JP2019169871A - 音響出力装置 - Google Patents
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Description
図1は、第1実施形態に係る音響出力装置の一例であるヘッドホン1aの構成を示す図であり、図2は、ヘッドホン1aにおける2チャンネルのうち、1チャンネル分の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、ヘッドホン1aは、ヘッドホンユニット10L、10Rと、ヘッドバンド3と、アーム4Lおよび4Rと、を含む。ヘッドバンド3は、弾力性を有する金属または樹脂などにより、長手方向に円弧を描く形状となっている。ヘッドバンド3の両端のうち、一端側(図において左側)には、アーム4Lを介して、左耳用のヘッドホンユニット10Lが取り付けられ、他端側(図において右側)には、アーム4Rを介して、右耳用のヘッドホンユニット10Rが取り付けられている。
イヤーパッド182は、リスナーの耳を覆うための円環形状の緩衝部材である。イヤーパッド182が取り付けられるハウジング170の面のうち、円環形状のイヤーパッド182のほぼ中心には、スピーカー(ドライバー)140が設けられる。ヘッドホンユニット10Lにおけるスピーカー140は、ステレオのLチャンネルの信号を音に変換して出力する。
また、イヤーパッド182が取り付けられるハウジング170の面のうち、スピーカー140の近傍には、マイク150が設けられる。マイク150は、ヘッドホン1aがリスナーに装用された場合に、イヤーパッド182で密閉された外耳道を含む空間においてスピーカー140から出力された音を収音する。
ヘッドホンユニット10Rについても、ヘッドホンユニット10Lと同様に、ハウジング170とイヤーパッド182とを有し、イヤーパッド182が取り付けられるハウジング170の面には、スピーカー140およびマイク150が設けられる。
IF(InterFace)122は、外部端末200から、例えば無線によりデジタルで信号を受信するインターフェイスである。IF122が受信する信号は、外部端末200で再生されてリスナーに聴かせるコンテンツのオーディオ信号であり、信号Sa(すなわち入力信号)として信号処理部16aに供給される。
また、IF122は、外部端末200から、コンテンツ以外の信号を受信する場合もある。例えばIF122は、外部端末200においてヘッドホン1aの制御するためのアプリケーションプログラムが実行された場合に、該アプリケーションでなされた各種の指示信号を受信する。各種の指示信号は、図示省略された経路で制御部160に供給される。
なお、信号処理部16aは、DSPではなく、マイクロコンピュータによって実現しても良い。また、信号処理部16aの一部については、外部端末200などのヘッドホン1a以外の機器において、ソフトウェア処理により実現しても良い。すなわち、信号処理部16aの一部または全部の処理については、DSPやマイクロコンピュータなどで区分することなく、実現することが可能である。
DAC(Digital
to Analog Converter)132は、音色調整部164によって第1信号処理が施された信号をアナログに変換し、アンプ134は、DAC132により変換された信号を増幅する。スピーカー140は、アンプ134により増幅された信号を空気の振動、すなわち音に変換して出力する。
なお、帯域1および帯域2の意義については後述する。また、信号Saに対する信号Sfの差分を示す情報とは、典型的には、信号Saに対する信号Sfのレベルの差を周波数にわたって規定する情報である。このため、差分を示す情報を、差分特性と表現する場合もある。また、比較の例としては、信号Saと信号Sfとをそれぞれ高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)した上で、両信号の例えばクロススペクトルを求める方法などが挙げられる。
補正係数供給部163は、信号Saに対する信号Sfの差分特性が設計された音響特性に近づく方向となるような補正係数を出力する。この補正係数により、音色調整部164で付与される音響特性が補正される。
次に、信号処理部16aの動作の詳細について説明する。
なお、この動作は、信号Saが入力されたとき(例えば、信号Saの振幅が一定期間にわたってゼロの状態から閾値以上に変化したとき)や、リスナーから指示があったとき(例えば、外部端末200でアプリケーションプログラムが実行されている場合に、特定の操作があったとき)、図示省略されたスイッチが操作されたときなど、を契機として実行される。
