JP6911980B2 - ヘッドフォンおよびヘッドフォンの制御方法 - Google Patents
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Description
このため、ヘッドフォンに周辺音を収音するためのマイクを設けて、当該周辺音とともに、外部機器から出力される信号に基づく音を知覚させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、周辺音を収音するマイクをヘッドフォンに設ける場合に、風よけを設ける必要のない技術を提供することにある。
ユーザーWは、ヘッドフォン1を次のように使用する。すなわち、ユーザーWは、図2に示されるように、ライトユニット10Rおよびレフトユニット10Lをそれぞれ前方にして、ネックバンド20を耳に掛け、ライトユニット10Rのイヤーピースを右の外耳道に、レフトユニット10Lのイヤーピースを左の外耳道に、それぞれ挿入する。
イヤーピース5は、上記弾力性を有する素材により例えばドーム状または砲弾状の形状に形成され、当該形状の底部側でポート4を被覆するようにベースユニット3に取り付けられる一方、当該形状の先端側がユーザーの外耳道214に挿入される。
より詳細には、ライトユニット10Rについていえば、図3に示されるように、ベースユニット3の一端側が外耳道214から露出した状態で、イヤーピース5が鼓膜212に到達しない程度で外耳道214に挿入される。この状態において、マイク11は、ベースユニット3に対して外側の音である周辺音を収音する一方、マイク12は、スピーカー15から発せられた音を収音するほか、外耳道214をイヤーピース5で閉塞した空間の音を収音し、さらに、 ベースユニット3並びにイヤーピース5などを伝搬した周辺音を収音する。
なお、図3では、便宜的にネックバンド20は省略されている。
ライトユニット10Rにおいて、マイク11により収音された信号は、アンプ31による増幅後、ADC(Analog to Digital Converter)32によりデジタル信号に変換されて、イコライザー41と判別器51とにそれぞれ供給される。
ここで、風切り音の判別について説明する。
一般に風切り音は、マイク周辺で気流が乱れることにより発生するランダム性のノイズである。このような風切り音は、広い周波数帯域に渡って発生し、レベルが低域側では比較的大きく、高域側では比較的小さく、かつ、周波数が高くなるにつれて徐々に減衰するような周波数特性を有する。なお、風切り音は、気流の乱れにより発生するので、ベースユニット3の構造や素材に応じて変動する傾向がある。
判別器51は、風切り音が発生していると判別すれば、信号WnをHレベルで出力し、風切り音が発生していないと判別すれば、信号WnをLレベルで出力する。
なお、風切り音の判別については、ここで述べた手法以外にも後述するように種々考えられる。
一方、スイッチ45は、判別器51による信号WnがHレベルである場合、すなわち風切り音が発生していると判別された場合、イコライザー42の出力信号を選択する(図4において破線の位置をとる)。
なお、レシーバー60は、外部機器100から出力されるステレオ信号のうち、L信号については、レフトユニット10Lに供給する。
DAC34は、加算器47により加算されたデジタルの信号をアナログに変換し、アンプ33は、当該アナログに変換された信号を増幅して、スピーカー15に供給する。スピーカー15は、アンプ33により増幅された電気的な信号を物理的な振動、すなわち音に変換して出力する。
一方、判別器51により風切り音が発生していると判別された場合、右耳用のライトユニット10Rでいえば、減算器55による減算信号に、イコライザー42によって高域側を強調する補正処理を施した信号と、外部機器100からのR信号とを加算した信号に基づく音がスピーカー15から出力されるので、当該風切り音が抑えられる。このため、周辺音を明瞭に知覚しつつ、外部機器100に基づくステレオ音を聴くことができる。
周辺音は、風切り音が発生していれば当該風切り音とともに、図において経路Aで示されるように、ベースユニット3に内蔵されたマイク11により収音される。周辺音は、また、風切り音が発生していれば当該風切り音とともに、経路Bで示されるように、ベースユニット3、イヤーピース5およびユーザーW自身の体などの伝搬を経て、マイク12により収音される。一方、スピーカー15により発せられた音は、外耳道214での反射および減衰の影響を受けてマイク12により収音する。このため、マイク12は、スピーカー15により発せられた音と、ベースユニット3およびイヤーピース5等を経た周辺音とを収音することになる。ただし、減算器55による減算信号では、上述したように前者のスピーカー15により発せられた音の成分が除去されているので、イヤーピース5などを伝搬した周辺音を表すことになる。
