JP2019186528A - 光電変換素子、光電変換素子モジュール、電子機器、及び電源モジュール - Google Patents

光電変換素子、光電変換素子モジュール、電子機器、及び電源モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる光電変換素子を提供する。【解決手段】第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、前記ホール輸送層において、前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たす光電変換素子である。【選択図】図3

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換素子モジュール、電子機器、及び電源モジュールに関する。
近年、化石燃料の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策として太陽電池の重要性が高まっており、様々な太陽電池(光電変換素子モジュール)が開発されている。
これらのうち、固体のホール輸送層を用いた固体型色素増感型太陽電池について数多く報告されている。固体のホール輸送層の材料としては、例えば、1)無機半導体を用いたもの、2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの、3)導電性高分子を用いたものに大別することができる。
このような固体型色素増感型太陽電池において、光を電気に変換する際にリーク電流が発生するため、その対策について様々な提案がされている。例えば、第1の電極としての透明導電膜と、透明導電膜に配設され受光に伴い電子を放出する電子輸送層としての多孔質半導体層と、多孔質半導体層の上に形成された酸化チタン膜と、酸化チタン膜の上に形成された色素層とを備える光電極と、光電極に隣接して設けられた固体のホール輸送層と、第2の電極としての対向電極と、を備えたものが提案されており、電子輸送層の上に酸化チタン膜を形成することにより、電子輸送層とホール輸送層との間で生じうるリーク電流の発生を抑制し、出力が低下しないようにしている。さらに、リーク電流をより低減できるように、透明導電膜と電子輸送層との間にチタン化合物を含む溶液を用いて酸化チタンの緻密層を設ける提案がされている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる光電変換素子を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子は、第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、前記ホール輸送層において、前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たす。
本発明によれば、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる光電変換素子を提供することができる。
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す概略図である。 図2は、従来技術の光電変換素子における、第2の電極、ホール輸送層、及び電子輸送層の界面の一例を示す拡大概略図である。 図3は、本発明の光電変換素子における、第2の電極、ホール輸送層、及び電子輸送層の界面の一例を示す拡大概略図である。 図4は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図である。 図5は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図である。 図6は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図である。 図7は、本発明の光電変換素子モジュールの一例を示す概略図である。 図8は、本発明の光電変換素子モジュールの別の一例を示す概略図である。 図9は、本発明の光電変換素子モジュールの別の一例を示す概略図である。 図10は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。 図11は、図10に示したマウスの一例を示す概略外観図である。 図12は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。 図13は、図12に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。 図14は、図12に示したキーボードの他の一例を示す概略外観図である。 図15は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。 図16は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。 図17は、本発明の電子機器の一例を示すブロック図である。 図18は、図17に示した電子機器に電源ICを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図19は、図18に示した電子機器に蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図20は、本発明の電源モジュールの一例を示すブロック図である。 図21は、図20に示した電源モジュールに蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、ホール輸送層と第2の電極とが接触している。また、ホール輸送層における平均厚みをX(nm)とすると、ホール輸送層において、第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、本発明の光電変換素子は、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たす。
本発明の光電変換素子は、従来の光電変換素子では、照度が高い光をしばらく当てたあとに照度が低い光を当てた場合、電子輸送層とホール輸送層との間で生じるリーク電流が大きくなり、光電変換効率が悪化するという問題があるという知見に基づくものである。
本発明者らは、ホール輸送層や対向電極の構造に着目し、対向電極と隣接しているホール輸送層表面の粗さを低減するのではなく、ホール輸送層表面において所定の高さ以上の突出部が占める面積を低減することにより解決できることを見いだした。すなわち、本発明の光電変換素子は、ホール輸送層表面において所定の高さ以上の突出部が占める面積を低減することにより、一定期間高照度環境下に晒した後に低照度の光を照射しても、リーク電流が少なく高い出力を維持することができる。このような効果が得られる理由は次のように推測される。
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す概略図である。
図1に示すように、光電変換素子101には、第1の基板1上に第1の電極2が形成される。第1の電極2上には電子輸送層4が形成され、電子輸送層4を構成する電子輸送材料の表面に光増感化合物5が吸着されている。電子輸送層4の上部及び内部にはホール輸送層6が形成され、ホール輸送層6の上に第2の電極7が形成される。第2の電極7の上方には第2の基板9が配置され、第2の基板9は第1の電極2との間で封止部材8によって固定される。
ここで、従来の光電変換素子において、電子輸送層4、ホール輸送層6、及び第2の電極7を拡大した概略図を図2に示す。
図2に示すように、ホール輸送層6における平均厚みをX(nm)としたとき(図2中一点鎖線)、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線(図2中破線)を引く。ホール輸送層6において、この基準線よりも第2の電極7側に突出する突出部が占める面積(図2中Aで示す部分を平面視した場合の面積)の割合をRc(50)としたとき、Rc(50)が高いとリーク電流が発生しやすくなる。これは、第2の電極7の平均厚みに対してホール輸送層6表面の突出部の高さが十分に高いと、ホール輸送層6の突出部の真上にある第2の電極7の層厚が薄くなり局所的に抵抗が小さくなるため、光照射時にはホール輸送層6と第2の電極7との界面で相対的に電流が集中し、リーク点となると考えられる。
図3は、本発明の光電変換素子における、第2の電極、ホール輸送層、及び電子輸送層の界面の一例を示す拡大概略図である。
図3に示すように、ホール輸送層6表面の突出部が占める面積が少ないと、相対的に電流が集中する箇所がなくなるため、リーク電流の発生を抑制することができる。
Rc(50)の範囲としては、次式、0.00%<Rc(50)≦0.75%、を満たし、0.00%<Rc(50)≦0.50%が好ましい。Rc(50)が0.75%より大きいと、電流のリークが無視できなくなり、高照度での耐久性が低下する。また、Rc(50)が好ましい範囲であると、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下をより抑制することができる。
このような突出部に由来する電流のリークは、高照度のときは測定上目立たないが低照度光下で評価すると特に顕著になり、出力低下を起こす。
上記のように推測した根拠の一つは、第2の電極の平均厚みによってリーク電流量が影響を受けるからである。
したがって、第2の電極の平均厚みに対して1/2以上の高さのホール輸送層の突出部が少ない方が望ましい。ただし、固体色素増感太陽電池は、多孔質金属酸化物半導体の上に固体のホール輸送層を塗布しているので、液体型と異なり突出部がゼロにはならない。多孔質金属酸化物半導体は、色素が付着する表面積の確保と、塗布するホール輸送層の含浸性の確保の観点で多孔質としており、その表面はある程度粗くなる。粗くなるほど隣接するホール輸送層の突出部の高さも高くなり面積も増える。
リーク電流は、ホール輸送層表面の突出部の高さに対して、第2の電極の平均厚みが薄いと顕著に現れる。このため、第2の電極の平均厚みの下限値としては、25nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。一方で、材料コストの観点から第2の電極は薄い方が好ましいので、第2の電極の平均厚みの上限値としては、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
<層厚(平均厚み)の測定方法>
