JP2019174276A - X線装置および構造物の製造方法 - Google Patents

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教仁 松永
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Abstract

【課題】X線の位相情報に基づく被測定物の内部情報の取得と、X線の吸収に基づく被測定物の内部情報の取得とを可能にするX線装置を得る。【解決手段】X線装置は、被測定物へX線を出射するX線源と、被測定物を透過したX線の強度分布を検出する検出器と、被測定物への透過によるX線の吸収によって生じるX線の強度分布の変化に関する第1情報を生成する第1モードと、被測定物への透過によるX線の散乱および位相の少なくとも一方により生じるX線の強度分布の変化に関する第2情報を生成するための第2モードとのいずれかを実行させる制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、X線装置および構造物の製造方法に関する。
従来から、被測定物にて偏向したX線の位相情報に基づいて、被測定物の内部構造の画像を生成するX線装置が知られている。X線の位相情報を取得するために、X線源および被測定物の間と、被測定物および検出器の間とにマスクを配置し、偏向したX線を計測するX線装置がある(たとえば特許文献1)。しかしながら、このようなX線装置は、被測定物で吸収されたX線の吸収係数に基づいた被測定物の内部構造の画像を短い時間で生成するには適していないという問題がある。
特許第5280361号公報
第1の態様によると、X線装置は、被測定物へX線を出射するX線源と、前記被測定物を透過した前記X線の強度分布を検出する検出器と、前記被測定物への透過による前記X線の吸収によって生じる前記X線の強度分布の変化に関する第1情報を生成する第1モードと、前記被測定物への透過による前記X線の散乱および位相の変化の少なくとも一方により生じる前記X線の強度分布の変化に関する第2情報を生成するための第2モードとのいずれかを実行させる制御部と、を備える。
第2の態様によると、構造物の製造方法は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、作成された前記構造物の形状を、請求項1から9のいずれか一項に記載のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する。
第1の実施の形態によるX線装置の要部構成の一例を模式的に示す図である。 光学ユニットの一例を模式的に示す図である。 第1の実施の形態によるX線装置において第1モードが実行される場合の要部構成の一例を模式的に示す図である。 評価用測定物を用いて第1モードと第2モードとの切り替えの判定について説明する図である。 第1の実施の形態のX線装置が実行する処理を説明するフローチャートである。 実施の形態による構造物製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 実施の形態による構造物製造システムが実行する処理を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態によるX線装置の要部構成の一例を模式的に示す図である。
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、第1の実施の形態によるX線装置について説明する。X線装置は、被測定物にX線を照射して、被測定物を透過したX線を検出することにより、被測定物の内部情報(たとえば内部構造)等を被測定物を破壊することなく取得する。
図1は本実施の形態によるX線装置100の構成の一例を示す図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸、Z軸からなる座標系を図示の通りに設定する。
X線装置100は、筐体1と、X線源2と、載置部3と、検出器4と、制御装置5と、光学ユニット6と、表示モニタ7とを備える。筐体1は、その下面が工場等の床面に実質的に平行(水平)となるように配置されている。筐体1の内部には、X線源2と、載置部3と、検出器4と、光学ユニット6とが収容される。筐体1は、X線が筐体1の外部に漏洩しないようにするため、X線遮蔽材料を含む。なお、X線遮蔽材料として鉛を含む。
X線源2は、制御装置5による制御に応じて、図1に示す出射点Pを頂点としてZ軸に平行な光軸Zrに沿って、Z軸+方向へ向けてX線を放射する。この出射点Pは後述するX線源2の内部を伝搬する電子線の焦点位置と一致する。すなわち、光軸Zrは、X線源2の電子線の焦点位置である出射点Pと、後述する検出器4の撮像領域の中心とを結ぶ軸である。なお、X線源2から放射するX線は、円錐状に拡がるX線(いわゆるコーンビーム)、扇状のX線(いわゆるファンビーム)、および直線状のX線(いあわゆるペンシルビーム)のいずれでもよい。なお、ファンビームおよびペンシルビームを用いる場合は、被測定物S全体を検査するために、ビームと被測定物Sとを相対的に移動させるスキャン動作を行う必要がある。X線源2は、たとえば約50eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線および約20keV〜数MeVの硬X線の少なくとも1つを照射する。
載置部3は、被測定物Sが載置される載置台31と、回転駆動部32、X軸移動部33、Y軸移動部34およびZ軸移動部35からなるマニピュレータ部36とを備え、X線源2よりもZ軸+側に設けられている。
載置台31は、回転駆動部32により回転可能に設けられる。後述するように、回転駆動部32による回転軸YrがX軸、Y軸、Z軸方向に移動する際に、載置台31はともに移動する。
回転駆動部32は、たとえば電動モータ等によって構成され、後述する制御装置5により制御されて駆動した電動モータが発生する回転力によって、載置台31を回転させる。載置台31の回転軸Yrは、Y軸に平行、かつ、載置台31の中心を通過する。
X軸移動部33、Y軸移動部34およびZ軸移動部35は、制御装置5により制御されて、載置台31をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させる。Z軸移動部35は、制御装置5により制御されて、X線源2から被測定物Sまでの距離が、撮影される画像における被測定物Sの拡大率に応じた距離となるように載置台31をZ軸方向に移動させる。
検出器4は、載置台31よりもZ軸+側に設けられている。すなわち、載置台31は、Z軸方向において、X線源2と検出器4との間に設けられる。検出器4は、公知のシンチレーション物質を含むシンチレータ部、光電子増倍管、CCD等の受光部等によって構成され、X線源2から出射され、載置台31上に載置された被測定物Sを透過した透過X線を含むX線を受光する。検出器4は、受光したX線のエネルギーを光エネルギーに変換した後、当該光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気信号として出力する。
