JP2019186528A - 光電変換素子、光電変換素子モジュール、電子機器、及び電源モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、ホール輸送層と第2の電極とが接触している。また、ホール輸送層における平均厚みをX(nm)とすると、ホール輸送層において、第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、本発明の光電変換素子は、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たす。
本発明者らは、ホール輸送層や対向電極の構造に着目し、対向電極と隣接しているホール輸送層表面の粗さを低減するのではなく、ホール輸送層表面において所定の高さ以上の突出部が占める面積を低減することにより解決できることを見いだした。すなわち、本発明の光電変換素子は、ホール輸送層表面において所定の高さ以上の突出部が占める面積を低減することにより、一定期間高照度環境下に晒した後に低照度の光を照射しても、リーク電流が少なく高い出力を維持することができる。このような効果が得られる理由は次のように推測される。
図1に示すように、光電変換素子101には、第1の基板1上に第1の電極2が形成される。第1の電極2上には電子輸送層4が形成され、電子輸送層4を構成する電子輸送材料の表面に光増感化合物5が吸着されている。電子輸送層4の上部及び内部にはホール輸送層6が形成され、ホール輸送層6の上に第2の電極7が形成される。第2の電極7の上方には第2の基板9が配置され、第2の基板9は第1の電極2との間で封止部材8によって固定される。
図2に示すように、ホール輸送層6における平均厚みをX(nm)としたとき(図2中一点鎖線)、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線(図2中破線)を引く。ホール輸送層6において、この基準線よりも第2の電極7側に突出する突出部が占める面積(図2中Aで示す部分を平面視した場合の面積)の割合をRc(50)としたとき、Rc(50)が高いとリーク電流が発生しやすくなる。これは、第2の電極7の平均厚みに対してホール輸送層6表面の突出部の高さが十分に高いと、ホール輸送層6の突出部の真上にある第2の電極7の層厚が薄くなり局所的に抵抗が小さくなるため、光照射時にはホール輸送層6と第2の電極7との界面で相対的に電流が集中し、リーク点となると考えられる。
図3に示すように、ホール輸送層6表面の突出部が占める面積が少ないと、相対的に電流が集中する箇所がなくなるため、リーク電流の発生を抑制することができる。
このような突出部に由来する電流のリークは、高照度のときは測定上目立たないが低照度光下で評価すると特に顕著になり、出力低下を起こす。
上記のように推測した根拠の一つは、第2の電極の平均厚みによってリーク電流量が影響を受けるからである。
したがって、第2の電極の平均厚みに対して1/2以上の高さのホール輸送層の突出部が少ない方が望ましい。ただし、固体色素増感太陽電池は、多孔質金属酸化物半導体の上に固体のホール輸送層を塗布しているので、液体型と異なり突出部がゼロにはならない。多孔質金属酸化物半導体は、色素が付着する表面積の確保と、塗布するホール輸送層の含浸性の確保の観点で多孔質としており、その表面はある程度粗くなる。粗くなるほど隣接するホール輸送層の突出部の高さも高くなり面積も増える。
ホール輸送層及び第2の電極の層厚の測定法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、段差計、白色干渉顕微鏡、断面SEM観察などが挙げられる。具体的には、図1に示す光電変換素子のホール輸送層6の層厚を白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定する際には、ホール輸送層6の一層下の電子輸送層4を一部露出させてその段差を測定してもよく、また電子輸送層4と第1の基板1との段差及びホール輸送層6と第1の基板1との段差から電子輸送層4の層厚を測定してもよい。前者の場合、電子輸送層4を一部露出させる方法としては、例えば、テトラヒドロフラン等のホール輸送層6を溶かす溶媒を滴下する方法などが挙げられる。さらに、ホール輸送層6と共に、一層下の電子輸送層4が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、例えば、以下の測定条件で撮影することができる。そして、平均段差解析により、ホール輸送層6における平均厚みXを算出することができる。
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 2.5倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 1,900μm×1,400μm
ピクセル数 : 640pix×480pix
Rc(50)の求め方は、例えば、次のように求めることができる。
以下の測定条件で、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いてホール輸送層の表面形状を平面視して観察する。次に、粒子解析により、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)の高さ以上の突出部の総断面積を算出する。これを観察領域の面積で割り、例えば、3視野の平均値を算出することによりRc(50)を求めることができる。
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 10倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 470nm×350nm
ピクセル数 : 640pix×480pix
光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる素子のことを示し、太陽電池やフォトダイオードなどに応用されている。本発明の光電変換素子及び光電変換素子モジュールは、太陽光に限らず、LEDや蛍光灯といった室内で使用される照明器具の光でも高い発電性能を有する。
この光電変換素子は、第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
第1の電極としては、その形状、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTOがより好ましい。
一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、又はメッシュ状やストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
金属リード線は、例えば、蒸着、スパッタリング、圧着などで基板に形成し、その上にITOやFTOの層を設けることにより併用することができる。
電子輸送層は、光増感化合物で生成された電子を第1の電極あるいはホールブロッキング層まで輸送する目的で形成される。このため、電子輸送層は、第1の電極あるいはホールブロッキング層に隣接して配置されることが好ましい。
電子輸送層の構造としては、連続層単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
半導体材料は、微粒子状の形状を有し、これらが接合することによって、多孔質状の膜に形成されることが好ましい。多孔質状の電子輸送層を構成する半導体微粒子の表面に、光増感化合物が化学的あるいは物理的に吸着される。
