JP2019183932A - 流体圧シリンダ - Google Patents
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Abstract
【課題】流体圧シリンダの耐久性を向上させる。【解決手段】水圧シリンダ100は、シリンダチューブ10内をロッド側室1及びボトム側室2に区画するピストン30と、ピストン30に連結されシリンダチューブ10に挿入されるピストンロッド20と、ピストンロッド20を摺動自在に支持するシリンダヘッド40と、シリンダヘッド40に設けられ、シリンダヘッド40の内周とピストンロッド20の外周との間の環状隙間3を封止するシール部材46と、ピストン30に当接してロッド側室1が収縮する方向へのストローク端を規定する当接面42Aと、を備え、シリンダチューブ10の内周面には、ピストン30が当接面42Aに当接した状態でロッド側室1とボトム側室2とを連通する連通溝50が形成される。【選択図】図1
Description
本発明は、流体圧シリンダに関するものである。
特許文献1には、シリンダチューブと、シリンダチューブの伸び側端部に設けられたロッドカバーと、ロッドカバーを貫通してシリンダチューブに摺動自在に挿入されたピストンロッドと、を備える流体圧シリンダが開示されている。特許文献1の流体圧シリンダでは、ロッドカバーとピストンロッドの間の隙間を封止するシール部材が設けられる。
このような流体圧シリンダは、ピストンがロッドカバーに当接するまで、ストロークすることが可能である。しかしながら、ピストンがロッドカバーに当接するまでストロークすると、シール部材とピストンとの間に圧力がこもり、シール部材に高圧が作用するおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体圧シリンダの耐久性を向上させることを目的とする。
第1の発明は、流体圧シリンダであって、シリンダチューブと、シリンダチューブ内を第1流体圧室及び第2流体圧室に区画するピストンと、ピストンに連結されシリンダチューブに挿入されるピストンロッドと、シリンダチューブに設けられ、ピストンロッドを摺動自在に支持する支持部と、支持部に設けられ、支持部の内周とピストンロッドの外周との間の隙間を封止して隙間を通じた第1流体圧室からの作動流体の漏れを防止するシール部材と、ピストンに当接して第1流体圧室が収縮する方向へのストローク端を規定する当接部と、を備え、シリンダチューブの内周面には、ピストンが当接部に当接した状態で第1流体圧室と第2流体圧室とを連通する連通溝が形成されることを特徴とする。
第2の発明は、シリンダチューブの軸方向に沿った連通溝の長さが、ピストンにおいてシリンダチューブの内周面に摺動する軸方向の長さよりも長いことを特徴とする。
第1及び第2の発明では、連通溝によって、ピストンと当接部とが当接する状態で第1流体圧室と第2流体圧室とが連通する。これにより、ピストンと当接部とが当接する際、第1流体圧室の圧力を第2流体圧室へ逃がすことができ、シール部材とピストンとの間において圧力のこもりを抑制できる。
第3の発明は、ピストンと連通溝とによって、第1流体圧室の作動流体を第2流体圧室に導く連通流路が形成され、連通流路は、通過する作動流体の流れに抵抗を付与する絞り流路と、絞り流路が作動流体の流れに付与する抵抗よりも小さな抵抗を通過する作動流体の流れに付与する拡張流路と、を有し、拡張流路は、絞り流路と第2流体圧室との間に設けられることを特徴とする。
第4の発明は、ピストンが、シリンダチューブの内周面に摺接する摺接部と、摺接部に設けられ摺接部の外周面から窪んで作動流体を貯留するポケット部と、を有し、摺接部と連通溝とによって絞り流路が形成され、ポケット部と連通溝とによって拡張流路が形成されることを特徴とする。
第3及び第4の発明では、作動流体が絞り流路を通過することによって流速が上昇しても、開放通路に導かれることにより流速の上昇が緩和される。よって、連通流路を通過する作動流体の流速の上昇に伴う作動流体の圧力上昇によるキャビテーションや異音の発生を防止できる。
本発明によれば、流体圧シリンダの耐久性が向上する。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る流体圧シリンダについて説明する。以下では、流体圧シリンダが水を作動流体として駆動する水圧シリンダ100である場合について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る流体圧シリンダについて説明する。以下では、流体圧シリンダが水を作動流体として駆動する水圧シリンダ100である場合について説明する。
