JP2019176156A - 半導体加工用テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で十分に加熱収縮させることができ、カーフ幅を保持することができる半導体加工用テープを提供する。【解決手段】本発明の半導体加工用テープ10は、基材フィルム11と、前記基材フィルム11の少なくとも一面側に形成された粘着剤層12とを有する粘着テープ15を有し、前記粘着テープ15は、いずれかの第一の方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、前記第一の方向と直角をなす第二の方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ウエハをチップ状の素子に分断するダイシング工程において、ウエハを固定するのに利用でき、さらにダイシング後のチップとチップとの間あるいはチップと基板との間を接着するダイボンディング工程やマウント工程においても利用できるとともに、エキスパンドにより接着剤層をチップに沿って分断する工程においても利用できる、エキスパンド可能な半導体加工用テープに関する。
従来、集積回路(IC:Integrated Circuit)などの半導体装置の製造工程では、回路パターン形成後のウエハを薄膜化するためにウエハ裏面を研削するバックグラインド工程、ウエハの裏面に粘着性および伸縮性のある半導体加工用テープを貼り付けた後、ウエハをチップ単位に分断するダイシング工程、半導体加工用テープを拡張(エキスパンド)するエキスパンド工程、分断されたチップをピックアップするピックアップ工程、さらにピックアップされたチップをリードフレームやパッケージ基板等に接着する(あるいは、スタックドパッケージにおいては、チップ同士を積層、接着する)ダイボンディング(マウント)工程が実施される。
上記バックグラインド工程では、ウエハの回路パターン形成面(ウエハ表面)を汚染から保護するために、表面保護テープが使用される。ウエハの裏面研削終了後、この表面保護テープをウエハ表面から剥離する際には、以下に述べる半導体加工用テープ(ダイシング・ダイボンディングテープ)をウエハ裏面に貼合した後、吸着テーブルに半導体加工用テープ側を固定し、表面保護テープに、ウエハに対する接着力を低下させる処理を施した後、表面保護テープを剥離する。表面保護テープが剥離されたウエハは、その後、裏面にウエハが貼合された状態で、吸着テーブルから取り上げられ、次のダイシング工程に供される。なお、上記の接着力を低下させる処理とは、表面保護テープが紫外線等のエネルギー線硬化性成分からなる場合は、エネルギー線照射処理であり、表面保護テープが熱硬化性成分からなる場合は、加熱処理である。
上記バックグラインド工程の後のダイシング工程〜マウント工程では、基材フィルム上に、粘着剤層と接着剤層とが、この順に積層された半導体加工用テープが使用される。一般に、このような半導体加工用テープを用いる場合は、まず、ウエハの裏面に半導体加工用テープの接着剤層を貼合してウエハを固定し、ダイシングブレードを用いてウエハおよび接着剤層をチップ単位にダイシングする。その後、テープをウエハの径方向に拡張することによって、チップ同士の間隔を広げるエキスパンド工程が実施される。このエキスパンド工程は、その後のピックアップ工程において、CCDカメラ等によるチップの認識性を高めるとともに、チップをピックアップする際に、隣接するチップ同士が接触することによって生じるチップの破損を防止するために実施される。その後、チップは、ピックアップ工程にて接着剤層とともに粘着剤層から剥離してピックアップされ、マウント工程にて、リードフレームやパッケージ基板等にダイレクトに接着される。このように、半導体加工用テープを用いることで、接着剤層付きのチップをリードフレームやパッケージ基板等にダイレクトに接着することが可能となるので、接着剤の塗布工程や別途各チップにダイボンディングフィルムを接着する工程を省略することができる。
しかしながら、上記ダイシング工程では、上述のように、ダイシングブレードを用いてウエハと接着剤層とを一緒にダイシングするため、ウエハの切削屑だけでなく、接着剤層の切削屑も発生してしまう。そして、接着剤層の切削屑がウエハのダイシング溝に詰まった場合、チップ同士がくっついてピックアップ不良などが発生し、半導体装置の製造歩留まりが低下してしまうという問題があった。
このような問題を解決するために、ダイシング工程ではブレードによりウエハのみをダイシングし、エキスパンド工程において、半導体加工用テープを拡張することにより、接着剤層を個々のチップ毎に分断する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。このような、拡張時の張力を利用した接着剤層の分断方法によれば、接着剤の切削屑が発生せず、ピックアップ工程において悪影響を及ぼすこともない。
また、近年、ウエハの切断方法として、レーザー加工装置を用いて、非接触でウエハを切断できる、いわゆるステルスダイシング法が提案されている。例えば、特許文献2には、ステルスダイシング法として、接着剤層(ダイボンド樹脂層)を介在させて、シートが貼り付けられた半導体基板の内部に焦点光を合わせ、レーザー光を照射することにより、半導体基板の内部に多光子吸収による改質領域を形成し、この改質領域を切断予定部とする工程と、シートを拡張させることにより、切断予定部に沿って半導体基板および接着剤層を切断する工程とを備えた半導体基板の切断方法が開示されている。
また、レーザー加工装置を用いた別のウエハの切断方法として、例えば、特許文献3には、ウエハの裏面にダイボンディング用の接着剤層(接着フィルム)を装着する工程と、該接着剤層が貼合されたウエハの接着剤層側に、伸長可能な保護粘着テープを貼合する工程と、保護粘着テープを貼合したウエハの表面から、ストリートに沿ってレーザー光線を照射し、個々のチップに分割する工程と、保護粘着テープを拡張して接着剤層に引張力を付与し、接着剤層をチップ毎に破断する工程と、破断された接着剤層が貼合されているチップを保護粘着テープから離脱する工程を含むウエハの分割方法が提案されている。
これら特許文献2および特許文献3に記載のウエハの切断方法によれば、レーザー光の照射およびテープの拡張によって、非接触でウエハを切断するので、ウエハへの物理的負荷が小さく、現在主流のブレードダイシングを行う場合のようなウエハの切削屑(チッピング)を発生させることなくウエハの切断が可能である。また、拡張によって接着剤層を分断するので、接着剤層の切削屑を発生させることもない。このため、ブレードダイシングに代わり得る優れた技術として注目されている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載にされたように、エキスパンドによって拡張し、接着剤層を分断する方法では、従来の半導体加工用テープを用いた場合、エキスパンド量の上昇にともない、エキスパンドリングで突き上げられた部分が伸び、エキスパンドを解いた後に当該部分が弛み、チップ間の間隔(以下、「カーフ幅」)を保持できないという問題があった。
そこで、エキスパンドによって接着剤層を分断し、エキスパンドを解いた後に、半導体加工用テープの弛んだ部分を加熱することにより収縮させ、カーフ幅を保持する方法が提案されている(例えば、特許文献4,5)。
特開2007−5530号公報 特開2003−338467号公報 特開2004−273895号公報 国際公開第2016/152957号 特開2015−211081号公報
ところで、エキスパンドにより生じた半導体加工用テープの弛みを加熱により収縮させる方法としては、一般に、エキスパンドリングで突き上げられ弛みが生じた円環状の部分に、一対の温風ノズルを周回させることによって、当該部分に温風を当てて加熱し収縮させる方法が用いられている。
上記特許文献4に記載にされた半導体加工用テープでは、100℃において10秒間加熱した時のテープの長手方向および幅方向の双方の熱収縮率が0%以上20%以下となっている。しかしながら、温風ノズルを周回させて加熱した場合、半導体加工用テープの表面付近の温度は徐々に上昇していくため、円環状の全ての個所の弛みを除去するためには時間がかかるという問題があった。また、カーフ幅の保持性が十分ではなく、接着剤層同士が接触して再癒着し、半導体部品製造工程の歩留まりが悪化するという問題があった。
また、上記特許文献5に記載にされた半導体加工用テープは、130℃〜160℃における収縮率が0.1%以上となっており(特許文献5明細書の請求項1、参照)、収縮を生じる温度が高い。そのため、温風により加熱収縮を行う場合、高い温度と長い加熱時間が必要となり、温風がウエハ外周近傍の接着剤層まで影響を及ぼし、分割した接着剤層が融解して再融着するおそれがある。
そこで、本発明は、短時間で十分に加熱収縮させることができ、接着剤層同士が接触して再癒着することを抑制できる程度に、カーフ幅を十分に保持することができる半導体加工用テープを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明に係る半導体加工用テープは、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一面側に形成された粘着剤層とを有する粘着テープを有し、前記粘着テープは、MD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値であることを特徴とする。
また、上記半導体加工用テープは、前記粘着剤層側に、接着剤層と剥離フィルムとがこの順に積層されていることが好ましい。
また、上記半導体加工用テープは、フルカットおよびハーフカットのブレードダイシング、フルカットのレーザーダイシング、またはレーザーによるステルスダイシングに用いられることが好ましい。
本発明係る半導体加工用テープによれば、短時間で十分に加熱収縮させることができ、接着剤層同士が接触して再癒着することを抑制できる程度に、カーフ幅を十分に保持することができる。