単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニド、具体的には、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物;カドミウム、鉛等のセレン化物;カドミウム等のテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブがより好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの様々な方法を用いることができる。
樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミンなどが挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で、増粘剤を添加することも有効な手段である。
増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられる。
半導体材料から形成された電子輸送層にマイクロ波照射する場合には、照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。この場合、電子輸送層が形成されている面側から照射してもよく、電子輸送層が形成されていない面側から照射してもよい。
直径が数十nmの半導体材料を焼結し得られた膜は、多孔質状を形成することができる。このようなナノ多孔質構造は、非常に高い表面積を有し、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。ラフネスファクターは、第1の基板に塗布した半導体粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターとしては、大きいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、20以上が好ましい。
光増感化合物は、出力や光電変換効率の更なる向上のため、電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着される。
光増感化合物としては、光電変換素子に照射される光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記の公知の化合物などが挙げられる。具体的には、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、9−アリールキサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物が好ましく、三菱製紙株式会社製の下記構造式(1)、下記構造式(2)、下記構造式(3)で表される化合物、更に下記一般式(3)を含む化合物がより好ましい。なお、これらの光増感化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いることもできる。
縮合剤としては、半導体材料の表面に物理的もしくは化学的に、光増感化合物を結合させるような触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。更に、縮合助剤として、チオールやヒドロキシ化合物などを添加してもよい。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
凝集解離剤としては、特に制限はなく、用いる色素に対して適宜選択することができるが、コール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましい。
凝集解離剤の含有量としては、光増感化合物1質量部に対して0.01質量部以上500質量部以下が好ましく、0.1質量部以上100質量部以下がより好ましい。
攪拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散等を用いた方法などが挙げられる。
ホール輸送層は、ホールを輸送する機能を有していれば、公知の材料を用いることができ、例えば、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料などが挙げられる。これらの中でも、電解液やゲル電解質を用いることも可能であるが、固体電解質が好ましく、有機ホール輸送材料がより好ましい。
以下に、一般式(1)または一般式(2)で示される塩基性化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
スピロ型化合物としては、下記一般式(4)を含む化合物が好ましい。
金属カチオンとしては、例えば、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、白金等のカチオンを挙げることができ、この中でも、コバルト、鉄、ニッケル、銅のカチオンが好ましく、コバルト錯体がより好ましい。配位子としては、少なくとも一つの窒素を含有する5及び/又は6員複素環を含むものが好ましく、置換基を有していてもよい。具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの金属錯体の中でも、下記構造式(4)及び(5)で示されるコバルト錯体が特に好ましい。金属錯体がコバルト錯体であると、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下をより抑制することができる点で有利である。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミド、酢酸リチウム、テトラフルオロホウ素酸リチウム、ペンタフルオロリン酸リチウム、テトラシアノホウ素酸リチウム等のリチウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、酢酸ナトリウム、テトラフルオロホウ素酸ナトリウム、ペンタフルオロリン酸ナトリウム、テトラシアノホウ素酸ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム等のカリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミドが好ましい。
ホール輸送性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)などが挙げられる。
ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレン−ビニレン)]などが挙げられる。
ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]などが挙げられる。
ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]などが挙げられる。
ポリアリールアミン化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]などが挙げられる。
ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)などが挙げられる。
これらの中でも、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルの観点から、ポリチオフェン化合物及びポリアリールアミン化合物が好ましい。
湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができるが、単位面積当たりの50nm以上の突出部の面積の割合であるRc(50)を小さくするためには、下地の凹凸に関係なく平滑に塗工可能な従来公知のブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などが好ましい。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。ハロゲン溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易である点で好ましい。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラー等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
