JP2019164990A - 乾燥装置及び画像形成装置 - Google Patents

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之弘 今永
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Abstract

【課題】簡易な構成を用いて導電性物質を含む液体を乾燥させる際の安全性を向上させる。【解決手段】乾燥装置13は高周波誘電を用いて対象物21上の液体22を乾燥させる。乾燥装置13は高周波を出力する高周波電源31と、高周波電源31に接続した電極32と、高周波電源31の出力インピーダンスと、電極32と液体22を含む負荷の合成インピーダンスとを、電極32から発生する高周波電界が照射される対象物上の領域に液体が最大量付着し、且つ当該液体が未乾燥であるベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定する整合器33と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、乾燥装置及び画像形成装置に関する。
インクジェットプリンタ等の画像形成装置において、高周波誘電加熱を利用した乾燥装置が利用されている。高周波誘電加熱とは、高周波電界を対象物上に吐出された液体に照射することにより対象物を加熱する方法である。高周波誘電加熱によれば、対象物の加熱を抑えつつ液体を効率的に加熱することができるため、対象物の変色・変質の防止、起動時間の短縮、消費電力の削減等を図りつつ、乾燥速度を向上させることができる。
しかしながら、導電性物質を含む液体(例えばカーボンブラック粒子を含む黒インク等)を乾燥させる場合には、液体の水分量が減少して導電性物質が凝集すると、高周波電界が凝集した導電性物質に作用することにより生ずる誘導加熱現象により、急激な温度上昇が発生する可能性がある。
上記のような問題に対処しようとする乾燥装置として、コックリング(対象物の波打ち)量が規定量以下となる出力条件でインク画像を乾燥させる誘電加熱手段と、誘電加熱手段より対象物の搬送方向下流側においてインク画像の乾燥を完了させる均一加熱手段と、導電性物質を含むインク画像の画像情報に基づいて誘電加熱手段の出力条件を変化させる制御手段とを備える乾燥装置が開示されている(特許文献1)。
しかしながら、上記のような従来技術によると、導電性物質を含む液体を安全に乾燥させるために、画像情報を解析する手段、解析結果を誘電加熱手段の出力条件に反映させる手段等が必要となり、システム構成が複雑となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成を用いて導電性物質を含む液体を乾燥させる際の安全性を向上させることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、高周波誘電を用いて対象物上の液体を乾燥させる乾燥装置であって、高周波を出力する電源と、前記電源に接続した電極と、前記電源の出力インピーダンスと、前記電極と前記液体を含む負荷の合成インピーダンスとを、前記電極から発生する高周波電界が照射される前記対象物上の領域に前記液体が最大量付着し、且つ当該液体が未乾燥であるベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定する整合器と、を備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、簡易な構成を用いて導電性物質を含む液体を乾燥させる際の安全性を向上させることが可能となる。
図1は、実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す図である。 図2は、実施形態に係る高周波乾燥装置の構成例を示す図である。 図3は、実施形態に係る整合器の回路構成例を示す図である。 図4は、比較例に係る自動整合の実行時における液体の乾燥状態の変化例を概念的に示す図である。 図5は、比較例に係る自動整合の実行時における液体の乾燥特性例を示すグラフである。 図6は、実施形態に係る固定整合の実行時における液体の乾燥状態の変化例を概念的に示す図である。 図7は、実施形態に係る固定整合の実行時における液体の乾燥特性例を示すグラフである。 図8は、出力電力とインク残重量との関係を固定整合と自動整合との間で比較した比較例を示す図である。 図9は、実施形態の変形例に係る画像形成装置の加熱部の構成例を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる乾燥装置及び画像形成装置の一実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更、及び組み合わせを行うことができる。
「画像形成装置」は、「液体を吐出する装置」の一例である。液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを駆動させて、液体を吐出させる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
液体を吐出する装置は、液体が付着可能なものの給送、搬送、及び排紙に係わる手段、その他、前処理装置及び後処理装置等も含むことができる。
例えば、液体を吐出する装置として、画像形成装置及び立体造形装置がある。画像形成装置は、インクを吐出させて用紙等の対象物に画像を形成する装置である。立体造形装置は、立体造形物を造形するための液体(自硬化性樹脂、粉体を固着させるバインダ等)を吐出させる装置である。
また、液体を吐出する装置は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。液体を吐出する装置は、例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成する装置、及び3次元像を造形する装置も含む。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するもの等を意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布等の媒体、電子基板、圧電素子等の電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セル等の媒体である。このように、液体が付着可能なものは、特に限定しない限り、液体が付着する全てのものを含む。
