である。
出動経路を見直すという改善策を講じた場合、出動に起因するペナルティは0円となり、一方、その他のイベントに起因するペナルティはそのまま維持される。出動の遅延に起因するペナルティ900円が0円になる代わりに、経路が延長することによる追加コスト300円が発生する。従って、対策後の総ペナルティは1000円である。
費用対効果は、対策後の総費用1000円から対策前の総費用1600円を減算して得られる−600円である。
なお、保守端末320または保守拠点装置310のユーザからの入力を受け付ける場合、提示部134は、原因改善策表示画面620を、HTMLなどのマークアップ言語を用いて生成し、これらの装置に導入されているWebブラウザからの要求に従って提供してもよい。
このように、遅延が発生した際、ユーザが改善策を入力可能とすることにより、個々の遅延に最適な改善策を得ることができる。特に、図11(b)に示す例のように、予め複数の改善策を用意しておき、ユーザがその中から、個々の保守サービスに最適な改善案を選択するように構成することにより、ユーザによる負担も低減できる。
また、本変形例のように、改善策による対策前と後との費用の内訳、費用対効果が一目でわかるような表示を行うことにより、ユーザは、その改善策の効果を容易に把握できる。
また、複数の改善案それぞれの対策後の総費用および/または費用内訳を、全て算出し、表示させるよう構成してもよい。
また、原因改善策表示画面620の出力先装置が、位置情報取得機能や地図情報を備えている場合、遅延原因として出動時間が特定された際、実際の出動経路を地図上に表示させるよう構成してもよい。これにより、ユーザは、直感的に保守作業員が選択した経路の適否を判別でき、よりよい改善策選択を支援できる。
また、上記実施形態および変形例では、提供された保守サービス毎に、遅延の有無を判別し、原因を特定したり、改善策を提示したり、費用対効果を算出したりしているが、これに限定されない。実績値レコード、遅延の有無および遅延原因を蓄積し、所定数集まった時点で、蓄積されたデータを解析するよう構成してもよい。
例えば、同じエレベーター400の保守サービスの複数の実績値レコードを、異常の発生時刻に応じて並べてユーザに表示してもよい。これにより、ユーザは、発生時刻に応じた所要時間の変化を把握でき、より適切な改善策を講じることができる。例えば、所定の時間帯で出動時間に遅延が発生している場合、当該時間帯に、現状の経路で渋滞が発生している等の判断ができる。従って、改善策として、所定の時間帯のみ、追加費用がかかっても、他の経路を採用する等を提供できる。
例えば、同じエレベーター400の保守サービスの複数の実績値レコードを、時系列に並べてユーザに表示してもよい。これにより、ユーザは、各イベントの所要時間の推移を一目で把握でき、将来の見通しを立てることもできる。例えば、所要時間が単調増加しているイベントが有る場合、現状では、目標値を満足している場合であっても、近い将来、目標値を満たさない事態が発生する可能性が高い。このような場合、例えば、契約の見直しを提案するなど、予防的な措置を講じることができる。
なお、上記実施形態等では、保守サービスの所要時間が規定時間目標値234を越えた場合に警告を行うよう構成しているが、これに限定されない。例えば、目標規定時間の、予め定めた時間前に、事前警告を行うよう構成してもよい。
また、上記実施形態等では、提供する品質レベルとして、保守サービスの各イベントの所要時間を用いているが、これに限定されない。例えば、エレベーター400等の設備の稼働率を用いてもよい。
また、上記実施形態および変形例では、遠隔監視装置100と、SLA管理装置200とを独立した装置で実現する場合を例にあげて説明したが、これらは、1つの装置で実現されてもよい。
また、保守対象設備は、エスカレーター、水平型エスカレーター、オートスロープなどであってもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。