JP2019191060A - Nmrプローブ - Google Patents

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Abstract

【課題】NMRプローブにおいて、観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を抑制すると共に、高周波損失を抑制する。【解決手段】試料温調用配管40内に試料管46が配置されている。検出コイル56は、低温の気密室48内に配置されており、試料に対して高周波磁場を照射する。室温シールド70は、試料温調用配管40の外周表面上又は内周表面上に配置されており、検出コイルから観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽する。低温シールド60は、気密室48内において、検出コイル56と室温シールド70との間に配置されており、検出コイル56から室温シールド70への高周波磁場の照射を遮蔽する。【選択図】図4

Description

本発明は、NMR測定装置に用いられるNMRプローブに関する。
磁気共鳴測定装置として、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)装置、及び、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)装置が知られている。NMR装置に類する装置として、磁気共鳴画像(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置も知られている。以下、NMR装置について説明する。
NMRは、静磁場中におかれた原子核が固有の周波数をもった電磁波と相互作用する現象である。その現象を利用して原子レベルで試料の測定を行う装置がNMR装置である。NMR装置は、有機化合物(例えば薬品、農薬)、高分子材料(例えばビニール、ポリエチレン)、生体物質(例えば、核酸、タンパク質)、等の分析において活用されている。NMR装置を利用すれば、例えば試料の分子構造を解明することが可能である。
NMR装置においては、静磁場を生じさせる超伝導磁石内に試料とともにNMRプローブ(NMR信号検出用プローブ)が配置される。NMRプローブは、送信用及び受信用の検出コイルを備えている。検出コイルは、送信時には試料に対して高周波磁場を与え、受信時には試料のNMR信号を検出するように構成されている。観測される核種によって共振周波数が異なるので、測定の際には、核種に適合する特定周波数をもった高周波信号が検出コイルに与えられる。
ところで、NMR信号の検出精度を高めるためには、試料空間における外部磁場の一様性が重要になるところ、試料空間において不均一な外部磁場が存在すると、NMR信号に誤差が生じ得る。不均一な外部磁場が発生する原因として、試料空間に近接する部材の磁化が挙げられる。特に、NMR信号を検出する検出コイルは、その磁化が有限であれば試料空間に乱れた磁場を生じさせる原因となる。通常、高分解能を有するNMR装置には、試料空間の磁場分布を補正するシミング装置が設けられている。しかし、その補正の次数は現実的に低次に限られ、複雑な形状を有する検出コイルの磁化に起因する不均一磁場を補正することは困難である。それ故、試料空間に近接し、かつ、複雑な形状を有する検出コイルについては、その材料の磁化を限りなくゼロにすることが要求される。
また、NMR信号を検出する方法として、ファラデーの電磁誘導の法則を用いた方法が知られている。この方法では、ジョンソンノイズが支配的なノイズとなる。ジョンソンノイズは、コイルの温度の平方根や、コイルの電気抵抗の平方根に比例することが知られている。
非特許文献1には、超伝導体からなる検出コイルが開示されている。超伝導体は冷却下で電気抵抗がほぼゼロになるので、上記のノイズを低減して、NMR信号の検出感度を向上させることができる。
以下、図1を参照して、一般的なNMR装置について説明する。図1は、そのNMR装置10を示す。NMR装置10は、試料中の観測核によって生じたNMR信号を測定する装置である。
静磁場発生装置12は静磁場を発生する装置である。静磁場発生装置12の中央部には、垂直方向に伸びる空洞部としてのボア14が形成されている。NMRプローブ16は、大別して、挿入部18と基部20とを含んで構成されている。挿入部18は、それ全体として垂直方向に伸長した円筒形状を有し、静磁場発生装置12のボア14内に挿入される。
挿入部18におけるプローブヘッド内には検出回路22が設けられている。検出回路22は同調整合回路であり、NMR信号を検出するための検出コイル24、送受信用の結合コイル26、同調用可変コンデンサ、及び、整合用可変コンデンサ等の電子部品を備えている。結合コイル26は、ピックアップコイルや送受信コイルとも称され、照射時間帯(送信期間)において変動磁場を発生させ、観測時間帯(受信期間)において、検出コイル24によって検出されたNMR信号を受信する。同調用可変コンデンサ及び整合用可変コンデンサの各設定値(容量)を変えることにより、検出回路22の特性が最適化される。つまり、同調及び整合が図られる。なお、結合コイル26が用いられず、結線によって検出コイル24による送受信が行われてもよい。
