JP2019167666A - 湾曲したバーと鋸刃状の前縁とを有するステーターリファイナープレートエレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】リグノセルロース材料のメカニカルリファイナー用のリファイナープレートの提供。【解決手段】基板に固定されたステーターリファイニング面と、前記ステーターリファイニング面に設置された複数のバー20及び溝16と、前記バー20の少なくとも一つの前方側壁28上の不規則面と、前記バー20の少なくとも一つの前方側壁28の不規則面から隣接するバー20上の後方側壁30に向かって延びている複数の突起と、を含み、前記バー20のそれぞれは、前方側壁28と、この前方側壁28と対向する後方側壁30を含み、前記後方側壁30は、平滑面を有し且つ不規則面を持たないことを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、リグノセルロース材料用のディスクリファイナー、例えば、メカニカルパルプやサーモメカニカルパルプの製造、中密度ファイバーボード(MDF)、パーティクルボードに使用されるパルプ、ケミカルパルプ、紙料調製物、及び種々のケミカルサーモメカニカルパルプ(メカニカルパルプ及びメカニカルパルプ化プロセスと総称する)の製造、並びに高、中、及び低コンシステンシーリファイニングに使用されるディスクリファイナーに関する。
メカニカルパルプ化プロセスで使用されるリファイナーにおいて、原料、典型的には木材又は他のリグノセルロース材料(木材チップと総称する)は、リファイナーディスクの一方の中央を介して供給され、ローターディスクの一方又は両方の回転により生み出される強い遠心力によって外側に押し出される。これらのリファイナーは、高、中、又は低コンシステンシーリファイナーである。リファイナープレートは、リファイナーディスクの対向面のそれぞれに装着される。木材チップは、対向するリファイナープレートの間を、プレート及びディスクの内周部から外周部へと一般に半径方向に移動する。
リファイナーディスクは、高コンシステンシーリファイニングに使用される場合には毎分900〜2300回転(RPM)、低コンシステンシーリファイニングの場合には毎分400回転のような低い回転速度で稼働し得る。木材チップがディスク間にある間、この材料にはこのディスクに取り付けられたリファイナープレートを介してエネルギーが伝達される。
リファイナープレートは、一般的に、バー及び溝のパターン並びにダムを特徴とし、これらは一体となって、リンゴセルロース繊維材に繰り返しの圧縮作用及びせん断作用を加える。材料に加えられた圧縮作用及びせん断作用によって、原料からリグノセルロース繊維が分離されて、材料の一定量の展開(development)又はフィブリル化がなされる一方、一部の繊維が切断されるが、この切断は通常望ましいものではない。繊維の分離及び展開は、原料である木材チップをボード又は紙を製造するに好適な繊維成分に転化させるために必要である。
メカニカルパルプ化プロセスでは、例えば、木材チップとリファイナープレートとの間で大量の摩擦が発生し、この摩擦によって、プロセスのエネルギー効率が減少する。
より高いエネルギー効率、例えばより低い摩擦で作動するリファイナープレートを開発する試みがなされており、この試みは、典型的にはディスク間の稼働ギャップを減少させることを含む。エネルギー効率を改善するための公知の技術は、典型的には、リファイナープレートセグメントの前面に対する設計上の特徴を含み、これにより、通常、リファイナープレート上の(一つ又は複数の)リファイニングゾーンを横切る木材チップの供給速度が向上する。この技術は、リファイナープレート間を流れる木材チップによって形成される繊維状パッドの厚さを減少させることができる。エネルギーがリファイナープレートによって、より薄い繊維パッドに加えられると、木材チップに加えられる圧縮率が、与えられたエネルギー入力に対して大きくなり、木材チップのリファイニングにおける、より効率的なエネルギー使用が実現する。
繊維パッドの厚さを減少させることにより、稼働ギャップ、例えば対向するリファイナープレート間の間隙をより狭くできる。しかし、ギャップを狭くすると、木材チップの繊維の切断の増加、ディスクにより製造されるパルプの強度特性の低下、リファイナープレートの摩耗率の上昇、及びリファイナープレートの稼働寿命の短縮化に繋がる。
