JP2019167470A - 重縮合体、架橋体、塗料、皮膜及び積層体 - Google Patents

重縮合体、架橋体、塗料、皮膜及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】ベチュリンを用いた耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れる新規な重縮合体、架橋体、塗料、皮膜並びに積層体の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、ベチュリンと脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとの重縮合体であって、主鎖におけるベチュリンに由来する構造単位の向きがレジオランダムであることを特徴とする。上記脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数が5以上12以下であり、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましい。本発明は、当該重縮合体の架橋体、当該重縮合体と、溶媒とを含有する塗料、当該塗料から形成される皮膜、及び基材と、上記基材の表面に積層されるフィルムとを備え、上記フィルムが、当該重縮合体、当該架橋体又はこれらの組み合わせを含む積層体を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、重縮合体、架橋体、塗料、皮膜及び積層体に関する。
白樺の外皮に存在するベチュリンは、植物を有効に利用することによる再生可能な天然物材料の1つであり、耐熱性、紫外線吸収特性、耐紫外線特性、抗菌性等の特徴を有する優れた材料である。ベチュリンの研究分野としては、白樺外皮からの抽出精製方法、ベチュリン単体、ベチュリン誘導体、ベチュリンを用いるポリマーについて多くの研究がなされている。
ベチュリンを用いるポリマーとしては、(1)ベチュリンに無水フタル酸を反応させて、ベチュリンの第1級及び第2級の両方の水酸基をフタル酸エステル化し、このフタル酸エステル化物の2つのカルボキシル基をグリコールでエステル化して得られるポリエステル(Makromol.Chem.1987,Vol.188,p683−691参照)、(2)ジカルボン酸又はジカルボン酸ジクロリドの両側に、2つのベチュリンを第1級水酸基でエステル結合させ、さらに加熱して重縮合させて得られるポリマー(特開2010−90385号公報参照)及び(3)ベチュリンと芳香族ジカルボン酸ジクロリド又は芳香族トリカルボン酸トリクロリドとの重縮合により得られるポリエステル(Macromolecul.Rapid Commun.2011,Vol.32,p1846−1851)が検討されている。
特開2010−90385号公報
Makromol.Chem.1987,Vol.188,p683−691 Macromolecul.Rapid Commun.2011,Vol.32,p1846−1851
ベチュリンは第1級及び第2級の2つの水酸基を有するが、この2つの水酸基は反応性が異なり、一般的には第2級水酸基の反応性は低いとされている。そのため、上記従来のベチュリンを用いるポリマーを合成する場合、収率が低く、また、重縮合度を高めることが困難であり、加えて、多段階の反応工程を要する等、合成方法が煩雑であるという不都合がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、ベチュリンを用いた耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れる新規な重縮合体、架橋体、塗料、皮膜並びに積層体を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、ベチュリンと脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとの重縮合体であって、主鎖におけるベチュリンに由来する構造単位の向きがレジオランダムであることを特徴とする。
当該重縮合体は、ベチュリンの重縮合反応の相手として脂肪族ジカルボン酸ジクロリドを用いることで、ベチュリンの第1級及び第2級の水酸基の両方を同等に反応させることができると考えられ、主鎖におけるベチュリンに由来する構造単位の向きをレジオランダムとすることができた新規な縮重合体である。当該重縮合体は、ベチュリンに由来する構造単位を有するので、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れている。また、当該重縮合体は、1段階の重縮合反応により簡便かつ収率よく合成することができる。
