JP2019178357A - 水素製造装置及び水素製造方法 - Google Patents

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絵美 松井
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Abstract

【課題】純度の高い水素を製造することができる水素製造装置及び水素製造方法を提供する。【解決手段】実施形態に係る水素製造装置1は、アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成する水素製造装置であって、陽極室12と陰極室13とに隔壁11によって仕切られ、アルカリ性水溶液を電気分解する電解槽10と、陽極室12及び陰極室13から流出したアルカリ性水溶液から陽極室12で発生した酸素ガス及び陰極室13で発生した水素ガスを分離し、酸素ガス及び水素ガスを分離したアルカリ性水溶液を陽極室12及び陰極室13に戻す循環経路(気液分離器20、30、貯留槽40)と、陰極室13で発生した水素を前述の循環経路のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60とを備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、水素製造装置及び水素製造方法に関する。
水素製造方法としては、アルカリ電解方式が提案されている。アルカリ電解方式は、電解質が水酸化カリウムなどであるアルカリ性水溶液を電解槽で電気分解することにより、水素ガスを生成する技術である。電解槽は、多孔性であって、イオン透過性、液体透過性及び気体不透過性を有する隔膜により陽極室と陰極室とに仕切られている。陽極室は陽極が設けられた陽極側の部屋であり、陰極室は陰極が設けられた陰極側の部屋である。
アルカリ性水溶液は、貯留槽に貯留されており、貯留槽で加熱されてから電解槽の陽極室及び陰極室に供給される。陽極室及び陰極室に供給されたアルカリ性水溶液は電解槽で電気分解され、陽極室のアルカリ性水溶液は、陽極室で発生した酸素ガスと共に陽極室から排出され、また、陰極室のアルカリ性水溶液は、陰極室で発生した水素ガスと共に陰極室から排出される。陽極室から排出されたアルカリ性水溶液と酸素ガスとは分離され、その分離されたアルカリ性水溶液が貯留槽に戻り、また、陰極室から排出されたアルカリ性水溶液と水素ガスとは分離され、その分離されたアルカリ性水溶液が貯留槽に戻る。その後、貯留槽のアルカリ性水溶液は再び貯留槽から電解槽の陽極室及び陰極室に供給され、前述と同様の経路を循環する。
特開2015−117407号公報
本発明が解決しようとする課題は、純度の高い水素を製造することができる水素製造装置及び水素製造方法を提供することである。
実施形態に係る水素製造装置は、アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成する水素製造装置であって、陽極が存在する陽極室と陰極が存在する陰極室とに隔壁によって仕切られ、アルカリ性水溶液を電気分解する電解槽と、陽極室及び陰極室から流出したアルカリ性水溶液から陽極室で発生した酸素ガス及び陰極室で発生した水素ガスを分離し、酸素ガス及び水素ガスを分離したアルカリ性水溶液を陽極室及び陰極室に戻す循環経路と、陰極室で発生した水素を循環経路のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部とを備える。
実施形態に係る水素製造方法は、アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成する水素製造方法であって、陽極が存在する陽極室と陰極が存在する陰極室とに隔壁によって仕切られた電解槽により、アルカリ性水溶液を電気分解する工程と、陽極室及び陰極室から流出したアルカリ性水溶液から陽極室で発生した酸素ガス及び陰極室で発生した水素ガスを分離し、酸素ガス及び水素ガスを分離したアルカリ性水溶液を陽極室及び陰極室に戻す循環経路でアルカリ性水溶液を循環させる工程と、陰極室で発生した水素を循環経路のアルカリ性水溶液に供給する工程とを有する。
実施形態に係る水素製造装置又は水素製造方法によれば、純度の高い水素を製造することができる。
第1の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第3の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第4の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第5の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第6の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第7の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第8の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。 第9の実施形態に係る水素製造装置の概略構成を示す図である。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1を参照して説明する。
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る水素製造装置1は、電解槽10と、陽極側気液分離器20と、陰極側気液分離器30と、貯留槽40と、供給部50と、水素供給部60と、水素処理部70とを備えている。この水素製造装置1には、水素貯蔵タンク(H貯蔵タンク)80が接続されている。水素製造装置1は、アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成し、生成した水素を水素貯蔵タンク80に送る。
電解槽10は、アルカリ性水溶液で満たされる。アルカリ性水溶液としては、溶媒である水の電気分解が容易になる電解質が溶解した水溶液、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液や水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液などを用いることが可能である。本実施形態では、例えば、濃度が20〜40wt%(20wt%以上40wt%以下の範囲内)である水酸化カリウム水溶液を用いる。
前述の電解槽10は、隔壁11により陽極室12と陰極室13とに仕切られている。隔壁11は、アルカリ性水溶液に含まれる液体及びイオンを透過させるが、電解槽10内で発生する気体を透過させない部材である。この隔壁11としては、例えば、多孔質な高分子フィルムなどを用いることが可能である。陽極室12は陽極12aが設けられた陽極側の部屋(陽極12aが存在する部屋)であり、陰極室13は陰極13aが設けられた陰極側の部屋(陰極13aが存在する部屋)である。陽極12aは電源10aの正極に接続される電極(アノード)であり、陰極13aは電源10aの負極に接続される電極(カソード)である。電源10aは、陽極12aと陰極13aとの間に、予め定めた直流電圧を印加する。
陽極12aと陰極13aとの間に直流電圧が印加されると、陰極13aでは、水(HO)から水素(H)と水酸化物イオン(OH)が生じ、水酸化物イオン(OH)は隔壁11を透過して陽極側へ移動する。陽極12aでは、水(HO)と酸素(O)が生じる。つまり、陰極13aでは、2HO+2e→H+2OHという反応が生じ、陽極12aでは、2OH→HO+1/2・O+2eという反応が生じる。そして、全体反応としては、HO→H+1/2・Oという反応が生じる。
陽極側気液分離器20は、酸素管21により電解槽10の陽極室12に接続されている。酸素管21の一端は陽極室12の上部(例えば天上面)に接続されており、その他端は陽極側気液分離器20の上部(例えば天上面)に接続されている。この陽極側気液分離器20の上部(例えば天上面)には、排気管22の一端が接続されており、その他端は開放されている。陽極室12のアルカリ性水溶液(酸素ガスや溶存酸素を含むアルカリ性水溶液)は、陽極室12から酸素管21を介して陽極側気液分離器20に流入する。陽極側気液分離器20は、陽極室12から流入したアルカリ性水溶液から酸素ガスを分離する。つまり、陽極室12から流入したアルカリ性水溶液は陽極側気液分離器20の下部に集まり、酸素ガスは陽極側気液分離器20の上部に集まる。なお、陽極側気液分離器20の上部に集まった酸素ガスは、排気管22から排出されるが、必要に応じて回収されるようにしても良い。
