JP2019189289A - 包装用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な密封性を確保することができ、且つ、必要な時には開蓋しやすい包装用容器を提供する。【解決手段】包装用容器(1)は、周壁部(32)の上部に形成された環状凸部(33)を有する容器本体(3)と、環状凸部(33)に嵌合する環状凹部(53)を有する蓋体(5)とを備える。内側係合部(Ei)が、環状凸部(33)の係合面部(43)と環状凹部(53)の係合面部(62)とが密着する状態で全周に亘って設けられ、外側係合部(Eo)が、周方向に断続的に設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、包装用容器に関する。
例えば弁当や惣菜等の食品を包装するために、包装用容器が用いられている。例えば特開2009−62073号公報(特許文献1)には、周壁部の上部に形成された環状凸部〔嵌合凸条B1〕を有する容器本体〔容器本体B〕と、環状凸部に嵌合する環状凹部〔嵌合凹条C1〕を有する蓋体〔蓋体C〕とを備える包装用容器が開示されている。このような内外嵌合タイプの包装用容器は、密封性が高く液漏れしにくいため、水分の多い惣菜やいわゆる汁物を収容するのに適している。
しかし、その一方で、容器本体と蓋体との嵌合が強固であるが故に、必要な時に開蓋しにくいという課題があった。
特開2009−62073号公報
十分な密封性を確保することができ、且つ、必要な時には開蓋しやすい包装用容器の実現が望まれている。
本発明に係る包装用容器は、
周壁部の上部に形成された環状凸部を有する容器本体と、前記環状凸部に嵌合する環状凹部を有する蓋体と、を備える包装用容器であって、
前記環状凸部と前記環状凹部との間に、内側係合部と外側係合部とが形成されており、
前記内側係合部が、前記環状凸部の係合面部と前記環状凹部の係合面部とが密着する状態で全周に亘って設けられ、
前記外側係合部が、周方向に断続的に設けられている。
この構成によれば、内側係合部において環状凸部の係合面部と環状凹部の係合面部とが全周に亘って密着するので、十分な密封性を確保することができる。一方、外側係合部は、内側係合部によって十分な密封性が確保される点に鑑み、全周に亘ってではなく周方向に断続的に設けられるので、容器本体と蓋体との嵌合を強固としながらも過度に強固となるのを回避することができる。すなわち、全周に亘る内側係合部と断続的な外側係合部との組み合わせにより、適度な密封性と適度な嵌合力とが両立されている。従って、十分な密封性を確保することができ、且つ、必要な時には開蓋しやすい包装用容器を実現することができる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
一態様として、
前記環状凸部の外側の垂下壁部に、全周に亘って内方に窪む凹溝が形成されているとともに、前記環状凹部の外側の垂下壁部に、内方に突出して前記凹溝に係入する複数の線状突起が断続的に形成され、
前記外側係合部が、複数の前記線状突起の形成位置に、前記凹溝と前記線状突起とが係合してなる係合部として設けられていることが好ましい。
この構成によれば、環状凸部の垂下壁部に形成される凹溝と、それに係入するように環状凹部の垂下壁部に形成される線状突起とにより、比較的簡易な構造で外側係合部を設けることができる。この場合において、凹溝を全周に亘って形成しておくことで、所望の位置に線状突起を形成するだけで、当該位置に外側係合部を設けることができる。よって、包装用容器の用途に応じた外側係合部の位置変更に、柔軟に対応することができる。
一態様として、
前記凹溝は、下方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状傾斜面を有し、
鉛直面に対する前記逆テーパー状傾斜面のなす角が、30°以上90°以下であることが好ましい。
この構成によれば、意図しない開蓋方向の外力が蓋体に作用した場合でも、逆テーパー状傾斜面に線状突起が当接することで、それ以上の開蓋方向への蓋体の移動を規制することができる。よって、意図せず蓋体が容器本体から外れてしまうのを抑制することができる。