上記脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数としては5以上12以下が好ましく、当該重縮合体の重量平均分子量(Mw)としては5,000以上が好ましい。このように、脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数を上記範囲とすることで、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該重縮合体の架橋体である。当該架橋体によれば、耐熱性をより向上させることができる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該重縮合体と、溶媒とを含有する塗料である。当該塗料によれば、当該重縮合体を含む皮膜を簡便かつ確実に形成することができる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該塗料から形成される皮膜である。当該皮膜は、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れている。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、基材と、上記基材の表面に積層されるフィルムとを備え、上記フィルムが、当該重縮合体、当該架橋体又はこれらの組み合わせを含む積層体である。当該積層体によれば、フィルム中のベチュリンに由来する構造単位に起因して、基材の表面に耐紫外線特性及び抗菌性を付与すると共に、表面の硬度をより高めることができる。
ここで、「脂肪族ジカルボン酸ジクロリド」とは、2つのクロロカルボニル基以外の部分が、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基である化合物をいう。「主鎖」とは、当該重縮合体における原子鎖のうち、最も長いものをいう。「レジオランダム」とは、主鎖中のベチュリンに由来する複数の構造単位の向き(構造単位において第2級水酸基に由来する結合部位の方向)の配列が不規則であり、「レジオレギュラー」でないことをいう。
本発明の重縮合体は、ベチュリンを用いた耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れる新規な重縮合体である。本発明の架橋体によれば、耐熱性を向上させることができる。本発明の塗料によれば、当該重縮合体を含む皮膜を簡便かつ確実に形成することができる。本発明の皮膜は、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れている。本発明の積層体によれば、基材の表面に耐紫外線特性及び抗菌性を付与すると共に、表面の硬度をより高めることができる。
実施例で得られた重縮合体(A−29)及びベチュリンのH−NMR測定チャートである。 実施例で得られた重縮合体(A−22)のIR測定チャートである。 実施例で得られた重縮合体(A−36)のIR測定チャートである。 参考例で得られた脂肪族モノカルボン酸モノクロリドとベチュリンとの反応生成物のIR測定チャートである。 実施例で得られた皮膜の写真である。 実施例で得られた積層体における太陽光による黄変の度合いを示す写真である。 参考例におけるベチュリン含有エポキシ樹脂の光照射によるa、bの変化を示すグラフである。 実施例で得られた重縮合体のDSC測定チャートである。 実施例における架橋体の生成を示す写真である。 実施例の架橋体の生成における不溶部分の割合の経時変化を示すグラフである。 実施例の架橋体の生成におけるIRスペクトルの変化を示す測定チャートである。 実施例で得られた架橋体のDSC測定チャートである。
<重縮合体>
当該重縮合体は、ベチュリンと脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとの重縮合体である。すなわち、当該重縮合体は、ベチュリンに由来する構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)と脂肪族ジカルボン酸ジクロリドに由来する構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)とを有する。当該重縮合体において、主鎖における構造単位(I)の向きはレジオランダムである。当該重縮合体において、構造単位(I)と構造単位(II)との組み合わせをユニットという。当該重縮合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位及びユニットについて説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、ベチュリンに由来する構造単位である。構造単位(I)は、例えば下記式(1)で表される。
上記式(1)中、*及び**は、構造単位(I)に隣接する構造単位に結合する部位を示す。