陰極側気液分離器30は、水素管31により電解槽10の陰極室13に接続されている。水素管31の一端は陰極室13の上部(例えば天上面)に接続されており、その他端は陰極側気液分離器30の上部(例えば天上面)に接続されている。この陰極側気液分離器30の上部(例えば天上面)には、排気管32の一端が接続されており、その他端は水素処理部70に接続されている。陰極室13のアルカリ性水溶液(水素ガスや溶存水素を含むアルカリ性水溶液)は、陰極室13から水素管31を介して陰極側気液分離器30に流入する。陰極側気液分離器30は、陰極室13から流入したアルカリ性水溶液から水素ガスを分離する。つまり、陰極室13から流入したアルカリ性水溶液は陰極側気液分離器30の下部に集まり、水素ガスは陰極側気液分離器30の上部に集まる。なお、陰極側気液分離器30の上部に集まった水素ガスは、排気管32から排出され、水素処理部70に供給される。
貯留槽40は、陽極側循環管41により陽極側気液分離器20に接続されている。陽極側循環管41の一端は陽極側気液分離器20の下部(例えば底面)に接続されており、その他端は貯留槽40の下部(例えば下部側面)に接続されている。また、貯留槽40は、陰極側循環管42により陰極側気液分離器30に接続されている。陰極側循環管42の一端は陰極側気液分離器30の下部(例えば底面)に接続されており、その他端は陽極側循環管41の経路途中に接続されている。この貯留槽40は、アルカリ性水溶液を貯留しており、貯留しているアルカリ性水溶液を加熱してその温度を予め定めた範囲内に維持する。なお、貯留槽40のアルカリ性水溶液の液量が、予め定めた値以下になると、貯留槽40に接続された水供給管(図示せず)により貯留槽40に水が供給される。これにより、貯留槽40のアルカリ性水溶液の液量は、予め定めた範囲内に維持される。
供給部50は、供給管51の経路途中に設けられている。供給管51の一端は貯留槽40の下部(例えば下部側面)に接続されており、その他端は二本に枝分かれして電解槽10の陽極室12の下部(例えば底面)及び陰極室13の下部(例えば底面)に接続されている。この供給部50は、貯留槽40から供給管51を介して電解槽10の陽極室12及び陰極室13にアルカリ性水溶液を供給する。供給部50としては、例えば、ポンプを用いることが可能である。つまり、供給部50が作動すると、貯留槽40→電解槽10の陽極室12及び陰極室13→陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30→貯留槽40という経路(循環経路)でアルカリ性水溶液が循環することになる。
水素供給部60は、水素供給管61と、開閉弁62と、ポンプ63とを具備している。この水素供給部60は、アルカリ性水溶液に水素を供給する。
水素供給管61は、水素管31の経路途中と貯留槽40とを接続する。水素供給管61の一端は水素管31の経路途中に接続されており、その他端は貯留槽40の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、陰極室13から排出された、水素(水素ガス及び溶存水素)を豊富に含むアルカリ性水溶液を貯留槽40のアルカリ性水溶液中に供給し、貯留槽40のアルカリ性水溶液に水素をバブリングさせる。これは、水素を気泡状態及び溶存状態で、貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給するものである。この供給された水素は、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
開閉弁62は、水素供給管61の経路途中に設けられている。この開閉弁62は、水素供給管61を通過するアルカリ性水溶液の流れを制御するものである。また、ポンプ63は、水素供給管61の経路途中に設けられている。このポンプ63は、陰極室13から排出された、水素(水素ガス及び溶存水素)を豊富に含むアルカリ性水溶液を貯留槽40のアルカリ性水溶液中に供給するための駆動源である。
ここで、バブリングとは、いわゆる気体を液体中に吹き込むというだけでなく、気体を含む液体(気体が気泡として分散している液体や気体が溶解した液体)を液体に供給することも含んでいる。また、アルカリ性水溶液中の溶存酸素に水素(水素ガスや溶存水素)を反応させられれば良く、例えば、陰極室13から排出された、水素を豊富に含むアルカリ性水溶液を貯留槽40の上部から貯留槽40内に落とすように供給しても良く、水素の供給方法は特に限定されるものではない。しかし、アルカリ性水溶液中に水素をバブリングさせて供給すると、撹拌作用により、水素ガスや溶存水素が溶存酸素と反応する機会が多くなり、より効率的に水素(水素ガスや溶存水素)を溶存酸素に反応させることができる。また、このようなバブリングを循環経路のどこで行っても良いが、貯留槽40で行うと反応時間を十分確保することができるため、バブリングを貯留槽40で行うことが好ましい。
水素処理部70は、洗浄塔71と、コンプレッサ72と、ドライヤ73とを有している。洗浄塔71と水素貯蔵タンク80は水素管74により接続されており、水素管74の経路途中にコンプレッサ72及びドライヤ73が設けられている。
洗浄塔71は、前述の排気管32により陰極側気液分離器30に接続されている。排気管32の一端は陰極側気液分離器30の上部(例えば天上面)に接続されており、その他端は洗浄塔71の上部(例えば天上面)に接続されている。この洗浄塔71は、排気管32から流入した水素ガスに対してシャワーにより洗浄液を吹きかけ、水素ガス中のアルカリ成分を除去する。洗浄液としては、例えば、純水を用いることが可能である。コンプレッサ72は、アルカリ成分が除去された水素ガスを圧縮する。ドライヤ73は、例えば、化学吸着により水分を取り除くフィルタを用いて、コンプレッサ72により圧縮された水素ガスを乾燥させる。そして、乾燥した水素ガスは、水素貯蔵タンク80に流入し、水素貯蔵タンク80によって貯蔵される。
(水素製造工程)
次に、前述の水素製造装置1が行う水素製造処理の流れについて説明する。なお、初期状態では、電解槽10及び貯留槽40は、アルカリ性水溶液を保持しており、洗浄塔71は洗浄液を保持している。また、貯留槽40ではアルカリ性水溶液が加熱され、その温度は、予め定めた範囲内に維持されている。
供給部50及び水素処理部70の動作が開始され、電解槽10の陽極12a及び陰極13aに電圧が印加される。また、水素処理部70の動作が開始されると、洗浄塔71は洗浄液を気相中に噴射し、コンプレッサ72は気体を圧縮する動作を開始し、ドライヤ73は気体から水分を除去する動作を開始する。
供給部50の動作が開始されると、貯留槽40のアルカリ性水溶液が供給管51を介して電解槽10の陽極室12及び陰極室13に供給される。
電解槽10の陽極12a及び陰極13aに電圧が印加されると、電解槽10では陽極12aと陰極13aとの間に電流が流れ、アルカリ性水溶液が電気分解されて、陽極室12で酸素ガスが発生し、陰極室13で水素ガスが発生する。なお、酸素ガスや水素ガスは、気泡状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存酸素や溶存水素となって、アルカリ性水溶液と混合状態となっている。
電解槽10の陽極室12内のアルカリ性水溶液及び酸素ガスは陽極室12の上部から酸素管21に押し出され、酸素管21を介して陽極側気液分離器20内に流入する。陽極側気液分離器20内に流入したアルカリ性水溶液及び酸素ガスは、陽極側気液分離器20においてアルカリ性水溶液と酸素ガスとに分離される。すなわち、電解槽10の陽極室12から流入したアルカリ性水溶液は陽極側気液分離器20の下部に集まり、酸素ガスは陽極側気液分離器20の上部に集まる。
電解槽10の陰極室13内のアルカリ性水溶液及び水素ガスは陰極室13の上部から水素管31に押し出され、水素管31を介して陰極側気液分離器30内に流入する。陰極側気液分離器30内に流入したアルカリ性水溶液及び水素ガスは、陰極側気液分離器30においてアルカリ性水溶液と水素ガスとに分離される。すなわち、電解槽10の陰極室13から流入したアルカリ性水溶液は陰極側気液分離器30の下部に集まり、水素ガスは陰極側気液分離器30の上部に集まる。
陽極側気液分離器20の下部に集まったアルカリ性水溶液は、陽極側循環管41を介して貯留槽40に戻り、陽極側気液分離器20の上部に集まった酸素ガスは、排気管22から排出される。また、陰極側気液分離器30の下部に集まったアルカリ性水溶液は、陰極側循環管42を介して貯留槽40に戻り、陰極側気液分離器30の上部に集まった水素ガスは、排気管32から排出され、水素処理部70の洗浄塔71に流入する。その後、貯留槽40内のアルカリ性水溶液は、再び供給管51を介して電解槽10の陽極室12及び陰極室13に供給される。つまり、貯留槽40内のアルカリ性水溶液は、貯留槽40→電解槽10の陽極室12及び陰極室13→陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30→貯留槽40という経路(循環経路)で循環する。
