JP2019165504A - 携帯端末 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属体が近くに配置されなくても、アンテナが金属体内に配置されたとしても、容易に良好な通信を行うことができるアンテナ、アンテナ装置及び電子機器を提供することを目的とする。【解決手段】ハウジングと、前記ハウジングに収納されたアンテナと、を有し、前記ハウジングは、表示パネルと、金属部材と、を有し、前記金属部材は、スロットを有し、前記アンテナの少なくとも一部が前記スロットに対向し、前記スロットの少なくとも一部には、挿入材が挿入され、前記スロットの形状は長方形状である、携帯端末。【選択図】図18
Description
本発明は、RF−IDやNFCなどのICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を行うアンテナを備えた携帯端末に関するものである。
従来、アンテナが金属筐体内に搭載されると、アンテナの発生させる磁束を金属体が打ち消してしまうため、金属体の外側にアンテナが発生させる磁界が及ばず、アンテナの通信特性を維持することが困難であった。
そこで、金属体に貫通口と、金属体端部と貫通口とを接続するスロットと、を設け、貫通口の周りに金属体と重なるように配置されたループアンテナを配置させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、むしろ金属体を利用して通信を行うことができる。
しかしながら、(特許文献1)に記載の技術では、アンテナの開口面積程度の貫通口を金属体に開けなくてはならず、アンテナの開口面積は大きいほど通信特性が向上することと相反するため、貫通口を小さくすることが困難であった。更に、金属体端部と貫通孔とを接続するスロットが必ず必要であり、スロットによりアンテナの配置の自由度が制限されていた。更に、金属体を利用しなくては、アンテナ単体では良好な通信特性を得ることができない。
そこで本発明は、金属体が近くに配置されなくても良好な通信特性を有し、更にアンテナが金属体内に配置されたとしても、シンプルなスロットのみを金属体に設けるだけで、金属体の外側と容易に良好な通信を行うことができる携帯端末を提供することを目的とする。
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに収納されたアンテナと、を有し、前記ハウジングは、表示パネルと、金属部材と、を有し、前記金属部材は、スロットを有し、前記アンテナの少なくとも一部が前記スロットに対向し、前記スロットの少なくとも一部には、挿入材が挿入され、前記スロットの形状は長方形状である、携帯端末とした。
本発明によれば、金属体が近くに配置されなくても良好な通信特性を有し、更にアンテナが金属体内に配置されたとしても、シンプルなスロットのみを金属体に設けるだけで、金属体の外側と容易に良好な通信を行うことができる。
本発明は面を備えるコアと、前記面のうち、コイルが巻回されたコイル巻回部と、前記面のうち、前記コイルが巻回されていない複数のコイル非巻回部と、を備え、前記コイル巻回部は、前記面上の第1の方向において前記複数のコイル非巻回部に挟まれ、前記面は、前記第1の方向における幅が、前記第1の方向と垂直な第2の方向の幅以上であることを特徴とするアンテナであって、金属体が近くに配置されなくても良好な通信特性を有し、更にアンテナが金属体内に配置されたとしても、シンプルなスロットのみを金属体に設けるだけで、金属体の外側と容易に良好な通信を行うことができる。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。携帯端末1は、表示パネル2、背面カバー3、表示パネル2と背面カバー3との間に収められるバッテリー4、カメラ5、電子回路基板6、などにより構成されている。図1のように表示パネル2がタッチパネル方式で、操作用のボタンがない場合もあるが、表示パネル2はタッチパネル方式である場合とそうでない場合とがあり、別途操作用のボタンを備えても良い。表示パネル2は液晶パネルで、パネルカバー2aを備える。背面カバー3には、本発明の一実施の形態であるアンテナ8が粘着テープによる貼り付けやビスによる固定などにより搭載されている。このとき、背面カバー3は樹脂などの非金属体の場合と金属体の場合がある。図1の背面カバー3は、樹脂である。なお、図1では、アンテナ8はカメラ5と重ならないように配置される。アンテナ8はバッテリー4と重なるように配置されてもいいが、より薄い電子回路基板6と重なるように配置したほうが、携帯端末1全体を薄型化することができる。なお、本実施の形態ではアンテナ8を背面カバー3の平坦な部分に配置しているが、背面カバー3の曲面に沿って配置することも可能である。また、図1のように背面カバー3の長手方向と、アンテナ8のコイルの軸方向(長手方向)が略同一方向であることが好ましい。これにより、アンテナ8の通信方向がユーザーにとって利便性の良い方向となる。
図1は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。携帯端末1は、表示パネル2、背面カバー3、表示パネル2と背面カバー3との間に収められるバッテリー4、カメラ5、電子回路基板6、などにより構成されている。図1のように表示パネル2がタッチパネル方式で、操作用のボタンがない場合もあるが、表示パネル2はタッチパネル方式である場合とそうでない場合とがあり、別途操作用のボタンを備えても良い。表示パネル2は液晶パネルで、パネルカバー2aを備える。背面カバー3には、本発明の一実施の形態であるアンテナ8が粘着テープによる貼り付けやビスによる固定などにより搭載されている。このとき、背面カバー3は樹脂などの非金属体の場合と金属体の場合がある。図1の背面カバー3は、樹脂である。なお、図1では、アンテナ8はカメラ5と重ならないように配置される。アンテナ8はバッテリー4と重なるように配置されてもいいが、より薄い電子回路基板6と重なるように配置したほうが、携帯端末1全体を薄型化することができる。なお、本実施の形態ではアンテナ8を背面カバー3の平坦な部分に配置しているが、背面カバー3の曲面に沿って配置することも可能である。また、図1のように背面カバー3の長手方向と、アンテナ8のコイルの軸方向(長手方向)が略同一方向であることが好ましい。これにより、アンテナ8の通信方向がユーザーにとって利便性の良い方向となる。