構造単位(I)において、上記式(1)における*は、ベチュリンの第2級水酸基の反応により隣接する構造単位に結合する部位を示し、**は、ベチュリンの第1級水酸基の反応により隣接する構造単位に結合する部位を示す。当該重縮合体における主鎖の一方の末端を基準として、構造単位(I)の向きは、*が上記末端側になる向きと、**が上記末端側になる向きの両方が存在し、かつこの各向きの構造単位(I)の配列がレジオランダムである。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、当該重縮合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、40モル%がより好ましく、48モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、52モル%がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該重縮合体の耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性をより向上させることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、脂肪族ジカルボン酸ジクロリドに由来する構造単位である。構造単位(II)は、例えば下記式(2)で表される。当該重縮合体は、構造単位(II)を1種又は2種以上有していてもよい。
上記式(2)中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基である。
Rで表される炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、へプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基、ドデカンジイル基、テトラデカンジイル基、ヘキサデカンジイル基、オクタデカンジイル基、イコサンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、ブテンジイル基、ヘキセンジイル基、オクテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、ブチンジイル基、ヘキシンジイル基、オクチンジイル基等のアルキンジイル基などの炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、
シクロプロパンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、メタンジイルシクロヘキサンジイルメタンジイル基等のシクロアルカンジイル基;
シクロプロペンジイル基、シクロヘキセンジイル基等のシクロアルケンジイル基などの炭素数3〜20の脂環式炭化水素基などが挙げられる。
Rの脂肪族炭化水素基としては、これらの中で、当該重縮合体のMwをより大きくできる観点から、鎖状炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましい。
当該重縮合体のMwをより大きくできる観点から、Rの脂肪族炭化水素基の炭素数の下限としては、3が好ましく、4がより好ましく、5がさらに好ましい。上記炭素数の上限としては、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましい。
Rにおける脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
Rの脂肪族炭化水素基は非置換であることが好ましい。Rを非置換の脂肪族炭化水素基とすることで、脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの重縮合の反応性をより高めることができ、その結果、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
構造単位(II)を与える脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとしては、例えばマロン酸クロリド、コハク酸クロリド、グルタル酸クロリド、アジポイルクロリド、ピメロイルクロリド、スベロイルクロリド、アゼラオイルクロリド、セバコイルクロリド、ドデカン二酸クロリド、テトラデカン二酸クロリド、ヘキサデカン二酸クロリド、オクタデカン二酸クロリド、イコサン二酸クロリド、シクロヘキサンジカルボン酸クロリド等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数の下限としては、5が好ましく、6がより好ましく、7がさらに好ましい。上記炭素数の上限としては、20が好ましく、18がより好ましく、16がさらに好ましい。脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数を上記範囲とすることで、ベチュリンとの重縮合の反応性をより高めることができ、その結果、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
構造単位(II)の含有割合の下限としては、当該重縮合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、40モル%がより好ましく、48モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、52モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該重縮合体の耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性をより向上させることができる。
[ユニット]
