JP2019189851A - 透明性高分子樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶性樹脂は、内部に数10nm〜数μmの結晶ドメインが存在し、可視光が散乱して透明性が失われ、透明化には特別な成型加工を要するといった問題を解決し、特別な加工をせずに透明性を有する非結晶性高分子樹脂の材料を提供することである。【解決手段】配位結合性リガンド3を有する高分子樹脂鎖2と、配位結合性リガンド3に配位結合した金属イオン6を含む透明性高分子樹脂11であって、金属イオン6の重量濃度は配位結合性リガンド3を有する高分子樹脂2の重量を基準として、3〜15wt%である透明性高分子樹脂11である。【選択図】 図1
Description
本発明は、透明性高分子樹脂に関する。
ポリエステルは代表的な高分子材料のひとつであり、合成の簡便さや形状多様性という利点を有するため、日常生活で広く用いられている。主な合成法としては、多官能アルコールと多官能ジオールの縮合反応や、ラクチドやε-カプロラクトンの開環重合がある。慣例的には、用いるモノマー種や構成成分の割合を変化させることで、物性改質が試みられてきた。 最近では、例えば水素結合や配位結合などの超分子結合を利用した、ポリエステルの物性改質の研究も盛んになされている。
しかしながら、これまでの超分子ポリエステルの報告では、「末端」に超分子相互作用性の官能基を導入することで物性改質を狙った例がほとんどである。このように、末端官能基を用いた分子設計では、鎖中での末端の割合の少なさから、物性改善や制御に限度がある。
そして、そのような広い用途を持ちながら、ポリエステル樹脂は構造上の特徴として結晶性であるために、透明性に劣り、用途が制限されるという側面も有していた。また、ポリエステル樹脂の一種であるPETは、透明化のために、高温で融解させ(>>100℃)、急冷することで結晶化を抑制する、といった特別な成型加工が必要であった。
また、非特許文献1には、両末端に配位結合性リガンド(terピリジン基)を配置したポリエステルと、金属塩(酢酸鉄II)を混合した超分子ポリエステル材料の調製方法について記載されている。
しかしながら、非特許文献1は、金属塩とリガンドの配位結合を利用した「青色発光材料」の調製に関する記述のみであり、結晶性のポリエステルから、金属塩添加により非晶化する方法は記されていない。
特許文献1には、ポリエステル組成物の製造工程において、金属イオン等に配位可能な窒素原子や硫黄原子等のドナー原子を含有する配位子を加え、エステル化触媒等を分離回収するポリエステル組成物の製造方法が記載されている。
しかしながら、上記の配位子は、ポリエステルの構造を結晶性から非結晶性に変更するためでなく、ポリエステル組成物の耐熱性を改善するために添加されたものであるため、ポリエステル組成物の透明性は依然劣ったままであった。
A. Winter, U. S. Schubert, Macromolecular Chemistry and Physics 2007, 208, 1956-1964.
結晶性樹脂は、内部に数10nm〜数μmの結晶ドメインが存在し、可視光が散乱して透明性が失われ、透明化には特別な成型加工を要するといった問題があった。
本発明の課題は上記のような問題を解決し、特別な加工をせずに透明性を有する非結晶性高分子樹脂の材料を提供することである。
本発明の課題は上記のような問題を解決し、特別な加工をせずに透明性を有する非結晶性高分子樹脂の材料を提供することである。
(1)配位結合性リガンドを有する高分子樹脂鎖と、前記配位結合性リガンドに配位結合した金属イオンを含むことを特徴とする透明性高分子樹脂である。
(2)前記高分子樹脂鎖が多価アルコール、ジカルボン酸及びチオール基含有両末端官能性低分子の縮合重合物、並びに付加反応によって前記チオール基含有両末端官能性低分子に結合した前記配位結合性リガンドを含む配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子を含んでなるポリエステルであって、前記多価アルコール:前記配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子が1:0.3超(単位モル比)、前記金属イオン/前記配位結合性リガンドが1/8超(モル比)であることを特徴とする(1)に記載の透明性高分子樹脂である。
付加反応は反応効率の観点から、Michael付加、チオール−エン反応が好ましい。
また、副反応抑制の観点から、前記多価アルコール:前記配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子(単位モル比)は1:1以下が好ましい。
なお、以下の記載において「単位モル比」、「モル比」の記載は省略する場合がある。
(3)前記多価アルコールはジアルコールである(2)に記載の透明性高分子樹脂である。
(4)前記ジアルコールは1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,4−ブタンジオールのうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)又は(3)に記載の透明性高分子樹脂である。
