JP2019181788A - 発泡成形体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

発泡成形体の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を抑制し、高品質の発泡成形体を安定して製造する方法を提供する。【解決手段】発泡成形体の製造方法であって、可塑化シリンダ210の可塑化ゾーン21において、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、可塑化シリンダの飢餓ゾーン23に、一定の圧力である第1の圧力を有する、物理発泡剤を含む加圧流体を導入することと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記飢餓状態の溶融樹脂と、第1の圧力の加圧流体とを接触させることと、第1の圧力の加圧流体と接触させた前記溶融樹脂を所定量計量することと、前記計量した溶融樹脂を前記可塑化シリンダから射出して、発泡成形体に成形することとを含む。前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常に前記計量した溶融樹脂の圧力を第1の圧力より高い圧力に保持する。【選択図】図2

Description

本発明は、発泡成形体の製造方法及び製造装置に関する。
近年、超臨界状態の窒素や二酸化炭素を物理発泡剤として用いた射出発泡成形方法が研究及び実用化されている(特許文献1〜3)。これら特許文献1〜3によれば、物理発泡剤を用いた射出発泡成形方法は以下のように行われる。まず、物理発泡剤を密閉された可塑化シリンダに導入し、可塑化溶融した樹脂に接触分散させる。物理発泡剤が超臨界状態になる程度に可塑化シリンダ内を高圧に維持しつつ、物理発泡剤の分散した溶融樹脂を計量し、金型内に射出充填する。溶融樹脂に相溶していた超臨界流体は、射出充填時に急減圧されガス化し、溶融樹脂が固化することで気泡(発泡セル)が成形体内部に形成される。これらの射出発泡成形方法では、物理発泡剤は樹脂内圧よりも少し高い圧力で計量され、計量後、可塑化シリンダ内に導入される。よって物理発泡剤の溶融樹脂への溶解量は、物理発泡剤の導入量で決定される(導入量制御)。
また、特許文献4には、物理発泡剤を用いた射出発泡成形方法において、物理発泡剤を導入量制御ではなく、圧力制御で可塑化シリンダに導入する方法が開示されている。特許文献4では、可塑化シリンダ内に溶融樹脂が未充満となる飢餓ゾーンを設け、飢餓ゾーンに一定圧力の物理発泡剤を導入する。飢餓ゾーンにおいて、飢餓状態の溶融樹脂と一定の圧力の物理発泡剤とを接触させ、溶融樹脂に物理発泡剤を浸透させる。このとき、飢餓ゾーンは、常に、導入される物理発泡剤の一定圧力に保持されている。
特許第2625576号公報 特許第3788750号公報 特許第4144916号公報 特許第6139038号公報
特許文献1〜3の射出発泡成形方法では、可塑化シリンダへ導入する物理発泡剤を高圧力に設定し導入量を正確に計量する必要があった。これは、物理発泡剤の供給機構を複雑化し、装置のイニシャルコストを高める要因となっていた。
一方、特許文献4の射出発泡成形方法では、可塑化シリンダに物理発泡剤を圧力制御で導入するため、物理発泡剤の溶融樹脂への導入量、導入時間等を制御する必要が無い。したがって、特許文献4の射出発泡成形方法は、複雑な制御装置を省略又は簡略化でき、装置コストを削減できる。また、物理発泡剤の溶融樹脂に対する溶解量(浸透量)を単純な機構により安定化できる。
物理発泡剤を可塑化シリンダに圧力制御で導入する射出発泡成形方法においては、更に、高品質の発泡成形体を安定して製造できるよう改良が進められている。例えば、発泡セル径の肥大化、不均一化の原因となる、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離は、更に抑制することが好ましい。
本発明は、上記課題を解決するものであり、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を抑制し、高品質の発泡成形体を安定して製造する方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、発泡成形体の製造方法であって、内部に回転及び進退自在に設けられたスクリュを備え、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに物理発泡剤を導入するための導入口が形成された可塑化シリンダを含む製造装置を用い、前記製造方法は、前記可塑化ゾーンにおいて、前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融して前記溶融樹脂とすることと、前記飢餓ゾーンに、一定の圧力である第1の圧力を有する、前記物理発泡剤を含む加圧流体を導入することと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、前記飢餓ゾーンにおいて、前記飢餓状態の溶融樹脂と、前記第1の圧力の加圧流体とを接触させることと、前記第1の圧力の加圧流体と接触させた前記溶融樹脂を所定量計量することと、前記計量した溶融樹脂を前記可塑化シリンダから射出して、前記発泡成形体に成形することとを含み、前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常に前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より高い圧力に保持することを特徴とする発泡成形体の製造方法が提供される。
前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より、0.5MPa〜10MPa高い圧力に保持してもよい。
前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常にスクリュ背圧を前記第1の圧力より高い圧力に保持してもよい。また、前記溶融樹脂の計量の完了まで、前記スクリュ背圧を前記第1の圧力より高い第2の圧力に保持し、前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記スクリュ背圧を第2の圧力以上の第3の圧力に保持してもよい。第2の圧力と第3の圧力が同一であってもよい。
前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記可塑化ゾーンから前記飢餓ゾーンに向う前方、及び前記飢餓ゾーンから前記可塑化ゾーンに向う後方に進退自在に設けられ、前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前方から後方へ前記溶融樹脂が逆流することを抑制する先端部シール機構を有し、前記先端部シール機構は、前記スクリュの前方の端部に位置するスクリュヘッドと、前記スクリュヘッドの後方に位置する突き当てリングと、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとを連結する軸と、前記軸に遊嵌して、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとの間を前方及び後方に移動可能なチェックリングとを有してもよい。
前記チェックリングが最も前方に位置している状態において、前記チェックリングの前方側の受圧面積S1の、後方側の受圧面積S2に対する比率(S1/S2)が、0.6〜0.95であってもよい。前記チェックリングには、前記軸が貫通する貫通孔が形成されており、前記チェックリングの貫通孔を区画する内壁の一部は、前記貫通孔の後方端部と、前記後方端部の内径より小さい内径を有する小内径部とを連結する第1のテーパー面を形成し、前記軸は、前記突き当てリングとの接続部と、前記接続部の直径より小さい直径を有する小直径部とを連結する第2のテーパー面を有し、第1のテーパー面のテーパー比と、第2のテーパー面のテーパー比とは、略同一であり、前記チェックリングの前方及び後方の移動に伴い、第1のテーパー面と第2のテーパー面が離間及び当接してもよい。前記チェックリングの外側面に、溝が形成されていてもよく、前記溝が、前記チェックリングの外側面にラビリンス構造を形成していてもよい。前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記溶融樹脂を前方へ送る正回転と、正回転とは逆の逆回転とが可能であり、前記先端部シール機構は、前記スクリュを逆回転させることにより、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持するロック機構を有し、前記発泡成形体の製造方法は、前記溶融樹脂の計量の完了後に前記スクリュを逆回転して、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持してもよい。
本発明の第2の態様に従えば、発泡成形体を製造する製造装置であって、内部に回転及び進退自在に設けられたスクリュを備え、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに物理発泡剤を導入するための導入口が形成され、一定量の前記溶融樹脂を計量して外部に射出する可塑化シリンダと、前記可塑化シリンダに、一定圧力である第1の圧力の物理発泡剤を供給する物理発泡剤供給機構と、前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常に前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より高い圧力に保持する圧力保持機構とを有することを特徴とする製造装置が提供される。
前記圧力保持機構は、前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より、0.5MPa〜10MPa高い圧力に保持する機構であってもよい。前記圧力保持機構が、スクリュ背圧を制御するスクリュ駆動機構であってもよい。また、前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記可塑化ゾーンから前記飢餓ゾーンに向う前方、及び前記飢餓ゾーンから前記可塑化ゾーンに向う後方に進退自在に設けられ、前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前方から後方へ前記溶融樹脂が逆流することを抑制する先端部シール機構を有し、前記圧力保持機構が、前記先端部シール機構であってもよい。前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記溶融樹脂を前方へ送る正回転と、正回転とは逆の逆回転とが可能であり、前記先端部シール機構は、前記スクリュの前方の端部に位置するスクリュヘッドと、前記スクリュヘッドの後方に位置する突き当てリングと、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとを連結する軸と、前記軸に遊嵌して、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとの間を前方及び後方に移動可能なチェックリングと、前記スクリュを逆回転させることにより、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持するロック機構とを有してもよい。
本発明の発泡成形体の製造方法は、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を抑制し、高品質の発泡成形体を安定して製造する製造方法を提供する。