当該重縮合体が有するユニットとしては、例えば下記式(3−1)で表されるユニット(以下、「ユニット(A)」ともいう)、下記式(3−2)で表されるユニット(以下、「ユニット(B)」ともいう)等が挙げられる。
上記式(3−1)及び(3−2)中、Rは、上記式(2)と同義である。
当該重縮合体の主鎖の一方の末端を基準として、ユニット(A)は、構造単位(I)がベチュリンの第2級水酸基が上記末端側の向きの場合であり、ユニット(B)は、構造単位(I)がベチュリンの第1級水酸基が上記末端側の向きの場合である。
当該重縮合体において、主鎖における構造単位(I)の向きはレジオランダムである。すなわち、当該重縮合体は、ユニット(A)及びユニット(B)の両方を有し、主鎖に沿って、ユニット(A)及びユニット(B)が不規則に配列している。
当該重縮合体の合成反応と同様の条件で、脂肪族モノカルボン酸モノクロリドと、ベチュリンとを反応させると、ベチュリンの水酸基は1級及び2級の両方とも反応してエステル結合が形成されることから、ベチュリンの1級水酸基及び2級水酸基は、このような条件下では同等の反応性を示すものと考えられ、その結果、当該重縮合体の合成反応において、主鎖に沿って、ユニット(A)及びユニット(B)の配列が不規則となり、主鎖における構造単位(I)の向きがレジオランダムになるものと考えられる。
[他の構造単位]
他の構造単位としては、例えば構造単位(I)以外のジオールに由来する構造単位、構造単位(II)以外の構造単位であって、芳香族ジカルボン酸ジクロリドに由来する構造単位等が挙げられる。
上記ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール、ベンゼンジメタノール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸ジクロリドとしては、例えばテレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド等が挙げられる。
当該重縮合体は、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の他の構造単位を有さないことが好ましい。当該重縮合体は、他の構造単位を有さないことで、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性をより向上させることができる。
当該重縮合体のMwの下限としては、5,000が好ましく、8,000がより好ましく、10,000がさらに好ましく、20,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、100,000が好ましく、50,000がより好ましい。当該重縮合体は、Mwを上記範囲とすることで、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性をより向上させることができる。
当該重縮合体の数平均分子量(Mn)の下限としては、1,500が好ましく、3,000がより好ましく、4,500がさらに好ましく、6,000が特に好ましい。上記Mnの上限としては、40,000が好ましく、20,000がより好ましい。
当該重縮合体のMw/Mn比(分散度)の上限としては、10が好ましく、5がより好ましく、3がさらに好ましい。上記Mw/Mn比の下限としては、例えば1.0である。
本明細書におけるMw及びMnは、昭和電工社の「SHODEX GPC−104」を使用し、GPCカラム:昭和電工社の「KF802」1本、「KF803」1本及び「KF804」1本、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃、流速:0.3mL/分、試料濃度:0.1〜0.2質量%、試料注入量:0.75mL、検出器:示差屈折計、標準物質:単分散ポリスチレンの条件でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
<重縮合体の合成方法>
当該重縮合体は、例えばベチュリンと脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとを、塩基存在下、溶媒中で脱塩化水素縮合反応を行うことにより合成することができる。
脱塩化水素縮合反応に用いる塩基としては、例えば
ピリジン、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン等のピリジン類;
トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等のアミン類などが挙げられる。これらの中で、適度な塩基性を有し、重縮合体の収率をより向上させる観点から、ピリジン類が好ましく、塩基点まわりの立体障害が小さいと考えられ、重縮合体のMwをより大きくできる観点から、ピリジンがより好ましい。
塩基の共役酸の酸解離定数の逆数(pKa)の下限としては、4が好ましく、4.5がより好ましく、5がさらに好ましい。上記pKaの上限としては、12が好ましく、8がより好ましく、6.5がさらに好ましい。塩基のpKaを上記範囲とすることで、適度な塩基性により、重縮合体の収率をより向上させることができる。