一態様として、
前記線状突起は、下方に向かうに従って内方に向かう上部傾斜面と、前記上部傾斜面よりも下方で下方に向かうに従って外方に向かう下部傾斜面と、を有することが好ましい。
この構成によれば、閉蓋時には凹溝への線状突起の係入が下部傾斜面によって案内されるので、閉蓋操作を円滑に行うことができる。また、開蓋時には凹溝からの線状突起の離脱が上部傾斜面によって案内されるので、意図的な開蓋操作を円滑に行うことができる。よって、閉蓋操作及び開蓋操作の容易化を図ることができる。
一態様として、
前記上部傾斜面と前記下部傾斜面とのなす角が、75°以上105°以下であることが好ましい。
この構成によれば、上部傾斜面及び下部傾斜面を、それぞれ、相手方に対する一種の“リブ”として働かせることができる。よって、比較的簡単な構成で線状突起の強度を高めることができる。また、鉛直面に対する上部傾斜面のなす角及び鉛直面に対する下部傾斜面のなす角を、それぞれ適度な大きさとすることができる。よって、円滑な閉蓋操作及び開蓋操作を容易に担保することができる。
一態様として、
前記蓋体は、前記垂下壁部の外縁よりも外方に突出する舌片状の摘み部を有し、
前記摘み部が、いずれかの前記線状突起の端部に隣接する位置に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、摘み部を把持して開蓋操作を行う際に、摘み部に隣接する少なくとも1つの線状突起の、凹溝からの離脱のきっかけを作り出すことができる。よって、意図的な開蓋操作を円滑に行うことができる。
一態様として、
前記摘み部が、周方向に隣り合う2つの前記線状突起のそれぞれの端部間に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、摘み部を把持して開蓋操作を行う際に、摘み部の両隣に隣接する2つの線状突起の、凹溝からの離脱のきっかけを作り出すことができる。よって、意図的な開蓋操作をより円滑に行うことができる。
一態様として、
前記外側係合部の係合深さが、前記内側係合部の係合深さよりも深いことが好ましい。
この構成によれば、外側係合部の係合深さを相対的に深くすることで、複数の外側係合部が周方向に断続的に設けられる場合であっても、外側係合部全体としての嵌合力を適度に高めることができる。
一態様として、
前記外側係合部の係合深さが、前記内側係合部の係合深さの2倍以上であることが好ましい。
この構成によれば、外側係合部全体として、良好な嵌合力を得ることができる。
一態様として、
前記蓋体の外縁が、全周に亘って前記容器本体の外縁よりも内方に位置していることが好ましい。
この構成によれば、開蓋方向の外力が意図せず蓋体に作用するのを回避することができ、不用意な開蓋を効果的に抑制することができる。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
実施形態の包装用容器の分解側面図 容器本体の平面図 蓋体の平面図 包装用容器の分解断面図 図1におけるV−V断面図 図1におけるVI−VI断面図 包装用容器の分解斜視図 別態様の包装用容器の拡大断面図 別態様の包装用容器の拡大断面図 別態様の包装用容器の分解斜視図
包装用容器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、弁当や惣菜等の食品を被収容物としてその内部に収容する包装用容器(食品包装用容器)1を例として説明する。この包装用容器1は、水分の多い惣菜や、いわゆる汁物を収容するのに適しており、特に、電子レンジで加熱される食品を収容するのに適している。
なお、以下では、包装用容器1の内部側に向かう方向(外縁側から中央側に向かう方向)を「内方」と言い、包装用容器1の外部側に向かう方向(中央側から外縁側に向かう方向)を「外方」と言う。