ホール輸送層及び第2の電極の層厚の測定法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、段差計、白色干渉顕微鏡、断面SEM観察などが挙げられる。具体的には、図1に示す光電変換素子のホール輸送層6の層厚を白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定する際には、ホール輸送層6の一層下の電子輸送層4を一部露出させてその段差を測定してもよく、また電子輸送層4と第1の基板1との段差及びホール輸送層6と第1の基板1との段差から電子輸送層4の層厚を測定してもよい。前者の場合、電子輸送層4を一部露出させる方法としては、例えば、テトラヒドロフラン等のホール輸送層6を溶かす溶媒を滴下する方法などが挙げられる。さらに、ホール輸送層6と共に、一層下の電子輸送層4が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、例えば、以下の測定条件で撮影することができる。そして、平均段差解析により、ホール輸送層6における平均厚みXを算出することができる。
[層厚の測定条件]
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 2.5倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 1,900μm×1,400μm
ピクセル数 : 640pix×480pix
<Rc(50)の求め方>
Rc(50)の求め方は、例えば、次のように求めることができる。
以下の測定条件で、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いてホール輸送層の表面形状を平面視して観察する。次に、粒子解析により、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)の高さ以上の突出部の総断面積を算出する。これを観察領域の面積で割り、例えば、3視野の平均値を算出することによりRc(50)を求めることができる。
[Rc(50)の測定条件]
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 10倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 470nm×350nm
ピクセル数 : 640pix×480pix
<光電変換素子>
光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる素子のことを示し、太陽電池やフォトダイオードなどに応用されている。本発明の光電変換素子及び光電変換素子モジュールは、太陽光に限らず、LEDや蛍光灯といった室内で使用される照明器具の光でも高い発電性能を有する。
この光電変換素子は、第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
<<第1の電極>>
第1の電極としては、その形状、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
第1の電極の材質としては、可視光に対する透明性及び導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性金属酸化物、カーボン、金属などが挙げられる。
透明導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、ニオブドープ酸化スズ(以下、「NTO」と称する)、アルミドープ酸化亜鉛、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などが挙げられる。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTOがより好ましい。
第1の電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上100μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましい。なお、第1の電極の材質がカーボンや金属の場合には、第1の電極の平均厚みとしては、透光性を得られる程度の平均厚みにすることが好ましい。
第1の電極は、スパッタ法、蒸着法、スプレー法等の公知の方法などにより形成することができる。
また、第1の電極は、第1の基板上に形成されることが好ましく、予め第1の基板上に第1の電極が形成されている一体化された市販品を用いることができる。
一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、又はメッシュ状やストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどが挙げられる。
金属リード線は、例えば、蒸着、スパッタリング、圧着などで基板に形成し、その上にITOやFTOの層を設けることにより併用することができる。
<<電子輸送層>>
電子輸送層は、光増感化合物で生成された電子を第1の電極あるいはホールブロッキング層まで輸送する目的で形成される。このため、電子輸送層は、第1の電極あるいはホールブロッキング層に隣接して配置されることが好ましい。
電子輸送層の構造としては、連続層単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含み、必要に応じてその他の材料を含む。
電子輸送性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体材料が好ましい。
半導体材料は、微粒子状の形状を有し、これらが接合することによって、多孔質状の膜に形成されることが好ましい。多孔質状の電子輸送層を構成する半導体微粒子の表面に、光増感化合物が化学的あるいは物理的に吸着される。
半導体材料としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、単体半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニド、具体的には、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物;カドミウム、鉛等のセレン化物;カドミウム等のテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブがより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
半導体材料の一次粒子の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。また、個数平均粒径よりも大きい半導体材料を混合あるいは積層させてもよく、入射光を散乱させる効果により、変換効率を向上できる場合がある。この場合の個数平均粒径は、50nm以上500nm以下が好ましい。
電子輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上100μm以下が好ましく、100nm以上50μm以下がより好ましく、120nm以上10μm以下が更に好ましい。電子輸送層の平均厚みが好ましい範囲内であると、単位投影面積当たりの光増感化合物の量を十分に確保でき、光の捕獲率を高く維持できるとともに、注入された電子の拡散距離も増加しにくく、電荷の再結合によるロスを少なくできる点で有利である。
電子輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストの観点から、湿式製膜法が好ましく、半導体材料の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板としての第1の電極の上、あるいはホールブロッキング層の上に塗布する方法がより好ましい。
湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの様々な方法を用いることができる。
半導体材料の分散液を作製する方法としては、例えば、公知のミリング装置等を用いて機械的に粉砕する方法が挙げられる。この方法により、粒子状の半導体材料を単独で、あるいは半導体材料と樹脂の混合物を、水又は溶媒に分散することにより半導体材料の分散液を作製できる。
樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
半導体材料を含む分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体材料を含むペーストには、粒子の再凝集を防ぐため、酸、界面活性剤、キレート化剤などを添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミンなどが挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で、増粘剤を添加することも有効な手段である。
増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられる。
半導体材料を塗布した後に、半導体材料の粒子間を電子的に接触させ、膜強度や基板との密着性を向上させるために焼成したり、マイクロ波や電子線を照射したり、又はレーザー光を照射することができる。これらの処理は、1種単独で行ってもよく、2種類以上組み合わせて行ってもよい。
半導体材料から形成された電子輸送層を焼成する場合には、焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度が高すぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることがあることから、30℃以上700℃以下が好ましく、100℃以上600℃以下がより好ましい。また、焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上10時間以下が好ましい。
半導体材料から形成された電子輸送層にマイクロ波照射する場合には、照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。この場合、電子輸送層が形成されている面側から照射してもよく、電子輸送層が形成されていない面側から照射してもよい。
半導体材料からなる電子輸送層を焼成した後、電子輸送層の表面積の増大や、後述する光増感化合物から半導体材料への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体材料を焼結し得られた膜は、多孔質状を形成することができる。このようなナノ多孔質構造は、非常に高い表面積を有し、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。ラフネスファクターは、第1の基板に塗布した半導体粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターとしては、大きいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、20以上が好ましい。