(5)前記チオール基含有両末端官能性低分子はチオリンゴ酸又は2,3-ジメルカプトこはく酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)〜(4)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(6)前記配位結合性リガンドは4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、アクリル酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)〜(5)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(7)前記金属イオンは、塩化亜鉛(II)、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)、過塩素酸亜鉛(II)六水和物、塩化銅(I)、塩化鉄(I)、三過塩素酸ユウロピウム(III)及びクエン酸鉄(III)のうち何れか1種類の金属塩から与えられる金属イオンであることを特徴とする(2)〜(6)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(8)前記金属イオンの重量濃度は前記配位結合性リガンドを有する高分子樹脂の重量を基準として、2.5〜16wt%であることを特徴とする(2)〜(7)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
金属イオンの重量濃度は均一分散性の観点から、3〜10wt%がさらに好ましい。
(9)前記多価アルコール、前記ジカルボン酸及び前記両末端官能性低分子モノマーを重合して高分子樹脂鎖とする工程と、前記高分子樹脂鎖にさらに配位結合性リガンドを結合させる工程と、金属塩を添加して均一に混合させる工程と、を含むことを特徴とする(3)〜(8)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂の製造方法である。
(10)前記両末端官能性低分子モノマーは、チオール基含有両末端官能性低分子であることを特徴とする(9)に記載の透明性高分子樹脂の製造方法である。
(2)前記高分子樹脂鎖が多価アルコール、ジカルボン酸及びチオール基含有両末端官能性低分子の縮合重合物、並びに付加反応によって前記チオール基含有両末端官能性低分子に結合した前記配位結合性リガンドを含む配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子を含んでなるポリエステルであって、前記多価アルコール:前記配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子が1:0.3超(単位モル比)、前記金属イオン/前記配位結合性リガンドが1/8超(モル比)であることを特徴とする(1)に記載の透明性高分子樹脂である。
付加反応は反応効率の観点から、Michael付加、チオール−エン反応が好ましい。
また、副反応抑制の観点から、前記多価アルコール:前記配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子(単位モル比)は1:1以下が好ましい。
なお、以下の記載において「単位モル比」、「モル比」の記載は省略する場合がある。
(3)前記多価アルコールはジアルコールである(2)に記載の透明性高分子樹脂である。
(4)前記ジアルコールは1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,4−ブタンジオールのうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)又は(3)に記載の透明性高分子樹脂である。
(5)前記チオール基含有両末端官能性低分子はチオリンゴ酸又は2,3-ジメルカプトこはく酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)〜(4)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(6)前記配位結合性リガンドは4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、アクリル酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする(2)〜(5)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(7)前記金属イオンは、塩化亜鉛(II)、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)、過塩素酸亜鉛(II)六水和物、塩化銅(I)、塩化鉄(I)、三過塩素酸ユウロピウム(III)及びクエン酸鉄(III)のうち何れか1種類の金属塩から与えられる金属イオンであることを特徴とする(2)〜(6)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