水圧シリンダ100は、図1に示すように、筒状のシリンダチューブ10と、シリンダチューブ10の内周面に沿って摺動するピストン30と、ピストン30に連結されシリンダチューブ10に挿入されるピストンロッド20と、を備える。
シリンダチューブ10の内部は、ピストン30によって第1流体圧室としてのロッド側室1と第2流体圧室としてのボトム側室2とに仕切られる。水圧シリンダ100は、水圧源(作動流体圧源)からロッド側室1またはボトム側室2に導かれる水圧によって伸縮作動する。
ピストンロッド20は、基端がピストン30に連結され、先端がシリンダチューブ10の端部から突出する。ピストンロッド20は、基端がピストン30に直接螺合して、ピストン30に連結される。
ピストン30は、シリンダチューブ10の内周面に摺接する摺接部31と、摺接部31からボトム側室2へ向けて突出する突出端部32と、を有する。摺接部31の外周には、シリンダチューブ10の内周とピストン30の外周との間を封止するピストンシール31Aが設けられる。これにより、シリンダチューブ10の内周とピストン30の外周との間を通じたロッド側室1とボトム側室2との連通が遮断される。突出端部32は、例えば、二面幅が形成されて、ピストン30とピストンロッド20とをねじ締結する際に工具によって把持される部位である。
シリンダチューブ10の開口端には、ピストンロッド20を摺動自在に支持する円筒状の支持部としてのシリンダヘッド40が設けられる。シリンダヘッド40は、複数のボルト(図示省略)を介してシリンダチューブ10に締結される。ピストンロッド20は、シリンダヘッド40を挿通する。
シリンダヘッド40は、シリンダチューブ10の内周面に嵌合する嵌合部41と、嵌合部41からシリンダチューブ10の内部へ向けて突出する突出部42と、を有する。突出部42の外径は、嵌合部41の外径(シリンダチューブ10の内径)よりも小さく形成される。よって、突出部42の外周とシリンダチューブ10の内周との間には、ロッド側室1の一部を構成する環状の内部空間Sが形成される。
シリンダヘッド40には、伸長方向(ロッド側室1が収縮するストローク方向)へ移動するピストン30が当接する当接部が設けられる。具体的には、当接部は、ピストン30に対向する突出部42の端面(以下、「当接面42A」と称する。)である。ピストン30が当接面42Aに当接することで、水圧シリンダ100の伸長方向へのストローク端が規定される(図2参照)。
シリンダヘッド40の内周には、ブッシュ45、シール部材46、及びダストシール47が介装される。
ブッシュ45がピストンロッド20の外周面に摺接することにより、ピストンロッド20がシリンダチューブ10の軸方向に移動するように支持される。
シール部材46は、ピストンロッド20の外周面とシリンダヘッド40の内周面との間の隙間(以下、「環状隙間3」と称する。)を封止して、ロッド側室1から環状隙間3を通じて外部へ水が漏れることを防止する。なお、図示は省略するが、シール部材46やダストシール47以外にも、ピストンロッド20とシリンダヘッド40の間を封止するシールが設けられてもよい。本実施形態におけるシール部材46とは、最もロッド側室1に近い位置に配置されるシールをいうものであり、環状隙間3を通じてロッド側室1の圧力を直接受けるものである。
ダストシール47は、シール部材46よりも、ピストンロッド20の先端側(図1中上側)に設けられる。ダストシール47は、シール部材46と同様に、ピストンロッド20の外周面とシリンダヘッド40の内周面との間の隙間を封止して、外部からシリンダチューブ10内へのダストの侵入を防止する。
シリンダチューブ10には、ロッド側室1に連通する給排口11と、ボトム側室2に連通する給排口(図示省略)、が形成される。ロッド側室1に連通する給排口11は、シリンダチューブ10とシリンダヘッド40の突出部42との間の内部空間Sに開口する。給排口11を通じて、ロッド側室1に作動油が給排される。
また、シリンダチューブ10の内周には、ピストン30がシリンダヘッド40の当接面42Aに当接した状態で、ロッド側室1とボトム側室2とを連通する連通溝50が形成される(図2参照)。連通溝50は、シリンダチューブ10の軸方向に沿って延び一様な深さで形成される。また、連通溝50は、シリンダチューブ10の周方向の一部に設けられる。水圧シリンダ100では、単一の連通溝50が設けられてもよいし、複数の連通溝50が設けられてもよい。連通溝50を複数設ける場合には、シリンダチューブ10の周方向に等角度間隔で均等に配置することが望ましい。また、連通溝50は、シリンダチューブ10の周方向全体にわたって形成される環状の溝であってもよい。
