以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、タイヤへのスポンジ材の貼り付け状態の検査方法で使用される検査装置の一例を示す概念図である。図2は、図1に示したタイヤの部分斜視図である。
本実施形態のタイヤ1へのスポンジ材の貼り付け状態の検査方法(以下、単に「検査方法」ということがある。)は、図2に示されるように、トレッド部2のタイヤ内腔面3に、タイヤ周方向に延びる帯状のスポンジ材5が貼り付けられたタイヤ1について、スポンジ材5の貼り付け状態を検査するための方法である。
図3は、タイヤ1のタイヤ赤道Cでの断面図である。図4は、スポンジ材5の一例を示す平面図である。スポンジ材5は、表面に多数の孔部(気泡)を有する多孔質材料によって構成されている。スポンジ材5は、タイヤ内腔面3に固着される底面6を有する長尺帯状に形成されている。スポンジ材5が固着されるタイヤ内腔面3は、バフ処理により、加硫時に塗布された離型剤が除去されている。図4に示されるように、スポンジ材5のタイヤ内腔面3(図2に示す)への貼り付け前の状態では、平面視において、矩形状に形成されている。
スポンジ材5は、図3に示されるように、タイヤ周方向に延びている。本実施形態のスポンジ材5は、図2に示されるように、スポンジ材5の幅方向の中心5fと、タイヤ赤道Cとが、タイヤ軸方向で一致するように配置されている。
スポンジ材5は、図3に示されるように、タイヤ周方向の第1端5aと第2端5bとを有している。第1端5aと第2端5bとは、タイヤ周方向の隙間8を隔てて配置されている。スポンジ材5は、図2及び図4に示されるように、タイヤ軸方向の第3側縁5cと第4側縁5dとを有している。
図1に示されるように、本実施形態の検査装置10は、タイヤ支持手段11、撮像手段12、及び、制御手段13を含んで構成されている。
タイヤ支持手段11は、タイヤ1を回転可能に支持するためのものである。タイヤ支持手段11は、ターンテーブル15と、駆動手段16とを含んで構成されている。
ターンテーブル15には、タイヤ1のサイドウォール部が載置される。このターンテーブル15には、タイヤ軸方向に沿ってのびるシャフト17が設けられている。
駆動手段16は、ターンテーブル15のシャフト17を回転させるためのモータとして構成されている。駆動手段16は、シャフト17を回転させることで、ターンテーブル15を垂直軸廻り(タイヤ軸心廻り)に回転することができる。これにより、タイヤ支持手段11は、ターンテーブル15に載置されたタイヤ1を、タイヤ周方向に回転させることができる。
撮像手段12は、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3を撮像して、画像データを取得するためのものである。撮像手段12としては、例えば、静止画や動画を撮像することができるカメラ又はビデオカメラ等を採用することができる。本実施形態の撮像手段12としては、カメラ18が採用されている。本実施形態では、タイヤ内腔面3及びスポンジ材5を撮像する際に、例えば蛍光灯や電球等で構成される光源19を、タイヤ内腔面3及びスポンジ材5に照射している。
本実施形態の撮像手段12は、トレッド部2のタイヤ内腔面3及びスポンジ材5よりもタイヤ半径方向内側に配置されている。撮像手段12は、トレッド部2のタイヤ内腔面3及びスポンジ材5に向けられている。撮像手段12は、タイヤ周方向に回転しているタイヤ1を撮像することにより、トレッド部2のタイヤ内腔面3及びスポンジ材5を、タイヤ周方向に連続して撮像することができる。
本実施形態において、撮像手段12とスポンジ材5との間のタイヤ半径方向の距離は、一定に保持されている。このため、画像データ内のスポンジ材5の1画素と、その1画素に対応するスポンジ材5の実際の長さとの比が設定されることにより、スポンジ材5の画素数からスポンジ材5の長さを測定することができる。同様に、本実施形態において、撮像手段12とタイヤ内腔面3との間のタイヤ半径方向の距離は、一定に保持されている。このため、画像データ内のタイヤ内腔面3の1画素と、その1画素に対応するタイヤ内腔面3の実際の長さとの比が設定されることにより、タイヤ内腔面3の画素数からタイヤ内腔面3の長さを測定することができる。なお、スポンジ材の貼り付け状態を精度よく検査するために、1画素に対応する長さは、0.2mm以上に設定されるのが望ましい。
制御手段13は、タイヤ支持手段11の駆動手段16、及び、撮像手段12を制御して、スポンジ材5の貼り付け状態を検査するためのものである。本実施形態の制御手段13は、入力手段21と、出力手段22と、演算手段23とを含んで構成されている。
入力手段21は、例えば、キーボードや、マウス等によって構成されている。出力手段22は、例えば、モニタ及び又はプリンタ等によって構成されている。
演算手段23は、CPU(中央演算装置)からなる演算部23aと、制御手順やプログラムが予め記憶されている記憶部23bと、記憶部23bから制御手順を読み込む作業用メモリ23cとを含み、コンピュータとして構成されている。
演算部23aは、タイヤ支持手段11の駆動手段16に接続されている。これにより、演算部23aは、駆動手段16に信号を伝達することによって、ターンテーブル15の回転(回転速度や回転方向)等を制御することができる。さらに、演算部23aには、ターンテーブル15に載置されたタイヤ1の周方向の位置情報等が、駆動手段16から伝達される。
演算部23aは、撮像手段12に接続されている。これにより、演算部23aは、撮像手段12に信号を伝達することによって、撮像するタイミングを制御することができる。さらに、演算部23aには、撮像した画像データが、撮像手段12から伝達される。
次に、本実施形態の検査方法について説明する。図5は、タイヤへのスポンジ材の貼り付け状態の検査方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の検査方法では、先ず、スポンジ材5の第1端5aとタイヤ内腔面3との境界部である第1エッジ31(図7に示す)の少なくとも一部が検出される(第1検出工程S1)。図6は、第1検出工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第1検出工程S1では、先ず、図1に示されるように、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が、カメラ18によって撮像される(工程S11)。本実施形態の工程S11では、スポンジ材5の第1端5a(図3に示す)が含まれるように、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が撮像される。