ここで、各種の初期設定とは、具体的には制御部160に内蔵されるカウンタをゼロにリセットする処理や、前回の計測において記憶部に記憶した補正係数を補正係数供給部163に供給し、該補正係数を補正係数供給部163が音色調整部164に転送する処理などである。したがって、音色調整部164は、初期状態では、前回の動作により補正された音響特性を信号Saに付与することになる。
カウンタで計測された時間が閾値期間に達していなければ(ステップS22の判別結果が「No」であれば)、処理手順をステップS14に戻す。
一方、ステップS14またはS16の判別結果が「No」であれば、制御部160は、カウンタによる時間計測を一旦停止させて(ステップS24)、処理手順をステップS14に戻す。
このようなステップS14〜S22の繰り返し処理において、計測条件を充足しない状態では、カウンタによる時間計測が停止する。逆にいえば、計測条件を充足する場合に限り、計測条件を充足した時間がカウンタにより累積的に計測されて、取得した差分特性が積算されることになる。
この補正係数により、音色調整部164による音響特性が補正される。
なお、音響特性の補正に際し、例えばAという音響特性からBという音響特性に一気に切り替わると、その差が耳につきやすい。このため、音響特性Aから音響特性Bへの変更については例えば1秒以上かけて、緩やかに変更される構成が好ましい。
なお、記憶部に記憶された補正係数は、次回、信号Saが再度入力されたときや、リスナーから指示があったとき等において読み出されて、ステップS12における初期設定に用いられることになる。
図4における上段は、帯域1のレベルが、タイミングT1からT2までの期間、タイミングT3からT4までの期間、および、タイミングT5からT6までの期間にわたって閾値Th1以上となっている状態を示し、図4における下段は、帯域2のレベルが、タイミングT11からT12までの期間、および、タイミングT15以降の期間において閾値Th2以上となっている状態を示している。この状態において計測条件を充足する期間は、図4においてハッチングが施されたタイミングT1からT2までの期間、および、タイミングT5からT6までの期間であり、これらの期間にわたって、信号Saと信号Sfとの比較結果に基づいた差分特性が積算される。そして、計測条件を充足した期間の累積期間が閾値期間に達すれば、積算した差分特性の時間で平均化した特性が求められて、この平均化特性に基づいて音響特性が補正される。
図5における実線は、設計通りの音響特性を付与したときの周波数特性(目的特性)を示す図である。また、同図における破線は、特定のリスナーが装用した時の周波数特性(実際特性)を示す図である。
音響特性のうち、低域側の特性は、イヤーパッドによりリスナーの耳を塞いだときの密閉度の影響を受けやすいためである。例えばヘッドホンの装用において、イヤーパッドによる耳の密閉が不十分であると、低域側が不足する傾向が現れる。一方、高域における音の指向性は、低中域における音の指向性よりも強いので、ヘッドホンの装用によってスピーカーの放音方向がずれると、高域側のレベルが変動しやすくなるためである。
低音および高音と比較して、他の帯域2で代表される1〜2kHz付近の中域では、実際特性が目的特性から、あまり変動していない。したがって、中域では、ヘッドホンの装用状態やリスナーの身体的要因などの影響を受けにくい、と言うことができる。
換言すれば、信号Saに対する信号Sfの差分特性が設計された音響特性となるように補正する場合に、信号Saにおいて帯域2のレベルが十分でないと、音響特性を精度良く補正できないと考えられる。極端にいえば、信号Saにおいて帯域2のレベルがゼロであれば、上記正規化ができないので、音響特性の補正は不正確になると考えられる。そこでまず、本実施形態では、帯域2のレベルが閾値Th2以上である場合を、計測条件を充足する場合の第1条件としている。
このように、本実施形態では、帯域2のレベルが閾値Th2以上であるという第1条件を充足し、かつ、帯域1のレベルが閾値Th1以上であるという第2条件を充足している場合を計測条件を充足している場合としている。本実施形態では、計測条件を充足している場合に、差分情報を積算し、計測条件を充足する期間の累算期間が閾値期間となったときに、差分情報の積算値から平均特性を求めて、当該平均特性から音響特性を補正している。
