JP2019172729A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低温から高温までの広い範囲で大幅な低摩擦効果を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)基油、(B)イオン液体および(C)無灰分散剤を含む潤滑油組成物であって、前記イオン液体のカチオンがリン含有カチオンであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、潤滑油組成物に関する。特に、特定のイオン液体を含有し摩擦が低減された潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の摩擦低減が、燃費向上の観点から求められている。摩擦低減のための添加剤として、従来より、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等が使用されている。しかし、MoDTCは反応性の摩擦調整剤であり、摩擦係数を低減するのに時間を要するという問題がある。そこで、燃費向上のために初期の反応膜生成を必要とせずに摩擦係数を低減させる技術が求められている。
イオン液体は、常温で溶融している塩であり、カチオンとアニオンから構成されている。イオン液体は、分子性液体がもつ分子間相互作用よりも強い静電気的な相互作用を有しているため、熱安定性、酸化安定性および低蒸発性に優れ、また高い導電性を有し、潤滑剤として注目されている。例えば特許文献1には、イオン液体が基油やグリースといった潤滑剤用途や潤滑剤成分として作用することが記載されている。
本発明は、低温から高温までの広い範囲で大幅な低摩擦効果を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討し、潤滑油基油に、特定のイオン液体と無灰分散剤とを組合せて添加することにより、低温から高温までの広い範囲で大幅な低摩擦効果を有する潤滑油組成物を提供できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち本発明は、第一に、(A)基油、(B)イオン液体および(C)分散剤を含む潤滑油組成物であって、前記イオン液体のカチオンがリン含有カチオンであることを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する(以下、第一の発明という)。
上記第一の発明における潤滑油組成物の好ましい態様としては下記(1)〜(8)の少なくとも1の要件をさらに満たす。
(1)(A)成分として鉱油系基油を、基油の全質量のうち50質量%以上含む。
(2)前記イオン液体の量が潤滑油組成物全量に対し0.01〜5.0質量%である。
(3)前記イオン液体がハロゲン原子を有しない。
(4)前記イオン液体のアニオンが、ホウ素含有アニオンである。
(5)前記イオン液体が、前記ホウ素含有アニオンとして、ビス(マンデラト)ボレートおよびビス(オキサラト)ボレートから選ばれる少なくとも1つを含む。
(6)前記イオン液体が、前記リン含有カチオンとしてトリヘキシルテトラデシルホスホニウムを含む。
(7)前記分散剤がホウ素を含有しない。
(8)前記分散剤の量が潤滑油組成物全量に対して0.1〜10質量%である。
(1)(A)成分として鉱油系基油を、基油の全質量のうち50質量%以上含む。
(2)前記イオン液体の量が潤滑油組成物全量に対し0.01〜5.0質量%である。
(3)前記イオン液体がハロゲン原子を有しない。
(4)前記イオン液体のアニオンが、ホウ素含有アニオンである。
(5)前記イオン液体が、前記ホウ素含有アニオンとして、ビス(マンデラト)ボレートおよびビス(オキサラト)ボレートから選ばれる少なくとも1つを含む。
(6)前記イオン液体が、前記リン含有カチオンとしてトリヘキシルテトラデシルホスホニウムを含む。
(7)前記分散剤がホウ素を含有しない。
(8)前記分散剤の量が潤滑油組成物全量に対して0.1〜10質量%である。
さらに本発明者らは、GroupIII又はGroupIVの基油を含む潤滑油組成物においては、アニオンがホウ素含有アニオンでありカチオンがリン含有カチオンである特定のイオン液体を添加することで、上記した無灰分散剤を添加せずとも摩擦を低減できることを見出した。従って本発明は、第二の発明として、(A)基油、及び(B)イオン液体を含む潤滑油組成物であって、前記基油としてGroupIII又はGroupIVの基油を基油の全質量のうち50質量%以上含み、前記イオン液体のアニオンがホウ素含有アニオンであり、カチオンがリン含有カチオンであることを特徴とする、潤滑油組成物を提供する。特には、該潤滑油組成物は無灰分散剤を含まない。
上記第二の発明における潤滑油組成物の好ましい態様としては、下記(1)〜(4)の少なくとも1の要件をさらに満たす。
(1)前記イオン液体の含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜5.0質量%である。
(2)前記イオン液体がハロゲン原子を有しない。
(3)前記ホウ素含有アニオンが、ビス(マンデラト)ボレートおよびビス(オキサラト)ボレートから選ばれる少なくとも1つを含む。