分光計28の送信部30は、信号発生器及びパワーアンプ等を備えており、送信信号を生成して出力する。NMR測定モードにおいては、観測対象各種の固有周波数が送信信号の周波数として設定される。送信部30から出力された送信信号は、送受切替器であるデュプレクサ32を介してNMRプローブ16内の検出回路22に送られる。なお、デュプレクサ32は、NMRプローブ16内に配置されてもよい。
検出コイル24で検出されたNMR信号(受信信号)は、デュプレクサ32を介して分光計28の受信部34に送られる。受信部34は、直交検波回路やA/D変換器等を含む公知の回路構成を有し、受信信号に対して所定の処理を行う。受信部34で処理された受信信号は、スペクトル処理部36に送られる。スペクトル処理部36は、受信信号に対してFFT処理を実行することにより分光スペクトル(NMRスペクトル)を生成し、またそれに対して必要な解析等を実行する。スペクトル処理部36による処理結果は、図示しない表示部に表示される。また、分光計28には、測定対象各種の設定等を行うために利用される入力部が設けられている。なお、スペクトル処理部36は、コンピュータによって構成されてもよい。
冷却システム38は、例えば、冷凍機を備え、その冷凍機により冷却したヘリウムガスをNMRプローブ16に供給し、これにより、NMRプローブ16内の被冷却部品を冷却するためのシステムである。例えば、被冷却部品が20K以下に冷却される。
以下、図2を参照して、試料室と検出コイルについて説明する。図2は、試料室等を示す斜視図である。NMRプローブ16の挿入部18には、試料温調用配管(VT管)40が設けられている。試料温調用配管40は例えばガラス管であり、ステージ42及びプローブキャップ44を貫通して設けられている。試料温調用配管40内には、試料が収容される試料管46(試料容器)が配置されている。試料及び試料管46の中心が静磁場Hの中心に一致するように、挿入部18が静磁場発生装置12のボア14内に配置されている。試料温調用配管40内は大気空間であり、試料は大気空間内に配置される。試料温調用配管40内には、試料の温度を調整するための温調用ガス(VTガス)が供給され、試料の温度は、その温調用ガスによって制御される。例えば、試料温調用配管40内の温度が室温に維持され、試料の温度は室温に維持される。
試料温調用配管40と挿入部18の外壁との間に気密室48が形成されている。気密室48内は真空状態に減圧されている。真空減圧下の気密室48内には、検出回路22(検出コイル24としての検出コイル24A,24B、結合コイル26、同調用可変コンデンサ、整合用可変コンデンサ)が設置されている。図2に示す例では、検出コイル24Aは、平面コイルであり、基板50A上に形成された薄膜の検出回路パターン(電気回路パターン)である。図示されていないが、検出コイル24Bも同様に平面コイルであり、基板50B上に形成された薄膜の検出回路パターンである。検出コイル24A,24Bは、超伝導体によって構成されている。超伝導体として、一例として第二種超伝導体が用いられる。検出コイル24A,24Bは一対の検出コイルとして用いられる。基板50A,50Bは、例えばサファイア基板である。基板50A,50Bは、試料及び試料温調用配管40を間にして配置されている。検出コイル24A,24Bが、静磁場発生装置12によって形成された静磁場Hに対してほぼ平行になるように、基板50A,50Bが検出コイル用治具によって保持される。
検出コイル24Aは、基板50A上においてコイルパターンとして形成され、インダクタンスLの要素とキャパシタンスCの要素を内包している。図示されていないが、検出コイル24Bも同様に、インダクタンスLとキャパシタンスCを内包する。この構成を採用することにより、LC共振回路が構成される。
上記構成において、検出回路22は被冷却部品に相当し、極低温に冷却される。信号のS/Nを向上させるために、可変コンデンサも検出コイル24A,24B及び結合コイル26とともに冷却される。冷却機構として、例えば、特開2014−41103号公報に記載されている冷却システム(クライオスタット冷却システム)を利用することができる。具体的には、ステージ42に接続された熱交換器52に、冷却システム38から冷却されたヘリウムガスが導入され、熱交換器52は極低温(例えば20K以下)に冷却される。これにより、被冷却部品が冷却される。検出コイル24A,24Bが冷却されることにより、検出コイル24A,24Bの電気抵抗が低下し、その結果、NMR測定時における検出感度が向上する。なお、NMRプローブ16には、図示しない温度センサが取り付けられており、その温度センサによって被冷却部品等の温度が検知される。
ところで、一般的に、高周波磁場の分布は、観測対象において均一となり、観測対象以外の空間ではゼロになることが望ましい。特許文献1,2に記載のNMR装置では、観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を防ぐために、試料を覆うためのシールドが用いられている。