エネルギー効率は、リファイナーディスクの外周部に行くにつれて最大になると考えられている。リファイナープレートの相対速度は、プレートの外周領域で最大となる。リファイナープレート同士のリファイニングバーは、対向するプレート上で相互に交差し、その速度はリファイナープレートの外周領域ほど高い。リファイニングバーの交差速度が高いと、プレートの外周領域におけるリファイニング効率が増加すると考えられている。
木材繊維は、リファイナープレートの外周領域を迅速に流れる傾向にある。外周領域における繊維の流れの増加は、強い遠心力及びディスク間で発生する水蒸気の順方向の流れによって作り出される力に起因する。外周領域内の保持時間が短いと、リファイニング面の最も効率的な部分において行われる仕事量が限定される。
米国特許第8,157,195号公報に記載されたような鋸刃状の又はギザギザ状のリファイナープレートの幾何学的形状を開発することは、エネルギー効率の高いリファイニングが実現されると考えられている。このコンセプトでは、プロセスや所望のパルプ特性に応じて、種々の対向プレートを使用するものである。
公知のリファイナープレート及びその構成は、米国特許第8,157,195号公報、同第7,900,862号公報、米国特許出願第13/547,144号明細書に記載されているものを含み、これらの全文は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
一態様において、リグノセルロース材料のメカニカルリファイナー用のリファイナープレートがある。このリファイナープレートは、実質的に移動不可能な基板に固定されたステーターリファイニング面を含む。ステーターリファイニング面は、ステーターリファイニング面上に設置された複数のバー及び溝を含み、各バーは、前方側壁(leading sidewall)と前方側壁に対向する後方側壁(trailing sidewall )とを含む。前方側壁は、複数の突起を含む不規則面を有し、前記突起は不規則面から隣接するバー上の後方側壁に向かって延びている。前記後方側壁は、平滑面を有し、且つ前記前方側壁上の不規則面を持たない。
別の態様では、ローターリファイナープレートとステーターリファイナープレートとを含む対向するリファイナープレートを有するリファイナーにおいてリグノセルロース材料を機械的にリファイニングする方法がある。
この方法は、ローターリファイナープレートとステーターリファイナープレートとを含む対向する2つのリファイナープレートのうち一つの入口にリグノセルロース材料を導入する工程と、前記ローターリファイナープレートを回転させ、前記ステーターリファイナープレートを実質的に固定した状態に維持して、回転により生み出された遠心力により前記材料をプレート間のギャップを通して半径方向外側に移動させる工程と、前記材料がギャップを通過して移動するにつれて、前記材料を前記ステーターリファイナープレートのリファイニング部内のバーを越えてバー間の溝を通過させる工程、(前記バーは前方側壁と前方側壁の反対側の後方側壁とを含む)と、前記溝を通る繊維材の移動を、溝に隣接するバーの前方側壁上の不規則面と繊維材料との相互作用によって阻害する工程(前記バーの前方側壁の反対側の前記後方面は、不規則面を有さない)と、前記リファイナープレートの外周のギャップから前記材料を排出する工程とを含む。
リファイナーには、対向する2つのリファイニング面(プレート)が、少なくとも一方のリファイナープレートが他方のリファイナープレートに対して回転するように配置されている。ここで、一方のリファイナープレートは、実質的に固定されていてもよく、これは一般に「ステーター」と呼ばれる。他方の回転するリファイナープレートは、一般に「ローター」と呼ばれる。
大きな抑え角(holding angle)及び鋸刃状の縁部を特徴とするローターエレメントと向き合うように供給ステーターエレメントを使用すると、摩耗が不均一で、供給ステーターエレメントの早期摩耗、リファイナープレートの組み合わせの有効寿命の短縮といったことが起こり得ると考えられている。
米国特許第8,157,195号公報のローターの鋸刃状の縁部を、同様の特徴を利用したステーターエレメントとを組み合わせると、プレートの組み合わせに起因してエネルギーを節約でき、リファイナープレートの有効寿命を有意に改善し得る。