液体が付着可能なものの材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の、液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、吐出部から吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されない。液体は、常温及び常圧下において、加熱により又は冷却により、粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、液体は、以下のものを含む。
・水や有機溶媒等の溶媒
・染料や顔料等の着色剤
・重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料を含む溶液
・DNA、アミノ酸、たんぱく質、カルシウム等の生体適合材料を含む溶液
・天然色素等の可食材料を含む溶液
・懸濁液
・エマルジョン
これらの液体は、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、素子(電子素子、発光素子等)の構成要素の形成溶液、電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
<インク>
以下、液体の一例としてのインクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本実施形態のインクに使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下 がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、顔料として、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得る方法としては、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この 場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルタ、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、インク中の固形分の粒径の最大頻度が最大個数換算で 20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。 シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
また、液体を吐出する装置は、液体部と液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置を含むが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置等が含まれる。
また、液体を吐出する装置は、他にも、用紙の表面を改質する等の目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置等を含む。
液体吐出ヘッドは、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等が圧力発生手段として使用できる。
液体吐出ユニットは、液体吐出ヘッドに機能部品及び機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。液体吐出ユニットは、例えば、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、及び主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたもの等を含む。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッド、機能部品、及び機構が締結、接着、係合等で互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているもの等を含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品及び機構が互いに着脱可能に構成されていてもよい。
例えば、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されている液体吐出ユニットがある。また、チューブ等で互いに接続されることにより、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されている液体吐出ユニットがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されている液体吐出ユニットがある。
また、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。
また、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。
また、ヘッドタンク又は流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
なお本明細書では、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。また、記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下では、インク等の液体を吐出させて対象物に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置を例として説明する。
上記のように、インクジェット印刷では、インクの乾燥が必要となる。パーソナル機といった低速機では、インクによる紙の湿潤に関する課題はあるものの、自然乾燥させることで致命的な問題は発生していない。一方高速機(例えばラインヘッド等を利用して高速に印刷することが可能な装置)では、自然乾燥では印刷速度に乾燥が追いつかず、印刷物の排出後に重ねてストックした場合に、裏移り、ブロッキング、その結果による色抜け等が発生する可能性がある。このため、インクジェット印刷による高速機では、インクを乾燥させる機能を備える必要がある。
乾燥手段としては、ドラムを暖めることによるドラム乾燥、ハロゲンランプや赤外線ヒータを当てることにより乾燥させる輻射乾燥、温風を吹き付けることによる温風乾燥等が知られている。これらの乾燥手段は、電子写真における定着工程に相当し、低消費エネルギーというインクジェット技術のメリットを低減させる。