ピストンロッド20の先端側における連通溝50の端部は、当接面42Aよりもピストンロッド20の先端側に位置する。軸方向に沿った連通溝50の全長は、ピストン30の摺接部31の軸方向長さよりも長く形成される。これにより、図2に示すように、ピストン30が当接面42Aに当接した状態では、ロッド側室1の一部である内部空間Sとボトム側室2とが連通溝50によって連通する(図2参照)。つまり、連通溝50は、伸長方向のストローク端付近において、ピストン30と共に、ロッド側室1の水をボトム側室2へ導く連通流路51を形成する。
次に、水圧シリンダ100の作用について説明する。
ロッド側室1に水圧源が連通し、ボトム側室2にタンク(図示省略)が連通すると、ロッド側室1に水が供給され、ボトム側室2内の水はタンクに排出される。このため、水圧シリンダ100は収縮作動する。
ボトム側室2に水圧源が連通し、ロッド側室1にタンクが連通すると、ボトム側室2に水が供給され、ロッド側室1内の水はタンクに排出される。このため、水圧シリンダ100は伸長作動する。水圧シリンダ100は、図2に示すように、ピストン30が当接面42Aに当接するまで、伸長方向へストローク可能である。
ここで、ピストン30が当接面42Aに当接すると、ピストンロッド20の外周面とシリンダヘッド40の内周面との間の環状隙間3は、ピストン30によって、給排口11との連通が遮断される。このため、環状隙間3には、圧力のこもりが生じる。特に、本実施形態のような水圧シリンダ100では、作動流体である水は、非圧縮性であって粘性が低い。このため、ピストン30と当接面42Aとが当接する際には、ロッド側室1及び環状隙間3内の圧力は、水圧シリンダ100の作動で使用される通常の圧力範囲外となる高い圧力まで上昇するおそれがある。この結果、シール部材46とピストン30によって環状隙間3内に高い圧力が閉じ込められ、シール部材46に高圧が作用してシール部材46の耐久性が低下する。
そこで、水圧シリンダ100では、ピストン30と当接面42Aとが当接するストローク端付近において、ロッド側室1とボトム側室2とが連通溝50によって連通する。連通溝50は、図2に示すように、ピストン30と当接面42Aとが当接した状態においても、ロッド側室1とボトム側室2とを連通する。
これにより、伸長方向のストローク端付近において、ロッド側室1の水が連通溝50を通じてボトム側室2に導かれるため、ピストン30と当接面42Aとが当接する際のロッド側室1の圧力上昇が緩和される。このため、ピストンロッド20とシリンダヘッド40との間の環状隙間3に閉じ込められる圧力も低下し、シール部材46に高圧が作用することが抑制される。したがって、シール部材46の耐久性を向上させることができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例と後述の他の実施形態及びその変形例と組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。また、上記実施形態の説明において記載された変形例についても同様に、他の変形例や他の実施形態と組み合わせることが可能である。
上記実施形態では、作動流体が水である場合について説明した。これに対し、作動流体は、水に限らず、作動油等のその他のものでもよい。
また、上記実施形態では、水圧シリンダ100は、ピストンロッド20の基端がピストン30にねじ締結され、先端がシリンダチューブ10から突出する、いわゆる片ロッド型である。これに対し、水圧シリンダ100は、ピストンロッド20の両端がシリンダチューブ10から突出し中央においてピストン30に連結される、いわゆる両ロッド型であってもよい。両ロッド型の水圧シリンダ100では、ピストン30から延びるピストンロッド20の両側をそれぞれ支持する一対の支持部と、ピストンロッド20と一対の支持部との間の隙間を封止する一対のシール部材と、が設けられる。よって、両ロッド型の水圧シリンダ100では、水圧シリンダ100の一方のストローク端において2つの流体圧室(第1流体圧室、第2流体圧室)を連通する連通溝と、他方のストローク端において2つの流体圧室を連通する連通溝と、をそれぞれシリンダチューブ10に設けることが望ましい。
また、上記実施形態では、当接部である当接面42Aは、支持部であるシリンダヘッド40に設けられる。これに対し、当接部は、シリンダヘッド40とは別にシリンダチューブ10内に設けられてもよい。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
