JP2019169259A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】過酸化水素を効率よく分解できながら、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供すること。【解決手段】燃料電池システム2に、電解質膜14、アノード電極15およびカソード電極16を有する燃料電池3と、アノード電極15に液体燃料を供給する燃料供給ユニット8と、カソード電極16に空気を供給する空気供給ライン41と、空気およびリーク燃料を含む排出液を燃料電池3から排出する排出ライン42と、排出ライン42に接続され、空気を含む気体成分と、排出液を含む液体成分とに分離する第2気液分離器35と、第2気液分離器35と燃料供給ユニット8とを連結し、液体成分を燃料供給ユニット8に還流させる第2還流ライン37と、を備える。そして、第2気液分離器35および/または第2還流ライン37に、過酸化水素分解触媒を設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池および燃料電池システムの運転方法に関する。
従来、固体高分子形の燃料電池として、ヒドラジンなどの液体燃料を使用する燃料電池が知られている。そのような燃料電池は、電解質膜と、電解質膜の両側にそれぞれ積層されるアノード電極およびカソード電極とを備える単位セルが複数積層されたスタック構造を有している。
このような燃料電池では、アノード電極にヒドラジンを含む液体燃料が供給され、カソード電極に酸素を含む空気が供給されることにより、電気化学反応が生じて発電される。
しかるに、そのような燃料電池では、アノード電極に供給された液体燃料が、電解質膜を透過してカソード電極にリークする場合がある。
すると、リークした液体燃料に含まれるヒドラジンが、カソード電極において酸素と反応し、過酸化水素を生成し、燃料電池の部材の劣化原因となることが知られている。
そこで、カソード電極において生成する過酸化水素を分解することが検討されている。
例えば、膜電極接合体と、膜電極接合体の一方側に配置されるアノード側セパレータと、膜電極接合体の他方側に配置されるカソード側セパレータと、カソード電極とカソード側セパレータとの間に配置され、過酸化水素分解触媒を含む多孔質層と、を備える燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
そのような燃料電池では、カソード電極において生成した過酸化水素が、過酸化水素分解触媒を含む多孔質層において分解される。
近年、燃料電池の出力の向上がますます望まれている。しかし、特許文献1に記載の燃料電池において出力を上昇させると、過酸化水素を十分に分解できず、カソード電極にリークした液体燃料(以下、リーク燃料とする。)に過酸化水素が含まれる場合がある。
また、液体燃料の利用効率向上の観点から、リーク燃料を、アノード電極に供給する液体燃料(以下、供給燃料とする。)に合流させて、再利用したいという要望がある。しかし、過酸化水素が含まれるリーク燃料を供給燃料に合流させると、過酸化水素が供給燃料中のヒドラジンと反応して、ヒドラジンが消費されてしまうという不具合がある。
本発明は、過酸化水素を効率よく分解できながら、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供する。
本発明[1]は、電解質膜、前記電解質膜の一方側に配置されるアノード電極、および、前記電解質膜の他方側に配置されるカソード電極を有する燃料電池と、前記アノード電極に、ヒドラジン類を含む液体燃料を供給する燃料供給部と、前記カソード電極に空気を供給する空気供給部と、未消費の空気と、前記アノード電極から前記電解質膜を透過して前記カソード電極にリークした液体燃料を含む排出液とを、前記燃料電池から排出する排出部と、前記排出部に接続され、前記排出部から供給される空気および前記排出液を、空気を含む気体成分と、前記排出液を含む液体成分とに分離する気液分離器と、前記気液分離器と前記燃料供給部とを連結し、前記液体成分を前記燃料供給部に還流させる還流部と、を備え、前記排出液には、前記リークした液体燃料中のヒドラジン類と酸素との反応により生じる過酸化水素がさらに含まれ、前記気液分離器および/または前記還流部に、過酸化水素分解触媒が設けられている、燃料電池システムを含む。
本発明[2]は、上記[1]に記載の燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池は、前記電解質膜、前記アノード電極、前記カソード電極を備える単位セルが、前記電解質膜の厚み方向に複数積層されて構成され、前記単位セルあたりの出力電圧が0.6V以下となるように運転する、燃料電池システムの運転方法を含む。
本発明の燃料電池システムは、空気および排出液を燃料電池から排出する排出部と、排出部に接続される気液分離器と、気液分離器と燃料供給部とを連結する還流部とを備える。
そのため、空気と、アノード電極から電解質膜を透過してカソード電極にリークした液体燃料(以下、リーク燃料とする。)を含む排出液とは、排出部によって燃料電池から排出された後、気液分離器に流入し、気液分離器において、空気を含む気体成分と、リーク燃料を含む液体成分とに分離され、その後、液体成分は、還流部を介して、燃料供給部に還流される。そのため、リーク燃料を再利用することができ、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
また、排出液には、リーク燃料中のヒドラジン類と酸素との反応により生じる過酸化水素が含まれるが、気液分離器および/または還流部に、過酸化水素分解触媒が設けられているので、気液分離器および/または還流部において、過酸化水素を効率よく分解することができる。