本発明の実施形態に係る半導体加工用テープの構造を模式的に示す断面図である。 ウエハに、表面保護テープが貼合された状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る半導体加工用テープに、ウエハとリングフレームとを貼合する工程を説明するための断面図である。 ウエハの表面から表面保護テープを剥離する工程を説明する断面図である。 レーザー加工によりウエハに改質領域が形成された様子を示す断面図である。 (a)本発明の実施形態に係る半導体加工用テープがエキスパンド装置に搭載された状態を示す断面図である。(b)半導体加工用テープの拡張により、ウエハをチップに分断する過程を示す断面図である。(c)拡張後の半導体加工用テープ、接着剤層、およびチップを示す断面図である。 加熱収縮工程を説明するための断面図である。 実施例および比較例の評価におけるカーフ幅の測定地点を示す説明図である。 熱変形率の測定結果の例である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る半導体加工用テープ10を示す断面図である。本発明の半導体加工用テープ10は、エキスパンドによりウエハをチップに分断する際に、接着剤層13がチップに沿って分断されるものである。この半導体加工用テープ10は、基材フィルム11と基材フィルム11上に設けられた粘着剤層12とからなる粘着テープ15と、粘着剤層12上に設けられた接着剤層13とを有し、接着剤層13上にウエハの裏面が貼合されるものである。なお、それぞれの層は、使用工程や装置に合わせて予め所定形状に切断(プリカット)されていてもよい。さらに、本発明の半導体加工用テープ10は、ウエハ1枚分ごとに切断された形態であってもよいし、ウエハ1枚分ごとに切断されたものが複数形成された長尺のシートを、ロール状に巻き取った形態であってもよい。以下に、各層の構成について説明する。
<基材フィルム>
基材フィルム11は、均一かつ等方的な拡張性を有するとエキスパンド工程においてウエハが全方向に偏りなく切断できる点で好ましく、その材質についてはとくに限定されない。一般に、架橋樹脂は、非架橋樹脂と比較して引っ張りに対する復元力が大きく、エキスパンド工程後の引き伸ばされた状態に熱を加えた際の収縮応力が大きい。したがって、エキスパンド工程後にテープに生じた弛みを加熱収縮によって除去し、テープを緊張させて個々のチップの間隔(カーフ幅)を安定に保持する点で優れる。架橋樹脂のなかでも熱可塑性架橋樹脂がより好ましく使用される。一方、非架橋樹脂は、架橋樹脂と比較して引っ張りに対する復元力が小さい。したがって、−15℃〜0℃のような低温領域でのエキスパンド工程後、一度弛緩され、かつ常温に戻されて、ピックアップ工程、マウント工程に向かうときのテープが収縮しにくいため、チップに付着した接着剤層同士が接触することを防止できる点で優れる。非架橋樹脂のなかでもオレフィン系の非架橋樹脂がより好ましく使用される。
このような熱可塑性架橋樹脂としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸2元共重合体またはエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主な重合体構成成分とした3元共重合体を、金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂が、例示される。これらは、均一拡張性の面でエキスパンド工程に適し、かつ架橋によって加熱時に強く復元力が働く点で、特に好適である。上記アイオノマー樹脂に含まれる金属イオンはとくに限定されないが、亜鉛、ナトリウム等が挙げられるが、亜鉛イオンは溶出性が低く低汚染性の面から好ましい。上記3元共重合体の(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、炭素数が1〜4のアルキル基は弾性率が高くウエハに対して強い力を伝播できる点が好ましい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
また、上述の熱可塑性架橋樹脂としては、上記アイオノマー樹脂の他に、比重0.910以上〜0.930未満の低密度ポリエチレン、もしくは比重0.910未満の超低密度ポリエチレン、他にエチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂に対して、電子線等のエネルギー線を照射することで架橋させたものも好適である。このような熱可塑性架橋樹脂は、架橋部位と非架橋部位が樹脂中に共存していることから、一定の均一拡張性を有する。また、加熱時に強く復元力が働くことから、エキスパンド工程で生じたテープの弛みを除去する上でも好適であり、分子鎖の構成中に塩素をほとんど含まないため、使用後に不要となったテープを焼却処分しても、ダイオキシンやその類縁体といった塩素化芳香族炭化水素を発生させない為、環境負荷も小さい。上記ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体に対して照射するエネルギー線の量を適宜に調製することで、十分な均一拡張性を有する樹脂を得ることができる。
また、非架橋樹脂としては、例えば、ポリプロピレンとスチレン−ブタジエン共重合体との混合樹脂組成物が、例示される。
ポリプロピレンとしては、例えばプロピレンの単独重合体、又は、ブロック型若しくはランダム型プロピレン−エチレン共重合体を用いることができる。ランダム型のプロピレン−エチレン共重合体は剛性が小さく好ましい。プロピレン−エチレン共重合体中のエチレン構成単位の含有率が0.1重量%以上だと、テープの剛性と、混合樹脂組成物中の樹脂同士の相溶性が高い点で優れる。テープの剛性が適当であるとウエハの切断性が向上し、樹脂同士の相溶性が高い場合は押出し吐出量が安定化しやすい。より好ましくは1重量%以上である。また、プロピレン−エチレン共重合体中のエチレン構成単位の含有率が7重量%以下だと、ポリプロピレンが安定して重合しやすくなる点で優れる。より好ましくは5重量%以下である。
スチレン−ブタジエン共重合体としては水素添加したものを用いてもよい。スチレン−ブタジエン共重合体が水素添加されると、プロピレンとの相溶性が良くかつブタジエン中の二重結合に起因する酸化劣化による、脆化、変色を防止することができる。また、スチレン−ブタジエン共重合体中のスチレン構成単位の含有率が、5重量%以上であると、スチレン−ブタジエン共重合体が安定して重合しやすい点で好ましい。また40重量%以下では、柔軟で拡張性の点が優れる。より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下である。スチレン−ブタジエン共重合体としては、ブロック型共重合体又はランダム型共重合体のいずれも用いることができる。ランダム型共重合体は、スチレン相が均一に分散し、剛性が大きくなり過ぎるのを抑制でき、拡張性が向上することから好ましい。
混合樹脂組成物中におけるポリプロピレンの含有率が30重量%以上であると、基材フィルムの厚さムラを抑制できる点で優れる。厚さが均一であると、拡張性が等方化しやすく、また、基材フィルムの応力緩和性が大きくなり過ぎて、チップ間距離が経時的に小さくなり接着剤層同士が接触して再融着することを防止しやすい。より好ましくは50重量%以上である。また、ポリプロピレンの含有率が90重量%以下であると、基材フィルムの剛性を適当に調整しやすい。基材フィルムの剛性が大きくなりすぎると、基材フィルムを拡張するために必要な力が大きくなるため、装置の負荷が大きくなり、ウエハや接着剤層13の分断に十分なエキスパンドができなくなる場合があるので、適度に調整することは重要である。合樹脂組成物中のスチレン−ブタジエン共重合体の含有率の下限は10重量%以上が好ましく、装置に適した基材フィルムの剛性に調整しやすい。上限は70重量%以下だと厚さムラを抑制できる点で優れ、50重量%以下がより好ましい。
なお、図1に示す例では、基材フィルム11は単層であるが、これに限定されず、2種以上の樹脂を積層させた複数層構造であってもよいし、1種類の樹脂を2層以上に積層させてもよい。2種以上の樹脂は、架橋性か非架橋性かが統一されていれば各々の特性がより増強されて発現する観点で好ましく、架橋性か非架橋性を組合せて積層した場合には各々の欠点が補われる点で好ましい。基材フィルム11の厚みは特に規定しないが、半導体加工用テープ10のエキスパンド工程において引き伸ばし易く、かつ破断しないだけの十分な強度を持てばよい。例えば、50〜300μm程度がよく、70μm〜200μmがより好ましい。
複数層の基材フィルム11の製造方法としては、従来公知の押出法、ラミネート法などを用いることができる。ラミネート法を用いる場合は、層間に接着剤を介在させてもよい。接着剤としては従来公知の接着剤を用いることができる。
<粘着剤層>
粘着剤層12は、基材フィルム11に粘着剤組成物を塗工して形成することができる。本発明の半導体加工用テープ10を構成する粘着剤層12は、ダイシング時において接着剤層13との剥離を生じず、チップ飛びなどの不良を発生しない程度の保持性や、ピックアップ時において接着剤層13との剥離が容易となる特性を有するものであればよい。
本発明の半導体加工用テープ10において、粘着剤層12を構成する粘着剤組成物の構成はとくに限定されないが、ダイシング後のピックアップ性を向上させるために、エネルギー線硬化性のものが好ましく、硬化後に接着剤層13との剥離が容易となる材料であることが好ましい。一つの態様としては、粘着剤組成物中に、ベース樹脂として、炭素数が6〜12のアルキル鎖を有する(メタ)アクリレートを60モル%以上含み、かつヨウ素価5〜30のエネルギー線硬化性炭素−炭素二重結合を有する重合体(A)を有するものが例示される。なお、ここで、エネルギー線とは、紫外線のような光線、または電子線などの電離性放射線をいう。
このような重合体(A)において、エネルギー線硬化性炭素−炭素二重結合の導入量がヨウ素価で5以上であると、エネルギー線照射後の粘着力の低減効果が高くなる点で優れる。より好ましくは10以上である。また、ヨウ素価で30以下であるとエネルギー線照射後ピックアップされるまでのチップの保持力が高く、ピックアップ工程直前の拡張時にチップの間隙を広げるのが容易である点で優れる。ピックアップ工程前にチップの間隙を十分に広げることができると、ピックアップ時の各チップの画像認識が容易であったり、ピックアップしやすくなったりするので好ましい。また、炭素−炭素二重結合の導入量がヨウ素価で5以上30以下であると重合体(A)そのものに安定性があり、製造が容易となるため好ましい。
さらに、重合体(A)は、ガラス転移温度が−70℃以上であるとエネルギー線照射に伴う熱に対する耐熱性の点で優れ、より好ましくは−66℃以上である。また、15℃以下であれば、表面状態が粗いウエハにおけるダイシング後のチップの飛散防止効果の点で優れ、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−28℃以下である。
上記の重合体(A)はどのようにして製造されたものでもよいが、例えば、アクリル系共重合体とエネルギー線硬化性炭素−炭素二重結合をもつ化合物とを混合して得られるものや、官能基を有するアクリル系共重合体または官能基を有するメタクリル系共重合体(A1)と、その官能基と反応し得る官能基を有し、かつ、エネルギー線硬化性炭素−炭素二重結合をもつ化合物(A2)とを反応させて得られるものが用いられる。