したがって、本実施形態に係るヘッドホン1aによれば、リスナーの装用状態や身体的要因などの相違によらずに、設計通りの音響特性を精度良く付与することが可能となる。
なお、第1条件を充足していれば、帯域1または/および帯域3の変動量が推定できるので、第2条件については、計測条件から外しても良い。
本実施形態では、測定に特化した特殊なトーン信号を用いずに、リスナーに聴かせるコンテンツの信号を用いて音響特性を測定し補正する。すなわち、本実施形態によれば、コンテンツの音を聴取している状態のバックグラウンドで音響特性が補正されるので、リスナーに、音響特性が補正されていることを意識させないで済むし、また、不愉快なトーン信号を聴かせないことができる。
次に、第1実施形態に係るヘッドホン1aに、ヒアスルー機能およびノイズキャンセリンリング機能を追加した第2実施形態について説明する。
図6に示されるように、ヘッドホン1bでは、ヘッドホン1a(図1参照)と比較して、例えば左右のハウジング170の各々にマイク110(外部マイク)が設けられている。マイク110は、ヘッドホン1bを装用するリスナーの周辺音を収音する。
アンプ112は、マイク110により収音された信号を増幅し、ADC114は、アンプ112により増幅された信号をデジタルの信号Sbに変換する。
信号処理部16bは、信号処理部16aと比較して、さらに、逆相信号生成部165と、音色調整部166と、逆相信号生成部167と、加算部169とを有する。
また、音色調整部166により音響特性が付与される処理を第2信号処理と呼ぶ場合がある。この場合に、第2信号処理は、解析部161による信号Saと信号Sfとの解析結果に基づいて制御されることになる。
したがって、ヘッドホン1bにおいてスピーカー140は、該加算信号に基づく音を出力することになる。
なお、マイク110により収音された周辺音のレベルについては、特定の1以上帯域のレベルで判別しても良い。
すなわち、マイク150で収音した信号の逆相信号、または、マイク110で収音した信号の逆相信号の少なくとも一方を、もしくは、双方を、音色調整部164により第1信号処理が施された信号に、加算部169により加算する構成としても良い。
この構成において、音色調整部164、166における音響特性の補正については、ノイズキャンセル機能がオンとなっている場合に限り実行する構成としても良い。
上述した第1実施形態および第2実施形態では、音響出力装置としてヘッドホン1a、1bを例示したが、イヤホンとしても適用可能である。
この図に示されるようにイヤホン20は、カナル型であり、ハウジング270およびイヤーピース282を含む。
ハウジング270は、概略筒状である。ハウジング270の内部空間には、スピーカー140およびマイク150が設けられる。詳細には、ハウジング270の内部空間を区画するように、スピーカー140の放音面が外耳道に向かう方向に取り付けられる。マイク150は、ハウジング270の内部空間においてスピーカー140で区画される空間のうち、外耳道側(図において右側)の空間に取り付けられる。
なお、ハウジング270には、装用時において、スピーカー140で区画される内部空間のうち、外耳道寄り空間において、外部と通気させる通気孔278が1または複数設けられる。
すなわち、イヤホン20は、IF122、信号処理部16a、DAC132、アンプ134、152、スピーカー140、マイク150、ADC154を含み、このうち、スピーカー140およびマイク150以外の要素については、図8においては省略されているが、ハウジング270の内部空間においてスピーカー140で区画される空間のうち、外耳道とは反対側(図において左側)の空間に取り付けられる。
なお、図示が省略されているが、左耳用のイヤホンについても、右耳用のイヤホン20と同様である。
上述した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態(以下、実施形態等と呼ぶ)は、多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合することも可能である。
また、ヘッドホン1a、1bでは、装用状態によって低域側が変動しやすいので、帯域1のレベルが閾値Th1以上である場合を第2条件としたが、イヤホン20では、装用状態の傾きなどによって、低域よりも高域が変動しやすい場合があるので、帯域1に代えて第3のレベルが所定の閾値以上である場合を、第2条件としても良い。
また、帯域1、帯域2および帯域3のレベルがすべて閾値以上であれば、計測条件が充足されたと判別する構成としても良い。また、レベルを判別する帯域については、4以上としても良い。