乾燥させる対象はインク等の対象物上に吐出された液体であり、対象物や構成部品(ローラ等)の加熱は不必要なエネルギーの消費を招く。当該液体のみの選択乾燥を行う手段としては、マイクロ波、高周波誘電等の誘電体の双極子の摩擦損失を利用した手段が挙げられる。このような手段では、発熱量は誘電体の誘電率と正接損失に依存している。発熱量は、水が極端に高い値を示している。従ってインクで画像が形成された対象物において、対象物は加熱されず、インクに含まれる水分等の誘電体成分のみが加熱される。さらに、加熱された熱量だけが高周波電界における電力損失となるため、エネルギー効率として圧倒的に優位となる。
高周波誘電では、カーボンブラック粒子を用いた黒インクのように、導電性物質を含むインクを用いることを考慮する必要がある。カーボンブラックは、濃度、質感、発色性等の面から顔料の成分として優れているため、黒インクで一般的に使用されている。
カーボンブラックがインク中に分散された状態では導電性を示さない。しかし、例えば黒のベタ画像において、乾燥が進行してカーボンブラック粒子が凝集した状態になると、画像面方向に導電性を示すようになる。高周波誘電加熱は、誘電体を加熱させるが、加熱対象内に導電体が存在すると、当該導電体の抵抗により発熱する誘導加熱現象が起こる場合がある。従って、導電性物質を含むインク(例えば、カーボンブラック粒子を含む黒インク等)を含む画像を高周波誘電加熱により乾燥させる場合には、誘導加熱による温度上昇等の不具合が生じないように、画像に印加される電力を適切に調整する必要がある。
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の全体構成例を示す図である。本例に係る画像形成装置1は、給紙ロール11、液体吐出ヘッド12(吐出部)、高周波乾燥装置13(乾燥装置)、補助乾燥装置14、及び巻取ロール15を含む。
給紙ロール11は、印刷前の連続紙タイプの対象物21を巻回しており、印刷の進行に伴い対象物21を液体吐出ヘッド12側へ繰り出していく。
液体吐出ヘッド12は、給紙ロール11から送られてきた対象物21にインクを吐出して画像を形成する。インクは、導電性物質を含む液体の一例であり、代表的なものはカーボンブラック粒子を含む黒インクであるが、これに限られるものではない。導電性物質を含む液体は、磁性インク、カーボンブラック粒子以外の導電性物質を含む黒色以外の色のインク、導電性物質を含むコーティング液等であってもよい。また、液体吐出ヘッド12は、導電性物質を含まない液体を吐出してもよい。
高周波乾燥装置13は、対象物21上に吐出された液体(画像を形成するインク等)を高周波誘電加熱により加熱する装置である。本実施形態においては、高周波乾燥装置13により対象物21上の液体を6〜7割程度乾燥させる。高周波乾燥装置13の具体的構成については後に詳述する。
補助乾燥装置14は、高周波乾燥装置13により加熱された対象物21上の液体を更に加熱する。本実施形態においては、高周波乾燥装置13により乾燥しきれなかった液体を補助乾燥装置14により完全に乾燥させる。補助乾燥装置14の具体的構成は特に限定されるべきものではないが、例えば温風を対象物21に吹き付ける構成、対象物21をヒートドラムに接触させる構成等であり得る。
巻取ロール15は、高周波乾燥装置13及び補助乾燥装置14により液体が乾燥された(画像が定着された)後の対象物21を巻き取る。
なお、上記構成は例示であって、画像形成装置1の実施形態はこれに限られるものではない。例えば、上記構成においては対象物21として連続紙が用いられているが、所定サイズ(A4、B5等)の複数の対象物を用いてもよい。また、上記構成においては、液体吐出ヘッド12、高周波乾燥装置13、及び補助乾燥装置14がそれぞれ1つずつ配置されているが、これらはそれぞれ複数配置されてもよい。また、画像形成装置1は、対象物に画像を形成する機能を含む装置であればよく、いわゆるプリンタに限られず、複写機、ファクシミリ、複合機等であってもよい。
図2は、実施形態に係る高周波乾燥装置13の構成例を示す図である。本例に係る高周波乾燥装置13は、高周波電源31(電源)、電極32、及び整合器33を含む。
高周波電源31は、高周波を発生させる回路であり、例えばMHzオーダーの高周波電圧を発生し、kWオーダーの電力を出力する。
電極32は、対象物21の搬送方向に沿って配列された複数のロッド状の導電体35を含む。高周波電源31から出力された高周波電圧を各導電体35に印加し、隣り合う導電体35の極性が交互に切り換わることにより、隣り合う導電体35の間に高周波電界(磁場)が発生する。当該高周波電界が対象物21上の液体22に照射されることにより、液体22が加熱される。
整合器33は、高周波電源31の出力インピーダンスと、電極32と液体22を含む負荷の合成インピーダンスとを整合させる回路である。
図3は、実施形態に係る整合器33の回路構成例を示す図である。本例に係る整合器33は、コイル41、第1の可変容量コンデンサ42、第2の可変容量コンデンサ43、及び設定部44を含む。第1の可変容量コンデンサ42は、高周波電源31及び電極32に対して並列に接続されている。コイル41及び第2の可変容量コンデンサ43は、高周波電源31及び電極32に対して直列に接続されている。第1の可変容量コンデンサ42及び第2の可変容量コンデンサ43の静電容量は、設定部44からの制御信号に応じて変化する。
合成インピーダンスは、負荷の状態(対象物21上の液体22の残量等)に応じて変化する。高周波電源31からの入力波に対する反射波をモニタすることにより、出力インピーダンスが一定の値(例えば50Ω)となるように第1の可変容量コンデンサ42及び第2の可変容量コンデンサ43を制御することができる。このような負荷の状態に応じた自動整合により、対象物21上の液体22の乾燥が進行して合成インピーダンスが変化しても、電力を効率的に液体22に印加することができる。
しかし、本実施形態においては、液体22の乾燥状態に応じた整合状態の調整(自動整合)を行わず、出力インピーダンスと合成インピーダンスとを、電極32から発生する高周波電界が照射される対象物21上の領域に液体22が最大量付着し、且つ当該液体22が未乾燥であるベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定する。このような整合状態の固定(固定整合)を行う具体的方法は、整合器33の回路構成に応じて適宜選択されるべきものであるが、図3に示す回路構成例においては、可変容量コンデンサ42,43の値を、ベタ画像未乾燥状態において出力インピーダンスが所定値(例えば50Ω)となるように固定すればよい。
図4は、比較例に係る自動整合の実行時における液体22の乾燥状態の変化例を概念的に示す図である。図5は、比較例に係る自動整合の実行時における液体22の乾燥特性例を示すグラフである。自動整合とは、液体22の乾燥状態に合わせて整合器33の特性(図3に示す構成例においては可変容量コンデンサ42,43の静電容量)を自動的に調整する方法である。