以下、図3を参照して、従来技術に係るシールドについて説明する。図3は、従来技術に係るNMRプローブを示す断面図である。試料温調用配管40は円筒状の形状を有し、試料温調用配管40内に試料管46が配置されている。試料温調用配管40内の空間54は大気空間であり、空間54内の温度は、試料温調用配管40内に供給される温調用ガスによって制御される。試料管46内には試料が配置される。試料温調用配管40の周囲には、真空状態に減圧された気密室48が形成されている。気密室48には、全体として円筒状の形状を有する検出コイル56が配置されている。検出コイル56は、例えば、金属からなるサドル型コイルである。検出コイル56は、試料温調用配管40に接しない状態で、試料温調用配管40の周囲を囲むように配置されている。また、検出コイル56には、互いに対向する位置に、2つの矩形状の窓部58が形成されている。高周波磁場は、窓部58に垂直な方向に発生する。また、気密室48内において、試料温調用配管40と検出コイル56との間には、全体として円筒状の形状を有する低温シールド60が配置されている。低温シールド60は、試料温調用配管40に接しない状態で、試料温調用配管40の周囲を囲むように配置されている。低温シールド60は、高周波磁場に対するシールドとしての役割を果たす。低温シールド60には、少なくとも検出コイル56の窓部58に対応する位置に窓部62が形成されている。検出コイル56にて発生した高周波磁場は、低温シールド60の窓部62を通って、試料の所定の範囲(観察対象64)に照射される。このように、低温シールド60は、試料の観察対象64のみに高周波磁場が照射されるように、高周波磁場の照射範囲を制限する役割を果たす。検出コイル56と低温シールド60は、気密室48内に配置されており、図3には示されていない熱交換器52によって極低温に冷却される。試料温調用配管40内には温調用ガスが供給され、試料の温度は、温調用ガスによって制御される。
米国特許第5,192,911号明細書 米国特許第7,701,217号明細書
ところで、低温シールド60によって高周波磁場の照射範囲が制限されている場合であっても、検出コイル56によって生成された高周波磁場は、図3中の矢印66で示すように、低温シールド60の窓部62での回折によって低温シールド60の裏側に回り込み、広がりを持って試料に照射される。その結果、観察対象64よりも外側の領域68にも高周波磁場が照射される。つまり、低温シールド60が試料管46から離れて配置されているため、低温シールド60と試料管46との間に空間が形成され、その結果、回折した高周波磁場が広がりを持って試料に照射される。回折した高周波磁場は、観察対象64に照射される高周波磁場と比べて減衰しているが、NMR波形に広がりを与え、NMRスペクトルの分解能の低下を招く。低温シールド60と試料管46とが離れているほど、回折した高周波磁場の広がりの程度が大きくなるので、NMRスペクトルの分解能の低下の程度が大きくなる。
回折した高周波磁場の広がりの程度を小さくするために、試料管46により近い位置(例えば試料温調用配管40上)にシールドを配置することが考えられる。しかし、試料温調用配管40上にシールドが配置された場合、温調用ガスからの熱によって、シールドの温度が上昇し、シールドの抵抗が高くなる。そのようなシールドに検出コイル56から高周波磁場が照射されると、そのシールドでは、高周波磁場の反射よりも吸収の寄与が大きくなり、その結果、検出コイル56のQ値が低下し、高周波磁場の損失が発生する。シールドが温調用ガスからの熱の影響を受けないようにするために、図3に示すように、シールドを試料温調用配管40から離してシールドと試料温調用配管40との間に真空断熱層を形成した場合、上述したように、窓部62にて回折した高周波磁場の広がりの程度が大きくなり、観察対象以外のより広い部分にも高周波磁場が照射されてしまう。
本発明の目的は、NMRプローブにおいて、観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を抑制すると共に、高周波損失を抑制することにある。
本発明は、NMR装置内に挿入され、試料からのNMR信号を検出するNMRプローブにおいて、前記試料が収容される試料容器の周囲において前記試料の温度よりも低温の領域内に配置され、前記試料に対して高周波磁場を照射し、前記試料にて発生したNMR信号を検出する検出コイルと、前記試料容器と前記検出コイルとの間において前記試料の温度領域内に配置され、前記検出コイルから前記試料容器内の観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽する第1シールドと、前記検出コイルと前記第1シールドとの間において前記低温の領域内に配置され、前記検出コイルから前記第1シールドへの高周波磁場の照射を遮蔽する第2シールドと、を含むことを特徴とするNMRプローブである。
上記の構成によれば、第1シールドによって、観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができる。その結果、NMRスペクトルの分解能の低下を抑制することができる。また、第2シールドによって、試料の温度領域内に配置された第1シールドへの高周波磁場の照射が抑制されるので、その第1シールドに高周波磁場が照射されることに起因する検出コイルのQ値の低下を抑制することができる。その結果、高周波損失を抑制することができる。例えば、検出コイルと第2シールドは、冷却された低温領域内に配置され、第1シールドは、その低温領域よりも温度の高い領域内に配置される。そのような領域内に配置された第1シールドの温度は上昇し、第1シールドに高周波磁場が照射されると、その温度上昇に起因して、検出コイルのQ値が低下することがある。上記の構成によれば、第1シールドへの高周波磁場の照射が抑制されるので、検出コイルのQ値の低下を抑制することができる。