アンテナ8の電子回路基板6との対向面には、電子回路基板6との接続を行うことによりアンテナ装置を形成するための外部接続端子8aおよび8bが設けられている。電子回路基板6とアンテナ8との接続は、ピンによる接触やコネクタ接続、導線のはんだ付けなどが考えられる。本実施の形態においては、電子回路基板6にアンテナ入出力用ピン7a、7bを備えている。一般的に知られているように、アンテナ入出力用ピン7aおよび7bは、整合回路および制御ICなどが配置された電子回路基板6上のアンテナ制御部9に接続されるものとする。そして、このアンテナ入出力用ピン7a、7bが、アンテナ8に設けられた外部接続端子8aおよび8bを両端部とするコイル部と接続されることにより、アンテナ装置が形成される。なお、背面カバー3と表示パネル2の間にできる空間には、RF−ID用ICや整合回路の他、他周波用アンテナ、スピーカー、RFモジュールなどの部品が配置される。
図2は、本実施の形態におけるアンテナの斜視図である。また、図3は、本実施の形態におけるアンテナの分解斜視図である。さらに、図4は、本実施の形態におけるコアの斜視図である。
図2に示すように、本実施の形態のアンテナ8は、面を備えるコア11と、面のうち、コイルが巻回されたコイル巻回部(領域B)と、面のうち、コイルが巻回されていない複数のコイル非巻回部(領域A、C)と、を備え、コイル巻回部は、面上のコイルの軸方向において複数のコイル非巻回部に挟まれ、面は、コイルの軸方向における幅(第1の方向)が、コイルの巻回方向(第2の方向)の幅以上である。更に好ましくは、コア11は、略長方形の形状をする面を表面または裏面とする板状であり、コイルは、面の短手方向とコイルの軸方向とが交差するように巻回される。更に好ましくは、コイルの軸方向がコア11の面の長手方向と略同一方向(±10度以内)であると良い。また、コイルの軸方向において、複数のコイル非巻回部(領域A、C)の全体長さは、コイル巻回部(領域B)の長さ以上であるとよい。すなわち、コイルの軸方向において、領域A、Cの長さをそれぞれ足した合計の長さが、領域Bの長さ以上であり、コア11の長さは領域Bの長さの2倍以上となる。さらに好ましくは、複数のコイル非巻回部(領域A、C)のそれぞれの長さは、コイル巻回部(領域B)の長さと略同一である。すなわち、コイルの軸方向において、コア11の長さは領域Bの長さの3倍程度となる。
詳しく説明すると、フェライト、アモルファス、ケイ素鋼、パーマロイ、軟磁性材料等の磁性体により形成されたコア11と、その周囲を包み込むように配置され、主に樹脂からなる支持体上にアンテナパターンであるコイルパターン(導線)などが形成されたフレキシブル基板12と、を備える。本実施の形態においては、コア11はフェライトによって構成され、本実施の形態ではサイズが40×10×0.3mmであり、焼成寸法バラツキにより39.5〜40.5mm×9.7〜10.3mm×0.27〜0.33mm程度となる可能性がある。コア11の形状は平行六面体、特に直方体のプレート状といえ、2つの大きな面は長方形が好ましいが正方形でも良い。ここで言うコイルパターンとは、図示しないICカードやICタグなどの無線通信媒体と通信を行うための磁力線を発生させ、矢印Sをコイル軸としたコイルパターンが形成されている。コイルパターンは、例えばフレキシブル基板12が有する、ポリイミドフィルムとカバーレイあるいはレジストという2つの樹脂層の間に形成される銅箔によって形成されるのが通常である。コイル軸Sとは、このコイル軸Sを略中心にコイルパターンが巻回されているもので、フレキシブル基板12のコイルパターンとは略垂直である。なお、導線は導体パターンによるものだけに限られず、金属線などをコア11に巻回しても良いし、導体膜をコア11に形成してもよく、どのような形態でも良い。外部接続端子8a、8bは、コア11の外側に位置する。
また、コア11の形状は、長手方向が図2のようにコイル軸Sと同一方向であり、短手方向コイルパターンの巻回方向と同一方向である。コア11は、長手方向の幅が短手方向の幅の少なくとも2倍以上、好ましくは3倍以上とすることで、小さなコイルパターンであっても大きなアンテナを形成したような効果を得ることができる。詳細は、後に説明する。
図3に示すように、フレキシブル基板12は、コア11を挟んで2つに分割された形となっている。本実施の形態においては便宜上、これら2つに分割されたフレキシブル基板12のうち、外部接続端子8a、8bを有する側を下側フレキシブル基板12aとし、そうでない側を上側フレキシブル基板12bとする。後により詳しく述べるが、これら下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは半田により接合されている。本実施の形態においては、コイル軸Sと略平行なフレキシブル基板12の二辺において接合されている。また、「下側」「上側」は、図3において理解し易くするために便宜上付与しているもので、アンテナ8として機器に搭載する際には上下が逆になっても構わない。
これら下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとの間にコア11を固定するために、本実施の形態においては接着層としての両面接着テープ31、32が用いられる。すなわち、両面接着テープ32はコア11と下側フレキシブル基板12aとの間及び、両面接着テープ31はコア11と上側フレキシブル基板12bとの間に貼付される。さらに、アンテナ8を図1の背面カバーに貼り付けるための両面接着テープ33を備える。