従って、本開示は、リファイニングプロセスにおけるエネルギー消費を削減し、且つロータープレートとステータープレートとの間の不均一な摩耗を有意に減少させて、リファイナープレートの有効寿命を長くするステーターリファイナープレートの特別な幾何学形状を提案するものである。
このリファイニングプロセスでは、メカニカルリファイナーのディスク間の稼働ギャップ中を移動する、木材チップで形成された繊維状パッドに周期的な圧縮力を適用する。リファイニングプロセスのエネルギー効率は、繊維状パッドの圧縮率を増大させ、例えばリファイニングゾーンの半径方向内側部分において、より低い圧縮率で加えられるリファイニングエネルギーの割合を減少させることによって、改善し得る。圧縮率の増大は、本明細書に開示されるプレート設計を使用すれば、従来の高エネルギー効率リファイナープレートを使用して行われるのと同じ程度に稼働ギャップを必ずしも狭めなくとも達成し得る。
リファイナーにおけるロータープレートとステータープレートとの間の比較的広い稼働ギャップ(高エネルギー効率リファイナーの狭いギャップと比較して)は、プレート間に形成されるより厚いパルプパッドの結果でもあり得る。高圧縮比は、同様の高エネルギー効率応用において使用される従来のプレートと比較して有意に粗いリファイナープレートを使用して、厚いパルプパッドで達成し得る。
粗いリファイナープレートは、リファイナーで典型的に使用される細かいリファイナープレートと比較して、比較的に少ないバーを有する。粗いリファイナープレートにおいてバーの数が少ないことは、ローター上のバーがステーター上のバーを通過する際に加えられる圧縮サイクルが少なくなる場合がある。より少ない圧縮サイクルで伝達されるエネルギーは、圧縮及びせん断の各機会における強度を増大させ、またエネルギー効率を増大させる。
米国特許第8,157,195号公報に記載されるように、ローターエレメントは、供給材料に対し非常に強い抑え効果(holding effect)を生み出すと考えられている。バーの頂部及びその前縁は、多くの量の繊維状パッドで覆われている。他方、ステーターエレメントは、平滑な前縁を有する強固な供給バーを使用して通常配列されており、この平滑な前縁が、繊維パッドをその表面に沿って且つその表面を横切って容易にスリップさせてしまい、このことは、繊維の実質的な層によって保護されていると考えられるロータープレートと比べて、ステータープレート上でのより早い摩耗を引き起こす。
一実施形態において、リファイナープレートは、バーが設けられた外側リファイニングゾーンを有するステータープレートセグメントの集合体であって、これらのバーは、湾曲した長手形状を有する半径方向外側部分と、ギザギザ状、鋸刃状、又は他の不規則形状の壁面を有する前方側壁とを少なくとも有する。湾曲したバー及びこのバーの間に生じる湾曲した溝により、木材チップ供給材料が外側領域に向かって供給される。
別の実施形態において、第2リファイニングプレートと向き合ったリファイニング面を有するリファイニングプレートが発明された。リファイニング面は、それから立ち上がっている複数のバーを備える。このバーは、プレートの外周縁に向かって外側に延び、バーの少なくとも前方側壁上にギザギザ状の又は不規則面を有する。このバーはまた、例えば、指数関数的なアーク又は螺旋アーク状に湾曲している。
好ましい実施形態において、リファイナープレートは、稼働中回転することなく実質的に一定に保たれるステーターである。
リグノセルロース材料のメカニカルリファイナーのために発明された例示的なリファイニングプレートセグメントは、基板上にリファイニング面を含んでもよい。リファイニング面は、対向するリファイナープレートのリファイニング面と向き合うようになっていてもよく、このリファイニング面は、バーとこのバーの間に設置された溝とを含む。
各バーの、バーに対応する半径方向線に対する角度は、半径方向外側方向に沿って少なくとも10〜15°増加してもよい。この各バーの角度は、供給角であって、リファイニング面の外周部において5〜70°、10〜65°、及び15〜60°の範囲内の任意の角度であってもよい(そして全ての供給角は、5°超且つ70°以下である)。各バーは、不規則面を有する前方側壁を含み、この不規則面は、前記側壁から隣接するバー上の側壁に向かって外側に延びている突起を含み、この不規則面は、リファイニング面の外周又はその近傍のいずれかから、バーに沿って半径方向内側方向に延びているが、リファイニング面の入口に達するものではない。