図4は、液体22としてのインクに含まれる主な要素を示している。吐出直後等の未乾燥な状態1においては、インクは水、溶剤、及びカーボンブラック粒子(CB)を含んでいる。その後、乾燥がある程度進行すると、高周波誘電により水が蒸発し、インクは溶剤及びカーボンブラック粒子が残留した状態2となる。その後、乾燥が更に進行すると、高周波誘電により溶剤が蒸発し、インクはカーボンブラック粒子が凝集した状態3となる。
図5は、インクの乾燥重量(蒸発したインク成分の重量)とインクに印加される電力との関係を示しており、上記各状態1〜3におけるインクへの電力の入りやすさを示している。状態1から状態2へ移行するに従い、インクへ印加される電力は徐々に小さくなる。これは、初期の状態1においてはある程度の電力が印可されるが、水の蒸発が進みインク膜厚が薄くなると、インピーダンスが大きくなるためである(高周波誘電加熱においては、負荷の容量とtanδが大きいほど加熱されやすい。)。ただし、残留している溶剤の誘電率やtanδが水と比較して大きい場合には、インクへ印加される電力は状態2の方が大きくなる場合がある。状態3において、溶剤が蒸発してカーボンブラック粒子が凝集すると、カーボンブラック粒子のインピーダンスが小さくなり、インクに印加される電力量は急激に上昇する。このとき、急激な温度上昇が生じ、コックリング、焦げ付き、スパーク等の不具合が生ずる可能性がある。
図6は、実施形態に係る固定整合の実行時における液体22の乾燥状態の変化例を概念的に示す図である。図7は、実施形態に係る固定整合の実行時における液体22の乾燥特性例を示すグラフである。固定整合とは、液体22の乾燥状態に関わらず、整合器33の特性(図3に示す構成例においては可変容量コンデンサ42,43の静電容量)をベタ画像未乾燥状態における整合状態に保つ方法である。
本実施形態においては、整合器33の特性がベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定されているため、インクの乾燥が進行して合成インピーダンスが変化すると、出力インピーダンスと合成インピーダンスとの整合が徐々に崩れ、インクに印加される電力量が徐々に減少していく。これにより、カーボンブラック粒子が凝集した状態(状態3)になることを避けることができる。
なお、上記のような固定整合は、状況に応じて解除されてもよい。例えば、導電性物質を含まない液体のみを乾燥させる場合には、自動整合を行ってもよい。すなわち、本例においては、所定の条件が満たされる場合(導電性物質を含まない液体のみを乾燥させる場合等)には、可変容量コンデンサ42,43の静電容量を合成インピーダンスの変化(当該液体の乾燥状態)に応じて変化させてもよい。
図8は、出力電力とインク残重量との関係を固定整合と自動整合との間で比較した比較例を示す図である。本例は、カーボンブラック粒子を含む黒インクをコート紙に吐出した場合の例である。
自動整合の場合には、高周波電源31からの出力電力の増加に伴いインク残重量が減少し、出力電力が900Wに至ったときにインク残重量が略0%となる。このとき、凝集したカーボンブラック粒子に起因する誘導加熱現象が起こり、コート紙に焦げ付きが発生した。
これに対し、固定整合の場合には、インク残重量は、40%程度となるまでは出力電力の増加に伴い減少するが、40%より低くなると出力電力が増加しても減少しなくなる。これは、インク残重量が40%より低くなった状態では、出力インピーダンスと合成インピーダンスとの整合状態が崩れ、高周波電源31から出力された電力がインクに印加されなくなるためと考えられる。これにより、高周波乾燥装置13によってはカーボンブラック粒子が凝集するまでインクの乾燥が進行することはなく、誘導加熱現象による急激な温度上昇の発生を防ぐことが可能となる。高周波乾燥装置13によって乾燥しきれなかったインクの残留成分(溶剤等)は、補助乾燥装置14により完全に乾燥される。
以上のように、本実施形態は、出力インピーダンスと合成インピーダンスとの整合状態を最適点から意図的に外すことを特徴の1つとする。そのため、高周波電源31からの入力電力の反射量が比較的大きくなり、電力効率の観点では不利といえる。しかしながら、FET(Field Effect Transistor)でのロスが少ない方式、例えばE級アンプ方式等の高周波電源31を使用することにより、このような欠点を最小限に抑えることが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、整合器33における整合状態をベタ画像未乾燥状態に固定することにより、液体22の乾燥の進行を適度な状態(導電性物質が凝集する前の状態)でとどめ、誘導加熱現象による急激な温度上昇を避けることが可能となる。これにより、簡素な構成で導電性物質を含む液体22を乾燥させる際の安全性を向上させることが可能となる。
<実施例>
以下に、実施例を示して本実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。特に明記しない限り、以下の記載において部は質量部を示す。
<自己分散型顔料分散液の調製(調製例1)>
Cabot Corporation製Black Pearls(登録商標)1000(BET表面積343m/g、およびDBPA105mL/100gを有するカーボンブラック)100gとスルファニル酸100ミリモル、およびイオン交換高純水1Lを室温環境下Silversonミキサー(6000rpm)で混合した。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸100ミリモルを添加する。30分後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(100ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加した。さらに、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。カーボンブッラクにスルファニル酸を付加した改質顔料が生成できた。次いで、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分後に改質顔料分散体が得られた。少なくとも1つのスルファニル酸基またはスルファニル酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した改質顔料を含んだ分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、さらに超音波分散を行って顔料固形分を20%に濃縮した改質顔料分散体を得た。表面処理レベルは0.75mmol/gであり、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定された粒子径(D50)は120nmであった。