また、前述で電解槽10の陰極室13の上部から押し出されたアルカリ性水溶液及び水素ガスは、前述の陰極側気液分離器30に加え、水素管31の一部及び水素供給管61を介して貯留槽40内に流入する。このように貯留槽40内にアルカリ性水溶液と共に流入した水素(水素ガス及び溶存水素)は、バブリングにより貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給される。
また、前述で洗浄塔71に流入した水素ガスは、洗浄塔71内において洗浄液と接触し、水素ガス中に残留しているアルカリ成分が洗浄液中に溶け込んで除去される。これにより、水素ガスの純度が向上する。洗浄塔71内でアルカリ成分が除去された水素ガスは水素管74を介してコンプレッサ72に送られ、コンプレッサ72により圧縮される。その後、コンプレッサ72で圧縮された水素ガスは水素管74を介してドライヤ73に送られ、ドライヤ73により水分が除去される。そして、ドライヤ73で水分が除去された水素ガスは水素管74を介して水素貯蔵タンク80に送られ、水素貯蔵タンク80により貯蔵される。
ところで、陽極室12及び陰極室13に共通の貯留槽40が設けられ、それら陽極室12及び陰極室13に共通の循環経路が形成されている場合には、陽極室12のアルカリ性水溶液及び陰極室13のアルカリ性水溶液は、それら陽極室12及び陰極室13に共通の貯留槽40で混ざり合うことになる。陽極室12で生じた酸素ガスは、陽極側気液分離器20で分離される。アルカリ性水溶液に溶解した溶存酸素は、同様に溶存水素を含む陰極室13のアルカリ性水溶液と貯留槽40で混ざり合うことで水となる。
しかし、陰極側気液分離器30より排出される水素ガスには酸素ガスが含まれ、水素ガス濃度を低下させていることがあり、この酸素ガスが貯留槽40からのアルカリ性水溶液に含まれる酸素によるものであることを本発明者は発見した。
電解槽10で発生した酸素ガスや水素ガスは、その一部が微小な気泡となってアルカリ性水溶液に分散し、気液分離器20、30でのガスの分離においても分離しきれない場合があると考えられる。また、電解槽10で発生した酸素ガスや水素ガスは、その一部がアルカリ性水溶液に溶解して、溶存酸素や溶存水素となってアルカリ性水溶液に混じり、過飽和の状態になると考えられる。このような溶存する酸素や水素は、気液分離器20、30では分離できない。
ここで、陽極室12及び陰極室13に共通の貯留槽40が設けられ、それら陽極室12及び陰極室13に共通の循環経路が形成されている場合に、陽極室12で生じた酸素(酸素ガスや溶存酸素)を含むアルカリ性水溶液と陰極室13で生じた水素(水素ガスや溶存水素)を含むアルカリ性水溶液とが共通の貯留槽40で混ざり合っても、酸素と水素が反応して水になる場合もあるが、反応出来ずに残る酸素や水素もあると考えられる。酸素や水素の存在量にもよるが、反応比から特に酸素は多く残ると考えられる。そして、この貯留槽40で混ざり合ったアルカリ性水溶液が共通の貯留槽40から陽極室12及び陰極室13の両方に供給されることになる。したがって、陽極室12で生じた酸素が多く含まれたままのアルカリ性水溶液が陰極室13に供給されるため、陰極室13に多くの酸素が存在し、ガス化する酸素も多くなる。このため、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざり、水素純度が低下してしまうと考察した。このように水素純度が低い場合、後工程で水素純度を高めるためには専用設備が必要となり、これは製造コストを押し上げ、また、製造工程や装置構成を複雑にする。そこで、陽極側気液分離器20で分離しきれない酸素をさらに水素と反応させて減らすようにした。
本実施形態の水素製造工程によれば、電解槽10の陰極室13で発生した水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液が水素供給管61により貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給されることで、水素がバブリングされて貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給される。この供給された水素と、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素とは反応して水となるため、その貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は、水素供給部60が存在しない場合に比べさらに減少する。これにより、貯留槽40から陰極室13に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することが可能となる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざり、水素純度が低下することを抑えることができる。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、電解槽10の陰極室13で発生した水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液を貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素が貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給され、貯留槽40において、この供給された水素と溶存酸素とが反応して水となるので、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、貯留槽40から陰極室13に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することを抑えることが可能となるので、純度の高い水素を製造することができる。また、水素供給部60を設けるだけでよく、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、製造工程や装置構成を複雑にすることを抑えることができる。
また、上述のように、貯留槽40で陽極側アルカリ性水溶液と陰極側アルカリ性水溶液が混じることにより、貯留槽40内でも酸素と水素が反応して水となり、溶存酸素は減少する。本実施形態では、陰極側気液分離前のアルカリ性水溶液を供給することにより、気液分離後で水素の減ったアルカリ性水溶液よりも多くの溶存酸素を減らすことができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図2を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図2に示すように、第2の実施形態に係る水素供給管61は、水素管31の経路途中と陽極側気液分離器20とを接続する。水素供給管61の一端は水素管31の経路途中に接続されており、その他端は陽極側気液分離器20の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液を陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に供給し、陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に水素をバブリングさせるものである。この水素は、陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。なお、水素の供給量に対応して陽極側気液分離器20内のアルカリ性水溶液がオーバーフローしないように陽極側循環管41での貯留槽40への循環量が調整される。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、電解槽10の陰極室13で発生した水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液を陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素が陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に供給され、陽極側気液分離器20において水素と溶存酸素とが反応して水となるので、陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素量が抑えられることになり、貯留槽40から陰極室13に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することを抑えることが可能となるので、純度の高い水素を製造することができる。また、水素供給部60を設けるだけでよく、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、製造工程や装置構成を複雑にすることを抑えることができる。
