JP2019191007A - 血清中tarcをマーカーとして用いるイヌアトピー性皮膚炎(cad)の診断 - Google Patents

血清中tarcをマーカーとして用いるイヌアトピー性皮膚炎(cad)の診断 Download PDF

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一徳 上田
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貞俊 前田
雅彦 永田
Masahiko Nagata
雅彦 永田
利広 津久井
Toshihiro Tsukui
利広 津久井
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Masahiro Kato
正浩 加藤
昭菜 大槻
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昭菜 大槻
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Abstract

【課題】血清中TARCをバイオマーカーとして用いるイヌアトピー性皮膚炎の診断方法の提供。【解決手段】被験犬より採取した血液中のTARCを測定することを含む、イヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、イヌアトピー性皮膚炎を診断する検査方法に関する。
アトピー性皮膚炎は、しばしばアトピー素因を有し、慢性の湿疹性皮膚病変を長期にわたって繰り返す病気である。また、血液学的所見として、しばしば末梢血の好酸球数増多、血清IgE値の高値などの異常が認められる。アトピー性皮膚炎の主な要因として、免疫学的異常と非免疫学的異常が報告されている。近年、ヒトばかりではなくイヌ等の愛玩動物においてもアトピー性皮膚炎が増えており、その検出法の確立が望まれている。
ヒトアトピー性皮膚炎患者において、血中TARC値が高値を示し、罹患部におけるTARCの産生も亢進しているという報告がある(特許文献1及び特許文献2参照)。
一方、TARCが健常部でも発現が認められるという報告もあり、TARCの有用性についての検討は未だ十分ではない。
また、これまでの報告は、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた検討及びヒトを用いた検討であったが、アトピー性皮膚炎の発症機構が動物間で同じとは限らず、イヌに特異的な診断法の確立が望まれていた。
イヌTARCを特異的に認識する抗イヌTARC抗体について報告されていた(特許文献3)。
EP1221618A1号公報 国際公開第02/53758号 国際公開第2017/065203号
本発明は、血清中TARCをバイオマーカーとして用いるイヌアトピー性皮膚炎の診断方法の提供を目的とする。
胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC/CCL17)は、イヌアトピー性皮膚炎(CAD)の病因と関連している。本発明者らは、TARCとイヌアトピー性皮膚炎との関連について鋭意検討を行った。その結果、イヌアトピー性皮膚炎に罹患しているイヌにおいて、血清中TARC濃度が有意に上昇し、イヌアトピー性皮膚炎の診断のために有用なマーカーとなり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 被験犬より採取した血液中のTARCを測定することを含む、イヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
[2] 被験犬の血液中のTARC濃度が正常犬の血液中のTARC濃度よりも高い場合に、被験犬がイヌアトピー性皮膚炎に罹患していると判断する、[1]のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
[3] イヌアトピー性皮膚炎の重症度を診断する、[1]のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
[4] 被験犬の血液中のTARC濃度が高いほどイヌアトピー性皮膚炎が重症であると診断する、[3]のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
[5] 免疫学的測定方法により行う、[1]〜[4]のいずれかのイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
[6] 抗TARC抗体を含む、イヌアトピー性皮膚炎の診断用試薬。
[7] 血液中のTARC濃度を指標にイヌアトピー性皮膚炎の重症度を診断する、請求項6記載のイヌアトピー性皮膚炎の診断用試薬。