第1の実施形態の発泡成形体の製造方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態で用いる発泡成形体の製造装置の概略図である。 図3(a)は、第1の実施形態において、溶融樹脂の計量途中の様子を示す図であり、図3(b)は、溶融樹脂の計量完了時の様子を示す図である。 図4(a)は、第1の実施形態において、溶融樹脂の計量完了後にスクリュ背圧を加える場合における、スクリュ駆動機構の圧力センサ(ロードセル)が検出する圧力及び飢餓ゾーンの圧力を示す図であり、図4(b)は、溶融樹脂の計量完了後にスクリュ背圧を加えない場合における、圧力センサ(ロードセル)が検出する圧力及び飢餓ゾーンの圧力を示す図である。 図5(a)は、第2の実施形態で用いる先端部シール機構において、チェックリングが最も前方に位置した状態を示す図であり、図5(b)は、チェックリングの本体リングが、スクリュヘッド及び突き当てリングの両方に接触していない状態を示す図であり、図5(c)は、チェックリングが最も後方に位置した状態を示す図である。図5(d)は、図5(a)におけるD−D´断面の断面図であり、図5(e)は、図5(a)におけるE−E´断面の断面図であり、図5(f)は、図5(c)におけるF−F´断面の断面図である。 図6(a)は、図5(a)に示す、第2の実施形態で用いる先端部シール機構のD−D´断面の断面図であり、図6(b)は、別の例の先端部シール機構の断面図である。 図7(a)は、第2の実施形態の変形例1で用いる先端部シール機構において、チェックリングが最も前方に位置した状態を示す図であり、図7(b)は、チェックリングが最も後方に位置した状態を示す図である。図7(c)は、チェックリングのみを示す図であり、図7(d)は、チェックリング以外の先端部シール機構の構成部品(スクリュヘッド、軸及び突き当てリング)を示す図である。 図8(a)は、第2の実施形態の変形例2で用いる先端部シール機構において、チェックリングが最も前方に位置した状態を示す図であり、図8(b)は、チェックリングの本体リングが、スクリュヘッド及び突き当てリングの両方に接触していない状態を示す図であり、図8(c)は、チェックリングが最も後方に位置した状態を示す図である。 図9(a)は、第2の実施形態の変形例3で用いる先端部シール機構において、チェックリングが最も前方に位置した状態を示す図であり、図9(b)は、チェックリングの本体リングが、スクリュヘッド及び突き当てリングの両方に接触していない状態を示す図であり、図9(c)は、チェックリングが最も後方に位置した状態を示す図である。
[第1の実施形態]
図1に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の発泡成形体の製造方法について説明する。本実施形態の発泡成形体の製造方法は、例えば、図2に示す製造装置1000を用いて実施できる。まず、製造装置1000について説明する。
<発泡成形体の製造装置>
製造装置(射出成形機)1000は、主に、スクリュ20が内設された可塑化シリンダ210と、スクリュ20を駆動させるスクリュ駆動機構260と、物理発泡剤を可塑化シリンダ210に供給する物理発泡剤供給機構であるボンベ100と、金型251が設けられた型締めユニット250と、可塑化シリンダ210、スクリュ駆動機構260及び型締めユニット250を動作制御するための制御装置(不図示)を備える。
可塑化シリンダ210内において可塑化溶融された溶融樹脂は、図2における右手から左手に向かって流動する。したがって本実施形態の可塑化シリンダ210内部においては図2における右手を「上流」または「後方」、左手を「下流」または「前方」と定義する。可塑化シリンダ210及びスクリュ20の延在する方向(スクリュ20の軸方向、溶融樹脂の流動方向)を「前後方向」と定義する。また、本実施形態の可塑化シリンダ210では、従来公知の可塑化シリンダの構成と同様に、可塑化シリンダ210の後方側から見た場合に、スクリュ20を反時計回りに回転させると溶融樹脂を前方に送る正回転をし、時計回りに回転させると逆回転するように構成されている。
可塑化シリンダ210は、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーン21と、可塑化ゾーン21の下流側に、溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーン23とを有する。「飢餓状態」とは、溶融樹脂が飢餓ゾーン23内に充満せずに未充満となる状態である。したがって、飢餓ゾーン23内には、溶融樹脂の占有部分以外の空間が存在する。また、飢餓ゾーン23に物理発泡剤を導入するための導入口202が形成されており、導入口202には、導入速度調整容器300が接続している。ボンベ100は、導入速度調整容器300を介して可塑化シリンダ210に物理発泡剤を供給する。
スクリュ駆動機構260は、可塑化シリンダ210の上流側の後端部に接続され、スクリュ回転用モータM2及び伝動手段262を含むスクリュ回転駆動機構と、スクリュ前後進用モータM1及び伝動手段263を含むスクリュ移動機構と、スクリュ20にかかる圧力を検出するロードセル等の圧力センサ261を有する。スクリュ回転用モータM2は、プーリやベルト等から構成される伝動手段262を介してスクリュ20を正回転及び逆回転させる。スクリュ前後進用モータM1は、プーリ、ベルト、ボールネジ/ナット機構等の回転運動を直線運動に変換する伝動手段263を介してスクリュ20を前後方向に移動させる。これにより、スクリュ20は、可塑化ゾーン21から飢餓ゾーン23に向う前方への前進及び飢餓ゾーン23から可塑化ゾーン21に向う後方への後退が可能である。
圧力センサ261が検出するスクリュ20にかかる圧力の大きさとは、スクリュ20の前方に位置する溶融樹脂の圧力の大きさであるが、スクリュ20にスクリュ背圧が加えられている場合には、同時に、スクリュ背圧の大きさでもある。「スクリュ背圧」とは、スクリュ20を後方から前方へ押す力である。例えば、樹脂の可塑化計量時、即ち、スクリュ20が正回転することにより、溶融樹脂が可塑化シリンダ210の前方へ送られ、その樹脂圧力によりスクリュ20が後退するときに、スクリュ20には、後方から前方へ押す力(スクリュ背圧)を加える。このとき、スクリュ背圧と、スクリュ20の前方に位置する溶融樹脂の圧力は等しい。圧力センサ26が検出する圧力は、スクリュ20の前方に位置する溶融樹脂の圧力であると同時に、スクリュ背圧でもある。本実施形態では、スクリュ背圧はスクリュ駆動機構260によって制御される。
一方で、スクリュ背圧を加えていないとき、即ち、スクリュ背圧が0(ゼロ)のとき、圧力センサ261は、スクリュ20の前方に位置する溶融樹脂の圧力のみを検出する。例えば、所定量の溶融樹脂の計量が完了した後、スクリュ背圧を0(ゼロ)にする場合、圧力センサ261が検出する圧力は、スクリュ20の前方に位置する計量された溶融樹脂の圧力である。
スクリュ20は、その前方の端部に、チェックリング52を含む先端部シール機構50を有する。先端部シール機構50は、スクリュ20前方の圧縮された樹脂が、後方側へ逆流することを抑制する。
尚、製造装置1000は、飢餓ゾーン23を1つしか有していないが、本実施形態に用いられる製造装置は、これに限定されない。例えば、溶融樹脂への物理発泡剤の浸透を促進するために、飢餓ゾーン23及びそこに形成される導入口202を複数有し、複数の導入口202から物理発泡剤を可塑化シリンダ210に導入する構造であってもよい。
<発泡成形体の製造方法>
(1)熱可塑性樹脂の可塑化溶融
まず、可塑化シリンダ210の可塑化ゾーン21において、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする(図1のステップS1)。熱可塑性樹脂としては、目的とする成形体の種類に応じて種々の樹脂を使用できる。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの熱可塑性樹脂、及びこれらの複合材料を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
また、これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、タルク、カーボン繊維などの各種無機フィラーを混練したものを用いることもできる。熱可塑性樹脂には、発泡核剤として機能する無機フィラーや溶融張力を高める添加剤を混合することが好ましい。これらを混合することで、発泡セルを微細化できる。本実施形態の熱可塑性樹脂は、必要に応じてその他の汎用の各種添加剤を含んでもよい。更に、本実施形態の熱可塑性樹脂は、汎用の化学発泡剤を含んでもよい。化学発泡剤を少量添加することで発泡性能を補完できる。
本実施形態では、図2に示すスクリュ20が内設された可塑化シリンダ210内で熱可塑性樹脂の可塑化溶融を行う。可塑化シリンダ210の外壁面にはバンドヒータ(図示せず)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱され、更にスクリュ20の回転による剪断発熱も加わり、熱可塑性樹脂が可塑化溶融される。
(2)物理発泡剤の導入
次に、飢餓ゾーン23に一定圧力(第1の圧力)の物理発泡剤を導入する(図1のステップS2)。
物理発泡剤としては、加圧流体を用いる。本実施形態において「流体」とは、液体、気体、超臨界流体のいずれかを意味する。また、物理発泡剤は、コストや環境負荷の観点から、二酸化炭素、窒素等が好ましい。本実施形態の物理発泡剤の圧力は比較的低圧であるため、例えば、窒素ボンベ、二酸化炭素ボンベ、空気ボンベ等の流体が貯蔵されたボンベから、減圧弁により一定圧力に減圧して取り出した流体を用いることができる。この場合、昇圧装置が不要となるので、製造装置全体のコストを低減できる。また、必要であれば所定の圧力まで昇圧した流体を物理発泡剤として用いてもよい。例えば、物理発泡剤として窒素を使用する場合、以下の方法で物理発泡剤を生成できる。まず、大気中の空気をコンプレッサーで圧縮しながら窒素分離膜を通して窒素を精製する。次に、精製した窒素をブースターポンプやシリンジポンプ等を用いて所定圧力まで昇圧し、物理発泡剤を生成する。また、圧縮空気を物理発泡剤として利用してもよい。本実施形態では、物理発泡剤と溶融樹脂の強制的な剪断混錬を行わない。このため、物理発泡剤として圧縮空気を用いても、溶融樹脂に対して溶解性の低い酸素は溶融樹脂に溶解し難く、溶融樹脂の酸化劣化を抑制できる。
飢餓ゾーン23に導入する物理発泡剤の圧力(第1の圧力)は一定である。この物発泡剤の圧力(第1の圧力)は、1MPa〜15MPaが好ましく、1MPa〜10MPaがより好ましく、2MPa〜8MPaが更により好ましい。溶融樹脂の種類により最適な圧力は異なるが、物理発泡剤の圧力を1MPa以上とすることで、発泡させるのに必要な量の物理発泡剤を溶融樹脂内に浸透させることができ、15MPa以下とすることで、装置負荷を低減できる。
また、本実施形態では、飢餓ゾーン23に物理発泡剤のみを導入するが、本実施形態の効果に影響を与えない程度に、物理発泡剤以外の他の加圧流体を同時に飢餓ゾーン23に導入してもよい。この場合、飢餓ゾーン23に導入される物理発泡剤を含む加圧流体は、上述の一定圧力を有する。
本実施形態では、図2に示すように、ボンベ100から導入速度調整容器300を介し、導入口202から飢餓ゾーン23へ物理発泡剤を供給する。物理発泡剤は、減圧弁151を用いて所定の圧力に減圧した後、昇圧装置等を経ることなく、導入口202から飢餓ゾーン23へ導入される。本実施形態では、可塑化シリンダ210に導入する物理発泡剤の導入量、導入時間等を制御しない。そのため、それらを制御する機構、例えば、逆止弁や電磁弁等を用いた駆動弁は減圧弁151から導入口202の区間内に不要である。本実施形態でも減圧弁151から導入口202の区間内に、駆動弁を有さず、常に開放されている。減圧弁151から導入口202の区間内に逆止弁や電磁弁を設けてもよいが、連続する成形サイクルの期間は常に解放されるものとする。また、スクリュ20の進退に伴い、飢餓ゾーン23は可塑化シリンダ210内を前後方向に移動するが、導入口202は、常に飢餓ゾーン23に位置するように設けられる。