また、貯留槽40で混ざる前の陽極側のアルカリ性水溶液中の溶存酸素を減らすことができる。陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液には酸素が多く含まれており、供給される水素とより効率的に溶存酸素を反応させて水とすることができ、より多くの溶存酸素を減らすことができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について図3を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図3に示すように、第3の実施形態に係る水素供給管61は、水素管31の経路途中と陰極側気液分離器30とを接続する。水素供給管61の一端は水素管31の経路途中に接続されており、その他端は陰極側気液分離器30の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液を陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給し、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に水素をバブリングさせるものである。この水素は、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、電解槽10の陰極室13で発生した水素(水素ガス及び溶存水素)を含むアルカリ性水溶液を陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素が陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液にバブリングされて供給され、陰極側気液分離器30において、この供給された水素と溶存酸素とが反応して水となるので、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このように、アルカリ性水溶液中に水素をバブリングさせて供給すると、撹拌作用により、水素ガスや溶存水素が溶存酸素と反応する機会が多くなり、より効率的に水素(水素ガスや溶存水素)を溶存酸素に反応させることができる。また、溶存している水素のガス化を促し、アルカリ性水溶液に分散した水素ガスのアルカリ性水溶液からの分離を促す。よって、水素ガスの回収の効率を高めることができる。このため、貯留槽40のアルカリ性水溶液に酸素が多く含まれていても、陰極側気液分離器30で分離される水素ガスに直接的に混ざる酸素ガスの量(陰極側気液分離器30内のアルカリ性水溶液中に溶存する酸素がガス化した酸素気泡が水素ガスに混ざる量)が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することを抑えることが可能となるので、純度の高い水素を製造することができる。また、水素供給部60を設けるだけでよく、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、製造工程や装置構成を複雑にすることを抑えることができる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態について図4を参照して説明する。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図4に示すように、第4の実施形態に係る水素供給管61は、排気管32の経路途中と貯留槽40とを接続する。水素供給管61の一端は排気管32の経路途中に接続されており、その他端は貯留槽40の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素ガスを貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給し、貯留槽40のアルカリ性水溶液に水素ガスをバブリングさせる、すなわち水素を気泡状態で供給するものである。この水素ガスは、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスを貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素ガスが貯留槽40のアルカリ性水溶液に供給され、貯留槽40において、この供給された水素と溶存酸素とが反応して水となるので、貯留槽40のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、貯留槽40から陰極室13に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することを抑えることが可能となるので、純度の高い水素を製造することができる。また、水素供給部60を設けるだけでよく、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、製造工程や装置構成を複雑にすることを抑えることができる。また、水素ガスを供給するので、オーバーフロー対応などを不要とすることができる。
<第5の実施形態>
第5の実施形態について図5を参照して説明する。なお、第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点(水素供給量調整)について説明し、その他の説明を省略する。
図5に示すように、第5の実施形態に係る水素製造装置1は、第1の実施形態に係る各部10〜70に加え、水素供給量調整部90を備えている。この水素供給量調整部90は、センサ91と、調整部92とを備えている。
センサ91は、アルカリ性水溶液の溶存酸素量(酸素溶解量)を測定するものであり、貯留槽40内のアルカリ性水溶液の溶存酸素量を測定可能に貯留槽40に設けられている。調整部92は、調整弁92aと、制御部92bとを有している。調整弁92aは、水素供給管61を通過するアルカリ性水溶液の流量を調整するものであり、水素供給管61の経路途中に設けられている。制御部92bは、センサ91により測定された溶存酸素量に応じて調整弁92aを制御し、貯留槽40のアルカリ性水溶液に対する水素の供給量を調整する。
例えば、制御部92bは、センサ91により測定された溶存酸素量が、予め定めた値(例えば、陰極室13で酸素ガスが発生しやすくなる予め定めた値、例としてアルカリ性水溶液の温度に対する飽和量など)より少なくなるように調整弁92aを制御し、貯留槽40のアルカリ性水溶液に対する水素の供給量を調整する。また、他の水素供給量調整としては、例えば、センサ91により測定された溶存酸素量が増加したら水素の供給量を増加させ、その溶存酸素量が減少したら水素の供給量を減少させるように調整弁92aを制御することも可能である。
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、貯留槽40内のアルカリ性水溶液の溶存酸素量に応じて、貯留槽40のアルカリ性水溶液に対する水素の供給量を調整する水素供給量調整部90が設けられている。このため、貯留槽40のアルカリ性水溶液に対する水素の供給量を調整し、貯留槽40内のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素を確実に減少させることができる。これにより、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することが可能となるので、確実に純度の高い水素を製造することができる。また、電気分解によって生成した水素を使ってアルカリ性水溶液中の溶存酸素を減少させるようにしているが、このように生成して使用する水素を必要最小限な量だけとすることができる。したがって、結果的に水素の生成量を増やすことができる。
ここで、第5の実施形態、また、第1から第3の実施形態のように、水素ガス及び溶存水素を含むアルカリ性水溶液を利用する場合には、溶存水素も利用できるので溶存酸素をより効率的に減らすことができる。しかし、アルカリ性水溶液中に含まれる水素の濃度を正確に把握することはできない。一方、第4の実施形態、また、下記の第6から第9の実施形態のように、気液分離後の水素ガスのみを利用する場合には、供給する水素ガスの量を把握できるので、供給量の調整を正確にまた容易に行うことができる。
<第6の実施形態>
第6の実施形態について図6を参照して説明する。なお、第6の実施形態では、第1の実施形態との相違点(貯留槽及び供給部の個数、水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図6に示すように、第6の実施形態に係る貯留槽40は、陽極側貯留槽40aと、陰極側貯留槽40bとを有している。また、供給部50は、陽極側供給部50aと、陰極側供給部50bとを有している。供給管51は、陽極側供給管51aと、陰極側供給管51bとを有している。
陽極側貯留槽40aは、陽極側循環管41により陽極側気液分離器20に接続されている。陽極側循環管41の一端は陽極側気液分離器20の下部(例えば底面)に接続されており、その他端は陽極側貯留槽40aの上部(例えば天上面)に接続されている。この陽極側貯留槽40aは、アルカリ性水溶液を貯留しており、貯留しているアルカリ性水溶液を加熱してその温度を、予め定めた範囲内に維持する。