工程S11では、先ず、スポンジ材5の第1端5a(図3に示す)にカメラ18が向くように、演算部23aが駆動手段16に信号を伝達して、ターンテーブル15に載置されたタイヤ1を、タイヤ周方向に回転させる。次に、工程S11では、演算部23aがカメラ18に信号を伝達して、第1端5aを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3を撮像する。これにより、工程S11では、第1端5aを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3が撮像された画像データを取得することができる。図7は、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データの一例を示す図である。スポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データは、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
工程S11では、第1エッジ31を検出しやすくするために、カメラ18による撮像に先立ち、タイヤ内腔面3にスポンジ材5の影(図示省略)が形成されるように、スポンジ材5に光源19(図1に示す)を照射するのが望ましい。これにより、第1検出工程S1では、スポンジ材5とタイヤ内腔面3との明暗を強調できるため、後述の工程S13において、第1エッジ31を確実に検出することができる。
スポンジ材5の表面には、図示しない多数の孔部(気泡)によって、複数の凹凸が形成されている。このため、後述の工程S13において、第1エッジ31の検出にバラツキが生じる場合がある。このため、本実施形態の第1検出工程S1では、撮像した画像データを画像処理する工程S12が実施される。本実施形態の画像処理は、演算部23a(コンピュータ)によって行われる。
本実施形態では、画像データ内のスポンジ材5の孔部(気泡)を削除する画像処理が行われる。画像処理の手順については、適宜採用することができる。画像処理の手順の一例としては、孔部の大きさに基づいて設定された閾値を用い、この閾値よりも小さな孔部を検出して、孔部を削除(例えば、孔部をスポンジ材5の色に塗り替える)する。これにより、工程S12では、孔部を削除した平滑なスポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データを取得することができるため、後述の工程S13において、第1エッジ31の検出にバラツキが生じるのを防ぐことができる。なお、後述の工程S13での第1エッジ31の検出について、孔部の影響が小さい場合や、バラツキが生じない場合には、工程S12を省略することができる。
次に、本実施形態の第1検出工程S1では、図7に示されるように、第1端5aを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データから、第1端5aとタイヤ内腔面3との境界部である第1エッジ31の少なくとも一部が検出される(工程S13)。本実施形態の工程S13において、第1エッジ31の検出は、演算部23a(図1に示す)によって行われる。
第1エッジ31の検出方法については、適宜採用することができる。第1エッジ31の検出には、例えば、スポンジ材5やタイヤ内腔面3の特徴量(色情報、階調変化等)を用いた画像認識アルゴリズムが用いられる。また、本実施形態の第1エッジ31(第1エッジ31の輪郭の情報)は、タイヤ1に予め定められた基準(例えば、タイヤ赤道C等)に基づく座標値、又は、画素の位置として取得される。第1エッジ31は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
本実施形態では、工程S12において、スポンジ材5の孔部(気泡)を削除する画像処理を行っているため、第1エッジ31の検出にバラツキが生じるのを効果的に防ぐことができる。したがって、工程S13では、第1エッジ31の少なくとも一部を、正確に検出することができる。
次に、本実施形態の検査方法では、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される(判定工程S2)。本実施形態の判定工程S2では、検出された第1エッジ31の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される。本実施形態の第1エッジ31についての情報は、第1エッジ31の少なくとも一部のタイヤ軸方向に対する角度θ1である場合が例示される。図8は、判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の判定工程S2では、先ず、図7に示されるように、第1エッジ31の少なくとも一部のタイヤ軸方向V1に対する角度θ1が計算される(工程S21)。工程S21では、検出された第1エッジ31(第1エッジ31の輪郭の情報)に基づいて、第1エッジ31の少なくとも一部のタイヤ軸方向V1に対する角度θ1が取得される。角度θ1は、第1エッジ31の一部において取得されてもよいし、第1エッジ31の全体において取得されてもよい。角度θ1は、第1エッジ31の情報(座標値又は画素の位置)に基づいて、演算部23a(図1に示す)によって計算される。角度θ1は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、本実施形態の判定工程S2では、第1エッジ31の角度θ1を、予め定められた閾値と比較する(工程S22)。工程S22では、演算部23aが角度θ1を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