なお、検出器4は、入射するX線のエネルギーを光エネルギーに変換することなく電気信号に変換して出力してもよい。また、検出器4は、複数の画素を有しており、それらの画素は2次元的に配列されている。これにより、X線源2から放射され、被測定物Sを通過したX線の2次元的な強度分布データを一括して取得できる。従って、1回の撮影で被測定物Sの全体の投影像を取得することができる。
光学ユニット6は、後述する第2モードにおいて被測定物Sの位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するための第1光学ユニット61と第2光学ユニット62とを有する。なお、本実施の形態においては、光学ユニット6は第2モードにおいて公知のコーデッドアパーチャ(CA)方式により位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するための構造を有するものとして説明を行う。
第1光学ユニット61は、X線源2と被測定物Sとの間のX線の経路中に配置される。第1光学ユニット61は、光学素子611と、光学素子611を着脱可能に保持する保持部612と、保持部612を移動させることにより光学素子611の位置を調節する調節部613とを有する。光学素子611は、たとえば金属製の板状部材に形成された複数の開口を有する。開口の形状はスリット状でもよいし、三角形や矩形等の多角形でもよい。調節部613は、保持部612のX軸方向の位置を調節するX軸調節部614と、Y軸方向の位置を調節するY軸調節部615と、Z軸方向の位置を調節するZ軸調節部616とを有する。
第2光学ユニット62は、被測定物Sと検出器4との間のX線の経路中に配置される。第2光学ユニット62は、第1光学ユニット61と同様に、光学素子621と、保持部622と、調節部623とを有する。光学素子621は、たとえば金属製の板状部材に形成された複数の開口を有する。開口の形状はスリット状でもよいし、三角形や矩形等の多角形でもよい。保持部622は、光学素子621を着脱可能に保持する。調節部623は、保持部622を移動させることにより光学素子621の位置を調節する。調節部623は、保持部622のX軸方向の位置を調節するX軸調節部624と、Y軸方向の位置を調節するY軸調節部625と、Z軸方向の位置を調節するZ軸調節部626とを有する。なお、光学素子621が有する開口の形状は、光学素子611が有する開口の形状に対応した形状とする。
図2に、光学素子611、621の一例を模式的に示す。図2(a)は、光学素子611、621のXY平面における形状を模式的に示す図であり、開口の形状をスリット状にした場合を例として示す。光学素子611は複数の開口619(619a、619b、619c、619d)を有し、光学素子621は複数の開口629(629a、629b、629c、629d)を有する。光学素子621の開口629のピッチは、検出器4の画素の配列ピッチにより決定される。光学素子611の開口619のピッチは、検出器4の画素の配列ピッチと、X線源2から被測定物Sまでの距離と、X線源2から検出器4までの距離とに基づいて決定される。なお、図2(a)に示す開口619、629の個数は一例であり、図に示す個数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
図2(b)に示すように、X線源2から出射したX線は、光学素子611の開口619を透過し、開口619以外の領域では吸収される。開口619を通過したX線は、光学素子621の開口629を通過し、開口629以外の領域では吸収される。図2(b)に示すように開口619a、619b、619c、619dを通過したX線は、それぞれ開口629a、629b、629c、629dを通過する。すなわち、光学素子611の開口619a、619b、619c、619dと光学素子621の開口629a、629b、629c、629dとはそれぞれ一対一に対応するように配置される。開口629を透過したX線は検出器4に入射する。図に示す例では、開口629a、629b、629c、629dを通過したX線は、それぞれ検出器4の画素411a、411b、411c、411dに入射する。
図2(c)に示すように、光学素子611と光学素子621との間に被測定物Sが存在する場合、開口619を通過しX線は被測定物Sの内部にて屈折、散乱等をして、わずかに偏向する。図2(c)に示す例では、光学素子611の開口619b、619cを通過したX線は被測定物Sで偏向するため、実線で示す被測定物Sが無い場合のX線の経路と比較して、破線で示すように偏向する。この偏向により、光学素子621の開口629b、629cを通過して検出器4の画素411b、411cへ入射するX線量は、図2(b)に示す被測定物Sが存在しない場合と比較して増減する。この増減したX線量には、偏向により位相が変化しコントラストが生じたX線の情報が含まれる。後述する画像生成部53は、この位相が変化して生じたコントラストに基づいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成する。
なお、光学ユニット6がコーデッドアパーチャ方式で位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するための構造を有するものに限定されず、たとえばX線の干渉に基づいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するためのタルボ−ロー干渉計であってよい。タルボ−ロー干渉計の場合、X線源2の近傍と、被測定物Sの後段(Z軸+側)と、検出器4の前面(Z軸−側)との3箇所に格子を配置する。なお、たとえばX線の偏向に基づいたDiffraction Enhanced Imaging(DEI)にて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成する場合、光学ユニット6にアナライザ結晶を被測定物Sに対して所定の角度だけ傾けて配置してもよい。
図1に示す表示モニタ7は、たとえば液晶モニタ等により構成され、後述する制御装置5にて生成された被測定物Sの内部に関する情報である吸収画像、再構成画像、位相画像、散乱画像等を表示する。
制御装置5は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(たとえばフラッシュメモリ等)に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、X線装置100の各部を制御する。制御装置5は、X線源2の動作を制御するX線制御部51と、マニピュレータ部36の駆動動作を制御する載置台制御部52と、検出器4から出力された電気信号に基づいて被測定物SのX線投影画像データを生成する画像生成部53と、光学素子611、621の位置を調節する調節部613、623の駆動動作を制御する光学ユニット制御部54と、後述する第1モードおよび第2モードの何れかにて動作するようにX線装置100の各部を制御する動作制御部55と、を有する。
第1モードは、X線が被測定物Sの内部を透過することにより、被測定物Sの内部でのX線の吸収によって生じるX線の強度分布の変化に関する情報(第1情報)を生成するための動作モードである。本実施の形態においては、第1モードにて、被測定物Sの内部で吸収されたX線吸収の分布に基づいて吸収画像データが第1情報として生成される。