陰極側貯留槽40bは、陰極側循環管42により陰極側気液分離器30に接続されている。陰極側循環管42の一端は陰極側気液分離器30の下部(例えば底面)に接続されており、その他端は陰極側貯留槽40bの上部(例えば天上面)に接続されている。この陰極側貯留槽40bは、アルカリ性水溶液を貯留しており、貯留しているアルカリ性水溶液を加熱してその温度を、予め定めた範囲内に維持する。
陽極側供給部50aは、陽極側供給管51aの経路途中に設けられている。陽極側供給管51aの一端は陽極側貯留槽40aの下部(例えば下部側面)に接続されており、その他端は電解槽10の陽極室12の下部(例えば底面)に接続されている。この陽極側供給部50aは、陽極側貯留槽40aから陽極側供給管51aを介して電解槽10の陽極室12にアルカリ性水溶液を供給する。陽極側供給部50aとしては、例えば、ポンプを用いることが可能である。つまり、陽極側供給部50aが作動すると、陽極側貯留槽40a→電解槽10の陽極室12→陽極側気液分離器20→陽極側貯留槽40aという経路(陽極側循環経路)でアルカリ性水溶液が循環することになる。
陰極側供給部50bは、陰極側供給管51bの経路途中に設けられている。陰極側供給管51bの一端は陰極側貯留槽40bの下部(例えば下部側面)に接続されており、その他端は電解槽10の陰極室13の下部(例えば底面)に接続されている。この陰極側供給部50bは、陰極側貯留槽40bから陰極側供給管51bを介して電解槽10の陰極室13にアルカリ性水溶液を供給する。陰極側供給部50bとしては、例えば、ポンプを用いることが可能である。つまり、陰極側供給部50bが作動すると、陰極側貯留槽40b→電解槽10の陰極室13→陰極側気液分離器30→陰極側貯留槽40bという経路(陰極側循環経路)でアルカリ性水溶液が循環することになる。
また、第6の実施形態に係る水素供給管61は、排気管32の経路途中と、陽極側貯留槽40aとを接続する。水素供給管61の一端は排気管32の経路途中に接続されており、その他端は陽極側貯留槽40aの下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素ガスを陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給し、陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に水素ガスをバブリングさせるものである。この水素ガスは、ガス状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存状態で、陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
なお、陰極側貯留槽40bに水素ガスを供給することも可能である。陽極側循環経路や陰極側循環経路の経路途中でバブリングを行う場合には、それらの循環経路のどこでバブリングを行っても良いが、陽極側貯留槽40aや陰極側貯留槽40bで行うと反応時間を十分確保することができるため、陽極側貯留槽40aや陰極側貯留槽40bでバブリングを行うことが好ましい。
(水素製造工程)
次に、前述の水素製造装置1が行う水素製造処理の流れについて説明する。なお、初期状態では、電解槽10、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bは、アルカリ性水溶液を保持しており、洗浄塔71は洗浄液を保持している。また、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bではアルカリ性水溶液が加熱され、その温度は、予め定めた範囲内に維持されている。
陽極側供給部50a、陰極側供給部50b及び水素処理部70の動作が開始され、電解槽10の陽極12a及び陰極13aに電圧が印加される。また、水素処理部70の動作が開始されると、洗浄塔71は洗浄液を気相中に噴射し、コンプレッサ72は気体を圧縮する動作を開始し、ドライヤ73は気体から水分を除去する動作を開始する。
陽極側供給部50aの動作が開始されると、陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液が陽極側供給管51aを介して電解槽10の陽極室12に供給される。また、陰極側供給部50bの動作が開始されると、陰極側貯留槽40b内のアルカリ性水溶液が陰極側供給管51bを介して電解槽10の陰極室13に供給される。
電解槽10の陽極12a及び陰極13aに電圧が印加されると、電解槽10では陽極12aと陰極13aとの間に電流が流れ、アルカリ性水溶液が電気分解されて、陽極室12で酸素ガスが発生し、陰極室13で水素ガスが発生する。なお、酸素ガスや水素ガスは、気泡状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存酸素や溶存水素となって、アルカリ性水溶液と混合状態となっている。
電解槽10の陽極室12内のアルカリ性水溶液及び酸素ガスは陽極室12の上部から酸素管21に押し出され、酸素管21を介して陽極側気液分離器20内に流入する。陽極側気液分離器20内に流入したアルカリ性水溶液及び酸素ガスは、陽極側気液分離器20内においてアルカリ性水溶液と酸素ガスとに分離される。すなわち、電解槽10の陽極室12から流入したアルカリ性水溶液は陽極側気液分離器20の下部に集まり、酸素ガスは陽極側気液分離器20の上部に集まる。
陽極側気液分離器20の下部に集まったアルカリ性水溶液は、陽極側循環管41を介して陽極側貯留槽40aに戻り、陽極側気液分離器20の上部に集まった酸素ガスは、排気管22から排出される。その後、陽極側貯留槽40a内のアルカリ性水溶液は、再び陽極側供給管51aを介して電解槽10の陽極室12に供給される。つまり、陽極側貯留槽40a内のアルカリ性水溶液は、陽極側貯留槽40a→電解槽10の陽極室12→陽極側気液分離器20→陽極側貯留槽40aという経路(陽極側循環経路)で循環する。
また、電解槽10の陰極室13内のアルカリ性水溶液及び水素ガスは陰極室13の上部から水素管31に押し出され、水素管31を介して陰極側気液分離器30内に流入する。陰極側気液分離器30内に流入したアルカリ性水溶液及び水素ガスは、陰極側気液分離器30においてアルカリ性水溶液と水素ガスとに分離される。すなわち、電解槽10の陰極室13から流入したアルカリ性水溶液は陰極側気液分離器30の下部に集まり、水素ガスは陰極側気液分離器30の上部に集まる。
陰極側気液分離器30の下部に集まったアルカリ性水溶液は、陰極側循環管42を介して陰極側貯留槽40bに戻り、陰極側気液分離器30の上部に集まった水素ガスは、排気管32から排出され、排気管32を介して水素処理部70の洗浄塔71に流入し、また、排気管32の一部及び水素供給管61を介して陽極側貯留槽40aに流入する。陽極側貯留槽40a内に流入した水素ガスは、バブリングにより陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給される。その後、陰極側貯留槽40b内のアルカリ性水溶液は、再び陰極側供給管51bを介して電解槽10の陰極室13に供給される。つまり、陰極側貯留槽40b内のアルカリ性水溶液は、陰極側貯留槽40b→電解槽10の陰極室13→陰極側気液分離器30→陰極側貯留槽40bという経路(陰極側循環経路)で循環する。
また、前述で洗浄塔71に流入した水素ガスは、洗浄塔71内において洗浄液と接触し、水素ガス中に残留しているアルカリ成分が洗浄液中に溶け込んで除去される。これにより、水素ガスの純度が向上する。洗浄塔71内でアルカリ成分が除去された水素ガスは水素管74を介してコンプレッサ72に送られ、コンプレッサ72により圧縮される。その後、コンプレッサ72で圧縮された水素ガスは水素管74を介してドライヤ73に送られ、ドライヤ73により水分が除去される。そして、ドライヤ73で水分が除去された水素ガスは水素管74を介して水素貯蔵タンク80に送られ、水素貯蔵タンク80により貯蔵される。
ところで、前述(第1の実施形態)のように、陽極室12及び陰極室13に共通の貯留槽40が設けられ、それら陽極室12及び陰極室13に共通の循環経路が形成されている場合には、陽極室12のアルカリ性水溶液及び陰極室13のアルカリ性水溶液は、それら陽極室12及び陰極室13に共通の貯留槽40で混ざり合うことになる。したがって、陽極室12で生じた酸素が多く含まれたままのアルカリ性水溶液が陰極室13に供給されるため、陰極室13に多くの酸素が存在し、ガス化する酸素も多くなる。このため、陽極側気液分離器20で分離しきれない酸素をさらに水素と反応させて減らすようにした。しかし、電解槽10において、陽極室12で発生した酸素ガスが陰極室13に直接混入することは隔壁11によって防止されているものの、陽極室12の溶存酸素は隔壁11を透過して陰極室13に侵入し、陰極室13内での酸素が増える場合がある。そこで、陽極側気液分離器20で分離しきれない酸素を陰極側に供給しないようにした。