各バーは、プレートの半径に対して湾曲した長手形状を有してもよく、この長手形状はバーの長さに亘って延びている。その角度は、バー上で半径方向外側方向に沿って連続的且つ徐々に増加してもよく、半径方向外側方向に沿って階段状に増加してもよい。リファイニング面の半径方向内側の入口において、各バーは、バーに対応する半径方向線の10、15又は20°以内の角度で配列していてもよい。更に、リファイニングプレートセグメントは、固定されたリファイニングディスクとして作用するように、またリファイナーに装着されたときに、回転しているリファイニングディスクと向き合うようになっていてもよい。
リファイニング面は、複数のリファイニングゾーン、例えば、第1リファイニングゾーンと第2リファイニングゾーンとを含んでいてもよい。第1リファイニングゾーンは、比較的広いバー及び広い溝を有してもよく、第2リファイニングゾーンは、比較的狭いバー及び狭い溝を有してもよい。第2リファイニングゾーンは、プレートセグメント上の第1リファイニングゾーンの半径方向外側部分に設置されてもよく、第2リファイニングゾーンの供給角は、5〜70°、10〜65°、及び15〜60°の範囲内の任意の角度であってもよい。
バーの前方側壁上の不規則面は、一連の傾斜路を備えてもよく、この傾斜路はそれぞれ、各溝の基板に下側縁を有し、少なくとも部分的に前方側壁へ上方に延びている。
一態様において、本開示は、供給角を特徴とするステーターエレメント上に鋸刃状の前縁を追加したことに関する。ステーターエレメントは、リファイナープレートセグメントと交差する半径方向線に対して、少なくとも5°の平均供給角を有する。この供給角は、少なくとも10又は15°でもよく、供給角は、リファイニングゾーンの内径からリファイニングゾーンの外径(排出口)にかけて増加してもよい。幾つかの実施形態において、0°超且つ70°以下の供給角が好適である。
ステーターバーの前縁に沿って、その表面の少なくとも25%且つその表面の多くとも95%において、バーは、鋸刃状の縁部デザインの或る形状を特徴としており、これにより、繊維がステーターバーに沿って且つそのバーを横切って容易にスリップすることを防止する。鋸刃状の縁部は、ジグザグでも、7、Z、V若しくはCの字形状を有する凹部又は突起の組み合わせでも、或いは矩形状の切込又は部分でもよい。そのような凹部を、頂面(バーの頂部)から底面(溝の底部)にかけて、全てに又はその途中まで、延ばすこともできる。或いは、凹部は、外形における深さ(profile depth)を、底面に近付くにつれて、増したり減らしたりもできる。プレートセグメントはまた、溝幅を横切って部分的に又は全体的に延びていても、延びていなくてもよい傾斜路又はダムも特徴としてもよい。
各突起間又は各凹部間の距離は、3mm〜18mm、好ましくは4mm〜12mmの間で変動し得る。
一態様において、本開示は、(リファイナープレートセグメントの外周部に向けた)順方向ポンピング効果(forward pumping effect)を生み出す供給角を特徴とするステーターリファイナープレートのデザインにも関するものである。このステーターリファイナープレートはまた、リファイニング面の少なくとも一部の上の鋸刃状の前縁を特徴としてもよく、これにより、繊維はリファイナープレートのバーの前縁に並んで且つその前縁を横切って容易にスリップせず、従って摩耗を減少する。
図1は、内側リファイニングゾーン82と外側リファイニングゾーン84とを有する従来技術のロータープレートセグメント80の前面図である。外側リファイニングゾーン84内の外側バー86はそれぞれ、各半径方向線と平行に配列されているか、又は、小さい供給角、例えば半径方向線の10°又は5°以内に配列されている。外側バー86は、それらの半径方向外側の端部において10〜70°の供給角を形成するように、湾曲している。
内側リファイニングゾーン82の内側バー88は、ゼロ°から50°の大きさの入口角を有する。内側バー88は、直線状でも、又は湾曲していてもよく、内側リファイニングゾーンと外側リファイニングゾーンとの間の遷移部においてわずかな供給角、例えば、5〜15°の供給角を徐々に形成する。図示されるように、従来技術のステーターは、米国特許第8,157,195号公報に記載のような平滑なバーを有する。