また、コア11はフレキシブル基板12から必然的にむき出しの部分ができるため、図4に示すようにコア11全体をしっかりと保護テープ34、35で両面から保護している。すなわち、コア11は破損などにより特性が変化しやすいため、フレキシブル基板12とは別に保護部材を有している。また、本実施の形態においては、コア11はフェライト焼成体からなり、柔軟性を有するためにあらかじめ複数の小片に粉砕されている。これら小片をシート状に維持するためにも、保護テープ34、35を備えている。また、これにより、アンテナ8は、背面カバー3に貼付される箇所がたとえ曲面を有していても、その曲面に沿って貼付され配置されることが可能となる。また、小片に粉砕することで、それ以上破損することが難しくなり、破損による特性劣化を防ぐことができる。
コア11のフレキシブル基板12への固定方法については、本実施の形態に示すように、コア11の両面への両面接着テープの貼付である必要は、必ずしもない。
再び図3を用いて、本実施の形態の説明を行う。前述したように、フレキシブル基板12を構成する下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとは、コイル軸Sと略平行なフレキシブル基板12の二辺において、導線どうしが半田付けにより接合されている。これにより、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとでコイルパターンが形成される。
次に、本実施の形態のアンテナ8のひとつの特徴であるコア11とフレキシブル基板12とのサイズについて説明する。前述したように、コア11は長手方向の幅が短手方向の幅の4倍であるほど、長手方向に長く伸びた形状をしている。そして、フレキシブル基板12はコア11の長手方向の略中央(図2の領域B)に位置している。フレキシブル基板12がコア11の長手方向の略中央であるときに最も効率よく磁束が発生するが、用途によって別の位置に配置してもよい。コア11の長手方向の幅に対して、フレキシブル基板12の同一方向の幅は小さく、好ましくはコア11の長手方向の幅の半分以下にすると良い。本実施の形態では、コア11の長手方向におけるフレキシブル基板12の幅は20mmである。図2においては、コア11の長手方向の幅が、領域A:領域B:領域C=1:2:1程度である。それに対して、コア11の短手方向の幅に対して、フレキシブル基板12の同一方向の幅は大きく、下側フレキシブル基板12aと上側フレキシブル基板12bとが半田などで接合されるために必要な長さだけ大きい。
このような形状とすることで、アンテナ8の小型化と特性の向上とを両立することができる。すなわち、フレキシブル基板12が設けられている領域Bは、設けられていない領域A及び領域Cと比較して厚くなる。すなわち、領域Bはなるべく小さくすることにより、アンテナ8の薄型化、小型化が達成される。領域Bが小さくなることでアンテナ8の特性が劣化する可能性はあるがコア11のサイズを長くすることにより、領域Bを小さくしても十分な性能を得ることができる。さらに、領域Bの大きさを一定として巻回数が一定でも、領域A、Cの長さを変えることで特性を変化させることができる。すなわち、領域A、Cの少なくとも1つを長く設定することによって、特性を向上させることができる。
次に、携帯端末1内におけるアンテナ8の図1とは異なる配置、形状について説明する。図5は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。図6は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された携帯端末の分解斜視図である。ただし、図5、図6のアンテナ8は、基本的に図1のアンテナ8と同様のものであり、特性、効果、に多少の差異があるものの、ほぼ同一である。
図5は、図1と異なりアンテナ8のコア11の一部(図2の領域Aまたは領域Cに相当する部分)がバッテリー4と重なっている。このように、アンテナ8は背面カバー3のほぼ中央に配置されても、高特性な通信をすることができる。すなわち、アンテナ8の通信特性を鑑みると、背面カバー3のいずれの場所に配置されても問題ない。しかし、端に配置することで、アンテナ8の周囲に位置する筐体内の様々な部品(特に金属を含む部品)が減少し、それらからの影響をアンテナ8が受けにくくなるうえ、後述する図10のような斜めの通信が良好に行われる。また、コア11の厚みは均一でなくても良い。バッテリー4と重なる部分を薄くすることも可能であるし、他部品と重なる部分を薄く形成しても良い。筐体内で配置しやすいように、コア11の厚みを変化させても良い。なお、アンテナ8を中央に配置しても斜めの通信は可能であるが、携帯端末1の形状が斜め方向の通信をしにくいため、端部配置の方が好ましい。また、図6は、コア11の一部(図2の領域Aまたは領域Cに相当する部分)に貫通孔を備える。その貫通孔は、背面カバー3に設けられる貫通孔と重なっており、その貫通孔にカメラ5が挿入される。すなわち、コア11は、カメラ5の周りを囲むように配置される。これにより、カメラ(金属体)の悪影響を小さくすることができる。これは、磁束がコア11を通るため、カメラまで磁束が及びにくくなるためである。
次に、本願発明のアンテナ8が良特性である理由について説明する。説明を分かりやすくするため、図7の従来アンテナと比較して行う。
図7は、従来のアンテナの一例を示す図である。図8は、本実施の形態におけるアンテナが発生させる磁界を示す図である。図9は、図7のアンテナが発生させる磁界を示す図である。図10は、本実施の形態におけるアンテナが発生させる磁界を示す図である。図11は、図7のアンテナが発生させる磁界を示す図である。図12は、本実施の形態におけるアンテナ及び図7のアンテナにおいてアンテナ同士が平行に対向している場合の通信可能距離を示す図である。図13は、本実施の形態におけるアンテナ及び図7のアンテナにおいてアンテナ同士が45度の角度で対向している場合の通信可能距離を示す図である。図8〜図13においては、アンテナ8とアンテナ108とは、金属体103に載置されており、この金属体103は、携帯端末1内の金属体の影響を考慮するためのものである。