上述した実施形態等から、例えば以下のような態様が把握される。
本発明の好適な態様1に係る音響出力装置は、入力信号に第1信号処理を施す第1信号処理部と、前記第1信号処理が施された信号に基づいてスピーカーから出力された音を内部マイクで収音するとともに、収音により得られた信号と、前記入力信号とを解析して、その解析結果に基づいて前記第1信号処理を制御する解析部と、を含み、前記解析部は、前記入力信号における特定の周波数帯域のレベルが予め定められた閾値以上となった場合に、前記解析を実行する。
態様1によれば、装用状態やリスナーの身体的要因などによらずに、第1信号処理により入力信号に付与する音響特性の精度を高めることができる。
態様2に係る音響出力装置は、上記態様1に係る音響出力装置おいて、前記解析部は、前記レベルが予め定められた閾値以上となった期間の累積期間が閾値期間に達した場合に、前記第1信号処理を制御する。
態様2によれば、例えば平均化などにより音響特性の精度を高めることができる。
態様3に係る音響出力装置は、上記態様1または態様2係る音響出力装置おいて、前記解析部は、2以上の異なる周波数帯域のレベルがそれぞれに定められた閾値以上となった場合に、前記解析を実行し、前記閾値以上となった期間の累積期間が閾値期間に達した場合に、前記第1信号処理を制御する。
態様3によれば、複数帯域のレベルを判別することにより音響特性の精度を高めることができる。
態様4に係る音響出力装置は、上記態様1または態様2に係る音響出力装置おいて、前記内部マイクで収音した信号の逆相信号、または、リスナーの周辺音を外部マイクで収音した信号の逆相信号、の少なくとも一方を前記第1信号処理が施された信号に加算する加算部を、含む。
態様4によれば、周辺音を抑圧することが可能となる。
態様5に係る音響出力装置は、上記態様1または態様2に係る音響出力装置おいて、リスナーの周辺音を外部マイクで収音した信号に第2信号処理が施された信号と、前記第1信号処理が施された信号とを加算する加算部を、含み、前記解析部は、前記解析結果に基づいて前記第2信号処理を制御する。
態様5によれば、周辺音のうち会話やアナウンスなどの音声を自然な感じでリスナーに聴かせることができる。
態様6に係る音響出力装置は、上記態様4または態様5に係る音響出力装置おいて、前記解析部は、前記外部マイクで収音して得られた信号のレベルが所定値未満である場合に、前記解析を実行する。
態様6によれば、入力信号に基づく音以外の暗騒音による影響を小さく抑えることができる。
Claims (6)
- 入力信号に第1信号処理を施す第1信号処理部と、
前記第1信号処理が施された信号に基づいてスピーカーから出力された音を内部マイクで収音するとともに、収音により得られた信号と、前記入力信号とを解析して、その解析結果に基づいて前記第1信号処理を制御する解析部と、
を含み、
前記解析部は、前記入力信号における特定の周波数帯域のレベルが予め定められた閾値以上となった場合に、前記解析を実行する
音響出力装置。 - 前記解析部は、
前記レベルが予め定められた閾値以上となった期間の累積期間が閾値期間に達した場合に、前記第1信号処理を制御する
請求項1に記載の音響出力装置。 - 前記解析部は、
2以上の異なる周波数帯域のレベルがそれぞれに定められた閾値以上となった場合に、前記解析を実行し、
前記閾値以上となった期間の累積期間が閾値期間に達した場合に、前記第1信号処理を制御する
請求項1または2に記載の音響出力装置。 - 前記内部マイクで収音した信号の逆相信号、または、リスナーの周辺音を外部マイクで収音した信号の逆相信号、
の少なくとも一方を前記第1信号処理が施された信号に加算する加算部を、含む
請求項1または2に記載の音響出力装置。 - リスナーの周辺音を外部マイクで収音した信号に第2信号処理が施された信号と、前記第1信号処理が施された信号とを加算する加算部を、含み、
前記解析部は、前記解析結果に基づいて前記第2信号処理を制御する
請求項1または2に記載の音響出力装置。 - 前記解析部は、
前記外部マイクで収音して得られた信号のレベルが所定値未満である場合に、前記解析を実行する
請求項4または5に記載の音響出力装置。
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2018
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