塩基の使用量の下限としては、ベチュリンに対して、1倍モルが好ましく、2倍モルがより好ましい。上記使用量の上限としては、5倍モルが好ましく、3倍モルがより好ましい。塩基の使用量を上記範囲とすることで、当該重縮合体の分散度をより適度なものとすることができる。
脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの使用量の下限としては、ベチュリンに対して、0.5倍モルが好ましく、0.8倍モルがより好ましい。上記使用量の上限としては、1.5倍モルが好ましく、1.3倍モルがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの使用量を上記範囲とすることで、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
脱塩化水素縮合反応に用いる溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル;
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール等のアルコール;
アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等のケトン;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;
ヘプタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
溶媒としては、これらの中で、重縮合体の溶解性の観点から、エーテルが好ましく、THFがより好ましい。反応に用いる溶媒は1種又は2種以上を使用してもよい。
脱塩化水素縮合反応を行う方法としては、例えばベチュリンを溶媒に溶解させた溶液に、塩基を加えた後、脂肪族ジカルボン酸ジクロリドを加える方法等が挙げられる。
脱塩化水素縮合反応の開始時における反応溶液中のベチュリン濃度の下限としては、10mMが好ましく、50mMがより好ましく、150mMがさらに好ましい。上記ベチュリン濃度の上限としては、1,000mMが好ましく、500mMがより好ましく、350mMがさらに好ましい。反応溶液中のベチュリン濃度を上記範囲とすることで、当該重縮合体の収率をより向上させることができる。
反応温度の下限としては、0℃が好ましく、10℃がより好ましく、20℃がさらに好ましい。反応温度の上限としては、100℃が好ましく、50℃がより好ましく、35℃がさらに好ましい。反応温度を上記範囲とすることで、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
反応時間の下限としては、10分が好ましく、1時間がより好ましく、5時間がさらに好ましい。反応時間の上限としては、100時間が好ましく、50時間がより好ましく、20時間がさらに好ましい。反応時間を上記範囲とすることで、当該重縮合体のMwをより大きくすることができる。
反応終了後、反応溶液をエタノール等に加え、生成物を沈殿させることにより、当該重縮合体を得ることができる。
<架橋体>
当該架橋体は、上述の当該重縮合体の架橋体である。重縮合体の架橋は、重縮合体の構造単位(I)におけるベチュリンに由来するプロペニル基の炭素−炭素二重結合同士が結合することにより起こると考えられる。当該架橋体は、重縮合体よりも耐熱性が向上している。また、当該架橋体は、重縮合体と同様に無色であるが、溶媒に難溶化している。
<架橋体の合成方法>
当該架橋体は、例えば当該重縮合体を加熱することにより、架橋反応を行って得ることができる。
架橋反応を行う温度の下限としては、150℃が好ましく、170℃がより好ましい。上記温度の上限としては、300℃が好ましく、270℃がより好ましい。架橋反応の温度を上記範囲とすることで、架橋体の生成をより促進することができる。
架橋反応を行う時間の下限としては、1分が好ましく、10分がより好ましい。上記時間の上限としては、10時間が好ましく、5時間がより好ましい。架橋反応の時間を上記範囲とすることで、架橋体の生成をより促進することができる。
架橋反応の後、好ましくは溶媒で可溶部分を除去することにより、不溶部分として架橋体を得ることができる。
<塗料>
当該塗料は、上述の当該重縮合体と、溶媒とを含有する。当該塗料は、当該重縮合体及び溶媒以外に、例えば界面活性剤等の他の成分を含有していてもよい。当該塗料によれば、当該重縮合体を含む皮膜を簡便かつ確実に形成することができる。
溶媒としては、例えば上述の重縮合体の合成反応に用いる溶媒として例示したもの等が挙げられる。これらの中で、重縮合体の溶解性の観点から、エーテルが好ましく、THFがより好ましい。
<塗料の調製方法>
当該塗料は、例えば当該重縮合体及び必要に応じて他の成分を、溶媒中に溶解又は分散させることにより調製することができる。
当該塗料の固形分濃度の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。上記固形分濃度の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。
<皮膜>