図2は、ステータープレートセグメント10の一実施形態を示す。このプレートセグメントは、内周12及び外周13を有する。ステータープレートセグメント10の主表面上には、一連のバー20及び溝16がある。溝16は、バーの間に設置され、後方側壁30及び前方側壁28によって規定される。前方側壁28は、バーの稜部26からテーパー状の縁を有してもよく、これにより、ギザギザ状の特徴は、リファイニングの大部分が実施されるバーの上側角部縁で最も顕著であるが、バーの深さにおいては、特に溝深部では、それほど顕著ではない。
前方側壁28の不規則面という特徴は、バーの半径方向の外側部分に限定されていてもよいが、最も外側のリファイニングゾーンの全長又はリファイニングプレートセグメント10の主表面上のリファイニングゾーン全体に亘って延ばしてもよい。
図3〜6は、各々、例示的な稜部126の上面図、特にリファイナープレートセグメントの外側リファイニングゾーンにおけるバーの前方側壁上の不規則面の外形を概略的に示す。各バー120の上側稜部126は、前方側壁128と後方側壁130との上側角部の外形を含む。前方側壁128は、不規則面、例えば、前方側壁128の上側角部で最も顕著となる鋸刃状の特徴を有する。不規則面は、前方側壁128上の各鋸刃状の特徴を規定する一連の突起176を含む。
不規則面という特徴としては、種々の形状があり、例えば、図3に示す一連の「7」の字状、図4に示す鋸歯状の特徴、図5に示す前方側壁内の一連の凹状の溝、及び一連の歯状、例えば、図6に示す矩形状の歯状の形状が挙げられる。不規則な特徴の形状は、設計上の選択の問題であり、採用される形状は、供給材料やプレートセグメントの構成、製造及び成形を考慮して定め得る。
図7は、平滑な後方側壁130と前方側壁128上の不規則面、例えば、一連の「7」の字形状とを有するバー120の断面を示す。図8は、図7に示したものと同一の、バーの前方側壁上の不規則面という特徴を、突起176のアングルから見た前面図を示す。この不規則面という特徴は、リファイニングの大部分が行われるバー稜部126近傍のバーの側壁で、より顕著である。不規則面という特徴及び突起176の顕著な形は、前方側壁128上でプレート基板122の方向にいくに従って漸次より少なくし得る。不規則面の突起176は、溝を通る供給材料の移動を遅らせ、これにより、プレートの(一つ又は複数の)リファイニングゾーンにおける供給材料の保持時間を長くする傾向がある。突起176は、稜部126から基板122までテーパー状にし得る。プレートの基板122の近傍では、突起176は、前方側壁128の平滑な下面178に融合し得る。図7及び図8の両方は、稜部126及び突起176の先端から基板122まで不規則面という特徴が先細りして、平滑な下面178を形成していることを示している。
図9は、バー20の前方側壁128上の不規則面の一実施形態を示す。この不規則面は、第1直線状側壁164、第2直線状側壁166、及び第1直線状側壁164と第2直線状側壁166との間にある湾曲した側壁168を有する繰り返される突起で形成し得る。傾斜した傾斜路172が、(溝16の底部にある)基板122から第2側壁166の底縁まで上方に延びてもよい。第2側壁166の頂縁、湾曲した側壁168で形成された内側角部、及び第1側壁164は、バー20の頂部の稜部26にある。第1側壁164及び第2側壁166は、互いに実質的に垂直であってもよく、45°〜120°の範囲内の角度を成してもよい。前記傾斜路172の代替として、バー20の稜部26まで延びている傾斜路172が挙げられ、傾斜路172は、溝16の底部の基板122の上方に下側縁を有してもよく、また、上記設計には、傾斜路172を備えなくともよい。
基板122から延びている傾斜した傾斜路172は、溝16から繊維を引き上げ又は持ち上げて、リファイニングの多くが実施されると考えられているバー20の上側領域に繊維を移動させ得る。傾斜した面172の長さ及び角度は、不規則面の寸法の望まれる程度に依存しており、また傾斜した面のために選択された角度及び長さに依存している。