水圧シリンダ100では、ピストン30と当接面42Aとが当接するストローク端付近において、ロッド側室1とボトム側室2とが連通溝50によって連通する。これにより、伸長方向のストローク端付近において、ロッド側室1の水が連通溝50を通じてボトム側室2に導かれるため、ピストン30と当接面42Aとが当接する際のロッド側室1の圧力上昇が緩和される。このため、ピストンロッド20とシリンダヘッド40との間の環状隙間3の圧力上昇が抑制され、シール部材46に高圧が作用することが抑制される。したがって、シール部材46の耐久性を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態について、説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態について、説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
上記第1実施形態では、ピストン30の摺接部31は、ピストンシール31Aが収容される溝を除き、シリンダチューブ10の内周面に摺接する一様な円筒面状の外周面を有する。また、連通溝50は、軸方向において、一様な溝深さを有する。つまり、上記第1実施形態では、連通流路51の流路断面積は、略一定である。
上記第1実施形態では、連通流路51の流路断面積が略一定であるため、連通溝50の深さが比較的小さく連通流路51の流路断面積が小さいと、ロッド側室1の水は、連通溝50によって比較的大きな流路抵抗を受けてボトム側室2に導かれる。よって、ロッド側室1からボトム側室2へ導かれる水は、絞り効果によって流速が速くなり、圧力低下によるキャビテーションや異音の発生を招くおそれがある。また、連通溝50の流路抵抗が大きい場合には、ロッド側室1からボトム側室2へ水が流れにくく、ロッド側室1の圧力上昇を十分に抑制できないおそれもある。
このようなキャビテーションや異音の発生を抑制するには、連通溝50を深く形成して、連通流路51の流路断面積を大きく(流路抵抗を小さく)することが考えられる。
しかしながら、連通溝50を深く形成しすぎると、ピストン30と当接面42Aとが当接する伸長方向のストローク端から水圧シリンダ100が収縮作動する際、ロッド側室1に導かれる水が連通溝50を通じてボトム側室2へ比較的大きな流量で導かれるおそれがある。つまり、連通溝50を深く形成しすぎると、伸長方向のストローク端から水圧シリンダ100を収縮させる際の応答性が低下する。このように、連通溝50の深さ(連通流路51の流路抵抗)は、ロッド側室1の圧力上昇の防止と収縮作動時の応答性とのバランスに応じて適切に設定する必要がある。
これに対し、第2実施形態では、連通流路150は、通過する水の流れに抵抗を付与する絞り流路と、絞り流路が水の流れに付与する抵抗よりも小さな抵抗を通過する作動流体の流れに付与する拡張流路と、を有する点において、上記第1実施形態とは、相違する。
第2実施形態に係る水圧シリンダ200では、ピストン30の摺接部130には、その外周面から窪んで形成され、内部に水を貯留する環状のポケット部が形成される。本実施形態では、2つのポケット部134,135が摺接部130に形成され、摺接部130の外周面(摺接面)は、ポケット部134,135によって3つの領域に隔てられる。連通溝50は、上記第1実施形態と同様に、一様の深さを有する。以下、3つに隔てられた摺接部130のそれぞれを「第1摺接部131」、「第2摺接部132」、「第3摺接部133」と称する。また、2つのポケット部のそれぞれを「第1ポケット部134」、「第2ポケット部135」と称する。なお、ポケット部の数は、2つに限られず、1つまたは3つ以上であってもよい。
第1摺接部131、第1ポケット部134、第2摺接部132、第2ポケット部135、第3摺接部133は、ピストンロッド20の先端(図3中上側)から基端(図3中下側)に向けて、この順で設けられる。水圧シリンダ100では、第1摺接部131、第2摺接部132、及び第3摺接部133のそれぞれと連通溝50とによって、流路断面積が相対的に小さい第1絞り流路151、第2絞り流路152、及び第3絞り流路153が形成される。また、第1ポケット部134及び第2ポケット部135のそれぞれと連通溝50とによって、流路断面積が相対的に大きい第1拡張流路154及び第2拡張流路155が形成される。