図2に示す本願発明のアンテナ8と、図7に示す従来のアンテナ108との違いの一つに、領域A、Cの大きさの違いがある。図7の従来のアンテナ108には領域A及び領域Cがほとんど存在しないが、本願発明のアンテナ8には領域A及び領域Cが存在し、フレキシブル基板12からはみ出している。領域A及び領域Cはコイルの開口と同様の働きをするので、発生する磁束の入り口と出口となる。すなわち、図8を見ると、磁束は領域Aを大きな入り口としてコア11の中に入り、フレキシブル基板12で挟まれた空間を通り、磁束は領域Cを大きな出口としてコア11の外側に出て行く。
なお、従来のアンテナ108においては、コアのサイズ12mm×42mm×0.3mmに対して、フレキシブル基板の面積が12.5mm×46mmである。対して、本願発明のアンテナ8においては、コア11のサイズ40mm×10mm×0.3mmに対して、フレキシブル基板12の面積が20mm×16mmである。このように、コアもフレキシブル基板(すなわちコイルの大きさ)においても、本発明のアンテナ8の方が小さい。すなわち、本願発明の実施例のサイズで従来と同一形態のアンテナを形成すると、本願発明のアンテナ8の方が、通信可能領域の大きさや通信距離などの特性が悪化することは明らかである。
しかしながら、本願発明のアンテナ8が発生させる磁束(通信に利用する磁束)のうち、図8のZ方向(上下方向)成分の面積が大きくなる。一方、図9の従来のアンテナ108においては、開口面積が小さいため、小さな開口に磁束が集中し、通信に利用する磁束のZ方向成分の面積が小さくなってしまう。このように、従来のアンテナ(一般的なアンテナ)は、コイルの軸方向に開口面積を有しても、コイルの軸方向以外に開口面積を有することが難しい。この結果、通信可能な領域が偏り、少しでもその領域を外れると、すぐに通信が困難となってしまう。通信が困難となる領域とは、一方のアンテナが発生させる磁束のうち、一方のアンテナから他方のアンテナに向かう磁束と他方のアンテナから一方のアンテナに向かう磁束との双方が、他方のアンテナを貫くことによって、一方のアンテナが発生させる磁束が相殺されてしまう場合である。従来のアンテナ108はコイルの開口面積が小さいため、磁束が相殺しあう状況に陥りやすい。一方本願発明のアンテナ8は、コイルの開口面積が大きくなっているので、双方向の磁束が相手側アンテナを貫きにくい。また、前述したように従来のアンテナ108やその他のアンテナにおいては、一般的に、磁束の入り口と出口はコイルの軸方向に向いている。従って、基本的にメインの通信方向がコイルの軸方向となり、それ以外の方向における通信が困難となる。対して、アンテナ8は、コア11が板状であり、2つの大きな面は図8のZ方向を向いており、アンテナ8のコイルの軸方向を向いていない。そして、コイルの軸方向以外の方向(Z方向)に磁束の入り口、出口を形成する面が形成されるため、コイルの軸方向以外の方向(Z方向)においても良好な通信ができる。もちろんコイルの軸方向においても通信は可能であるため、コイルの軸方向からコア11の面が向いている方向まで、3次元的に通信可能領域を広げることができる。
図10、図11を見ると同様で、図10の本実施の携帯のアンテナ8は、Z45度方向の磁束も広い範囲に及んでいることが分かる。これは、領域Cの面積が大きいため、アンテナ8の開口面積が大きいことと同一の効果を得ることができるからである。一方、図11の従来のアンテナ108においては、開口面積が小さいため、小さな開口に磁束が集中し、通信に利用する磁束のZ45度方向成分の面積が小さくなってしまう。この結果、通信可能な領域が偏り、少しでもその領域を外れると、すぐに通信が困難となってしまう。
これらの結果を、図12、図13が示す。
図12(a)、(b)の状況下において、図12(c)、(d)のような実験結果が得られた。すなわち、図12(a)は、通信対象のアンテナが、アンテナ8またはアンテナ108に平行に対向して通信を行う場合を横から見た図であり、位置関係は座標(0,0)である。ここで言う通信距離とは、通信相手であるアンテナ表面からアンテナ8表面までの距離である。また、図12(b)は、図12(a)を上から見た図である。図12(c)は、本発明のアンテナ8の通信可能距離を座標別に示す図である。図12(d)は、従来のアンテナ108の通信可能距離を座標別に示す図である。なお、座標(0,0)とは、図8〜図11の金属体103及びアンテナ8、108の配置において、金属体103の端の短辺(図12(b)、13(b)の上側辺)の中心点が通信相手のカード(80mm×50mm)の中心点に一致する点を意味する。図13においては、金属体103の端の短辺は、アンテナ8、108が載置されている側の面の短辺を意味する。
図12(c)が示すとおり、本願発明のアンテナ8は、座標による通信距離の偏りが少なく、広い範囲で安定して通信することができる。また、ほとんどの領域において、通信距離が伸びている。一方、従来のアンテナ108においては、通信距離にかなりのバラツキがあり、特にY=0mmの位置では通信がかなり困難となる。また、通信領域の真ん中で通信困難な領域があるので、通信を安定して行うことが特に難しくなる。
また、図13(a)、(b)の状況下において、図13(c)、(d)のような実験結果が得られた。すなわち、図13(a)は、通信対象のアンテナが、アンテナ8またはアンテナ108に斜め45度に対向して通信を行う場合を横から見た図であり、位置関係は座標(0,0)である。また、図13(b)は、図13(a)を上から見た図である。図13(c)は、本発明のアンテナ8の通信可能距離を座標別に示す図である。図13(d)は、従来のアンテナ108の通信可能距離を座標別に示す図である。