<樹脂被覆型顔料分散液の調製(調製例2)>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
このポリマー溶液Aを28gと、C.I.カーボンブラック(デグサ社製、FW100)を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去した。更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルタにて加圧濾過し、顔料固形分15質量%、固形分濃度20質量%のカーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液が得られた。カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子について、粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ104nmであった。
<高分子分散剤型顔料分散体−1(調製例3)>
・NIPEX150(カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)
・・・15.0質量部
・高分子分散剤(BYKJET−9151、有効成分100%、ビックケミー社製)
・・・・3.8質量部
・イオン交換水 ・・・80.0質量部
分散剤をイオン交換水に加えて溶解し、カーボンブラックNIPEX150を混合、撹拌し充分に湿潤したところで、混練装置(ダイノーミル KDL A型、WAB社製)に直径0.5mmジルコニアビーズを充填して、2000rpmで60分間混練を行なった。ジルコニアビーズを取り出して平均孔径が1μmのフィルタでろ過して、顔料固形分濃度が15質量%である高分子分散剤型顔料分散体−1を得た。
<高分子分散剤型顔料分散体−2(調製例4)>
・NIPEX150(カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)
・・・15.0質量部
・高分子分散剤(BYKJET−9151、有効成分100%、ビックケミー社製)
・・・・7.5質量部
・イオン交換水 ・・・80.0質量部
分散剤をイオン交換水に加えて溶解し、カーボンブラックNIPEX150を混合、撹拌し充分に湿潤したところで、混練装置(ダイノーミル KDL A型、WAB社製)に直径0.5mmジルコニアビーズを充填して、2000rpmで60分間混練を行なった。ジルコニアビーズを取り出して平均孔径が1μmのフィルタでろ過して、顔料固形分濃度が15質量%である高分子分散剤型顔料分散体−2を得た。
<界面活性剤分散型顔料分散体(調製例5)>
カーボンブラック 175質量部
(NIPEX160、degussa社製、BET比表面積150m/g、
平均一次粒径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100g)
ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物 175質量部
(竹本油脂株式会社製パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、
3量体、及び4量体の合計含有量=50質量%)
蒸留水 650質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(a)を作製した。これをディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、DMR型)で0.05mmジルコニアビーズ、充填率55%を用いて周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、顔料濃度が13質量%となる界面活性剤分散型顔料分散体を得た。
<ポリウレタン樹脂水分散体−1(調製例6)>
撹拌機及び加熱器を備えた簡易加圧反応装置に、Mn2000の結晶性ポリカーボネートジオール[デュラノールT6002、旭化成ケミカルズ(株)製]287.9部、1,4ブタンジオール3.6部、DMPA8.9部、水添MDI98.3部及びアセトン326.2部を、窒素を導入しながら仕込んだ。
その後90℃に加熱し、8時間かけてウレタン化反応を行い、プレポリマーを製造した。
反応混合物を40℃に冷却後、トリエチルアミン6.8部を添加・混合し、更に水568.8部を加え回転子−固定子式方式の機械乳化機で乳化することで水性分散体を得た。
得られた水性分散体に撹拌下、10%のエチレンジアミン水溶液を28.1部加え、50℃で5時間撹拌し、鎖伸長反応を行った。
その後、減圧下に65℃でアセトンを除去し、水分調節をして、固形分40質量%のポリウレタン樹脂水分散体−1を得た。ポリウレタン樹脂水分散体−1について、樹脂粒子の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ42nmであった。
<ポリウレタン樹脂水分散体−2(調製例7)>
トリエチルアミン添加量を8.0部に変更する以外は(調製例6)と同様にして、ポリウレタン樹脂水分散体−2を得た。ポリウレタン樹脂水分散体−2について、樹脂粒子の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ25nmであった。
<ポリウレタン樹脂水分散体−3(調製例8)>
トリエチルアミン添加量を10.0部に変更する以外は、(調製例6)と同様にして、ポリウレタン樹脂水分散体−3を得た。ポリウレタン樹脂水分散体−3について、樹脂粒子の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ15nmであった。
<ポリウレタン樹脂水分散体−4(調製例9)>
トリエチルアミン添加量を4.9部に変更する以外は、(調製例6)と同様にして、ポリウレタン樹脂水分散体−4を得た。ポリウレタン樹脂水分散体−4について、樹脂粒子の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ79nmであった。
<アクリル-シリコーン樹脂水分散体−1(調製例10)>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、ラテムルS−180 17.5g、イオン交換水350gを加え混合し、65℃に昇温した。
昇温後、反応開始剤であるt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸2エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180 8.0g、及びイオン交換水340gを混合し、3時間かけて滴下を行った。