このような水素製造工程によれば、電解槽10の陽極室12用に陽極側貯留槽40aが設けられ、陰極室13用に陰極側貯留槽40bが設けられ、陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路が形成されている。このため、陽極室12で生じた酸素(酸素ガスや溶存酸素)がアルカリ性水溶液に残ったりしても、陽極室12で生じた酸素を含むアルカリ性水溶液は陽極室12だけに戻ることになる。これにより、陽極室12で生じた酸素を含むアルカリ性水溶液が陰極室13に供給されないため、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することが可能となる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざり、水素純度が低下することを抑えることができる。後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、装置構成を複雑にすることを抑えることができる。
上述のように、本実施形態では、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスが水素供給管61により陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給されることで、水素ガスがバブリングされて陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給される。この水素ガスと、陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素とは反応して水となるため、その陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少する。これにより、陽極側貯留槽40aから陽極室12に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられ、陽極室12から陰極室13に隔壁11を透過して流れ込む溶存酸素の量が低下するので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに酸素ガスが混ざり、水素純度が低下することを抑えることができる。
なお、必ずしも陽極側循環経路の片方だけにバブリングを行う必要はなく、陰極側循環経路の片方だけにバブリングを行っても良く、陽極側循環経路及び陰極側循環経路の両方にバブリングを行っても良い。陰極側循環経路にバブリングを行うことで、より直接的に水素濃度の低下を抑制することができる。
以上説明したように、第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスを陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素ガスが陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給され、陽極側貯留槽40aにおいて、この供給された水素ガスと溶存酸素とが反応して水となるので、陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、陽極側貯留槽40aから陽極室12に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられ、陽極室12から陰極室13に隔壁11を透過して流れ込む溶存酸素の量が低下するので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することをさらに抑えることが可能となるので、純度の高い水素を製造することができる。後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、製造コストを押し上げ、また、装置構成を複雑にすることを抑えることができる。
また、第6の実施形態によれば、電解槽10の陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路が形成されている。すなわち、陽極室12用に陽極側気液分離器20、陽極側貯留槽40a及び陽極側供給部50aが設けられており、陰極室13用に陰極側気液分離器30、陰極側貯留槽40b及び陰極側供給部50bが設けられている。これにより、陽極室12で生じた酸素(酸素ガスや溶存酸素)を含むアルカリ性水溶液が陰極室13に供給されず、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。したがって、陽極室12及び陰極室13共通の貯留槽40に水素ガスをバブリングするだけでなく、陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路を形成し、陽極側循環経路の貯留槽(陽極側貯留槽40a)で水素ガスをバブリングすることで、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することをさらに抑えることが可能となるので、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、純度の高い水素を製造することができる。
<第7の実施形態>
第7の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第7の実施形態では、第6の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図7に示すように、第7の実施形態に係る水素供給管61は、排気管32の経路途中と、陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30とを接続する。水素供給管61の一端は排気管32の経路途中に接続されており、その他端は二本に枝分かれして陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30の個々の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素ガスを陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給し、陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に水素ガスをバブリングさせるものである。この水素ガスは、ガス状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存状態で、陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
以上説明したように、第7の実施形態によれば、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスを陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素ガスが陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給され、陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30において、供給された水素ガスと溶存酸素とが反応して水となるので、陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、陽極側貯留槽40aから陽極室12に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられ、陽極室12から陰極室13に隔壁11を透過して流れ込む溶存酸素の量が低下するので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。また、陰極側循環経路中のアルカリ性水溶液の溶存酸素量も抑えられるので、陰極側循環経路中で酸素ガスが発生することを抑制することができる。さらに、陰極側気液分離器30でバブリングを行うので、陰極側気液分離器30で分離される水素ガスに直接的に混ざる酸素ガスの量(陰極側気液分離器30内のアルカリ性水溶液中に溶存する酸素がガス化した酸素気泡が水素ガスに混ざる量)も減らすことができる。
したがって、陽極室12及び陰極室13共通の貯留槽40に水素ガスをバブリングするだけでなく、陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路を形成し、それぞれの循環経路の気液分離器(陽極側気液分離器20及び陰極側気液分離器30)で水素ガスをバブリングすることだけで、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することをさらに抑えることが可能となるので、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、純度の高い水素を製造することができる。