また、風切り音が発生していると判別された場合、減算器55の減算信号をイコライザー42で補正処理してスピーカー15に向けて出力したが、マイク12により収音した周辺音の高域側が明瞭であれば、イコライザー42の補正処理は必須ではない。
ここでは、右耳用のライトユニット10Rで説明したが、左耳用のレフトユニット10Lでも同様である。
また、風切り音の周波数範囲の低域側を低減させる程度を段階的に変化させたイコライザーを複数個設けるとともに、判別器51が風切り音の発生レベルに応じて、適用するイコライザーをスイッチ45の選択で切り替える構成としても良い。さらにまた、イコライザーでの処理を規定するパラメータを、判別器51が風切り音の発生レベルに応じて供給することにより、風切り音の周波数範囲の低域側を低減させる処理内容を変化させる構成としても良い。
第1実施形態および第2実施形態については、ステレオ音を聴かせるヘッドフォンとして説明したが、風切り音を抑えた周辺音とともに、外部機器100からの音を知覚させる、という観点からいえばモノラルの、または、片耳のみのイヤーフォンでも良い。
このため、ライトユニット10Rのマイク11による信号のレベルと、レフトユニット10Lのマイク11における信号のレベルとを比較し、両者信号のレベルの差がしきい値以上であれば、風切り音が発生し、当該差がしきい値未満であれば、風切り音が発生していない、と判別する構成としても良い。
なお、この構成において、レベルが大きい方のユニット側において風切り音が発生していると判別しても良いし、両ユニットにおいて風切り音が発生していると判別しても良い。
なお、風切り音の判別については、以上述べた手法を単独で用いても良いし、2以上適宜組み合わせて用いても良い。
上記ヘッドフォンによれば、第1マイクが周辺音を風切り音とともに収音する場合もあるが、第2マイクは、外耳道に挿入されるので風が当たらない。したがって、第1マイクの収音に基づく第1信号と第2マイクの収音に基づく第2信号との比較により当該風切り音の発生の有無を判別することができるので、第1マイクに風防を装着する必要がない。
なお、「…に向けて出力する」とは、…までの経路途中に別の中間要素が介在しても良い、という意味である。
Claims (9)
- ユーザーの外耳道の外側における周辺音を収音する第1マイクと、
前記外耳道に向けて放音するスピーカーと、
少なくとも前記第1マイクの収音に基づく第1信号に基づき風切り音の発生の有無を判別する判別器と、
前記判別器により前記風切り音が発生していないと判別された場合、
前記第1信号に、入力された信号を加算して前記スピーカーに向けて出力する処理部と、
を含むヘッドフォン。 - 前記第1マイクは、前記ユーザーの右耳の外耳道の外側における周辺音を収音するライトマイクであり、
前記ユーザーの左耳の外耳道の外側における周辺音を収音するレフトマイクを有し、
前記判別器は、
前記ライトマイクに基づく収音信号のレベルと前記レフトマイクに基づく収音信号のレベルとの差がしきい値以上であれば、前記風切り音が発生していると判別する
請求項1に記載のヘッドフォン。 - 前記判別器は、
前記第1信号の周波数特性が記憶された風切り音の周波数特性と一致または近ければ、前記風切り音が発生していると判別する
請求項1に記載のヘッドフォン。 - 前記判別器は、
前記第1信号のレベルの低域側がしきい値以上であれば、前記風切り音が発生していると判別する
請求項1に記載のヘッドフォン。 - 前記判別器により前記風切り音が発生していると判別された場合、
前記処理部は、
前記第1信号に、前記風切り音を低減させる処理を施し、入力された信号を加算して前記スピーカーに向けて出力する
請求項1に記載のヘッドフォン。 - 前記外耳道内の音を収音する第2マイクを含む
請求項1に記載のヘッドフォン。 - 前記判別器により前記風切り音が発生していると判別された場合、
前記処理部は、
前記第2マイクに基づく第2信号に、入力された信号を加算して前記スピーカーに向けて出力する
請求項6に記載のヘッドフォン。 - 前記スピーカーに向けて出力される信号に対して所定の特性を付与するフィルターと、
前記第2マイクに基づく第2信号から前記フィルターの出力信号を減算する減算器と
を含み、
前記判別器は、前記第1マイクの収音に基づく第1信号と、前記減算器で減算された信号との比較により前記風切り音の発生の有無を判別する
請求項6に記載のヘッドフォン。 - ユーザーの外耳道の外側における周辺音を第1マイクで収音して、前記第1マイクの収音に基づく第1信号を出力するステップと、
少なくとも前記第1信号に基づき風切り音の発生の有無を判別するステップと、
前記風切り音が発生していないと判別された場合、
前記第1信号に、入力された信号を加算して、スピーカーにより前記外耳道に向けて放音させるステップと、
を含むヘッドフォンの制御方法。
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