物理発泡剤の導入口202は、従来の製造装置の物理発泡剤の導入口と比較して内径が大きい。このため、比較的低圧の物理発泡剤であっても、可塑化シリンダ210内に効率良く導入できる。また、溶融樹脂の一部が導入口202に接触して固化した場合であっても、内径が大きいため、完全に塞がることなく導入口として機能できる。例えば、可塑化シリンダ210の内径が大きい場合、即ち、可塑化シリンダの外径が大きい場合に、導入口202の内径を大きくし易い。一方、導入口202の内径が大き過ぎると、溶融樹脂の滞留が発生して成形不良の原因となり、また、導入口202に接続する導入速度調整容器300が大型化して装置全体のコストが上昇する。具体的には、導入口202の内径は、可塑化シリンダ210の内径の20%〜100%が好ましく、30%〜80%がより好ましい。または、可塑化シリンダ210の内径に依存せず、導入口202の内径は、3mm〜100mmが好ましく、5mm〜50mmがより好ましい。ここで、導入口202の内径とは、可塑化シリンダ210の内壁上における開口部の内径を意味する。また、導入口202の形状、即ち、可塑化シリンダ210の内壁上における開口部の形状は、真円に限られず、楕円や多角形であってもよい。導入口202の形状が楕円や多角形である場合には、導入口202の面積と同じ面積の真円におけるその直径を「導入口202の内径」と定義する。
導入口202に接続する導入速度調整容器300は、一定以上の容積を有することで、可塑化シリンダ210へ導入される物理発泡剤の流速を緩やかにし、導入速度調整容器300内に物理発泡剤が滞留できる時間を確保できる。加熱させた可塑化シリンダ210の近傍に滞留することで、物理発泡剤は加温され、物理発泡剤と溶融樹脂との温度差が小さくなり、物理発泡剤の溶融樹脂への溶解量(浸透量)を安定化できる。即ち、導入速度調整容器300は、バッファー容器として機能する。一方で、導入速度調整容器300は、その容積が大きすぎると、装置全体のコストが上昇する。導入速度調整容器300の容積は、飢餓ゾーン23に存在する溶融樹脂の量にも依存するが、5mL〜10Lであることが好ましく、10mL〜1Lがより好ましい。導入速度調整容器300の容積をこの範囲とすることで、コストを考慮しながら物理発泡剤が滞留できる時間を確保できる。
また、後述するように物理発泡剤は溶融樹脂に接触して浸透することにより、可塑化シリンダ210内で消費される。飢餓ゾーン23の圧力を一定に保持するために、消費された分の物理発泡剤が導入速度調整容器300から飢餓ゾーン23へ導入される。導入速度調整容器300の容積が小さすぎると、物理発泡剤の置換頻度が高くなるため、物理発泡剤の温度が不安定となり、その結果、物理発泡剤の供給が不安定になる虞がある。したがって、導入速度調整容器300は、1〜10分間に可塑化シリンダにおいて消費される量の物理発泡剤が滞留できる容積を有することが好ましい。
尚、導入速度調整容器300は、可塑化シリンダ210と別個体の容器であってもよいし、可塑化シリンダ210と一体に形成され、可塑化シリンダ210の一部を構成してもよい。
(3)溶融樹脂を飢餓状態とする
次に、溶融樹脂を飢餓ゾーン23へ流動させ、飢餓ゾーン23において溶融樹脂を飢餓状態とする(図1のステップS3)。飢餓状態は、飢餓ゾーン23の上流から飢餓ゾーン23への溶融樹脂の送り量と、飢餓ゾーン23からその下流への溶融樹脂の送り量とのバランスで決定され、前者の方が少ないと飢餓状態となる。
本実施形態では、溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まる圧縮ゾーン22を飢餓ゾーン23の上流に設けることにより、飢餓ゾーン23において溶融樹脂を飢餓状態とする。圧縮ゾーン22には、上流側に位置する可塑化ゾーン21よりもスクリュ20の軸の直径を大きく(太く)し、スクリュフライトを段階的に浅くした大径部分20Aを設け、更に、大径部分20Aの下流側に隣接して、飢餓ゾーン23との境にリング26を設ける。リング26は半割り構造であり、それら2分割してスクリュ20に被せて設置する。大径部分20A及びリング26は、スクリュ20の軸の直径を大きくすることにより、可塑化シリンダ210の内壁とスクリュ20のクリアランスを縮小し、下流に送る樹脂供給量を低減できるため、溶融樹脂の流動抵抗を高められる。したがって、本実施形態において、大径部分20A及びリング26は、溶融樹脂の流動抵抗を高める機構である。尚、リング26は、物理発泡剤の逆流、即ち、シール部26の下流側から上流側への物理発泡剤の移動を抑制する効果も奏する。
大径部分20A及びリング26の存在により圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23に供給される樹脂流量が低下し、上流側の圧縮ゾーン22においては溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まり、下流側の飢餓ゾーン23においては、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)となる。溶融樹脂の飢餓状態を促進するために、スクリュ20は、圧縮ゾーン22に位置する部分と比較して、飢餓ゾーン23に位置する部分の軸の直径が小さく(細く)、且つスクリュフライトが深い構造を有する。
圧縮ゾーン22に設けられる溶融樹脂の流動抵抗を高める機構は、圧縮ゾーン22から飢餓ゾーン23へ供給される樹脂流量を制限するために一時的に溶融樹脂が通過する流路面積を縮小させる機構であれば、特に制限されない。本実施形態では、スクリュの大径部分20A及びリング26の両方を用いたが、片方のみ用いてもよい。スクリュの大径部分20A、リング26以外の流動抵抗を高める機構としては、スクリュフライトが他の部分とは逆向きに設けられた構造、スクリュ上に設けられたラビリンス構造等が挙げられる。
溶融樹脂の流動抵抗を高める機構は、スクリュとは別部材のリング等としてスクリュに設けてもよいし、スクリュの構造の一部としてスクリュと一体に設けてもよい。溶融樹脂の流動抵抗を高める機構は、スクリュとは別部材のリング等として設けると、リングを変更することにより溶融樹脂の流路であるクリアランスの大きさを変更できるので、容易に溶融樹脂の流動抵抗の大きさを変更できるという利点がある。
また、融樹脂の流動抵抗を高める機構以外に、飢餓ゾーン23から上流の圧縮ゾーン22へ溶融樹脂の逆流を防止する逆流防止機構(シール機構)を圧縮ゾーン22の飢餓ゾーン23との間に設けることによっても、飢餓ゾーン23において溶融樹脂を飢餓状態にできる。例えば、物理発泡剤の圧力により上流側に移動可能なリング、鋼球等のシール機構が挙げられる。但し、逆流防止機構は駆動部を必要とするため、樹脂滞留の虞がある。このため、駆動部を有さない流動抵抗を高める機構の方が好ましい。
本実施形態では、飢餓ゾーン23における溶融樹脂の飢餓状態を安定化させるために、可塑化シリンダ210へ供給する熱可塑性樹脂の供給量を制御してもよい。熱可塑性樹脂の供給量が多すぎると飢餓状態を維持することが困難となるからである。本実施形態では、汎用のフィーダースクリュ212を用いて、熱可塑性樹脂の供給量を制御する。熱可塑性樹脂の供給量が制限されることにより、飢餓ゾーン23における溶融樹脂の計量速度が、圧縮ゾーン22での可塑化速度よりも大きくなる。この結果、飢餓ゾーン23における溶融樹脂の密度が安定に低下し、溶融樹脂への物理発泡剤の浸透が促進される。
本実施形態において、前後方向における飢餓ゾーン23の長さは、溶融樹脂と物理発泡剤との接触面積や接触時間を確保するために長いほうが好ましいが、長すぎると成形サイクルやスクリュが長くなる弊害生じる。このため、飢餓ゾーン23の長さは、可塑化シリンダ210の内径の2倍〜12倍が好ましく、4倍〜10倍がより好ましい。また、飢餓ゾーン23の長さは、射出成形における計量ストーロークの全範囲を賄うことが好ましい。即ち、溶融樹脂の流動方向における飢餓ゾーン23の長さは、射出成形における計量ストーロークの長さ以上であることが好ましい。樹脂の可塑化計量及び射出に伴ってスクリュ20は前方及び後方に移動するが、飢餓ゾーン23の長さを計量ストーロークの長さ以上とすることで、発泡成形体の製造中、常に、導入口202を飢餓ゾーン23内に配置できる(形成できる)。換言すれば、発泡成形体の製造中にスクリュ20が前方及び後方に動いても、飢餓ゾーン23以外のゾーンが、導入口202の位置に来ることはない。これにより、導入口202から導入される物理発泡剤は、発泡成形体の製造中、常に、飢餓ゾーン23に導入される。本実施形態の飢餓ゾーン23の長さは、図2に示すように、スクリュ20において、リング26の下流から、後述する溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まる再圧縮ゾーン24の上流まで長さである。本実施形態の飢餓ゾーン23では、スクリュ20の軸の直径及びスクリュフライトの深さが一定である。
(4)溶融樹脂と物理発泡剤との接触
次に、飢餓ゾーン23において飢餓状態の溶融樹脂と一定圧力(第1の圧力)の物理発泡剤とを接触させる(図1のステップS4)。即ち、飢餓ゾーン23において、溶融樹脂を物理発泡剤により一定圧力で加圧する。飢餓ゾーン23は溶融樹脂が未充満(飢餓状態)であり物理発泡剤が存在できる空間があるため、物理発泡剤と溶融樹脂とを効率的に接触させることができる。溶融樹脂に接触した物理発泡剤は、溶融樹脂に浸透して消費される。物理発泡剤が消費されると、導入速度調整容器300中に滞留している物理発泡剤が飢餓ゾーン23に供給され、溶融樹脂は一定圧力の物理発泡剤に接触し続ける。飢餓ゾーン23は、常に、一定の圧力(第1の圧力)に保持される。
尚、飢餓ゾーン23の圧力(第1の圧力)が「一定である」とは、所定圧力に対する圧力の変動幅が、好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内であることを意味する。飢餓ゾーン23の圧力は、例えば、可塑化シリンダ210の導入口202に対向する位置等、飢餓ゾーン23内に設けられた圧力センサ(不図示)により測定される。
従来の物理発泡剤を用いた発泡成形では、可塑化シリンダに所定量の高圧の物理発泡剤を所定時間内に強制的に導入していた。したがって、物理発泡剤を高圧力に昇圧し、溶融樹脂への導入量、導入時間等を正確に制御する必要があり、物理発泡剤が溶融樹脂に接触するのは、短い導入時間のみであった。これに対して本実施形態では、可塑化シリンダ210に物理発泡剤を強制的に導入するのではなく、一定圧力の物理発泡剤を連続的に可塑化シリンダ内に供給し、連続的に物理発泡剤を溶融樹脂に接触させる。これにより、温度及び圧力により決定される溶融樹脂への物理発泡剤の溶解量(浸透量)が、安定化する。また、本実施形態の物理発泡剤は、常に溶融樹脂に接触しているため、必要十分な量の物理発泡剤が溶融樹脂内に浸透できる。これにより、本実施形態で製造する発泡成形体は、従来の物理発泡剤を用いた成形方法と比較して低圧の物理発泡剤を用いているのにもかかわらず、発泡セルが微細である。
また、本実施形態の製造方法は、物理発泡剤の導入量、導入時間等を制御する必要が無いため、逆止弁や電磁弁等の駆動弁、更にこれらを制御する制御機構が不要となり、装置コストを抑えられる。また、本実施形態で用いる物理発泡剤は従来の物理発泡剤よりも低圧であるため装置負荷も小さい。
本実施形態では、可塑化シリンダ内で消費された物理発泡剤を補うために、前記一定圧力の物理発泡剤を連続的に供給しながら、発泡成形体の製造方法の全ての工程が実施される。また、本実施形態では、例えば、連続で複数ショットの射出成形を行う場合、射出工程、成形体の冷却工程及び成形体の取出工程が行われている間も、次のショット分の溶融樹脂が可塑化シリンダ内で準備されており、次のショット分の溶融樹脂が物理発泡剤により一定圧力で加圧される。つまり、連続で行う複数ショットの射出成形では、可塑化シリンダ内に、溶融樹脂と一定圧力の物理発泡剤が常に存在して接触している状態、つまり、可塑化シリンダ内で溶融樹脂が物理発泡剤により一定圧力で常時、加圧された状態で、可塑化計量工程、射出工程、成形体の冷却工程、取り出し工程等を含む、射出成形の1サイクルが行われる。
(5)溶融樹脂の計量
次に、物理発泡剤と接触させた溶融樹脂を所定量計量する(図1のステップS5)。図3(a)は、溶融樹脂の計量途中の様子を示し、図3(b)は、溶融樹脂の計量完了時の様子を示す。本実施形態で用いる可塑化シリンダ210は、飢餓ゾーン23の下流に、飢餓ゾーン23に隣接して配置され、溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まる再圧縮ゾーン24を有する。まず、スクリュ20の正回転により、飢餓ゾーン23の溶融樹脂を再圧縮ゾーン24に流動させる。物理発泡剤を含む溶融樹脂は、再圧縮ゾーン24において圧力調整される。スクリュ20を更に正回転することにより、溶融樹脂が可塑化シリンダ210の前方へ送られ、その樹脂圧力によりスクリュ20が後退する。図3(a)及び(b)に示すように、スクリュ20が後退することにより、スクリュ20の前方に計量ゾーン25が形成され、計量ゾーン25に所定量の溶融樹脂(1ショット分の溶融樹脂)が計量される。