図13(c)が示すとおり、本願発明のアンテナ8は、座標による通信距離の偏りが少なく、広い範囲で安定して通信することができる。一方、従来のアンテナ108においては、通信距離にかなりのバラツキがあり、特にY=15mmの位置では通信がかなり困難となる。もちろん、コイルの軸方向の通信も良好に可能である。
このような結果から、図7の従来のアンテナ108と比較して、本願発明のアンテナ8は、通信しあうアンテナ同士が平行に対向しても斜めに対向しても、広い範囲で安定して通信することができる。これは、図2の領域Aと領域Cとをコイルの開口面積が増加したため、磁界の広がる領域が大きくなったからである。すなわち、アンテナ8が他方のアンテナと通信を行う際には、アンテナ8側から他方のアンテナ側へ向かう磁束と他方のアンテナ側からアンテナ8側とが発生する。そして、その両方向の磁束が他のアンテナを貫いてしまうと、お互いの方向の磁束が打ち消しあって通信することができない。従来のアンテナ108のようにコイルの開口面積が狭いと、磁束が狭い開口面積に集中するため、一方向の磁束が広がる面積が小さい。その結果、カード大の面積(約80mm×約50mm程度)のアンテナの中を、双方向の磁束の両方が貫いてしまいやすい(コイルの軸方向以外の方向をも通信方向とし、双方向の磁束が近くに存在するため)。一方、本願発明のアンテナ8では、一方向の磁束が広がる面積が大きいため、カード大の面積のアンテナの中を、双方向の磁束の両方が貫きにくい。換言すれば、一方向の磁束で十分にカード大の面積のアンテナの中の大部分を貫くことができるため、通信が困難となりにくい。更に、本願発明のアンテナ8は、従来のアンテナ108と比較して、コア11は同程度の大きさに抑えつつ、フレキシブル基板12の面積がかなり小さくなっていることが分かる。更に、アンテナ8のうちの厚い部分(領域B)を小さくして、薄い部分(領域A、C)を利用するため、従来のアンテナ108と比較して薄型化、小型化が達成される。それにもかかわらず、本願発明のアンテナ8は同程度以上の通信距離を維持し、広い範囲で安定して通信を行うことができる。
更に、本願発明の特徴として、フレキシブル基板12の構成するコイルの軸方向とは異なる方向であっても、通信方向として通信特性を向上させることができる。すなわち、図8を見ると、アンテナ8のコイルの軸方向は左右方向となり、左右方向における通信も可能である。例えば一般的なアンテナであれば、コイル軸方向のみがメインの通信方向となりやすい。しかしながら、本願発明のアンテナ8は、板状のコア11とし、コア11が備える大きな2つの面は、一方が背面カバー3に向いているものの、他方は主な通信方向となる図8の下方向を向いている。そして、下方向を向いている領域Aと領域Cとを十分な面積で備えることによって、コイルの軸方向でないにも関わらず、図8のZ方向の広い面積を通信方向とすることができる。
次に、コア11のサイズについて説明する。図14は、本実施の形態におけるアンテナのコアのサイズとアンテナの誘起電圧との関係を示す図である。
図14においては、コア11の幅10mm、コイルの(コア11の長手方向の)長さ20mm、コイルはコア11の長手方向の中央に配置されたまま、コア11の長手方向の幅を変化させている。図12(a)のような状況において、通信相手のアンテナのサイズが大、中、小それぞれの場合におけるそれぞれに誘起される最大電圧を計測している。それぞれのアンテナのサイズは、アンテナ(大)が70mm×40mm、アンテナ(中)が45mm×30mm、アンテナ(小)が25mm×20mmである。図14中の縦軸の値は、コア11の長さが20mmのときの各々の誘起電圧で正規化してプロットしている。
コア11の長さが30〜40mm(コイルの長さの1.5倍以上2倍以下)であるとき、アンテナ(大)、アンテナ(中)、アンテナ(小)の最大誘起電圧の値はコア11の長さが20mmに比較して20%以上大きく、アンテナ8が様々なサイズのアンテナを備える通信相手に対して安定して良好な通信を行うことができる。コア11の長さが40〜70mm(コイルの長さの2倍以上3.5倍以下)であるとき、アンテナ(大)、アンテナ(中)の最大誘起電圧を高く維持しつつ、かつ、アンテナ(小)の最大誘起電圧がコアの長さが20mmのときよりも良好にすることができる。コア11の長さが120mmを越えると、通信相手のアンテナがいずれの大きさであっても、最大誘起電圧が下がるばかりである。従って、コア11の長さは、長くとも120mm以下であることが好ましい。
また更に、複数の周波数帯において通信を行うような電子機器内に搭載される場合も、本願発明のアンテナ8は従来のアンテナ108に対して有利である。
図15は、電子機器内における本実施の形態のアンテナ及び従来のアンテナと他の周波数帯のアンテナとの配置を示す図である。領域Dは、本願発明のアンテナの搭載推奨位置を示し、領域Eは、従来のアンテナの搭載推奨位置を示し、領域Fは、GPS、Bluetooth(登録商標)、WLANなどの周波数帯域用のアンテナ位置を示す。
一般的に、電子機器の筐体の中で、GPS、Bluetooth(登録商標)、WLANなどの周波数帯域用のアンテナは、筐体の端に配置される。これは、筐体内の金属体といった他部品による影響を抑えるためである。そして、バッテリー4側の下側端部には、通常電話用のアンテナなどが配置されるため、バッテリー4とは離れた側の上側端部に近い位置に配置される。また、GPS、Bluetooth(登録商標)、WLANなどの周波数帯域用のアンテナにとっては、NFCの周波数帯用のアンテナのほとんどが備える磁性シートやコアなどの磁性体が悪影響の根源となる。すなわち、GPS、Bluetooth(登録商標)、WLANなどの周波数帯域用のアンテナが動作すると、NFCの周波数帯用のアンテナの磁性体に渦電流が生じ、他のアンテナの通信の邪魔をする。従って、好ましくはNFCの周波数帯用のアンテナとGPS、Bluetooth(登録商標)、WLANなどの周波数帯域用のアンテナとを離して配置したほうが良い。しかし、ユーザーの使いやすさを考慮すると、携帯端末1の長手方向とアンテナ108のコイルの軸方向とが同一でないと、通信方向が不便となる。その結果、図7の従来のアンテナ108は図15の左右方向を長手方向とし、コイルの軸方向が短手方向であるため、アンテナ108の長手方向の両端が背面カバー3の端部付近まで及び、背面カバー3の端部から離して背面カバー3の中央側に配置することは、困難であった。また、平面形状のループアンテナを利用したとしても、通信特性を確保するためには開口面積を大きくしなくてはならず、アンテナが背面カバー3の端部付近まで及んでしまう。