(8)前記金属イオンの重量濃度は前記配位結合性リガンドを有する高分子樹脂の重量を基準として、2.5〜16wt%であることを特徴とする(2)〜(7)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂である。
金属イオンの重量濃度は均一分散性の観点から、3〜10wt%がさらに好ましい。
(9)前記多価アルコール、前記ジカルボン酸及び前記両末端官能性低分子モノマーを重合して高分子樹脂鎖とする工程と、前記高分子樹脂鎖にさらに配位結合性リガンドを結合させる工程と、金属塩を添加して均一に混合させる工程と、を含むことを特徴とする(3)〜(8)の何れか一つに記載の透明性高分子樹脂の製造方法である。
(10)前記両末端官能性低分子モノマーは、チオール基含有両末端官能性低分子であることを特徴とする(9)に記載の透明性高分子樹脂の製造方法である。
本発明では特別な成型加工が必要なく、結晶性高分子を簡便に非結晶化によって透明化することができ、その非結晶化は、高分子種や添加する金属塩の種類によらず、多種に応用可能である。さらに、非結晶化に用いる金属塩は少量であり、比較的安価のため、生産コストの面でも優位である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明は、高分子樹脂を構成する高分子樹鎖の側鎖中に、超分子結合性官能基を多点で導入し、さらにその超分子結合性官能基に金属イオンを結合させた高分子樹脂である。そのように設計することによって、高効率な高分子樹脂の物性改質を行うことができる。
超分子結合性官能基とは即ち配位結合性リガンドであって、窒素原子、又は酸素原子をドナー原子として有し、例えば金属イオンに非共有電子対を与えることができる配位子である。
具体的には、窒素原子をドナー原子とするものとして、ピリジン、アミン、酸素原子をドナー原子とするものとして、カルボン酸、ヒドロキシル基などがある。
チオール基とのMichael反応を介して、それらの配位結合性リガンドを高分子樹脂鎖の側鎖中に導入するために、配位結合性リガンドを含む反応化合物はビニル基を有しているものが好ましい。そのため配位結合性リガンドを含む反応化合物としては、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、アクリル酸などが用いられる。
配位結合性リガンドに配位結合する金属イオンは、二つの配位結合性リガンドに配位する観点から二価が好ましく、配位結合を形成し高分子鎖の配列を乱し得るという観点から一価でもよく、三価以上でもよい。
二価の金属イオンを与える塩としては、配位結合形成能力の観点から、塩化亜鉛(II)や塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)、過塩素酸亜鉛(II) 六水和物、塩化銅(II)が好ましい。一価の金属イオンを与える塩としては、配位結合形成能力の観点の観点から、塩化銅(I)、塩化鉄(I)が好ましい。また三価以上の金属イオンを与える塩としては、配位結合形成能力の観点の観点から、三過塩素酸ユウロピウム(III)やクエン酸鉄(III)が好ましい。
上記の金属イオン重量濃度は配位結合リガンド含有高分子樹脂の重量を基準として、配位結合リガンドに対するモル比の観点から3〜15wt%であり、好ましくは8〜10wt%である。
高分子樹脂鎖は低分子モノマーを重合してうることができ、合成の簡便さやスケールアップのし易さの観点から、縮合重合が好ましい。
縮合重合する低分子モノマーとしては、両末端官能性低分子モノマーを好ましく用いることができる。例えば高分子樹脂がポリエステルである場合には、両末端官能性低分子モノマーとして、アジピン酸などのジカルボン酸と1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオールや1,4−ブタンジオールなどジアルコールを含む多価アルコールを用いることができる。
縮合重合する低分子モノマーとしては、両末端官能性低分子モノマーを好ましく用いることができる。例えば高分子樹脂がポリエステルである場合には、両末端官能性低分子モノマーとして、アジピン酸などのジカルボン酸と1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオールや1,4−ブタンジオールなどジアルコールを含む多価アルコールを用いることができる。
縮合重合されて高分子樹脂の構成要素となり、配位結合性リガンドを含むユニットを付加結合可能な両末端官能性低分子モノマーとしては、様々なものを用いることができるが、沸点などの熱特性やリガンド導入反応のし易さの観点から、ジカルボン酸のチオール基含有化合物であるものを好ましく用いることができる。具体的にはチオリンゴ酸、2,3-ジメルカプトこはく酸などである。
前述した高分子樹脂に求められる物性改質には、熱耐性や強度など様々あるが、高分子樹脂が結晶性である場合には、結晶性のため透明性が劣り、例えば容器材料としたとき、内容物を容器外部から視認することが困難となり、使い勝手が悪いことが多い。すなわち結晶性高分子樹脂に求められる物性改質として、透明性が高いことが重要である場合が多い。
図1に基づいて、本発明に係る透明性高分子樹脂の透明化メカニズムの説明を行う。図1(A)に示すように、配位結合性リガンド(3)を有する結晶性の高分子樹脂(1)は、配位結合性リガンド(3)を有する高分子鎖(2)を有し、結晶ドメイン(4)が形成されている。配位結合性リガンド(3)を有する結晶性の高分子樹脂(1)は、結晶ドメイン(4)が形成されているがゆえに、結晶性であって透明性が劣る。