図4に示されるように、スポンジ材5は、タイヤ内腔面3(図7に示す)への貼り付け前の状態において、矩形状に形成されている。このため、図7に示されるように、タイヤ内腔面3に貼り付けられたスポンジ材5は、第1エッジ31がタイヤ軸方向V1と平行(即ち、第1エッジ31の角度θ1が0度)であるのが望ましい。このような観点より、本実施形態の閾値は、例えば、0度〜2度(本実施形態では、1度)に設定されている。
工程S22において、第1エッジ31の角度θ1が閾値未満である場合(θ1<閾値)、第1エッジ31がタイヤ軸方向V1と平行又は略平行である。このため、工程S22では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S22において、第1エッジ31の角度θ1が閾値以上である場合(θ1≧閾値)、第1エッジ31がタイヤ軸方向V1に対して傾いている。このため、工程S22では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、本実施形態の検査方法の一連の処理(図5に示す)が再度実施される。これにより、本実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを出荷するのに役立つ。
このように、本実施形態の検査方法は、検査員の目視等を必要とすることなく、スポンジ材5の貼り付け状態を検査することができる。したがって、本実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率良く検査することができる。
本実施形態の検査方法では、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報とともに、第2端5bとタイヤ内腔面3との境界部である第2エッジ32の少なくとも一部についての情報に用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されてもよい。図9は、本発明の他の実施形態の検査方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の検査方法では、図7に示されるように、スポンジ材5の第2端5bとタイヤ内腔面3との境界部である第2エッジ32の少なくとも一部が検出される(第2検出工程S4)。図10は、第2検出工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この実施形態の第2検出工程S4では、先ず、図1に示されるように、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が、カメラ18によって撮像される(工程S41)。本実施形態の工程S41では、スポンジ材5の第2端5b(図3に示す)が含まれるように、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が撮像される。
スポンジ材5及びタイヤ内腔面3の撮像は、前実施形態の第1検出工程S1の工程S11と同様の手順で実施される。なお、図7に示されるように、第1検出工程S1で撮像された画像データに、第2端5bを含むスポンジ材5が撮像されていれば、工程S41の処理を省略することができる。
次に、この実施形態の第2検出工程S4では、撮像した画像データを画像処理する(工程S42)。画像処理は、前実施形態の第1検出工程S1の工程S12と同様の手順で実施される。なお、図7に示されるように、第1検出工程S1で撮像された画像データに、第2端5bを含むスポンジ材5が撮像されており、工程S12で画像処理が実施されている場合には、工程S42の処理を省略することができる。また、後述の工程S43での第2エッジ32の検出について、孔部(図示省略)の影響が小さい場合や、バラツキが生じない場合には、工程S42を省略することができる。
次に、この実施形態の第2検出工程S4では、第2端5bを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データから、第2端5bとタイヤ内腔面3との境界部である第2エッジ32の少なくとも一部が検出される(工程S43)。第2エッジ32の検出は、前実施形態の第1検出工程S1の工程S13と同様の手順で実施される。第2エッジ32は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
図11は、本発明の他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態の判定工程S2では、図7に示されるように、検出された第2エッジ32の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否を判定する工程(後述の工程S25及び工程S26)が含まれている。本実施形態の第2エッジ32についての情報は、第2エッジ32の少なくとも一部のタイヤ軸方向V1に対する角度θ2である場合が例示される。
この実施形態の判定工程S2では、先ず、工程S22において、第1エッジ31の角度θ1が閾値未満(角度θ1<閾値)である場合に、第2エッジ32の少なくとも一部のタイヤ軸方向V1に対する角度θ2が計算される(工程S25)。
工程S25では、検出された第2エッジ32に基づいて、第2エッジ32の少なくとも一部のタイヤ軸方向V1に対する角度θ2が取得される。角度θ2は、第2エッジ32の一部において取得されてもよいし、第2エッジ32の全体において取得されてもよい。角度θ2は、第2エッジ32の情報(座標値又は画素の位置)に基づいて、演算部23a(図1に示す)によって計算される。角度θ2は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、本実施形態の判定工程S2では、第2エッジ32の角度θ2を、予め定められた閾値と比較する(工程S26)。工程S26では、演算部23aが角度θ2を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
第2エッジ32は、第1エッジ31と同様に、タイヤ軸方向V1と平行(即ち、第2エッジ32の角度θ2が0度)であるのが望ましい。このような観点より、本実施形態の第2エッジ32の閾値は、第1エッジ31の閾値と同一に設定されている。