皮膚炎群と正常群における血清中TARC値を示す図である。 病態別(CAD、脂漏性皮膚炎、FA他)の血清中TARC値を示す図である。 病態別(CAD、脂漏性皮膚炎、FA他)の血清中TARC値の数値を示す図である。 CADESIスコア別の血清中TARC値を示す図である(パターン1)。 CADESIスコア別の血清中TARC値を示す図である(パターン2)。 かゆみレベル別の血清中TARCレベルを示す図である。 血清中TARC値とCADESIスコアとの相関分析の結果を示す図である。 血清中TARC値とかゆみレベルとの相関分析の結果を示す図である。 CAD治療前後におけるTARC値の変動を示す図である。 CAD治療前後におけるTARC値の変動の数値を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、TARCをマーカーとして用いて、イヌアトピー性皮膚炎(CAD:Canine atopic dermatitis)を診断する方法である。
TARC(Thymus Activation-Regulated Chemokine、CCL17とも呼ぶ)は、CCケモカイン受容体4(CCR4)に結合するケモカインであり、白血球の生体内移動や浸潤を誘導する。
本発明においては、イヌ検体中のTARCを測定する。検体としては、血液、尿等が挙げられ、血液は血清、血漿又は全血を含み、この中でも血清が好ましい。
TARCの測定方法は限定されないが、好ましくは抗TARC抗体を用いた免疫学的方法により測定する。免疫学的方法としては、例えば、固相免疫測定法(RIA、EIA、FIA、CLIA等)ドット・ブロッティング法、ラテックス凝集法(LA:Latex Agglutination-Turbidimetric Immunoassay)、イムノクロマト法などが挙げられる。
この中でも、定量性の観点からEIA(Enzyme Immunoassay)法の1種であるELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法が好ましい。ELISA法では、抗TARC抗体を固相化したマイクロタイタープレートに検体を添加し、抗原・抗体反応を行わせ、さらに酵素標識した抗TARC抗体を添加し、抗原抗体反応をさせ、洗浄後、酵素基質と反応・発色させ、吸光度を測定して検体中のTARCを検出すると共に、その測定値から検体中のTARC濃度を算出することができる。また、蛍光標識した抗TARC抗体を用いて、抗原抗体反応をさせた後に蛍光を測定してもよい。抗原抗体反応は4℃〜45℃、より好ましくは20℃〜40℃、さらに好ましくは25℃〜38℃で行うことができ、また、反応時間は、10分〜18時間、より好ましくは10分〜1時間、さらに好ましくは30分〜1時間程度である。
免疫学的手法において用いられる抗TARC抗体は、TARCを検出し得る抗体であればよい。抗TARC抗体は、モノクローナル抗体でも、ポリクローナル抗体でもよく、モノクローナル抗体のFab、F(ab')、F(ab')2等のTARCへの結合活性を有する機能的断片を用いることもできる。国際公開第2017/065203号に記載の抗TARCモノクローナル抗体を好適に用いることができる。
本発明は抗TARC抗体を含む、イヌアトピー性皮膚炎診断用検査試薬又はキットをも包含する。
本発明においては、正常犬から採取した検体を陰性対象として同時に測定してもよい。ここで正常犬とは皮膚炎に罹患していないイヌをいう。被験犬がイヌアトピー性皮膚炎に罹患している場合、被験犬の検体中のTARC濃度が正常犬に比べて上昇するので、被験犬におけるTARC値が正常犬よりも多い場合、TARCは陽性と判断され、被験犬はイヌアトピー性皮膚炎に罹患していると診断することができる。例えば、被験犬の検体中のTARC濃度が正常犬の検体中の濃度の2倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上の場合に被験犬はイヌアトピー性皮膚炎に罹患していると診断することができる。本発明において、検体中のTARC値は検体中のTARC濃度であり、TARCレベルともいう。
また、あらかじめ正常犬(健常犬)の検体中のTARCを測定しておき、該測定値に基づいてTARCの濃度測定値についてカットオフ値(閾値)を定めておいてもよい。該カットオフ値を基準としカットオフ値を超えた場合に、被験犬はイヌアトピー性皮膚炎に罹患していると判断することができる。