本実施形態では、熱可塑性樹脂の可塑化開始から溶融樹脂の計量完了まで(樹脂の可塑化計量中)、スクリュ20に、飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高いスクリュ背圧(第2の圧力)を加える。スクリュ背圧を加えているとき、計量ゾーン25の圧力(スクリュ20の前方の溶融樹脂の圧力)は、スクリュ背圧に等しい。したがって、溶融樹脂の計量完了まで、計量ゾーン25の圧力は、飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力(第2の圧力)に保持される。これにより、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離が抑制され、均一相溶が促進される。一方で、可塑化計量中のスクリュ背圧が高過ぎると、計量ゾーン25の圧力が高くなり過ぎる。これにより、先端部シール機構50の前方に溶融樹脂を送り難くなり、飢餓ゾーン23の導入口203から溶融樹脂がベントアップする虞がある。これらの観点から、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)は、飢餓ゾーン23の一定圧力(第1の圧力)より、例えば、0.4MPa〜4MPa高く、0.5MPa〜3MPa高いことが好ましい。
(6)計量した溶融樹脂の圧力保持
本実施形態では、溶融樹脂の計量完了から射出開始まで、常に計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する(ステップS6)。これにより、計量後の溶融樹脂からの物理発泡剤の分離が抑制され、均一相溶が促進される。
計量した溶融樹脂の圧力が、第1の圧力より十分に高いと、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を十分に抑制できる。一方で、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を高くし過ぎると、射出前にスクリュ20の位置が大きく変動する虞がある。これらの観点から、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)は、飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より、0.5MPa〜10MPa高いことが好ましく、1MPa〜10MPa高いことがより好ましく、2MPa〜5MPa高いことが更により好ましい。
計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する方法は任意であるが、本実施形態では、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、スクリュ背圧を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する。スクリュ背圧は、スクリュ駆動機構260によって制御される。したがって、本実施形態において、スクリュ駆動機構260は、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する圧力保持機構である。
溶融樹脂の計量の完了から射出の開始までのスクリュ背圧(第3の圧力)は、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)以上であることが好ましい。即ち、第3の圧力は、第2の圧力と同じであってもよいし、第2の圧力より高くてもよい。上述のように、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)が高すぎると、先端部シール機構50の前方に溶融樹脂を送れなくなり、飢餓ゾーン23の導入口203から溶融樹脂がベントアップする虞がある。一方、溶融樹脂の計量の完了後は、溶融樹脂を先端部シール機構50の前方に送る必要がないため、スクリュ背圧(第3の圧力)を高くしてもこのような問題は生じない。寧ろ、スクリュ背圧(第3の圧力)を高くすることにより、物理発泡剤の溶融樹脂への溶解を更に促進できると共に、先端部シール機構50のシール性を高め、先端部シール機構50の前方から後方への溶融樹脂の逆流を抑制できる。
(7)発泡成形
次に、物理発泡剤を接触させ、計量した溶融樹脂を発泡成形体に成形する(図1のステップS7)。射出発泡成形としては、金型キャビティ内に、金型キャビティ容積の75%〜95%の充填容量の溶融樹脂を充填して、気泡が拡大しながら金型キャビティを充填するショートショット法を用いてもよいし、また、金型キャビティ容積100%の充填量の溶融樹脂を充填した後、キャビティ容積を拡大させて発泡させるコアバック法を用いてもよい。得られる発泡成形体は内部に発泡セルを有するため、熱可塑性樹脂の冷却時の収縮が抑制されてヒケやソリが軽減され、低比重の成形体を得られる。
以上説明した本実施形態の製造方法では、物理発泡剤の溶融樹脂への導入量、導入時間等を制御する必要がないため、複雑な制御装置を省略又は簡略化でき、装置コストを削減できる。また、本実施形態の発泡成形体の製造方法は、飢餓ゾーン23において、飢餓状態の溶融樹脂と前記一定圧力の物理発泡剤とを接触させる。これにより、物理発泡剤の溶融樹脂に対する溶解量(浸透量)を単純な機構により安定化できる。
また、本実施形態の製造方法では、溶融樹脂の計量完了から射出開始まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する。これにより、溶融樹脂から物理発泡剤が分離することを抑制し、発泡成形体における発泡セルの肥大化、不均一化を抑制できる。この効果について、更に説明する。
本発明者らは、例えば、本実施形態で用いる図2に示す成形装置1000を用いる発泡成形体の製造方法(射出発泡成形方法)において、溶融樹脂の計量完了から射出開始までの間に、計量した溶融樹脂の圧力が低下する現象を発見した。
図4(b)に、この現象が生じた場合の計量ゾーン25の圧力の変化の一例を示す。図4(b)に、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出する、前のショットの射出工程(0〜7.5S)と、それに続く次のショットの可塑化開始から射出開始まで(7.5S〜35S)の計量ゾーン25の圧力Mを示す。図4(b)には、併せて、飢餓ゾーン23の圧力Sも示す。
図4(b)に示す例では、飢餓ゾーン23の圧力S(第1の圧力)を6MPa一定とし、熱可塑性樹脂の可塑化開始から溶融樹脂の計量完了まで(7.5S〜27S)、9MPaのスクリュ背圧を加えている。したがって、この間、計量ゾーン25の圧力Mは、9MPaである。そして、溶融樹脂の計量完了後は、一般的な射出成形と同様に、スクリュ背圧を0(ゼロ)としている。溶融樹脂の計量完了直後、即ち、スクリュ背圧を0(ゼロ)にした直後に、計量ゾーン25の圧力Mは9MPaから7MPaまで低下し、更に徐々に低下して、飢餓ゾーン23の圧力(6MPa)とほぼ同一になる。
この原因は、スクリュ20の前方に位置する溶融樹脂、又はそれに溶融している物理発泡剤が、飢餓ゾーン20の方向(後方)へ逆流するためだと推測される。
従来の非発泡成形体の成形方法においては、計量ゾーン25の溶融樹脂が多少逆流しても、計量ゾーン25の溶融樹脂の樹脂密度は変化するが、成形体の品質に大きな影響は与えない。可塑化シリンダ内は、同圧であるため、計量ゾーン25の圧力が変化することもない。また、例えば、特許文献1〜3に記載される超臨界流体等の物理発泡剤を用いる従来の発泡成形方法においても、可塑化シリンダ内は同圧である。このため、計量ゾーン25の溶融樹脂が多少逆流しても、計量ゾーン25の圧力の低下や、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離も生じない。したがって、発泡成形体の品質に大きな影響を与えないと推測される。即ち、従来の非発泡成形体及び発泡成形体の成形方法において、計量ゾーン25の溶融樹脂の多少逆流は、大きな問題ではなかった。一方、本実施形態の成形方法では、計量ゾーン25の圧力は、飢餓ゾーン23の一定圧力よりも高い。このように、本実施形態では、可塑化シリンダ210内の圧力は同圧ではない。このため、計量ゾーン25の溶融樹脂の逆流が生じると、その逆流量が従来の成形方法では問題にならなかった量であっても、計量ゾーン25の圧力が低下し、遂には、図4(b)に示すように飢餓ゾーン23と同一の圧力になってしまう。これは、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を促進し、発泡成形体における発泡セルの肥大化、不均一化の原因となりうる。
通常、スクリュ20の先端には、計量ゾーン25からの溶融樹脂の逆流を抑制するため、先端部シール機構50が設けられる。しかし、上述のように従来の成形方法において多少の溶融樹脂の逆流は大きな問題ではなかったため、先端部シール機構50は、本実施形態において、計量ゾーン25の圧力低下を防ぐのに十分なシール性を有していない場合がある。また、先端部シール機構50が溶融樹脂の逆流を防止できても、流体である物理発泡剤の逆流を阻止できない場合がある。この場合も、溶融樹脂から分離した物理発泡剤が計量ゾーン25から逆流することにより、計量ゾーン25の圧力が低下する。このように、先端部シール機構50が十分に機能せず、飢餓ゾーン23と計量ゾーン25との圧力を分断出来ない場合があることがわかった。
以上説明したように、溶融樹脂の計量完了後に計量ゾーン25の圧力が低下するという課題は、飢餓ゾーン23と計量ゾーン25との圧力を分断する必要のある本実施形態特有の課題である。この課題を解決するため、本実施形態では、上述したように、溶融樹脂の計量完了から射出開始まで、飢餓ゾーン23の一定圧力(第1の圧力)より高いスクリュ背圧を加える。例えば、図4(a)に示すように、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力、9MPa)と同じ大きさのスクリュ背圧(第3の圧力、9MPa)を、溶融樹脂の計量完了後も加え続ける。これにより、計量ゾーン25の圧力の低下を防ぎ、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離が抑制され、均一相溶が促進される。
尚、上述したように、溶融樹脂の計量完了後に加えるスクリュ背圧の大きさ(第3の圧力)は、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)と同じ圧力に限られず、高い圧力であってもよい。図4(a)に示す例の場合、溶融樹脂の計量完了までスクリュ背圧を9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に、スクリュ背圧を9MPaより高い圧力としてもよい。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、溶融樹脂の計量完了後にスクリュ背圧を加えることにより、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する。本実施形態では、溶融樹脂の計量完了後にスクリュ背圧を加えることに代えて、図5(a)〜(f)に示す、特定の構造を有する先端部シール機構60を用いることにより、計量ゾーン25の圧力を第1の圧力より高い圧力に保持する。本実施形態では、先端部シール機構60が、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持する圧力保持機構である。
<発泡成形体の製造装置>
本実施形態で用いる製造装置は、先端部シール機構50に代えて、図5(a)〜(f)に示す先端部シール機構60を備えること以外は、図2に示す製造装置1000と同じ構造の製造装置を用いる。以下に、先端部シール機構60について説明する。