工程S26において、第2エッジ32の角度θ2が閾値未満である場合(θ2<閾値)、第2エッジ32がタイヤ軸方向V1と平行又は略平行である。さらに、工程S22での判定結果により、第1エッジ31も、タイヤ軸方向V1と平行又は略平行である。したがって、この実施形態の判定工程S2では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S26において、第2エッジ32の角度θ2が閾値以上である場合(θ2≧閾値)、第2エッジ32がタイヤ軸方向V1に対して傾いている。このため、工程S26では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、この実施形態の検査方法の一連の処理(図9に示す)が再度実施される。
この実施形態の検査方法は、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報と、第2エッジ32の少なくとも一部についての情報との双方に基づいて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されるため、スポンジ材5の貼り付け状態を、より精度よく検査することができる。さらに、この実施形態の検査方法は、前実施形態の検査方法と同様に、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を効率よく検査することができる。
これまでの実施形態では、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報、又は、第1エッジ31及び第2エッジ32の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1エッジ31の少なくとも一部と、第2エッジ32の少なくとも一部との間のタイヤ周方向の隙間8に基づいて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されてもよい。
貼り付け状態が良好なスポンジ材5の隙間8は、スポンジ材5が貼り付けられるタイヤ内腔面3の周方向の長さ、及び、スポンジ材5のタイヤ周方向の長さ(図4に示した長手方向の長さL1)に基づいて一意に定まる。このため、スポンジ材5の貼り付け状態の良否は、隙間8の大きさ(タイヤ周方向V2の長さL2)に基づいて判定することができる。図12は、本発明のさらに他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の判定工程S2では、先ず、図7に示されるように、検出された第1エッジ31の少なくとも一部と、検出された第2エッジ32の少なくとも一部との間のタイヤ周方向の隙間8(隙間8のタイヤ周方向V2の長さL2)が計算される(工程S27)。工程S27では、隙間8が、タイヤ軸方向V1の、ある長さの範囲に亘って計算される。
隙間8が計算される長さの範囲については、適宜設定することができる。スポンジ材5は、容易に変形することができるため、隙間8がタイヤ軸方向で一定に形成されない場合がある。このため、隙間8が計算される長さの範囲は、好ましくは、スポンジ材5のタイヤ軸方向V1の幅W1の1/3以上であり、より好ましくは、スポンジ材5の幅W1の1/2以上であり、さらに好ましくは、スポンジ材5の幅W1の全範囲である。
隙間8の計算は、第1エッジ31の情報(座標値又は画素の位置)及び第2エッジ32の情報(座標値又は画素の位置)に基づいて、演算部23a(図1に示す)によって計算される。隙間8(タイヤ周方向の長さL2)は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、隙間8を、予め定められた閾値と比較する(工程S28)。工程S22では、演算部23aが隙間8を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
閾値については、適宜設定することができる。この実施形態の閾値としては、貼り付け状態が良好なスポンジ材5の隙間8のタイヤ周方向V2の長さL2を中央値として、許容可能な誤差の範囲(下限値及び上限値)が設定されている。この実施形態では、隙間8がタイヤ軸方向V1のある長さの範囲に亘って計算される場合、その計算された隙間8の全範囲について、閾値と比較される。
工程S28において、隙間8が閾値内(本実施形態では、隙間8の長さL2が、閾値の下限値以上、かつ、閾値の上限値未満)である場合、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S28において、隙間8が閾値外(即ち、隙間8の長さL2が、閾値の下限値未満、又は、閾値の上限値以上)である場合、隙間8が必要以上に小さく又は大きく形成されている。このため、工程S28では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、この実施形態の検査方法の一連の処理(図9に示す)が再度実施される。これにより、本実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを確実に出荷するのに役立つ。さらに、この実施形態の検査方法は、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率よく検査することができる。
この実施形態では、隙間8が閾値と比較されたが、このような態様に限定されない。上述したように、スポンジ材5は、容易に変形することができるため、隙間8がタイヤ軸方向V1で一定に形成されない(即ち、隙間8が変化する)場合がある。このため、判定工程S2では、隙間8のタイヤ軸方向V1での変化量を、予め定められた閾値と比較してもよい。
変化量については、適宜計算することができる。変化量は、例えば、タイヤ軸方向のある長さの範囲に亘って計算された隙間8において、その隙間8の最大値と最小値との差で求めることができる。また、変化量の閾値については、適宜設定することができる。図4に示されるように、スポンジ材5は、タイヤ内腔面3(図7に示す)への貼り付け前の状態において、矩形状に形成されている。このため、隙間8(図7に示す)の変化量が小さい(即ち、変化量(隙間8の最大値と最小値との差)が0に近い)ほど、スポンジ材5の貼り付け状態が良好である。したがって、閾値は、隙間8の変化量の許容誤差に基づいて、設定されるのが望ましい。