<<光増感化合物>>
光増感化合物は、出力や光電変換効率の更なる向上のため、電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着される。
光増感化合物としては、光電変換素子に照射される光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記の公知の化合物などが挙げられる。具体的には、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、9−アリールキサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物が好ましく、三菱製紙株式会社製の下記構造式(1)、下記構造式(2)、下記構造式(3)で表される化合物、更に下記一般式(3)を含む化合物がより好ましい。なお、これらの光増感化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いることもできる。
(式中、X、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。Rは置換基を有していてもよいメチン基を表す。その置換基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、チエニル基、フリル基などのヘテロ環が挙げられる。Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、2−プロピル基、2−エチルヘキシル基等、アリール基及びヘテロ環基としては前述のものが挙げられる。Rはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ボロン酸、フェノール類などの酸性基を表す。Z1、Z2は環状構造を形成する置換基を表し、Z1は、ベンゼン環、ナフタレン環などの縮合炭化水素系化合物、チオフェン環、フラン環などのヘテロ環が挙げられ、それぞれ置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては前述のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、2−イソプロポキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。Z2はそれぞれ下記に示す(A−1)〜(A−22)が挙げられる。)
一般式(3)を含む光増感化合物の具体例としては、以下に示す(B−1)〜(B−28)が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
電子輸送層の半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着させる方法としては、光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を含む電子輸送層を浸漬する方法、光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法などを用いることができる。光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を形成した電子輸送層を浸漬する方法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができる。光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を、電子輸送層に塗布して吸着させる方法の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させることも可能である。
光増感化合物を半導体材料に吸着させる際には、縮合剤を併用してもよい。
縮合剤としては、半導体材料の表面に物理的もしくは化学的に、光増感化合物を結合させるような触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。更に、縮合助剤として、チオールやヒドロキシ化合物などを添加してもよい。
光増感化合物を溶解、又は分散する溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用してもよい。
凝集解離剤としては、特に制限はなく、用いる色素に対して適宜選択することができるが、コール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましい。
凝集解離剤の含有量としては、光増感化合物1質量部に対して0.01質量部以上500質量部以下が好ましく、0.1質量部以上100質量部以下がより好ましい。
電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物、又は、光増感化合物及び凝集解離剤を吸着させる際の温度としては、−50℃以上200℃以下が好ましい。吸着時間としては、5秒間以上1,000時間以下が好ましく、10秒間以上500時間以下がより好ましく、1分間以上150時間以下が更に好ましい。吸着させる工程は、暗所で行うことが好ましい。また、吸着させる工程は、静置して行ってもよく、攪拌しながら行ってもよい。
攪拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散等を用いた方法などが挙げられる。
<<ホール輸送層>>
ホール輸送層は、ホールを輸送する機能を有していれば、公知の材料を用いることができ、例えば、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料などが挙げられる。これらの中でも、電解液やゲル電解質を用いることも可能であるが、固体電解質が好ましく、有機ホール輸送材料がより好ましい。
ホール輸送層には、下記一般式(1)又は一般式(2)からなる塩基性化合物を含有する。
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基または芳香族炭化水素基を表し、同一または異なる基を表すか、若しくは、R、Rは互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を表す。)
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基または芳香族炭化水素基を表し、同一または異なる基を表すか、若しくは、R、Rは互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を表す。)
ホール輸送層は、一般式(1)又は一般式(2)で示される塩基性化合物を含有することが好ましい。ホール輸送層に一般式(1)又は一般式(2)で示される塩基性化合物を含有すると、光電変換素子の出力安定性を高める点で有利である。特に、低照度光に対する出力特性のバラツキを低減し、安定に発電することが可能な点でも有利である。
以下に、一般式(1)または一般式(2)で示される塩基性化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ホール輸送層における一般式(1)又は一般式(2)で示される塩基性化合物の含有量としては、ホール輸送材料100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。塩基性化合物の含有量が好ましい範囲であることにより、高い開放電圧を維持でき、高い出力が得られ、かつ様々な環境で長期使用しても高い安定性と耐久性が得られる。
ホール輸送層にはホールを輸送する機能を得るために、ホール輸送材料あるいはp型半導体材料が含有される。ホール輸送材料あるいはp型半導体材料としては、公知の有機ホール輸送性化合物が用いられる。その具体例としては、オキサジアゾール化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、オキサジアゾール化合物、テトラアリールベンジジン化合物、スチルベン化合物、スピロ型化合物等を挙げることができる。これらの中でもスピロ型化合物がより好ましい。
スピロ型化合物としては、下記一般式(4)を含む化合物が好ましい。
(式中、R〜R12は、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチル−4−トリルアミノ基等の置換アミノ基を表す。)
スピロ型化合物の具体例としては、以下に示す(D−1)〜(D−20)が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
これらのスピロ型化合物は、高いホール移動度を有している他に、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合しているため、球状に近い電子雲を形成しており、分子間におけるホッピング伝導性が良好であることにより優れた光電変換特性を示す。また溶解性も高いため各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であるため、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすい。更に、波長450nm以上の光吸収特性を有さないために、光増感化合物に効率的に光吸収をさせることができ、固体型色素増感型太陽電池にとって特に好ましい。
ホール輸送層には、ホール輸送材料や塩基性化合物以外に、酸化剤を添加することが好ましい。酸化剤を含有させることにより、導電性が向上し、出力特性の耐久性や安定性を高めることが可能になる。
酸化剤としては、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、金属錯体などが挙げられるが、これらの中でも金属錯体がより好ましい。酸化剤が金属錯体であると、有機溶媒に関する溶解度が高いことで、多く添加することが可能である点で有利である。
金属錯体は、金属カチオン、配位子、アニオンから構成される。