このうち、上記の官能基を有するメタクリル系共重合体(A1)としては、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルなどの炭素−炭素二重結合を有する単量体(A1−1)と、炭素−炭素二重結合を有し、かつ、官能基を有する単量体(A1−2)とを共重合させて得られるものが例示される。単量体(A1−1)としては、炭素数が6〜12のアルキル鎖を有するヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレートまたはアルキル鎖の炭素数が5以下の単量体である、ペンチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、またはこれらと同様のメタクリレートなどを列挙することができる。
なお、単量体(A1−1)においてアルキル鎖の炭素数が6以上の成分は、粘着剤層と接着剤層の剥離力を小さくできるので、ピックアップ性の点で優れる。また、12以下の成分は、室温での弾性率が低く、粘着剤層と接着剤層の界面の接着力の点で優れる。粘着剤層と接着剤層の界面の接着力が高いと、テープを拡張してウエハを切断する際に、粘着剤層と接着剤層の界面ズレを抑制することができ、切断性が向上するため好ましい。
さらに、単量体(A1−1)として、アルキル鎖の炭素数が大きな単量体を使用するほどガラス転移温度は低くなるので、適宜選択することにより、所望のガラス転移温度を有する粘着剤組成物を調製することができる。また、ガラス転移温度の他、相溶性等の各種性能を上げる目的で酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合をもつ低分子化合物を配合することも可能である。その場合、これらの低分子化合物は、単量体(A1−1)の総質量の5質量%以下の範囲内で配合するものとする。
一方、単量体(A1−2)が有する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、環状酸無水基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができ、単量体(A1−2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、フタル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどを列挙することができる。
さらに、化合物(A2)において、用いられる官能基としては、化合物(A1)の有する官能基が、カルボキシル基または環状酸無水基である場合には、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができ、水酸基である場合には、環状酸無水基、イソシアネート基などを挙げることができ、アミノ基である場合には、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができ、エポキシ基である場合には、カルボキシル基、環状酸無水基、アミノ基などを挙げることができ、具体例としては、単量体(A1−2)の具体例で列挙したものと同様のものを列挙することができる。また、化合物(A2)として、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基またはカルボキシル基およびエネルギー線硬化性炭素−炭素二重結合を有する単量体でウレタン化したものを用いることもできる。
なお、化合物(A1)と化合物(A2)の反応において、未反応の官能基を残すことにより、酸価または水酸基価などの特性に関して、所望のものを製造することができる。重合体(A)の水酸基価が5〜100となるようにOH基を残すと、エネルギー線照射後の粘着力を減少することによりピックアップミスの危険性をさらに低減することができる。また、重合体(A)の酸価が0.5〜30となるようにCOOH基を残すと、本発明の半導体加工用テープを拡張させた後の粘着剤層の復元後の改善効果が得られ、好ましい。重合体(A)の水酸基価が5以上であると、エネルギー線照射後の粘着力の低減効果の点で優れ、100以下であると、エネルギー線照射後の粘着剤の流動性の点で優れる。また酸価が0.5以上であると、テープ復元性の点で優れ、30以下であると粘着剤の流動性の点で優れる。
上記の重合体(A)の合成において、反応を溶液重合で行う場合の有機溶剤としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系のものを使用することができるが、中でもトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼンメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどの、一般にアクリル系ポリマーの良溶媒で、沸点60〜120℃の溶剤が好ましく、重合開始剤としては、α,α′−アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を通常用いる。この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度および重合時間を調節することにより、所望の分子量の重合体(A)を得ることができる。また、分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶剤を用いることが好ましい。なお、この反応は溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもよい。
以上のようにして、重合体(A)を得ることができるが、本発明において、重合体(A)の分子量を30万以上にすると、凝集力を高められる点で優れる。凝集力が高いと、エキスパンドの際に接着剤層との界面でのずれを抑制する効果があり、接着剤層に引張力の伝搬がしやすくなるために接着剤層の分割性が向上する点で好ましい。重合体(A)の分子量を200万以下にすると、合成時および塗工時のゲル化抑制の点で優れる。なお、本発明における分子量とは、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
また、本発明の半導体加工用テープ10において、粘着剤層12を構成する樹脂組成物は、重合体(A)に加えて、さらに、架橋剤として作用する化合物(B)を有していてもよい。例えば、ポリイソシアネート類、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、およびエポキシ樹脂が挙げられ、これらは、単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。この化合物(B)は、重合体(A)または基材フィルムと反応し、その結果できる架橋構造により、粘着剤組成物塗工後に重合体(A)および(B)を主成分とした粘着剤の凝集力を向上することができる。
ポリイソシアネート類としては、特に制限がなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等を挙げることができ、具体的には、コロネートL(日本ポリウレタン株式会社製、商品名)等を用いることができる。メラミン・ホルムアルデヒド樹脂としては、具体的には、ニカラックMX−45(三和ケミカル株式会社製、商品名)、メラン(日立化成工業株式会社製、商品名)等を用いることができる。エポキシ樹脂としては、TETRAD−X(三菱化学株式会社製、商品名)等を用いることができる。本発明においては、特にポリイソシアネート類を用いることが好ましい。
化合物(B)の添加量を、重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上とした粘着剤層は凝集力の点で優れる。より好ましくは0.5質量部以上である。また10質量部以下とした粘着剤層は、塗工時の急激なゲル化抑制の点で優れ、粘着剤の配合や塗布等の作業性が良好となる。より好ましくは5質量部以下である。
また、本発明において、粘着剤層12には、光重合開始剤(C)が含まれていてもよい。粘着剤層12に含まれる光重合開始剤(C)に特に制限はなく、従来知られているものを用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体(ロフィン二量体)、アクリジン系化合物等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤(C)の添加量としては、重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上配合することが好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、その上限10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
さらに本発明に用いられるエネルギー線硬化性の粘着剤には必要に応じて粘着付与剤、粘着調製剤、界面活性剤など、あるいはその他の改質剤等を配合することができる。また、無機化合物フィラーを適宜加えてもよい。
粘着剤層12は、従来の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。例えば、上記粘着剤組成物を、基材フィルム11の所定の面に塗布して形成する方法や、上記粘着剤組成物を、セパレータ(例えば、離型剤が塗布されたプラスチック製フィルム又はシート等)上に塗布して粘着剤層12を形成した後、該粘着剤層12を基材の所定の面に転写する方法により、基材フィルム11上に粘着剤層12を形成することができる。なお、粘着剤層12は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
粘着剤層12の厚さとしては、特に制限はないが、厚さが2μm以上であると、タック力の点で優れ、5μm以上がより好ましい。15μm以下であると、ピックアップ性に優れ、10μm以下がより好ましい。
粘着テープ15は、MD(Machine Direction)方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD(Transverse Direction)方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値すなわち0未満である。MD方向はフィルム成膜時の流れ方向であり、TD方向はMD方向に対して垂直な方向である。