図1(B)に示すように、配位結合性リガンド(3)を有する結晶性の高分子樹脂(1)に、金属塩5を添加して、金属イオン(6)が配位結合性リガンド(3)に結合すると、金属塩5が均一に分散する。すると、結晶構造の分子鎖配列が乱される。故に、結晶ドメイン(4)が消失し、配位結合性リガンド(3)に金属オン(6)が配位結合した非結晶性の透明性高分子樹脂(7)となる。配位結合性リガンド(3)に金属イオン(6)が配位結合した非結晶性の透明性高分子樹脂(7)は、結晶ドメイン(4)が形成されていないがゆえに、非結晶性であって高い透明性を有する。
図1(C)に示すように、同(A)に対応する不透明性高分子樹脂(10)は透明性に劣り、同(D)に示すように同(B)に対応する透明性高分子樹脂(11)は高い透明性を有する。なお、対応するとは、後述する対応する実施例に基づく高分子樹脂ということである。
図2には、アジピン酸、チオリンゴ酸及びヘキサンジオールを溶融重縮合したポリエステルに、Michael付加によって配位結合性リガンドを導入するために4−ビニルピリジンを付加する実施例1に対応した合成手順を示した。また、図3には、その合成手順における高分子樹脂とその高分子樹脂の外観(透明性)との関係を示した。
高分子樹脂鎖が多価アルコール、ジカルボン酸及びチオール基含有両末端官能性低分子の縮合重合物、並びに付加反応によってチオール基含有両末端官能性低分子に結合した配位結合性リガンドを含む配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子を含んでなるポリエステルであって、高分子樹脂の透明性の観点から、多価アルコール:配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子が1:0.3超(単位モル比)、金属イオン/配位結合性リガンドが1/8超(モル比)であることが好ましい。
なお、以下の記載では単位モル比とモル比は省略する場合がある。
なお、以下の記載では単位モル比とモル比は省略する場合がある。
(ポリエステルの縮合)
以下のようにして、多点メルカプト基を有するPE(4VP、C6)0.3(比較例2)の前駆体となるポリエステルを得た。少量のSc(OTf)3を添加して1,6−ヘキサンジオール(1.18g、10mmol)、アジピン酸(1.32g、7mmol)及びチオリンゴ酸(1.50g、3mmol)の混合物に対してエステル交換反応を行った。その混合物を60℃で3hrの間均一化し、真空化で約10hrの間80℃で縮合反応を行った。複数回、THF溶液に溶解した縮合反応物を、メタノール中に沈殿することによって精製を行った。
また、比較例2において、1,6−ヘキサンジオールの代わりに1,5−ペンタンジオール(1.04g、10mmol)を用いる以外は、比較例2と同様にして比較例4(4VP、C5)0.3の前駆体となるポリエステルを得た。
以下のようにして、多点メルカプト基を有するPE(4VP、C6)0.3(比較例2)の前駆体となるポリエステルを得た。少量のSc(OTf)3を添加して1,6−ヘキサンジオール(1.18g、10mmol)、アジピン酸(1.32g、7mmol)及びチオリンゴ酸(1.50g、3mmol)の混合物に対してエステル交換反応を行った。その混合物を60℃で3hrの間均一化し、真空化で約10hrの間80℃で縮合反応を行った。複数回、THF溶液に溶解した縮合反応物を、メタノール中に沈殿することによって精製を行った。
また、比較例2において、1,6−ヘキサンジオールの代わりに1,5−ペンタンジオール(1.04g、10mmol)を用いる以外は、比較例2と同様にして比較例4(4VP、C5)0.3の前駆体となるポリエステルを得た。
(ピリジンリガンドを有するポリエステル、比較例1〜6)
以下のようにして、Michael付加によって、ピリジンリガンドを有するポリエステルPE(4VP、C6)0.3(比較例2)を得た。メルカプト基を有するポリエステル(0.4g、0.16mmol)をDMF(3.0ml)に溶解し、4−ビニルピリジン(0.0826g、0.79mmol)とトリエチルアミン(24.3ml、0.17mmol)を添加した。反応はオーバーナイト、40℃で行った。未反応の4−ビニルピリジンは、複数回、THF溶液に溶解した付加反応物をメタノール中に再沈殿することによって除去した。
比較例2において、アジピン酸とチオリンゴ酸の割合を変える以外は、比較例2と同様にして比較例1(PE(4VP、C6)0.5)、比較例3(PE(4VP、C6)0.1)を調製した。
以下のようにして、Michael付加によって、ピリジンリガンドを有するポリエステルPE(4VP、C6)0.3(比較例2)を得た。メルカプト基を有するポリエステル(0.4g、0.16mmol)をDMF(3.0ml)に溶解し、4−ビニルピリジン(0.0826g、0.79mmol)とトリエチルアミン(24.3ml、0.17mmol)を添加した。反応はオーバーナイト、40℃で行った。未反応の4−ビニルピリジンは、複数回、THF溶液に溶解した付加反応物をメタノール中に再沈殿することによって除去した。