金属カチオンとしては、例えば、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、白金等のカチオンを挙げることができ、この中でも、コバルト、鉄、ニッケル、銅のカチオンが好ましく、コバルト錯体がより好ましい。配位子としては、少なくとも一つの窒素を含有する5及び/又は6員複素環を含むものが好ましく、置換基を有していてもよい。具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アニオンとしては、例えば、水素化物イオン(H)、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、水酸化物イオン(OH)、シアン化物イオン(CN)、硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、次亜塩素酸イオン(ClO)、亜塩素酸イオン(ClO )、塩素酸イオン(ClO )、過塩素酸イオン(ClO )、過マンガン酸イオン(MnO )、酢酸イオン(CHCOO)、炭酸水素イオン(HCO )、リン酸二水素イオン(HPO )、硫酸水素イオン(HSO )、硫化水素イオン(HS)、チオシアン酸イオン(SCN)、テトラフロオロホウ素酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、テトラシアノホウ素酸イオン(B(CN) )、ジシアノアミンイオン(N(CN) )、p−トルエンスルホン酸イオン(TsO)、トリフルオロメチルスルホン酸イオン(CFSO )、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン(N(SOCF2−)テトラヒドロキソアルミン酸イオン([Al(OH)、あるいは[Al(OH)(HO))、ジシアノ銀(I)酸イオン([Ag(CN))、テトラヒドロキソクロム(III)酸イオン([Cr(OH))、テトラクロロ金(III)酸イオン([AuCl)、酸化物イオン(O2−)、硫化物イオン(S2−)、過酸化物イオン(O 2−)、硫酸イオン(SO 2−)、亜硫酸イオン(SO 2−)、チオ硫酸イオン(S 2−)、炭酸イオン(CO 2−)、クロム酸イオン(CrO 2−)、二クロム酸イオン(Cr 2−)、リン酸一水素イオン(HPO 2−)、テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸イオン([Zn(OH)2−)、テトラシアノ亜鉛(II)酸イオン([Zn(CN)2−)、テトラクロロ銅(II)酸イオン([CuCl2−)、リン酸イオン(PO 3−)、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン([Fe(CN)3−)、ビス(チオスルファト)銀(I)酸イオン([Ag(S3−)、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオン([Fe(CN)4−)などが挙げられる。これらの中でも、テトラフロオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラシアノホウ素酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン、過塩素酸イオンが好ましい。
これらの金属錯体の中でも、下記構造式(4)及び(5)で示されるコバルト錯体が特に好ましい。金属錯体がコバルト錯体であると、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下をより抑制することができる点で有利である。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化剤の含有量としては、ホール輸送材料100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。酸化剤の添加によって、すべてのホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていれば有効である。
また、ホール輸送層は、アルカリ金属塩を更に含有することが好ましい。ホール輸送層がアルカリ金属塩を含有すると、出力を向上させることができ、更に光照射耐性や高温保存耐性を向上させることができる。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミド、酢酸リチウム、テトラフルオロホウ素酸リチウム、ペンタフルオロリン酸リチウム、テトラシアノホウ素酸リチウム等のリチウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、酢酸ナトリウム、テトラフルオロホウ素酸ナトリウム、ペンタフルオロリン酸ナトリウム、テトラシアノホウ素酸ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム等のカリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミドが好ましい。
アルカリ金属塩の含有量としては、ホール輸送材料100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
ホール輸送層は、単一材料からなる単層構造でもよく、複数の化合物を含む積層構造であってもよい。ホール輸送層が積層構造の場合には、第2の電極に近いホール輸送層に高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いると、多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができる点で有利である。また、高分子材料は、多孔質状の電子輸送層内部へ浸透しにくいことから、多孔質状の電子輸送層表面の被覆性に優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果が得られる場合がある。
ホール輸送層に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性高分子材料が挙げられる。
ホール輸送性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)などが挙げられる。
ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレン−ビニレン)]などが挙げられる。
ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]などが挙げられる。
ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]などが挙げられる。
ポリアリールアミン化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]などが挙げられる。
ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)などが挙げられる。
これらの中でも、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルの観点から、ポリチオフェン化合物及びポリアリールアミン化合物が好ましい。
ホール輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多孔質状の電子輸送層の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層上に0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が更に好ましい。
ホール輸送層は、光増感化合物が吸着された電子輸送層の上に直接形成することができる。ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの点で、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができるが、単位面積当たりの50nm以上の突出部の面積の割合であるRc(50)を小さくするためには、下地の凹凸に関係なく平滑に塗工可能な従来公知のブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などが好ましい。
また、超臨界流体又は臨界点より低い温度及び圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、アルコール溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。ハロゲン溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易である点で好ましい。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより好ましい。
さらに、超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、ホール輸送材料を積層した後、プレス処理工程を施してもよい。プレス処理を施すことによって、ホール輸送材料がより多孔質電極である電子輸送層と密着するため、効率が改善できる場合がある。
プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラー等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。
プレス処理する時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
離型剤としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレス処理工程を行った後、第2の電極を設ける前に、ホール輸送材料と第2の電極との間に金属酸化物を設けてもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法などが挙げられる。
湿式製膜法としては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。湿式製膜法を用いた場合の塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
塗布された金属酸化物の平均厚みとしては、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
<<第2の電極>>
第2の電極は、ホール輸送層上に、又はホール輸送層における金属酸化物上に形成することができる。また、第2の電極は、第1の電極と同様のものを用いることができ、強度が十分に保たれる場合には支持体は必ずしも必要ではない。
第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素化合物、導電性金属酸化物、導電性高分子などが挙げられる。
金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
炭素化合物としては、例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、FTO、ATOなどが挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第2の電極の形成については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせなどの手法により形成可能である。