このように、判定工程S2では、図7に示した隙間8のタイヤ軸方向での変化量を、予め定められた閾値と比較することにより、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率よく検査することができる。
これまでの実施形態では、図7に示されるように、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報、第1エッジ31の少なくとも一部及び第2エッジ32の少なくとも一部についての情報、又は、スポンジ材5の隙間8を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1エッジ31の少なくとも一部についての情報、第2エッジ32の少なくとも一部についての情報、及び、スポンジ材5の隙間8を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されてもよい。
さらに、本発明のさらに他の実施形態としては、スポンジ材5の第3側縁5cとタイヤ内腔面3との境界部である第3エッジ33の少なくとも一部の情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されてもよい。図13は、本発明のさらに他の実施形態の検査方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の検査方法では、先ず、スポンジ材5の第3側縁5cとタイヤ内腔面3との境界部である第3エッジ33の少なくとも一部が検出される(第3検出工程S5)。図14は、第3検出工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この実施形態の第3検出工程S5では、先ず、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が、カメラ18によって撮像される(工程S51)。工程S51では、スポンジ材5の第3側縁5c(図2に示す)が含まれるように、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3が撮像される。スポンジ材5及びタイヤ内腔面3の撮像は、これまでの実施形態の第1検出工程S1の工程S11と同様の手順で実施される。図15は、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データの一例を示す図である。
次に、この実施形態の第3検出工程S5では、撮像した画像データを画像処理する(工程S52)。画像処理は、これまでの実施形態の第1検出工程S1の工程S12と同様の手順で実施される。なお、後述の工程S53での第3エッジ33の検出について、孔部(図示省略)の影響が小さい場合や、バラツキが生じない場合には、工程S52を省略することができる。
次に、この実施形態の第3検出工程S5では、図15に示されるように、第3側縁5cを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データから、第3側縁5cとタイヤ内腔面3との境界部である第3エッジ33の少なくとも一部が検出される(工程S53)。第3エッジ33の検出は、これまでの実施形態の第1検出工程S1の工程S13と同様の手順で実施される。第3エッジ33は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、検出された第3エッジ33の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される。本実施形態の第3エッジ33についての情報は、第3エッジ33の少なくとも一部の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向の位置(座標値又は画素の位置)P1である。図16は、本発明のさらに他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の判定工程S2では、先ず、図15に示されるように、第3エッジ33の少なくとも一部の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向V1の位置が計算される(工程S29)。工程S29では、検出された第3エッジ33(第3エッジ33の輪郭の情報)に基づいて、第3エッジ33の少なくとも一部の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向V1の位置(以下、単に「第3エッジ33の位置」ということがある。)P1が取得される。第3エッジ33の位置P1は、第3エッジ33の一部において取得されてもよいし、第3エッジ33の全体において取得されてもよい。本実施形態の第3エッジ33の位置P1は、第3エッジ33の第1端5a側のタイヤ軸方向V1の位置である場合が例示される。
本実施形態の第3エッジ33の位置P1は、タイヤ1に予め定められた基準(例えば、タイヤ赤道C等)に基づく座標値又は画素の位置として定められる。第3エッジ33の位置P1は、演算部23a(図1に示す)によって計算される。第3エッジ33の位置P1は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、第3エッジ33の位置P1を、予め定められた閾値と比較する(工程S30)。工程S30では、演算部23aが第3エッジ33の位置P1を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
スポンジ材5は、スポンジ材5の幅方向の中心5fと、タイヤ赤道Cとが、タイヤ軸方向で一致するように配置されている。このため、第3エッジ33の位置P1は、タイヤ赤道Cからスポンジ材5の半幅分の長さW2をタイヤ軸方向V1に隔てた第1基準位置R1と一致するのが望ましい。このような観点より、閾値としては、第1基準位置R1を中央値とする許容可能な誤差(タイヤ軸方向V1の誤差)の範囲が設定されるのが望ましい。