前記検出コイルは、前記観察対象に対応する位置に第1窓部を有し、前記第1窓部を介して、前記試料に対して高周波磁場を照射し、前記試料にて発生したNMR信号を検出し、前記第1シールドは、前記第1窓部に対応する位置に、前記第1窓部の大きさ以上の大きさを有する第2窓部を有し、前記第2窓部以外の部分によって、前記検出コイルから前記観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽し、前記第2シールドは、前記第1窓部に対応する位置に第3窓部を有し、前記第3窓部以外の部分によって、前記検出コイルから前記第1シールドへの高周波磁場の照射を遮蔽してもよい。
前記第2窓部の幅は、前記第1窓部の幅の1.1〜1.2倍であってもよい。こうすることで、第2窓部の幅が第1窓部の幅と同一である場合と比べて、検出コイルにて発生した高周波磁場が第1シールドに照射され難くなるので、検出コイルのQ値の低下をより抑制することができる。
前記試料容器は、前記試料の温度を調整するためのガスが供給される配管内に配置されており、前記第1シールドは、前記配管の外周表面上に配置されてもよい。
前記試料容器は、前記試料の温度を調整するためのガスが供給される配管内に配置されており、前記第1シールドは、前記配管の内周表面上に配置されてもよい。
本発明によれば、NMRプローブにおいて、観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができると共に、高周波損失を抑制することができる。
NMR装置を示すブロック図である。 試料室と検出コイルを示す斜視図である。 従来技術に係るNMRプローブを示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。 窓長と検出コイルのQ値と分解能との関係を示す図である。 NMRスペクトルを示す図である。 本発明の第2実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。
<第1実施形態>
以下、図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るNMRプローブについて説明する。図4は、第1実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。
第1実施形態に係るNMRプローブは、図3に示されているNMRプローブと同様に、試料温調用配管40、検出コイル56及び低温シールド60を含む。
試料温調用配管40は円筒状の形状を有し、試料温調用配管40内に試料管46が配置されている。試料温調用配管40内の空間54は大気空間であり、空間54内の温度は、試料温調用配管40内に供給される温調用ガスによって制御される。試料管46内には試料が配置される。試料は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
試料温調用配管40の周囲には、真空状態に減圧された気密室48が形成されている。気密室48には、全体として円筒状の形状を有する検出コイル56が配置されている。検出コイル56は、例えば、金属からなるサドル型コイルである。検出コイル56は、試料温調用配管40に接しない状態で、試料温調用配管40の周囲を囲むように配置されている。例えば、検出コイル56は、誘電体からなる円筒状のボビンの外周表面上に固定されることで、コイルとしての形状を維持している。また、検出コイル56には、互いに対向する位置に、2つの矩形状の窓部58が形成されている。高周波磁場は、窓部58に垂直な方向に発生する。なお、窓部58が第1窓部の一例に相当する。
また、気密室48内において、試料温調用配管40と検出コイル56との間には、全体として円筒状の形状を有する低温シールド60が配置されている。低温シールド60は、試料温調用配管40に接しない状態で、試料温調用配管40の周囲を囲むように配置されている。低温シールド60は、高周波磁場に対するシールドとしての役割を果たす。低温シールド60には、少なくとも検出コイル56の窓部58に対応する位置に窓部62が形成されている。低温シールド60は、例えば、銅箔等の金属からなるシールドである。銅箔にアルミニウムが含まれてもよい。なお、低温シールド60は、窓部58を間にして互いに離れて設けられた2つのリング状の部材によって構成されてもよい。低温シールド60が第2シールドの一例に相当し、窓部62が第3窓部の一例に相当する。