光電変換素子においては、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれかは実質的に透明であることが好ましい。第1の電極側が透明であり、入射光を第1の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第2の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。また、入射光側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホールブロッキング層、第1の基板、第2の基板、封止部材などが挙げられる。
<<ホールブロッキング層>>
ホールブロッキング層は、第1の電極と電子輸送層との間に形成してもよい。ホールブロッキング層は、光増感化合物で生成され、電子輸送層に輸送された電子を第1の電極に輸送し、かつホール輸送層との接触を防ぐ。これにより、ホールブロッキング層は、第1の電極へホールを流入しにくくし、電子とホールの再結合による出力低下を抑制することができる。ホール輸送層を設けた固体型の光電変換素子は、電解液を用いた湿式型に比べて、ホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合速度が速いことから、ホールブロッキング層の形成による効果は非常に大きい。
ホールブロッキング層の材質としては、可視光に対して透明であり、かつ電子輸送性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物;カドミウム、鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物などが挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズなどがより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単層としても積層してもよい。また、これらの半導体の結晶型は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でもよいし、多結晶でもよいし、あるいは非晶質でもよい。
ホールブロッキング層の製膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式製膜のゾルゲル法、四塩化チタンからの加水分解法、乾式製膜のスパッタリング法などが挙げられるが、これらの中でもスパッタリング法が好ましい。ホールブロッキング層の製膜方法がスパッタリング法であると、膜密度を十分に高くでき、損失電流を抑制することができる。
ホールブロッキング層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であるが、5nm以上1μm以下が好ましく、湿式製膜では500nm以上700nm以下がより好ましく、乾式製膜では5nm以上30nm以下がより好ましい。
<<第1の基板>>
第1の基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミックなどが挙げられる。これらの中でも、後述するように電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する基板が好ましい。また、第1の基板としては、可とう性を有するものが好ましい。
<<第2の基板>>
第2の基板としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。第2の基板と封止部材との接合部は密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。
第2の基板と封止部材との密着性を上げる手段としては、例えば、表面の有機物を除去してもよく、親水性を向上させてもよい。第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
<<封止部材>>
封止樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂の硬化物は、分子内にアクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂の硬化物は、分子内にエポキシ基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂としては、例えば、水分散系、無溶剤系、固体系、加熱硬化型、硬化剤混合型、紫外線硬化型などが挙げられる。これらの中でも熱硬化型及び紫外線硬化型が好ましく、紫外線硬化型がより好ましい。なお、紫外線硬化型であっても、加熱を行うことは可能であり、紫外線硬化した後であっても加熱を行うことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、環状脂肪族型、長鎖脂肪族型、グリシジルアミン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、必要に応じて硬化剤や各種添加剤を混合することが好ましい。
硬化剤としては、アミン系、酸無水物系、ポリアミド系およびその他の硬化剤に分類され、目的に応じて適宜選択される。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、充填材(フィラー)、ギャップ剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)、硬化促進剤、カップリング剤、可とう化剤、着色剤、難燃助剤、酸化防止剤、有機溶剤などが挙げられる。これらの中でも、充填材、ギャップ剤、硬化促進剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)が好ましく、充填材及び重合開始剤がより好ましい。
充填材は、水分や酸素の浸入を抑制する上で有効であるほか、硬化時の体積収縮の低減、硬化時あるいは加熱時のアウトガス量の低減、機械的強度の向上、熱伝導性や流動性の制御等の効果を得ることができ、様々な環境でも安定した出力を維持する上で非常に有効である。特に、光電変換素子の出力特性やその耐久性は、単に侵入する水分や酸素の影響だけでなく、封止部材の硬化時あるいは加熱時に発生するアウトガスの影響が無視できない。特に、加熱時に発生するアウトガスの影響は、高温環境保管における出力特性に大きな影響を及ぼす。
この場合、封止部材に充填材やギャップ剤、乾燥剤を含有させることにより、これら自身が水分や酸素の浸入を抑制できるほか、封止部材の使用量を低減できることにより、アウトガスを低減させる効果を得ることができる。これは、硬化時だけでなく、光電変換素子を高温環境に保存した際にも有効である。
充填材としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができ、例えば、結晶性あるいは不定形のシリカ、タルク、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系充填材が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の平均一次粒径は、0.1μm以上10μmが好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。添加量が好ましい範囲内であると、水分や酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができ、粘度が適正となり、基板との密着性や脱泡性の向上、あるいは封止部の幅の制御や作業性に対しても有効である。
充填材の含有量としては、封止部材全体が100質量部に対し、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。充填材の含有量が上記範囲内であることにより、水分や酸素の浸入抑制効果が十分に得られ、粘度も適正となり、密着性や作業性も良好となる。
ギャップ剤とは、ギャップ制御剤あるいはスペーサー剤とも称され、封止部のギャップを制御することが可能になる。例えば、第1の基板もしくは第1の電極の上に、封止部材を付与し、その上に第2の基板を載せて封止を行う場合、エポキシ樹脂にギャップ剤を混合していることにより、封止部のギャップがギャップ剤のサイズに揃うため、容易に封止部のギャップを制御することができる。
ギャップ剤としては、粒状でかつ粒径が均一であり、耐溶剤性や耐熱性が高いものであれば、公知の材料を使用できる。エポキシ樹脂と親和性が高く、粒子形状が球形であるものが好ましい。具体的には、ガラスビーズ、シリカ微粒子、有機樹脂微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ギャップ剤の粒径としては、設定する封止部のギャップに合わせて選択可能であるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
重合開始剤は、熱や光を用いて重合を開始させることを目的として添加される材料である。
熱重合開始剤は、加熱によってラジカルやカチオンなどの活性種を発生する化合物で、具体的には2,2’−アゾビスブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物等が用いられる。熱カチオン重合開始剤としてはベンゼンスルホン酸エステルやアルキルスルホニウム塩等が用いられる。一方、光重合開始剤は、エポキシ樹脂の場合光カチオン重合開始剤が好ましく用いられる。エポキシ樹脂に光カチオン重合開始剤を混合し、光照射を行うと光カチオン重合開始剤が分解して、強酸を発生し、酸がエポキシ樹脂の重合を引き起こし、硬化反応が進行する。光カチオン重合開始剤は、硬化時の体積収縮が少なく、酸素阻害を受けず、貯蔵安定性が高いといった効果を有する。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタセロン化合物、シラノール・アルミニウム錯体などが挙げられる。
また、光を照射することにより酸を発生する機能を有する光酸発生剤も使用できる。光酸発生剤は、カチオン重合を開始する酸として作用し、例えば、カチオン部とアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量としては、使用する材料によって異なる場合があるが、封止部材全体が100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。添加量が上記範囲内であることにより、硬化が適正に進み、未硬化物の残存を低減することができ、またアウトガスが過剰になるのを防止でき、有効である。