第2モードは、X線が被測定物Sの内部を透過することにより、被測定物Sの内部でのX線の散乱および位相の少なくとも一方により生じるX線の強度分布の変化に関する情報(第2情報)を生成するための動作モードであると。本実施の形態においては、第2モードにて、被測定物Sの内部で偏向したX線の位相に基づいて、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方が第2情報として生成される。
画像生成部53は、第1モードにて被測定物Sを透過したX線による強度分布データに基づいて吸収画像データを生成する。画像生成部53は、第2モードにて被測定物Sで偏向したX線の位相データに基づいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成する。
画像再構成部56は、被測定物Sに対するX線照射方向を相対的に変化させて投影し、それにより得られた複数の吸収画像データ、または、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方に基づいて、公知の画像再構成処理方法を用いることで、被測定物Sの再構成画像を生成する。画像再構成処理により、被測定物Sの内部構造(断面構造)である断面画像データや3次元データが生成される。なお、断面画像データとは、XZ平面と平行な面内における被測定物Sの構造データを含む。画像再構成処理としては、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法等がある。
以下、本実施の形態のX線装置100の動作モードである第1モードと第2モードとについて説明を行う。
(1)第1モード
第1モードは、X線が被測定物Sを透過することにより吸収される吸収分布に基づいて、被測定物Sの内部の吸収画像データを生成するモードである。動作制御部55は、第1モードにおいて被測定物SにX線を照射し検出器4で検出するための条件(以下、第1の撮影条件と呼ぶ)を設定する。すなわち、第1の撮影条件として、X線源2が出射するX線の出力に関する条件と拡大率とを設定する。拡大率は、X線源2と被測定物Sとの間の距離と検出器4と被測定物S(またはX線源2)との間の距離とに基づいて決定する。本実施の形態においては、動作制御部55は、第1モードにおけるX線源2が出射するX線の出力に関する条件として、X線源2の内部を伝搬する電子線の加速電圧を60〜80KeV程度、X線源2のパワーを5〜10W程度、出射点Pにおける電子線のスポット径を5μm程度に設定する。なお、上記の各値は一例であり、これらの値に限定されるものではない。また、スポット径は吸収画像の生成時に要求される分解能に応じて適宜変更できる。動作制御部55は、第1モードにおける拡大率として、たとえば20倍程度の高倍率に設定する。なお、上記の拡大率も一例であり、この値に限定されるものではなく、被測定物Sの大きさ等に応じて適宜変更できる。
なお、第1モードにおいては、光学ユニット6は使用されない。図3のX線装置100の要部構成を例示するブロック図に示すように、本実施の形態では、光学素子611、621は、それぞれ保持部612、622から取り外される。
動作制御部55によって設定された上記の第1の撮影条件に基づいて、X線制御部51はX線源2の動作を制御しX線を出射させる。載置台制御部52はマニピュレータ部36を制御してZ軸移動部35に載置台31をZ軸方向に移動させ、X線源2から被測定物Sまでの距離が、第1の撮影条件として設定された被測定物Sの拡大率に応じた距離となる位置に載置台31を位置させる。この状態でX線源2からX線が出射され、被測定物Sを通ったX線は検出器4に入射する。検出器4は、入射したX線の強度に応じた信号を出力し、画像生成部53は、検出器4からの信号を用いて吸収画像データを生成する。
(2)第2モード
第2モードは、X線が被測定物Sを透過するときに偏向したX線の位相に基づいて被測定物Sの内部の位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するモードである。第2モードにおいては、図1の要部構成を例示するブロック図に示すように、光学ユニット6が使用される。動作制御部55は、第2モードにおいて被測定物SにX線を照射し検出器4で検出するための条件(以下、第2の撮影条件と呼ぶ)を設定する。すなわち、第2の撮影条件として、上述したX線源2が出射するX線の出力に関する条件と拡大率とに加えて、X線の経路上に配置された光学ユニット6の設置、すなわち、光学素子611、621の位置とを設定する。
本実施の形態においては、動作制御部55は、第2モードにおけるX線源2が出射するX線の出力に関する条件として、X線源2の内部を伝搬する電子線の加速電圧を30〜60KeV程度、X線源2のパワーを10〜100W程度、出射点Pにおける電子線のスポット径を5〜60μm程度に設定する。
第2モードでは、X線が被測定物S内で顕著に偏向させることを目的として、動作制御部55は、第1モードの場合よりも電子線の加速電圧を小さな値に設定する。また、第2モードでは、X線が光学素子611、621を通過することに伴うX線のエネルギーロスが見込まれるため、動作制御部55は、第1モードの場合よりもX線源2のパワーを大きな値に設定する。なお、上記の各値は一例であり、これらの値に限定されるものではない。
動作制御部55は、第2モードにおける拡大率として、たとえば2倍程度の低倍率に設定する。すなわち、第2モードの際には、第1モードに比べて、被測定物Sは検出器4の比較的近くに位置するように移動される。第2モードにおいては、生成される位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の分解能が、上述した光学素子611、621の開口619、629の幅に応じて決まるので、第1モードの場合のように被測定物SをX線源2の近傍に位置させる必要はない。第2モードにおいて拡大率を低倍率に設定する理由は次の通りである。被測定物Sの位置をX線源2に近づけようとすると、これに伴って、光学素子611もX線源に近づける必要がある。その結果、光学素子611へのX線の入射角が大きくなり、開口におけるケラレが大きくなり、開口を通過するX線が減少する。なお、上記の拡大率も一例であり、この値に限定されるものではなく、被測定物Sの大きさ等に応じて適宜変更できる。
上記の通り、第2モードにおいては、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するために光学ユニット6の光学素子611、621がX線の経路中に配置される。動作制御部55は、表示モニタ7に光学素子611、621の取り付けを促すメッセージまたは、光学ユニット6の光学素子611、621がX線の経路中に配置された旨のメッセージ等を表示させる。すなわち、表示モニタ7は、光学素子611、621のX線経路への設置について報知する報知部として機能する。なお、表示モニタ7に代えて、スピーカー等を用いて音声により光学素子611、621の設置を報知してよい。