図1に示すように、包装用容器1は、容器本体3と蓋体5とを備えている。包装用容器1は、シート成形によって形成されている。包装用容器1を構成する容器本体3及び蓋体5が、それぞれ、シート成形によって形成されている。容器本体3及び蓋体5は、例えば厚みが0.1mm〜3mm(好ましくは0.2mm〜1.5mm)の合成樹脂シートを熱成形(例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、及び熱板成形等)して形成することができる。容器本体3と蓋体5とで、シート厚が異なっても良い。
容器本体3及び蓋体5を構成する合成樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、及びポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらは、発泡シートであっても良いし、非発泡シートであっても良い。また、積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、及び押出ラミネートシート等を用いることができる。
容器本体3及び蓋体5は、例えば黒色や白色等の有色であっても良いし、無色透明であっても良い。また、容器本体3を白色に形成するとともに蓋体5を無色透明に形成する等、容器本体3と蓋体5とで色を異ならせても良い。蓋体5を無色透明に形成すれば、被収容物たる食品を外から視認しやすいので好ましい。なお、容器本体3及び蓋体5少なくとも一方には、模様等のデザインが付されても良い。
容器本体3は、食品を収容する碗状の器である。図1、図2、及び図4に示すように、容器本体3は、底面部31と、周壁部32と、環状凸部33と、摘み部34とを備えている。底面部31は、容器本体3の底部を形成している。周壁部32は、全体として筒状をなすように、底面部31の周縁から上方に延びている。周壁部32は、上方に向かうに従って外方に向かうように拡開している。環状凸部33は、周壁部32の上部に全周に亘って形成されている。環状凸部33は、上方に向かって凸となるように形成されている。摘み部34は、環状凸部33の外縁から外方に突出している。摘み部34は、舌片状に形成されて略水平に配置されている。
蓋体5は、容器本体3に対してその上部開口を覆うように取り付けられる。図1、図3、及び図4に示すように、蓋体5は、天面部51と、周壁部52と、環状凹部53と、摘み部54とを備えている。天面部51は、蓋体5の天井部を形成している。周壁部52は、全体として筒状をなすように、天面部51の周縁から下方に延びている。周壁部52は、下方に向かうに従って外方に向かうように拡開している。環状凹部53は、周壁部52の下部に全周に亘って形成されている。環状凹部53は、上方に向かって窪む(凹む)ように形成されている。摘み部54は、環状凹部53の外縁から外方に突出している。摘み部54は、舌片状に形成されて略水平に配置されている。摘み部54は、閉蓋状態で、容器本体3の摘み部34に重ね合わされる。
閉蓋時には、蓋体5の環状凹部53が容器本体3の環状凸部33に上方から嵌合して、容器本体3と蓋体5とが一体化される(図5及び図6を参照)。環状凸部33及び環状凹部53は、所定の径方向幅及び所定の高さ(深さ)を有しており、環状凸部33と環状凹部53との間には、内側係合部Eiと外側係合部Eoとが形成される。詳しくは後述するように、内側係合部Eiは、全周に亘って設けられる。一方、外側係合部Eoは、周方向に断続的に設けられる。一般的な内外嵌合タイプの包装用容器は、内嵌合部及び外嵌合部がいずれも全周に亘って設けられるのに対して、本実施形態の包装用容器1は、内側係合部Eiだけが全周に亘って設けられ、外側係合部Eoは断続的に設けられる点で異なっている。
以下、内側係合部Ei及び外側係合部Eoの近傍における容器本体3及び蓋体5の構造について、より具体的に説明する。
図5及び図6に示すように、容器本体3は、第一段部41と、第二段部42と、内側係合面部43と、頂面部44と、垂下壁部45と、凹溝46と、鍔部47とを備えている。第一段部41は、周壁部32の上部から連続して形成されている。第二段部42は、第一段部41の上部から連続して形成されている。第一段部41及び第二段部42は、水平に配置される平坦面をそれぞれ有している。第二段部42の平坦面は、蓋体5の載置面部61が載置される被載置面となっている。