しかし、本願発明のアンテナは、背面カバー3の長手方向とアンテナ8のコイルの軸方向とを同一方向としても、アンテナ8の長手方向と背面カバー3の長手方向とが略同一であるため、背面カバー3の端部から離して配置することができる。
次に、本発明のアンテナ8であって、図2とは異なる形状のアンテナ8を紹介する。図16は、本実施のアンテナの斜視図であって、領域Aと領域Cとの長さの比率が大きく異なる。このように、領域Aと領域Cとは、異なる長さ、異なる面積であってもよい。図16のとき、アンテナ8のコイルパターンの開口部が、領域A側で広く、領域C側で狭くなることと同様の状態となる。従って、領域A付近では図8、図10におけるZ方向とZ45度方向の磁束が発生する面積が増加し、広い範囲で通信を行うことができる。
図17は、本実施のアンテナの斜視図であって、コア11の形状が長方形ではない。すなわち、コア11のコイルパターンの巻回方向(コイル軸方向と垂直な方向)の幅が、領域B側から外側に向かって大きくなる。従って、領域Bと同一の幅の長方形コアであることと比較して、領域A及び領域Cの面積が大きくなる。その結果、フレキシブル基板12の面積を増加させずに、コア11の影響力を大きくすることで通信可能距離を増加させることができる。
次に、これまで説明したアンテナ8と金属体とを備えるアンテナ装置について説明する。ここでは特に、例えば背面カバー3が金属体であった場合について説明する。すなわち、アンテナ8から見て金属体を突き通って奥まで磁界を発生させたい場合であり、金属体は背面カバー3だけに限られない。このときアンテナ装置は、アンテナ8と、背面カバー(金属体)と、を備え、背面カバー3にスロット41を設け、コイル巻回部(領域B)及びコイル非巻回部(領域A、C)の少なくとも一部がスロット41に対向する。好ましくは、アンテナ8のコイルの軸方向において、スロット41の長さは、アンテナ8の長さ以上となる。また、コイルの巻回方向において、スロット41の長さは、アンテナの長さ以下である。
アンテナ8の近くに金属体が位置すると、金属体にアンテナ8の磁束を打ち消す渦電流が流れる。金属体に流れる渦電流によりアンテナ8が発生させる磁束は弱められるため、アンテナ8が金属体を挟んだ奥側の通信相手と通信することは、かなりの困難となる。しかし、本願発明のアンテナ8であれば、金属体に1本のスロットをいれるだけで、通信が可能となる。通信の原理については後述する。
図18は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された金属体を含む携帯端末の分解斜視図である。ここで、背面カバー3が金属体である。図19は、本実施の形態におけるアンテナが搭載された金属体を含む携帯端末の分解斜視図である。図19と図18との相違点は、背面カバー3に設けられるスロット41がカメラ用貫通孔と連結していることである。コア11も、カメラの周りを囲むような形状となっている。
図1と異なり、図18の背面カバー3にはスロット41が形成される。このスロット41は、アンテナ8と対向しており、スロット41の上に接触して、または接触せずにアンテナ8が位置する。すなわち、携帯端末1を背面カバー3の外側から見ると、スロット41を通してアンテナ8が見えるような配置関係である。スロット41の長手方向と、アンテナ8のコイル軸方向と、コア11の長手方向と、が平行である。ただし、この3つの方向が全て平行であることが好ましいが、±30度程度ずれても良好な効果を得ることができる。
本実施の形態においては、スロット41の長さは40mm、幅は4mmである。なお、アンテナ8の長さは40mm、幅は10mmである。スロット41はアンテナ8と同じ長さであるが、それに限られず、基本的には長ければ長いほうが良くアンテナ8よりも長いとよい。スロット41の長さが長いほど、背面カバー3に流れる渦電流のループが大きくなり、大きな磁界が形成されるからである。スロット41がコア11よりも長いことで、コア11が本来形成する磁界よりも大きくなる。少なくとも、フレキシブル基板12(領域B)よりも長く、コア11の領域A及び領域Cが少なくとも一部がスロット41と重なる。また、スロット41の幅は、アンテナ8の幅よりも小さい。本来はスロット41の幅も大きければ大きいほど良いが、アンテナ8の幅よりも小さいことによって、スロット41の小型化を達成し、背面カバー3に上手く渦電流が流れる。また、スロット41は背面カバー3の端部に接続している必要はないため、背面カバー3のいずれの位置にも、自由に配置することができる。
次に、背面カバー3が金属体であってもスロット41を設けることでアンテナ8の通信が可能となる理由について説明する。なお、金属体は背面カバー3に限られず、携帯端末1などに搭載される金属体のいずれであってもよく、例として背面カバー3を用いて説明する。
図20は、本実施の形態における背面カバーとスロットとアンテナの関係を示す図である。図20(a)は、上面図、図20(b)は、図20(a)の直線X−Xにおける断面図である。図21は、本実施の形態におけるアンテナの発生させる磁束と背面カバーとスロットの関係を示す図である。図21(a)は上面図、図21(b)は図21(a)の直線Y−Yにおける断面図、図21(c)は図21(a)の直線Z−Zにおける断面図である。図22は、本実施の形態における背面カバー(金属体)に流れる電流を示す図である。