このように、水圧シリンダ100では、第1絞り流路151とボトム側室2との間(第1絞り流路151の下流)に第1拡張流路154が設けられ、第2絞り流路152とボトム側室2との間(第2絞り流路152の下流)に第2拡張流路155が設けられる。言い換えれば、水圧シリンダ100では、複数の絞り流路(第1絞り流路151、第2絞り流路152、第3絞り流路153)の間に拡張流路(第1拡張流路154、第2拡張流路155)が設けられる。よって、伸長方向のストローク端において、ロッド側室1の水が、第1絞り流路151を通過して流速が上昇しても、相対的に流路断面積が大きい第1拡張流路154に導かれることで、流速の上昇が緩和される。同様に、第1拡張流路154の水が第2絞り流路152を通過して流速が上昇しても、第2拡張流路155に導かれることで流速の上昇が緩和される。したがって、連通流路150を通過することに伴う圧力低下によるキャビテーションや異音の発生が抑制される。
また、水圧シリンダ200では、連通流路150の全体としての流路抵抗は、連通溝50の深さに加え、第1ポケット部134及び第2ポケット部135の形状(深さ、軸方向長さ、数)にも起因する。このため、上記第1実施形態に係る水圧シリンダ100と比較して、連通流路150の設計の自由度が向上し、ロッド側室1の圧力上昇の防止と収縮作動時の応答性とのバランスを適切に設定しやすくなる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、ピストン30の摺接部130にポケット部134,135を形成し、連通溝50を一様の深さを有する形状とすることで、絞り流路151,152,153と拡張流路154,155が形成される。これに対し、摺接部130の外周面を一様な円筒面とし、軸方向に沿って連通溝50の深さを変化させることで、絞り流路151,152,153と拡張流路154,155とを形成してもよい。例えば、連通溝50が、相対的に深さが浅く摺接部130と共に絞り流路151,152,153を形成する溝浅部と、相対的に深さが深く摺接部130と共に拡張流路154,155を形成する溝深部と、を有するものでもよい。
以上の第2実施形態によれば、上記第1実施形態が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
水圧シリンダ100では、第1絞り流路151及び第2絞り流路152の下流には、それぞれ第1拡張流路154と第2拡張流路155が設けられる。よって、ロッド側室1の水は、第1絞り流路151及び第2絞り流路152を通過して流速が上昇しても、相対的に流路断面積が大きい第1拡張流路154及び第2拡張流路155にそれぞれ導かれるため、流速の上昇が緩和される。よって、ロッド側室1の水が連通流路150を通過することに伴う圧力低下によるキャビテーションや異音の発生が抑制される。
また、水圧シリンダ100では、ポケット部(第1ポケット部134及び第2ポケット部135)の形状(深さ、軸方向長さ、数)を調整することで、連通流路150の流路抵抗を調整することができるため、設計の自由度が向上し、ロッド側室1の圧力上昇の防止と収縮作動時の応答性とのバランスを適切に設定しやすくなる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
水圧シリンダ100,200は、シリンダチューブ10と、シリンダチューブ10内をロッド側室1及びボトム側室2に区画するピストン30と、ピストン30に連結されシリンダチューブ10に挿入されるピストンロッド20と、シリンダチューブ10に設けられ、ピストンロッド20を摺動自在に支持するシリンダヘッド40と、シリンダヘッド40に設けられ、シリンダヘッド40の内周とピストンロッド20の外周との間の環状隙間3を封止して環状隙間3を通じたロッド側室1からの水の漏れを防止するシール部材46と、ピストン30に当接してロッド側室1が収縮する方向へのストローク端を規定する当接面42Aと、を備え、シリンダチューブ10の内周面には、ピストン30が当接面42Aに当接した状態でロッド側室1とボトム側室2とを連通する連通溝50が形成される。
また、水圧シリンダ100では、シリンダチューブ10の軸方向に沿った連通溝50の長さは、ピストン30においてシリンダチューブ10の内周面に摺動する摺接部31,130の軸方向の長さよりも長い。
これらの構成では、連通溝50によって、ピストン30と当接面42Aとが当接する状態でロッド側室1とボトム側室2とが連通する。これにより、ピストン30と当接面42Aとが当接する際、ロッド側室1の圧力をボトム側室2へ逃がすことができ、シール部材46とピストン30との間において圧力のこもりを抑制できる。したがって、水圧シリンダ100の耐久性が向上する。
また、水圧シリンダ200では、ピストン30と連通溝50とによって、ロッド側室1の水をボトム側室2に導く連通流路150が形成され、連通流路150は、通過する水の流れに抵抗を付与する絞り流路(第1絞り流路151,第2絞り流路152,第3絞り流路153)と、絞り流路(第1絞り流路151,第2絞り流路152,第3絞り流路153)が水の流れに付与する抵抗よりも小さな抵抗を通過する水の流れに付与する拡張流路(第1拡張流路154,第2拡張流路155)と、を有し、拡張流路(第1拡張流路154,第2拡張流路155)は、絞り流路(第1絞り流路151,第2絞り流路152,第3絞り流路153)とボトム側室2との間に設けられる。