粘着テープ15のMD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和をマイナス値とすることにより、低温かつ短時間の加熱で半導体加工用テープ10を収縮させることができる。したがって、半導体加工用テープ10の弛みが生じた部分に一対の温風ノズルを周回させて加熱収縮させる方式を用いた場合であっても、エキスパンド量を低減させながら何度も加熱収縮させることなく、短時間でエキスパンドにより生じた弛みを除去し、適切なカーフ幅を保持することができる。
熱変形率は、JIS K7197:2012に準拠して温度による変形量を測定し、下記式(1)より算出することができる。
熱変形率TMA(%)=(試料長の変形量/測定前の試料長)×100 (1)
なお、変形量は試料の膨張方向を正、収縮方向を負として示す。
熱変形率の積分値は、図9におけるMD方向の曲線あるいはTD方向の曲線とx軸の囲む面積に相当し、MD方向における積分値とTD方向における積分値との和は、符号を含めた面積の和になる。そのため、和がマイナス値ということは、40℃〜80℃の間で粘着テープが総じて収縮の挙動を示すことを意味している。
上記MD方向における積分値とTD方向における積分値との和をマイナス値とするためには、樹脂フィルムを製膜後に引き延ばす工程を追加し、粘着テープ15を構成する樹脂の種類に応じて、粘着テープ15の厚さや、MD方向あるいはTD方向の引き延ばし量を調整すると良い。粘着テープをTD方向に引き延ばす方法としては、テンターを使用する方法、ブロー成形(インフレーション)による方法、エキスパンドロールを使用する方法等が挙げられ、MD方向に引き延ばす方法としては、金型吐出時に引張する方法、搬送ロール中で引張する方法等が挙げられる。本発明の粘着テープ15を得る方法としてはどの方法を用いても良い。
<接着剤層>
本発明の半導体加工用テープ10では、接着剤層13は、ウエハが貼合され、ダイシングされた後、チップをピックアップした際に、粘着剤層12から剥離してチップに付着するものである。そして、チップを基板やリードフレームに固定する際の接着剤として使用される。
接着剤層13は、特に限定されるものではないが、ウエハに一般的に使用されるフィルム状接着剤であれば良く、例えば熱可塑性樹脂および熱重合性成分を含有してなるものが挙げられる。本発明の接着剤層13に用いる上記熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂、または未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂が好ましく、特に制限はないが、一つの態様としては、重量平均分子量が5000〜200,000かつガラス転移温度が0〜150℃である熱可塑性樹脂が挙げられる。また、別な態様としては、重量平均分子量が100,000〜1,000,000かつガラス転移温度が−50〜20℃である熱可塑性樹脂が挙げられる。
前者の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、中でもポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂を使用することが好ましく、後者の熱可塑性樹脂としては、官能基を含む重合体を使用することが好ましい。
ポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。すなわち、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを等モル又はほぼ等モル用い(各成分の添加順序は任意)、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。このポリアミド酸は、50〜80℃の温度で加熱して解重合させることによって、その分子量を調整することもできる。ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法と、脱水剤を使用する化学閉環法で行うことができる。
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、ピロメリット酸ニ無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’、3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
また、ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては特に制限は無く、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サンテクノケミカル株式会社製ジェファーミンD−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。上記ポリイミド樹脂のガラス転移温度としては、0〜200℃であることが好ましく、重量平均分子量としては、1万〜20万であることが好ましい。
(式中、R1及びR2は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3及びR4は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
上記の他に好ましい熱可塑性樹脂の一つであるフェノキシ樹脂は、各種のビスフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させる方法、または、液状エポキシ樹脂とビスフェノールとを反応させる方法により得られる樹脂が好ましく、ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールビスフェノールAF、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールSが挙げられる。フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似していることからエポキシ樹脂との相溶性がよく、接着フィルムに良好な接着性を付与するのに好適である。
本発明で使用するフェノキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
上記一般式(2)において、Xは単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−S−、−SO−または−SO2−が挙げられる。ここで、アルキレン基は、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、−C(R1)(R2)−がより好ましい。R1、R2は水素原子またはアルキル基を表し、該アルキル基としては炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、1,3,3−トリメチルブチル等が挙げられる。また、該アルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば、トリフルオロメチル基が挙げられる。Xは、アルキレン基、−O−、−S−、フルオレン基または−SO2−が好ましく、アルキレン基、−SO2−がより好ましい。なかでも、−C(CH32−、−CH(CH3)−、−CH2−、−SO2−が好ましく、−C(CH32−、−CH(CH3)−、−CH2−がより好ましく、−C(CH32−が特に好ましい。
上記一般式(2)で表されるフェノキシ樹脂は、繰り返し単位を有するのであれば、上記一般式(2)のXが異なった繰り返し単位を複数有する樹脂であっても、Xが同一の繰り返し単位のみから構成されていてもよい。本発明においては、Xが同一の繰り返し単位のみから構成されている樹脂が好ましい。
また、上記一般式(2)で表されるフェノキシ樹脂に、水酸基、カルボキシル基等の極性置換基を含有させると、熱重合性成分との相溶性が向上し、均一な外観や特性を付与することができる。
フェノキシ樹脂の質量平均分子量が5000以上であるとフィルム形成性の点で優れる。より好ましくは10,000以上であり、さらに好ましくは30,000以上である。また、質量平均分子量が150,000以下であると、加熱圧着時の流動性や他の樹脂との相溶性の点で好ましい。より好ましくは100,000以下である。また、ガラス転移温度が−50℃以上であると、フィルム形成性の点で優れ、より好ましくは0℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上である。ガラス転移温度が150℃であると、ダイボンディング時の接着剤層13の接着力が優れ、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
一方、上記官能基を含む重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。
上記官能基含む高分子量成分としては、例えば、グリシジル基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム等を使用することができ、アクリルゴムが好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
官能基として、グリシジル基を含有する場合、グリシジル基含有反復単位の量は、0.5〜6.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜5.0重量%が特に好ましい。グリシジル基含有反復単位とは、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル共重合体の構成モノマーのことであり、具体的にはグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートである。グリシジル基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート以外の上記(メタ)アクリル共重合体の構成モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートおよび/またはエチルメタクリレートを示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度を考慮して決定すればよい。ガラス転移温度を−50℃以上にすると、フィルム形成性に優れ、常温での過剰なタックを抑制できる点で好ましい。常温でのタック力が過剰であると、接着剤層の取扱いが困難になる。より好ましくは−20℃以上であり、さらに好ましくは0℃以上である。また、ガラス転移温度を30℃以下にすると、ダイボンディング時の接着剤層の接着力の点で優れ、より好ましくは20℃以下である。