比較例2において、アジピン酸とチオリンゴ酸の割合を変える以外は、比較例2と同様にして比較例1(PE(4VP、C6)0.5)、比較例3(PE(4VP、C6)0.1)を調製した。
また、比較例2において、比較例2の前駆体の代わりに比較例4の前駆体を用いる以外は、比較例2と同様にして比較例4(PE(4VP、C5)0.3)を得た。
さらに、比較例4において、4−ビニルピリジンの代わりに2−ビニルピリジン(0.0826g、0.79mmol)を用いる以外は、比較例4と同様にして比較例5(PE(2VP、C5)0.3)を、4−ビニルピリジンの代わりにアクリル酸(0.056g、0.79mmol)を用いる以外は比較例4と同様にして比較例6(PE(COOH、C5)0.3)を、それぞれ調製した。
さらに、比較例4において、4−ビニルピリジンの代わりに2−ビニルピリジン(0.0826g、0.79mmol)を用いる以外は、比較例4と同様にして比較例5(PE(2VP、C5)0.3)を、4−ビニルピリジンの代わりにアクリル酸(0.056g、0.79mmol)を用いる以外は比較例4と同様にして比較例6(PE(COOH、C5)0.3)を、それぞれ調製した。
(実施例1〜14、比較例7〜11)
以下のようにして、実施例6のPE(4VP、C6)0.3[1/2]を得た。比較例2の30mgとZnCl2の2.67mgを、ピリジン/水(体積比9/1)を混合した溶媒中に溶解して、次いでフッ素樹脂製モールド中で混合し、4日間40℃で加熱プレートと1日間真空によって、溶媒をゆっくり蒸発して、32.67mgの試料(実施例6)を得た。実施例6の調製において、比較例2の代わりに、表1に示すように比較例1、3又はZnCl2量を変化させる以外は、実施例6と同様にして実施例1〜5及び7、比較例7〜11を得た。これらの実施例、比較例の外観は直径2cmの略円形状に対して、厚み約0.3mmであった。なお、例えば実施例6の金属イオンの重量濃度は8.2(=2.67/(2.67+30)×100)wt%であった。
以下のようにして、実施例6のPE(4VP、C6)0.3[1/2]を得た。比較例2の30mgとZnCl2の2.67mgを、ピリジン/水(体積比9/1)を混合した溶媒中に溶解して、次いでフッ素樹脂製モールド中で混合し、4日間40℃で加熱プレートと1日間真空によって、溶媒をゆっくり蒸発して、32.67mgの試料(実施例6)を得た。実施例6の調製において、比較例2の代わりに、表1に示すように比較例1、3又はZnCl2量を変化させる以外は、実施例6と同様にして実施例1〜5及び7、比較例7〜11を得た。これらの実施例、比較例の外観は直径2cmの略円形状に対して、厚み約0.3mmであった。なお、例えば実施例6の金属イオンの重量濃度は8.2(=2.67/(2.67+30)×100)wt%であった。
実施例6において、比較例2の代わりに、比較例4の30mgを用いること以外は実施例6と同様にして32.67mgの試料(実施例10)を得た。実施例10において、ZnCl2量を変化させる以外は、実施例10と同様にして実施例8、9を得た。実施例10において、比較例4の代わりに、表1に示すように比較例5、6又はZnCl2量を変化させる以外は、実施例10と同様にして実施例11〜14を得た。これらの実施例の外観は直径2cmの略円形状に対して、厚み約0.3mmであった。
比較例1〜6の物性は表2のようであった。表2において、数分子量MnとPDIはLiBr(0.05wt%)を添加したDMFを用いたGPCによって決定した(標準試料:ポリメタクリル酸)。単位モル比はピリジン付加チオリンゴ酸(もしくはアクリル酸付加チオリンゴ酸)/アジピン酸/1,6−ヘキサンジオールの順であり、Npyは鎖中のピリジン基数、NCOOHは鎖中のカルボン酸基数を表す。
図4(A)には、PE(4VP、C6)0.5(比較例1)、同(B)PE(4VP、C6)0.3(比較例2)及び同(C)PE(4VP、C6)0.1(比較例3)とその前駆体のGPCチャートをそれぞれ示す。何れにおいても、比較例のピークがその前駆体にピークよりも溶出時間が短くなっており、比較例の分子量が増加していることが分かった。なお、測定装置は次のようであった。Shodex KD803で804 カラム、Tosoh DP8020 ポンプシステム、RI検出器 (Tosoh RI−8020)を用いた。また、溶離液はLiBr(0.05wt%)を添加したDMFを用いた。
図4(A)には、PE(4VP、C6)0.5(比較例1)、同(B)PE(4VP、C6)0.3(比較例2)及び同(C)PE(4VP、C6)0.1(比較例3)とその前駆体のGPCチャートをそれぞれ示す。何れにおいても、比較例のピークがその前駆体にピークよりも溶出時間が短くなっており、比較例の分子量が増加していることが分かった。なお、測定装置は次のようであった。Shodex KD803で804 カラム、Tosoh DP8020 ポンプシステム、RI検出器 (Tosoh RI−8020)を用いた。また、溶離液はLiBr(0.05wt%)を添加したDMFを用いた。