その結果、気液分離器によって分離された液体成分を燃料供給部に還流させても、液体成分中の過酸化水素と、燃料供給部によってアノード電極に供給される液体燃料中のヒドラジン類とが反応することを抑制できる。
よって、このような燃料電池システムによれば、排出液に含まれる過酸化水素を効率よく分解できながら、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
本発明の燃料電池システムの運転方法では、各単位セルあたりの出力電圧が0.6V以下となるように運転される。
しかるに、本件発明者は、各単位セルあたりの出力電圧が0.6V以下となる高出力領域において、燃料電池システムが運転されると、カソード電極における過酸化水素の発生量が顕著に増加するという知見を見出した。
一方、上記の構成によれば、気液分離器および/または還流部に、過酸化水素分解触媒が設けられているので、気液分離器および/または還流部において、過酸化水素を効率よく分解することができる。
その結果、燃料電池システムが、各単位セルあたりの出力電圧が0.6V以下となる高出力領域において運転されていても、過酸化水素を効率よく分解でき、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
1.電動車両の全体構成
図1に示すように、電動車両1は、モータ45を動力源とし、燃料電池3およびバッテリ47を選択的に電源として、モータ45を駆動させるハイブリッド車両である。電動車両1は、燃料電池システム2を搭載している。
図1に示すように、電動車両1は、モータ45を動力源とし、燃料電池3およびバッテリ47を選択的に電源として、モータ45を駆動させるハイブリッド車両である。電動車両1は、燃料電池システム2を搭載している。
燃料電池システム2は、燃料電池3と、燃料給排ユニット4と、空気給排ユニット5と、燃料還流ユニット13と、制御部6と、動力部7とを備える。
(1)燃料電池
燃料電池3は、液体燃料が直接供給される直接液体燃料形燃料電池であり、液体燃料中のヒドラジン類を消費して発電する。燃料電池3は、カチオン交換型燃料電池およびアニオン交換型燃料電池のいずれとしても構成できるが、好ましくは、アニオン交換型燃料電池として構成される。燃料電池3は、電動車両1の中央下側に配置されている。
燃料電池3は、液体燃料が直接供給される直接液体燃料形燃料電池であり、液体燃料中のヒドラジン類を消費して発電する。燃料電池3は、カチオン交換型燃料電池およびアニオン交換型燃料電池のいずれとしても構成できるが、好ましくは、アニオン交換型燃料電池として構成される。燃料電池3は、電動車両1の中央下側に配置されている。
燃料電池3は、複数の単位セル10が積層されて構成されるセルスタック11を備える。なお、複数の単位セル10は、後述する電解質膜14の厚み方向に積層されており、以下において、複数の単位セル10の積層方向(電解質膜14の厚み方向)を、積層方向と記載する。
単位セル10は、膜電極接合体12と、アノード側セパレータ19と、カソード側セパレータ20とを備える。
膜電極接合体12は、電解質膜14と、アノード電極15と、カソード電極16とを一体的に備える。
電解質膜14は、アニオン交換形またはカチオン交換形の高分子電解質膜から形成され、好ましくは、アニオン交換形の高分子電解質膜から形成される。
電解質膜14の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
アノード電極15は、電解質膜14の一方側に配置され、電解質膜14の厚み方向の一方面上に薄層として積層されている。アノード電極15は、アノード触媒を含有し、例えば、アノード触媒を担持した触媒担体により形成されている。
アノード触媒として、例えば、白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、鉄族元素(鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni))などの周期表第8〜10(VIII)族元素、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの周期表第11(IB)族元素、例えば、亜鉛(Zn)、および、それら金属元素の合金などが挙げられる。アノード触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
このようなアノード触媒のなかでは、好ましくは、PtNi合金およびPt単体が挙げられ、さらに好ましくは、PtNi合金およびPt単体の併用が挙げられる。
アノード触媒としてPtNi合金およびPt単体が併用される場合、PtNi合金は、ヒドラジン類を水素と窒素とに分解するヒドラジン分解触媒として作用し、Pt単体は、ヒドラジン類の分解により生じた水素を酸化する水素酸化触媒として作用する。
PtNi合金は、白金(Pt)とニッケル(Ni)との合金である。
PtNi合金における白金の含有割合は、白金およびニッケルの総mol数に対して、例えば、1mol%以上、好ましくは、5mol%以上、例えば、70mol%以下、好ましくは、60mol%以下である。
PtNi合金におけるニッケルの含有割合は、白金およびニッケルの総mol数に対して、例えば、30mol%以上、好ましくは、40mol%以上、例えば、99mol%以下、好ましくは、95mol%以下である。
Pt単体は、白金の金属単体である。
Pt単体の含有割合は、PtNi合金1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
このようなアノード触媒は、例えば、触媒担体に担持される。触媒担体として、例えば、カーボンなどの多孔質物質が挙げられる。なお、アノード電極15は、触媒担体を用いずに、アノード触媒から直接形成することもできる。
アノード電極15の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