光学素子611、621が保持部612、622に保持されると、動作制御部55は、光学ユニット制御部54を制御して調節部613、623を駆動させ、光学素子611、621のX軸、Y軸およびZ軸方向の位置を調節し、光学素子611、621を撮影位置に位置させる。撮影位置とは、光学素子611に形成された開口619と光学素子621に形成された開口629とが一対一に対応する位置、すなわち光学素子621の開口629のそれぞれに対応した開口619以外の開口619からのX線が通過しないという条件を満たす光学素子611、621の位置である。
なお、保持部612、622は接触センサ等の信号に基づいて光学素子611、621の保持部612、622への取り付けを検出し、取り付けが検出された後に調節部613、623は撮影位置への調節をする。または、保持部612、622へ光学素子611、621を取り付けた後、ユーザがボタン等の所定の操作部材を操作することにより、調節部613、623が撮影位置への調節を行ってもよい。また、光学素子611、621が取り付けられていない状態で保持部612、622を撮影位置に位置させた後、光学素子611、621を取り付けてもよい。
動作制御部55によって設定された上記の第2の撮影条件に基づいて、載置台制御部52はマニピュレータ部36を制御してZ軸移動部35に載置台31をZ軸方向に移動させ、X線源2から被測定物Sまでの距離が、第2の撮影条件として設定された被測定物Sの拡大率に応じた距離となる位置に載置台31を位置させる。また、動作制御部55は、設定された上記の第2の撮影条件に基づいて、X線制御部51はX線源2の動作を制御しX線を出射させる。被測定物Sを通ったX線は検出器4に入射する。検出器4は、入射したX線の強度に応じた信号を出力し、画像生成部53は、検出器4からの信号を用いて、被測定物Sによる偏向したX線に基づいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成する。
次に、動作制御部55が、第1モードと第2モードとを切り替えるための判定処理について説明する。動作制御部55は、第1情報と、被測定物Sと被測定物Sとは異なる評価用のサンプル(以下、評価用測定物と呼ぶ)へのX線の透過によって生じるX線の強度分布の変化に関する情報(第3情報)とを比較して、第2モードの実行の要否を判定する。本実施の形態では、動作制御部55は、被測定物Sと評価用測定物とのX線の吸収係数の差に基づいて、第1モードおよび第2モードのいずれにて被測定物Sの内部に関する情報を生成するかを判定する。吸収係数は、トムソン散乱、光電吸収、コンプトン散乱、および電子対生成等のX線との相互作用による、被測定物SにおけるX線の吸収の度合いを表す係数である。
図4(a)は、被測定物Sと評価用測定物Tとを載置台31上に載置した場合を模式的に示した図である。評価用測定物Tは、適当な厚さを有し、たとえば水(HO)やアクリル樹脂(PMMA:C)等の原子番号が比較的小さな元素により構成され、X線の吸収係数は小さい。すなわち、評価用測定物Tは、X線吸収の分布に基づいて良好な投影画像(吸収画像)を生成することが難しい物質である。被測定物Sと評価用測定物Tとが載置台31に載置されると、動作制御部55は、まず、第1モードにて被測定物Sと評価用測定物Tとを撮影するために、上述した第1の撮影条件を設定する。
図4(b)に、第1モードにて撮影された被測定物Sおよび評価用測定物TのX線の吸収係数(吸収値)の一例を模式的に示す。図4(b)では、ピークP1は評価用測定物TのX線の吸収係数を表し、その値をμ_evaとし、ピークP2は被測定物SのX線の吸収係数を表し、その値をμ_sampとする。
被測定物Sの吸収係数μ_sampの値が評価用測定物Tの吸収係数μ_evaの値より大きく、かつ、その差が大きい場合、被測定物Sの内部は、原子番号が比較的大きな元素を含んで構成されていると考えられる。このような場合には、被測定物SによるX線の吸収係数は十分大きいため、X線吸収の分布に基づいて吸収画像を生成する第1モードによる撮影を行うことが好ましい。
一方、被測定物Sの吸収係数μ_sampの値と評価用測定物Tの吸収係数μ_evaの値との相違が小さい場合、被測定物Sは、評価用測定物Tと同様にX線の吸収係数が小さいので、X線吸収の分布に基づいて良好な吸収画像を生成することは難しい。このような場合には、被測定物Sによって偏向されたX線の位相に基づいて位相画像および散乱画像の少なくとも一方を生成する第2モードによる撮影を行うことが好ましい。
本実施の形態では、動作制御部55は、吸収係数μ_evaの方が吸収係数μ_sampより大きく、かつ、その差である評価値(=|μ_eva−μ_samp|/μ_eva)の値が所定の閾値th以下の場合には、第2モードへの切り替えを判定する。評価値が閾値thを超える場合には、第1モードで撮影された信号に基づいて、被測定物Sの吸収画像データを生成する。閾値thとしては、たとえば1/100〜1/10の値を設定してよい。
なお、上記では被測定物Sと評価用測定物Tとを一緒に撮影するように説明したが、被測定物Sと評価用測定物Tとは個別に撮影してもよい。この場合、動作制御部55は、両者を撮影する際の第1の撮影条件を同一に設定する。
また、評価用測定物Tを用いなくてもよい。この場合、X線の吸収係数が小さい材料のX線の吸収に関するデータを予めメモリ(不図示)に記憶し、動作制御部55は、このデータと、第1モードにて検出された被測定物SのX線の吸収係数とを比較してもよい。
図5のフローチャートを参照しながら、上述した第1の実施の形態のX線装置100の動作を説明する。図5に示すフローチャートの各処理は制御装置5でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、制御装置5により起動され、実行される。
制御装置5の動作制御部55は、第1の撮影条件を設定してステップS2へ進む。ステップS2では、動作制御部55は、設定された第1の撮影条件にて第1モードによる撮影を行わせる。すなわち、載置台制御部52は、マニピュレータ部36を制御してZ軸移動部35に載置台31をZ軸方向に移動させ、X線源2から被測定物Sまでの距離が、第1の撮影条件として設定された被測定物Sの拡大率に応じた距離となる位置に載置台31を位置させる。X線制御部51は、第1の撮影条件に基づいてX線源2の出力等を制御して、X線を被測定物Sおよび評価用測定物Tに照射させる。
ステップS3では、検出器4は、被測定物Sおよび評価用測定物Tを通って入射したX線の強度に応じた信号を出力し、画像生成部53は検出器4からの信号に基づいて被測定物Sの吸収画像データを生成してステップS4へ進む。ステップS4では、全ての測定角度について吸収画像データの生成が行われたか否かを判定する。全ての測定角度について吸収画像データの生成が行われた場合には、ステップS4が肯定判定されてステップS5へ進む。吸収画像データの生成が行われていない測定角度が存在する場合には、ステップS4が否定判定されてステップS6へ進む。ステップS6では、載置台制御部52はマニピュレータ部36を駆動させて、載置台31を所定の測定角度に回転駆動させてステップS2へ戻る。
ステップS5では、動作制御部55は、被測定物SによるX線の吸収係数μ_sampと評価用測定物Tの吸収係数μ_evaとの差に基づく評価値が、閾値th以下であるか否かを判定する。評価値が閾値th以下の場合には、ステップS5が肯定判定されてステップS7へ進む。評価値が閾値thを超える場合には、ステップS5が否定判定されて、後述するステップS11へ進む。