上記モノマーを重合させて、官能性モノマーを含む高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができ、中でもパール重合が好ましい。
本発明において、官能性モノマーを含む高分子量成分の重量平均分子量が100,000以上であると、フィルム形成性の点で優れ、より好ましくは200,000以上、さらに好ましくは500,000以上である。また、重量平均分子量を2,000,000以下で調整すると、ダイボンディング時の接着剤層の加熱流動性が向上する点で優れる。ダイボンディング時の接着剤層の加熱流動性が向上すると、接着剤層と被着体の密着が良好になり接着力を向上させることができる、また被着体の凹凸を埋めボイドを抑制しやすくなる。より好ましくは1,000,000以下であり、さらに好ましくは800,000以下であり、500,000以下にすると、さらに大きな効果を得ることができる。
また、熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物とトリガー材料が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着剤層としての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を硬化剤、促進剤と共に含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着剤層が得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。
上記のエポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に制限はなく、ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
上記のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び新日鉄住金化学株式会社製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。上記のフェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のエピコート152、エピコート154、日本化薬株式会社製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、また上記のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、新日鉄住金化学株式会社製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。上記の多官能エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のEpon1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。上記のアミン型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のエピコート604、東都化成株式会社製のYH−434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学工業株式会社製のELM−120等が挙げられる。上記の複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
上記熱硬化性樹脂を硬化させるために、適宜添加剤を加えることができる。このような添加剤としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、触媒等が挙げられ、触媒を添加する場合は助触媒を必要に応じて使用することができる。
上記熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂硬化剤又は硬化促進剤を使用することが好ましく、これらを併用することがより好ましい。硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素錯化合物、有機ヒドラジッド化合物、アミン類、ポリアミド樹脂、イミダゾール化合物、尿素もしくはチオ尿素化合物、ポリメルカプタン化合物、メルカプト基を末端に有するポリスルフィド樹脂、酸無水物、光・紫外線硬化剤が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
このうち、三フッ化ホウ素錯化合物としては、種々のアミン化合物(好ましくは1級アミン化合物)との三フッ化ホウ素−アミン錯体が挙げられ、有機ヒドラジッド化合物としては、イソフタル酸ジヒドラジドが挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。中でも分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物が好ましい。
上記分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンクレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、トリスフェノールノボラック樹脂、テトラキスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。さらにこれらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましく、接続信頼性を向上させることができる。
アミン類としては、鎖状脂肪族アミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、m−キシレンジアミン等)、環状脂肪族アミン(N−アミノエチルピペラジン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等)、ヘテロ環アミン(ピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、メラミン、グアナミン等)、芳香族アミン(メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノ、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等)、ポリアミド樹脂(ポリアミドアミンが好ましく、ダイマー酸とポリアミンの縮合物)、イミダゾール化合物(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、エポキシ・イミダゾール付加体等)、尿素もしくはチオ尿素化合物(N,N−ジアルキル尿素化合物、N,N−ジアルキルチオ尿素化合物等)、ポリメルカプタン化合物、メルカプト基を末端に有するポリスルフィド樹脂、酸無水物(テトラヒドロ無水フタル酸等)、光・紫外線硬化剤(ジフェニルヨードにウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等)が例示される。
上記硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。
イミダゾール類としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチル−5−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
エポキシ樹脂用硬化剤もしくは硬化促進剤の接着剤層中の含有量は、特に限定されず、最適な含有量は硬化剤もしくは硬化促進剤の種類によって異なる。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好ましい。より好ましくは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、接着剤層の特性が劣化し易くなるからである。その他の熱硬化性樹脂と硬化剤は、一実施態様において、熱硬化性樹脂100質量部に対して、硬化剤が0.5〜20質量部であり、他の実施態様においては、硬化剤が1〜10質量部である。硬化促進剤の含有量は、硬化剤の含有量より少ない方が好ましく、熱硬化性樹脂100質量部に対して硬化促進剤0.001〜1.5質量部が好ましく、0.01〜0.95質量部がさらに好ましい。前記範囲内に調整することで、十分な硬化反応の進行を補助することができる。触媒の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.001〜1.5質量部が好ましく、0.01〜1.0質量部がさらに好ましい。
また、本発明の接着剤層13は、その用途に応じてフィラーを適宜配合することができる。これにより、未硬化の状態における接着剤層のダイシング性の向上、取扱い性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与、さらに、硬化状態の接着剤層における熱伝導性の付与、接着力の向上を図ることが可能となっている。
本発明で用いるフィラーとしては、無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては特に制限は無く、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物などが使用できる。また、これらは単体あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。
また、上記の無機フィラーのうち、熱伝導性向上の観点からは、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等を用いることが好ましい。また、溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等を用いることが好ましい。また、ダイシング性の向上の観点からは、アルミナ、シリカを用いることが好ましい。
フィラーの含有割合が30質量%以上であると、ワイヤボンディング性の点で優れる。ワイヤボンディング時には、ワイヤを打つチップを接着している接着剤層の硬化後の貯蔵弾性率が170℃で20〜1000MPaの範囲に調整されていることが好ましく、フィラーの含有割合が30質量%以上であると接着剤層の硬化後の貯蔵弾性率をこの範囲に調整しやすい。また、フィラーの含有割合が75質量%以下であると、フィルム形成性、ダイボンディング時の接着剤層の加熱流動性に優れる。ダイボンディング時の接着剤層の加熱流動性が向上すると、接着剤層と被着体の密着が良好になり接着力を向上させることができる、また被着体の凹凸を埋めボイドを抑制しやすくなる。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。