当該皮膜は、上述の当該塗料から形成される。当該皮膜は、上述の当該重縮合体を含むので、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れている。
<皮膜の形成方法>
当該皮膜は、例えば当該塗料の塗膜を形成し、この塗膜から溶媒を除去することにより、容易かつ確実に形成することができる。
皮膜を単離して得る場合、皮膜の剥離を容易にする観点から、当該塗料の塗膜は、例えばテフロン(登録商標)等の撥水撥油性を有する材料の表面に形成することが好ましい。
溶媒の除去方法としては、溶媒を蒸発させる方法が好ましい。蒸発を行う温度は、溶媒の沸点等により適宜選択されるが、上記温度の下限としては、10℃が好ましく、20℃がより好ましい。上記温度の上限としては、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。
形成される皮膜の平均厚さの下限としては、0.01mmが好ましく、0.05mmがより好ましい。上記平均厚さの上限としては、5mmが好ましく、1mmがより好ましい。
<積層体>
当該積層体は、基材と、上記基材の表面に積層されるフィルムとを備える。当該積層体において、上記フィルムが上述の当該重縮合体、当該架橋体又はこれらの組み合わせを含む。当該積層体によれば、フィルム中のベチュリンに由来する構造単位に起因して、基材の表面に耐紫外線特性及び抗菌性を付与すると共に、表面の硬度をより高めることができる。
基材の材質としては、例えば木材、樹脂、紙、ガラス等が挙げられる。基材の形状としては、例えば平板状、シート状、立体状、曲面状等が挙げられる。
フィルムにおける当該重縮合体及び当該架橋体の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。上記含有量は100質量%であってもよい。フィルムにおける当該重縮合体及び当該架橋体の含有率を上記範囲とすることで、基材の表面の耐紫外線特性、抗菌性及び硬度をより向上させることができる。
<積層体の作製方法>
当該積層体は、例えば以下の(1)〜(3)の方法等により作製することができる。
(1)上述の当該塗料から形成された皮膜をフィルムとして基材の表面に積層させる。
(2)上述の当該重縮合体、当該架橋体又はこれらの組み合わせを他の樹脂と混合してフィルムを形成し、このフィルムを基材の表面に積層させる。
(3)上述の当該塗料等を、基材の表面に塗工して塗膜を形成し、この塗膜から溶媒を除去することによりフィルムを形成させる。
また、フィルムが当該架橋体を含む積層体は、以下の(4)の方法等によっても作製することができる。
(4)上述の当該重縮合体を他の樹脂と混合してフィルムを形成し、このフィルムを加熱して、当該架橋体を形成された後のフィルムを基材の表面に積層させる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重縮合体の合成>
下記手順に従い、重縮合体を合成した。
[実施例1](重縮合体(A−1)の合成)
50mLのフラスコにベチュリン0.5gを仕込み、窒素置換を行った。窒素雰囲気下、溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)4.64gをシリンジで加えて撹拌し、ベチュリンを溶解させた。次に、塩基としてのピリジン0.2gをシリンジで加えて撹拌し、均一に溶解させた。次いで、セバコイルクロリド0.27gをシリンジで加え、重縮合反応を開始させた。反応は25℃で、15時間攪拌を続けて行った。反応終了後、反応混合物をエタノール100mL中に加え、高分子化合物を析出させた。この高分子化合物をガラスフィルターで濾取し、30mLのエタノールで洗浄した。得られた濾取物を25℃で放置して、エタノール等を除去した後、50℃のオーブン中で6時間乾燥させることにより、重縮合体(A−1)を得た(収率96%)。重縮合体(A−1)のMwは19,400、Mnは4,400、Mw/Mnは2.2であった。
[実施例2〜35]
用いる脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの種類、塩基の種類及び使用量を下記表1に示す通りにした以外は、実施例1と同様にして、重縮合体(A−2)〜(A−35)を合成した。実施例35において用いた塩基の「DBU」は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを示す。
[実施例36]
50mLのフラスコにベチュリン0.5gを仕込み、窒素置換を行った。窒素雰囲気下、溶媒としてのTHF3.38gをシリンジで加えて撹拌し、ベチュリンを溶解させた。次に、塩基としてのピリジン0.2gをシリンジで加えて撹拌し、均一に溶解させた。次いで、セバコイルクロリド0.27gをシリンジで加え、重縮合反応を開始させた。反応は25℃で、15時間攪拌を続けて行った。反応終了後、反応混合物をエタノール100mL中に加え、高分子化合物を析出させた。この高分子化合物についてTHFとエタノール系溶媒との混合溶媒を用いた再沈殿を2回繰り返して行い、得られた高分子化合物をガラスフィルターで濾取し、30mLのエタノールで洗浄した。得られた濾取物を40℃の真空乾燥器内で24時間乾燥させることにより、重縮合体(A−36)を得た(収率91%)。重縮合体(A−36)のMwは23,800、Mnは11,300、Mw/Mnは2.1であった。