ステップS7では、動作制御部55は、第2の撮影条件を設定してステップS8へ進む。ステップS8では、動作制御部55は、設定された第2の撮影条件にて第2モードによる撮影を行わせる。動作制御部55は、表示モニタ7に光学素子611、621の取り付けを促すメッセージ等を表示させ、光学素子611、621が保持部612、622に取り付けられると、光学ユニット制御部54は調節部613、623を駆動して光学素子611、621を撮影位置に位置させる。載置台制御部52は、マニピュレータ部36を制御してZ軸移動部35に載置台31をZ軸方向に移動させ、X線源2から被測定物Sまでの距離が、第2の撮影条件として設定された被測定物Sの拡大率に応じた距離となる位置に載置台31を位置させる。X線制御部51は、第2の撮影条件に基づいてX線源2の出力等を制御して、X線を出射させる。
ステップS9では、検出器4は、入射したX線の強度に応じた信号を出力し、画像生成部53は検出器4からの信号に基づいて被測定物Sの位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成してステップS10へ進む。ステップS10では、全ての測定角度について位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成が行われたか否かを判定する。全ての測定角度について位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成が行われた場合には、ステップS10が肯定判定されてステップS11へ進む。位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成が行われていない測定角度が存在する場合には、ステップS10が否定判定されてステップS12へ進む。ステップS12では、載置台制御部52はマニピュレータ部36を駆動させて、載置台31を所定の測定角度に回転駆動させてステップS8へ戻る。
ステップS11では、第1モードによる撮影で生成された吸収画像データまたは第2モードによる撮影で生成された位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方に基づいて、画像再構成部56は、被測定物Sの3次元データを生成して処理を終了する。なお、制御装置5は、この3次元データをモニタ(不図示)に表示したり、メモリ(不図示)に記憶させたりすることができる。
なお、上記の説明では、全ての測定角度で吸収画像データの生成が行われた後にステップS5にて評価値と閾値thとの比較を行うものとしたが、少なくとも1つの測定角度で吸収画像データの生成が行われた後にステップS5の処理を行ってもよい。この場合、ステップS5にて評価値が閾値thを超えると判定された場合に、ステップ4および/またはステップS6の処理を行なってよい。
図面を参照して、本発明の実施の形態による構造物製造システムを説明する。本実施の形態の構造物製造システムは、たとえば自動車のドア部分、エンジン部分、ギア部分および回路基板を備える電子部品等の成型品を作成する。
図6は本実施の形態による構造物製造システム400の構成の一例を示すブロック図である。構造物製造システム400は、第1の実施の形態にて説明したX線装置100と、設計装置410と、成形装置420と、制御システム430と、リペア装置440とを備える。
設計装置410は、構造物の形状に関する設計情報を作成する際にユーザが用いる装置であって、設計情報を作成して記憶する設計処理を行う。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報である。設計情報は成形装置420および後述する制御システム430に出力される。成形装置420は設計装置410により作成された設計情報を用いて構造物を作成、成形する成形処理を行う。この場合、成形装置420は、3Dプリンター技術で代表される積層加工、鋳造加工、鍛造加工および切削加工のうち少なくとも1つを行うものについても本発明の一態様に含まれる。
X線装置100は、成形装置420により成形された構造物の形状を測定する測定処理を行う。X線装置100は、構造物を測定した測定結果である構造物の座標を示す情報(以後、形状情報と呼ぶ)を制御システム430に出力する。制御システム430は、座標記憶部431と、検査部432とを備える。座標記憶部431は、上述した設計装置410により作成された設計情報を記憶する。
検査部432は、成形装置420により成形された構造物が設計装置410により作成された設計情報に従って成形されたか否かを判定する。換言すると、検査部432は、成形された構造物が良品か否かを判定する。この場合、検査部432は、座標記憶部431に記憶された設計情報を読み出して、設計情報とX線装置100から入力した形状情報とを比較する検査処理を行う。検査部432は、検査処理としてたとえば設計情報が示す座標と対応する形状情報が示す座標とを比較し、検査処理の結果、設計情報の座標と形状情報の座標とが一致している場合には設計情報に従って成形された良品であると判定する。設計情報の座標と対応する形状情報の座標とが一致していない場合には、検査部432は、座標の差分が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であれば修復可能な不良品と判定する。
修復可能な不良品と判定した場合には、検査部432は、不良部位と修復量とを示すリペア情報をリペア装置440へ出力する。不良部位は設計情報の座標と一致していない形状情報の座標を有する部位であり、修復量は不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分である。リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物の不良部位を再加工するリペア処理を行う。リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
図7に示すフローチャートを参照しながら、構造物製造システム400が行う処理について説明する。
ステップS31では、設計装置410はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS32へ進む。なお、設計装置410で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS32では、成形装置420は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS33へ進む。ステップS33においては、X線装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS34へ進む。
ステップS34では、検査部432は、設計装置410により作成された設計情報とX線装置100により測定され、出力された形状情報とを比較する検査処理を行って、ステップS35へ進む。ステップS35では、検査処理の結果に基づいて、検査部432は成形装置420により成形された構造物が良品か否かを判定する。構造物が良品である場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標との差が所定の範囲内の場合には、ステップS35が肯定判定されて処理を終了する。構造物が良品ではない場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致しない場合や設計情報には無い座標が検出された場合には、ステップS35が否定判定されてステップS36へ進む。