また、試料管46と低温シールド60との間に、室温シールド70が配置されている。例えば、試料温調用配管40の外周表面上に、全体として円筒状の形状を有する室温シールド70が配置されている。つまり、室温シールド70は、試料温調用配管40の外周表面に接触した状態で配置されている。室温シールド70は、高周波磁場に対するシールドとしての役割を果たす。室温シールド70は、少なくとも検出コイル56の窓部58に対応する位置に窓部72が形成されている。室温シールド70として、例えば、表裏に薄い白金が形成された銅箔が用いられる。例えば、スパッタリングによって銅箔の表裏に白金が形成される。室温シールド70は、観察対象64に対応する位置を避けて、試料温調用配管40の外周表面上に、接着剤等によって固定される。なお、室温シールド70は、窓部72を間にして互いに離れて設けられた2つのリング状の部材によって構成されてもよい。室温シールド70が第1シールドの一例に相当し、窓部72が第2窓部の一例に相当する。
例えば、窓部58,62,72の位置を合わせて、検出コイル56、低温シールド60及び室温シールド70が配置されている。ここで、試料温調用配管40や試料管46が延びる方向(長手方向)を、縦方向として定義する。一例として、低温シールド60の窓部62の縦方向の幅W2(窓長W2)は、検出コイル56の窓部58の縦方向の幅W1(窓長W1)と同一である。また、一例として、室温シールド70の窓部72の縦方向の幅W3(窓長W3)は、幅W1と同一である。
検出コイル56と低温シールド60は、気密室48内に配置されており、図4には示されていない熱交換器によって極低温(例えば20K以下の温度)に冷却される。試料温調用配管40内には温調用ガスが供給され、試料の温度は、温調用ガスによって制御される。例えば、試料の温度は室温に維持される。また、試料温調用配管40の外周表面上には室温シールド70が固定されているため、温調用ガスからの熱によって、室温シールド70の温度は上昇する。例えば、温調用ガスの温度が室温である場合、室温シールド70の温度は、室温付近まで上昇する。このように、室温シールド70の温度も、温調用ガスの影響を受けて温調用ガスによって制御される。
検出コイル56にて発生した高周波磁場は、低温シールド60の窓部62を通り、更に、室温シールド70の窓部72を通って、試料の所定の範囲(観察対象64)に照射される。このように、室温シールド70は、試料の観察対象64のみに高周波磁場が照射されるように、試料における高周波磁場の照射範囲を制限する役割を果たす。つまり、室温シールド70は、検出コイル56から試料管46内の観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽する役割を果たす。
上記の役割を果たすために、室温シールド70は、表皮深さ(表皮厚さ)に相当する厚さを有する。また、室温シールド70は試料付近に配置されるので、観察対象64における静磁場の均一性を保つために、室温シールド70の磁化率は、室温シールド70の雰囲気の磁化率に近いことが好ましい。図4に示す例では、室温シールド70は真空下に配置されているので、室温シールド70の磁化率は、真空の磁化率に近いことが好ましい。
また、低温シールド60は、検出コイル56から室温シールド70への高周波磁場の照射を遮蔽することで、検出コイル56と室温シールド70との間の電気的相互作用を抑制する役割を果たす。
第1実施形態によれば、試料温調用配管40の外周表面上に配置された室温シールド70によって、観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができる。また、検出コイル56と室温シールド70との間に配置された低温シールド60によって、検出コイル56のQ値の低下を抑制し、その結果、高周波磁場の損失を抑制することができる。以下、これらの点について詳しく説明する。
室温シールド70は、試料温調用配管40の外周表面上に配置されている。つまり、室温シールド70は、低温シールド60よりも試料管46に近い位置に配置されている。これにより、室温シールド70が配置されずに、低温シールド60のみが配置される場合と比べて、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場が試料に照射されることを抑制することができる。つまり、室温シールド70が配置されずに、試料温調用配管40から離れた位置に低温シールド60が配置された場合、図3を参照して説明したように、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場は、低温シールド60と試料管46との間の距離に応じた広がりを持って試料に照射される。これに対して、試料温調用配管40の外周表面上に室温シールド70が配置された場合、室温シールド70と試料管46との間の距離は、低温シールド60と試料管46との間の距離よりも短いため、仮に、室温シールド70の窓部72にて高周波磁場が回折した場合であっても、回折した高周波磁場の広がりの程度は、低温シールド60にて回折した高周波磁場の広がりの程度よりも小さい。それ故、試料温調用配管40の外周表面上に室温シールド70を設けることで、室温シールド70を設けずに低温シールド60のみを設ける場合と比べて、回折した高周波磁場が試料に照射されることを抑制することができる。その結果、観察対象64以外の領域に高周波磁場が照射されることを抑制することができる。また、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場は、室温シールド70によって遮蔽されるので、窓部62にて回折した高周波磁場が観察対象64以外の領域に照射されることを抑制することができる。