(4)前記カチオンが、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムである。
(1)前記イオン液体の含有量が潤滑油組成物全量に対して0.01〜5.0質量%である。
(2)前記イオン液体がハロゲン原子を有しない。
(3)前記ホウ素含有アニオンが、ビス(マンデラト)ボレートおよびビス(オキサラト)ボレートから選ばれる少なくとも1つを含む。
(4)前記カチオンが、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムである。
本発明の潤滑油組成物は低温から高温までの広い範囲において低摩擦性に優れ、従って、燃費を向上することができる。
以下、本発明の潤滑油組成物についてより詳細に説明する。
(A)潤滑油基油
上記第一の発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
上記第一の発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
鉱油系基油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製した、パラフィン系、ナフテン系等の潤滑油基油や、溶剤脱ロウで得たワックスを異性化、脱ろうして得られる潤滑油基油が挙げられる。該鉱油系基油の動粘度は特に制限されるものでないが、低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、100℃での動粘度が1.0〜6.0mm2/sであるのが好ましく、より好ましくは1.5〜5.5mm2/s、さらに好ましくは2.0〜5.0mm2/s、最も好ましくは2.5〜4.5mm2/sである。
合成系基油としては、ポリα−オレフィン、α−オレフィン共重合体、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル並びにGTL(Gas to Liquid)基油等が使用できる。該合成系基油の動粘度は特に制限されるものでないが、低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、100℃での動粘度が1.0〜6.0mm2/sであるのが好ましく、より好ましくは1.5〜5.5mm2/s、さらに好ましくは2.0〜5.0mm2/s、最も好ましくは2.5〜4.5mm2/sである。
潤滑油基油は、1種を単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。2種以上を使用する場合、2種以上の鉱油系基油の使用、2種以上の合成系基油の使用、及び1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油の使用が可能である。
上記潤滑油基油は、米国石油協会(API:American Petroleum Institute)で定められた基油のカテゴリーである、グループ(以下、Groupと表記する)I、II、III、IV及びVにて分類される。APIガイドラインでは、GroupI、II及びIIIの基油は、各々が下記表に示す特定の範囲の飽和度、硫黄分及び粘度指数を有する鉱油である。GroupIVの基油は、ポリアルファオレフィン(PAO)である。GroupVの基油には、GroupI、II、III、又はIVに含まれない全ての他の基油が含まれ、例えばエステル油である。
APIの基油の分類
APIの基油の分類
第一の発明において、基油のうち少なくとも1が鉱油系基油であるのが好ましい。特には上述したGroupI又はGroupIIに属する鉱油であるのがよい。より好ましくは、基油全体の質量に対して、50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%が鉱油系基油であるのがよい。
また、上記第二の発明においては、基油としてGroupIII又はGroupIVに属する基油を含むことが必須である。特には、GTL(Gas to Liquid)基油を含むことが必須である。基油の全質量のうちGroupIII又はGroupIVに属する基油(特には、GTL由来の基油)の量が50質量%以上であり、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
また、潤滑油基油全体として、100℃での動粘度が1.0〜6.0mm2/s、好ましくは2.0〜5.5mm2/s、特には2.5〜5.0m2/sを有することが好ましい。
(B)イオン液体
第一の発明にて使用されるイオン液体においてカチオンはリン含有カチオンであることを特徴とする。例えば、テトラアルキルホスホニウムが挙げられる。好ましいカチオンとして、例えば下記式(1)のトリヘキシルテトラデシルホスホニウムが挙げられる。
第一の発明にて使用されるイオン液体においてカチオンはリン含有カチオンであることを特徴とする。例えば、テトラアルキルホスホニウムが挙げられる。好ましいカチオンとして、例えば下記式(1)のトリヘキシルテトラデシルホスホニウムが挙げられる。
第一の発明にて、イオン液体は、好ましくは、カチオンとして、上述したトリヘキシルテトラデシルホスホニウムを有する。