圧力としては、10kgf/cm2以上が好ましく、30kgf/cm2以上がより好ましい。
プレス処理する時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法などが挙げられる。
塗布された金属酸化物の平均厚みとしては、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
第2の電極は、ホール輸送層上に、又はホール輸送層における金属酸化物上に形成することができる。また、第2の電極は、第1の電極と同様のものを用いることができ、強度が十分に保たれる場合には支持体は必ずしも必要ではない。
第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素化合物、導電性金属酸化物、導電性高分子などが挙げられる。
金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
炭素化合物としては、例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、FTO、ATOなどが挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光電変換素子においては、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれかは実質的に透明であることが好ましい。第1の電極側が透明であり、入射光を第1の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第2の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。また、入射光側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホールブロッキング層、第1の基板、第2の基板、封止部材などが挙げられる。
ホールブロッキング層は、第1の電極と電子輸送層との間に形成してもよい。ホールブロッキング層は、光増感化合物で生成され、電子輸送層に輸送された電子を第1の電極に輸送し、かつホール輸送層との接触を防ぐ。これにより、ホールブロッキング層は、第1の電極へホールを流入しにくくし、電子とホールの再結合による出力低下を抑制することができる。ホール輸送層を設けた固体型の光電変換素子は、電解液を用いた湿式型に比べて、ホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合速度が速いことから、ホールブロッキング層の形成による効果は非常に大きい。
金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物;カドミウム、鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物などが挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズなどがより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単層としても積層してもよい。また、これらの半導体の結晶型は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でもよいし、多結晶でもよいし、あるいは非晶質でもよい。
第1の基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミックなどが挙げられる。これらの中でも、後述するように電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する基板が好ましい。また、第1の基板としては、可とう性を有するものが好ましい。
第2の基板としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。第2の基板と封止部材との接合部は密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。
第2の基板と封止部材との密着性を上げる手段としては、例えば、表面の有機物を除去してもよく、親水性を向上させてもよい。第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
封止樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂の硬化物は、分子内にアクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂の硬化物は、分子内にエポキシ基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂としては、例えば、水分散系、無溶剤系、固体系、加熱硬化型、硬化剤混合型、紫外線硬化型などが挙げられる。これらの中でも熱硬化型及び紫外線硬化型が好ましく、紫外線硬化型がより好ましい。なお、紫外線硬化型であっても、加熱を行うことは可能であり、紫外線硬化した後であっても加熱を行うことが好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この場合、封止部材に充填材やギャップ剤、乾燥剤を含有させることにより、これら自身が水分や酸素の浸入を抑制できるほか、封止部材の使用量を低減できることにより、アウトガスを低減させる効果を得ることができる。これは、硬化時だけでなく、光電変換素子を高温環境に保存した際にも有効である。
充填材の含有量としては、封止部材全体が100質量部に対し、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。充填材の含有量が上記範囲内であることにより、水分や酸素の浸入抑制効果が十分に得られ、粘度も適正となり、密着性や作業性も良好となる。
ギャップ剤としては、粒状でかつ粒径が均一であり、耐溶剤性や耐熱性が高いものであれば、公知の材料を使用できる。エポキシ樹脂と親和性が高く、粒子形状が球形であるものが好ましい。具体的には、ガラスビーズ、シリカ微粒子、有機樹脂微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ギャップ剤の粒径としては、設定する封止部のギャップに合わせて選択可能であるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
また、光を照射することにより酸を発生する機能を有する光酸発生剤も使用できる。光酸発生剤は、カチオン重合を開始する酸として作用し、例えば、カチオン部とアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
乾燥剤としては、粒子状であるものが好ましく、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライトなどの無機吸水材料が挙げられる。これらの中でも、吸湿量が多いゼオライトが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)やDBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)等の三級アミンあるいは三級アミン塩、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系、トリフェニルホスフィンやテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のホスフィンあるいはホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シート状封止材とは、シート上に予めエポキシ樹脂層を形成したもので、シートはガラスやガスバリア性の高いフィルム等が用いられ、本発明における第2の基板に該当する。シート状封止材を、第2の基板上に貼り付け、その後硬化させることにより、封止部材及び第2の基板を一度に形成することができる。シート上に形成するエポキシ樹脂層の形成パターンにより、中空部を設けた構造にすることもでき、有効である。