ステップS36では、検査部432は構造物の不良部位が修復可能か否かを判定する。不良部位が修復可能ではない場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲を超えている場合には、ステップS36が否定判定されて処理を終了する。不良部位が修復可能な場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲内の場合には、ステップS36が肯定判定されてステップS37へ進む。この場合、検査部432はリペア装置440にリペア情報を出力する。ステップS37においては、リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物に対してリペア処理を行ってステップS33へ戻る。なお、上述したように、リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)制御装置5の動作制御部55は、被測定物SによるX線の吸収係数に基づいて被測定物Sの内部に関する情報を生成するための第1モードと、被測定物Sを通ったX線の位相に基づいて被測定物Sの内部に関する情報を生成するための第2モードとの何れかを実行する。これにより、被測定物Sの特性に応じて撮影方法を切り替えることができるので、第1モードでは得ることが困難な被測定物Sの内部に関する情報であっても、第2モードにて得ることが可能になる。すなわち、被測定物Sの内部に関する情報を高精度で得ることが可能になる。
従来の吸収画像データを生成するX線装置は、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するための機能を取り付けることが可能な構成を有していないため、1つの装置で、吸収画像データの生成と、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成とを切り替えて実行することが困難であった。これに対して、本実施の形態においては、1台のX線装置100にて、X線吸収の分布に基づいた吸収画像データの生成と、屈折したX線の位相に基づいた位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成とが可能になる。このため、ユーザは、従来のように吸収画像データを生成するためのX線装置と、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するためのX線装置とを別々に所有する必要がなくなるので、ユーザの利便性を向上させ、コストの負担を軽減させることができる。
(2)動作制御部55は、第1モードにて検出器4から出力された信号に基づく被測定物SによるX線の吸収係数に基づいて、第2モードに切り替えるか否かを判定する。これにより、被測定物Sの内部の状態に応じて、第1モードと第2モードとのうち撮影に適したモードを自動的に選択することができるので、利便性が向上する。
(3)検出器4は、第1モードにて被測定物Sとは異なる評価用測定物Tを通ったX線の入射を受け、入射したX線に基づく信号を出力し、動作制御部55は、被測定物SによるX線の吸収係数と、評価用測定物TによるX線の吸収係数とを比較して、第2モードへの切り替えの要否を判定する。具体的には、動作制御部55は、被測定物SによるX線の吸収係数と、評価用測定物TによるX線の吸収係数との差に基づく評価値が所定値を超える場合に第2モードへの切り替えを判定する。これにより、第2モードへの切り替えを判定する精度を向上させることができる。
(4)動作制御部55は、第1モードと第2モードとの間で、X線源2がX線を出射するための出力に関連する条件と、X線源2と被測定物Sと検出器4との間の相対的な位置関係とを異ならせる。これにより、X線吸収の分布に基づいた吸収画像データの生成に適した撮影条件と、屈折したX線の位相に基づいた位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成に適した撮影条件とを自動的に設定できる。
(5)動作制御部55は、第2モードへの切り替えを判定すると、被測定物SおよびX線源2の間のX線の経路と、被測定物Sおよび検出器4の間のX線の経路とに、被測定物Sを通ったX線の位相を検出するための光学ユニット6の光学素子611、621の設置を判定する。これにより、光学ユニット6を設置することにより位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方の生成が可能になるので、吸収画像データを生成するためのX線装置に加えてさらに位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成するためのX線装置を所有する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
(6)構造物製造システム400のX線装置100は、設計装置410の設計処理に基づいて成形装置420により作成された構造物の形状情報を取得する測定処理を行い、制御システム430の検査部432は、測定処理にて取得された形状情報と設計処理にて作成された設計情報とを比較する検査処理を行う。したがって、構造物の欠陥の検査や構造物の内部の情報を非破壊検査によって取得し、構造物が設計情報の通りに作成された良品であるか否かを判定できるので、構造物の品質管理に寄与する。
(7)リペア装置440は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。したがって、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の第1の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)光学ユニット6の光学素子611、621が保持部612、622に取り付け可能に構成される例に代えて、光学素子611、621が保持部612、622に取り付けられた状態で、調節部613、623ごと筐体1に着脱可能に構成されていてもよい。すなわち、第1光学ユニット61と第2光学ユニット62とが一体的に筐体1に着脱可能に構成されてよい。ただし、調節部613、623の取り付けは予め決められた位置にて行われるようにする。
これにより、既に吸収画像データを生成するためのX線装置を所有しているユーザであっても、光学ユニット6を追加で取得して取り付けることにより、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成することが可能になる。
(2)上述した第1の実施形態においては、X線装置100は表示モニタ7を有し、制御装置5は、画像生成部53および画像再構成部56を有するものとして説明したが、X線装置100が表示モニタ7を有さず、制御装置5が画像生成部53と画像再構成部56とを有していなくてもよい。画像生成部53と画像再構成部56とが、X線装置100とは別体の処理装置等に設けられ、検出器4から出力された信号を、たとえばネットワークや記憶媒体等を介して取得して、吸収画像データや位相画像データや散乱画像データや3次元データを生成してもよい。