また、水圧シリンダ200では、ピストン30は、シリンダチューブ10の内周面に摺接する摺接部130と、摺接部130に設けられ摺接部130の外周面から窪んで水を貯留するポケット部(第1ポケット部134,第2ポケット部135)と、を有し、摺接部130と連通溝50とによって絞り流路(第1絞り流路151,第2絞り流路152,第3絞り流路153)が形成され、ポケット部(第1ポケット部134,第2ポケット部135)と連通溝50とによって拡張流路(第1拡張流路154,第2拡張流路155)が形成される。
これらの構成では、水が絞り流路(第1絞り流路151,第2絞り流路152)を通過することによって流速が上昇しても、開放通路(第1ポケット部134,第2ポケット部135)に導かれることにより流速の上昇が緩和される。よって、連通流路150を通過する水の流速の上昇に伴う水の圧力上昇によるキャビテーションや異音の発生を防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、作動流体として作動油を用いたが、この代わりに例えば水溶性代替液等を用いてもよい。
1…ロッド側室(第1流体圧室)、2…ボトム側室、3…環状隙間、10…シリンダチューブ、20…ピストンロッド、30…ピストン、40…シリンダヘッド(支持部)、42A…当接面(当接部)、46…シール部材、50…連通溝、51…連通流路、130…摺接部、131…第1摺接部(摺接部)、132…第2摺接部(摺接部)、133…第3摺接部(摺接部)、134…第1ポケット部(ポケット部)、135…第2ポケット部(ポケット部)、150…連通流路、151…第1絞り流路(絞り流路)、152…第2絞り流路(絞り流路)、153…第3絞り流路(絞り流路)、154…第1拡張流路(拡張流路)、155…第2拡張流路(拡張流路)、100,200…水圧シリンダ
Claims (4)
- シリンダチューブと、
前記シリンダチューブ内を第1流体圧室及び第2流体圧室に区画するピストンと、
前記ピストンに連結され前記シリンダチューブに挿入されるピストンロッドと、
前記シリンダチューブに設けられ、前記ピストンロッドを摺動自在に支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記支持部の内周と前記ピストンロッドの外周との間の隙間を封止して前記隙間を通じた前記第1流体圧室からの作動流体の漏れを防止するシール部材と、
前記ピストンに当接して前記第1流体圧室が収縮する方向へのストローク端を規定する当接部と、を備え、
前記シリンダチューブの内周面には、前記ピストンが前記当接部に当接した状態で前記第1流体圧室と前記第2流体圧室とを連通する連通溝が形成されることを特徴とする流体圧シリンダ。 - 前記シリンダチューブの軸方向に沿った前記連通溝の長さは、前記ピストンにおいて前記シリンダチューブの内周面に摺動する軸方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。
- 前記ピストンと前記連通溝とによって、前記第1流体圧室の作動流体を前記第2流体圧室に導く連通流路が形成され、
前記連通流路は、
通過する作動流体の流れに抵抗を付与する絞り流路と、
前記絞り流路が作動流体の流れに付与する抵抗よりも小さな抵抗を通過する作動流体の流れに付与する拡張流路と、を有し、
前記拡張流路は、前記絞り流路と前記第2流体圧室との間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧シリンダ。 - 前記ピストンは、
前記シリンダチューブの内周面に摺接する摺接部と、
前記摺接部に設けられ前記摺接部の外周面から窪んで作動流体を貯留するポケット部と、を有し、
前記摺接部と前記連通溝とによって前記絞り流路が形成され、
前記ポケット部と前記連通溝とによって前記拡張流路が形成されることを特徴とする請求項3に記載の流体圧シリンダ。
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- 2018-04-06 JP JP2018073989A patent/JP2019183932A/ja active Pending
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