工程S30において、第3エッジ33の位置P1が閾値の範囲内である場合(位置P1が閾値内)、第3エッジ33の位置P1が第1基準位置R1と一致、又は、第1基準位置R1の近傍に配置されている。このため、工程S30では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S30において、第3エッジ33の位置P1が閾値の範囲外である場合(位置P1が閾値外)、第3エッジ33の位置P1が第1基準位置R1から、タイヤ軸方向内側又は外側に大きくずれている。このため、工程S30では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、この実施形態の検査方法の一連の処理(図13に示す)が再度実施される。これにより、この実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを確実に出荷するのに役立つ。さらに、この実施形態の検査方法は、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率よく検査することができる。
この実施形態の第3エッジ33の位置P1は、第3エッジ33の一部において取得される態様が例示されたが、第3エッジ33の全体において取得されることで、その位置P1の変化量から、スポンジ材5のタイヤ周方向の蛇行の有無を検査することができる。
この実施形態において、スポンジ材5の貼り付け状態の判定に用いられる情報が、第3エッジ33の少なくとも一部(又は全体)の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向に対する位置P1である場合が例示されたが、このような態様に限定されない。情報は、例えば、第3エッジ33の第1端5a側の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向の位置(以下、単に「第3エッジの第1端側の位置」ということがある。)P2、及び、第3エッジ33の第2端5b側の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向の位置(以下、単に「第3エッジの第2端側の位置」ということがある。)P3であってもよい。
図17は、図15の部分拡大図である。貼り付け状態が良好なスポンジ材5は、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とが、タイヤ軸方向V1で一致している。このため、スポンジ材5の貼り付け状態の良否は、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3との間のタイヤ軸方向の距離D1に基づいて判定することができる。図18は、本発明の他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の判定工程S2では、先ず、図17に示されるように、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2が計算される(工程S31)。第3エッジ33の第1端5a側の位置P2は、タイヤ1に予め定められた基準(例えば、タイヤ赤道C等)に基づく座標値又は画素の位置として定められる。第3エッジ33の第1端5a側の位置P2は、演算部23a(図1に示す)によって計算される。第3エッジ33の第1端5a側の位置P2は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3が計算される(工程S32)。第3エッジ33の第2端5b側の位置P3は、タイヤ1に予め定められた基準(例えば、タイヤ赤道C等)に基づく座標値又は画素の位置として定められる。第3エッジ33の第2端5b側の位置P3は、演算部23a(図1に示す)によって計算される。第3エッジ33の第2端5b側の位置P3は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3との間のタイヤ軸方向V1の距離D1が計算される(工程S33)。工程S33では、第3エッジ33の第1端5a側の位置(座標値又は画素の位置)P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置(座標値又は画素の位置)P3とを用いて、距離D1が計算される。この距離D1、演算部23a(図1に示す)によって計算される。距離D1は、記憶部23b又は作業用メモリ23c(図1に示す)に入力される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、距離D1を、予め定められた閾値と比較する(工程S34)。工程S34では、演算部23aが距離D1を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
上述したように、貼り付け状態が良好なスポンジ材5は、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とが、タイヤ軸方向V1で一致(即ち、距離D1が0)している。このため、この実施形態の距離D1の閾値は、例えば、距離D1(即ち、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とのタイヤ軸方向V1の位置ずれ量)の許容可能な誤差(タイヤ軸方向V1の誤差)が設定されている。
工程S34において、距離D1が閾値未満である場合(距離D1<閾値)、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とが、タイヤ軸方向V1で一致又は略一致している。このため、工程S34では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S34において、距離D1が閾値以上である場合(距離D1≧閾値)、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とが、タイヤ軸方向V1で大きく位置ずれしている。このため、工程S34では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われた後に、この実施形態の検査方法の一連の処理(図13に示す)が再度実施される。これにより、この実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを出荷するのに役立つ。
