JP2019188656A - 木材用防炎剤及びこれを塗布した木材 - Google Patents
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Abstract
【課題】木材の風合いを変えずに優れた防炎性能を示す木材用防炎剤を提供すること。【解決手段】木材用防炎剤であって、10〜20重量部のホウ酸塩と、5〜10重量部の尿素とを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、木材用防炎剤及びこれを塗布した木材に関し、更に詳細には、木材に含浸する水性の木材用防炎剤及びこれを塗布した木材に関する。
木材用の防炎剤として、スルファミン酸と尿素との共融物を含む水溶液による防炎剤(例えば、特許文献1)や、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及びアンモニウムからなる化合物と、浸透剤と多価アルコール及び界面活性剤とを含有した水性防炎剤(例えば、特許文献2)や、硫酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物と、寸法安定効果のある固着化合物とを含有した水性防炎剤(例えば、特許文献3)等が知られている。
しかしながら、従来から知られている木材用の防炎剤は、酸性のものが多く、木材の風合いを損ねる虞がある。木材に釘等の金物が付いていると、金物の錆や変色を招く虞がある。
このため、従来から知られている木材用の防炎剤は、神社仏閣等の歴史がある木造建築物に対する適用を躊躇されているのが現状である。このため、文化財として価値がある木造建築物を火災による焼失から守るために、木材の風合いを変えずに優れた防炎性能を示す木材用防炎剤の開発が、歴史的建造物や文化財の保護の観点から強く要望されている。
本発明が解決しようとする課題は、木材の風合いを変えずに優れた防炎性能を示す木材用防炎剤及びこれを塗布された木材を提供することである。
本発明の一つの実施形態による木材用防炎剤は、10〜20重量部のホウ酸塩と、5〜10重量部の尿素とを含む水性の木材用防炎剤である。
これによると、木材の風合いを変えずに優れた防炎性能が得られる。
上記木材用防炎剤において、好ましくは、更に、2〜5重量部の界面活性剤を含む。
これによると、水溶液の均質性が向上すると共に、木材に対する木材用防炎剤の塗布性及び含浸性が向上する。
上記木材用防炎剤において、好ましくは、PHが7.5〜8.0の弱アルカリ性である。
これによると、適度の弱アルカリ性により、木材に付いている金属が腐食し難くなり、変色を招くことがない。
本発明の一つの実施形態による木材は、上述の木材用防炎剤を塗布された木材である。
これによると、風合いを変えずに優れた防炎性能を有する木材が得られる。ここで云う木材は、合板及び集成材を含み、木材製の物品の全てである。
本発明による木材用防炎剤及びこれを塗布された木材によれば、木材の風合いを変えずに優れた防炎性能が得られる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
木材用防炎剤は、水を溶媒とし、少なくとも、ホウ酸塩、尿素を含有する水性の透明な液状のものである。この木材用防炎剤は、更に、界面活性剤を含有していてよい。
木材用防炎剤は、好ましくは、10〜20重量部のホウ酸塩と、5〜10重量部の尿素と、2〜5重量部の界面活性剤と、全体として100重量部となるように水とを含む。ただし、木材用防炎剤における水の割合は、木材用防炎剤を塗布する対象や使用環境に応じて加減することが可能である。
ホウ酸塩としては、ホウ酸アンモニウムを用いることができ、好ましくは、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウムを用いることができる。他のホウ酸塩としてホウ酸ナトリウムを用いることができ、好ましくは、多ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウムを用いることができる。ホウ酸塩が15重量部未満であると、防炎性能を向上させる効果が小さくなる。ホウ酸塩が20重量部以上であると塗布対象物の風合いを損ねると共に過剰な配合になって材料経済性が低下する。
尿素は、有機物の炭化を促進して発火を阻止する防炎作用があり、5重量部未満であると、防炎性能を向上させる効果が小さくなる。尿素10重量部以上であると、過剰な配合になって材料経済性が低下する。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エステル型或いはエーテル型の非イオン界面活性剤の少なくとも一つを含む。この界面活性剤として、市販の液状洗剤を用いることができる。界面活性剤は、水に対するホウ酸塩及び尿素の溶解性を上げると共に界面張力を下げて木材用防炎剤の親水性及び濡れ性を上げる作用をするものである。界面活性剤が2重量部未満であると、その作用が低下し、5重量部以上であると、過剰な配合になって材料経済性が低下する。界面活性剤の添加によって親水性が向上することにより、溶液(水)中のホウ酸塩及び尿素の分散性がよくなり、水溶液の均質性が向上する。また、界面活性剤の添加によって濡れ性が向上することにより木材に対する木材用防炎剤の塗布性及び含浸性が向上する。