カソード電極16は、電解質膜14の他方側に配置され、電解質膜14の厚み方向他方面上に薄層として積層されている。カソード電極16は、カソード触媒を含有し、例えば、カソード触媒を担持した触媒担体により形成されている。
カソード触媒として、例えば、金属単体、遷移金属錯体、遷移金属錯体の焼成体、導電性高分子とカーボンとからなるカーボンコンポジットに遷移金属が担持された複合体などが挙げられる。
金属単体として、例えば、上記した白金族元素、上記した周期表第8〜10(VIII)族元素、上記した周期表第11(IB)族元素、亜鉛(Zn)などが挙げられる。金属単体は、単独使用または2種以上併用することができる。
遷移金属錯体は、遷移金属元素(中心金属)に有機化合物が配位した金属錯体である。遷移金属元素として、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)が挙げられる。遷移金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
遷移金属元素に配位する有機化合物として、例えば、ピロール、ポルフィリン、テトラメトキシフェニルポルフィリン、ジベンゾテトラアザアヌレン、フタロシアニン、コリン、クロリン、フェナントロリン、サルコミン、ナイカルバジン、ピペミド酸系化合物、アミノベンズイミダゾール、アミノアンチピリン、またはこれらの重合体が挙げられる。有機化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
導電性高分子として、上記の有機化合物と重複する化合物もあるが、例えば、ポリアミン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリトリフェニルアミン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン、ポリイソチアナフテン、ポリピリジンジイル、ポリチエニレン、ポリパラフェニレン、ポリフルラン、ポリアセン、ポリフラン、ポリアズレン、ポリインドール、ポリジアミノアントラキノンなどが挙げられる。導電性高分子は、単独使用または2種以上併用することができる。
このようなカソード触媒は、例えば、触媒担体に担持される。触媒担体として、例えば、カーボンなどの多孔質物質が挙げられる。なお、カソード電極16は、触媒担体を用いずに、カソード触媒から直接形成することもできる。
カソード電極16の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、10μm以下である。
アノード側セパレータ19は、アノード電極15と対向するように、膜電極接合体12に対して一方側(積層方向の一方側)に配置される。アノード側セパレータ19は、ガス不透過性の導電性材料から形成されている。アノード側セパレータ19には、アノード電極15に液体燃料を供給するための燃料流路17が形成されている。
燃料流路17は、アノード側セパレータ19の積層方向他方面の中央に配置されている。燃料流路17は、アノード側セパレータ19の積層方向他方面から積層方向一方へ凹む凹溝であり、幅方向に折り返されながら、上下方向に延びる葛折り形状に形成されている。
カソード側セパレータ20は、カソード電極16と対向するように、膜電極接合体12に対してアノード側セパレータ19の反対側(積層方向の他方側)に配置される。カソード側セパレータ20は、ガス不透過性の導電性材料から形成されている。カソード側セパレータ20には、カソード電極16に酸素を供給するための空気流路18が形成されている。
空気流路18は、カソード側セパレータ20の積層方向一方面の中央に配置されている。空気流路18は、カソード側セパレータ20の積層方向一方面から積層方向他方へ凹む凹溝であり、上下方向に延びる略直線形状に形成されている。
なお、膜電極接合体12と、アノード側セパレータ19およびカソード側セパレータ20のそれぞれとの間には、図示しないガス拡散層が介在されている。
(2)燃料給排ユニット
燃料給排ユニット4は、燃料供給部の一例としての燃料供給ユニット8と、燃料排出ライン9と、第1気液分離器34と、第1還流ライン27とを備える。
燃料給排ユニット4は、燃料供給部の一例としての燃料供給ユニット8と、燃料排出ライン9と、第1気液分離器34と、第1還流ライン27とを備える。
燃料供給ユニット8は、ヒドラジン類を含む液体燃料を燃料電池3(より具体的には、アノード電極15)に供給する。燃料供給ユニット8は、燃料タンク21と、電解液タンク22と、調整タンク23と、第1燃料供給ライン24と、電解液供給ライン25と、第2燃料供給ライン26と、を備える。
燃料タンク21は、ヒドラジン類を含む液体燃料を貯蔵する。詳しくは、液体燃料は、ヒドラジン類が水により溶解される水溶液であって、ヒドラジン類と、水とを含有する。
ヒドラジン類として、例えば、ヒドラジン(NH2NH2)、水加ヒドラジン(NH2NH2・H2O)、炭酸ヒドラジン((NH2NH2)2CO2)、塩酸ヒドラジン(NH2NH2・HCl)、硫酸ヒドラジン(NH2NH2・H2SO4)、モノメチルヒドラジン(CH3NHNH2)、ジメチルヒドラジン((CH3)2NNH2、CH3NHNHCH3)、カルボンヒドラジド((NHNH2)2CO)などが挙げられる。
ヒドラジン類は、単独または2種類以上併用することができる。ヒドラジン類のなかでは、好ましくは、炭素を含まないヒドラジン類、すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジンなどが挙げられ、さらに好ましくは、水加ヒドラジンが挙げられる。
燃料タンク21内における液体燃料のヒドラジン類の濃度は、例えば、5質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、60質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