内側係合面部43は、第二段部42から連続して形成されている。内側係合面部43は、上方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状に形成されている。鉛直面に対する内側係合面部43のなす角αは、特に限定されるものではないが、例えば1°以上30°以下(好ましくは10°以上20°以下)とすることができる。内側係合面部43には、蓋体5の内側係合面部62が内方から係合(嵌合)する。
頂面部44は、内側係合面部43の上部から連続して形成されている。頂面部44は、水平に配置される平坦面を有している。垂下壁部45は、頂面部44の外側部位から連続して形成されている。垂下壁部45は、下方に向かうに従って外方に向かうテーパー状に形成されている。垂下壁部45における中央領域には、外方に向かって膨出する膨出部45Aが形成されている。膨出部45Aは、全周に亘って形成されている。この膨出部45Aの存在によって垂下壁部45における外方に膨らんだ部位に、凹溝46が形成されている。
凹溝46は、全周に亘って内方に窪むように形成されている。凹溝46は、逆テーパー状傾斜面46Aと、鉛直底面46Bと、下部傾斜面46Cとによって区画される溝部として形成されている。逆テーパー状傾斜面46Aは、膨出部45Aの下部から、下方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状に形成されている。鉛直底面46Bは、逆テーパー状傾斜面46Aの下部から延びる鉛直面として形成され、凹溝46の底面を構成している。下部傾斜面46Cは、鉛直底面46Bの下部から、下方に向かうに従って外方に向かうテーパー状に形成されている。本実施形態の下部傾斜面46Cは、上方に向かって凸の湾曲傾斜面として形成されている。
鉛直面に対する逆テーパー状傾斜面46Aのなす角βは、特に限定されるものではないが、30°以上90°以下であることが好ましい。鉛直面に対する逆テーパー状傾斜面46Aのなす角βは、45°以上75°以下であることがより好ましい。
鍔部47は、垂下壁部45(下部傾斜面46C)の下部から連続して形成されている。鍔部47は、垂下壁部45(下部傾斜面46C)から外方に向かう水平面として形成されている。この鍔部47の外縁が、容器本体3の外縁となっている。
図5に示すように、蓋体5は、載置面部61と、内側係合面部62と、頂面部63と、垂下壁部64とを備えている。載置面部61は、周壁部52の下部から連続して形成されている。載置面部61は、平坦面に形成されて水平に配置されている。この載置面部61は、閉蓋状態で、容器本体3の第二段部42の平坦面に載置される。
内側係合面部62は、載置面部61から連続して形成されている。内側係合面部62は、上方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状に形成されている。内側係合面部62は、容器本体3の内側係合面部43と同様の形状を有し、且つ、それよりもひとまわり小さく形成されている。内側係合面部62は、容器本体3の内側係合面部43に対して内方から係合(嵌合)する。内側係合面部43,62は、いずれも全周に亘って一律の断面形状を有するように形成されており、これらは全周に亘って互いに係合(嵌合)する。すなわち、内側係合部Eiは、内側係合面部43と内側係合面部62とが密着する状態で全周に亘って設けられる。本実施形態では、内側係合面部43が「環状凸部の係合面部」に相当し、内側係合面部62が「環状凹部の係合面部」に相当する。
頂面部63は、内側係合面部62の上部から連続して形成されている。頂面部63は、水平に配置される平坦面を有している。頂面部63は、容器本体3の頂面部44に対して上方から係合する。垂下壁部64は、頂面部63の外側部位から連続して形成されている。垂下壁部64は、下方に向かうに従って外方に向かうテーパー状に形成されている。垂下壁部64は、閉蓋状態で、容器本体3の垂下壁部45の膨出部45Aに対して外方から係合するとともに、その下端部が鍔部47の上面に当接する。この状態で、垂下壁部64は、容器本体3の垂下壁部45の凹溝46を外方から覆う。