更に、封止部材と第2の電極との間にパッシベーション層を設けてもよい。パッシベーション層としては、封止部材が第2の電極に接しないように配置されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどが好ましく用いられる。
図1、図2、及び図3については、上述のとおりであるため説明を省略する。
なお、図1に示される光電変換素子は、第2の電極7及び第2の基板9の間に中空部を有する。中空部を有することにより、中空部内の水分量や酸素濃度を制御することが可能になり、発電性能やその耐久性を向上できるメリットがある。また、第2の電極7と第2の基板9が接触していないため、第2の電極7の剥離や破壊を防止することができる。中空部内の酸素濃度は、特に制限はなく、自由に選択できるが、0%以上21%以下が好ましく、0.05%以上10%以下がより好ましく、0.1%以上5%以下が更に好ましい。さらに、第1の電極2及び第2の電極7は各々電極取出し端子まで導通する経路を有する。
図7の光電変換素子モジュール102では、図3で示したように、ホール輸送層6の表面の突出部が占める面積が少なくなっており、相対的に電流が集中する箇所がなくなるため、リーク電流の発生を抑制することができる。また、光電変換素子モジュール102は、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、ホールブロッキング層3を連結させずにホール輸送層6を連結させる。これにより、光電変換素子モジュール102は、高照度光でリーク電流が発生しにくく、かつ光増感化合物がダメージを受けにくくなるため、高照度光に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制することができる。このため、光電変換素子モジュール102は、太陽光に晒した後でも、LEDや蛍光灯といった室内で使用される照明器具の光でも高い発電出力を有することができる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、電源IC(Integrated Circuit)と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
図10に示すように、光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線や電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図11に示すように、光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
図12に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線や電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図13に示すように、光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。
光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図14に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
図15に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO2、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図15中Aに示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPC(Personal Computer)やスマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT(Internet of Things)社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換素子は、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
図16に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル制御回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば、商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換素子を用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
以上、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換素子、あるいは光電変換素子モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
電源装置を利用している機器類としては、例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどが挙げられる。
また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として、光電変換素子を有する電源装置を用いることができる。
このように、本発明の光電変換素子、及び光電変換素子モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウスやキーボードなどのパソコンの付属機器、温湿度センサや人感センサなどの各種センサ機器、ビーコンやGPS(Global Positionin System)などの発信機、補助灯、リモコン等数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
しかし、光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図19に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
このように、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源ICや蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
更に、図21に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図20及び図21に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
<光電変換素子モジュールの作製>
第一の基板としてのガラス基板上に、第一の電極としてのインジウムドープ酸化錫(ITO)とニオブドープ酸化錫(NTO)を順次スパッタ製膜し、次いでホールブロック層として酸化チタンからなる緻密な層を酸素ガスによる反応性スパッタにより形成した。次いで、基板上に形成されたITO/NTO及びホールブロック層の一部を、レーザー加工によりエッチング処理を行い、隣接する光電変換素子との距離を10μmに形成した。