この実施形態の検査方法は、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3との双方に基づいて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定される。したがって、この実施形態の検査方法は、スポンジ材の貼り付け状態を、より精度良く検査することができる。さらに、この実施形態の検査方法は、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率よく検査することができる。
これまでの実施形態では、図15に示されるように、スポンジ材5の第3側縁5cとタイヤ内腔面3との境界部である第3エッジ33の少なくとも一部の情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、スポンジ材5の第4側縁5dとタイヤ内腔面3との境界部である第4エッジ34の少なくとも一部の情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されてもよい。図19は、本発明のさらに他の実施形態の検査方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の検査方法では、先ず、図15に示されるように、スポンジ材5の第4側縁5dとタイヤ内腔面3との境界部である第4エッジ34の少なくとも一部が検出される(第4検出工程S6)。図20は、第4検出工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の第4検出工程S6では、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3を撮像する工程S61、撮像した画像データを画像処理する工程S62、及び、第4側縁5dを含むスポンジ材5及びタイヤ内腔面3の画像データから、第4エッジ34の少なくとも一部を検出する工程S63を含んでいる。これらの工程S61〜工程63は、第3検出工程S5の工程S51〜工程S53と同様の手順で実施される。これにより、第4検出工程S6では、第4エッジ34を検出することができる。
図21は、本発明のさらに他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態の判定工程S2では、検出された第4エッジ34の少なくとも一部についての情報を用いて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否を判定する工程(後述の工程S35及び工程S36)が含まれている。本実施形態の第4エッジ34についての情報は、第4エッジ34の少なくとも一部の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向V1に対する位置(以下、単に「第4エッジ34の位置」ということがある。)P4である場合が例示される。
この実施形態の判定工程S2では、先ず、工程S30において、第3エッジ33の位置P1が閾値内(位置P1が閾値内)である場合に、第4エッジ34の位置P4が計算される(工程S35)。第4エッジ34の位置P4の計算は、第3エッジ33の位置P1を計算する工程S29と同一の手順で実施される。
次に、この実施形態の判定工程S2では、第4エッジ34の位置P4を、予め定められた閾値と比較する(工程S36)。工程S36では、演算部23aが第4エッジ34の位置P4を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。
第4エッジ34の位置P4は、第3エッジ33の位置P1と同様の観点より、タイヤ赤道Cからスポンジ材5の半幅分の長さD1を隔てた第2基準位置R2と一致するのが望ましい。したがって、閾値としては、第3エッジ33の位置P1の閾値と同一に設定されるのが望ましい。
工程S36において、第4エッジ34の位置P4が閾値の範囲内である場合(位置P4が閾値内)、第4エッジ34の位置P4が第2基準位置R2と一致、又は、第2基準位置R2の近傍に配置されている。さらに、工程S30での判定結果により、第3エッジ33の位置P2も、第1基準位置R1と一致、又は、第1基準位置R1の近傍に配置されている。このため、工程S36では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S36において、第4エッジ34の位置P4が閾値の範囲外である場合(位置P4が閾値外)、第4エッジ34の位置P4が第2基準位置R2から大きくずれている。このため、工程S36では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、この実施形態の検査方法の一連の処理(図19に示す)が再度実施される。これにより、この実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを確実に出荷するのに役立つ。
この実施形態の検査方法は、第3エッジ33の位置P3と第4エッジ34の位置P4との双方に基づいて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されるため、スポンジ材5の貼り付け状態を、より精度よく検査することができる。さらに、この実施形態の検査方法は、前実施形態の検査方法と同様に、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を効率よく検査することができる。
この実施形態では、第4エッジの位置P4が、画像データの画像処理によって検出されたが、このような態様に限定されない。第4エッジ34の位置P4は、例えば、第3エッジ33の位置P3から、タイヤ軸方向にスポンジ材5の幅W1を隔てた位置として特定されてもよい。
この実施形態の第4エッジ34の位置P4は、第4エッジ34の一部において取得される態様が例示されたが、第4エッジ34の全体において取得されることで、その位置P4の変化量から、スポンジ材5のタイヤ周方向の蛇行の有無を検査することができる。