電解液タンク22は、電解質の水溶液すなわち電解液を貯蔵する。
電解質として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物などが挙げられる。電解質は、単独使用または2種以上併用することができる。電解質のなかでは、好ましくは、水酸化カリウムが挙げられる。
電解液タンク22内における電解液の電解質濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
調整タンク23は、燃料電池3の近傍に配置されている。調整タンク23には、燃料タンク21からの液体燃料が希釈された状態で貯蔵されている。
調整タンク23内における液体燃料のヒドラジン類の濃度は、電動車両1の走行状態に応じて調整されるが、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
第1燃料供給ライン24は、燃料タンク21から調整タンク23へ液体燃料を供給するための配管である。第1燃料供給ライン24の供給方向上流端は、燃料タンク21の下端部に接続されている。第1燃料供給ライン24の供給方向下流端は、調整タンク23に接続されている。第1燃料供給ライン24には、ポンプ29とバルブ30とが設けられている。
ポンプ29は、例えば、公知の送液ポンプであって、燃料タンク21内の液体燃料を調整タンク23に輸送する。ポンプ29は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。ポンプ29の動作は、ECU44(後述)により制御される。
バルブ30は、第1燃料供給ライン24において、調整タンク23とポンプ29との間に設けられている。バルブ30は、例えば、公知の開閉弁であって、第1燃料供給ライン24を開閉する。バルブ30は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。バルブ30の動作は、ECU44(後述)により制御される。
電解液供給ライン25は、電解液タンク22から調整タンク23へ電解液を供給するための配管である。電解液供給ライン25の供給方向上流端は、電解液タンク22の下端部に接続されている。電解液供給ライン25の供給方向下流端は、調整タンク23に接続されている。電解液供給ライン25には、ポンプ31とバルブ32とが設けられている。
ポンプ31は、例えば、公知の送液ポンプであって、電解液タンク22内の電解液を調整タンク23に輸送する。ポンプ31は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。ポンプ31の動作は、ECU44(後述)により制御される。
バルブ32は、電解液供給ライン25において、調整タンク23とポンプ31との間に設けられている。バルブ32は、例えば、公知の開閉弁であって、電解液供給ライン25を開閉する。バルブ32は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。バルブ30の動作は、ECU44(後述)により制御される。
第2燃料供給ライン26は、調整タンク23から燃料電池3へ液体燃料を供給するための配管である。第2燃料供給ライン26の供給方向上流端は、調整タンク23に接続されている。第2燃料供給ライン26の供給方向下流端は、燃料電池3の燃料流路17の下端部(供給口)に接続されている。第2燃料供給ライン26には、ポンプ33が設けられている。
ポンプ33は、例えば、公知の送液ポンプであって、調整タンク23内の液体燃料を燃料電池3に輸送する。ポンプ33は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。ポンプ33の動作は、ECU44(後述)により制御される。
燃料排出ライン9は、燃料電池3から、燃料流路17を通過した液体燃料を排出させる。燃料排出ライン9は、燃料電池3から排出された液体燃料(以下、排出燃料とする。)を、第1気液分離器34へ輸送するための配管である。燃料排出ライン9の排出方向上流端は、燃料電池3の燃料流路17の上端部(排出口)に接続されている。燃料排出ライン9の排出方向下流端は、第1気液分離器34の下端部に接続されている。
第1気液分離器34は、燃料排出ライン9と第1還流ライン27との間に介在されている。第1気液分離器34は、排出燃料からガス(気体)を分離する。第1気液分離器34は、例えば、中空の容器からなる。第1気液分離器34の下端部には、燃料排出ライン9の排出方向下流端が接続されている。また、第1気液分離器34の上部には、第1排気ライン28が接続されている。
第1排気ライン28は、第1気液分離器34において分離されたガスを電動車両1から外へ排気するための配管である。第1排気ライン28の排気方向上流端は、第1気液分離器34に接続されている。第1排気ライン28の排気方向下流端は、大気開放されている。
第1還流ライン27は、第1気液分離器34においてガスが分離された排出燃料を、第1気液分離器34から調整タンク23に還流するための配管である。第1還流ライン27の還流方向上流端は、第1気液分離器34の下端部に接続されている。第1還流ライン27の還流方向下流端は、調整タンク23に接続されている。これにより、調整タンク23から、第2燃料供給ライン26、燃料流路17、燃料排出ライン9、第1気液分離器34および第1還流ライン27を順次介して調整タンク23に戻る循環ラインが形成される。
(3)空気給排ユニット
空気給排ユニット5は、空気供給部の一例としての空気供給ライン41と、排出部の一例としての排出ライン42と、気液分離器の一例としての第2気液分離器35と、第2排気ライン36とを備える。
空気給排ユニット5は、空気供給部の一例としての空気供給ライン41と、排出部の一例としての排出ライン42と、気液分離器の一例としての第2気液分離器35と、第2排気ライン36とを備える。