図1、図6、及び図7に示すように、蓋体5は、線状突起65をさらに備えている。線状突起65は、垂下壁部64の下部領域に、内方に突出するように形成されている。線状突起65は複数個設けられており、複数の線状突起65が、周方向に断続的に形成されている。線状突起65は、それぞれ、外方から容器本体3の凹溝46に係入する。そして、外側係合部Eoが、複数の線状突起65の形成位置に、凹溝46と線状突起65とが係合してなる係合部として設けられている。上述したように、凹溝46は全周に亘って形成され、線状突起65は周方向に断続的に形成されている。このため、凹溝46と線状突起65とが係合してなる外側係合部Eoも、線状突起65の形成位置に準じて、周方向に断続的に設けられる。このような構成では、蓋体5において所望の位置に線状突起65を形成するだけで、当該位置に外側係合部Eoを設けることができる。よって、包装用容器1の用途に応じた外側係合部Eoの位置変更に、柔軟に対応することができる。
線状突起65は、上部傾斜面65Aと、先端鉛直面65Bと、下部傾斜面65Cとを有する。上部傾斜面65Aは、垂下壁部64の所定位置から連続して形成されている。上部傾斜面65Aは、下方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状に形成されている。先端鉛直面65Bは、上部傾斜面65Aの下部から延びる鉛直面として形成されている。下部傾斜面65Cは、先端鉛直面65Bの下部から連続して形成されている。下部傾斜面65Cは、下方に向かうに従って外方に向かうテーパー状に形成されている。
下部傾斜面65Cは、閉蓋操作時に、凹溝46への線状突起65の係入を案内する。下部傾斜面65Cは、膨出部45Aに対して点接触して、線状突起65が滑りながらスムーズに凹溝46に係入するように作用する。よって、閉蓋操作を円滑に行うことができる。上部傾斜面65Aは、閉蓋状態において開蓋方向の意図されない外力が作用した場合に逆テーパー状傾斜面46Aに係止される。よって、不用意な開蓋を防止することができる。また、上部傾斜面65Aは、開蓋操作時に、膨出部45Aに対して点接触して、線状突起65が滑りながらスムーズに凹溝46から離脱するように作用する。よって、意図的な開蓋操作を円滑に行うことができる。
上部傾斜面65Aと下部傾斜面65Cとのなす角γは、特に限定されるものではないが、75°以上105°以下(90°±15°)であることが好ましい。上部傾斜面65Aと下部傾斜面65Cとのなす角γは、85°以上95°以下(90°±5°)であることがより好ましい。このようにすれば、上部傾斜面65A及び下部傾斜面65Cを、それぞれ、相手方に対する一種の“リブ”として働かせることができる。よって、比較的簡単な構成で線状突起65の強度を高めることができる。さらに本実施形態では、鉛直面に対する上部傾斜面65Aのなす角と、鉛直面に対する下部傾斜面65Cのなす角とが、同程度の大きさ(およそ45°)とされている。これらの構成により、上述した上部傾斜面65A及び下部傾斜面65Cを有することによる各効果の実効性が確保されている。
上述したように、垂下壁部64には複数の線状突起65が周方向に断続的に形成されている。すなわち、垂下壁部64には、線状突起65が形成された領域と、線状突起65が形成されていない領域とが交互に存在する。線状突起65が形成された領域では、下部傾斜面65Cの下端縁が蓋体5の外縁となっており(図6を参照)、線状突起65が形成されていない領域では、垂下壁部64の下端縁が蓋体5の外縁となっている(図5を参照)。いずれにしても、蓋体5の外縁は、全周に亘って容器本体3の外縁よりも内方に位置している。このような構成により、開蓋方向の外力が意図せず蓋体5に作用するのを回避することができる。よって、この点からも、不用意な開蓋を抑制することができる。