また、検出コイル56にて発生した高周波磁場は、低温シールド60の窓部62を通り、窓部62以外の領域では遮蔽される。その結果、高周波磁場は、室温シールド70に照射され難い。温調用ガスからの熱によって、室温シールド70の温度は上昇し、室温シールド70の抵抗は高くなっている。そのような室温シールド70に高周波磁場が照射された場合、高周波磁場の反射よりも吸収の寄与が大きくなり、その結果、検出コイル56のQ値が低下し、高周波磁場の損失が発生する。第1実施形態では、低温シールド60によって、室温シールド70への高周波磁場の照射が遮蔽されるので、検出コイル56のQ値の低下を抑制し、その結果、高周波磁場の損失を抑制することができる。このように、低温シールド60は、検出コイル56にて発生した高周波磁場が室温シールド70に照射されることを防ぐために用いられる。なお、低温シールド60は、極低温の気密室48内に配置されているので、極低温に冷却されている。それ故、低温シールド60では、高周波磁場の吸収よりも反射の寄与が大きくなる。その結果、低温シールド60に高周波磁場が照射された場合であっても、室温シールド70に高周波磁場が照射される場合と比べて、検出コイル56のQ値は低下し難い。
以下に、各部のサイズを示す。各部のサイズは、試料管46の直径を1として規格化された値である。
・試料管46の直径D1:1
・試料温調用配管40の内径D2(直径):1.1〜1.3
・試料温調用配管40の外径D3(直径):1.3〜1.4
・低温シールド60の内径D4(直径):1.5〜2.5
・検出コイル56の窓部58の窓長W1:2.5〜4.5
試料温調用配管40の外周表面上に室温シールド70が配置されているので、室温シールド70の内径(直径)は、試料温調用配管40の外径D3と同一であると評価することができる。また、一例として、低温シールド60の窓部62の窓長W2と、室温シールド70の窓部72の窓長W3は、窓長W1と同一である。
低温シールド60と室温シールド70との間隔が離れている場合において、室温シールド70の窓部72の窓長W3が窓長W1と同一である場合、室温シールド70上での遮蔽電流のロスに起因して、検出コイル56のQ値が低下することがある。なお、窓長W2は窓長W1と同一であるものとする。例えば、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場が、室温シールド70に照射された場合、その照射に起因して、検出コイル56のQ値が低下することがある。これに対処するために、室温シールド70の窓部72の窓長W3を、窓長W1の1.1〜1.2倍まで広げてもよい。窓部72を広げた場合、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場のうち、窓部72の広がった部分に相当する高周波磁場は、室温シールド70に照射されずに窓部72を通過するため、その照射に起因するQ値の低下を抑制することができる。一方で、窓部72の広がった部分に相当する高周波磁場は、窓部72を通過し、室温シールド70では遮蔽することができないため、観察対象64以外の領域に照射され、その結果、NMRスペクトルの分解能が低下する。
すなわち、窓長W3が窓長W1と同一である場合、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場は、室温シールド70によって遮蔽される。その結果、回折した高周波磁場は、観察対象64以外の領域に照射されなくなるので、NMRスペクトルの分解能の低下が抑制される。しかし、回折した高周波磁場が室温シールド70に照射されるので、その分、検出コイル56のQ値は低下する。窓長W3が窓長W1の1.1〜1.2倍である場合、低温シールド60の窓部62にて回折した高周波磁場のうち、窓部72の広がった部分(0.1〜0.2の部分)に相当する高周波磁場は、室温シールド70に照射されないので、検出コイル56のQ値の低下を抑制することができる。しかし、窓部72の広がった部分に相当する高周波磁場は、観察対象64以外の領域に照射されるので、その分、分解能が低下する。つまり、検出コイル56のQ値とNMRスペクトルの分解能は、窓長W1,W3に依拠して、互いにトレードオフの関係を有する。
以下、図5及び図6を参照して、窓長W1,W3と検出コイル56のQ値と分解能との関係について説明する。図5及び図6は、NMRスペクトルのシミュレーション結果を示す。そのシミュレーション結果は、第1実施形態に係るNMRプローブを用いて得られた結果である。ここでは、窓長W3を段階的に変えて、NMRスペクトルを得た。以下、その結果について詳しく説明する。
図5は、室温シールド70の窓部72の窓長W3と、検出コイル56のQ値と、NMRスペクトルの線形との関係を示す。窓長W3は、検出コイル56の窓部58の窓長W1によって規格化された値である。線形は、NMRスペクトルの分解能を評価するための指標である。NMRスペクトルのメインピークの高さが100%として定義されており、各高さでのNMRスペクトルの幅が、線形の値として示されている。例えば、高さが0.55%でのNMRスペクトルの幅と、高さが0.11%でのNMRスペクトルの値が示されている。