本発明の接着剤層は、上記フィラーとして、平均粒径が異なる2種以上のフィラーを含むことができる。この場合、単一のフィラーを使用した場合に比べフィルム化前の原料混合物において、フィラーの含有割合が高い場合の粘度上昇若しくはフィラーの含有割合が低い場合の粘度低下を防止することが容易となり、良好なフィルム形成性が得られやすくなる、未硬化の接着剤層の流動性を最適に制御できる、とともに接着剤層の硬化後には優れた接着力を得られやすくなる。
また、本発明の接着剤層は、フィラーの平均粒径が2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。フィラーの平均粒径が2.0μm以下であるとフィルムの薄膜化が容易になる。ここで薄膜とは、20μm以下の厚さを示唆する。また、0.01μm以上であると分散性が良好である。
さらに、フィルム化前の原料混合物の粘度上昇若しくは低下を防止する、未硬化の接着剤層の流動性を最適に制御する、接着剤層の硬化後の接着力を向上させる観点から、平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲内にある第1のフィラー、及び、一次粒径の平均粒径が0.005〜0.03μmの範囲内にある第2のフィラーを含むことが好ましい。平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲内にあり且つ99%以上の粒子が粒径0.1〜1.0μmの範囲内に分布する第1のフィラー、及び、一次粒径の平均粒径が0.005〜0.03μmの範囲内にあり且つ99%以上の粒子が粒径0.005〜0.1μmの範囲内に分布する第2のフィラーを含むことが好ましい。
本発明における平均粒径は、50体積%の粒子がこの値より小さな直径を有する、累積体積分布曲線のD50値を意味する。本発明において、平均粒径またはD50値はレーザー回折法により、例えばMalvern Instruments社製のMalvern Mastersizer 2000を用いて測定される。この技術において、分散液中の粒子の大きさは、フラウンホーファーまたはミー理論のいずれかの応用に基づき、レーザー光線の回折を用いて測定される。本発明においては、ミー理論または非球状粒子に対する修正ミー理論を利用し、平均粒径またはD50値は入射するレーザー光線に対して0.02〜135°での散乱計測に関する。
本発明において、1つの態様では、接着剤層13を構成する粘着剤組成物全体に対して10〜40質量%の重量平均分子量が5000〜200,000の熱可塑性樹脂と、10〜40質量%の熱重合性成分と、30〜75質量%のフィラーを含んでもよい。この実施形態では、フィラーの含有量は30〜60質量%でもよく、40〜60質量%でもよい。また、熱可塑性樹脂の質量平均分子量は5000〜150,000でもよく、10,000〜100,000でもよい。
別の態様では、接着剤層13を構成する粘着剤組成物全体に対して10〜20質量%の重量平均分子量が200,000〜2,000,000の熱可塑性樹脂と、20〜50質量%の熱重合性成分と、30〜75質量%のフィラーを含んでもよい。この実施形態では、フィラーの含有量は30〜60質量%でもよく、30〜50質量%でもよい。また、熱可塑性樹脂の質量平均分子量は200,000〜1,000,000でもよく、200,000〜800,000でもよい。
配合比率を調整することで、接着剤層13の硬化後の貯蔵弾性率及び流動性の最適化ができ、また高温での耐熱性も充分に得られる傾向にある。
本発明の半導体加工用テープ10において、接着剤層13は、予めフィルム化されたもの(以下、接着フィルムという)を、基材フィルム11上に直接または間接的にラミネートして形成してもよい。ラミネート時の温度は10〜100℃の範囲とし、0.01〜10N/mの線圧をかけることが好ましい。なお、このような接着フィルムは、剥離フィルム上に接着剤層13が形成されたものであってもよく、その場合、ラミネート後に剥離フィルムを剥離してもよく、あるいは、そのまま半導体加工用テープ10のカバーフィルムとして使用し、ウエハを貼合する際に剥離してもよい。
前記接着フィルムは、粘着剤層12の全面に積層してもよいが、予め貼合されるウエハに応じた形状に切断された(プリカットされた)接着フィルムを粘着剤層12に積層してもよい。このように、ウエハに応じた接着フィルムを積層した場合、図3に示すように、ウエハWが貼合される部分には接着剤層13があり、リングフレーム20が貼合される部分には接着剤層13がなく粘着剤層12のみが存在する。一般に、接着剤層13は被着体と剥離しにくいため、プリカットされた接着フィルムを使用することで、リングフレーム20は粘着剤層12と貼合することができ、使用後のテープ剥離時にリングフレーム20への糊残りを生じにくいという効果が得られる。
<用途>
本発明の半導体加工用テープ10は、少なくとも拡張により接着剤層13を分断するエキスパンド工程を含む半導体装置の製造方法に使用されるものである。したがって、その他の工程や工程の順序などは特に限定されない。例えば、以下の半導体装置の製造方法(A)〜(E)において好適に使用できる。
半導体装置の製造方法(A)
(a)回路パターンが形成されたウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(b)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(c)70〜80℃でウエハを加熱した状態で、前記ウエハの裏面に前記半導体加工用テープの前記粘着剤層に貼合された接着剤フィルムを貼合する工程と、
(d)前記ウエハ表面から表面保護テープを剥離する工程と、
(e)前記ウエハの分割予定部分にレーザー光を照射して、該ウエハの内部に多光子吸収による改質領域を形成する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記ウエハと前記接着剤フィルムとを分断ラインに沿って分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と、
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分を加熱収縮させることで前記エキスパンド工程において生じた弛みを除去して該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
本半導体装置の製造方法は、ステルスダイシングを用いた方法である。
半導体装置の製造方法(B)
(a)回路パターンが形成されたウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(b)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(c)70〜80℃でウエハを加熱した状態で、ウエハの裏面に前記半導体加工用テープの前記粘着剤層に貼合された接着剤フィルムを貼合する工程と、
(d)前記ウエハ表面から表面保護テープを剥離する工程と、
(e)前記ウエハの表面から分断ラインに沿ってレーザー光を照射して、個々のチップに分断する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記接着剤フィルムを前記チップに対応して分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と、
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分を加熱収縮させることで前記エキスパンド工程において生じた弛みを除去して該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
本半導体装置の製造方法は、フルカットのレーザーダイシングを用いた方法である。
半導体装置の製造方法(C)
(a)回路パターンが形成されたウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(b)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(c)70〜80℃でウエハを加熱した状態で、ウエハの裏面に前記半導体加工用テープの前記粘着剤層に貼合された接着剤フィルムを貼合する工程と、
(d)前記ウエハ表面から表面保護テープを剥離する工程と、
(e)ダイシングブレードを用いて前記ウエハを分断ラインに沿って切削し、個々のチップに分断する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記接着剤フィルムを前記チップに対応して分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と、
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分を加熱収縮させることで前記エキスパンド工程において生じた弛みを除去して該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
本半導体装置の製造方法は、フルカットのブレードダイシングを用いた方法である。
半導体装置の製造方法(D)
(a)ダイシングブレードを用いて回路パタ−ンが形成されたウエハを分断ライン予定ラインに沿ってウエハの厚さ未満の深さまで切削する工程と、
(b)前記ウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(c)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(d)70〜80℃でウエハを加熱した状態で、前記チップの裏面に前記半導体加工用テープの前記粘着剤層に貼合された接着剤フィルムを貼合する工程と、
(e)前記ウエハ表面から表面保護テープを剥離する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記接着剤フィルムを前記チップに対応して分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と、