図10は、内側リファイニングゾーン92と外側リファイニングゾーン90とを有する例示的なプレートセグメント10の前面図を示す。外側リファイニングゾーン90内のバー20は、それぞれの半径方向線と平行であってもよく、又は、小さい供給角若しくはホールドバック角(holdback angle)、例えば、半径方向線の10°又は5°以内の角度で配列されていてもよい。バー20は、それらの半径方向外側の端部において10°〜45°のホールドバック角を形成するように、湾曲していてもよい。外側リファイニングゾーン90内のバー20への入口を、Zパターンに形成することができ、前方側壁128上の各不規則面の半径方向内側部分が、それぞれが3つのバーからなる群による階段状のパターンを形成する。
内側リファイニングゾーン92のバー20は、零度の入口角を有してもよく、直線状でも、又は湾曲していて、内側リファイニングゾーン92と外側リファイニングゾーン90との間の遷移部においてわずかな、例えば5°〜15°のホールドバック角を徐々に形成するようにしてもよい。内側リファイニングゾーン92内のバー20の前方側壁128上の不規則面は、任意でよく、外側リファイニングゾーン90内のバー20の半径方向外側部分上の不規則面よりも実質的に粗くてもよい。或いは、不規則面の粗さは、プレート全体に亘って均一でもよい。更に、不規則面は、内側リファイニングゾーン92内よりも外側リファイニングゾーン90内の方が細かくてもよい。半高ダム18は、内側リファイニングゾーン90の溝16内、又は外側リファイニングゾーン90の溝16内に配置してもよい。
以上、本発明を、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関して説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、逆に、添付の特許請求の範囲の要旨及び範囲内に含まれる種々の改変や均等な構成を包含することを意図していると理解されたい。
Claims (23)
- リグノセルロース材料のメカニカルリファイナー用のリファイナープレートであって、
基板に固定されたステーターリファイニング面と、
前記ステーターリファイニング面に設置された複数のバー及び溝と、
前記バーの少なくとも一つの前方側壁上の不規則面と、
前記バーの少なくとも一つの前方側壁の不規則面から隣接するバー上の後方側壁に向かって延びている複数の突起と、
を含み、
前記バーのそれぞれは、前方側壁と、この前方側壁と対向する後方側壁を含み、
前記後方側壁は、平滑面を有し且つ不規則面を持たず、
前記ステーターバーの前方側壁表面のうち少なくとも25%に前記複数の突起を有する不規則面が設けられ、
前記バーは、ステーターリファイニングプレート面に亘って前記プレートの半径方向線に対して湾曲して延びることで供給角を規定し、
前記供給角はステーターリファイニングプレート面の半径方向外側に連続的に漸次増加し、
前記バーは、ステーターリファイニングプレート面の半径方向外側部分において、前記供給角が少なくとも10°増加するように配置されている
ことを特徴とするリファイナープレート。 - ステーターリファイニング面は、ローターである対向するリファイナープレートのローターリファイニング面と向き合うようになっている、請求項1に記載のリファイナープレート。
- ステーターリファイナープレートは、主要なリファイニング面を含む少なくとも一つのプレートセグメントから構成される、請求項1に記載のリファイナープレート。
- バー及び溝は、前記プレートの半径に対して湾曲した長手形状を有し、
この長手形状はバーの長さに亘って延びている、請求項1に記載のリファイナープレート。 - バーは、バーの外辺において5°〜70°の範囲内の任意の供給角を有する半径方向外側部分を少なくとも有する、請求項4に記載のリファイナープレート。
- バーは、前方側壁が平滑面を有し且つ不規則面を持たない半径方向外側部分を含む、請求項4に記載のリファイナープレート。
- 各バーの、バーに対応する半径方向線に対する角度が、半径方向外側方向に沿って少なくとも10°〜15°増加する、請求項4に記載のリファイナープレート。
- バーは、リファイニング面の半径方向内側の入口において、バーに対応する半径方向線の20°以内の角度で配列されている、請求項4に記載のリファイナープレート。
- 不規則面の突起は、7の字状、鋸歯状、凹状、及び歯状の少なくとも一つの一連の形状である、請求項1に記載のリファイナープレート。