実施例1〜3では、低温シールド60と室温シールド70が用いられており、比較例では、低温シールド60は用いられているが、室温シールド70は用いられていない。実施例1では、窓長W3は窓長W1の1.0倍である。実施例2では、窓長W3は窓長W1の1.1倍である。実施例3では、窓長W3は窓長W1の1.2倍である。
図6は、NMRスペクトルを示す。横軸は周波数を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。各値は規格化されている。スペクトル74は、実施例1に係るNMRスペクトルである。スペクトル76は、実施例2に係るNMRスペクトルである。スペクトル78は、実施例3に係るNMRスペクトルである。スペクトル80は、比較例に係るスペクトルである。
図5に示すように、窓長W3が窓長W1の1.1〜1.2倍である場合、窓長W3が窓長W1と同一である場合(1.0倍の場合)と比べて、検出コイル56のQ値が高くなり、線形の幅は太くなる(NMRスペクトルの分解能が低下する)。換言すると、窓長W3を窓長W1よりも広げることで、検出コイル56のQ値を高めることができるが、NMRスペクトルの分解能が低下する。一方で、窓長W3を窓長W1と同一にすることで、NMRスペクトルの分解能を向上させることができるが、検出コイル56のQ値が低下する。
室温シールド70が用いられない場合(比較例)、検出コイル56のQ値は低下しないが、線形の幅は、室温シールド70が用いられた場合(実施例1〜3)と比べて太くなる。つまり、NMRスペクトルの分解能は低下する。
以上のように、窓長W1と窓長W3との間の大小関係に応じて、検出コイル56のQ値とNMRスペクトルの分解能が変化する。実施例1〜3では、窓長W3の幅によっては、Q値が低下する場合があるが、その場合であっても、NMRスペクトルの分解能を比較例よりも向上させることができる。また、窓長W3の幅を調整することで、NMRスペクトルの分解能を比較例よりも向上させつつ、Q値の低下を抑制することができる。このように、室温シールド70を用いることで、室温シールド70を用いない場合と比べて、NMRスペクトルの分解能の低下を抑制しつつ、検出コイル56のQ値の低下を抑制することができる。
<第2実施形態>
以下、図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るNMRプローブについて説明する。図7は、第2実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。
第2実施形態に係るNMRプローブは、第1実施形態に係るNMRプローブと同様に、室温シールド70を含む。第1実施形態では、室温シールド70は、試料温調用配管40の外周表面上に配置されているが、第2実施形態では、室温シールド70は、試料温調用配管40の内側の表面上、つまり、内周表面上に配置されている。第2実施形態においても、室温シールド70は窓部72を有する。室温シールド70の位置以外の構成は、第1実施形態に係る構成と同じである。
第1実施形態と同様に、室温シールド70として、例えば、表裏に薄い白金が形成された銅箔が用いられる。室温シールド70は、観察対象64に対応する位置を避けて、試料温調用配管40の内周表面上に、接着剤等によって固定される。
第2実施形態では、室温シールド70は試料温調用配管40内に配置されているので、室温シールド70の磁化率は、温調用ガスの磁化率(例えば乾燥空気の磁化率)に近いことが好ましい。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができ、また、検出コイル56のQ値の低下を抑制することができる。
<第3実施形態>
以下、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係るNMRプローブについて説明する。図8は、第3実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。
第3実施形態に係るNMRプローブは、室温シールド82を含む。室温シールド82は、第1実施形態に係るNMRプローブと同様に、試料温調用配管40の外周表面上に配置されている。第3実施形態においても、室温シールド82は窓部84を有する。室温シールド82の配置位置は、第1実施形態に係る室温シールド70の配置位置と同じである。また、窓部84の形成位置は、第1実施形態に係る窓部72の形成位置と同じである。室温シールド82以外の構成は、第1実施形態に係る構成と同じである。
室温シールド82は、室温シールド70よりも薄い厚さを有する。例えば、銀ナノ粒子を用いて試料温調用配管40の外周表面上に銀をコーティングすることで、銀からなる室温シールド82が形成される。別の例として、金蒸着法によって試料温調用配管40の外周表面上に金を蒸着することで、金からなる室温シールド82が形成されてもよい。室温シールド82は、室温シールド70と同様に、表皮深さ(表皮厚さ)に相当する厚さを有する。室温シールド82が薄いため、通常のシミング操作によって、観察対象64に形成される静磁場の均一度を維持することができる。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができ、また、検出コイル56のQ値の低下を抑制することができる。