第一の発明にて使用されるイオン液体のアニオンは特に限定されないが、アニオンがホウ素含有アニオンであることが好ましい。該イオン液体を含有することで低摩擦性に優れる潤滑油組成物が得られる。
ホウ素含有アニオンとしては、例えば、マンデラトボレート、サリチラトボレート、オキサラトボレート、マロナトボレート、スクシナトボレート、グルタラトボレートおよびアジパトボレート等のアニオンが挙げられる。好ましいアニオンとして、下記式(2)のビス(マンデラト)ボレート(BMB)、及び下記式(3)のビス(オキサラト)ボレート(BOB)が挙げられる。
イオン液体は、好ましくは、アニオンとして、上述したBMBおよびBOBから選ばれる少なくとも1つを有する。
第二の発明にて使用されるイオン液体は、カチオンがリン含有カチオンであること、及び、アニオンがホウ素含有アニオンであることを特徴とする。リン含有カチオンとしては、テトラアルキルホスホニウム等が挙げられ、好ましくは、上記式(1)で表されるトリヘキシルテトラデシルホスホニウムである。アニオンについては上述した通りであり、好ましくは、上記式(2)で表されるビス(マンデラト)ボレート(BMB)及び上記式(3)で表されるビス(オキサラト)ボレート(BOB)から選ばれる少なくとも1つである。
第一の発明及び第二の発明において、イオン液体は好ましくは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を有しない。特にフッ素や塩素を有すると、腐食磨耗が生じたり、有害なフッ化水素等を発生したりする場合がある。
上記イオン液体の製造方法は特に制限されることなく、公知の方法に従えばよい。例えば特表2014−508847号公報に記載されている方法に従い製造することができる。
第一の発明及び第二の発明において、イオン液体の含有量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜5.0質量%であり、好ましくは0.02〜4.0質量%であり、より好ましくは0.05〜3.0質量%であり、特に好ましくは0.1〜2.5質量%であり、最も好ましくは0.2〜2.0質量%である。
(C)無灰分散剤
第一の発明において、本発明の潤滑剤組成物は分散剤を含有する。分散剤は従来公知のものを使用すればよく、特に制限されるものでない。例えば、炭素数40〜400の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等の無灰分散剤が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用することもできる。ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。
第一の発明において、本発明の潤滑剤組成物は分散剤を含有する。分散剤は従来公知のものを使用すればよく、特に制限されるものでない。例えば、炭素数40〜400の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等の無灰分散剤が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用することもできる。ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。
本発明における分散剤としては、ホウ素化コハク酸イミド又は非ホウ素化コハク酸イミドの単独であっても、ホウ素化コハク酸イミドと非ホウ素化コハク酸イミドとの併用であってもよい。ホウ素化コハク酸イミドは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、また、併用する場合には、モノタイプ及びビスタイプの両方を含んでもよいし、モノタイプ同士の併用、又はビスタイプ同士の併用であってもよい。特には、本発明の潤滑油組成物において分散剤は、ホウ素化されていない非ホウ素無灰分散剤であるのが好ましい。非ホウ素無灰分散剤を添加することにより、低温条件下の低摩擦化に加え、高温条件下(例えば100℃〜120℃)における摩擦係数もより低減することができる。
上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400であり、より好ましくは60〜350である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。好ましい態様としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基又は分枝状アルケニル基等が挙げられる。
コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。
分散剤がホウ素を含む場合、ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有量は特に制限はない。通常無灰分散剤の質量に対して0.1〜3質量%である。本発明の1つの態様としては、無灰分散剤中のホウ素含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下であるのがよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用する場合の潤滑油組成物全体に対するホウ素含有量は、組成物全質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であるのがよく、また0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下であるのがよい。ホウ素化無灰分散剤は、ホウ素/窒素質量比(B/N比)0.1以上、好ましくは0.2以上を有するものであり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下を有するものが好ましい。