先端部シール機構60は、主に、スクリュ20の前方の端部に位置するスクリュヘッド61と、スクリュヘッド61の後方に位置する突き当てリング63と、スクリュヘッド61と突き当てリング63とを連結する軸64と、軸64に遊嵌してスクリュヘッド61と突き当てリング63との間を前方及び後方に移動可能なチェックリング62とから構成される。チェックリング62は、軸64に遊嵌する本体リング62aと、本体リング62aから前方に突出する2つの爪62bを有する。スクリュヘッド61の側面には、チェックリングの爪62bが係合する2つの凹部61aが形成されている。チェックリング62は、本体リング62aが軸64に遊嵌し、爪62bをスクリュヘッド61の凹部61aに係合させた状態で前後方向に移動する。チェックリング62が前後方向に移動するとき、チェックリング62の爪62bは、スクリュヘッド61の凹部61a内を前後方向にスライドする。軸64と、それに遊嵌する本体リング62aとの間には、溶融樹脂が通過可能な隙間G1が形成されている。また、図5(d)に示すように、スクリュヘッド61の溝61aを区画する面と、溝61aに係合するチェックリングの爪62bの間にも、溶融樹脂が通過可能な隙間G2が形成されている。
図5(a)は、チェックリング62が最も前方に位置した状態を示す。このとき、スクリュヘッド61の後方側の端面と、チェックリング62の本体リング62aの前方側の端面とか当接する。図5(c)は、チェックリング62が最も後方に位置した状態を示す。このとき、チェックリング62の本体リング62aの後方側の端面62cと、突き当てリング63の前方側の端面63aとか当接する。図5(b)は、チェックリング62の本体リング62aが、スクリュヘッド61及び突き当てリング63の両方に接触していない状態、即ち、図5(a)と(c)の中間の状態を示す。
溶融樹脂が、先端部シール機構60の後方(上流)から前方(下流)に流動しようとするとき、チェックリング62は、前方へ進む溶融樹脂に押されて前方に進み、図5(a)に示す状態となる。溶融樹脂は、図5(a)中に矢印で示すように、隙間G1及びG2を通過することにより、先端部シール機構60を通過して、スクリュ20の前方の計量ゾーン25へ流動できる。反対に、溶融樹脂が、先端部シール機構60の前方(下流)から後方(上流)に逆流しようとするとき、チェックリング62は後方に押されて、図5(c)に示す状態となる。このとき、本体リング62aの後方側の端面62cと、突き当てリング62の前方側の端面63aとか当接する。突き当てリング62により、隙間G1が閉じられ、溶融樹脂の先端部シール機構60の前方から後方への逆流が抑制される。
熱可塑性樹脂の可塑化開始から溶融樹脂の計量完了まで、即ち、樹脂の可塑化計量中は、先端部シール機構60は、図5(a)に示す状態にあることが好ましい。溶融樹脂を先端部シール機構60の前方に送り易いため、飢餓ゾーン23において溶融樹脂の飢餓状態を安定させることができ、発泡成形体の発泡性を向上させることができる。したがって、飢餓ゾーン23の飢餓状態を安定させる観点からは、先端部シール機構60が図5(a)に示す状態となるように、チェックリング62が前方に移動し易いように設計されることが好ましい。一方、溶融樹脂の計量完了後は、チェックリング62は、速やかに後方へ移動し、図5(c)の状態となるが好ましい。チェックリング62の後方への移動が遅く、図5(b)の状態が長い場合、又は、チェックリング62が後方に十分に移動できず、図5(b)の状態で停止してしまう場合には、隙間G1が開口しているため、溶融樹脂が先端部シール機構60の前方から後方へ逆流する。本実施形態では、計量ゾーン25の圧力と、飢餓ゾーン23の圧力とに差があるため、これらの圧力を分断できなくなり、計量ゾーン25の圧力が低下する。したがって、計量ゾーン25の圧力を保持する観点からは、先端部シール機構60が図5(c)に示す状態となるように、チェックリング62が後方に移動し易いように設計されることが好ましい。
チェックリング62の前後方向への移動のし易さは、例えば、図5(a)に示す状態において、チェックリング62の前方側の受圧面積S1の、後方側の受圧面積S2に対する比率(S1/S2)によって調整できる。本発明者らは、比率(S1/S2)を例えば、0.6〜0.95、好ましくは、0.7〜0.9とすることで、飢餓ゾーン23の溶融樹脂の飢餓状態を安定させつつ、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持できることを見出した。
チェックリング62の前方側の受圧面積S1とは、図5(d)における、斜線領域の面積である。受圧面積S1は、図5(a)に示す状態において、爪62bの前方側の端面の面積と、本体リング62aの前方側の端面においてスクリュヘッド61と接触していない領域の面積との合計である。受圧面積S1は、先端部シール機構60の前方の圧力、即ち、スクリュの前方の計測ゾーン25の圧力を受ける面(受圧面)の面積である。チェックリング62の後方側の受圧面積S2とは、図5(e)における、斜線領域の面積である。受圧面積S2は、図5(a)に示す状態において、本体リング62aの後方側の端面62cの面積である。受圧面積S2は、先端部シール機構60の後方の圧力を受ける面(受圧面)の面積である。図5(d)に示す受圧面積S1と、図5(e)に示す受圧面積S2との比較からわかるように、通常、受圧面積S1は、受圧面積S2より小さい(S1<S2)。
比率(S1/S2)が小さいと、チェックリング62は前方に移動し易くなり、比率(S1/S2)が大きいと、チェックリング62は後方に移動し易くなる。比率(S1/S2)が上記範囲より小さいと、先端部シール機構60のシール性が低下する。これにより、スクリュ20の前方の溶融樹脂の圧力が低下して物理発泡剤が分離したり、溶融樹脂が逆流して導入口202からベントアップしたりする虞がある。一方、比率(S1/S2)が上記範囲より大きいと、先端部シール機構60のシール性は向上するが、チェックリング62が図5(c)に示す状態から、前方に移動し難くなる。図5(c)に示す状態において、チェックリング62の後方側の受圧面積S3を図5(f)に斜線領域で示す。受圧面積S3は、受圧面積S2より小さい。このため、受圧面積S1が大きいと、即ち、比率(S1/S2)が大きいと、チェックリング62を前方に押し戻し難くなる。溶融樹脂を前方に送り難くなるため可塑化能力が低下し、溶融樹脂の計量時間が長くなる虞がある。また、飢餓ゾーン23の溶融樹脂の飢餓状態が不安定となり、発泡性能が低下する虞がある。このように、本実施形態では、受圧面積S1、S2のバランスを取ることで、即ち、比率(S1/S2)を上述した範囲とすることで、チェックリング62の前後方向の移動をスムーズにし、飢餓ゾーン23の溶融樹脂の飢餓状態を安定させつつ、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持する。これにより、発泡成形体の発泡性が向上すると共に、溶融樹脂から物理発泡剤の分離が抑制され、発泡成形体における発泡セルの肥大化、不均一化を抑制できる。
比率(S1/S2)の大きさは、受圧面積S1、S2の大きさを変化させることで調整できる。受圧面積S1に関しては、例えば、図6(a)と(b)との比較から分かるように、チェックリング62の爪62bの前方側の端面を大きくすることで、S1を大きくできる。反対に、爪62bの前方側の端面を小さくすることで、S1を小さくできる。受領面積S2に関しては、例えば、チェックリング61の本体リング62aにおいて、軸64の貫通する孔の内径を小さくすることにより、S2は大きくできる。反対に、孔の内径を大きくすることにより、S2は小さくできる。
尚、本実施形態において、図5(d)〜(f)及び図6(a)及び(b)に斜線領域として示す、受圧面積S1〜S3は、前後方向に対して垂直な受圧面の面積である。しかし、受圧面は、前後方向に対して垂直な平面に限られない。例えば、受圧面は、前後方向に対して傾きを有する平面(斜面)であってもよいし、テーパー面であってもよい。但し、受圧面が斜面やテーパー面等の前後方向に対して垂直な平面でない場合、受圧面積S1〜S3は、斜面やテーパー面等の面積ではなく、斜面やテーパー面等を前後方向に垂直な面に投影した投影面の面積(投影面積)とする。
<発泡成形体の製造方法>
本実施形態では、上述した先端部シール機構60を有する発泡成形体の製造装置を用い、溶融樹脂の計量後にスクリュ背圧を加えないこと以外は、第1の実施形態と同様の方法で発泡成形体を製造する。比率(S1/S2)を特定の範囲とした先端部シール機構60を用いることにより、溶融樹脂の計量完了から射出開始まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持できる。これにより、溶融樹脂から物理発泡剤が分離することを抑制し、発泡成形体における発泡セルの肥大化、不均一化を抑制できる。
尚、本実施形態では、溶融樹脂の計量後にスクリュ背圧を加えなくてもよいが、第1の実施形態と同様に、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高いスクリュ背圧を加えてもよい。例えば、溶融樹脂の計量完了後に、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)以上のスクリュ背圧(第3の圧力)を加えることにより、チェックリング62が前方により戻り難くなるため、先端部シール機構60のシール性がより向上し、また、溶融樹脂への物理発泡剤の均一相溶を更に促進できる。
[変形例1]
第2の実施形態の先端部シール機構60では、図5(c)に示すチェックリング62が最も後方に位置した状態において、チェックリング62の本体リング62aの後方側の端面62cと、突き当てリング63の前方側の端面63aとか当接することによって、溶融樹脂の通過路である隙間G1が閉じられる。このとき、互いに当接する面(当接面)である端面62c、端面63aは、前後方向に垂直な平面である。しかし、第2の実施形態において、当接面は、前後方向に垂直な平面に限られない。例えば、当接面は、テーパー面であってもよい。
本変形例では、第2の実施形態の先端部シール機構60に代えて、図7(a)〜(d)に示す、当接面がテーパー面である先端部シール機構70を用いる。本変形例では、先端部シール機構70を用いる以外は、第2の実施形態と同様の製造装置を用い、同様の製造方法により発泡成形体を製造する。また、先端部シール機構70は、第2の実施形態で用いる先端部シール機構60と同様に、比率(S1/S2)の値は、上述した特定の範囲内である。
先端部シール機構70について、以下に説明する。図7(a)は、先端部シール機構70において、チェックリング72が最も前方に位置した状態を示す。図7(b)は、チェックリング72が最も後方に位置した状態を示す。図7(c)は、チェックリング72のみを示す。図7(d)は、チェックリング72以外の先端部シール機構70の構成部品、即ち、スクリュヘッド71、軸74及び突き当てリング73を示す。
図7(c)に示すように、チェックリング72には、軸74が貫通する貫通孔75が形成されている。貫通孔75を区画する内壁の一部は、貫通孔75の後方端部75aと、後方端部75aの内径D75より小さい内径d75を有する小内径部75bとを連結する第1のテーパー面75cを形成する。
本変形例では、図7(a)に示す、前後方向に垂直な端面72cと、端面72cに連続するテーパー面75cとが、後方からの圧力を受ける面である。したがって、本変形例では、端面72cと、テーパー面75cとが、チェックリング72の後方側の受圧面である。本変形例における受圧面積S2は、端面72cの面積と、テーパー面75cをスクリュ20の軸方向に対して垂直な面に投影した投影面積との和である。