表2において、単位モル比は、GPC測定によるMnと1H−NMR積分比とによって評価したピリジン付加チオリンゴ酸(もしくはアクリル酸付加チオリンゴ酸)、アジピン酸及び1,6−ヘキサンジオールの単位数によって求めた。表記は、ピリジン付加チオリンゴ酸 (もしくはアクリル酸付加チオリンゴ酸)/ アジピン酸 / 1,6−ヘキサンジオール(もしくは1,5−ペンタンジオール)である。また、表3には、ピリジン付加チオリンゴ酸(もしくはアクリル酸付加チオリンゴ酸)、アジピン酸及び1,6−ヘキサンジオール(もしくは1,5−ペンタンジオール)の単位数を示した。単位数は、Mn、1H-NMRから求めた各モノマー単位の割合、各モノマーのモル分子量の連立方程式を解いて求めた。
図5に比較例の合成におけるプロトン位置を記号(a〜d、A〜F)で示し、図6〜8に、PE(4VP、C6)0.5(比較例1)、PE(4VP、C6)0.3(比較例2)及びPE(4VP、C6)0.1(比較例3)について、それらの前駆体とMichael反応後でのNMRスペクトルを示した。図5〜8によって目的とする高分子樹脂である比較例1〜3が合成されていることが分かった。
図9は、PE(4VP、C6)0.3(比較例2)、比較例7、実施例5〜7のFT−IRを示す図である。図9からピリジン(以下、Pyと言う場合がある)のC=N結合の伸縮運動のピーク(1600cm−1)が、ZnCl2の増加に伴って1618cm−1にシフトしており、この結果は配位結合の形成を示していた。また、PyとZnCl2の比が2:1となるPE(4VP、C6)0.3(実施例6)で、1600cm−1でのピークが消滅したことから、この比ですべてのPyが配位結合を形成したことがわかった。測定装置は、FT/IR430、ATRアタッチメント(JASCO Co.)を用いた。
図10は、下記の式(1)から求めた未配位結合のピリジン基のフラクション(ffree)を、PE(4VP、C6)0.3のシリーズ、すなわち比較例2、比較例7、実施例5〜7について、Zn2+/Pyに対して示した図である。なお、A1600、A1608、A1620はそれぞれ1600、1608、1620cm−1にピークトップを有するピークの面積を表す。
図10から以下のことが分かった。すなわち、ffreeは、Zn2+/Py=0から1/2(=0.5)まで系統的に減少していることが判った。
図10から以下のことが分かった。すなわち、ffreeは、Zn2+/Py=0から1/2(=0.5)まで系統的に減少していることが判った。
図11は、比較例2[neat]、比較例7、実施例5〜7の第二昇温過程でのDSCサーモグラフを、それぞれ示す図であり、図11中の矢印はガラス転移温度を示す。
図11からZnCl2の添加量の増加に伴い、ガラス転移温度の系統的な上昇が観られた。これは配位結合の形成により、高分子鎖の運動が制限されたためだと考えられる。また、興味深いことに、[Zn2+]/[Py]>0.25 の試料では、結晶の融解ピークが観測されなくなった。
図11からZnCl2の添加量の増加に伴い、ガラス転移温度の系統的な上昇が観られた。これは配位結合の形成により、高分子鎖の運動が制限されたためだと考えられる。また、興味深いことに、[Zn2+]/[Py]>0.25 の試料では、結晶の融解ピークが観測されなくなった。
図12は比較例2[neat]、比較例7、実施例5〜7のSAXS(X線小角散乱法)プロファイルを、それぞれ示す図である。図12からは、結晶ドメインの相関に由来する散乱ピークが、[Zn2+]/[Py]=0.5では観測されなくなった。
図11と図12から、結晶の融解ピークが観測されなくなった場合に、SAXS測定において結晶構造に由来するピークが減少、消滅すること確認できて、巨視的にも、配位結合形成後のもののみが高い透明性を有していた。すなわち配位結合の割合が高い((1−ffree)>0.8)実施例が高い透明性を有していた。これらの現象は、ZnCl2が配位結合を介して系内に一様に分散し、高分子鎖の配列を阻害するためだと考えられた。
試料とした実施例1〜14、比較例7〜11(それぞれ直径2cmの略円形状に対して、厚み約0.3mmの外観を有するもの)について、透明性試験によってそれらの透明性を調べた。透明性試験は、図13のように、各試料を白い紙に黒字で「NI Tech」と書かれた文字の箇所におき、目視にてその文字の見え方を観察した。その結果を表4に示した。また、比較例2の前駆体を熱架橋した比較例12の透明性は×であった。
◎:優れた透明性を有していた 〇:透明性を有していた ×:透明性に劣っていた
表4と図2を対比することによって以下のことが分った。
(1)試料は、多価アルコールが1,6−ヘキサンジオールであって、1,6−ヘキサンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.5(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.5:0.5)、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/1で優れた透明性を有していた(実施例1〜4)。
(1)試料は、多価アルコールが1,6−ヘキサンジオールであって、1,6−ヘキサンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.5(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.5:0.5)、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/1で優れた透明性を有していた(実施例1〜4)。