その後、80℃で2時間加熱熟成を行った後、常温まで冷却し水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。
エバポレータ用いてエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40質量%のアクリル−シリコーン樹脂水分散体−1溶液730gを作製した。アクリル−シリコーン樹脂水分散体−1について、樹脂粒子の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ43nmであった。
<アクリル−シリコーン樹脂水分散体−2(調製例11)>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、イオン交換水350gに、8.0gのラテムルS−180(花王社製、反応性陰イオン性界面活性剤)を加えて混合し、65℃に昇温した。
次いで、反応開始剤のt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸−2−エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180 8.0g、及びイオン交換水340gの混合物を、3時間かけて滴下した。次いで、80℃で2時間加熱熟成した後、常温まで冷却し、水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。次いでエバポレータによりエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40%のアクリル−シリコーンポリマー微粒子分散体730gを得た。分散体中のポリマー微粒子の体積平均粒径(D50)を、粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定したところ125nmであった。
−インクジェット記録用インクの作製−
<インク1>
攪拌機を備えた容器に、下記に示す成分を入れ、30分程度攪拌して均一にした。
1.3−ブタンジオール20質量部
3−メチル−1.3−ブタンジオール10質量部
トリエチレングリコール8質量部
2−エチル−1.3−ヘキサンジオール2質量部
界面活性剤(TEGO WET270(Dupont社製))0.5質量部
次いで、自己分散型顔料分散体(調製例1)を顔料固形分量で5.0質量部および高純水を加え、60分程度攪拌して均一にした。
さらにポリウレタン樹脂水分散体−1(調製例6)を固形分量で3質量部加え、30分攪拌してインクを均一にした。
このインクジェット記録用インクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルタにて加圧濾過し、粗大粒子およびごみを除去してインク1のインクジェット記録用インクを作製した。
<インク2〜8>
インク1と同様に、表1に示した水溶性有機溶剤、界面活性剤を混合攪拌し、水分散性着色剤(顔料分散体)、高純水を加えて混合攪拌し、さらには水分散性の樹脂(上記調製例6から11で作製した樹脂粒子)を混合攪拌しインクを均一とした。このインクジェット記録用インクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルタにて加圧濾過し、粗大粒子およびごみを除去してインク2〜8のインクジェット記録用インクを作製した。
Figure 2019164990
<ウレタン樹脂エマルションAの調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリライトOD−X−2420(DIC社製、ポリエステルポリオール)1500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN−メチルピロリドン(NMP)1347gを窒素雰囲気下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1445g、及びジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、さらにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4340gを抜き出して、強撹拌下、水5400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、得られた樹脂エマルジョンをペイントコンディショナー(レッドデビル社製、50〜1425rpmの範囲で速度調節可能)で分散処理し、固形分濃度40.0質量%、Tg10℃のポリエステル系ウレタン樹脂エマルションAを得た。
なお、TgはDSC(リガク社製Thermo plus EVO2/DSC)にて測定した。
<アクリル樹脂エマルションBの調製>
アクリル樹脂エマルションBとして、ボンコートCF−6140(DIC社製、Tg12℃)を用いた。
<エチレン酢酸ビニル樹脂エマルションCの調製>
エチレン酢酸ビニル樹脂エマルションCとして、S−400HQ(スミカケムテックス社製、Tg0℃)を用いた。
(インクの調製)
<顔料分散体の調製>
<<ブラック顔料分散体の調製>>
東海カーボン社製のカーボンブラック:シーストSP(SRF−LS)100gを、2.5N(規定)の次亜塩素酸ナトリウム溶液3000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行い、カーボンブラックの表面にカルボン酸基が付与された顔料を得た。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。
次いで、該顔料分散体とイオン交換水を用いて透析膜による限外濾過を行い、更に、超音波分散を行って、顔料固形分を20%に濃縮した体積平均粒径100nmのブラック顔料分散体を得た。
<<シアン顔料分散体の調製>>
ブラック顔料分散体の調製において、使用する色材を東洋インキ社製銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4、商品名:LX4033)に代えた以外は同様にして体積平均粒径75nmのシアン顔料分散体を得た。
<<マゼンタ顔料分散体の調製>>
ブラック顔料分散体の調製において、使用する色材をSun Chemical社製Pigment Red 122に代えた以外は同様にして体積平均粒径73nmのマゼンタ顔料分散体を得た。
<<イエロー顔料分散体の調製>>