本実施形態の包装用容器1は、全周に亘って設けられる内側係合部Eiと、周方向に断続的に設けられる外側係合部Eoとを有し、言わば“不完全な内外嵌合タイプ”ないし“準内外嵌合タイプ”の包装用容器となっている。内側係合部Eiにおいて、内側係合面部43と内側係合面部62とが全周に亘って密着するので、よくある内嵌合タイプの包装用容器と同様に、十分な密封性を確保することができる。外側係合部Eoは、全周に亘ってではなく周方向に断続的に設けられるので、容器本体3と蓋体5との嵌合を強固としながらも過度に強固となるのを回避することができる。このように、適度な密封性と適度な嵌合力とを両立させることで、十分な密封性を確保することができ、且つ、必要な時には開蓋しやすい包装用容器1となっている。
また、断続的ながらも外側係合部Eoを備えることで、内嵌合タイプの包装用容器に比べて、不用意な開蓋を抑止することができる。例えば食品を収容した包装用容器1を電子レンジで加熱する場合、蓋体5の熱収縮による変形等に起因して、内側係合部Eiの係合が外れて開蓋してしまう可能性がある。耐熱性の高い素材で蓋体5を形成することも考えられるが、蓋体5の剛性を高く維持することが困難な場合も多い。例えばポリプロピレン素材であれば、耐熱性には優れるものの、軟質で腰が弱いために蓋体5の剛性が低下するおそれがある。本実施形態の包装用容器1であれば、耐熱性の高い素材を使用せずに仮に蓋体5が熱収縮したとしても、外側係合部Eoの係合はむしろより強まるので、不用意な開蓋を抑止することができる。
また、仮に内側係合部Eiの係合が外れたとしても、漏れ出た蒸気を、外側係合部Eoがない部位(線状突起65が形成されていない部位)から凹溝46を通って外部に排出することができる。すなわち、外側係合部Eoが係合した状態を保ったまま、外側係合部Eoがない部位から蒸気を逃がすことで、内圧上昇によって周方向のいずれかの部位で蓋体5が完全に外れてしまうのを回避することができる。よって、この点からも、不用意な開蓋を効果的に抑止することができる。
なお、加熱時に限らず、例えば食品を収容した包装用容器1の搬送中に意図されない外力が作用するような場合にも、外側係合部Eoの存在により、不用意な開蓋を抑止することができる。
外側係合部Eoの係合深さδは、特に限定されるものではないが、内側係合部Eiの係合深さεよりも深い(δ>ε)ことが好ましい。なお、外側係合部Eoの係合深さδは、径方向における、容器本体3の鉛直底面46Bと蓋体5の先端鉛直面65Bとの係合位置と、垂下壁部45(膨出部45Aを含む)と垂下壁部64との係合位置との間の離間距離である(図6を参照)。また、内側係合部Eiの係合深さεは、容器本体3及び蓋体5の逆テーパー状の内側係合面部43,62どうしの係合面の、径方向における外方端と内方端との間の離間距離である。このように、外側係合部Eoの係合深さδを相対的に深くすることで、複数の外側係合部Eoが断続的に設けられる場合であっても、複数の外側係合部Eoの全体としての嵌合力を適度に高めることができる。好ましくは、外側係合部Eoの係合深さδは、内側係合部Eiの係合深さεの2倍以上(δ>2・ε)である。
内側係合部Eiと外側係合部Eoとの上下方向の位置関係は特に限定されないが、外側係合部Eoの少なくとも一部が、内側係合部Eiよりも下方に配置されていても良い。本実施形態では、図6に示すように、外側係合部Eoの全体が内側係合部Eiよりも下方に配置されている。図示の例では、膨出部45Aの形成位置を含みそれよりも上方に内側係合部Eiが配置され、膨出部45Aよりも下方にある凹溝46を構成要素の1つとする外側係合部Eoが、内側係合部Eiよりも下方にある第一段部41の形成位置を含みそれよりも下方に配置されている。