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分を加熱収縮させることで前記エキスパンド工程において生じた弛みを除去して該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
本半導体装置の製造方法は、ハーフカットのブレードダイシングを用いた方法である。
半導体装置の製造方法(E)
(a)回路パターンが形成されたウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(b)前記ウエハの分割予定部分にレーザー光を照射し、前記ウエハ内部に多光子吸収による改質領域を形成する工程と、
(c)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(d)前記ウエハを70〜80℃に加熱した状態で、前記ウエハ裏面に前記半導体加工用テープの接着剤層を貼合する工程と、
(e)前記ウエハ表面から前記表面保護テープを剥離する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記ウエハと前記接着剤層とを分断ラインに沿って分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と、
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分を加熱収縮させることにより、前記エキスパンド工程において生じた弛みを除去して該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを前記半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
本半導体装置の製造方法は、ステルスダイシングを用いた方法である。
<使用方法>
本発明の半導体加工用テープ10を、上記半導体装置の製造方法(A)に適用した場合の、テープの使用方法について、図2〜図5を参照しながら説明する。まず、図2に示すように、回路パターンが形成されたウエハWの表面に、紫外線硬化性成分を粘着剤に含む、回路パターン保護用の表面保護テープ14を貼合し、ウエハWの裏面を研削するバックグラインド工程を実施する。
バックグラインド工程の終了後、図3に示すように、ウエハマウンターのヒーターテーブル25上に、表面側を下にしてウエハWを載置した後、ウエハWの裏面に半導体加工用テープ10を貼合する。ここで使用する半導体加工用テープ10は、貼合するウエハWに応じた形状に予め切断(プリカット)された接着フィルムを積層したものであり、ウエハWと貼合する面においては、接着剤層13が露出した領域の周囲に粘着剤層12が露出している。この半導体加工用テープ10の接着剤層13が露出した部分とウエハWの裏面を貼り合わせるとともに、接着剤層13の周囲の粘着剤層12が露出した部分とリングフレーム20を貼り合わせる。このとき、ヒーターテーブル25は70〜80℃に設定されており、これにより加熱貼合が実施される。なお、本実施の形態においては、基材フィルム11と基材フィルム11上に設けられた粘着剤層12とからなる粘着テープ15と、粘着剤層12上に設けられた接着剤層13とを有する半導体加工用テープ10を用いるようにしたが、粘着テープとフィルム状接着剤とをそれぞれ用いるようにしてもよい。この場合、まず、ウエハの裏面にフィルム状接着剤を貼合して接着剤層を形成し、この接着剤層に粘着テープの粘着剤層を貼り合わせる。このとき、粘着テープとして本発明による粘着テープ15を用いる。
次に、半導体加工用テープ10が貼合されたウエハWをヒーターテーブル25上から搬出し、図4に示すように、半導体加工用テープ10側を下にして吸着テーブル26上へ載置する。そして、吸着テーブル26に吸着固定されたウエハWの上方から、エネルギー線光源27を用いて、例えば1000mJ/cm2の紫外線を表面保護テープ14の基材面側に照射し、表面保護テープ14のウエハWに対する接着力を低下させ、ウエハW表面から表面保護テープ14を剥離する。
次に、図5に示すように、ウエハWの分割予定部分にレーザー光を照射して、ウエハWの内部に多光子吸収による改質領域を32形成する。
次に、図6(a)に示すように、ウエハWおよびリングフレーム20が貼り合わされた半導体加工用テープ10を、基材フィルム11側を下にして、エキスパンド装置のステージ21上に載置する。
次に、図6(b)に示すように、リングフレーム20を固定した状態で、エキスパンド装置の中空円柱形状の突き上げ部材22を上昇させ、半導体加工用テープ10を拡張(エキスパンド)する。拡張条件としては、エキスパンド速度が、例えば5〜500mm/secであり、エキスパンド量(突き上げ量)が、例えば5〜25mmである。このように半導体加工用テープ10がウエハWの径方向に引き伸ばされることで、ウエハWが、前記改質領域32を起点としてチップ34単位に分断される。このとき、接着剤層13は、ウエハWの裏面に接着している部分では拡張による伸び(変形)が抑制されて破断は起こらないが、チップ34間の位置では、テープの拡張による張力が集中して破断する。したがって、図6(c)に示すように、ウエハWとともに接着剤層13も分断されることになる。これにより、接着剤層13が付いた複数のチップ34を得ることができる。
次に、図7に示すように、突き上げ部材22を元の位置に戻し、先のエキスパンド工程において発生した半導体加工用テープ10の弛みを除去して、チップ34の間隔を安定に保持するための工程を行う。この工程では、例えば、半導体加工用テープ10におけるチップ34が存在する領域と、リングフレーム20との間の円環状の加熱収縮領域28に、温風ノズル29を用いて40〜120℃の温風を当てて基材フィルム11を加熱収縮させ、半導体加工用テープ10をピンと張った状態にさせる。その後、粘着剤層12にエネルギー線硬化処理または熱硬化処理等を施し、粘着剤層12の接着剤層13に対する粘着力を弱めた後、チップ34をピックアップする。
なお、本実施の形態による半導体加工用テープ10は、粘着剤層12上に接着剤層13を備えた構成となっているが、接着剤層13を設けることなく構成してもよい。この場合、ウエハを粘着剤層12の上に貼合してウエハのみを分断するために用いてもよいし、半導体加工用テープの使用時において、接着剤層13と同様にして作製された接着フィルムを、ウエハと併せて粘着剤層12の上に貼合し、ウエハと接着フィルムとを分断するようにしてもよい。
<実施例>
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔半導体加工用テープの作製〕
(1)基材フィルムの作製
<基材フィルムA>
ラジカル重合法によって合成されたエチレン−メタアクリル酸−メタアクリル酸エチル共重合体の亜鉛アイオノマー(メタクリル酸含有量15%、メタアクリル酸エチル含有量5%、軟化点72℃、融点90℃、密度0.96g/cm3、亜鉛イオン含有量5質量%)の樹脂ビーズを230℃で溶融し、押出機を用いて厚さ150μmの長尺フィルムに成形した。その後、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばすことで基材フィルムAを作製した。
<基材フィルムB>
長尺フィルムの厚さを180μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムBを作製した。
<基材フィルムC>
長尺フィルムの厚さを215μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムCを作製した。
<基材フィルムD>
ラジカル重合法によって合成されたエチレン−メタアクリル酸−メタアクリル酸イソブチル共重合体の亜鉛アイオノマー(メタクリル酸含有量11%、メタアクリル酸イソブチル含有量9%、軟化点64℃、融点83℃、密度0.95g/cm3、亜鉛イオン含有量4質量%)の樹脂ビーズを230℃で溶融し、押出機を用いて厚さ150μmの長尺フィルムに成形した。その後、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばす ことで基材フィルムDを作製した。
<基材フィルムE>
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとホモプロピレン(PP)を52:48の配合比で混合した樹脂ビーズを200℃で溶融し、押出機を用いて厚さ150μmの長尺フィルム成形した。その後、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばすことで基材フィルムEを作製した。
<基材フィルムF>
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとホモプロピレン(PP)を64:36の配合比で混合した樹脂ビーズを200℃で溶融し、押出機を用いて厚さ150μmの長尺フィルムに成形した。その後、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばすことで基材フィルムFを作製した。
<基材フィルムG>
長尺フィルムの厚さを150μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにMD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムGを作製した。
<基材フィルムH>
長尺フィルムの厚さを150μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにMD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムDと同様にして基材フィルムHを作製した。
<基材フィルムI>
長尺フィルムの厚さを90μmとし、該長尺フィルムの引き伸ばし処理を行わなかった他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムIを作製した。
<基材フィルムJ>
長尺フィルムの厚さを90μmとし、該長尺フィルムの引き伸ばし処理を行わなかった他は、基材フィルムDと同様にして基材フィルムJを作製した。
<基材フィルムK>
長尺フィルムの厚さを90μmとし、該長尺フィルムの引き伸ばし処理を行わなかった他は、基材フィルムEと同様にして基材フィルムKを作製した。
<基材フィルムL>
長尺フィルムの厚さを90μmとし、該長尺フィルムの引き伸ばし処理を行わなかった他は、基材フィルムFと同様にして基材フィルムKを作製した。
<基材フィルムM>
長尺フィルムの厚さを110μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムMを作製した。