なお、第2の電極及びホール輸送層の層厚については、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。第2の電極の層厚を測定する際には、第2の電極を製膜後にテープで第2の電極の一部を剥がし、更に一層下のホール輸送層が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、以下の測定条件で第2の電極を撮影した。また、ホール輸送層の層厚を測定する際には、ホール輸送層を製膜後にテトラヒドロフランを滴下しホール輸送層の一部を除去し、更に一層下の電子輸送層が同一撮影画像に入るよう視野を調整した上で、以下の測定条件でホール輸送層を撮影した。平均段差解析により、下層と測定する層の平均厚みを算出した。
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 2.5倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 1,900μm×1,400μm
ピクセル数 : 640pix×480pix
以下の測定条件で、白色干渉顕微鏡(VS1500、日立ハイテクサイエンス社製)を用いてホール輸送層の表面形状を平面視して観察した。次に、粒子解析により、ホール輸送層6において、第2の電極7と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)の高さ以上の突出部の総断面積を算出した。これを観察領域の面積で割り、3視野の平均値を算出してRc(50)を求めた。
測定モード : WAVEモード
対物レンズ倍率: 10倍
波長フィルタ : 530nmWhite
観察領域 : 470nm×350nm
ピクセル数 : 640pix×480pix
得られた光電変換素子モジュール1について、低照度である200luxに調整した白色LED照射下で、DC電圧電流ソース/モニター(ADCMT、6241A)を用いて、IV特性を評価し、初期の最大出力電力Pmax(μW/cm2)を求めた。次いで、光電変換素子モジュール1を高照度である10,000luxに調整した白色LEDを200時間連続で照射した後、再度200luxでのIV特性を評価し、高照度光照射後の最大出力電力を測定して維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約500nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約600nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1において、ホール輸送層の平均厚みを約800nmに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例2において、平均厚みが約20nmの第2の電極を形成した以外は、全て実施例2と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例5において、第2の電極の平均厚みを約45nmに変更した以外は、全て実施例5と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例5において、第2の電極の平均厚みを約30nmに変更した以外は、全て実施例5と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
実施例1において、ホール輸送層塗布液をスピンコートにより約300nmのホール輸送層を形成し、そのホール輸送層の上に銀を真空蒸着して平均厚みが約100nmの第2の電極を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
比較例1において、ホール輸送層の平均厚みを約500nmに変更し、第2の電極の平均厚みを約60nmに変更した以外は、全て比較例1と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
比較例2において、第2の電極の平均厚みを約20nmに変更した以外は、全て比較例2と同様にして、Pmax及び維持率を求めた。結果を表1に示す。
<1> 第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、
前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、
前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、
前記ホール輸送層において、
前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たすことを特徴とする光電変換素子である。
<2> 次式、0%<Rc(50)≦0.50%、を満たす前記<1>に記載の光電変換素子である。
<3> 前記第2の電極の平均厚みが、25nm以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<4> 前記第2の電極の平均厚みが、50nm以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子が複数設けられていることを特徴とする光電変換素子モジュールである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器である。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュールである。
2、2a、2b 第1の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7、7a、7b 第2の電極
8 封止部材
9 第2の基板
10 貫通部
11 封止部材
101 光電変換素子
102 光電変換素子モジュール
Claims (7)
- 第1の電極と、電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、
前記ホール輸送層と前記第2の電極とが接触し、
前記ホール輸送層における平均厚みをX(nm)としたとき、
前記ホール輸送層において、
前記第2の電極と接する表面とは反対側の表面から、X+50(nm)だけ離れた距離に位置する基準線よりも前記第2の電極側に突出する突出部が占める面積の割合をRc(50)としたとき、次式、0%<Rc(50)≦0.75%、を満たすことを特徴とする光電変換素子。 - 次式、0%<Rc(50)≦0.50%、を満たす請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記第2の電極の平均厚みが、25nm以上である請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記第2の電極の平均厚みが、50nm以上である請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
- 請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子が複数設けられていることを特徴とする光電変換素子モジュール。
- 請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
前記光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器。 - 請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子及び/又は光電変換素子モジュールと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュール。
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