潤滑油組成物中の分散剤の含有量は適宜調整されればよいが、例えば潤滑油組成物全体の質量に対して、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%であり、より好ましくは1.0〜6.0質量%であり、特に好ましくは1.5〜5.0質量%であり、最も好ましくは2.0〜4.0質量%である。分散剤の含有量が上記下限値未満であると、摩擦低減効果が小さくなるおそれがある。また含有量が上記上限値を超えると、粘度が増加して省燃費効果が得られなくなるおそれがある。
その他の添加剤
第一の発明及び第二の発明において、潤滑油組成物は、上記(A)〜(C)成分以外のその他の添加剤として、モリブデン摩擦調整剤、リン系極圧剤、金属清浄剤、粘度指数向上剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤及び流動点降下剤等を含有することができる。その他の添加剤の含有量は、公知の潤滑剤組成物に従い、本発明の効果を損ねない限りで適宜調整されればよい。
第一の発明及び第二の発明において、潤滑油組成物は、上記(A)〜(C)成分以外のその他の添加剤として、モリブデン摩擦調整剤、リン系極圧剤、金属清浄剤、粘度指数向上剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤及び流動点降下剤等を含有することができる。その他の添加剤の含有量は、公知の潤滑剤組成物に従い、本発明の効果を損ねない限りで適宜調整されればよい。
潤滑油組成物は、上記(A)〜(C)成分及びその他の添加剤を混合することにより得られる。潤滑油組成物の動粘度は特に限定されることはないが、省燃費性を確保するため、100℃の動粘度が1〜20mm2/sであることが好ましく、2〜10mm2/sであることがより好ましく、さらに好ましくは3〜8mm2/s、特に好ましくは4〜6mm2/sである。
第一の発明及び第二の発明の潤滑油組成物はいずれも、低温から高温までの広い範囲で摩擦係数が低減される。より詳細には、本発明の潤滑油組成物は、摩擦係数0.05以下を有する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例の潤滑油組成物を構成する各成分は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
・鉱油1:Group I、KV100=4mm2/s
・鉱油2:Group III、KV100=4mm2/s
・GTL基油:Group III、KV100=4mm2/s
・PAO:Group IV、KV100=4mm2/s
(B)イオン液体
下記表1に記載のアニオン及びカチオンからなるイオン液体1〜6
(C)無灰分散剤
分散剤1:非ホウ素変性ポリイソブテニルコハク酸イミド(N含有量1.2質量%、無灰分散剤の平均分子量Mn6,000)
分散剤2:ホウ素変性ポリイソブテニルコハク酸イミド(N含有量1.7質量%、B含有量0.4質量%、無灰分散剤の平均分子量Mn6,000)
(D)その他の添加剤
摩耗防止剤:ZnDTP
金属清浄剤:Caスルホネート(Ca含有量:11.6質量%、全塩基価:300mgKOH/g)
(A)潤滑油基油
・鉱油1:Group I、KV100=4mm2/s
・鉱油2:Group III、KV100=4mm2/s
・GTL基油:Group III、KV100=4mm2/s
・PAO:Group IV、KV100=4mm2/s
(B)イオン液体
下記表1に記載のアニオン及びカチオンからなるイオン液体1〜6
分散剤1:非ホウ素変性ポリイソブテニルコハク酸イミド(N含有量1.2質量%、無灰分散剤の平均分子量Mn6,000)
分散剤2:ホウ素変性ポリイソブテニルコハク酸イミド(N含有量1.7質量%、B含有量0.4質量%、無灰分散剤の平均分子量Mn6,000)
(D)その他の添加剤
摩耗防止剤:ZnDTP
金属清浄剤:Caスルホネート(Ca含有量:11.6質量%、全塩基価:300mgKOH/g)
第一の発明
実施例1〜8及び比較例1〜9
下記表2又は3に記載の組成にて各成分を混合して、潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃、60℃、80℃、100℃及び120℃における摩擦係数は往復動摩擦試験機を用いて、シリンダーオンプレート、すべり速度0.45m/s、面圧0.2GPaの条件にて測定を行った。シリンダーおよびプレートは共に軸受鋼SUJ−2のものを用いた。結果を表2及び3に示す。
実施例1〜8及び比較例1〜9