空気供給ライン41は、酸素を含む空気を燃料電池3(より具体的には、カソード電極16)に供給する。空気供給ライン41は、電動車両1の外から燃料電池3へ空気を供給するための配管である。空気供給ライン41の供給方向上流端は、大気開放されている。空気供給ライン41の供給方向下流端は、燃料電池3の空気流路18の上端部(供給口)に接続されている。空気供給ライン41には、ポンプ43が設けられている。
ポンプ43は、例えば、エアコンプレッサなどの公知の送気ポンプである。ポンプ43は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。ポンプ43の動作は、ECU44(後述)により制御される。
排出ライン42は、空気流路18を通過した未消費の空気と、リーク燃料(後述)を含む排出液(後述)とを、燃料電池3から排出させる。排出ライン42は、燃料電池3から第2気液分離器35に、空気および排出液(後述)を輸送するための配管である。排出ライン42の排出方向上流端は、燃料電池3の空気流路18の下端部(排出口)に接続されている。排出ライン42の排出方向下流端は、第2気液分離器35に接続されている。
第2気液分離器35は、排出ライン42から輸送される空気および排出液(後述)を、空気を含む気体成分と、排出液(後述)を含む液体成分とに分離する。第2気液分離器35は、例えば、中空の容器からなる。なお、詳しくは後述するが、第2気液分離器35の下端部には、後述する第2還流ライン37および後述する返送ライン39が接続されており、第2気液分離器35内には、第1過酸化水素分解触媒60(後述)が設けられている。
第2排気ライン36は、第2気液分離器35において分離された気体成分を電動車両1から外へ排気するための配管である。第2排気ライン36の排気方向上流端は、第2気液分離器35の上端部に接続されている。第2排気ライン36の排気方向下流端は、大気開放されている。
(4)燃料還流ユニット
燃料還流ユニット13は、還流部の一例としての第2還流ライン37と、圧力計38と、返送ライン39とを備える。
燃料還流ユニット13は、還流部の一例としての第2還流ライン37と、圧力計38と、返送ライン39とを備える。
第2還流ライン37は、第2気液分離器35において分離された液体成分を燃料供給ユニット8に還流させる。第2還流ライン37は、第2気液分離器35と燃料供給ユニット8とを連結する。より具体的には、第2還流ライン37の還流方向上流端は、第2気液分離器35の下端部に接続されている。第2還流ライン37の還流方向下流端は、調整タンク23の下端部に接続されている。なお、第2還流ライン37の還流方向下流端の接続箇所は、燃料供給ユニット8であれば特に制限されない。
また、第2還流ライン37には、ポンプ50と、三方バルブ51と、バルブ52とが設けられている。
ポンプ50は、例えば、公知の送液ポンプであって、第2気液分離器35内の液体成分を調整タンク23に輸送する。ポンプ50は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。ポンプ50の動作は、ECU44(後述)により制御される。
三方バルブ51は、第2還流ライン37と返送ライン39との分岐部分(後述)に設けられており、第2還流ライン37において、ポンプ50に対して還流方向下流側に位置している。三方バルブ51は、例えば、公知の開閉弁であって、第2還流ライン37の開閉と、返送ライン39の開閉とを切り替え可能である。詳しくは、三方バルブ51は、第2還流ライン37を開放したときに、返送ライン39を閉鎖し、第2還流ライン37を閉鎖したときに、返送ライン39を開放する。三方バルブ51は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。三方バルブ51の動作は、ECU44(後述)により制御される。
バルブ52は、第2還流ライン37において、三方バルブ51と調整タンク23との間に設けられている。バルブ52は、例えば、公知の開閉弁であって、第2還流ライン37を開閉する。バルブ52は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。バルブ52の動作は、ECU44(後述)により制御される。
なお、詳しくは後述するが、第2還流ライン37には、さらに第2過酸化水素分解触媒61(後述)が設けられている。
圧力計38は、第2還流ライン37内の圧力が測定可能となるように、第2還流ライン37に接続されている。より詳しくは、圧力計38は、第2気液分離器35とポンプ50との間の第2還流ライン37内の圧力であって、第2過酸化水素分解触媒61(後述)に対して還流方向の下流側の圧力が測定可能となるように、第2還流ライン37に接続されている。圧力計38は、ECU44(後述)に電気的に接続されている。圧力計38は、測定結果をECU44(後述)に送信可能である。
返送ライン39は、詳しくは後述するが、圧力計38の測定結果が閾値を超過したときに、液体成分を第2気液分離器35に返送する。返送ライン39の返送方向上流端は三方バルブ51を介して、第2還流ライン37に接続されている。返送ライン39の返送方向下流端は、調整タンク23の下端部に接続されている。
(5)制御部
制御部6は、ECU44を備える。
制御部6は、ECU44を備える。
ECU44は、電動車両1における電気的な制御を実行するコントロールユニット(すなわち、Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。
(6)動力部
動力部7は、モータ45と、インバータ46と、バッテリ47と、DC/DCコンバータ48とを備える。
動力部7は、モータ45と、インバータ46と、バッテリ47と、DC/DCコンバータ48とを備える。