図7(d)に示すように、軸74は、突き当てリング73との接続部74aと、接続部74aの直径D74より小さい直径d74を有する小直径部74bとを連結する第2のテーパー面74cを有する。第1のテーパー面75cのテーパー比と、第2のテーパー面74cのテーパー比とは、略同一である。チェックリング72の前方及び後方の移動に伴い、第1のテーパー面75cと第2のテーパー面74cが離間及び当接する。図7(a)に示すように、第1のテーパー面75cと第2のテーパー面74cが離間しているとき、それらの間には、溶融樹脂が通過可能な隙間G1が形成されている。チェックリング72が後方へ移動して、第1のテーパー面75cと第2のテーパー面74cが当接すると、図7(b)に示すように、隙間G1が消滅し、溶融樹脂の先端部シール機構70の前方から後方への逆流が防止される。
本変形例では、先端部シール機構70を用いる以外は、第2の実施形態と同様の製造装置を用い、同様の製造方法により発泡成形体を製造する。したがって、上述した第2の実施形態と同様の効果を奏する。
更に、本変形の例先端部シール機構70では、溶融樹脂の通過路である隙間G1を第1のテーパー面75cと第2のテーパー面74cとの当接により消滅させて、溶融樹脂の逆流を抑制する。平面同士を当接させる場合と比較して、テーパー面同士を当接させる方が、当接面積が広くなる。これにより、本変形例の先端部シール機構70ではシール性をより高めることができ、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を保持し易くなる。
[変形例2及び3]
変形例2では、図8(a)〜(c)に示す、外側面に溝82dが形成されているチェックリング82を有する先端部シール機構80を用いる。図8(a)は、チェックリング82が最も前方に位置した状態を示す。図8(c)は、チェックリング82が最も後方に位置した状態を示す。図8(b)は、チェックリング82の本体リング82aが、スクリュヘッド81及び突き当てリング83の両方に接触していない状態、即ち、図8(a)と(c)の中間の状態を示す。
変形例2では、先端部シール機構80を用いる以外は、第2の実施形態と同様の製造装置を用い、同様の製造方法により発泡成形体を製造する。また、先端部シール機構80は、第2の実施形態で用いる先端部シール機構60と同様に、比率(S1/S2)の値は、上述した特定の範囲内である。
変形例2では、上述した第2の実施形態と同様の効果を奏する。更に、変形例2の先端部シール機構70は、可塑化シリンダ210の内壁(図1参照)に対向するチェックリング82の外側面に、溝82dが形成されている。チェックリング82の外側面と可塑化シリンダ210の内壁の間に入った溶融樹脂は、溝82dにトラップされる。これにより、チェックリング82の外側面と可塑化シリンダ210の内壁との間のシールが高まる。例えば、飢餓ゾーン23の圧力とスクリュ背圧との差圧が大きい場合や、溶融樹脂の粘度が低い場合は、溶融樹脂は、チェックリング82の外側面と可塑化シリンダ210の内壁の間を通って、チェックリング82の前方から後方へ逆流し易い。変形例2のチェックリング82は、このような場合であっても、溶融樹脂の逆流を抑制できる。これにより、本変形例では、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持し易くなる。
チェックリング82の外側面と可塑化シリンダ210の内壁との間のシール性向上の観点からは、溝82dの数は多い方が好ましく、溝82dが、チェックリング82の外側面にラビリンス構造を形成していることが好ましい。このため、本体リング82aの前後方向における長さL82aは、長い方が好ましい。一方で、本体リング82aの長さL82aが長いと、チェックリング82の前後方向における移動距離が長くなり、軸84とチェックリング82との間に形成される隙間G1が開口している時間が長くなる。そのため、隙間G1のシール性が低下する。隙間G1のシール性を向上させる構成としては、例えば、軸84とチェックリング82との当接面をテーパー面とする構成が挙げられる。以下の変形例3において、この構成について説明する。
変形例3では、図9(a)〜(c)に示す、変形例2と同様に外側面に溝92dが形成されているチェックリング92を有する先端部シール機構90を用いる。図9(a)は、チェックリング92が最も前方に位置した状態を示す。図9(c)は、チェックリング92が最も後方に位置した状態を示す。図9(b)は、チェックリング92の本体リング92aが、スクリュヘッド91及び突き当てリング93の両方に接触していない状態、即ち、図9(a)と(c)の中間の状態を示す。
先端部シール機構90では、軸94とチェックリング92との当接面をテーパー面とする。変形例3では、図9(c)に示すように、溶融樹脂の通過路である隙間G1を第1のテーパー面95cと第2のテーパー面94cとの当接により消滅させて、溶融樹脂の逆流を抑制する。変形例3では、先端部シール機構90を用いる以外は、第2の実施形態と同様の製造装置を用い、同様の製造方法により発泡成形体を製造する。また、先端部シール機構90は、第2の実施形態で用いる先端部シール機構60と同様に、比率(S1/S2)の値は、上述した特定の範囲内である。
変形例3におけるチェックリング92が前方から後方へ移動する途中の図9(b)と、変形例2におけるチェックリング82が前方から後方へ移動する途中の図8(b)とを比較する。図9(b)に示す先端部シール機構90における隙間Gは、図8(b)に示す先端部シール機構80における隙間Gよりも狭い。これから、軸94とチェックリング92との当接面をテーパー面とした先端部シール機構90は、当接面が平面である先端部シール機構80と比較して、チェックリング92が後方へ戻る途中においても、溶融樹脂が前方から後方へ逆流し難く、隙間G1のシール性が高いことがわかる。
変形例3では、上述した第2の実施形態と同様の効果を奏する。更に、本変形例の先端部シール機構90は、チェックリング92の外側面に溝92dを形成することで、チェックリング92の外側面と可塑化シリンダ210の内壁との間のシールを高め、軸94とチェックリング92との当接面をテーパー面とすることで、隙間G1のシール性を高めることができる。
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、先端部シール機構60において、チェックリング62の前方側の受圧面積S1の、後方側の受圧面積S2に対する比率(S1/S2)を特定の範囲とすることで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高い圧力に保持する。本実施形態では、比率(S1/S2)を特定の範囲とすることに代えて、先端部シール機構に、スクリュを逆回転させることにより、チェックリングが突き当てリングに当接した状態を維持するロック機構を持たせ、ロック機構により、計量ゾーン25の圧力を第1の圧力より高い圧力に保持する。本実施形態では、ロック機構を有する先端部シール機構が、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持する圧力保持機構である。
先端部シール機構が有するロック機構は、スクリュの逆回転により、チェックリングが突き当てリングに当接した状態を維持する機構であれば任意であるが、例えば、特許第3432776号公報、特許第5019165号公報等に開示される機構を用いることができる。
本実施形態では、ロック機構を有する先端部シール機構を備えること以外は、図2に示す、第1の実施形態で用いた製造装置1000と同じ構造の製造装置を用いる。そして、溶融樹脂の計量後にスクリュ背圧を加えることに代えて、溶融樹脂の計量の完了後にスクリュ20を逆回転すること以外は、第1の実施形態と同様の方法で発泡成形体を製造する。スクリュ20を逆回転することにより、チェックリングが突き当てリングに当接した状態が維持され、溶融樹脂の計量完了から射出開まで、計量した溶融樹脂の圧力(計量ゾーン25の圧力)を飢餓ゾーン23の一定の圧力より高い圧力に保持できる。これにより、溶融樹脂から物理発泡剤が分離することを抑制し、発泡成形体における発泡セルの肥大化、不均一化を抑制できる。
尚、本実施形態では、溶融樹脂の計量後にスクリュ背圧を加えなくてもよいが、第1の実施形態と同様に、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、飢餓ゾーン23の一定の圧力(第1の圧力)より高いスクリュ背圧を加えてもよい。例えば、溶融樹脂の計量完了後に、溶融樹脂の計量完了までのスクリュ背圧(第2の圧力)以上のスクリュ背圧(第3の圧力)を加えることにより、溶融樹脂への物理発泡剤の均一相溶を更に促進できる。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例及び比較例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、熱可塑性樹脂として、タルクを20重量%含む、強化ポリプロピレン(PP)(出光ライオンコンポジット製、4700G)を用い、物理発泡剤として窒素を利用して発泡成形体を製造した。
(1)製造装置
本実施例では、上述した第2の実施形態で用いた製造装置を用いた。即ち、本実施例では、図5(a)〜(e)に示す先端部シール機構60を備えた、図2に示す製造装置1000を用いた。製造装置1000の詳細について説明する。上述のように、製造装置(射出成形機)1000は、主に、スクリュ20が内設された可塑化シリンダ210と、スクリュ20を駆動させるスクリュ駆動機構260と、物理発泡剤を可塑化シリンダ210に供給する物理発泡剤供給機構であるボンベ100と、金型251が設けられた型締めユニット250と、可塑化シリンダ210、スクリュ駆動機構260及び型締めユニット250を動作制御するための制御装置(不図示)を備える。
可塑化シリンダ210のノズル先端29には、エアシリンダの駆動により開閉するシャットオフバルブ28が設けられ、可塑化シリンダ210の内部を高圧に保持できる。ノズル先端29には金型251が密着し、金型251が形成するキャビティ253内にノズル先端29から溶融樹脂が射出充填される。可塑化シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201及び物理発泡剤を可塑化シリンダ210内に導入するための導入口202が形成される。これらの樹脂供給口201及び導入口202にはそれぞれ、樹脂供給用ホッパ211及びフィーダースクリュ212、導入速度調整容器300が配設される。導入速度調整容器300には、ボンベ100が、減圧弁151、圧力計152を介して、配管154により接続する。また、可塑化シリンダ210の飢餓ゾーン23内には、飢餓ゾーン23の圧力をモニターするセンサ(不図示)が設けられている。
可塑化シリンダ210では、樹脂供給口201から可塑化シリンダ210内に熱可塑性樹脂が供給され、熱可塑性樹脂がバンドヒータ(不図示)によって可塑化されて溶融樹脂となり、スクリュ20が正回転することにより下流に送られる。スクリュ20に設けられたリング26及び大径部分20Aの存在により、リング26の上流側では、溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まり、リング26の下流の飢餓ゾーン23では、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)となる。更に下流に送られた溶融樹脂は、射出前に可塑化シリンダ210の先端付近において再圧縮されて計量される。
これにより、可塑化シリンダ210内では、上流側から順に、熱可塑性樹脂が可塑化溶融される可塑化ゾーン21、溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まる圧縮ゾーン22、溶融樹脂が未充満となる飢餓ゾーン23、飢餓ゾーンにおいて減圧された溶融樹脂が再度圧縮される再圧縮ゾーン24が形成される。
製造装置1000において、可塑化シリンダ210の内径は35mmであり、導入口202の内径は8mmであった。したがって、導入口202の内径は、可塑化シリンダ210の内径の約23%であった。導入速度調整容器300の容積は、約80mLであった。また、先端部シール機構60において、チェックリング62の前方側の受圧面積S1の、後方側の受圧面積S2に対する比率(S1/S2)は、0.75とした。また、本実施例では、キャビティ253の大きさが100mm×200mm×3mmである金型251を用いた。
(2)発泡成形体の製造