- 不規則面は、前方側壁から隣接するバー上の後方側壁に向かって外側に延びている突起を含み、
前記不規則面は、リファイニング面の外周から又はその近傍から、リファイニング面の入口に達することなくバーに沿って延びている、請求項1に記載のリファイナープレート。 - 不規則面上の突起間の距離は、3mm〜18mmの範囲内にある、請求項10に記載のリファイナープレート。
- 前方側壁上の不規則面上に一連の傾斜路を更に含み、
この傾斜路はそれぞれ、各溝の基板に下側縁を有し、少なくとも部分的に前方側壁へ上方に延びている、請求項1に記載のリファイナープレート。 - 第1リファイニングゾーンと第2リファイニングゾーンとを更に含み、
第1リファイニングゾーンは、より狭いバー及び狭い溝を有する第2リファイニングゾーンと比べて、より広いバー及び広い溝を有する、請求項1に記載のリファイナープレート。 - 第2リファイニングゾーンは、第1リファイニングゾーンと比べて、プレートセグメント上の半径方向外側部分に設置されており、
第2リファイニングゾーンの供給角は、5°〜70°の範囲内の任意の角度である、請求項13に記載のリファイナープレート。 - ステーターリファイニング面のうちの少なくとも25%〜95%がバーを有し、
バーは、突起を含む不規則面を有する前方側壁を特徴とする、請求項1に記載のリファイナープレート。 - リファイニング面は、内側リファイニング部分におけるバー密度よりも高いバー密度を有する外側リファイニング面を含む、請求項1に記載のリファイナープレート。
- 不規則面が少なくとも一つの突起を備え、
少なくとも一つの突起が、
第1側壁、第2側壁、及び第1側壁と第2側壁との間にある湾曲した側壁と、
溝の底部から第2側壁の底縁まで上方に延びている傾斜した傾斜路と、
を含み、
第2側壁の頂縁、湾曲した側壁によって形成された内部角部、及び第1側壁が、バーの頂部の稜部にある、請求項1に記載のリファイナープレート。 - 第1側壁及び第2側壁は、互いに実質的に垂直である、請求項17に記載のリファイナープレート。
- 第1側壁及び第2側壁は、45°〜120°の範囲内の角度を成す、請求項17に記載のリファイナープレート。
- ローターリファイナープレートとステーターリファイナープレートとを含む対向するリファイナープレートを有するリファイナーにおいてリグノセルロース材料を機械的にリファイニングする方法であって、
リグノセルロース材料を、ローターリファイナープレートとステーターリファイナープレートとを含む対向するリファイナープレートの少なくとも一つの入口に導入する工程と、
ローターリファイナープレートを回転し、ステーターリファイナープレートを比較的固定した状態に維持して、ローターの回転により生み出された遠心力により前記材料をプレート間のギャップを通して半径方向外側に移動させる工程と、
前記材料を、ステーターリファイナープレートのリファイニング部内のバーを越えてバー間の溝を通して通過させる工程(バーは、前方側壁と前方側壁の反対側の後方側壁とを含む)と、
前記溝を通る繊維材料の移動を、溝に隣接するバーの前方側壁上の不規則面と繊維材との相互作用によって阻害する工程(前方側壁の反対側の後方面は、不規則面を有さない)と、
前記材料をリファイナープレートの外周のギャップから排出する工程と、
を含み、
前記ステーターリファイナープレートのバーの前方側壁表面のうち少なくとも25%に複数の突起を有する前記不規則面が設けられ、
前記バーは、ステーターリファイニングプレート面に亘って前記プレートの半径方向線に対して湾曲して延びることで供給角を規定し、
前記供給角はステーターリファイニングプレート面の半径方向外側に連続的に漸次増加し、
前記バーは、ステーターリファイニングプレート面の半径方向外側部分において、前記供給角が少なくとも10°増加するように配置されている
ことを特徴とする方法。 - 前記材料のバーを越える通過が、ステーターリファイニングプレートの外側部分において起こる、請求項20に記載の方法。
- 不規則面は、前方側壁から、隣接するバーの後方側壁に向かって延びている突起を含む、請求項20に記載の方法。
- バーは、少なくとも半径方向外側部分において5°〜70°の範囲内の任意の供給角を有する、請求項20に記載の方法。
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