線状突起65を構成要素の1つとする外側係合部Eoの周方向の位置は特に限定されないが、図7に示すように、少なくとも1つの外側係合部Eo(線状突起65)が、摘み部54の基端部に隣接する位置に設けられていることが好ましい。言い換えれば、摘み部54が、いずれかの外側係合部Eo(線状突起65)の端部に隣接する位置に設けられていることが好ましい。この場合において、図示の例のように、摘み部54が、周方向に隣り合う2つの外側係合部Eo(線状突起65)のそれぞれの端部間に設けられていることがさらに好ましい。このようにすれば、摘み部54を把持して開蓋操作を行う際に、摘み部54の両隣に隣接する2つの線状突起65の、凹溝46からの離脱のきっかけを作り出すことができる。よって、意図的な開蓋操作を円滑に行うことができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、容器本体3において凹溝46が全周に亘って形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば複数の線状凹部が、蓋体5における複数の線状突起65の形成位置に応じて周方向に断続的に形成されても良い。この場合、互いに係合する線状凹部と線状突起65の各組により、周方向に断続的に設けられる外側係合部Eoが構成される。
(2)上記の実施形態において説明した環状凸部33や環状凹部53の具体的構造はあくまで一例であって、他の任意の構造(例えば図8や図9に示す構造等)を採用することも可能である。例えば図8に示す例のように、容器本体3に下部傾斜面46Cが設けられず、鉛直底面46Bの下部から直接連続する鍔部47が凹溝46の区画形成に寄与しても良い。また、同図のように、上部傾斜面65Aと下部傾斜面65Cとのなす角γは必ずしもおよそ90°でなくても良く、鉛直面に対する上部傾斜面65Aのなす角と下部傾斜面65Cのなす角とが大きく異なっても良い。また、図9に示す例のように、外側係合部Eoが、逆テーパー状傾斜面46Aと上部傾斜面65Aとが密着し、鉛直底面46Bと先端鉛直面65Bとが密着する状態で設けられても良い。さらに、蓋体5の線状突起65が、先端鉛直面65Bを有さずに、互いに直接連続する上部傾斜面65Aと下部傾斜面65Cとだけを有して構成されても良い。
(3)上記の実施形態では、外側係合部Eoの係合深さδが内側係合部Eiの係合深さεよりも深い(δ>ε)構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば外側係合部Eoの係合深さδと内側係合部Eiの係合深さεとが同一であっても良い(δ=ε)。或いは、外側係合部Eoの係合深さδが内側係合部Eiの係合深さεよりも浅くても良い(δ<ε)。
(4)上記の実施形態では、外側係合部Eoの全体が内側係合部Eiよりも下方に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図9に示すように、外側係合部Eoの一部が内側係合部Eiと同じ高さに配置され、他の一部だけが内側係合部Eiよりも下方に配置されていても良い。すなわち、外側係合部Eoの少なくとも一部が内側係合部Eiよりも下方に配置されるだけでも良い。また、外側係合部Eoと内側係合部Eiとが同じ高さに配置され、或いは、外側係合部Eoの少なくとも一部が内側係合部Eiよりも上方に配置されても良い。
(5)上記の実施形態では、閉蓋状態で、容器本体3の第二段部42と蓋体5の載置面部61とが密着するとともに、容器本体3の頂面部44と蓋体5の頂面部63とが密着する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図8に示すように、第二段部42と載置面部61との間や頂面部44,63どうしの間に隙間が形成されても良い。
(6)上記の実施形態では、摘み部54が周方向に隣り合う2つの外側係合部Eo(線状突起65)のそれぞれの端部間に設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図10に示すように、摘み部54が、一方の基端部だけが外側係合部Eo(線状突起65)の端部に隣接するように設けられても良い。或いは、摘み部54と外側係合部Eo(線状突起65)とが周方向に互いに離間して設けられても良い。