カットオフ値は、例えば、ROC(receiver operating characteristic curve:受信者動作特性曲線)解析により定めることができる。また、ROC解析により本発明の方法による診断精度(感度及び特異性)を決定することができる。ROC解析は、試料としてイヌアトピー性皮膚炎に罹患しているイヌから採取した検体と正常犬から採取した検体中のTARC値を測定し、各カットオフ値での感度(sensitivity)及び特異性(specificity)を算出し、横軸を特異性とし、縦軸を感度とした座標上にプロットする。本発明の方法の測定結果についてROC解析により診断精度を解析した場合の、曲線下面積(AUC:area under the curve)は0.9以上と高く、感度は80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上であり、特異性は75%以上、好ましくは80%以上である。本発明の方法により、非常に高い精度でイヌアトピー性皮膚炎を検出することができる。
例えば、血清中のTARC濃度のカットオフ値として、500〜1000pg/mLと設定することができる。このカットオフ値は、好ましくはELISAで測定したときの値である。
また、イヌ検体中のTARC値とイヌアトピー性皮膚炎の重症度は相関している。すなわち、イヌアトピー性皮膚炎の指標となるCADESIスコア(アトピー性皮膚炎皮膚重症度指数、Canine Atopic Dermatitis Extent and Severity Index /バージョン4)が高いほど、TARC値は上昇する。ここで、CADESIスコアは、イヌの体表を20部位に分け、その各部位においてアトピー性皮膚炎の3つの一般的臨床症状(紅班、苔癬化、並びに炎症若しくは擦過傷)の程度を0点(なし)から3点(重度)でスコア化した評価基準であり、最も重度な場合は180点(3×3×20)となる。
同様に、イヌアトピー性皮膚炎の指標となるかゆみレベルが高いほど、TARC値は上昇する。ここで、かゆみレベルは、かゆみの重症度を6段階(0:正常〜5:最重度)に分類し、飼い主により評価される(0:正常。1:ごく軽度なかゆみ。2:軽度のかゆみ。3:中等度のかゆみ。4:強いかゆみ。5:非常に強いかゆみ)。
すなわち、被験犬における検体中のTARC値はイヌアトピー性皮膚炎の重症度、すなわち皮膚病変重症度の指標になり、被験犬における検体中のTARC値が高いほど、重症であると診断することができる。被験犬における検体中のTARC値は、CADESIスコアやかゆみレベルの代わりにイヌアトピー性皮膚炎の重症度の定量的な判断基準となり得る。
イヌ検体中のTARC値は、イヌアトピー性皮膚炎を発症していないイヌにおいても上昇することがある。その後、そのイヌはイヌアトピー性皮膚炎を発症する可能性が大きい。従って、TARCをイヌアトピー性皮膚炎の発症のリスクの評価、判定の指標となるマーカーとして利用することができる。この場合、被験犬におけるTARC値が正常犬よりも高い場合、TARCは陽性と判断され、被験犬はイヌアトピー性皮膚炎を発症するリスクがあると診断することができる。
また、正常犬あるいは既にイヌアトピー性皮膚炎を発症しているイヌの重症化リスクの評価、判定の指標となるマーカーとして利用することもできる。すなわち、被験犬の検体中のTARC値が高いほど、イヌアトピー性皮膚炎の重症化のリスクが高いと診断することができる。
本発明において、イヌアトピー性疾患の発症のリスク又は重症化のリスクとは、上記の症状が発症すること、あるいは上記の症状が重症化することをいう。
また、イヌアトピー性皮膚炎の治療を行った場合、治療前よりも治療後に被験犬の生体試料中のTARC値は低下する。
すなわち、イヌ検体中のTARC値を治療効果の指標とすることができ、治療前から治療後のTARC値の低下が大きいほど治療効果があったと評価、判定することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
17の獣医院でイヌアトピー性皮膚炎(CAD)に罹患している41頭のイヌ(平均体重:11.0kg、平均年齢:8.1歳、性別:オス17頭及びメス24頭)、脂漏性皮膚炎に罹患している33頭のイヌ、食物アレルギー(FA)に罹患している5頭のイヌ、それ以外の6頭のイヌおよび42頭の正常犬(平均体重:12.2kg、平均年齢:5.2歳、性別:オス18頭及びメス24頭)で評価した。
血清TARCレベルを、抗イヌTARCモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAによって定量した。
ELISAは以下の方法で行った。すなわち、上記モノクローナル抗体をBlock Aceを用いて37℃、1.5時間ブロッキングしたマイクロプレートのウェルに固相化し、イヌ検体を添加し37℃で1.5時間反応させ抗体に結合させた。プレートを洗浄後1次抗体としてウサギ抗イヌTARCポリクローナル抗体を添加し37℃で1.5時間反応させ、さらにプレートを洗浄し、二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgGを添加し、37℃で1.5時間反応させた。基質を添加し、各ウェルの発色を測定した。