(3)X線装置100は、第1モードで撮影された吸収画像データを用いた判定処理の結果に基づいて、第2モードを設定するものに限定されない。
たとえば、X線装置100は、第2モード光学ユニット6の筐体1への取り付けが検出された場合には、動作制御部55による判定処理を行わず、第2モードを設定してもよい。この場合、ユーザにより光学素子611、621が保持部612、622に取り付けられたことが、保持部612、622に設けられた接触センサ等の信号に基づいて検出されると、動作制御部55は、第2の撮影条件を設定し、第2モードでの撮影を行わせてよい。被測定物Sの特性をユーザが予め把握し、第2モードで撮影するのがよいことを経験的に分かっているような場合に、動作制御部55による判定処理を省略させて、被測定物Sの測定に要する時間を短縮することが可能になる。
また、たとえば、動作制御部55は、被測定物Sの材料や構造等を示す設計データ等に基づいて、第1モードと第2モードとのいずれを実行するかを判定してもよい。この場合、ユーザが不図示の入力装置を介して設計データを入力したり、X線装置100が記憶媒体やネットワーク等を介して設計データ等を取得してよい。動作制御部55は、入力された、あるいは取得された設計データ等に基づいて、被測定物Sの内部がX線吸収係数の大きな材料により構成されていると判定すると、第1モードにて撮影を行うことを判定し、第1の撮影条件を設定して撮影を行わせる。このとき、動作制御部55は、第1モードでの撮影を行う旨のメッセージ等を表示モニタ7に表示してもよい。
動作制御部55は、設計データ等に基づいて、被測定物Sの内部がX線吸収係数の小さな材料により構成されていると判定すると、第2モードにて撮影を行うことを判定する。この場合、動作制御部55は、表示モニタ7に光学素子611、621の取り付けを促すメッセージ等を表示させる。ユーザにより光学素子611、621の取り付けが行われ、保持部612、622に設けられた接触センサ等の信号に基づいて光学素子611、621の取り付けが検出されると、動作制御部55は、第2の撮影条件を設定し、第2モードでの撮影を行わる。これにより、第1モードにて撮影を行って吸収画像データを取得することなく、第1モードと第2モードのいずれかを実行するかを判定することが可能になる。
−第2の実施の形態−
図面を参照して、第2の実施の形態によるX線装置について説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、光学ユニットをX線の経路中に挿抜するための移動部を備える点が第1の実施の形態とは異なる。
図8は、第2の実施の形態によるX線装置100の構成の一例を示す図である。X線装置100は、第1光学ユニット61をX線の経路に挿抜するための移動機構81と、第2光学ユニット62をX線の経路に挿抜するための移動機構82とを有する。移動機構81、82は、たとえばX軸方向に沿って第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を移動させるレール等の案内部材や、第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を案内部材に沿って駆動させるモータ等により構成される。なお、本実施の形態では、第1光学ユニット61および第2光学ユニット62がX軸方向に沿って移動する場合を例に挙げるが、Y軸方向に沿って移動する構成でもよい。この場合、移動機構81、82は、Y軸方向に沿ったレール等の案内部材を有してよい。
制御装置5の移動部59は、移動機構81、82を制御して、第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を移動させる。第1モードにて撮影を行う場合、移動部59は、X線が光学素子611、621を通過しない位置まで第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を移動させる。動作制御部55により、第1の実施の形態の場合と同様の処理により第2モードにて撮影を行うと判定された場合には、移動部59は、X線が光学素子611、621を通過する位置まで第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を移動させる。すなわち、移動部59は、吸収画像を生成する第1モードの場合には光学ユニット6をX線の経路の外に位置させ、位相画像および散乱画像の少なくとも一方を生成する第2モードの場合には光学ユニット6をX線の経路中に挿入させる。
なお、第1光学ユニット61と第2光学ユニット62とのうち、光学素子611と光学素子621とをX線の経路中に挿抜可能な構成でもよい。
第2の実施の形態のX線装置100においても、図5に示す第1の実施の形態のX線装置100が行う処理と同様の処理を行なう。ただし、ステップS2において、移動部59は、移動機構81、82を制御して、光学ユニット6をX線の経路の外に位置させる。また、ステップS8においては、移動部59は、移動機構81、82を制御して、光学ユニット6をX線の経路中に挿入させる。
また、本実施の形態のX線装置100を、図6、図7を用いて説明した構造物製造システム400に適用できる。
また、第2の実施の形態のX線装置100は、第1モードで撮影された吸収画像データを用いた判定処理の結果に基づいて、第2モードを設定するものに限定されない。たとえば、動作制御部55は、被測定物Sの材料や構造等を示す設計データ等に基づいて、第1モードと第2モードのいずれを実行するかを判定してもよい。この場合、ユーザが不図示の入力装置を介して設計データを入力したり、X線装置100が記憶媒体やネットワーク等を介して設計データ等を取得してよい。動作制御部55は、入力された、あるいは取得された設計データ等に基づいて、被測定物Sの内部がX線吸収係数の大きな材料により構成されていると判定すると、第1モードにて撮影を行うことを判定し、第1の撮影条件を設定して撮影を行わせる。このとき、動作制御部55は、第1モードでの撮影を行う旨のメッセージ等を表示モニタ7に表示してもよい。
動作制御部55は、設計データ等に基づいて、被測定物Sの内部がX線吸収係数の小さな材料により構成されていると判定すると、第2モードにて撮影を行うことを判定する。この場合、動作制御部55は、表示モニタ7に第2モードで撮影を行う旨のメッセージ等を表示させてもよい。移動部59は、移動機構81、82を制御して、第1光学ユニット61および第2光学ユニット62を移動させ、X線の経路中に挿入させる。第1光学ユニット61と第2光学ユニット62とがX線の経路中に挿入されると、動作制御部55は、第2の撮影条件を設定し、第2モードでの撮影を行わせる。これにより、第1モードにて撮影を行って吸収画像データを取得することなく、第1モードと第2モードのいずれかを実行するかを判定することが可能になる。
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態により得られた各作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