ブラック顔料分散体の調製において、使用する色材を大日精化工業社製イエロー顔料(ピグメントイエロー74、商品名:イエローNO.46)に代えた以外は同様にして体積平均粒径82nmのイエロー顔料分散体を得た。
<インクの調製方法>
表2に記載した通りの処方(質量%)で各成分を混合攪拌し、0.2μmポリプロピレンフィルターにて濾過することにより、インク9〜14を調製した。なお、界面活性剤は、FS−300(DuPont社製フッ素系界面活性剤)を使用した。
Figure 2019164990
<<蒸発率80%時の導電率>>
インクをφ40mmシャーレに1g滴下し、50℃環境下で放置し、インク蒸発率が80%となるまで、乾燥した。この乾燥サンプルについて、ロレスターGP(日本測器株式会社製)を用いて、導電率の測定を行った。インクの重量変化を確認することにより、インクの蒸発率を確認した。具体的には、インク1gが0.2gになったときの導電率を測定した。
(インクの特徴)
以下に、本実施形態における「液体」の一例としての「インク」の特徴について説明する。
インクは、上記蒸発率80%時の導電率が0.010S/m以下であることが好ましい。導電率が0.010S/m以下であることにより、誘電加熱方式のインクジェット画像形成装置において、顔料を有するインクを用いた場合に生じる、画像の黄変の問題を有効に防止することができる。
インクの蒸発率80%時の導電率は、実用上の観点から、0.003S/mから0.010S/mの範囲であることがより好ましい。
インク中における、樹脂と顔料との質量比率(樹脂/顔料)は、0.5以上0.8未満であることが好ましい。親水性基を含む樹脂を用いることで、樹脂が少量でもインク中で安定に分散し、顔料と樹脂とがインク中で均一に分散する。インク中の樹脂と顔料との質量比率(樹脂/顔料)が、0.5以上0.8未満であれば、水分蒸発時の粘度上昇を抑制し、高い吐出信頼性を確保することができる。
インク中の樹脂として、親水性基及び疎水性基を有する樹脂を添加することが好ましい。これは、親水性基の存在により、上記樹脂が少量でもインク中で安定に分散し、顔料の分散体又は分散助剤として作用するためと考えられる。インク中でカーボンブラック等の顔料と樹脂とが均一に分散することで、印字・乾燥後の画像状態においても顔料と樹脂とが均一に層を形成する。これにより、顔料粒子間に樹脂が存在することで、画像層中で顔料同士の接触確率が低くなり、導電体としての作用を抑制することで、乾燥時における画像の黄変を抑制できると考えられる。
カーボンブラックを含む黒インク中にマゼンタ(M)顔料、シアン(C)顔料、及びイエロー(Y)顔料を含ませることが好ましい。これにより、電磁波を乾燥に用いる場合の黒色画像濃度向上と、黄変を防ぐことの両立を達成することができる。詳細な機構は判明していないが、M、C、及びYの顔料を全て含むことで黒色濃度を上げることができ、また、M、C、及びYの顔料は導電性が低いために、カーボンブラック顔料間での導電性が下がり、黄変を防ぐことができるのではないかと推測される。つまり、黒インク中で、カーボンブラックとその他の顔料(M、C、及びYの顔料)とが分散されていることが重要である。この場合には、記録媒体上に付与された黒インク中にカーボンブラックとその他の顔料(M、C、及びYの顔料)とが混ざり合って存在していることにより、黒インクの導電性が下がり、黒色濃度が良好となり、黄変を防ぐことが可能となる。
Mインク、Cインク、及びYインクを重ね打ちして黒色を出すことは通常行われているが、このような方法で表現された黒色は、上記のようなカーボンブラックを含む黒インクを用いた場合よりも黒色濃度が劣り、また色味もカーボンブラックを含む黒インクより劣る。
以上から、カーボンブラック、マゼンタ顔料、シアン顔料、及びイエロー顔料を組み合わせて用いることで、インクの導電性が下がり、電磁波により加熱しても黄変の起こらない画像を形成することができる。また、これらの配合量を適切な範囲にすることで、十分な黒色濃度が得られる。
インク中における色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な吐出安定性等の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
カーボンブラック、マゼンタ顔料、シアン顔料、及びイエロー顔料を含む黒インク中におけるカーボンブラックの含有量の下限値は、1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましい。また、当該黒インク中におけるカーボンブラックの含有量の上限値は、3.2質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。画像の黒色濃度を向上するためには、カーボンブラックを1.0質量%以上含むことが好ましい。また、画像の黄変を防ぐためには、カーボンブラックの含有量は3.2質量%以下であることが好ましい。
カーボンブラック顔料間での導電性を下げ、黄変を防ぐという観点から、マゼンタ顔料、シアン顔料、及びイエロー顔料の合計含有量が、インク全量に対して0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
80%蒸発時の導電率は、例えば、インク中におけるカーボンブラックと樹脂との比率、樹脂の種類、カーボンブラックとその他の顔料との比率等を変更することにより制御可能である。凝集することで導電性を示すカーボンブラック同士が凝集しないよう、その間に絶縁物質が挟まれるようにすればよい。
<変形例>
以下に、本実施形態の変形例を示す。図9は、実施形態の変形例に係る画像形成装置の加熱部101の構成例を示す図である。加熱部101は、図1に示す液体吐出ヘッド12により液体が吐出された後の対象物21を加熱して乾燥させる部分である。加熱部101は、接触加熱手段110を構成する10個の加熱ローラ111(111A〜111J)、加熱ドラム112、及び加熱ローラ111(111A〜111J)に対象物21が接触するように案内する接触案内ローラ113(113A〜113J)を備えている。
また、加熱部101は、接触加熱手段110に対象物21を案内する案内ローラ117A〜117Dと、対象物21を加熱ドラム112に巻き付ける案内ローラ117Eとを備えている。さらに、加熱部101は、接触加熱手段10から出た対象物21を案内する案内ローラを兼ねた加熱ローラ114A,114Bを備えている。
案内ローラ117C,117Cの上部には、上記高周波乾燥装置13が配置されている。これにより、対象物21上の液体は、接触加熱手段110に加熱される前に高周波加熱により加熱される。
接触加熱手段10は、10個の加熱ローラ111(111A〜111J)が加熱ドラム112の周囲に円弧状に配置されて構成されている。ここでは、加熱ドラム112の中心から各加熱ローラ111の中心までの距離を同じくして配置しているが、加熱ドラム112の中心と円弧状に配置された加熱ローラ111の円弧の中心とが一致しなくてもよい。