乾燥剤は、吸湿剤とも称され、水分を物理的あるいは化学的に吸着、吸湿する機能を有する材料であり、封止部材に含有させることにより、耐湿性をさらに高めたり、アウトガスの影響を低減できたりする場合もあることから有効である。
乾燥剤としては、粒子状であるものが好ましく、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライトなどの無機吸水材料が挙げられる。これらの中でも、吸湿量が多いゼオライトが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤は、硬化触媒とも称され、硬化速度を速めることを目的として用いられ、主に熱硬化型のエポキシ樹脂に用いられる。
硬化促進剤としては、例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)やDBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)等の三級アミンあるいは三級アミン塩、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系、トリフェニルホスフィンやテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のホスフィンあるいはホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤は、分子結合力を高める効果を有し、シランカップリング剤が挙げられ、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、封止部材は、封止材、シール材あるいは接着剤として市販されているエポキシ樹脂組成物が知られており、本発明においても有効に使用することができる。中でも、太陽電池や有機EL素子用途向けに開発、市販されているエポキシ樹脂組成物もあり、本発明において特に有効に使用できる。例えば、TB3118、TB3114、TB3124、TB3125F(スリーボンド社製)、WorldRock5910、WorldRock5920、WorldRock8723(協立化学社製)、WB90US(P)(モレスコ社製)等が挙げられる。
本発明においては、シート状封止材を用いることができる。
シート状封止材とは、シート上に予めエポキシ樹脂層を形成したもので、シートはガラスやガスバリア性の高いフィルム等が用いられ、本発明における第2の基板に該当する。シート状封止材を、第2の基板上に貼り付け、その後硬化させることにより、封止部材及び第2の基板を一度に形成することができる。シート上に形成するエポキシ樹脂層の形成パターンにより、中空部を設けた構造にすることもでき、有効である。
封止部材の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディスペンス法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、凸版、オフセット、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
更に、封止部材と第2の電極との間にパッシベーション層を設けてもよい。パッシベーション層としては、封止部材が第2の電極に接しないように配置されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどが好ましく用いられる。
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
<素子の構成>
図1、図2、及び図3については、上述のとおりであるため説明を省略する。
なお、図1に示される光電変換素子は、第2の電極7及び第2の基板9の間に中空部を有する。中空部を有することにより、中空部内の水分量や酸素濃度を制御することが可能になり、発電性能やその耐久性を向上できるメリットがある。また、第2の電極7と第2の基板9が接触していないため、第2の電極7の剥離や破壊を防止することができる。中空部内の酸素濃度は、特に制限はなく、自由に選択できるが、0%以上21%以下が好ましく、0.05%以上10%以下がより好ましく、0.1%以上5%以下が更に好ましい。さらに、第1の電極2及び第2の電極7は各々電極取出し端子まで導通する経路を有する。
図4は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図であり、第1の基板1と電子輸送層4との間にホールブロッキング層3が形成されている。ホールブロッキング層3を形成することにより、電子とホールの再結合を防止することができ、発電性能の向上に有効である。図4に示される光電変換素子は、図1と同様に第2の電極7及び第2の基板9の間に中空部を有する。
図5は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図であり、封止部の中空部を設けずに、図4の中空部を封止部材8で覆った場合の一例である。例えば、封止部材8を第2の電極7上の全面に塗布し、その上に第2の基板9を設ける方法や、前述のシート状封止材を用いる方法により形成できる。この場合、封止内部の中空部を完全に無くしてもよいし、中空部を一部残してもよい。このように、ほぼ全面を封止部材で覆うことにより、第2の基板9が剥離したり、破壊したりすることを低減でき、光電変換素子の機械的強度を高めることが可能になる。
図6は、本発明の光電変換素子の別の一例を示す概略図であり、封止部材8が第1の基板1と第2の基板9に接着されている。このような構成にすることにより、封止部材8の基板との接着性が高くなり、光電変換素子の機械的強度が高まる効果が得られる。また、密着性が高まることにより、水分や酸素の浸入を防ぐ封止効果をより一層高める効果も得ることができる。
図7は、本発明の光電変換素子モジュールの一例を示す概略図であり、複数の光電変換素子を含み、それらが直列に接続された光電変換素子モジュールの一例である。図7の例は、ホール輸送層6を形成した後、貫通部10を形成し、その後第2の電極7を形成することによって、貫通部10の内部に第2の電極材料が導入され、隣接するセルの第1の電極2bと導通させることができる。なお、図7には図示しないが、第1の電極2a及び第2の電極7bは、更に隣接するセルの電極、あるいは出力取出し端子まで導通する経路を有する。
図7の光電変換素子モジュール102では、図3で示したように、ホール輸送層6の表面の突出部が占める面積が少なくなっており、相対的に電流が集中する箇所がなくなるため、リーク電流の発生を抑制することができる。また、光電変換素子モジュール102は、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、ホールブロッキング層3を連結させずにホール輸送層6を連結させる。これにより、光電変換素子モジュール102は、高照度光でリーク電流が発生しにくく、かつ光増感化合物がダメージを受けにくくなるため、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる。このため、光電変換素子モジュール102は、太陽光に晒した後でも、LEDや蛍光灯といった室内で使用される照明器具の光でも高い発電出力を有することができる。
なお、貫通部10については、第1の電極2を貫通し、第1の基板1まで達していてもよいし、第1の電極2の内部で加工をやめ、第1の基板1にまで達していなくてもよい。貫通部10の形状を第1の電極2を貫通し、第1の基板1まで到達する微細孔とする場合、貫通部10の面積に対して微細孔の開口面積合計が大きくなりすぎると、第1の電極2の膜断面積が減少することで抵抗値が増大してしまい、光電変換効率の低下を引き起こす場合がある。そのため、貫通部10の面積に対する微細孔の開口面積合計の比率は、5/100〜60/100であることが好ましい。
また、貫通部10の形成方法は、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法等挙げられが、本発明においてはレーザー加工法が好ましい。その理由は微細な孔をサンドやエッチング、レジスト等を使うことなく形成でき、これにより清浄に再現性よく加工することが可能となる。レーザー加工法が好ましいもう一つの理由は、貫通部10を形成するとき、ホールブロッキング層3、電子輸送層4、ホール輸送層6、第2の電極7のうち少なくとも一つ、場合によっては全てをレーザー加工法による衝撃剥離によって除去することが可能になることである。これにより、積層時にマスクを設ける必要がなく、また、除去と微細な貫通部10の形成を一度に簡易的に行うことができる。
図8は、本発明の光電変換素子モジュールの一例を示す概略図であり、図7と異なり、電子輸送層4が隣接する光電変換素子と切断されており、それぞれが独立した層構成となっている。これにより、図8に示す光電変換素子モジュール102は、電子輸送層4どうしが互いに延設されていないことから、電子拡散が抑制されてリーク電流が低下するため、光耐久性が向上する点で有利である。
図9は、本発明の光電変換素子モジュールの一例を示す概略図であり、複数の光電変換素子を含み、それらが直列に接続され、セル間の中空部に梁のように封止部材を設けた光電変換素子モジュールの一例である。図4のように、第2の電極7と第2の基板9との間に中空部を設けると、第2の電極7の剥離や破壊を防止できる反面、封止の機械的強度が低下する場合がある。一方、図5のように、第2の電極7と第2の基板9との間を封止部材で満たした場合、封止の機械的強度は高まるが、第2の電極7の剥離が生じる懸念がある。発電力を高めるためには、光電変換素子モジュールの面積を増加することが有効であるが、中空部を有する場合には機械的強度の低下が避けられない。この場合、図9に示すように梁のように封止部材を設けることにより、第2の基板9の剥離や破壊を防止し、かつ封止の機械的強度を高めることができる。
本発明の光電変換素子及び光電変換素子モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。その他、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することができる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることもできる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
(電源モジュール)
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、電源IC(Integrated Circuit)と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