下記表2又は3に記載の組成にて各成分を混合して、潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃、60℃、80℃、100℃及び120℃における摩擦係数は往復動摩擦試験機を用いて、シリンダーオンプレート、すべり速度0.45m/s、面圧0.2GPaの条件にて測定を行った。シリンダーおよびプレートは共に軸受鋼SUJ−2のものを用いた。結果を表2及び3に示す。
表3に示す通り、添加剤を含まない鉱油は、低温下では低摩擦を有するが、高温になると摩擦係数が高くなる(比較例3)。また、鉱油に無灰分散剤のみを添加した比較例4の潤滑油組成物は、比較例3の潤滑油組成物に比べ、高温での摩擦係数はやや小さくなっているものの、低温での摩擦係数は高くなっており、いずれも十分ではない(比較例4)。これに対し、表2の実施例1、2、4、5、7及び8に示す通り、鉱油に、リン含有カチオンを有するイオン液体と無灰分散剤とを添加してなる潤滑油組成物は、低温から高温までの広い範囲において、低摩擦を有することができる。また、当該効果は鉱油以外の基油であっても同等に達成することができる(実施例3及び6と比較例1の対比)。
また表3に示す通り、リン含有カチオンを有するイオン液体を含むが、無灰分散剤に替えて金属清浄剤や摩耗防止剤を含む潤滑油組成物では、低温から高温のいずれにおいても低摩擦を有することができない(比較例5及び6)。さらに、リン含有カチオンでなく窒素含有カチオンを有するイオン液体を含む潤滑油組成物も、低温から高温のいずれにおいても低摩擦を有することができない(比較例7〜9)。
また表3に示す通り、リン含有カチオンを有するイオン液体を含むが、無灰分散剤に替えて金属清浄剤や摩耗防止剤を含む潤滑油組成物では、低温から高温のいずれにおいても低摩擦を有することができない(比較例5及び6)。さらに、リン含有カチオンでなく窒素含有カチオンを有するイオン液体を含む潤滑油組成物も、低温から高温のいずれにおいても低摩擦を有することができない(比較例7〜9)。
第二の発明
参考例1〜4、比較参考例1〜4
下記表4又は表5に記載の組成にて各成分を混合して、潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃、60℃、80℃、100℃及び120℃における摩擦係数は往復動摩擦試験機を用いて、シリンダーオンプレート、すべり速度0.45m/s、面圧0.2GPaの条件にて測定を行った。シリンダーおよびプレートは共に軸受鋼SUJ−2のものを用いた。結果を表4及び5に示す。
参考例1〜4、比較参考例1〜4
下記表4又は表5に記載の組成にて各成分を混合して、潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃、60℃、80℃、100℃及び120℃における摩擦係数は往復動摩擦試験機を用いて、シリンダーオンプレート、すべり速度0.45m/s、面圧0.2GPaの条件にて測定を行った。シリンダーおよびプレートは共に軸受鋼SUJ−2のものを用いた。結果を表4及び5に示す。
上記表4及び5に示す通り、GroupIII又はGroupIVの基油を含む潤滑油組成物においては、アニオンがホウ素含有アニオンでありカチオンがリン含有カチオンであるイオン液体を添加することで、無灰分散剤を添加せずとも、低温から高温までの広範囲において摩擦を低減できる。
本発明の潤滑油組成物は低温から高温までの広い範囲において低摩擦性に優れ、従って、燃費を向上することができる。従って、自動車用潤滑油組成物として有用である。
Claims (9)
- (A)基油、(B)イオン液体および(C)無灰分散剤を含む潤滑油組成物であって、前記イオン液体のカチオンがリン含有カチオンであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。
- (A)基油の全質量のうち50質量%以上が鉱油系基油である、請求項1記載の潤滑油組成物。
- 前記イオン液体の量が潤滑油組成物全質量に対して0.01〜5.0質量%である、請求項1又は2記載の潤滑油組成物。
- 前記イオン液体がハロゲン原子を有しない、請求項1〜3のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
- 前記イオン液体のアニオンがホウ素含有アニオンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
- 前記イオン液体が、前記ホウ素含有アニオンとして、ビス(マンデラト)ボレートおよびビス(オキサラト)ボレートから選ばれる少なくとも1つを含む、請求項5記載の潤滑油組成物。
- 前記イオン液体が、前記リン含有カチオンとしてトリヘキシルテトラデシルホスホニウムを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
- 前記無灰分散剤がホウ素を含有しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- 前記無灰分散剤の量が潤滑油組成物全質量に対して0.1〜10質量%である、請求項1〜8のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
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