[実施例37〜39]
用いる脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの種類を下記表1に示す通りにした以外は、実施例36と同様にして、重縮合体(A−37)〜(A−39)を合成した。
得られた各重縮合体の収率(%)、Mw及びMw/Mnを下記表1に合わせて示す。下記表1中の「−」は、得られた重縮合体の収率が低いため、Mw及びMnの測定を行わなかったことを示す。
上記得られた各重縮合体の構造を、H−NMR及びIRにより測定した。
H−NMR測定)核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)、溶媒:CDCl、内部標準物質:テトラメチルシラン
測定サンプルA1:上記得られた重縮合体(A−29)をTHFとエタノール系溶媒との混合溶媒から再沈殿して得られた重縮合体(Mw:30,000、Mw/Mn:3.4)
(IR測定)フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社の「FT/IR−6100」)
測定サンプルB1:上記得られた重縮合体(A−22)
測定サンプルB2:上記得られた重縮合体(A−36)
測定サンプルA1(Betulin polyester)及びベチュリンのH−NMR測定チャートを図1にそれぞれ示す。これら重縮合体とベチュリンとのH−NMRにおけるピークの比較から、重縮合体は、ベチュリンと同様に化学シフトδ4.5〜4.7のピークで示される下記式中のH(29a)及びH(29b)を有しており、また、δ2.2〜2.4のピークで示される下記式中の−C(=O)−CH−の構造を有していることが分かる。さらに、下記式中のH(3)、H(28a)及びH(28b)の水素原子に対応する3つのピークの位置が、ベチュリンにおけるδ3.1〜3.9から、重縮合体ではδ3.8〜4.5に移動していることから、ベチュリンにおける1級及び2級の両方の水酸基がエステル化されていると考えられる。
測定サンプルB1のIR測定チャートを図2に、測定サンプルB2のIR測定チャートを図3にそれぞれ示す。これらのIR測定チャートにおいて、エステル結合に由来するピーク(1730cm−1)、及びベチュリン由来の炭素−炭素二重結合に由来するピーク(1640cm−1付近)が認められた。
以上のH−NMR及びIRの結果から、得られた重縮合体がベチュリンに由来する構造単位を有するポリエステルであることが分かる。
[参考例1]
ベチュリンの脂肪族ジカルボン酸との反応性について、以下の反応を行い調べた。
実施例で用いる脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの代わりに、脂肪族モノカルボン酸モノクロリドであるデカノイルクロリドを用い、ベチュリン0.5g、デカノイルクロリド0.47g(ベチュリンに対するモル比:2.2)、塩基としてのピリジン0.2g(ベチュリンに対するモル比:2.2)及び溶媒としてのTHF5gを混合し、窒素下、25℃で15時間攪拌して反応を行った。
反応液に数mLの水を加え、反応を終結させた。次に、分液漏斗を用い、得られた反応液に水とTHFとを加えた後、2層に分離させた。THF層を取り出し、THFを除去した後、得られた濃縮物に、分液漏斗を用い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとを加えた後、2層に分離させた。酢酸エチル層を取り出し、酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで処理した後、酢酸エチルを除去し、得られた濃縮物を50℃で乾燥することにより、透明な粘稠液体を反応生成物として得た。粘稠液体の収率はほぼ100%であった。
上記反応生成物として得た粘稠液体のIR測定チャートを図4に示す。図4の結果から、エステル結合が形成されており、また、ベチュリン由来の水酸基はほとんど残っていないことが分かる。このように、ベチュリンの第1級水酸基及び第2級水酸基の両方がデカノイルクロリドと反応している可能性が示された。
<塗料の調製及び皮膜の形成>
上記得られた重縮合体1質量部にTHF10質量部を加え、均一に溶解させることにより、塗料を調製した。得られた塗料をテフロン容器の底部に注ぎ、25℃〜35℃の温和な条件でTHFを蒸発させることにより、テフロン容器の底部に膜が形成され、この膜をテフロン容器から剥離させることにより、厚さ0.1mmの皮膜を得た。得られた皮膜の写真を図5に示す。
<評価>
上記得られた皮膜及び重縮合体について、下記評価を行った。
[黄変低減特性]
上記得られた皮膜をフィルムとして木材の表面に貼り付けて作製した積層体を、太陽光があたる窓際に3週間放置した。放置後の積層体の写真を図6に示す。
図6の結果から分かるように、太陽光が直接あたる木材表面に比べ、フィルムを貼り付けた部分は黄変が少なかった。黄変の度合いは、露出部分、フィルム部分、遮蔽部分の順に小さくなっていた。このことから、フィルムが太陽光による変色を低減させる特性を有することが示された。