<第8の実施形態>
第8の実施形態について図8を参照して説明する。なお、第8の実施形態では、第6の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図8に示すように、第8の実施形態に係る水素供給管61は、排気管32の経路途中と陰極側気液分離器30とを接続する。水素供給管61の一端は排気管32の経路途中に接続されており、その他端は陰極側気液分離器30の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素ガスを陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給し、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に水素ガスをバブリングさせるものである。この水素ガスは、ガス状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存状態で、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
以上説明したように、第8の実施形態によれば、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスを陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素ガスが陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に供給され、陰極側気液分離器30において水素ガスと溶存酸素とが反応して水となるので、陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、陰極側循環経路中のアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられるので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。さらに、陰極側気液分離器30でバブリングを行うので、陰極側気液分離器30で分離される水素ガスに直接的に混ざる酸素ガスの量(陰極側気液分離器30内のアルカリ性水溶液中に溶存する酸素がガス化した酸素気泡が水素ガスに混ざる量)も減らすことができる。
したがって、陽極室12及び陰極室13共通の貯留槽40に水素ガスをバブリングするだけでなく、陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路を形成し、陰極側循環経路の気液分離器(陰極側気液分離器30)で水素ガスをバブリングすることだけで、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することをさらに抑えることが可能となるので、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、簡単な構成で純度の高い水素を製造することができる。
<第9の実施形態>
第9の実施形態について図9を参照して説明する。なお、第9の実施形態では、第6の実施形態との相違点(水素供給管の接続)について説明し、その他の説明を省略する。
図9に示すように、第9の実施形態に係る水素供給管61は、排気管32の経路途中と、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bとを接続する。水素供給管61の一端は排気管32の経路途中に接続されており、その他端は四本に枝分かれして陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bの個々の下部(例えば下部側面)に接続されている。この水素供給管61は、水素ガスを陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に供給し、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に水素ガスをバブリングさせるものである。この水素ガスは、ガス状態やアルカリ性水溶液に溶解し溶存状態で、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素と反応して水となるため、その陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。
以上説明したように、第9の実施形態によれば、陰極側気液分離器30でアルカリ性水溶液と分離された水素ガスを陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に供給する水素供給部60が設けられている。これにより、水素ガスが陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に供給され、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bにおいて水素ガスと溶存酸素とが反応して水となるので、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのアルカリ性水溶液に含まれる溶存酸素は減少することになる。このため、陽極側貯留槽40aから陽極室12に供給されるアルカリ性水溶液の溶存酸素量が抑えられ、陽極室12から陰極室13に隔壁11を透過して流れ込む溶存酸素の量が低下するので、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざることを抑制することができる。また、陰極側循環経路中のアルカリ性水溶液の溶存酸素量も抑えられるので、陰極側循環経路中で酸素ガスが発生することを抑制することができる。さらに、陰極側気液分離器30でバブリングを行うので、陰極側気液分離器30で分離される水素ガスに直接的に混ざる酸素ガスの量(陰極側気液分離器30内のアルカリ性水溶液中に溶存する酸素がガス化した酸素気泡が水素ガスに混ざる量)も減らすことができる。
したがって、陽極室12及び陰極室13共通の貯留槽40に水素ガスをバブリングするだけでなく、陽極室12及び陰極室13ごとに循環経路を形成し、それぞれの循環経路の気液分離器(陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40b)で水素ガスをバブリングすることだけで、陰極室13で発生する水素ガスに多くの酸素ガスが混ざって水素純度が低下することを抑えることが可能となるので、後工程で水素純度を高めるための専用設備が必要なく、純度の高い水素を製造することができる。
<他の実施形態>
前述の説明では、電解槽10や陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、貯留槽40(陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40b)などの上部として天上面を例示したが、これに限るものではなく、例えば、上部側面もある。また、電解槽10や陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、貯留槽40(陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40b)などの下部としても、底面や下部側面などがある。また、各接続に関して、必ずしも上部や下部でなくても良く、逆に、下部や上部とすることもできる。例えば、電解槽10から排出されたアルカリ性水溶液とガスの混合物は、気液分離器20又は30でその液中に入るように接続されても良い。また、底面に近いところに配管を接続することもできる。貯留槽40(陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40b)も同じである。
また、前述の説明では、供給部50(陽極側供給部50aや陰極側供給部50b)としてポンプを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ポンプ以外の機構でも良い。また、供給部50としてポンプに加えて供給管51を含めることが可能であり、陽極側供給部50aとしてポンプに加えて陽極側供給管51aを含めることも可能であり、陰極側供給部50bとしてポンプに加えて陰極側供給管51bを含めることも可能である。
また、前述の説明では、センサ91を貯留槽40に設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、水素ガスが供給される供給対象物(陽極側気液分離器20や陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a、陰極側貯留槽40bなど)に設けることが可能であり、また、配管(酸素管21や水素管31、陽極側循環管41、陰極側循環管42、供給管51、陽極側供給管51a、陰極側供給管51bなど)に設けることも可能である。センサ91の個数は特に限定されるものではなく、センサ91を供給対象物及び配管の両方に設けることも可能であり、また、複数の供給対象物や複数の配管に設けることも可能である。