<基材フィルムN>
長尺フィルムの厚さを120μmとし、該長尺フィルムを厚さ90μmとなるようにTD方向に引き伸ばした他は、基材フィルムAと同様にして基材フィルムNを作製した。
(2)アクリル系共重合体の調製
官能基を有するアクリル系共重合体(A1)として、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなり、2−エチルヘキシルアクリレートの比率が60モル%、質量平均分子量70万の共重合体を調製した。次に、ヨウ素価が25となるように、2−イソシアナトエチルメタクリレートを添加して、ガラス転移温度−50℃、水酸基価10mgKOH/g、酸価5mgKOH/gのアクリル系共重合体を調製した。
(3)接着剤組成物の調製
エポキシ樹脂「1002」(三菱化学株式会社製、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量600)40質量部、エポキシ樹脂「806」(三菱化学株式会社製商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160、比重1.20)100質量部、硬化剤「Dyhard100SF」(デグサ製商品名、ジシアンジアミド)5質量部、シリカフィラー「SO−C2」(アドマファイン株式会社製商品名、平均粒径0.5μm)200質量部、及び、シリカフィラーである「アエロジルR972」(日本アエロジル株式会社製商品名、一次粒径の平均粒径0.016μm)3質量部からなる組成物にMEKを加え、攪拌混合し、均一な組成物とした。
これに、フェノキシ樹脂「PKHH」(INCHEM製商品名、質量平均分子量52,000、ガラス転移温度92℃)100質量部、カップリング剤として「KBM−802」(信越シリコーン株式会社製商品名、メルカプトプロピルトリメトキシシラン)0.6質量部、並びに、硬化促進剤としての「キュアゾール2PHZ−PW」(四国化成株式会社製商品名、2 − フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、分解温度230℃)0.5質量部を加え、均一になるまで攪拌混合した。更にこれを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡することにより、接着剤組成物のワニスを得た。
<実施例1>
上述のアクリル系共重合体100質量部に対して、ポリイソシアネートとしてコロネートL(日本ポリウレタン製)を5質量部加え、光重合開始剤としてEsacure KIP 150(Lamberti社製)を3質量部加えた混合物を、酢酸エチルに溶解させ、攪拌して粘着剤組成物を調製した。
次に、離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーにこの粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させた後、基材フィルムと貼り合わせ、基材フィルム上に粘着剤層が形成された粘着シートを作製した。
次に、離型処理したポリエチレン−テレフタレートフィルムよりなる剥離ライナーに、上述の接着剤組成物を、乾燥後の厚さが20μmになるように塗工し、110℃で5分間乾燥させて、剥離ライナー上に接着剤層が形成された接着フィルムを作製した。
粘着シートをリングフレームに対して開口部を覆うように貼り合わせることができるような図3等に示した形状に裁断した。また、接着フィルムを、ウエハ裏面を覆うことのできるような図3等に示した形状に裁断した。そして、前記粘着シートの粘着剤層側と前記接着フィルムの接着剤層側とを、図3等に示したように接着フィルムの周囲に粘着剤層12が露出する部分が形成されるように貼り合わせ、半導体加工用テープを作製した。
<実施例2〜8、比較例1〜6>
表1に記載の基材フィルムを用いた他は、実施例1と同様の手法により、実施例2〜8および比較例1〜6に係る半導体加工用テープを作製した。
実施例・比較例に係る半導体加工用テープの粘着テープについて、長さ24mm(変形量を測定する方向)、幅5mm(変形量を測定する方向に直交する方向)となるように切断し、試料片とした。得られた試料片について、熱機械特性試験機(株式会社リガク製、商品名:TMA8310)を用いて、引張荷重法にて以下の測定条件で、MD、TDの2方向における温度による変形を測定した。
(測定条件)
測定温度:−60〜100℃
昇温速度:5℃/min
測定荷重:19.6mN
雰囲気ガス:窒素雰囲気(100ml/min)
サンプリング:0.5s
チャック間距離:20mm
そして、下記式(1)により熱変形率を算出し、MD方向、TD方向それぞれの40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値を求め、その和を算出した。その結果を表1,2に示す。
熱変形率TMA(%)=(試料長の変位/測定前の試料長)×100 (1)
〔カーフ幅の保持性の評価〕
以下に示す方法により、前記実施例および前記比較例の各半導体加工用テープについて、ウエハをチップに分断し、カーフ幅の保持性を評価した。
(a)回路パターンが形成されたウエハ表面に表面保護テープを貼合する工程と、
(b)前記ウエハの分割予定部分にレーザー光を照射し、前記ウエハ内部に多光子吸収による改質領域を形成する工程と、
(c)前記ウエハ裏面を研削するバックグラインド工程と、
(d)前記ウエハを70〜80℃に加熱した状態で、前記ウエハ裏面に前記半導体加工用テープの接着剤層を貼合する工程と、
(e)前記ウエハ表面から前記表面保護テープを剥離する工程と、
(f)前記半導体加工用テープをエキスパンドすることにより、前記ウエハと前記接着剤層とを分断ラインに沿って分断し、複数の接着剤フィルム付きチップを得る工程と
(g)前記半導体加工用テープの前記チップと重ならない部分(チップが存在する領域とリングフレームとの間の円環状の領域)を加熱、収縮させることで(f)のエキスパンド工程において生じた弛みを除去し、該チップの間隔を保持する工程と、
(h)前記接着剤層が付いた前記チップを半導体加工用テープの粘着剤層からピックアップする工程とを実施した。
なお、(d)工程では、ウエハの分断ラインが基材フィルムのMD方向およびTD方向に添うように、ウエハを半導体加工用テープに貼合した。
(f)工程では、株式会社ディスコ社製DDS2300で、半導体加工用テープに貼合されたダイシング用リングフレームを、株式会社ディスコ社製DDS2300のエキスパンドリングにより押し下げ、半導体加工用テープのウエハ貼合部位外周の、ウエハに重ならない部分を円形の突き上げ部材に押し付けることでエキスパンドを実施した。(f)工程の条件としては、エキスパンド速度300mm/sec、エキスパンド高さ10mmとなるようにエキスパンド量を調整した。ここで、エキスパンド量とは、押下げ前と押下げ後のリングフレームと突き上げ部材の相対位置の変化量をいう。チップサイズは1×1mm角となるようにした。
(g)工程は、常温にてエキスパンド速度1mm/sec、エキスパンド高さ10mmの条件で再度エキスパンドを行った後、下記条件で熱収縮処理を行った。
[条件1]
ヒータ設定温度:220℃
熱風量:40L/min
ヒータと半導体加工用テープとの間隔:20mm
ヒータ回転速度:7°/sec
[条件2]
ヒータ設定温度:220℃
熱風量:40L/min
ヒータと半導体加工用テープとの間隔:20mm
ヒータ回転速度:5°/sec
実施例1〜8および比較例1〜6の半導体加工用テープについて、(g)工程直後に、図8に示すように、粘着テープのMD方向における欠けのない図8において右側最端のチップ50aのMD方向中央よりの隣のチップとの間のカーフ幅X(MD方向カーフ幅)と、チップ50aのTD方向中央よりの隣のチップとの間のカーフ幅Y(TD方向カーフ幅)を測定する。同様にして、粘着テープのMD方向における欠けのない図8において左側最端のチップ50bについても、MD方向カーフ幅およびTD方向カーフ幅を測定する。また、粘着テープのTD方向における欠けのない最両端チップ51、中央に位置するチップ52についても、MD方向カーフ幅およびTD方向カーフ幅を測定する。上記5点のMD方向カーフ幅の平均値と上記5点のTD方向カーフ幅の平均値を算出する。そして、MD方向カーフ幅の5点の平均値とTD方向カーフ幅の5点の平均値の小さい方を最小カーフ幅とした。上述の(g)工程の条件1、条件2の両方で最小カーフ幅が7μm以上であったものを優良品として「◎」、条件2では最小カーフ幅が7μm以上であったものを良品として「○」、条件2で最小カーフ幅が5μm以上であったものを許容品として「△」、条件1、条件2の両方で最小カーフ幅が5μm未満であったものを不良品として「×」で評価した。その結果を表1,2に示す。
表1に示すように、実施例1〜8に係る半導体加工用テープは、粘着テープのMD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値であるため、カーフ幅の保持性に優れる結果となった。これにより、接着剤層同士が接触して再癒着することを抑制することができた。
一方、比較例1〜6に係る半導体加工用テープは、表2に示すように、粘着テープのMD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値でないため、カーフ幅の保持性に劣る結果となった。
10:半導体加工用テープ
11:基材フィルム
12:粘着剤層
13:接着剤層
22:突き上げ部材
28:加熱収縮領域
29:温風ノズル

Claims (3)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一面側に形成された粘着剤層とを有する粘着テープを有し、
    前記粘着テープは、MD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値と、TD方向における熱機械特性試験機により昇温時に測定した40℃〜80℃の間の1℃毎の熱変形率の総和で算出される積分値との和がマイナス値であることを特徴とする半導体加工用テープ。
  2. 前記粘着剤層側に、接着剤層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用テープ。
  3. フルカットおよびハーフカットのブレードダイシング、レーザーダイシング、またはレーザーによるステルスダイシングに用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体加工用テープ。
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