図20(a)から分かるとおり、スロット41は、アンテナ8のうちコア11の非巻回部及び巻回部の双方それぞれの一部と重なっている。ここで言う「重なっている」とは、接触、非接触のどちらでも良い。ただし、少なくとも背面カバー3(金属体)とアンテナ8とは絶縁されている。すなわち、図2の領域A、領域B、領域Cのいずれもが、その一部において、スロット41と重なっている。領域Aと領域Cとの双方が必ずしも重なっている必要はないが、少なくとも領域Bは重なっている。また、図20(b)の通り、アンテナ8はその一部が背面カバー3と重なっており、かつ、スロット41とその他の部分が重なっている。ただし、図20(b)の左右方向におけるスロット41の中心線とアンテナ8の中心線が重なる必要はないが、好ましくは、アンテナ8の右側一部と左側一部とがそれぞれ背面カバー3と重なり、アンテナ8の右側一部と左側一部とに挟まれた中心部がスロット41と重なると良い。
このような配置として、アンテナ8を動作させると、まず、図21(a)のようにアンテナパターンに電流が流れる。図21(a)では左から右に流れている場合を示している。その結果、図21(b)に示すように、背面カバー3のアンテナ8と対向している面には、アンテナ8の電流とは逆向きの渦電流すなわち右から左に向かって流れる電流が流れる。背面カバー3に流れるこの渦電流は、スロット41を介して、アンテナ8と対向している面の反対の面にも流れる。反対の面に流れる電流の向きは、アンテナ8と対向している面に流れる電流の向き(右から左)と逆向きであり、左から右に向かっている。この結果、図22から分かるとおり、反対の面に流れる電流の向きと、アンテナ8のアンテナパターンに流れる向きと、は同一方向となる。反対の面に流れる電流は、スロット41の短手方向に沿った端部それぞれを回ってループを形成する。すなわち、図21(a)のように、電流は時計回りのループと反時計回りのループを形成する。その結果、図21(c)に示されるような磁界が形成される。すなわち、電流は時計回りのループと反時計回りのループとのいずれかひとつが磁界の入り口であり、他方が出口となる。これは、必ずアンテナ8の発生させる磁界の向きと同一となる。この結果、金属体である背面ケース3の発生させる磁界がアンテナ8の磁界を妨害する向きとならないため、アンテナ8の磁束が金属体の反対側まで届く。このとき、本願発明のアンテナ8は金属体である背面カバー3を励振させてアンテナのように利用しているわけではなく、あくまでアンテナ8が通信を行う。従って、金属体が近くに存在しないほうが通信特性は優れるが、金属体が近くに存在したとしても、スロット一つを形成するだけで、良好な通信を行うことができる。
この結果、スロット41を形成するだけで、たとえ背面カバー3のような金属体が近接、または金属体に囲まれたとしても、金属体が近接しない場合と同様に通信を行うことができる。
更に、スロット41内にコア11のような磁性材を挿入すると、アンテナ8の通信特性がより向上する。このとき、フレキシブル基板12と重なる部分には磁性材を挿入してはならず、コア11の領域A、領域Cと重なる部分に磁性材を挿入する。また、スロット41に挿入する磁性材はコア11の磁性材と同一の材料であることで通信特性をより向上させることができるが、別の材料であってもよい。
スロット41の形状は、長方形に限られず、多角形、円形、楕円形、曲線など、いずれであっても良い。好ましくは、スロット41の長手方向が、アンテナ8のコア11の長手方向と略同一方向であると良い。
次に、アンテナ8のコイルパターンのインダクタンス(L値)を調整する方法について説明する。すなわち、これまで説明したアンテナ8に、インダクタンス調整機構を付加した形状である。
図23は、本実施の形態におけるインダクタンス調整機構を備えるアンテナの上面図である。図24は、本実施の形態におけるアンテナのインダクタンスを決定するパラメータを説明する図である。図25は、本実施の形態におけるアンテナをインダクタンス調整機構によってインダクタンスを変化させた様子を示す図である。
アンテナ8のフレキシブル基板12においてコイルを構成する導線は、その両端において2本に分岐している。2本に分岐されるとは、図2に示すアンテナ8と比較して、分岐導線51、52が、導線151、152に対して追加されている。分岐導線51、52はその両端(分岐ポイント55、56及びトリミングポイント53、54のそば)で導線151、152と接続しているため、アンテナ8のコイルの巻回数は変化していない。インダクタンスを調整するためには、トリミングポイント53、54を必要に応じてトリミングする。ここで言うトリミングとは、打ち抜きやレーザー加工によって、トリミングポイントにおいて導線を断線させることを言う。従って、トリミングポイント53、54は、コア11の外側に位置すると良い。それにより、トリミング時にコア11が破損することを防ぐことができる。
トリミングポイントは、導線151、152と分岐導線51、52とにおいて、外側に位置する導線151、152上に位置する。従って、図23では、分岐導線51、52ではない導線151、152にトリミングポイント53、54が位置する。これは、導線151、152を断線させることによって、コイルの軸方向長さを変化させることによりインダクタンスを変化させるからである。すなわち、トリミングポイントにおいてトリミングしない場合は、分岐導線51、52が存在しないコイルと同一のインダクタンスである。