モータ45は、電動車両1の前端部において、いわゆるエンジンルーム内に配置されている。モータ45は、燃料電池3に電気的に接続されている。モータ45は、燃料電池3またはバッテリ47から出力される電気エネルギーを電動車両1の駆動力として機械エネルギーに変換する。モータ45として、例えば、三相誘導電動機、三相同期電動機などの公知の三相電動機などが挙げられる。
インバータ46は、燃料電池3で発電された直流電力を交流電力に変換する。インバータ46は、配線により、燃料電池3とモータ45との間に電気的に接続されている。インバータ46として、例えば、公知のインバータ回路が組み込まれた電力変換装置などが挙げられる。
バッテリ47は、燃料電池3が発電した電力を蓄電可能である。バッテリ47は、燃料電池3とモータ45との間の配線に電気的に接続されている。バッテリ47として、例えば、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池などの公知の二次電池などが挙げられる。バッテリ47は、燃料電池3からの電力を蓄電可能、かつ、モータ45に電力を供給可能である。
DC/DCコンバータ48は、配線により、燃料電池3とインバータ46との間に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ48は、燃料電池3の出力電圧を昇降圧する機能を有し、燃料電池3の電力およびバッテリ47の入出力電力を調整する。DC/DCコンバータ48は、ECU44に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ48の動作は、ECU44により制御される。
2.過酸化水素分解触媒
このような燃料電池システム2では、第2気液分離器35および/または第2還流ライン37において、過酸化水素分解触媒が設けられている。本実施形態では、第2気液分離器35および第2還流ライン37の両方に過酸化水素分解触媒が設けられている態様について説明する。
このような燃料電池システム2では、第2気液分離器35および/または第2還流ライン37において、過酸化水素分解触媒が設けられている。本実施形態では、第2気液分離器35および第2還流ライン37の両方に過酸化水素分解触媒が設けられている態様について説明する。
過酸化水素分解触媒として、例えば、特開2016−221448号公報に記載の過酸化水素分解触媒、酸化マンガン、酸化アルミニウム、活性炭、パラジウム触媒などが挙げられる。過酸化水素分解触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。過酸化水素分解触媒のなかでは、好ましくは、酸化マンガンが挙げられる。また、過酸化水素分解触媒は、好ましくは、特開2016−221448号公報に記載の方法により、多孔質に形成される。
なお、以下において、第2気液分離器35に設けられる過酸化水素分解触媒を、第1過酸化水素分解触媒60とし、第2還流ライン37に設けられる過酸化水素分解触媒を、第2過酸化水素分解触媒61として区別する。
第1過酸化水素分解触媒60は、第2気液分離器35内において液体成分と接触するように、第2気液分離器35内に配置されている。なお、第1過酸化水素分解触媒60の配置形態は、液体成分と接触可能であれば、特に制限されない。例えば、第1過酸化水素分解触媒60は、第2気液分離器35の内面に層状に形成されてもよく、別途基材に支持されて、第2気液分離器35内に配置されてもよい。
第2過酸化水素分解触媒61は、第2還流ライン37を通過する液体成分と接触するように、第2還流ライン37における第2気液分離器35と圧力計38との間に設けられている。なお、第2過酸化水素分解触媒61の配置形態は、液体成分と接触可能であれば、特に制限されない。例えば、第2過酸化水素分解触媒61は、第2還流ライン37の内面に層状に形成されてもよく、別途基材に支持されて、第2還流ライン37内に配置されてもよい。
3.発電動作
次に、電動車両1における発電について説明する。
次に、電動車両1における発電について説明する。
電動車両1が起動されると、ECU44の制御により、バルブ30が開放され、第1燃料供給ライン24のポンプ29、第2燃料供給ライン26のポンプ33、および、空気供給ライン41のポンプ43が駆動される。すると、調整タンク23内の液体燃料は、第2燃料供給ライン26を介して、燃料電池3の燃料流路17に供給される。
なお、燃料タンク21内の液体燃料は、第1燃料供給ライン24を介して、逐次、バルブ30の開閉動作、および、ポンプ29の駆動および停止により、調整タンク23に供給される。また、電解液タンク22内の電解液は、電解液供給ライン25を介して、逐次、バルブ32の開閉動作、および、ポンプ31の駆動および停止により、調整タンク23に供給される。
燃料流路17に供給された液体燃料は、アノード電極15に供給され、アノード電極15と接触しながら燃料流路17内を下側から上側へ流れた後、燃料排出ライン9へ排出される。
また、電動車両1の外部から空気は、空気供給ライン41を介して燃料電池3の空気流路18に供給される。空気流路18に供給された空気は、カソード電極16に供給され、カソード電極16と接触しながら空気流路18内を上側から下側へ流れた後、排出ライン42へ排出される。
このとき、燃料電池3では、ヒドラジン類がヒドラジンであり、アノード触媒がPtNi合金およびPt単体を含む場合、アノード電極15において、下記(A)および(B)に示す電気化学反応が生じ、カソード電極16において、下記(C)に示す電気化学反応が生じる。そして、燃料電池3全体として下記式(D)に示す反応が連続的に生じて発電される。
(A)N2H4→N2+2H2(アノード電極15での反応)
(B)2H2+4OH−→4H2O+4e−(アノード電極15での反応)
(C)O2+2H2O+4e−→4OH−(カソード電極16での反応)
(D)N2H4+O2→N2+2H2O(燃料電池3全体での反応)