<第4実施形態>
以下、図9を参照して、本発明の第4実施形態に係るNMRプローブについて説明する。図9は、第4実施形態に係るNMRプローブを示す断面図である。
第4実施形態に係るNMRプローブは、第3実施形態に係るNMRプローブと同様に、室温シールド82を含む。第4実施形態では、第2実施形態と同様に、室温シールド82は、試料温調用配管40の内周表面上に配置されている。第4実施形態においても、室温シールド82は窓部84を有する。室温シールド82の位置以外の構成は、第3実施形態に係る構成と同じである。
第3実施形態と同様に、例えば、ナノ粒子を用いて試料温調用配管40の内周表面上に銀をコーティングすることで、銀からなる室温シールド82が形成される。室温シールド82が薄いため、通常のシミング操作によって、観察対象64に形成される静磁場の均一度を維持することができる。
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、観察対象64以外の領域への高周波磁場の照射を抑制することができ、また、検出コイル56のQ値の低下を抑制することができる。
上述した室温シールド70,82を、従来のNMRプローブに容易に取り付けることができる。例えば、検出コイルが固定されたコイルボビンの内側の部分に、室温シールド70や室温シールド82を容易に設けることができる。例えば、米国特許第5,247,256号の図3bに示されているNMRプローブにおいては、高熱伝導度を有する材料(例えばサファイア)からなる筒部材の外側表面に、コイルが貼り付けられている。この場合、その筒部材の内側に室温シールド70又は室温シールド82を配置することができる。例えば、磁化率が補正された金属箔が筒部材の内側表面に貼り付けられてもよいし、その内側表面に銀がコーティングされてもよい。
また、米国特許第5,247,256号の図3cに示されているコイルは、冷却部材と熱接触して設置されている。この場合、コイルの内側に、熱良導体であり、かつ、電気絶縁体である筒部材を設け、更に、その筒部材の内側に、室温シールド70又は室温シールド82を設けることができる。コイルとは別に、熱良導体であり、かつ、電気絶縁体である筒部材を設け、更に、その筒部材の内側に、室温シールド70又は室温シールド82を設け、その筒部材を冷却部材に熱接触させてもよい。
40 試料温調用配管、46 試料管、56 検出コイル、58,62,72,84 窓部、60 低温シールド、64 観察対象、70,82 室温シールド。

Claims (5)

  1. NMR装置内に挿入され、試料からのNMR信号を検出するNMRプローブにおいて、
    前記試料が収容される試料容器の周囲において前記試料の温度よりも低温の領域内に配置され、前記試料に対して高周波磁場を照射し、前記試料にて発生したNMR信号を検出する検出コイルと、
    前記試料容器と前記検出コイルとの間において前記試料の温度領域内に配置され、前記検出コイルから前記試料容器内の観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽する第1シールドと、
    前記検出コイルと前記第1シールドとの間において前記低温の領域内に配置され、前記検出コイルから前記第1シールドへの高周波磁場の照射を遮蔽する第2シールドと、
    を含むことを特徴とするNMRプローブ。
  2. 請求項1に記載のNMRプローブにおいて、
    前記検出コイルは、前記観察対象に対応する位置に第1窓部を有し、前記第1窓部を介して、前記試料に対して高周波磁場を照射し、前記試料にて発生したNMR信号を検出し、
    前記第1シールドは、前記第1窓部に対応する位置に、前記第1窓部の大きさ以上の大きさを有する第2窓部を有し、前記第2窓部以外の部分によって、前記検出コイルから前記観察対象以外の領域への高周波磁場の照射を遮蔽し、
    前記第2シールドは、前記第1窓部に対応する位置に第3窓部を有し、前記第3窓部以外の部分によって、前記検出コイルから前記第1シールドへの高周波磁場の照射を遮蔽する、
    ことを特徴とするNMRプローブ。
  3. 請求項2に記載のNMRプローブにおいて、
    前記第2窓部の幅は、前記第1窓部の幅の1.1〜1.2倍である、
    ことを特徴とするNMRプローブ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNMRプローブにおいて、
    前記試料容器は、前記試料の温度を調整するためのガスが供給される配管内に配置されており、
    前記第1シールドは、前記配管の外周表面上に配置されている、
    ことを特徴とするNMRプローブ。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNMRプローブにおいて、
    前記試料容器は、前記試料の温度を調整するためのガスが供給される配管内に配置されており、
    前記第1シールドは、前記配管の内周表面上に配置されている、
    ことを特徴とするNMRプローブ。
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