対して、図24を見ると、磁芯の透磁率をμ、コイルの断面積をS、コイルの巻数をN、コイルの長さをlとし、コイルのインダクタンスLは、L=(μ×S×N×N)/lとなる。コイルの長さlが小さいほどコイルのインダクタンスLが大きくなることがわかる。すなわち、トリミングポイント53、54のうち少なくとも一つをトリミングすることによって、コイルの長さが短くなるため、インダクタンスを大きくすることができる。分岐導線51、52は少なくともコア11の周りを1周以上することが好ましく、図23のように複数以上コア11の周りを巻回することが好ましい。また、分岐導線51と分岐導線52とを同じ周だけ巻回しており、それだけアンテナ8の特性を均等に安定させることができる。ただし、分岐導線51と分岐導線52との巻回数を異ならせてもよい。また、図23においては、分岐導線51、52と導線151、152との間は密に隣り合っており、分岐導線51、52の存在しない中央の導線同士は疎に隣り合っている。このようにすることで、巻回部を小型化することができる。一方、中央部の導線、分岐導線51、52、導線151、152の全てが同一の幅で隣り合うことで、製造しやすいアンテナ8とすることができる。
図25では、自由空間(金属体がアンテナ8に近接しない)の場合と、40mm×4mmのスロットが形成された背面カバー3(金属体)が近接する場合と、40mm×1mmのスロットが形成された背面カバー3(金属体)が近接する場合と、でのアンテナ8のインダクタンスを比較している。上記3つのパターンごとにインダクタンスは変化するものの、トリミングポイント53、54を断線することによって変化するインダクタンスの変化率は4.6〜5%と同程度である。なお、トリミングポイント53、54のいずれか一方のみを断線した場合の変化率は、半分の2.3〜2.5%程度である。また、このとき、背面カバー3だけでなく、他の金属板203もアンテナ8に近接している。すなわち、本願発明のアンテナ8は、スロット41を設けることによって、金属体に囲まれた状況であってもインダクタンスの調整が可能であり、通信が可能であることがわかる。
本発明によれば、小型で、インダクタンス値の安定したアンテナとし、アンテナの通信特性を維持することができるため、携帯電話などの様々な電子機器のアンテナ、アンテナ装置および通信装置として有用である。また、特に自動で商品管理、書籍管理などが可能となる収納棚、展示棚以外の医薬品管理、危険物管理、貴重品管理システムなどの用途にも適用できる。
1 携帯端末
2 表示パネル
3 背面カバー
4 バッテリー
5 カメラ
6 電子回路基板
7a,7b アンテナ入出力用ピン
8 アンテナ
8a,8b 外部接続端子
9 アンテナ制御部
11 コア
12 フレキシブル基板
12a 下側フレキシブル基板
12b 上側フレキシブル基板
41 スロット
51,52 分岐導線
53,54 トリミングポイント
55,56 分岐ポイント
2 表示パネル
3 背面カバー
4 バッテリー
5 カメラ
6 電子回路基板
7a,7b アンテナ入出力用ピン
8 アンテナ
8a,8b 外部接続端子
9 アンテナ制御部
11 コア
12 フレキシブル基板
12a 下側フレキシブル基板
12b 上側フレキシブル基板
41 スロット
51,52 分岐導線
53,54 トリミングポイント
55,56 分岐ポイント
Claims (8)
- ハウジングと、
前記ハウジングに収納されたアンテナと、を有し、
前記ハウジングは、表示パネルと、金属部材と、を有し、
前記金属部材は、スロットを有し、
前記アンテナの少なくとも一部が前記スロットに対向し、
前記スロットの少なくとも一部には、挿入材が挿入され、
前記スロットの形状は長方形状である、 携帯端末。 - 前記表示パネルの少なくとも一部と前記金属部材の少なくとも一部は略平行である、
請求項1に記載の携帯端末。 - 前記スロットは1本である、
請求項1または2に記載の携帯端末。 - 前記スロットの長さは、前記アンテナの長さ以上である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯端末。 - 前記スロットの短手方向の幅は、前記アンテナの短手方向の幅よりも細い、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末。 - 前記アンテナは、コイルが巻回されたコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記スロットに対向する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末。 - 外部機器との通信の際、
前記アンテナは磁界を発生し、
前記金属部材には電流が流れる、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯端末。 - カメラと電池パックとをさらに有し、
前記スロットと前記カメラとの距離は、前記スロットと前記電池パックとの距離よりも短い、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019116137A JP2019165504A (ja) | 2019-06-24 | 2019-06-24 | 携帯端末 |
Related Parent Applications (1)
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ID=68065208
Family Applications (1)
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JP2019116137A Pending JP2019165504A (ja) | 2019-06-24 | 2019-06-24 | 携帯端末 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019165504A (ja) |
-
2019
- 2019-06-24 JP JP2019116137A patent/JP2019165504A/ja active Pending
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