これにより、対象物21が複数の加熱ローラ111に亘って接触して搬送されるときに、対象物21に負荷がかからず、対象物21を適正な張力で搬送することができる。
案内ローラ117Dで接触加熱手段110に案内された対象物21は、円弧状に配置された複数の加熱ローラ111A〜111Jの外側(加熱ドラム112と反対側)に接触しながら第1経路Y1を搬送される。
その後、対象物21は、加熱ドラム112の周面に至って、加熱ドラム112のほぼ全周に亘って巻き付けられて接触した後、案内ローラ117E及び接触案内ローラ113Aにて、再度、加熱ローラ111Jに案内される。そして、対象物21は、加熱ローラ111J〜111Aの内側(加熱ドラム112側)に接触案内ローラ113A〜113Jで案内されて接触しながら第2経路Y2を搬送される。
これにより、加熱部材の数を多くしても装置の小型化を図ることができる。また、加熱部材の数を多くすることで乾燥速度を高めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態及びその変形は発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 画像形成装置
11 給紙ロール
12 液体吐出ヘッド
13 高周波乾燥装置
14 補助乾燥装置
15 巻取ロール
21 対象物
22 液体
31 高周波電源
32 電極
33 整合器
41 コイル
42 第1の可変容量コンデンサ
43 第2の可変容量コンデンサ
44 設定部
101 加熱部
110 接触加熱手段
111A〜111J 加熱ローラ
112 加熱ドラム
113A〜113J 接触案内ローラ
114A,114B 加熱ローラ
117A〜117D 案内ローラ
特開2016−112855号公報

Claims (13)

  1. 高周波誘電を用いて対象物上の液体を乾燥させる乾燥装置であって、
    高周波を出力する電源と、
    前記電源に接続した電極と、
    前記電源の出力インピーダンスと、前記電極と前記液体を含む負荷の合成インピーダンスとを、前記電極から発生する高周波電界が照射される前記対象物上の領域に前記液体が最大量付着し、且つ当該液体が未乾燥であるベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定する整合器と、
    を備える乾燥装置。
  2. 前記整合器は、前記液体に含まれる導電性物質が凝集しないように構成される、
    請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 前記液体は、水、溶剤、及び前記導電性物質を含み、
    前記整合器は、前記溶剤が所定量残留するように構成される、
    請求項2に記載の乾燥装置。
  4. 前記整合器は、可変容量コンデンサを含み、
    前記可変容量コンデンサの静電容量は、前記ベタ画像未乾燥状態において前記出力インピーダンスが所定値となるように固定される、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の乾燥装置。
  5. 前記液体は、黒色の液体である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾燥装置。
  6. 画像データに基づいて対象物上に液体を吐出する吐出部と、高周波誘電を用いて前記液体を乾燥させる高周波乾燥装置と、を備える画像形成装置であって、
    前記高周波乾燥装置は、
    高周波を出力する電源と、
    前記電源に接続した電極と、
    前記電源の出力インピーダンスと、前記電極と前記液体を含む負荷の合成インピーダンスとを、前記電極から発生する高周波電界が照射される前記対象物上の領域に前記液体が最大量付着し、且つ当該液体が未乾燥であるベタ画像未乾燥状態における整合状態に固定する整合器と、
    を備える、
    画像形成装置。
  7. 前記吐出部は、複数種類の液体を吐出可能であり、
    前記整合器は、前記複数種類の液体のうち最も導電性の高い液体を基準として構成される、
    請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記最も導電性の高い液体は、黒色の液体である、
    請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記高周波乾燥装置により乾燥された後の前記対象物を乾燥させる補助乾燥装置、
    を更に備える、
    請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記液体の蒸発率80%時の導電率が0.010S/m以下である、
    請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記液体は、樹脂及び顔料を含有し、
    前記液体中における前記樹脂と前記顔料との質量比率(顔料/樹脂)が0.5以上0.8未満である、
    請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記液体は、カーボンブラック、マゼンタ顔料、シアン顔料、及びイエロー顔料を含む黒インクである、
    請求項10又は11に記載の画像形成装置。
  13. 前記液体中のカーボンブラックの含有量が3.2質量%以下であり、
    前記液体中のマゼンタ顔料、シアン顔料、及びイエロー顔料の合計含有量が0.1質量%以上5質量%以下である、
    請求項12に記載の画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113459668A (zh) * 2020-03-31 2021-10-01 精工爱普生株式会社 高频感应加热装置及记录装置
US11597215B2 (en) 2020-08-24 2023-03-07 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting device with alternating current electric field generation unit
WO2024117092A1 (ja) * 2022-11-28 2024-06-06 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

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