つまり、アノード電極15では、ヒドラジンが窒素と水素とに分解されて、窒素および水素が生成した後(A)、その水素が酸化される(B)。また、カソード電極16では、酸素が還元される(C)。
(B)2H2+4OH−→4H2O+4e−(アノード電極15での反応)
(C)O2+2H2O+4e−→4OH−(カソード電極16での反応)
(D)N2H4+O2→N2+2H2O(燃料電池3全体での反応)
つまり、アノード電極15では、ヒドラジンが窒素と水素とに分解されて、窒素および水素が生成した後(A)、その水素が酸化される(B)。また、カソード電極16では、酸素が還元される(C)。
これら反応により、ヒドラジン類(N2H4)が消費されるとともに、水(H2O)および窒素(N2)が生成され、起電力(e−)が発生する。発生した起電力は、DC/DCコンバータ48によって変圧され、インバータ46により三相交流電力に変換された後、モータ45に供給されて、電動車両1の車輪を駆動させる機械エネルギーに変換される。なお、機械エネルギーに変換されなかった余剰の電力は、バッテリ47に蓄電される。
そして、燃料電池3から燃料排出ライン9に排出された排出燃料は、燃料排出ライン9を介して第1気液分離器34に流入し、ガス成分(例えば、水素ガス、窒素ガスなど)が分離された後、第1還流ライン27を介して、調整タンク23に戻される。
4.還流動作
上記した発電動作では、アノード電極15に供給した液体燃料が、電解質膜14を透過してカソード電極16にリークする場合がある(クロスリーク)。
上記した発電動作では、アノード電極15に供給した液体燃料が、電解質膜14を透過してカソード電極16にリークする場合がある(クロスリーク)。
そして、燃料電池システム2を、単位セル10あたりの出力電圧が下記範囲となる高出力領域において運転すると、カソード電極16において、リークした液体燃料に含まれるヒドラジン類と酸素とが反応して、過酸化水素を生成する。
高出力領域における単位セル10あたりの出力電圧は、例えば、0.2V以上、好ましくは、0.4V以上、0.6V以下であり、高出力領域における単位セル10あたりの出力電流は、例えば、50A以上、好ましくは、52.5A以上、さらに好ましくは、60A以上、例えば、120A以下、好ましくは、100A以下、さらに好ましくは、90A以下である。なお、出力電圧および出力電流は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
そして、生成した過酸化水素は、リークした液体燃料とともに、排出液として燃料電池3から排出ライン42に排出される。このとき、上記したように、未消費の空気も、燃料電池3から排出ライン42に排出される。
つまり、排出ライン42は、未消費の空気と排出液とを燃料電池3から排出し、排出液は、アノード電極15から電解質膜14を透過してカソード電極16にリークした液体燃料(以下、リーク燃料とする。)と、リーク燃料中のヒドラジン類と酸素との反応により生じる過酸化水素とを含む。
次いで、排出ライン42に排出された空気および排出液は、排出ライン42を通過して第2気液分離器35に流入する。そして、流入した空気および排出液は、第2気液分離器35において、空気を含む気体成分と、排出液(リーク燃料および過酸化水素)を含む液体成分とに分離される。
このとき、液体成分は、第2気液分離器35内に設けられる第1過酸化水素分解触媒60と接触する。これによって、液体成分に含まれる過酸化水素は、第1過酸化水素分解触媒60によって分解されて、酸素を発生する。発生した酸素は、第2気液分離器35において、液体成分から気体成分に分離される。そして、気体成分は、第2排気ライン36を介して、電動車両1の外部に排出される。
なお、第2気液分離器35内における液体成分には、ヒドラジン類が含まれるが、その濃度は、調整タンク23内における液体燃料のヒドラジン類の濃度よりも低い。そのため、第2気液分離器35内の液体成分に過酸化水素が含有されていても、ヒドラジン類と過酸化水素との反応は抑制されており、第2気液分離器35内におけるヒドラジン類の消費は抑制されている。
次いで、ECU44の制御により、三方バルブ51が、第2還流ライン37を開放し、返送ライン39を閉鎖するとともに、バルブ52が第2還流ライン37を開放する。そして、ポンプ50が駆動される。
すると、第2気液分離器35内の液体成分は、第2気液分離器35から第2還流ライン37に流入し、第2過酸化水素分解触媒61と接触する。
このとき、液体成分中に過酸化水素が残存していると、第2過酸化水素分解触媒61により、過酸化水素が分解されて、酸素が生成する。すると、第2還流ライン37の内部圧力が上昇する。そして、第2還流ライン37の内部圧力は、圧力計38により測定される。
圧力計38の測定結果が閾値以下である場合、ECU44は、三方バルブ51の状態(第2還流ライン37を開状態、返送ライン39を閉状態)を維持する。
一方、圧力計38の測定結果が閾値を超過している場合、ECU44は、三方バルブ51の状態を切り替えて、第2還流ライン37を閉鎖するとともに、返送ライン39を開放する。これによって、液体成分は、返送ライン39を介して第2気液分離器35に返送される。
その後、圧力計38の測定結果が閾値以下となるまで、液体成分は、第2気液分離器35、第2還流ライン37の上流部分および返送ライン39を循環する。そして、圧力計38の測定結果が閾値以下となると、ECU44は、三方バルブ51の状態を切り替えて、第2還流ライン37を開放するとともに、返送ライン39を閉鎖する。
これらによって、液体成分は、第2還流ライン37を介して調整タンク23に還流されて、調整タンク23内の液体燃料と合流する。
5.作用効果
燃料電池システム2は、空気および排出液を燃料電池3から排出する排出ライン42と、排出ライン42に接続される第2気液分離器35と、第2気液分離器35と燃料供給ユニット8とを連結する還流ライン37とを備える。