次に、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の具体的な実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。
図10に示すように、光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線や電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図11は、図10に示したマウスの一例を示す概略外観図である。
図11に示すように、光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
次に、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図12は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。
図12に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線や電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図13は、図12に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。
図13に示すように、光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。
光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図14に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
次に、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図15は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。
図15に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図15中Aに示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPC(Personal Computer)やスマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT(Internet of Things)社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換素子は、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
次に、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図16は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。
図16に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル制御回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば、商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換素子を用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
<用途>
以上、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換素子、あるいは光電変換素子モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより、例えば、電源装置に応用できる。
電源装置を利用している機器類としては、例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどが挙げられる。
また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として、光電変換素子を有する電源装置を用いることができる。
本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、自立型電源として機能させることができ、光電変換によって発生した電力を用いて、装置を動作させることが可能である。本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、光が照射されることにより発電することが可能であるため、電子機器を電源に接続したり、あるいは電池交換したりする必要がない。そのため、電源設備がない場所でも電子機器を動作させたり、身に着けて持ち歩いたり、電池交換が困難な場所でも電池を交換することなく、電子機器を動作させたりすることが可能である。また、乾電池を用いる場合は、その分電子機器が重くなったり、サイズが大きくなったりするため、壁や天井への設置、あるいは持ち運びに支障を来すことがあるが、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、軽量で薄いため、設置自由度が高く、身に着けたり、持ち歩く上でもメリットが大きい。
このように、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウスやキーボードなどのパソコンの付属機器、温湿度センサや人感センサなどの各種センサ機器、ビーコンやGPS(Global Positionin System)などの発信機、補助灯、リモコン等数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、特に低照度の光でも発電できるため、室内でも、更に薄暗い影のところでも発電することが可能であるため、適用範囲が広い。また、乾電池のように液漏れがなく、ボタン電池のように誤飲することもなく安全性が高い。更に、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることができる。このように、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせることで、軽量で使い勝手がよく、設置自由度が高く、交換が不要で、安全性に優れ、かつ環境負荷低減にも有効な電子機器に生まれ変わることができる。
本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせた本発明の電子機器の一例を示すブロック図を図17に示す。これは、光電変換素子に光が照射されると発電し、電力を取り出すことができる。機器の回路は、その電力によって動作することが可能になる。
しかし、光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化するため、図17に示す電子機器は安定に動作することができない場合がある。この場合、図18に示すように、回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを組み込むことが可能であり、有効である。
しかし、光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図19に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
このように、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源ICや蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
一方、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールは、電源モジュールとしても使用することが可能であり、有用である。例えば、図20に示すように、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、光電変換素子用の電源ICを接続すると、光電変換素子が光電変換することによって発生した電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給することが可能な直流電源モジュールを構成することができる。
更に、図21に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図20及び図21に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<光電変換素子モジュールの作製>
第一の基板としてのガラス基板上に、第一の電極としてのインジウムドープ酸化錫(ITO)とニオブドープ酸化錫(NTO)を順次スパッタ製膜し、次いでホールブロック層として酸化チタンからなる緻密な層を酸素ガスによる反応性スパッタにより形成した。次いで、基板上に形成されたITO/NTO及びホールブロック層の一部を、レーザー加工によりエッチング処理を行い、隣接する光電変換素子との距離を10μmに形成した。
次に、酸化チタン(石原産業社製ST−21)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、和光純薬工業株式会社製)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gとともに12時間ビーズミル処理を施し、得られた酸化チタン分散液にポリエチレングリコール(#20,000、和光純薬工業株式会社製)1.2gを加えてペーストを作製した。得られたペーストを、ホールブロック層上に平均厚みが約1.5μmになるように塗布し、60℃で乾燥後、空気中、550℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
電子輸送層を形成したガラス基板を、前記B−5で表される光増感化合物120mgと、ケノデオキシコール酸(東京化成株式会社製)150mgにアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合液を加え攪拌した溶液に浸漬し、1時間暗所で静置して、電子輸送層の表面に光増感化合物を吸着させた。
次に、前記D−7で表されるホール輸送材料(メルク株式会社製)183mgのクロロベンゼン溶液1mLに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学株式会社製)15.0mg、前記C−12で表される塩基性化合物40mgを加えて溶解し、ホール輸送層塗布液を調整した。