[耐紫外線特性]
(参考例2)
ベチュリンを含有させたエポキシ樹脂の加熱硬化物について、紫外線照射による色の変化を測定した。
エポキシ樹脂(長瀬ケムテックス社の「XNR3501」(ビスフェノールA系1液性))10gに、ベチュリン1質量%を混合し、80℃で6時間加熱硬化させた。この加熱硬化物について、紫外線照射の前後において、色差測定を行い、色の変化を観察した。
(紫外線照射条件)サンシャインウェザーメータで照射、温度:63℃、湿度:50〜60%、時間:40Hr
(色差測定)コニカミノルタ社の分光色彩計を使用して、(1)装置校正、(2)基準色(関西ペイント、スノーホワイト)測定、(3)試料測定の順に行った。
色差測定の結果について、Lの光照射による変化を下記表2に、a及びbの光照射による変化を図7にそれぞれ示す。
表2及び図7の結果から、樹脂中に導入したベチュリンは、耐紫外線特性を発揮することが分かる。
[耐熱性]
上記合成した重縮合体の耐熱性について、示差走査熱量計により測定した。
(測定条件)示差走査熱量計(島津製作所社の「DSC−60 Plus」)、昇温速度:10℃/分、窒素ガス流量:50mL/分、アルミニウム耐圧セル
重縮合体のDSC測定チャートを図8に示す。図8の結果から、重縮合体は結晶化ピーク温度が162℃、融解ピーク温度が284℃であり、一般的なポリエステル(PET、結晶化温度150℃、融解温度254℃)に比べ、耐熱性が高いことが分かる。
<架橋体の合成>
上記得られた重縮合体を、窒素下、150℃、200℃、250℃の温度で、30分間加熱を行った。加熱前後における重縮合体の外観の変化を示す写真を図9に示す。
200℃又は250℃で加熱した重縮合体は、色は無色のままで、溶媒に難溶なものに変化した。
(不溶部分の割合の測定)
上記合成した重縮合体(A−29)をTHFとエタノール系溶媒との混合溶媒により再沈殿して得た重縮合体(Mw:30,000、Mw/Mn:3.4)1.4質量部をガラス容器に入れ、250℃で30分間加熱した後、加熱装置から取り出し、室温まで自然冷却した。この加熱処理した重縮合体にTHF500質量部を加え、24時間放置した後、濾過を行い、得られた濾取物を100℃で乾燥して、63.4質量%の残留物を得た。
加熱前の重縮合体はTHFに全て溶解することから、加熱により架橋が進行し、架橋体が生成していると考えられる。
上記加熱を種々の条件で行い、THFを加えたところ膨潤した。溶解しない部分を取り出し、100℃で6時間乾燥し、質量を測定した。加熱による不溶部分の割合の経時変化を示すグラフを図10に示す。図10の結果から、加熱により架橋が進行し、架橋体の割合が経時的に増大していることが示された。
(IR測定)
実施例22で得られた重縮合体(A−22)(Mw:27,100)からフィルムを作製し、加熱前後においてIR測定を行った。加熱前後のIR測定チャートを図11に示す。図11の結果から分かるように、ベチュリン由来の炭素−炭素二重結合に由来するピーク(1640cm−1付近)の減少が見られた。この結果から、重縮合体において加熱による架橋が進行することが示された。
また、加熱後の重縮合体について、DSC測定を行った。加熱後の重縮合体のDSC測定チャートを図12に示す。図12の結果から、一般的なポリエステル(PET、結晶化温度150℃、融解温度254℃)に対し、重縮合体は30分間の加熱により、結晶化温度200℃、融解温度280℃となっており、耐熱性が向上していることが分かる。
本発明の重縮合体は、ベチュリンを用いた耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れる新規な重縮合体である。本発明の架橋体によれば、耐熱性を向上させることができる。本発明の塗料によれば、当該重縮合体を含む皮膜を簡便かつ確実に形成することができる。本発明の皮膜は、耐熱性、紫外線吸収特性及び耐紫外線特性に優れている。本発明の積層体によれば、基材の表面に耐紫外線特性及び抗菌性を付与すると共に、表面の硬度をより高めることができる。

Claims (6)

  1. ベチュリンと脂肪族ジカルボン酸ジクロリドとの重縮合体であって、主鎖におけるベチュリンに由来する構造単位の向きがレジオランダムであることを特徴とする重縮合体。
  2. 上記脂肪族ジカルボン酸ジクロリドの炭素数が5以上12以下であり、重量平均分子量が5,000以上である請求項1に記載の重縮合体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の重縮合体の架橋体。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の重縮合体と、溶媒とを含有する塗料。
  5. 請求項4に記載の塗料から形成される皮膜。
  6. 基材と、
    上記基材の表面に積層されるフィルムと
    を備え、
    上記フィルムが、請求項1若しくは請求項2に記載の重縮合体、請求項3に記載の架橋体又はこれらの組み合わせを含む積層体。
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