この実施形態において、スポンジ材5の貼り付け状態の判定に用いられる情報が、第4エッジ34の少なくとも一部の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向に対する位置P4である場合が例示されたが、このような態様に限定されない。情報は、例えば、第4エッジ34の第1端5a側の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向の位置(以下、単に「第4エッジの第1端側の位置」ということがある。)P5、及び、第4エッジ34の第2端5b側の、タイヤ1に対するタイヤ軸方向の位置(以下、単に「第4エッジの第2端側の位置」ということがある。)P6であってもよい。図22は、本発明のさらに他の実施形態の判定工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の判定工程S2では、工程S34において、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3との間の距離D1が、閾値未満(距離D1<閾値)である場合に、工程S37〜工程S39が実施される。工程S37では、図17に示されるように、第4エッジ34の第1端5a側の位置P5が計算される。工程S38は、第4エッジ34の第2端5b側の位置P6が計算される。工程S39では、第4エッジ34の第1端5a側の位置P5と、第4エッジ34の第2端5b側の位置P6との間のタイヤ軸方向の距離D2が計算される。工程S37〜工程S39は、工程S31〜工程S33と同一手順に基づいて行うことができる。
さらに、この実施形態の判定工程S2では、距離D2を、予め定められた閾値と比較する工程S40が実施される。工程S40では、演算部23aが距離D2を閾値と比較して、スポンジ材5の貼り付け状態を判定している。閾値としては、距離D1の閾値と同一範囲に設定されるのが望ましい。
工程S40において、距離D2が閾値未満である場合(距離D2<閾値)、第4エッジ34の第1端5a側の位置P5と、第4エッジ34の第2端5b側の位置P6とが、タイヤ軸方向V1で一致又は略一致している。さらに、工程S34での判定結果により、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2と、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3とが、タイヤ軸方向V1で一致又は略一致している。このため、工程S40では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好であると判定される。この場合、タイヤ1が出荷される(工程S23)。
一方、工程S40において、距離D2が閾値以上である場合(距離D2≧閾値)、第4エッジ34の第1端5a側の位置P5と、第4エッジ34の第2端5b側の位置P6とが、タイヤ軸方向V1で大きく位置ずれしている。このため、この実施形態の判定工程S2では、スポンジ材5の貼り付け状態が良好ではないと判定される。この場合、スポンジ材5の貼り直しが行われる(工程S24)。そして、スポンジ材5の貼り直しが行われたのちに、この実施形態の検査方法の一連の処理(図19に示す)が再度実施される。これにより、この実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態が良好なタイヤ1のみを確実に出荷するのに役立つ。
この実施形態の検査方法は、第3エッジ33の第1端5a側の位置P2、第3エッジ33の第2端5b側の位置P3、第4エッジ34の第1端5a側の位置P5、及び、第4エッジ34の第2端5b側の位置P6に基づいて、スポンジ材5の貼り付け状態の良否が判定されている。したがって、この実施形態の検査方法は、スポンジ材5の貼り付け状態を、精度良く検査することができる。さらに、この実施形態の検査方法は、検査員の目視等を必要としないため、スポンジ材5の貼り付け状態を、効率よく検査することができる。
これまでの実施形態では、第1エッジ31、第2エッジ32、第3エッジ33、及び、第4エッジ34が、カメラ18によって撮像された画像データに基づいて検出されたが、このような態様に限定されない。例えば、非接触式の変位計(例えば、レーザー変位計)を、スポンジ材5及びタイヤ内腔面3に照射した測定結果(例えば、スポンジ材5の輪郭などの座標値)に基づいて、第1エッジ31、第2エッジ32、第3エッジ33、及び、第4エッジ34が検出されてもよい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
トレッド部のタイヤ内腔面に、タイヤ周方向に延びる帯状のスポンジ材が貼り付けられた100本のタイヤについて、スポンジ材の貼り付け状態が検査された(実施例1、実施例2及び比較例)。
実施例1では、図5に示した処理手順に従い、スポンジ材のタイヤ周方向の第1端とタイヤ内腔面との境界部である第1エッジを検出して、第1エッジのタイヤ軸方向に対する角度に基づいて、スポンジ材の貼り付け状態の良否が判定された。
実施例2では、図13に示した処理手順に従い、スポンジ材のタイヤ軸方向の第3側縁とタイヤ内腔面との境界部である第3エッジを検出して、第3エッジのタイヤ軸方向の位置に基づいて、スポンジ材の貼り付け状態の良否が判定された。
比較例では、上記特許文献1の手順に基づいて、検査員の目視等によって、スポンジ材の貼り付け状態の良否が判定された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:195/65R15
スポンジ材:
エーテル系ポリウレタンスポンジ(丸鈴(株)製のE16)
比重:0.016
幅W1:70mm
厚さ:8mm
長手方向の長さL1:1820mm
テストの結果、実施例1及び実施例2の検査方法では、比較例の検査方法に比べて、検査時間が80%削減できた。したがって、実施例1及び実施例2の検査方法は、比較例の検査方法に比べて、タイヤへのスポンジ材の貼り付け状態を効率よく検査することができた。さらに、実施例1及び実施例2の検査方法では、比較例の検査方法に比べて、検査ミスが発生しなかった。したがって、実施例1及び実施例2の検査方法は、比較例の検査方法に比べて、タイヤへのスポンジ材の貼り付け状態を、精度よく検査することができた。