(2)試料は、多価アルコールが1,6−ヘキサンジオールであって、1,6−ヘキサンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3)、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドは、1/2〜1/1で優れた透明性(実施例6、7)又は亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドは、1/4で透明性(実施例5)を、それぞれ有していた。
(3)試料は、多価アルコールが1,5−ペンタンジオールであって、1,5−ペンタンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3)、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/2で優れた透明性を有していた(実施例8〜10)。
また、1,5−ペンタンジオールであって、1,5−ペンタンジオール:2−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(2−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3、なお、図2では2−ビニルピリジンを4-ビニルピリジンとして記載している)、亜鉛イオン/2−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/2で優れた透明性を有していた(実施例11〜13)。
さらに、また、1,5−ペンタンジオールであって、1,5−ペンタンジオール:アクリル酸付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):アクリル酸付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3、なお、図2ではアクリル酸を4-ビニルピリジンとして記載している)、亜鉛イオン/アクリル酸リガンドが1/2で透明性を有していた(実施例14)。
また、1,5−ペンタンジオールであって、1,5−ペンタンジオール:2−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):(2−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3、なお、図2では2−ビニルピリジンを4-ビニルピリジンとして記載している)、亜鉛イオン/2−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/2で優れた透明性を有していた(実施例11〜13)。
さらに、また、1,5−ペンタンジオールであって、1,5−ペンタンジオール:アクリル酸付加チオリンゴ酸が1:0.3(図2において、アジピン酸+ヘキサンジオール)のユニット(x):アクリル酸付加チオリンゴ酸+ヘキサンジオール)のユニット(y)が0.7:0.3、なお、図2ではアクリル酸を4-ビニルピリジンとして記載している)、亜鉛イオン/アクリル酸リガンドが1/2で透明性を有していた(実施例14)。
一方、多価アルコールが1,6−ヘキサンジオールであって、1,6−ヘキサンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.3、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドが1/8のとき(比較例7)、1,6−ヘキサンジオール:4−ビニルピリジン付加チオリンゴ酸が1:0.1、亜鉛イオン/4−ビニルピリジンリガンドが1/8〜1/1のときは透明性に劣っていた(比較例8〜11)。
(実施例15〜20)
実施例6において、塩化亜鉛の代わりに、塩化鉄(II)2.15mg、塩化銅(II)2.28mg、塩化コバルト(II)2.20mg、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)6.17mg、過塩素酸亜鉛(II)六水和物6.34mg、三過塩素酸ユウロピウム(III)6.8mgを用いた以外は、実施例6と同様にして実施例15〜20を得た。ただし、実施例18と20はMn+/Py(金属イオン/4−ビニルピリジン)は1/3となるようにしていた。
それらの試料の透明性等を表5まとめた。実施例15、16では透明性を有し、実施例17〜20では優れた透明性を有していた。なお、透明性について実施例15〜19ではそれぞれの金属イオンに従った有色な透明性であり、実施例20では蛍光性の優れた透明性であった。
実施例6において、塩化亜鉛の代わりに、塩化鉄(II)2.15mg、塩化銅(II)2.28mg、塩化コバルト(II)2.20mg、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)6.17mg、過塩素酸亜鉛(II)六水和物6.34mg、三過塩素酸ユウロピウム(III)6.8mgを用いた以外は、実施例6と同様にして実施例15〜20を得た。ただし、実施例18と20はMn+/Py(金属イオン/4−ビニルピリジン)は1/3となるようにしていた。