1.病態別の血清中TARC値(濃度)
図1−1に皮膚炎群と正常群における血清中TARC値を示す。TARC値は正規分布から逸脱した分布をとる指標であるため、病態別のTARC値の基本統計量は、中央値と四分位区間を用いて表記した。群間比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、Mann-Whitney U testを用いた。図1−1に示すように、Mann-Whitney U testの結果、正常群に比べ、皮膚炎群ではTARC値が有意に高値を示すことが認められた(P<0.001)。
図1−2に病態別の血清中TARC値を示す。群間比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、全群を通しての比較にはKruskal-wallis testを用い、対比較には、Mann-Whitney U testを用いた。検定の多重性の調整にはBonferroni法を用いた。図1−2に示すように、Kruskal-wallis testの結果、5群間のTARC値に差があることが認められた(P<0.001)。さらに、対比較を行ったところ、CAD群、脂漏症群に比べ、正常群にてTARC値が有意に低くなることが認められた(P<0.001)。図1−3には病態別の血清中TARC値の中央値(median)及び25%と75%における四分位区間(IQR)を示す。
図1−1及び図1−2に示すように、正常犬中で血清中TARC値が1000pg/mLを超えるイヌが2頭いた。このうち1頭は、後に典型的なCADの症状を発症した。すなわち、血清中TARC値はCAD発症前に上昇するので、血清中TARC値はCAD発症のリスク判定に用いることもできる。
2.血清中TARC値(濃度)とCADESIスコア(アトピー性皮膚炎皮膚重症度指数)及びかゆみレベルとの関係
CADに罹患しているイヌの臨床的重症度をCADESI IV及び掻痒尺度(Pruritus scale)でスコア付けし、TARC値との相関を比較した。最後に、23例の罹患症例において、4週間の治療経過後にTARC値における動的変化を評価した。
CADESIスコアは、イヌの体表を20部位に分け、その各部位においてアトピー性皮膚炎の3つの一般的臨床症状(紅班、苔癬化、並びに炎症若しくは擦過傷)の程度を0点(なし)から3点(重度)でスコア化した評価基準であり、最も重度な場合は180点(3×3×20)となる。
かゆみレベルは、かゆみの重症度を6段階(0:正常〜5:最重度)に分類し、飼い主により評価される(0:正常。1:ごく軽度なかゆみ。2:軽度のかゆみ。3:中等度のかゆみ。4:強いかゆみ。5:非常に強いかゆみ)。
図2−1に、CADESIスコア別(CADESIスコア0−9、10−34、35−59及び60以上の4群)の血清中TARC値を示す(パターン1)。TARC値は正規分から逸脱した分布をとる指標であるため、群間比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、CADESIスコア上昇にともなう線形傾向分析にはJonckheere-Terpstra testを用いた。さらに、対比較には、Mann-Whitney U testを用いた。検定の多重性の調整にはBonferroni法を用いた。図2−1に示すように、Jonckheere-Terpstra testの結果、正常群からCADESHIスコアが高い群に進むにつれ、TARC値が有意に上昇することが認められた(P<0.001)。さらに、対比較を行ったところ、正常群に比べ、CADESIスコアが10点以上の群にて、TARC値有意に高値を示すことが認められた(P<0.001)。
図2−2に、CADESIスコア別(CADESIスコア0−34、35−59及び60以上の3群)の血清中TARC値を示す(パターン2)。TARC値は正規分布から逸脱した分布をとる指標であるため、群間比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、CADESIスコア上昇にともなう線形傾向分析にはJonckheere-Terpstra testを用いた。さらに、対比較には、Mann-Whitney U testを用いた。検定の多重性の調整にはBonferroni法を用いた。図2−2に示すように、Jonckheere-Terpstra testの結果、正常群からCADESIスコアが高い群に進むにつれ、TARC値が有意に上昇することが認められた(P<0.001)。さらに、対比較を行ったところ、正常群に比べ、CADESIスコア34以下、35-59、60以上の各群にてTARC値が有意に高値を示すことが認められた(P<0.001)。