(7)上記の実施形態では、容器本体3及び蓋体5が平面視円形状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、平面視形状は任意であって良い。例えば図10に示すように、容器本体3及び蓋体5が平面視楕円形状に形成されても良い。或いは、容器本体3及び蓋体5が、平面視多角形状(長方形状、正方形状、及び八角形状等)又は平面視半円状等に形成されても良い。容器本体3及び蓋体5の各辺は、平面視又は側面視で、必ずしも直線状でなくても良く、湾曲していても良い。
(8)上記の実施形態では、水分の多い惣菜や汁物を収容し、電子レンジでの加熱が予定された包装用容器1を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、水分の少ない食品や非加熱用の食品を収容するのに、上述した包装用容器1を用いても良い。或いは、食品に限らず、他の物品を収容するのに、上述した包装用容器1を用いても良い。
(9)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
1 包装用容器
3 容器本体
5 蓋体
32 周壁部
33 環状凸部
43 内側係合面部(環状凸部の係合面部)
45 垂下壁部
46 凹溝
46A 逆テーパー状傾斜面
53 環状凹部
54 摘み部
62 内側係合面部(環状凹部の係合面部)
64 垂下壁部
65 線状突起
65A 上部傾斜面
65C 下部傾斜面
Ei 内側係合部
Eo 外側係合部
α 鉛直面に対する環状凸部の係合面部のなす角
β 鉛直面に対する逆テーパー状傾斜面のなす角
γ 上部傾斜面と下部傾斜面とのなす角
δ 外側係合部の係合深さ
ε 内側係合部の係合深さ

Claims (10)

  1. 周壁部の上部に形成された環状凸部を有する容器本体と、前記環状凸部に嵌合する環状凹部を有する蓋体と、を備える包装用容器であって、
    前記環状凸部と前記環状凹部との間に、内側係合部と外側係合部とが形成されており、
    前記内側係合部が、前記環状凸部の係合面部と前記環状凹部の係合面部とが密着する状態で全周に亘って設けられ、
    前記外側係合部が、周方向に断続的に設けられている包装用容器。
  2. 前記環状凸部の外側の垂下壁部に、全周に亘って内方に窪む凹溝が形成されているとともに、前記環状凹部の外側の垂下壁部に、内方に突出して前記凹溝に係入する複数の線状突起が断続的に形成され、
    前記外側係合部が、複数の前記線状突起の形成位置に、前記凹溝と前記線状突起とが係合してなる係合部として設けられている請求項1に記載の包装用容器。
  3. 前記凹溝は、下方に向かうに従って内方に向かう逆テーパー状傾斜面を有し、
    鉛直面に対する前記逆テーパー状傾斜面のなす角が、30°以上90°以下である請求項2に記載の包装用容器。
  4. 前記線状突起は、下方に向かうに従って内方に向かう上部傾斜面と、前記上部傾斜面よりも下方で下方に向かうに従って外方に向かう下部傾斜面と、を有する請求項2又は3に記載の包装用容器。
  5. 前記上部傾斜面と前記下部傾斜面とのなす角が、75°以上105°以下である請求項4に記載の包装用容器。
  6. 前記蓋体は、前記垂下壁部の外縁よりも外方に突出する舌片状の摘み部を有し、
    前記摘み部が、いずれかの前記線状突起の端部に隣接する位置に設けられている請求項2から5のいずれか一項に記載の包装用容器。
  7. 前記摘み部が、周方向に隣り合う2つの前記線状突起のそれぞれの端部間に設けられている請求項6に記載の包装用容器。
  8. 前記外側係合部の係合深さが、前記内側係合部の係合深さよりも深い請求項1から7のいずれか一項に記載の包装用容器。
  9. 前記外側係合部の係合深さが、前記内側係合部の係合深さの2倍以上である請求項8に記載の包装用容器。
  10. 前記蓋体の外縁が、全周に亘って前記容器本体の外縁よりも内方に位置している請求項1から9のいずれか一項に記載の包装用容器。
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