次に、光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、ホール輸送層塗布液を用い、ブレードコートにより平均厚みが約400nmのホール輸送層を形成した。その後、封止部材が設けられるガラス基板の端部をレーザー加工によりエッチング処理し、さらにレーザー加工により素子を直列に接続するための貫通孔を形成した。さらに、その上に銀を真空蒸着し、平均厚みが約60nmの第2の電極を形成した。この際、貫通孔の内壁にも銀が蒸着され、隣接する素子が直列に接続されていることを確認した。直列数は6個を形成した。
ガラス基板の端部を、発電領域が取り囲まれるように、紫外線硬化樹脂(TB3118、株式会社スリーボンドホールディングス製)をディスペンサー(2300N、株式会社サンエイテック製)を用いて塗布した。その後、低湿かつ酸素濃度を0.5%に制御したグローブボックス内に移して、前記紫外線硬化樹脂の上に第2の基板としてのカバーガラスを載せ、紫外線照射により硬化させ、発電領域の封止を行い、図7で示される本発明の光電変換素子モジュール1を作製した。
なお、第2の電極及びホール輸送層の層厚については、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。第2の電極の層厚を測定する際には、第2の電極を製膜後にテープで第2の電極の一部を剥がし、更に一層下のホール輸送層が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、以下の測定条件で第2の電極を撮影した。また、ホール輸送層の層厚を測定する際には、ホール輸送層を製膜後にテトラヒドロフランを滴下しホール輸送層の一部を除去し、更に一層下の電子輸送層が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、以下の測定条件でホール輸送層を撮影した。平均段差解析により、下層と測定する層の平均厚みを算出した。
[層厚の測定条件]
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 2.5倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 1,900μm×1,400μm
ピクセル数 : 640pix×480pix
また、Rc(50)は、次のように求めた。
以下の測定条件で、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いてホール輸送層の表面形状を平面視して観察した。次に、粒子解析により、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)の高さ以上の突出部の総断面積を算出した。これを観察領域の面積で割り、3視野の平均値を算出してRc(50)を求めた。
[Rc(50)の測定条件]
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 10倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 470nm×350nm
ピクセル数 : 640pix×480pix
<光電変換素子モジュールの評価>
得られた光電変換素子モジュール1について、低照度である200luxに調整した白色LED照射下で、DC電圧電流ソース/モニター(ADCMT、6241A)を用いて、IV特性を評価し、初期の最大出力電力Pmax(μW/cm)を求めた。次いで、光電変換素子モジュール1を高照度である10,000luxに調整した白色LEDを200時間連続で照射した後、再度200luxでのIV特性を評価し、高照度光照射後の最大出力電力を測定して維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約500nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約600nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約800nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2において、平均厚みが約20nmの第2の電極を形成した以外は、全て実施例2と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5において、第2の電極の平均厚みを約45nmに変更した以外は、全て実施例5と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例5において、第2の電極の平均厚みを約30nmに変更した以外は、全て実施例5と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ホール輸送層塗布液をスピンコートにより約300nmのホール輸送層を形成し、そのホール輸送層の上に銀を真空蒸着して平均厚みが約100nmの第2の電極を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、ホール輸送層の平均厚みを約500nmに変更し、第2の電極の平均厚みを約60nmに変更した以外は、全て比較例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2において、第2の電極の平均厚みを約20nmに変更した以外は、全て比較例2と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜7は維持率が80%以上であり、比較例1〜3と比べると高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制できることが分かった。また、実施例5と実施例7とを比較すると、Rc(50)が0.75%以下であっても、第2の電極の層厚が25nm以下の場合には、Pmax及び連続照射後のPmax維持率が低く、Rc(50)だけでなく第2の電極の層厚が重要であることが分かった。さらに、実施例1〜4を比較すると、第2の電極の層厚を50nm以上にすることにより、より高いPmaxと連続照射後のPmax維持率が得られることが明らかとなった。
以上説明したように、本発明の光電変換素子は、ホール輸送層の第2の電極側の表面における単位面積に対する、高さが50nm以上の突出部の面積の割合をRc(50)とすると、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たす。これにより、本発明の光電変換素子は、第2の電極が薄い箇所が少なくなることにより、リーク電流が発生しにくく、かつ光増感化合物がダメージを受けにくくなるため、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる。このため、本発明の光電変換素子は、太陽光に晒した後でも、LEDや蛍光灯といった室内で使用される照明器具の光でも高い発電出力を有することができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、
前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、
前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、
前記ホール輸送層において、
前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たすことを特徴とする光電変換素子である。
<2> 次式、0%<Rc(50)≦0.50%、を満たす前記<1>に記載の光電変換素子である。
<3> 前記第2の電極の平均厚みが、25nm以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<4> 前記第2の電極の平均厚みが、50nm以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子が複数設けられていることを特徴とする光電変換素子モジュールである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器である。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュールである。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子、前記<5>に記載の光電変換素子モジュール、前記<6>に記載の電子機器、及び前記<7>に記載の電源モジュールによれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
特開2014−241243号公報
1 第1の基板
2、2a、2b 第1の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7、7a、7b 第2の電極
8 封止部材
9 第2の基板
10 貫通部
11 封止部材
101 光電変換素子
102 光電変換素子モジュール

Claims (7)

  1. 第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、
    前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、
    前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、
    前記ホール輸送層において、
    前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たすことを特徴とする光電変換素子。
  2. 次式、0%<Rc(50)≦0.50%、を満たす請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記第2の電極の平均厚みが、25nm以上である請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
  4. 前記第2の電極の平均厚みが、50nm以上である請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子が複数設けられていることを特徴とする光電変換素子モジュール。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
    前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
    電源ICと、
    を有することを特徴とする電源モジュール。
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