本実施例では、複数本のボンベ100として、窒素が14.5MPaで充填された容積47Lの窒素ボンベを用いた。まず、減圧弁151の値を6MPaに設定し、ボンベ100を開放し、減圧弁151、圧力計152、更に導入速度調整容器300を介して、可塑化シリンダ210の導入口202から、飢餓ゾーン23へ6MPaの窒素を供給した。成形体の製造中、ボンベ100は常時、開放した状態とした。
可塑化シリンダ210において、バンドヒータ(不図示)により、可塑化ゾーン21を210℃、圧縮ゾーン22を200℃、飢餓ゾーン23を200℃、再圧縮ゾーン24を210℃に調整した。そして、樹脂供給用ホッパ211から、フィーダースクリュ212を30rpmの回転数で回転させながら、熱可塑性樹脂の樹脂ペレットを可塑化シリンダ210に供給し、スクリュ20を正回転させた。これにより、可塑化ゾーン21において、熱可塑性樹脂を加熱、混練し、溶融樹脂とした。
フィーダースクリュ212の回転数は、事前にソリッド成形体(無発泡成形体)の成形により、本実施例の成形条件の設定(条件出し)を行い、樹脂ペレットが飢餓供給される回転数に決定した。ここで、樹脂ペレットの飢餓供給とは、可塑化ゾーン21において、樹脂ペレットの供給中、可塑化シリンダ内に樹脂ペレット又はその溶融樹脂が充満しない状態が維持され、供給した樹脂ペレット又はその溶融樹脂からスクリュ20のフライトが露出している状態を意味する。樹脂ペレットの飢餓供給の確認は、例えば、赤外線センサ又は可視化カメラにてスクリュ20上の樹脂ペレット又は溶融樹脂の有無を確認する方法が挙げられる。本実施例では、用いたフィーダースクリュ212に透明窓が設けられており、透明窓を介して樹脂供給口201直下の可塑化ゾーン21の状態を視認して確認した。
スクリュ20をスクリュ背圧9MPa、回転数100rpmにて正回転することにより、溶融樹脂を可塑化ゾーン21から圧縮ゾーン22に流動させ、更に飢餓ゾーン23に流動させた。
溶融樹脂は、スクリュ大径部分20A及びリング26と、可塑化シリンダ210の内壁との隙間から、飢餓ゾーン23へ流動するため、飢餓ゾーン23への溶融樹脂の供給量が制限された。これにより、圧縮ゾーン22においては溶融樹脂が圧縮されて圧力が高まり、下流側の飢餓ゾーン23においては、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)となった。飢餓ゾーン23では、溶融樹脂が未充満(飢餓状態)であるため、溶融樹脂が存在しない空間に導入口202から導入された物理発泡剤(窒素)が存在し、その物理発泡剤により溶融樹脂は加圧された。
更に、溶融樹脂は再圧縮ゾーン24に送られて再圧縮され、スクリュ20は後退して所定の位置(計量完了位置)に停止し、可塑化シリンダ210の先端部に1ショット分の溶融樹脂が計量された。計量時間は、10秒であった。計量完了後、スクリュ背圧を9MPaから10MPaに上昇させた。これにより、スクリュ20は、計量完了位置より0.3mm〜0.4mm前進した。
その後、シャットオブバルブ28を開放して、キャビティ253内に、キャビティの容積の90%の充填率となる様に溶融樹脂を射出充填して平板形状の発泡成形体を成形した(ショートショット法)。尚、本実施例では、溶融樹脂の計量完了後にスクリュ背圧を加えるため、射出開始時のスクリュ位置が計量完了位置からずれる。このずれ量は毎ショット異なるため、射出量は、射出前後のスクリュ20の位置ではなく、スクリュ20のストローク(移動量)に基づいて制御した。成形後、発泡成形体が冷却するのを待って、金型内から発泡成形体を取り出した。冷却時間は、10秒とした。成形サイクルは23秒であり、ソリッド成形体(無発泡の成形体)の成形サイクルと同等の値であった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。100個の発泡成形体の製造中、常時、圧力センサ(不図示)により可塑化シリンダ210内の飢餓ゾーン23の圧力を計測した。その結果、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。また、飢餓ゾーン23へ供給される窒素の圧力を示す圧力計152の値も、発泡成形体の製造中、常時、6MPaであった。以上から、可塑化計量工程、射出工程、成形体の冷却工程、取り出し工程等を含む射出成形の1サイクルを通して、飢餓ゾーン23において、6MPaの窒素により溶融樹脂が、常時、加圧されていた
こと、及び100個の成形体の連続成形の間、飢餓ゾーン23において、窒素により溶融樹脂が、常時、加圧されていたことが確認できた。
また、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は、飢餓ゾーン23の圧力6MPaより高い10MPaであった。この結果から、本実施例では、飢餓ゾーン23の圧力と、スクリュ20の前方の樹脂圧力(計量ゾーン25の圧力)は分断されており、溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、計量した溶融樹脂の圧力を飢餓ゾーンの圧力より高い圧力に保持できたことが確認できた。
100個の発泡成形体の重量ばらつきを標準偏差(σ)を重量平均値(ave.)で割った値(相対標準偏差値:σ/ave.(%))で評価した。その結果、(σ/ave.)=0.19%であった。同様の評価をソリッド成形体(無発泡の成形体)で行ったところ、(σ/ave.)=0.18%で、本実施例と同等の値であった。この結果から、本実施例の発泡成形体の重量安定性は、ソリッド成形体と同等であることがわかった。
本実施例では、ソリッド成形体と比較して比重が約10%程度軽く、ソリが矯正された発泡成形体を連続的に安定して製造できた。比重低減率は、物理発泡剤の溶解量(浸透量)に影響を受けると考えられる。この結果から、物理発泡剤の溶融樹脂に対する溶解量(浸透量)が安定していたことがわかった。更に、得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。成形体の末端部においても大きな破泡は認められず、発泡セルの平均セル径は20〜30μmと微細であった。発泡セル径の肥大化、不均一化は確認されなかった。
[実施例2]
本実施例では、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の製造装置を用いて、同様の方法により、発泡成形体を製造した。
本実施例では、スクリュ背圧を溶融樹脂の計量完了まで9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に0(ゼロ)とした。計量完了後の2秒後に、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は、9MPaから2MPa低下して7MPaとなり、飢餓ソーン23の圧力(6MPa)との差は、1MPaとなった。その直後に、溶融樹脂を金型内に射出して発泡成形体を得た。溶融樹脂の計量時間は、実施例1と同等であった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。実施例1と同様に、100個の発泡成形体の製造中、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。
得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。発泡セルの平均セル径は30〜40μmと、実施例1より大きかったが微細であった。発泡セル径の肥大化、不均一化は確認されなかった。
[実施例3]
本実施例では、先端部シール機構60において、図6(b)に示すように、チェックリング62の爪62bの前方側の端面を大きくすることで、S1を大きくし、比率(S1/S2)を0.9とした。また、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えなかった。これ以外は、実施例1と同様の製造装置を用いて、同様の方法により、発泡成形体を製造した。
本実施例では、実施例2と同様に、スクリュ背圧を溶融樹脂の計量完了まで9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に0(ゼロ)とした。計量完了から射出開始まで、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は8.5MPaであり、0.5MPaの低下にとどまった。一方で、本実施例は、実施例1よりも比率(S1/S2)が大きいため、先端部シール機構60の前方へ溶融樹脂を送り難く、可塑化能力が低い。溶融樹脂の計量時間は実施例1の計量時間の1.5倍と長くなった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。実施例1と同様に、100個の発泡成形体の製造中、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。
得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。発泡セルの平均セル径は20〜30μmであり、実施例1と同等であり微細であった。発泡セル径の肥大化、不均一化は確認されなかった。
[実施例4]
本実施例では、図9(a)〜(c)に示す先端部シール機構90を有すること以外は実施例1と同様の製造装置を用いた。先端部シール機構90では、軸94とチェックリング92との当接面をテーパー面95c、94cとしており、チェックリング92の外側面に溝92dを形成している。また、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えなかった。これ以外は、実施例1と同様の方法により、発泡成形体を製造した
本実施例では、実施例2と同様に、スクリュ背圧を溶融樹脂の計量完了まで9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に0(ゼロ)とした。計量完了から射出開始まで、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は8.6MPaであり、0.4MPaの低下にとどまった。溶融樹脂の計量時間は、実施例1と同等であった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。実施例1と同様に、100個の発泡成形体の製造中、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。
得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。発泡セルの平均セル径は20〜30μmであり、実施例1と同等であり微細であった。発泡セル径の肥大化、不均一化は確認されなかった。
[実施例5]
本実施例では、先端部シール機構が、スクリュを逆回転させることにより、チェックリングが突き当てリングに当接した状態を維持する、特許第3432776号に開示される公知のロック機構を有すること以外は、実施例1と同様の製造装置を用いた。また、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えず、代わりに、スクリュ20を逆回転させた。これ以外は、実施例1と同様の方法により、発泡成形体を製造した
本実施例では、実施例2と同様に、スクリュ背圧を溶融樹脂の計量完了まで9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に0(ゼロ)とした。そして、スクリュ20を180°逆回転させ、チェックリングが突き当てリングに当接した状態を維持した。計量完了から射出開始まで、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は、9.0MPaのままであり、低下しなかった。溶融樹脂の計量時間は、実施例1と同等であった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。実施例1と同様に、100個の発泡成形体の製造中、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。