ホウ酸塩及び尿素の2成分を含む本実施形態の木材用防炎剤は、優れた防炎性能を示し、しかも無色の弱アルカリ性の水性のものであるから、当該木材用防炎剤を塗布された木材の風合い(質感)を損ねることがない。このことは、神社仏閣等の木造建築物への適用に適し、文化財として価値がある木造建築物を火災による焼失から守ることに有用である。
上述の配合比による木材用防炎剤は、PHが7.5〜8.0の弱アルカリ性であり、塗布対象の木材に釘等の金物が付いていても、金物が錆難くなり、変色を招くことがない。
木材用防炎剤の塗布対象物としては、杉、檜、ラワン等の各種の木材、合板及び集成材が挙げられる。
塗布対象物に対する木材用防炎剤の塗布は、吹き付け、ローラ或いは刷毛による公知の手法によって実施することができ、既存の建築物の木材に対する木材用防炎剤の塗布に適している。木材用防炎剤の塗布量は150〜200g/m2程度でよい。
塗布対象物に対する木材用防炎剤の塗布は、木材用防炎剤が貯められた槽に塗布対象物を漬け込む浸漬法によって実施されてもよく、製木直後の木材、製造直後の合板や集成材に対する木材用防炎剤の塗布に適している。
本実施形態の木材用防炎剤は、有機溶剤を含まず、無色無臭で、毒性が低い。このことにより、木材用防炎剤の塗布環境が作業者にとって、健康的で、優しいものになる。
本実施形態の木材用防炎剤は、ホウ酸塩を含んでいるから、防腐効果に加えて防蟻の効果も奏する。
木材用防炎剤の製造に当たり、出来上がり1kgに対し、70重量部の水、10重量部のホウ酸ナトリウム、10重量部ホウ酸アンモニウム、5重量部の尿素及び5重量部の界面活性剤を攪拌しながら順次加え、その後、15〜20分程度の攪拌を継続した。このようにして、木材用防炎剤を得た。
このように製造された木材用防炎剤を29×19Cmの檜板、杉板の表面に、吹き付けによって200g/m2の塗布量をもって塗布し、檜板による2個の試験体(試験体No.1、No.2)及び杉板による1個の試験体(試験体No.3)を得た。
試験体No.1〜No.3に対し、公益財団法人日本防炎協会が定める防炎物品性能試験を実施したところ、表1に示す試験結果が得られた。この試験は消防法施行規則第4条の3が定める防炎性能基準に準拠したものである。
表1に示されているように、試験体No.1〜No.3の全てにおいて、残炎時間、残じん時間、炭化面積が適合基準以下で、それらは防炎木材に相当する。
木材用防炎剤の製造に当たり、出来上がり1kgに対し、70重量部の水、10重量部のホウ酸ナトリウム、10重量部ホウ酸アンモニウム、5重量部の尿素及び5重量部の界面活性剤を攪拌しながら順次加え、その後、15〜20分程度の攪拌を継続した。このようにして、木材用防炎剤を得た。
このように製造された木材用防炎剤を29×19Cmのラワン材による合板に浸漬法(常温で浸漬時間30分)によって塗布し、3個の試験体(試験体No.4〜No.6)を得た。試験体をなす合板は、板厚16.57mmの心板の両面に板厚1.35mmの表裏板を木材用接着剤によって貼合して板厚18mm程度に圧縮仕上げものである。合板材を貼合する木材用接着剤には実施例3の木材用防炎剤を混入した。
試験体No.4〜No.6に対し、公益財団法人日本防炎協会が定める防炎物品性能試験を実施したところ、表2に示す試験結果が得られた。この試験は消防法施行規則第4条の3が定める防炎性能基準に準拠したものである。
表2に示されているように、試験体No.4〜No.6の全てにおいて、残炎時間、残じん時間、炭化面積が適合基準以下で、それらは防炎合板(木材)に相当する。
表2に示されているように、試験体No.4〜No.6の全てにおいて、残炎時間、残じん時間、炭化面積が適合基準以下で、それらは防炎合板(木材)に相当する。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本明細書で云う木材は、合板を含み、木材製の物品の全てである。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
Claims (4)
- 木材用防炎剤であって、
10〜20重量部のホウ酸塩と、5〜10重量部の尿素とを含む水性の木材用防炎剤。 - 更に、2〜5重量部の界面活性剤を含む請求項1に記載の木材用防炎剤。
- PHが7.5〜8.0の弱アルカリ性である請求項1又は2に記載の木材用防炎剤。
- 請求項1から3の何れか一項に記載の木材用防炎剤を塗布された木材。
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JP2018082067A JP2019188656A (ja) | 2018-04-23 | 2018-04-23 | 木材用防炎剤及びこれを塗布した木材 |
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