燃料電池システム2は、空気および排出液を燃料電池3から排出する排出ライン42と、排出ライン42に接続される第2気液分離器35と、第2気液分離器35と燃料供給ユニット8とを連結する還流ライン37とを備える。
そのため、空気と、リーク燃料を含む排出液とは、排出ライン42によって燃料電池3から排出された後、第2気液分離器35に流入し、第2気液分離器35において、空気を含む気体成分と、リーク燃料を含む液体成分とに分離され、その後、液体成分は、第2還流ライン37を介して、燃料供給ユニット8に還流される。そのため、リーク燃料を再利用することができ、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
また、排出液には、リーク燃料中のヒドラジン類と酸素との反応により生じる過酸化水素が含まれるが、第2気液分離器35および第2還流ライン37に、過酸化水素分解触媒が設けられているので、第2気液分離器35および第2還流ライン37において、過酸化水素を効率よく分解することができる。
その結果、第2気液分離器35によって分離された液体成分を燃料供給ユニット8に還流させても、液体成分中の過酸化水素と、燃料供給ユニット8によってアノード電極15に供給される液体燃料中のヒドラジン類とが反応することを抑制できる。
よって、このような燃料電池システム2によれば、排出液に含まれる過酸化水素を効率よく分解できながら、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
とりわけ、アノード触媒がPtNi合金およびPt単体を含む場合、アノード電極15において、上記(A)の電気化学反応に示すように、ヒドラジン類が分解されて水素が生成する。
そのため、過酸化水素を含む液体成分が燃料供給ユニット8に還流され、過酸化水素とヒドラジン類との反応により酸素が生成すると、アノード電極15において、酸素と水素とが併存するおそれがあり、燃料電池システム2の安全性が低下してしまうという不具合がある。
しかし、上記の構成によれば、燃料供給ユニット8に還流する液体成分において、過酸化水素が効率よく分解されているので、液体燃料の利用効率の向上を図ることができながら、燃料電池システム2の安全性を確保することができる。
また、上記の燃料電池システム2では、単位セル10あたりの出力電圧が0.6V以下となる高出力領域において運転されていても、過酸化水素を効率よく分解でき、液体燃料の利用効率の向上を図ることができる。
6.変形例
上記した実施形態では、圧力計38によって、過酸化水素の分解により生じる酸素の生成を確認するが、圧力計38に代えて酸素センサを備えてもよい。
上記した実施形態では、圧力計38によって、過酸化水素の分解により生じる酸素の生成を確認するが、圧力計38に代えて酸素センサを備えてもよい。
この場合、酸素センサの測定結果が閾値を超過している場合、ECU44は、三方バルブ51を制御して、第2還流ライン37を閉鎖するとともに、返送ライン39を開放して、液体成分を、返送ライン39を介して第2気液分離器35に返送する。
また、酸素センサの測定結果が閾値以下である場合、ECU44は、三方バルブ51を制御して、第2還流ライン37を開放するとともに、返送ライン39を閉鎖し、さらに、バルブ52を開放して、液体成分を、第2還流ライン37を介して調整タンク23に還流させる。
また、上記した実施形態では、第2気液分離器35および第2還流ライン37の両方に過酸化水素分解触媒が設けられるが、これに限定されず、第2気液分離器35および第2還流ライン37のいずれか一方にのみ、過酸化水素分解触媒が設けられてもよい。
これら変形例によっても、上記した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
2 燃料電池システム
3 燃料電池
8 燃料供給ユニット
14 電解質膜
15 アノード電極
16 カソード電極
35 第2気液分離器
37 第2還流ライン
41 空気供給ライン
42 排出ライン
60 第1過酸化水素分解触媒
61 第2過酸化水素分解触媒
3 燃料電池
8 燃料供給ユニット
14 電解質膜
15 アノード電極
16 カソード電極
35 第2気液分離器
37 第2還流ライン
41 空気供給ライン
42 排出ライン
60 第1過酸化水素分解触媒
61 第2過酸化水素分解触媒
Claims (2)
- 電解質膜、前記電解質膜の一方側に配置されるアノード電極、および、前記電解質膜の他方側に配置されるカソード電極を有する燃料電池と、
前記アノード電極に、ヒドラジン類を含む液体燃料を供給する燃料供給部と、
前記カソード電極に空気を供給する空気供給部と、
未消費の空気と、前記アノード電極から前記電解質膜を透過して前記カソード電極にリークした液体燃料を含む排出液とを、前記燃料電池から排出する排出部と、
前記排出部に接続され、前記排出部から供給される空気および前記排出液を、空気を含む気体成分と、前記排出液を含む液体成分とに分離する気液分離器と、
前記気液分離器と前記燃料供給部とを連結し、前記液体成分を前記燃料供給部に還流させる還流部と、を備え、
前記排出液には、前記リークした液体燃料中のヒドラジン類と酸素との反応により生じる過酸化水素がさらに含まれ、
前記気液分離器および/または前記還流部に、過酸化水素分解触媒が設けられていることを特徴とする、燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池は、前記電解質膜、前記アノード電極、前記カソード電極を備える単位セルが、前記電解質膜の厚み方向に複数積層されて構成され、
前記単位セルあたりの出力電圧が0.6V以下となるように運転することを特徴とする、燃料電池システムの運転方法。
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