それらの試料の透明性等を表5まとめた。実施例15、16では透明性を有し、実施例17〜20では優れた透明性を有していた。なお、透明性について実施例15〜19ではそれぞれの金属イオンに従った有色な透明性であり、実施例20では蛍光性の優れた透明性であった。
特別な加工をせずに透明性を有する非結晶性高分子樹脂の材料を提供することができる。
1 :配位結合性リガンドを有する結晶性の高分子樹脂
2 :配位結合性リガンドを有する高分子樹脂鎖
3 :配位結合性リガンド
4 :結晶ドメイン
5 :金属塩
6 :金属イオン
7 :配位結合性リガンドに金属塩が配位結合した非結晶性の透明性高分子樹脂
10:不透明性高分子樹脂
11:透明性高分子樹脂
13:実施例6の透明性高分子樹脂
14:比較例2の不透明性高分子樹脂
15:比較例9の不透明性高分子樹脂
2 :配位結合性リガンドを有する高分子樹脂鎖
3 :配位結合性リガンド
4 :結晶ドメイン
5 :金属塩
6 :金属イオン
7 :配位結合性リガンドに金属塩が配位結合した非結晶性の透明性高分子樹脂
10:不透明性高分子樹脂
11:透明性高分子樹脂
13:実施例6の透明性高分子樹脂
14:比較例2の不透明性高分子樹脂
15:比較例9の不透明性高分子樹脂
Claims (10)
- 配位結合性リガンドを有する高分子樹脂鎖と、前記配位結合性リガンドに配位結合した金属イオンを含むことを特徴とする透明性高分子樹脂。
- 前記高分子樹脂鎖が多価アルコール、ジカルボン酸及びチオール基含有両末端官能性低分子縮合重合物、並びに付加反応によって前記チオール基含有両末端官能性低分子に結合した前記配位結合性リガンドを含む配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子を含んでなるポリエステルであって、前記多価アルコール:前記配位結合性リガンド付加チオール基含有両末端官能性低分子が1:0.3超(単位モル比)、前記金属イオン/前記配位結合性リガンドが1/8超(モル比)であることを特徴とする請求項1に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記多価アルコールはジアルコールである請求項2に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記ジアルコールは1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,4−ブタンジオールのうち何れか1種類を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記チオール基含有両末端官能性低分子はチオリンゴ酸又は2,3-ジメルカプトこはく酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記配位結合性リガンドは4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、アクリル酸のうち何れか1種類を含むことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記金属イオンは、塩化亜鉛(II)、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)、過塩素酸亜鉛(II)六水和物、塩化銅(II)、塩化銅(I)、塩化鉄(I)、三過塩素酸ユウロピウム(III)及びクエン酸鉄(III)のうち何れか1種類の塩から与えられる金属イオンであることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記金属イオンの重量濃度は、前記配位結合性リガンドを有する高分子樹脂の重量を基準として、2.5〜16wt%であることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の透明性高分子樹脂。
- 前記多価アルコール、前記ジカルボン酸及び前記両末端官能性低分子モノマーを重合して高分子樹脂鎖とする工程と、前記高分子樹脂鎖にさらに配位結合性リガンドを結合させる工程と、金属塩を添加して均一に混合させる工程と、を含むことを特徴とする請求項3〜8の何れか1項に記載の透明性高分子樹脂の製造方法。
- 前記両末端官能性低分子モノマーは、チオール基含有両末端官能性低分子であることを特徴とする請求項9に記載の透明性高分子樹脂の製造方法。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN112708117A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-27 | 江苏恒力化纤股份有限公司 | 一种高阻隔瓶级聚酯及其制备方法 |
WO2022239439A1 (ja) * | 2021-05-10 | 2022-11-17 | 国立大学法人 名古屋工業大学 | アミノ基含有ポリエステル樹脂、およびアミノ基含有架橋ポリエステル樹脂 |
-
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