図3に、かゆみレベル別の血清中TARCレベルを示す。TARC値は正規分布から逸脱した分布をとる指標であるため、かゆみレベル別のTARC値の基本統計量は、中央値と四分位区間を用いて表記した。群間比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、かゆみレベル上昇にともなう線形傾向分析にはJonckheere-Terpstra testを用いた。さらに、対比較には、Mann-Whitney U testを用いた。検定の多重性の調整にはBonferroni法を用いた。図3に示すように、Jonckheere-Terpstra testの結果、正常群からかゆみレベルが高い群に進むにつれ、TARC値が有意に上昇することが認められた(P<0.001)。さらに、対比較を行ったところ、正常群に比べ、かゆみレベル3、4及び5の各群にてTARC値が有意に高値を示すことが認められた(P<0.001)。
図4−1に血清中TARC値とCADESIスコアとの相関分析の結果を示す。図4−1に示すように、相関分析の結果、CADESIスコアに、TARC値と有意な正相関を有することが認められた。この結果は血清中TARC値とCADの重症度が相関していることを示す。
図4−2に血清中TARC値とかゆみレベルとの相関分析の結果を示す。図4−2に示すように、相関分析の結果、かゆみレベルに、TARC値と有意な正相関を有することが認められた。この結果は血清中TARC値とCADによるかゆみの強さが相関していることを示す。
3.CAD治療前後のTARC値の変動
CAD治療前後に血清中TARC値を測定した。
図5−1にCAD治療前後におけるTARC値の変動を示す。TARC値、CADESIスコア、かゆみレベルは正規分布から逸脱した分布をとる指標であるため、治療前後のTARC値とその変化量についての基本統計量は、中央値と四分位区間を用いて表記した。前後比較にはノンパラメトリックな手法を採用し、Wilcoxon's signed rank test.を用いた。図5−1に示すように、Wilcoxon's signed rank test.の結果、治療前値に比べ治療後値では、TARC値、CADESIスコア、かゆみレベルともに、有意に低下することが認められた(P<0.001)。図5−2にはCAD治療前後におけるTARC値の中央値(median)及び25%と75%における四分位区間(IQR)を示す。
CADのTARC濃度は、正常犬のTARC濃度より有意に高かった(P<0.001)。CADESIスコアと掻痒度スケールの両方がTARC値と正の相関を有することが判明した(ρ= 0.488、P = 0.001)。TARCレベルは、治療した症例の全てで有意に減少した(P<0.001)。
この結果は、血清TARCレベルがCADのバイオマーカーとして使用できることを示した。
イヌ検体中のTARC値をイヌアトピー性皮膚炎の診断のためのバイオマーカーとして用いることができる。

Claims (7)

  1. 被験犬より採取した血液中のTARCを測定することを含む、イヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
  2. 被験犬の血液中のTARC濃度が正常犬の血液中のTARC濃度よりも高い場合に、被験犬がイヌアトピー性皮膚炎に罹患していると判断する、請求項1記載のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
  3. イヌアトピー性皮膚炎の重症度を診断する、請求項1記載のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
  4. 被験犬の血液中のTARC濃度が高いほどイヌアトピー性皮膚炎が重症であると診断する、請求項3記載のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
  5. 免疫学的測定方法により行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイヌアトピー性皮膚炎を診断する方法。
  6. 抗TARC抗体を含む、イヌアトピー性皮膚炎の診断用試薬。
  7. 血液中のTARC濃度を指標にイヌアトピー性皮膚炎の重症度を診断する、請求項6記載のイヌアトピー性皮膚炎の診断用試薬。
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