また、前述の説明では、水素供給管61を用いて水素管31の経路途中と接続対象物とを接続しているが、例えば、水素管31の経路途中と、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのいずれか一つ、いずれか二つ、いずれか三つ又は全てを接続するようにしても良い。また、水素供給管61を用いて排気管32の経路途中と接続対象物とを接続しているが、例えば、排気管32の経路途中と、陽極側気液分離器20、陰極側気液分離器30、陽極側貯留槽40a及び陰極側貯留槽40bのいずれか一つ、いずれか二つ、いずれか三つ又は全てを接続するようにしても良い。
また、前述の説明では、水素供給部60に一つのポンプ63を設けているが、そのポンプ数は限定されるものではない。例えば、水素供給管61が分岐する場合には、その分岐ごとに開閉弁62やポンプ63を設けることも可能である。
また、前述の第4の実施形態に係る水素ガスの供給(図4参照)を第1から第3の実施形態(図1、図2及び図3参照)のいずれかに組み合わせることが可能であり、また、第1から第4の実施形態を適宜組み合わせたものに組み合わせることも可能である。
また、前述の第5の実施形態に係る水素供給量調整部90を前述の他の実施形態(図2から図4、図6から図9参照)のいずれかに組み合わせることが可能であり、また、前述の他の実施形態を適宜組み合わせたものに組み合わせることも可能である。
また、前述の第6の実施形態では、バブリングする水素を排気管32からの水素ガスを用いているが、第1の実施形態と同じく水素管31からのアルカリ性水溶液及び水素ガスを用いても良い。ただし、水素ガスのみを供給するので、オーバーフロー対応などを不要とすることができる。また、アルカリ性水溶液及び水素ガスを用いる場合に比べ、供給する水素ガスの量を把握できるので、水素供給量の調整を正確にまた容易に行うことができる。
また、前述の第6の実施形態では、水素ガスを陽極側貯留槽40aのアルカリ性水溶液に供給したが、これに限らず、陽極側気液分離器20のアルカリ性水溶液に供給しても良い。さらに、陽極側気液分離器20と陽極側貯留槽40aの両方のアルカリ性水溶液に水素ガスを供給しても良い。加えて、陰極側貯留槽40bや陰極側気液分離器30のアルカリ性水溶液に対してもいずれか一方あるいは両方に水素ガスを供給しても良い。
また、前述の第5の実施形態では、貯留槽40の溶存酸素濃度を測定したが、これに限らず、第6から第8の実施形態のように陽極側循環経路と陰極側循環経路とに分けた循環経路とした場合、陽極側循環経路、陰極側循環経路の溶存酸素濃度を測定し、必要量の水素を供給しても良い。この供給は、陽極側循環経路、陰極側循環経路のいずれか一方あるいは両方で行っても良い。必要量の水素を供給するので、水素の消費量を抑えることができ、また、必要な個所への供給ができる。
例えば、陰極側気液分離器30で水素のバブリングを行うと、陰極側気液分離器30で分離される水素ガスに直接的に混ざる酸素ガスの量(陰極側気液分離器30内のアルカリ性水溶液中に溶存する酸素がガス化した酸素ガスが水素ガスに混ざる量)も減らすことができる。また、例えば、陽極側貯留槽40aや陰極側貯留槽40bで水素のバブリングを行うと、より長い反応時間を得ることができ、より多くの溶存酸素を減らすことができる。さらに、例えば、溶存酸素量を測定し、その量に応じて供給する水素の量を調整すれば、必要最低限の水素を使用することができ、効率的な運転ができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 水素製造装置
10 電解槽
10a 電源
11 隔壁
12 陽極室
12a 陽極
13 陰極室
13a 陰極
20 陽極側気液分離器
30 陰極側気液分離器
40 貯留槽
40a 陽極側貯留槽
40b 陰極側貯留槽
50 供給部
50a 陽極側供給部
50b 陰極側供給部
60 水素供給部
91 センサ
92 調整部

Claims (7)

  1. アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成する水素製造装置であって、
    陽極が存在する陽極室と陰極が存在する陰極室とに隔壁によって仕切られ、前記アルカリ性水溶液を電気分解する電解槽と、
    前記陽極室及び前記陰極室から流出した前記アルカリ性水溶液から前記陽極室で発生した酸素ガス及び前記陰極室で発生した水素ガスを分離し、前記酸素ガス及び前記水素ガスを分離した前記アルカリ性水溶液を前記陽極室及び前記陰極室に戻す循環経路と、
    前記陰極室で発生した水素を前記循環経路の前記アルカリ性水溶液に供給する水素供給部と、
    を備えることを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記アルカリ性水溶液の溶存酸素量を測定するセンサと、
    前記センサにより測定された前記溶存酸素量に応じて前記アルカリ性水溶液に対する前記水素の供給量を調整する調整部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
  3. 前記循環経路は、
    前記陽極室から流出した前記アルカリ性水溶液から前記陽極室で発生した酸素ガスを分離し、前記酸素ガスを分離した前記アルカリ性水溶液を前記陽極室に戻す陽極側循環経路と、
    前記陰極室から流出した前記アルカリ性水溶液から前記陰極室で発生した水素ガスを分離し、前記水素ガスを分離した前記アルカリ性水溶液を前記陰極室に戻す陰極側循環経路と、
    を有し、
    前記水素供給部は、前記陽極側循環経路及び前記陰極側循環経路のどちらか一方又は両方の前記アルカリ性水溶液に前記水素を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素製造装置。
  4. 前記循環経路は、
    前記陽極室に接続され、前記陽極室から流入した前記アルカリ性水溶液から前記陽極室で発生した酸素ガスを分離する陽極側気液分離器と、
    前記陰極室に接続され、前記陰極室から流入した前記アルカリ性水溶液から前記陰極室で発生した水素ガスを分離する陰極側気液分離器と、
    前記陽極側気液分離器及び前記陰極側気液分離器に接続され、前記陽極側気液分離器及び前記陰極側気液分離器から流入した前記アルカリ性水溶液を貯留する貯留槽と、
    を有し、
    前記水素供給部は、前記陽極側気液分離器、前記陰極側気液分離器及び前記貯留槽のいずれか又は全ての前記アルカリ性水溶液に前記水素を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素製造装置。
  5. 前記貯留槽は、
    前記陽極側気液分離器に接続され、前記陽極側気液分離器から流入した前記アルカリ性水溶液を貯留する陽極側貯留槽と、
    前記陰極側気液分離器に接続され、前記陰極側気液分離器から流入した前記アルカリ性水溶液を貯留する陰極側貯留槽と、
    を有し、
    前記水素供給部は、前記陽極側貯留槽及び前記陰極側貯留槽のいずれか一方又は両方のアルカリ性水溶液に前記水素を供給することを特徴とする請求項4に記載の水素製造装置。
  6. アルカリ性水溶液を電気分解して水素を生成する水素製造方法であって、
    陽極が存在する陽極室と陰極が存在する陰極室とに隔壁によって仕切られた電解槽により、前記アルカリ性水溶液を電気分解する工程と、
    前記陽極室及び前記陰極室から流出した前記アルカリ性水溶液から前記陽極室で発生した酸素ガス及び前記陰極室で発生した水素ガスを分離し、前記酸素ガス及び前記水素ガスを分離した前記アルカリ性水溶液を前記陽極室及び前記陰極室に戻す循環経路で前記アルカリ性水溶液を循環させる工程と、
    前記陰極室で発生した水素を前記循環経路の前記アルカリ性水溶液に供給する工程と、
    を有することを特徴とする水素製造方法。
  7. 前記アルカリ性水溶液の溶存酸素量を測定する工程と、
    測定された前記溶存酸素量に応じて前記アルカリ性水溶液に対する前記水素の供給量を調整する工程と、
    を有することを特徴とする請求項6に記載の水素製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4345193A1 (de) * 2022-09-29 2024-04-03 Linde GmbH Verfahren und anlage zur herstellung eines oder mehrerer elektrolyseprodukte

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