移動機構81、82は、動作制御部55により第2モードへの切り替えが判定されると、光学ユニット6の光学素子611、621をX線の経路に設置する。これにより、設定されたモードに応じて、光学素子611、621のX線の経路中への挿抜を自動で行うことができるので、利便性が向上する。
上述した第1および第2の実施の形態のX線装置100を以下のように変形することができる。
(1)X線装置100が光学ユニット6を有していなくてもよい。この場合、動作制御部55により第2モードでの撮影を行うと判定された場合には、画像生成部53は自由伝播により被測定物Sで屈折、回折したX線に基づいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成してよい。
(2)X線装置100は、ユーザにより第1モードと第2モードを選択可能な、たとえばスイッチ等を有してよい。この場合、動作制御部55は、ユーザによる操作に応じて第1モードまたは第2モードの一方を設定する。被測定物Sの特性等をユーザが予め把握し、第1モードと第2モードのどちらで撮影するのがよいのか経験的に分かっている様な場合に、動作制御部55による判定処理を省略させることができる。これにより、被測定物Sの測定に要する時間を短縮することが可能になる。
(3)X線装置100は、第1モードにおいて吸収画像データを第1情報として生成しなくてもよいし、第2モードにおいて位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を第2情報として生成しなくてもよい。この場合、X線装置100は、第1モードにおいては、検出器4からの電気信号を第1情報として取得する。X線装置100は、取得した電気信号を、X線装置100とは異なる外部の装置にネットワーク等を介して送信し、外部の装置が取得した第1情報に基づいて吸収画像データを生成してよい。第2モードにおいては、X線装置100は、検出器4からの電子信号を第2情報として取得してよい。X線装置100は、第2モードにて検出器4から出力された電気信号を、外部の装置にネットワーク等を介して送信し、外部の装置が第2情報に基づいて、位相画像データおよび散乱画像データの少なくとも一方を生成してよい。この場合、外部の装置は、第1および第2の実施形態や変形例で説明した画像生成部53や、画像再構成部56を有しているとよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
2…X線源
3…載置部
4…検出器
5…制御装置
6…光学ユニット
7…表示モニタ
31…載置台
36…マニピュレータ部
51…X線制御部
52…移動制御部
53…画像生成部
54…光学ユニット制御部
55…動作制御部
59…移動部
61…第1光学ユニット
62…第2光学ユニット
81、82…移動機構
400…構造物製造システム
410…設計装置
420…成形装置
430…制御システム
440…リペア装置
611、612…光学素子
612、622…保持部
613、623…調節部
619、629…開口

Claims (12)

  1. 被測定物へX線を出射するX線源と、
    前記被測定物を透過した前記X線の強度分布を検出する検出器と、
    前記被測定物への透過による前記X線の吸収によって生じる前記X線の強度分布の変化に関する第1情報を生成する第1モードと、前記被測定物への透過による前記X線の散乱および位相の変化の少なくとも一方により生じる前記X線の強度分布の変化に関する第2情報を生成する第2モードと、のいずれかを実行させる制御部と、を備えるX線装置。
  2. 請求項1に記載のX線装置において、
    前記制御部は、前記第1情報に基づいて、前記第2モードを実行するか否かを判定するX線装置。
  3. 請求項2に記載のX線装置において、
    前記検出器は、前記第1モードにて前記被測定物とは異なる評価用測定物を通ったX線に基づく信号を出力し、
    前記制御部は、前記第1情報と、前記評価用測定物への透過による前記X線の吸収によって生じる前記X線の強度分布の変化に関する第3情報とを比較して、前記第2モードの実行の要否を判定するX線装置。
  4. 請求項3に記載のX線装置において、
    前記制御部は、前記被測定物による前記X線の吸収と、前記評価用測定物による前記X線の吸収との差が所定値を超える場合に、前記第2モードを実行すると判定するX線装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載のX線装置において、
    前記制御部は、前記第1モードと前記第2モードとの間で、前記X線源が前記X線を出射するための出力に関連する条件と、前記X線源と前記被測定物と前記検出器との間の相対的な位置関係とを異ならせるX線装置。
  6. 請求項5に記載のX線装置において、
    前記制御部は、前記第2モードを実行すると判定すると、前記被測定物および前記X線源の間の前記X線の経路と、前記被測定物および前記検出器の間の前記X線の経路とに、前記被測定物を通った前記X線の位相を検出するための光学素子の設置を判定するX線装置。
  7. 請求項6に記載のX線装置において、
    前記光学素子を前記X線の経路に挿抜する移動部を有し、
    前記制御部により前記第2モードの実行が判定されると、前記移動部は前記光学素子を前記X線の経路に設置するX線装置。
  8. 請求項6に記載のX線装置において、
    前記制御部により前記第2モードの実行が判定されると、前記光学素子を前記X線の経路に設置することを報知する報知部を有するX線装置。
  9. 請求項1から8までのいずれか一項に記載のX線装置において、
    前記第1モードまたは前記第2モードにて前記検出器により検出された前記強度分布に基づいて前記被測定物に関する情報である画像を生成する画像生成部を備えるX線装置。
  10. 構造物の形状に関する設計情報を作成し、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、
    作成された前記構造物の形状を、請求項1から9のいずれか一項に記載のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、
    前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する構造物の製造方法。
  11. 請求項10に記載の構造物の製造方法において、
    前記形状情報と前記設計情報との比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を行う構造物の製造方法。
  12. 請求項11に記載の構造物の製造方法において、
    前記構造物の再加工は、前記設計情報に基づいて前記構造物の作成を再度行う構造物の製造方法。


JP2018062703A 2018-03-28 2018-03-28 X線装置および構造物の製造方法 Pending JP2019174276A (ja)

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