得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。発泡セルの平均セル径は20〜30μmであり、実施例1と同等であり微細であった。発泡セル径の肥大化、不均一化は確認されなかった。
[比較例1]
本比較例では、先端部シール機構60において、比率(S1/S2)を0.5とした。また、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えなかった。これ以外は、実施例1と同様の製造装置を用いて、同様の方法により、発泡成形体を製造した。
本比較例では、実施例2と同様に、スクリュ背圧を溶融樹脂の計量完了まで9MPaとし、溶融樹脂の計量完了後に0(ゼロ)とした。計量完了後、スクリュ駆動機構260の圧力センサ261(ロードセル)が検出するスクリュ20の前方の樹脂圧力は、6.0MPaであり、飢餓ゾーン23の圧力まで低下した。尚、溶融樹脂の計量時間は、実施例1と同等であった。
以上説明した成形体の射出成形を連続して100ショット行い、100個の発泡成形体を得た。実施例1と同様に、100個の発泡成形体の製造中、飢餓ゾーン23の圧力は、常に6MPaで一定であった。
得られた発泡成形体断面の発泡セルを観察した。発泡セルの平均セル径は50〜100μmであり、実施例1と比較して、発泡セル径の肥大化が確認された。
[比較例2]
本比較例では、先端部シール機構60において、比率(S1/S2)を0.96とした。また、溶融樹脂の計量完了後は、スクリュ背圧を加えなかった。これ以外は、実施例1と同様の製造装置を用いて、同様の方法により、発泡成形体を製造した。
本比較例では、実施例2と同様に、9MPaのスクリュ背圧を加えながら、熱可塑性樹脂の可塑化及び溶融樹脂の計量を行った。しかし、本比較例は、比率(S1/S2)が大きいため、先端部シール機構60の前方へ溶融樹脂を送り難く、可塑化能力が低い。溶融樹脂の計量に非常に時間がかかった。このため、9MPaのスクリュ背圧を加えながら、所定量の溶融樹脂を計量することは無理だと判断し、溶融樹脂の計量の途中で成形体の製造を中止した。
本発明の製造方法は、物理発泡剤に関わる装置機構を簡略化できる。また、発泡性に優れた発泡成形体を低コストで、効率よく製造できる。また、本発明の発泡成形体の製造方法は、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離を抑制し、高品質の発泡成形体を安定して製造できる。
20 スクリュ
21 可塑化ゾーン
22 圧縮ゾーン
23 飢餓ゾーン
24 再圧縮ゾーン
60、70、80、90 先端部シール機構
100 ボンベ
210 可塑化シリンダ
300 導入速度調整容器
1000 製造装置

Claims (16)

  1. 発泡成形体の製造方法であって、
    内部に回転及び進退自在に設けられたスクリュを備え、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに物理発泡剤を導入するための導入口が形成された可塑化シリンダを含む製造装置を用い、
    前記製造方法は、
    前記可塑化ゾーンにおいて、前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融して前記溶融樹脂とすることと、
    前記飢餓ゾーンに、一定の圧力である第1の圧力を有する、前記物理発泡剤を含む加圧流体を導入することと、
    前記飢餓ゾーンにおいて、前記溶融樹脂を飢餓状態とすることと、
    前記飢餓ゾーンにおいて、前記飢餓状態の溶融樹脂と、前記第1の圧力の加圧流体とを接触させることと、
    前記第1の圧力の加圧流体と接触させた前記溶融樹脂を所定量計量することと、
    前記計量した溶融樹脂を前記可塑化シリンダから射出して、前記発泡成形体に成形することと、を含み、
    前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常に前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より高い圧力に保持することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  2. 前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より、0.5MPa〜10MPa高い圧力に保持することを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
  3. 前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常にスクリュ背圧を前記第1の圧力より高い圧力に保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
  4. 前記溶融樹脂の計量の完了まで、前記スクリュ背圧を前記第1の圧力より高い第2の圧力に保持し、
    前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記スクリュ背圧を第2の圧力以上の第3の圧力に保持することを特徴とする請求項3に記載の発泡成形体の製造方法。
  5. 第2の圧力と第3の圧力が同一であることを特徴とする請求項4に記載の発泡成形体の製造方法。
  6. 前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記可塑化ゾーンから前記飢餓ゾーンに向う前方、及び前記飢餓ゾーンから前記可塑化ゾーンに向う後方に進退自在に設けられ、
    前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前方から後方へ前記溶融樹脂が逆流することを抑制する先端部シール機構を有し、
    前記先端部シール機構は、
    前記スクリュの前方の端部に位置するスクリュヘッドと、
    前記スクリュヘッドの後方に位置する突き当てリングと、
    前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとを連結する軸と、
    前記軸に遊嵌して、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとの間を前方及び後方に移動可能なチェックリングとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
  7. 前記チェックリングが最も前方に位置している状態において、前記チェックリングの前方側の受圧面積S1の、後方側の受圧面積S2に対する比率(S1/S2)が、0.6〜0.95であることを特徴とする請求項6に記載の発泡成形体の製造方法。
  8. 前記チェックリングには、前記軸が貫通する貫通孔が形成されており、
    前記チェックリングの貫通孔を区画する内壁の一部は、前記貫通孔の後方端部と、前記後方端部の内径より小さい内径を有する小内径部とを連結する第1のテーパー面を形成し、
    前記軸は、前記突き当てリングとの接続部と、前記接続部の直径より小さい直径を有する小直径部とを連結する第2のテーパー面を有し、
    第1のテーパー面のテーパー比と、第2のテーパー面のテーパー比とは、略同一であり、
    前記チェックリングの前方及び後方の移動に伴い、第1のテーパー面と第2のテーパー面が離間及び当接することを特徴とする請求項6又は7に記載の発泡成形体の製造方法。
  9. 前記チェックリングの外側面に、溝が形成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の発泡成形体の製造方法。
  10. 前記溝が、前記チェックリングの外側面にラビリンス構造を形成していることを特徴とする請求項9に記載の発泡成形体の製造方法。
  11. 前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記可塑化ゾーンから前記飢餓ゾーンに向う前方、及び前記飢餓ゾーンから前記可塑化ゾーンに向う後方に進退自在に設けられ、前記溶融樹脂を前方へ送る正回転と、正回転とは逆の逆回転とが可能であり、
    前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前方から後方へ前記溶融樹脂が逆流することを抑制する先端部シール機構を有し、
    前記先端部シール機構は、
    前記スクリュの前方の端部に位置するスクリュヘッドと、
    前記スクリュヘッドの後方に位置する突き当てリングと、
    前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとを連結する軸と、
    前記軸に遊嵌して、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとの間を前方及び後方に移動可能なチェックリングと、
    前記スクリュを逆回転させることにより、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持するロック機構とを有し、
    前記発泡成形体の製造方法は、前記溶融樹脂の計量の完了後に前記スクリュを逆回転して、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持すること更に含む請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
  12. 発泡成形体を製造する製造装置であって、
    内部に回転及び進退自在に設けられたスクリュを備え、熱可塑性樹脂が可塑化溶融されて溶融樹脂となる可塑化ゾーンと、前記溶融樹脂が飢餓状態となる飢餓ゾーンとを有し、前記飢餓ゾーンに物理発泡剤を導入するための導入口が形成され、一定量の前記溶融樹脂を計量して外部に射出する可塑化シリンダと、
    前記可塑化シリンダに、一定圧力である第1の圧力の物理発泡剤を供給する物理発泡剤供給機構と、
    前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、常に前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より高い圧力に保持する圧力保持機構とを有することを特徴とする製造装置。
  13. 前記圧力保持機構は、前記溶融樹脂の計量の完了から射出の開始まで、前記計量した溶融樹脂の圧力を前記第1の圧力より、0.5MPa〜10MPa高い圧力に保持する機構であることを特徴とする請求項12に記載の製造装置。
  14. 前記圧力保持機構が、スクリュ背圧を制御するスクリュ駆動機構であることを特徴とする請求項12又は13に記載の製造装置。
  15. 前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記可塑化ゾーンから前記飢餓ゾーンに向う前方、及び前記飢餓ゾーンから前記可塑化ゾーンに向う後方に進退自在に設けられ、
    前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前方から後方へ前記溶融樹脂が逆流することを抑制する先端部シール機構を有し、
    前記圧力保持機構が、前記先端部シール機構であることを特徴とする請求項12又は13に記載の製造装置。
  16. 前記スクリュは、前記可塑化シリンダ内において、前記溶融樹脂を前方へ送る正回転と、正回転とは逆の逆回転とが可能であり、
    前記先端部シール機構は、
    前記スクリュの前方の端部に位置するスクリュヘッドと、
    前記スクリュヘッドの後方に位置する突き当てリングと、
    前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとを連結する軸と、
    前記軸に遊嵌して、前記スクリュヘッドと前記突き当てリングとの間を前方及び後方に移動可能なチェックリングと、
    前記スクリュを逆回転させることにより、前記チェックリングが前記突き当てリングに当接した状態を維持するロック機構とを有することを特徴とする請求項15に記載の製造装置。
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